(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】歩行型管理機
(51)【国際特許分類】
A01B 33/08 20060101AFI20240527BHJP
G05G 1/04 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A01B33/08 A
G05G1/04 A
(21)【出願番号】P 2021036121
(22)【出願日】2021-03-08
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】592242327
【氏名又は名称】日本フレックス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 恵一
(72)【発明者】
【氏名】前田 伸治
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰直
(72)【発明者】
【氏名】中島 雅大
(72)【発明者】
【氏名】松田 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 司
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-342003(JP,A)
【文献】実開昭49-139734(JP,U)
【文献】特開2006-338314(JP,A)
【文献】米国特許第06708773(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 33/00 - 33/16
G05G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作具に連結された第一ケーブルと、
クラッチ機構に連結された第二ケーブルと、
回転可能に支持されると共に、前記第一ケーブルと連結される第一連結部、及び前記第二ケーブルが連結される第二連結部を具備し、前記操作具の操作により前記第一ケーブルを介して所定の回転方向に回転されると、前記第二ケーブルを介して前記クラッチ機構を作動させる回転体と、
を具備し、
前記第二ケーブルは、
前記操作具の操作に伴って、前記回転体の中心に近づくように移動する、
歩行型管理機。
【請求項2】
前記操作具が所定の操作量以上操作された場合に、前記第二ケーブルと接する当接部を具備し、
前記操作具が最大限操作された状態において、
前記回転体の回転軸方向から見て、前記当接部と前記回転体の中心を通る直線と、前記第二ケーブルとが近傍に位置する、
請求項1に記載の歩行型管理機。
【請求項3】
前記回転体を収容し、前記第二ケーブルを内部へと導入する挿通部を有する収容部をさらに具備し、
前記当接部は、
前記回転体の回転軸方向から見て、前記回転体の中心と、前記挿通部と、の間に配置されている、
請求項2に記載の歩行型管理機。
【請求項4】
前記第二ケーブルは、
前記操作具が最大限操作された状態において、前記当接部と接することで屈曲される、
請求項2又は請求項3のいずれか一項に記載の歩行型管理機。
【請求項5】
前記第二連結部の中心は、
前記操作具が操作された場合に、前記回転体の回転軸方向から見て、前記当接部と前記回転体の中心を通る直線を跨いで移動することがないように配置されている、
請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載の歩行型管理機。
【請求項6】
前記第一連結部及び前記第二連結部は、
前記回転体の回転軸方向及び周方向に互いにずれた位置に配置されている、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の歩行型管理機。
【請求項7】
前記第一ケーブル及び前記第二ケーブルは、
前記操作具の操作に伴って、前記第一ケーブルから前記回転体の中心までの第一距離と、前記第二ケーブルから前記回転体の中心までの第二距離と、の大小関係が入れ替わるように配置されている、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の歩行型管理機。
【請求項8】
前記回転体を収容し、前記第一ケーブルを内部へと導入する第一挿通部、及び前記第二ケーブルを内部へと導入する第二挿通部を有する収容部をさらに具備し、
前記第一挿通部及び前記第二挿通部は、
前記第一ケーブル及び前記第二ケーブルが互いに平行に前記収容部へ導入されるように形成される、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の歩行型管理機。
【請求項9】
前記回転体を収容し、前記第一ケーブルを内部へと導入する第一挿通部、及び前記第二ケーブルを内部へと導入する第二挿通部を有する収容部をさらに具備し、
前記第一挿通部及び前記第二挿通部は、
前記第一ケーブル及び前記第二ケーブルが互いに鋭角を成すように前記収容部へ導入されるように形成される、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作具を操作することでクラッチ機構を作動させる歩行型管理機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作具を操作することでクラッチ機構を作動させる歩行型管理機の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の歩行型管理機は、クラッチ機構を作動させるためのクラッチレバー(操作具)、及び耕耘爪が装着される耕耘軸等を具備する。前記歩行型管理機においては、クラッチレバーを操作することでクラッチ機構を作動させ、エンジンの動力を耕耘軸に伝達し、耕耘爪を回転させて圃場の耕耘を行うことができる。
【0004】
作業者は、このような耕耘作業において、クラッチレバーを操作した状態を維持することになる。この際、操作具の操作力(操作した状態を維持するのに必要な力)が大きいと、耕耘作業における作業者の負担が増えてしまう。このため、従来技術においては、操作具の操作力を低減することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、操作具の操作力を低減することが可能な歩行型管理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本発明の歩行型管理機は、操作具に連結された第一ケーブルと、クラッチ機構に連結された第二ケーブルと、回転可能に支持されると共に、前記第一ケーブルと連結される第一連結部、及び前記第二ケーブルが連結される第二連結部を具備し、前記操作具の操作により前記第一ケーブルを介して所定の回転方向に回転されると、前記第二ケーブルを介して前記クラッチ機構を作動させる回転体と、を具備し、前記第二ケーブルは、前記操作具の操作に伴って、前記回転体の中心に近づくように移動するものである。
【0009】
また、本発明の歩行型管理機は、前記操作具が所定の操作量以上操作された場合に、前記第二ケーブルと接する当接部を具備し、前記操作具が最大限操作された状態において、前記回転体の回転軸方向から見て、前記当接部と前記回転体の中心を通る直線と、前記第二ケーブルとが近傍に位置するものである。
【0010】
また、本発明の歩行型管理機は、前記回転体を収容し、前記第二ケーブルを内部へと導入する挿通部を有する収容部をさらに具備し、前記当接部は、前記回転体の回転軸方向から見て、前記回転体の中心と、前記挿通部と、の間に配置されているものである。
【0011】
また、前記第二ケーブルは、前記操作具が最大限操作された状態において、前記当接部と接することで屈曲されるものである。
【0012】
また、前記第二連結部の中心は、前記操作具が操作された場合に、前記回転体の回転軸方向から見て、前記当接部と前記回転体の中心を通る直線を跨いで移動することがないように配置されているものである。
【0013】
また、前記第一連結部及び前記第二連結部は、前記回転体の回転軸方向及び周方向に互いにずれた位置に配置されているものである。
【0014】
また、前記第一ケーブル及び前記第二ケーブルは、前記操作具の操作に伴って、前記第一ケーブルから前記回転体の中心までの第一距離と、前記第二ケーブルから前記回転体の中心までの第二距離と、の大小関係が入れ替わるように配置されているものである。
【0015】
また、本発明の歩行型管理機は、前記回転体を収容し、前記第一ケーブルを内部へと導入する第一挿通部、及び前記第二ケーブルを内部へと導入する第二挿通部を有する収容部をさらに具備し、前記第一挿通部及び前記第二挿通部は、前記第一ケーブル及び前記第二ケーブルが互いに平行に前記収容部へ導入されるように形成されるものである。
また、本発明の歩行型管理機は、前記回転体を収容し、前記第一ケーブルを内部へと導入する第一挿通部、及び前記第二ケーブルを内部へと導入する第二挿通部を有する収容部をさらに具備し、前記第一挿通部及び前記第二挿通部は、前記第一ケーブル及び前記第二ケーブルが互いに鋭角を成すように前記収容部へ導入されるように形成されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
本発明の歩行型管理機は、操作具の操作力を低減することができる。
【0018】
本発明の歩行型管理機は、操作具の操作を解除した際に、回転体を元の位置に戻すための力(付勢力)を確保しながらも、付勢力により回転体に加わる回転力を小さく抑えることができ、ひいては操作具の操作力を低減することができる。
【0019】
本発明の歩行型管理機は、第二ケーブルに張力を付与するための当接部を、第二ケーブルに当接させ易い位置に配置することができる。
【0020】
本発明の歩行型管理機は、第二ケーブルに効果的に張力を付与することができ、操作具の操作を解除した際に、回転体を元の位置に戻し易くすることができる。
【0021】
本発明の歩行型管理機は、付勢力による回転力が回転体に常時作用するようにして、回転体を元の位置(操作前の位置)に戻し易くすることができる。
【0022】
本発明の歩行型管理機は、装置(回転体、収容部等)の小型化を図ることができる。
【0023】
本発明の歩行型管理機は、第一ケーブルと第二ケーブルを無理なく連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態に係る歩行型作業機を示す斜視図。
【
図5】(a)操縦ハンドル、接続ケーブル及び操作力低減機構を示す側面図。(b)操作力低減機構を示す拡大側面図。
【
図7】レバーを操作している最中の状態を示す側面図。
【
図9】(a)変形例に係る操作力低減機構を示す側面図。(b)同じく、拡大側面図。
【
図10】(a)変形例において、レバーを最大限操作した状態を示す側面図。(b)同じく、拡大側面図。
【
図11】(a)第二変形例に係る操作力低減機構を示す側面図。(b)同じく、拡大側面図。
【
図12】(a)第二変形例において、レバーを最大限操作した状態を示す側面図。(b)同じく、拡大側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0027】
以下では、
図1から
図4を参照して、本発明の一実施形態に係る歩行型管理機1について説明する。
【0028】
歩行型管理機1は、機体フレーム2、エンジン3、燃料タンク4、ボンネット5、カバー6、ミッションケース7、耕耘爪8、クラッチ機構9、フェンダ10、ハンドルフレーム11、移動輪12、抵抗棒13、成形体14、ハンドル連結部15、操縦ハンドル20、接続ケーブル30及び操作力低減機構40等を具備する。
【0029】
機体フレーム2は、板材を適宜折り曲げて形成される部材である。機体フレーム2の前部には、開口部を下方に向けた正面視略U字状のバンパー2aが設けられる。エンジン3は、機体フレーム2に載置される。燃料タンク4は、エンジン3の後方に配置される。当該エンジン3及び燃料タンク4は、ボンネット5によって覆われる。また、燃料タンク4のキャップ4aは、ボンネット5の上面から露出するように設けられる。エンジン3の左側方には、エンジン3の動力をミッションケース7に伝達するクラッチ機構9を覆うカバー6が設けられる。
【0030】
ミッションケース7は、機体フレーム2の後部に固定される。ミッションケース7は、エンジン3からの動力が伝達されることで回転する回転軸7aを有する。回転軸7aには、耕耘爪8が固定される。クラッチ機構9は、耕耘爪8の回転及び回転の停止を切り替えるためのものである。本実施形態のクラッチ機構9としては、プーリに巻回されたベルトに張力(テンション)を付与することで動力を伝達可能とする、いわゆるベルトテンションクラッチを想定している。
【0031】
ミッションケース7の左方及び右方には、耕耘爪8を上方から覆うフェンダ10が配置される。また、ミッションケース7の後部には、ハンドルフレーム11が配置される。
【0032】
ハンドルフレーム11は、操縦ハンドル20を支持するためのフレームである。ハンドルフレーム11は、後上方へ延びるように形成される。
図4に示すハンドルフレーム11は、固定フレーム11aを介してミッションケース7に固定される。当該固定フレーム11aの前上部には、燃料タンク4を支持するための支持フレーム11bが固定される。また、固定フレーム11aには、ブラケット11cを介して移動輪12、抵抗棒13、成形体14が設けられる。ブラケット11cは、固定フレーム11aに対して回動可能に設けられる。
【0033】
また、
図1から
図3に示すハンドルフレーム11の後上端部には、ハンドル連結部15が連結される。ハンドル連結部15は、ハンドルフレーム11と操縦ハンドル20とを連結するものである。ハンドル連結部15は、ノブ付きボルト15aを締めることで、操縦ハンドル20をハンドルフレーム11に対して固定することができる。
【0034】
操縦ハンドル20は、作業者が操縦するためのものである。操縦ハンドル20は、操作可能なレバー24を具備し、当該レバー24が接続ケーブル30を介してクラッチ機構9と接続される(
図5(a)参照)。操作力低減機構40は、レバー24の操作力を低減するためのものである。なお、
図1においては、説明の便宜上、接続ケーブル30の記載を省略している。また、操縦ハンドル20、接続ケーブル30及び操作力低減機構40については後述する。
【0035】
以上の如く構成された歩行型管理機1は、操縦ハンドル20のレバー24が操作されることで、前記ベルトに張力が付与されてクラッチ機構9が作動される。これにより、エンジン3からの動力が回転軸7aへと伝達される。これによって、歩行型管理機1は、耕耘爪8を回転させて圃場を耕耘することができる。このとき、ブラケット11cを適宜回動させて、
図2等に示すような成形体14を下方に向けた状態とすることで、耕耘爪8で耕耘した土を押圧して畝を成形することができる。また、ブラケット11cを適宜回動させて抵抗棒13を下方に向けることで、圃場に抵抗棒13を挿して抵抗を生じさせ、歩行型管理機1の前進速度を調整することができる。
【0036】
また、歩行型管理機1は、レバー24の操作が解除されることで、前記ベルトへの張力の付与が停止され、クラッチ機構9の作動が停止される。これにより、耕耘爪8の回転が停止される。
【0037】
以下では、
図1から
図5を参照して、操縦ハンドル20、接続ケーブル30及び操作力低減機構40について説明する。なお、以下では、レバー24を操作していない状態(
図1に示す状態)を基準として、操縦ハンドル20、接続ケーブル30及び操作力低減機構40について説明する。
【0038】
図1から
図3に示す操縦ハンドル20は、揺動部21、接続部22、グリップ23及びレバー24を具備する。
【0039】
揺動部21は、ハンドルフレーム11に対して前後に揺動する部分である。揺動部21は、略筒状の部材を適宜折り曲げて形成される。揺動部21は、後上方に延びた端部を後方へ曲げたような側面視略L字状に形成される。揺動部21は、左右一対設けられる。揺動部21は、前下端部がハンドル連結部15に連結される。揺動部21は、当該ハンドル連結部15のノブ付きボルト15aを緩めることで、ハンドルフレーム11に対して前後に揺動することができる。また、揺動部21は、ノブ付きボルト15aを締めることで、任意の揺動位置でハンドルフレーム11に対して固定される。
【0040】
接続部22は、左右一対の揺動部21を接続する部分である。接続部22は、軸線方向を左右方向に向けた筒状に形成される。接続部22の左端部は、左側の揺動部21に固定される。接続部22の右端部は、右側の揺動部21に固定される。
【0041】
グリップ23は、作業者が操縦するときに握る部分である。グリップ23は、揺動部21の後上端部に固定される。
【0042】
レバー24は、作業者が耕耘爪8を回転させる(クラッチ機構9を作動させる)ときに操作する部分である。レバー24は、左側の揺動部21の後上端部に設けられる。本実施形態に係るレバー24は、
図1に示す状態において、下方へ揺動操作可能となっている。
【0043】
図2、
図3及び
図5に示す接続ケーブル30は、操作力低減機構40を介してレバー24とクラッチ機構9とを接続するケーブルである。接続ケーブル30は、第一ケーブル31及び第二ケーブル32を具備する。なお、
図5に示す方向の定義は、操作力低減機構40の構成を説明するために便宜的に定義したものであり、
図1から
図4に示す方向の定義とは異なっている。これは、
図6から
図10においても同様である。
【0044】
第一ケーブル31は、レバー24と操作力低減機構40とを接続するケーブルである。第一ケーブル31は、第一インナーケーブル31aを第一アウターケーブル31bで覆うと共に、第一インナーケーブル31aの操作力低減機構40側の端部に第一インナーエンド31cを設けることで形成される。
【0045】
第二ケーブル32は、操作力低減機構40とクラッチ機構9とを接続するケーブルである。第二ケーブル32は、第二インナーケーブル32aを第二アウターケーブル32bで覆うと共に、第二インナーケーブル32aの操作力低減機構40側の端部に第二インナーエンド32cを設けることで形成される。
【0046】
図4及び
図5に示す操作力低減機構40は、前述の如く、レバー24の操作力を低減するためのものである。操作力低減機構40は、収容部41、回転体42、第一規制部43、第二規制部44及び当接部45を具備する。
【0047】
収容部41は、回転体42等を収容する部分である。収容部41は、略箱状に形成される。収容部41は、ハンドルフレーム11の支持フレーム11bに設けられ、燃料タンク4の下方、かつ、ミッションケース7の上方に配置される。また、収容部41は、エンジン3と操縦ハンドル20(
図3参照)との間に配置される。なお、本実施形態に係る収容部41は、2つに分割可能な箱状の部材を想定している。
図5には、このような収容部41を分割し、内部を視認可能とした状態を示している。収容部41は、第一挿通部41a及び第二挿通部41bを具備する。
【0048】
図5に示す第一挿通部41aは、第一ケーブル31を挿通するための部分である。第一挿通部41aは、収容部41の後下側の角部近傍に形成される。第二挿通部41bは、第二ケーブル32を挿通するための部分である。第二挿通部41bは、収容部41の後部における上下中途部に形成される。このように、第二挿通部41bは、収容部41のうち、第一挿通部41aが形成される部分と同じ側に形成される。より詳細には、第一挿通部41a及び第二挿通部41bは、側面視略矩形状(略直方体状)に形成された収容部41の後側面に形成される。
【0049】
第一ケーブル31及び第二ケーブル32は、このような第一挿通部41a及び第二挿通部41bに挿通されることで、互いの成す角度(第一アウターケーブル31b及び第二アウターケーブル32bの収容部41側の端部が成す角度)が鋭角となるように形成される。本実施形態においては、当該角度が約17°となるように形成される。
【0050】
回転体42は、レバー24の操作(揺動操作)によって回転する部材である。回転体42は、収容部41の前後中央部よりも前側に配置される。回転体42は、本体部42a、第一連結部42b及び第二連結部42cを具備する。
【0051】
本体部42aは、軸線方向を左右方向(
図5における紙面奥行き方向)に向けた略円柱状に形成される。本体部42aは、収容部41に回転可能に支持される。本体部42aは、収容部41の第二挿通部41bの前方に配置される。
【0052】
第一連結部42bは、第一ケーブル31が連結される部分である。第一連結部42bは、回転体42の外周面から径方向外側(
図5では前方)に突出するように形成される。第一連結部42bは、幅(
図5では上下方向幅)が本体部42aの外径と略同一となるような側面視略矩形状に形成される。第一連結部42bは、側面視略円状の孔部を有し、当該孔部に第一インナーエンド31cが嵌め合わされることによって、第一ケーブル31が連結される。
【0053】
第二連結部42cは、第二ケーブル32が連結される部分である。第二連結部42cは、回転体42の外周面から径方向外側(
図5では後上方)に突出するように形成される。第二連結部42cは、幅が本体部42aの外径と略同一となるような側面視略矩形状に形成される。第二連結部42cは、第一連結部42bに対して、回転体42の中心Cを中心に
図5における時計回り方向に約120°位置をずらして形成される。第二連結部42cは、側面視略円状の孔部を有し、当該孔部に第二インナーエンド32cが嵌め合わされることによって、第二ケーブル32が連結される。なお、本実施形態において、第二連結部42cの孔部は、第一連結部42bの孔部とは異なる形状に(例えば、第二連結部42cの孔部の径が、第一連結部42bの孔部の径よりも大きくなるように)形成されている。このように、第二連結部42cと第一連結部42bとを互いに異なる形状に形成することで、組み付け時の間違い(第一ケーブル31と第二ケーブル32とを逆に付けること)を防止して、組付性を向上させることができる。
【0054】
第一規制部43は、回転体42の第一連結部42bと当接することで、回転体42の回転を規制するものである。第一規制部43は、軸線方向を左右方向に向けた側面視略半円状の棒状部材によって構成される。第一規制部43は、収容部41の後下部(回転体42の中心Cの後下方)に配置される。第一規制部43は、第一平面部43a及び第一曲面部43bを具備する。
【0055】
第一平面部43aは、第一規制部43のうち、平面を成す部分である。第一平面部43aは、前下方を向けて配置される。第一曲面部43bは、第一規制部43のうち、曲面を成す部分である。第一曲面部43bは、後上方に凸の側面視略円弧状に形成される。
【0056】
第二規制部44は、回転体42の第二連結部42cと当接することで、回転体42の回転を規制するものである。第二規制部44は、軸線方向を左右方向に向けた側面視略半円状の棒状部材によって構成される。第二規制部44は、第二連結部42cに対して
図5における時計回り方向に隣接するように配置される。また、第二規制部44は、収容部41の後上部(第一規制部43の上方)に配置される。第二規制部44は、第二平面部44a及び第二曲面部44bを具備する。
【0057】
第二平面部44aは、第二規制部44のうち、平面を成す部分である。第二平面部44aは、前上方を向けて配置される。第二曲面部44bは、第二規制部44のうち、曲面を成す部分である。第二曲面部44bは、後下方に凸の側面視略円弧状に形成される。
【0058】
当接部45は、第二ケーブル32と当接することで、当該第二ケーブル32に張力を付与するためのものである。当接部45は、軸線方向を左右方向に向けた略円柱状に形成される。当接部45は、第一規制部43と第二規制部44との間、かつ、回転体42の中心Cと第二挿通部41bとの間に配置される。
【0059】
以下では、
図6から
図8を参照して、操作力低減機構40の動作について説明する。なお、以下においては、
図6に示すレバー24が操作されていない状態から、
図8に示すレバー24が最大限操作された状態まで操作される場合を例に挙げて、操作力低減機構40の動作について説明する。
【0060】
図6に示すレバー24が操作されていない状態において、クラッチ機構9の前記ベルトの復元力等によって、第二ケーブル32に付勢力A1が作用する。これによって、第二インナーケーブル32aは、後方へ引っ張られる。これにより、回転体42の第二連結部42cが後方へ引っ張られ、回転体42は、
図6における時計回り方向へ付勢される。また、回転体42は、第二連結部42cが第二規制部44の第二平面部44aと当接することにより、時計回り方向への回転が規制される。
【0061】
このような状態からレバー24が操作(下方へ揺動操作)されると、
図7に示す第一ケーブル31に操作力A2が作用する。これによって、第一ケーブル31は、後下方へ引っ張られる。これにより、回転体42には、操作力A2に応じた回転力が加えられる。当該回転体42は、付勢力A1(第二ケーブル32)による時計回り方向の回転力に抗して、反時計回り方向(
図7に示す矢印B2方向)へ回転する。
【0062】
回転体42が反時計回り方向へ回転を開始すると、第二連結部42cが
図6に示す状態から前上方へ移動する。これにより、第二インナーケーブル32a(第二連結部42c側の端部)の長手方向が徐々に回転体42の接線方向を向くこととなる。これによって、付勢力A1により回転体42に加わる回転力が、初期位置から徐々に増大することとなる。
【0063】
図7に示す状態からさらにレバー24を操作すると、反時計回り方向へさらに回転する。このとき、第二連結部42cは、
図7に示す状態から前方へ移動する。これにより、第二インナーケーブル32aは、回転体42の中心Cに徐々に近接する。これによって、付勢力A1により回転体42に加わる回転力が徐々に小さくなる。
【0064】
さらにレバー24が操作されると、第二連結部42cが下方へ移動し、当該第二インナーケーブル32aの中途部は当接部45に当接する。これによって、第二インナーケーブル32aは、当接部45と当接した部分で若干屈曲される。
【0065】
そして、レバー24を最大限操作すると、
図8に示すような状態となる。この状態では、第二連結部42cは直線D1と重複するように位置している。なお、直線D1は、回転体42の中心Cと、当接部45の上部(より詳細には、第二インナーケーブル32aとの接点)と、を通る直線である。
【0066】
このように回転体42を回転させることで、第二ケーブル32を介してクラッチ機構9を作動させることができる。作業者は、このような状態を維持することで、耕耘爪8(
図1参照)を回転させて耕耘作業を行うこととなる。
【0067】
ここで、仮に、第二連結部42c(第二インナーエンド32c)の中心が
図8に示す直線D1上に位置するまで回転体42が回転した場合、第二インナーケーブル32a(当接部45と当接する部分から第二インナーエンド32c側の端部まで)の長手方向が、直線D1と一致することとなる。この場合、付勢力A1により回転体42に加わる回転力が0になる。本実施形態においては、このような回転力が作用しなくなる第二連結部42cの位置を「死点」と称する。
【0068】
本実施形態では、第二連結部42cが直線D1と重複する程度まで、第二連結部42cを死点の近傍に位置させている。これによれば、付勢力A1により回転体42に加わる回転力を低減する(少なくとも、
図6に示す状態よりも低減する)ことができる。これにより、レバー24を最大限操作した状態(
図8に示す状態)におけるレバー24の操作力を低減することができる。このため、レバー24を最大限操作した状態を楽に維持することができる。これによって、耕耘作業における作業者の負担を低減することができる。
【0069】
また、本実施形態において、回転体42は、レバー24を最大限操作しても、死点を超えない(第二連結部42cの中心が直線D1よりも上方に位置する)ように構成されている。これにより、付勢力A1による回転力が僅かに作用するようにして、回転体42を元の位置(操作前の位置)に戻し易くすることができる。
【0070】
また、レバー24を最大限操作した状態において、第二インナーケーブル32aを当接部45に当接させて、第二インナーケーブル32aに対して張力(回転体42を初期位置に戻すための力(リターン力))を付与している。これにより、レバー24の操作が解除されたときに、回転体42が時計回り方向へ回転し易くすることができ、回転体42を元の位置に戻し易くすることができる。
【0071】
また、操作力低減機構40によってレバー24の操作力を低減することで、操作力を低減した分だけレバー24の全長を短くするなどして、レバー24のストローク(操作量)を減らすことができる。これにより、操作性を向上させることもできる。
【0072】
また、本実施形態においては、収容部41に回転体42、第一規制部43、第二規制部44及び当接部45をまとめて収容し、操作力低減機構40をユニット化している。このような構成により、所望の箇所(例えば、歩行型管理機1の中で比較的取り付け易い箇所)に操作力低減機構40を配置することができ、取付性を向上させることができる。
【0073】
以上の如く、本実施形態に係る歩行型管理機1は、レバー24(操作具)に連結された第一ケーブル31と、クラッチ機構9に連結された第二ケーブル32と、回転可能に支持されると共に、前記第一ケーブル31と連結される第一連結部42b、及び前記第二ケーブル32が連結される第二連結部42cを具備し、前記レバー24の操作により前記第一ケーブル31を介して所定の回転方向(
図6における反時計回り方向)に回転されると、前記第二ケーブル32を介して前記クラッチ機構9を作動させる回転体42と、を具備し、前記第二連結部42cは、前記レバー24が最大限操作された状態(
図8に示す状態)において、前記第二ケーブル32による回転力が作用しない死点近傍に位置するように配置されているものである。
【0074】
このように構成することにより、レバー24の操作力を低減することができる。
【0075】
また、前記レバー24が最大限操作された状態において、前記死点近傍位置からのリターン力を得るべく、前記第二ケーブル32に接することで、前記第二ケーブル32に張力を付与する当接部45(張力付与部)をさらに具備するものである。
【0076】
このように構成することにより、レバー24の操作を解除した際に、回転体42を元の位置に戻し易く(
図8における時計回り方向に回転させ易く)することができる。
【0077】
また、前記回転体42と当接することで、前記回転体42の回転を所定の位置で規制する第一規制部43及び第二規制部44(規制部)をさらに具備するものである。
【0078】
このように構成することにより、回転体42の回転を所定の位置で規制することで、レバー24による過度な操作を防止し、ひいては操作性を向上させることができる。
また、本実施形態において、第一規制部43及び第二規制部44は、回転体42と当接しない部分を曲面状に形成(第一曲面部43b及び第二曲面部44bを具備)している。このような構成によれば、第一規制部43及び第二規制部44が第一ケーブル31及び第二ケーブル32と接触した際の第一ケーブル31及び第二ケーブル32の損傷の発生を抑制する(曲面を接触させて破損し難くする)ことができる。
【0079】
また、前記回転体42、当接部45、第一規制部43及び第二規制部44を収容する収容部41をさらに具備するものである。
【0080】
このように構成することにより、回転体42、当接部45、第一規制部43及び第二規制部44を保護することができる。これによって、泥や埃の付着による回転の阻害を防止することができる。
【0081】
また、前記収容部41は、燃料タンク4の下方に配置されるものである。
【0082】
請求項5効果
このように構成することにより、燃料タンク4の下方のスペースを有効に活用することができる。
また、本実施形態において、収容部41は、ミッションケース7よりも上方に配置されている。このような構成によれば、収容部41の高さ位置が低くなりすぎるのを抑制し、収容部41を組み付け易くすることができる。
【0083】
また、前記収容部41は、エンジン3と操縦ハンドル20との間に配置されるものである。
【0084】
このように構成することにより、エンジン3と操縦ハンドル20との間のスペース(前後のスペース)を有効に活用することができる。
【0085】
また、前記第二連結部42cは、前記レバー24が操作されていない際に位置する初期位置(
図6に示す位置)と、前記レバー24が最大限操作された際に位置する最大回転位置(
図8に示す位置)と、の間の中途部において、前記第二ケーブル32による回転力が最大となるように配置されているものである。
【0086】
このように構成することにより、レバー24を操作し始める際と、最大限操作した際の操作力を低減することができる。これによって、レバー24の操作を滑らかに行うことができるため、レバー24の操作性を向上させることができる。
【0087】
なお、本実施形態に係るレバー24は、本発明に係る操作具の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る当接部45は、本発明に係る張力付与部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一規制部43及び第二規制部44は、本発明に係る規制部の実施の一形態である。
【0088】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0089】
例えば、歩行型管理機1は、耕耘作業を行うものとしたが、歩行型管理機1の用途はこれに限定されるものではなく、他の作業を行うものであってもよい。
【0090】
また、本実施形態においては、レバー24を最大限操作した状態において、第二連結部42cを直線D1と重複させていたが、これに限定されるものではない。レバー24を最大限操作した状態における第二連結部42cの位置は、直線D1に対する角度R1(回転体42の中心Cと第二連結部42c(第二インナーエンド32c)の中心とを通る直線と、直線D1と、が成す角度、
図8参照)に基づいて、適宜設定されるものであってもよい。具体的には、前記第二連結部42cの位置は、例えば、角度R1が45°以下となるように設定してもよい。また、このような角度R1は、小さい方が望ましい。具体的には、30°以下の角度が望ましく、15°以下の角度範囲がより望ましい。なお、本実施形態に係る角度R1は、約12°となっている。
【0091】
また、回転体42の軸線方向の向き、及びレバー24操作時の回転方向は、本実施形態に限定されるものではなく、任意の向き及び回転方向にすることができる。
【0092】
また、第一規制部43及び第二規制部44は、必ずしも本実施形態のような第一平面部43a及び第二平面部44aと第一曲面部43b及び第二曲面部44bとを有する形状に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。
【0093】
また、収容部41は、燃料タンク4の下方、かつ、エンジン3と操縦ハンドル20との間に配置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、任意の位置に配置することができる。
【0094】
また、本実施形態に係る操作力低減機構40は、少なくとも回転体42を具備していればよく、他の部材(収容部41等)は、必ずしも具備している必要はない。
【0095】
また、操作力低減機構40は、回転体42の回転を規制する第一規制部43と、第二インナーケーブル32aに張力を付与する当接部45と、が別体であったが、これらを1つの部品にまとめてもよい。この場合、操作力低減機構40は、例えば、
図9に示す変形例に係る操作力低減機構140のような構成とすることができる。操作力低減機構140は、回転体142の形状が回転体42と異なる点と、第一規制部43及び当接部45に変えて、第一規制部143を具備する点と、が本実施形態に係る操作力低減機構40と相違する。
【0096】
回転体142は、第二連結部42cの第一連結部42bに対する間隔が、本実施形態よりも離れている(
図8における時計回り方向に約150°ずらして配置される)点で、本実施形態に係る回転体42と相違する。また、第一規制部143は、回転体42の後方(本実施形態に係る当接部45に対応する位置)に配置される点で、本実施形態に係る第一規制部43と相違する。
【0097】
このように構成される操作力低減機構140は、
図10に示すように、レバー24が最大限操作されたときに第一連結部42bが第一規制部143の平面部143aに当接する。また、第二ケーブル32の第二インナーケーブル32aは第一規制部143の曲面部143bに当接する。このような構成によれば、回転体142の回転を規制する第一規制部143によって、第二ケーブル32に張力を付与することができるため、部品点数を削減することができる。
【0098】
また、第一ケーブル31と第二ケーブル32の位置関係は、上述の実施形態や変形例に限定されるものではない。
図11には、第一ケーブル31及び第二ケーブル32が本実施形態とは異なる位置関係で配置された場合の操作力低減機構240(操作力低減機構の第二変形例)を示している。以下では、第二変形例に係る操作力低減機構240について説明する。
【0099】
操作力低減機構240は、収容部241、回転体242、第一規制部243、第二規制部244及び当接部245を具備する。
【0100】
収容部241は、第一挿通部241a及び第二挿通部241bを具備する。第一挿通部241aは、収容部241の後部(後側面)に形成される。第一挿通部241aには、第一ケーブル31が前後方向に沿って挿通される。
【0101】
第二挿通部241bは、収容部241の前部(前側面)に形成される。このように、第二挿通部241bは、収容部241のうち、第一挿通部241aが形成された後側面と反対側の前側面(後述する回転体242を挟んで反対側の側面)に形成される。第二挿通部241bには、第二ケーブル32が前後方向に沿って挿通される。こうして、第二ケーブル32(第二アウターケーブル32b)の収容部241側の端部は、第一ケーブル31(第一アウターケーブル31b)の収容部241側の端部と平行となるように配置される。このように、第二変形例に係る第一ケーブル31及び第二ケーブル32は、収容部241近傍において、前後方向に略一直線状に延びるように配置される。
【0102】
回転体242は、本体部242a、第一連結部242b、第二連結部242c及び対向部242dを具備する。本体部242aは、軸線方向を左右方向(
図11における紙面奥行き方向)に向けた略円柱状に形成される。第一連結部242b及び第二連結部242cは、本体部242aの外周面から径方向外側に突出するように形成される。第一連結部242b及び第二連結部242cは、互いに本体部242aの軸線方向(
図11の紙面奥行き方向)及び周方向に位置をずらして配置される。
【0103】
第一連結部242b及び第二連結部242cは、
図11に示す状態(レバー24が操作されていない状態)において、回転体242の中心Cよりも上側に形成される。第一連結部242bには、第一ケーブル31の第一インナーエンド31cが連結される。第二連結部242cには、第二ケーブル32の第二インナーエンド32cが連結される。
【0104】
対向部242dは、
図11に示す状態において、後述する第二規制部244と対向する部分である。対向部242dは、本体部242aの外周面から径方向外側に突出するように形成される。対向部242dは、第二連結部242cの右方(
図11の紙面奥側)に形成される。
【0105】
第一規制部243、第二規制部244及び当接部245は、収容部241の内側面から突出するように形成される。より詳細には、第一規制部243は、収容部241の後下部から上方へ突出するように形成される。第二規制部244は、収容部241の前上部から後方へ突出するように形成される。当接部245は、収容部241の前下部から上方へ突出するように形成される。
【0106】
以下では、
図11及び
図12を参照して、操作力低減機構240の動作について説明する。なお、以下においては、
図11に示すレバー24が操作されていない状態から、
図12に示すレバー24が最大限操作された状態まで操作される場合を例に挙げて、操作力低減機構240の動作について説明する。
【0107】
図11に示すレバー24が操作されていない状態において、第二ケーブル32にクラッチ機構9による付勢力A1が作用し、第二インナーケーブル32aは、前方へ引っ張られる。これにより、回転体242は、
図11における反時計回り方向へ付勢される。回転体242は、対向部242dが第二規制部244と当接することにより、反時計回り方向への回転が規制される。
【0108】
このような状態からレバー24が操作されると、第一ケーブル31に操作力A2(
図12参照)が作用し、第一インナーケーブル31aは、後方へ引っ張られる。これにより、回転体242は、時計回り方向へ回転される。
【0109】
図12に示すように、レバー24を最大限操作すると、回転体242は、第二連結部242cが第一規制部243と当接するまで回転する。この状態において、第二インナーケーブル32aは、当接部245の上端部と当接して若干屈曲される。また、第二インナーエンド32cは、回転体242の中心Cと当接部245の上端部とを通る直線D1と重複し、死点の近傍に位置することとなる。これにより、第二変形例においても、上述の実施形態と同様に、レバー24を最大限操作した状態を楽に維持することができる。
【0110】
以上の如く、第二変形例において、前記収容部241は、一側面に形成され、前記第一ケーブル31を内側へと案内する第一挿通部241aと、前記回転体242を挟んで前記一側面とは反対側の他側面に形成され、前記第二ケーブル32を内側へと案内する第二挿通部241bと、を具備するものである。
【0111】
このように構成することにより、第一ケーブル31及び第二ケーブル32が比較的真っ直ぐ(直線状)に配策し易くなる。第一ケーブル31及び第二ケーブル32を直線状に配置することで、レバー24が操作された際に生じる摺動抵抗、具体的には、第一アウターケーブル31bに対する第一インナーケーブル31aの摺動抵抗と、第二アウターケーブル32bに対する第二インナーケーブル32aの摺動抵抗と、を低減することができる。
【0112】
以上のように、上記実施形態においては、レバー24(操作具)の操作に伴って、第二ケーブル32(第二インナーケーブル32a)が回転体42(142、242)の中心Cに近づくように移動する。
これによって、付勢力A1により回転体42に加わる回転力が徐々に小さくなる。これによって、レバー24の操作力を低減することができる。
【0113】
また、上記実施形態においては、レバー24が最大限操作された状態において、回転体42(142、242)の回転軸方向(例えば、
図8の紙面奥行き方向)から見て、当接部45(第一規制部143、当接部245)と回転体42の中心Cを通る直線D1と、第二ケーブル32(第二インナーケーブル32a)とが近傍に位置する。
これによって、レバー24の操作を解除した際に、回転体42を元の位置に戻すための力(付勢力A1)を確保しながらも、付勢力A1により回転体42に加わる回転力を小さく抑えることができ、ひいてはレバー24の操作力を低減することができる。
【0114】
また、上記実施形態においては、当接部45(第一規制部143、当接部245)は、回転体42(142、242)の回転軸方向から見て、回転体42の中心Cと、第二挿通部41b(241b)と、の間に配置されている。
これによって、第二ケーブル32に張力を付与するための当接部45を、第二ケーブル32に当接させ易い位置に配置することができる。
【0115】
また上記実施形態においては、レバー24が最大限操作された状態において、第二ケーブル32(第二インナーケーブル32a)は、当接部45(第一規制部143、当接部245)と接することで屈曲される。
これによって、第二ケーブル32に効果的に張力を付与することができ、レバー24の操作を解除した際に、回転体42を元の位置に戻し易くすることができる。
【0116】
また上記実施形態においては、第二連結部42cの中心(回転体42の周方向における中心)は、レバー24が操作された場合に、回転体42(142、242)の回転軸方向から見て、当接部45(第一規制部143、当接部245)と回転体42の中心Cを通る直線D1を跨いで移動することがないように配置されている。
例えば、
図7及び
図8に示すように、レバー24の操作にかかわらず、第二連結部42cは常に直線D1の上方に位置するように構成されている。
これによって、付勢力A1による回転力が回転体42に常時作用するようにして、回転体42を元の位置(操作前の位置)に戻し易くすることができる。
【0117】
また上記実施形態においては、第一連結部242b及び第二連結部242cは、回転体242の回転軸方向及び周方向に互いにずれた位置に配置されている。
これによって、装置(回転体242、収容部241等)の小型化を図ることができる。すなわち、第一連結部242b及び第二連結部242cを回転軸方向にずらして配置することで、回転軸方向から見て両連結部を重複するように配置することができる。これによって両連結部を密集するように配置することができ、両連結部の移動範囲が狭くなるため、装置の小型化を図ることができる。また、両連結部が回転軸方向にずれて配置されているため、両者が近接して配置されていたとしても、第一ケーブル31と第二ケーブル32とが干渉することもない。
なお、
図8等に示す実施形態についても同様に、第一連結部42b及び第二連結部42cを、回転体42の回転軸方向及び周方向に互いにずれた位置に配置することも可能である。
【0118】
また上記実施形態においては、第一ケーブル31(第一インナーケーブル31a)及び第二ケーブル32(第二インナーケーブル32a)は、レバー24の操作に伴って、第一ケーブル31から回転体42(142、242)の中心Cまでの第一距離と、第二ケーブル32から回転体42(142、242)の中心Cまでの第二距離と、の大小関係が入れ替わるように配置されている。
例えば、
図7に示すように、回転体42の軸線方向から見て、レバー24が操作され始めた時点では、第二インナーケーブル32aよりも第一インナーケーブル31aの方が回転体42の中心Cの近くに位置している。これに対して、
図8に示すように、ある程度レバー24が操作されると、第一インナーケーブル31aよりも第二インナーケーブル32aの方が回転体42の中心Cの近くに位置している。第一インナーケーブル31a及び第二インナーケーブル32aをこのような位置関係とすることで、両者を共に回転体42の近傍に配置することができ装置の小型化を図ることができる。
【0119】
また、
図11及び
図12に示す変形例でも上記と同様のことが言える。さらにこの変形例では、レバー24の操作に伴って、第一ケーブル31(第一インナーケーブル31a)と第二ケーブル32(第二インナーケーブル32a)の位置関係が入れ替わるように配置されている。
例えば、
図11に示すように、回転体42の軸線方向から見て、レバー24が操作され始めた時点では、第二インナーケーブル32aが第一インナーケーブル31aの上方に位置している。これに対して、
図12に示すように、ある程度レバー24が操作されると、第一インナーケーブル31aが第二インナーケーブル32aの上方に位置している。第一インナーケーブル31a及び第二インナーケーブル32aをこのような位置関係とすることで、両者を共に回転体42の近傍に配置することができ装置の小型化を図ることができる。またこの際、第一連結部242b及び第二連結部242cを回転軸方向にずらして配置しているため、第一ケーブル31と第二ケーブル32とが干渉することもない。
【0120】
また
図11及び
図12に示す実施形態(第二変形例)においては、第一ケーブル31を収容部241の内部へと導入する(挿通する)第一挿通部241a、及び前記第二ケーブルを収容部241の内部へと導入する(挿通する)第二挿通部241bは、第一ケーブル31及び第二ケーブル32が互いに平行に収容部241へ導入されるように形成される。
これによって、例えば第一ケーブル31が連結されたレバー24と、第二ケーブル32が連結されたクラッチ機構9とが操作力低減機構240を挟んで反対側に配置されている場合等に、両ケーブルを無理なく連結することができる。
【0121】
また
図5から
図8に示す実施形態、並びに
図9及び
図10に示す実施形態(第一変形例)においては、第一挿通部41a及び第二挿通部41bは、第一ケーブル31及び第二ケーブル32が互いに鋭角を成すように収容部241へ導入されるように形成される。
これによって、例えば第一ケーブル31が連結されたレバー24と、第二ケーブル32が連結されたクラッチ機構9とが操作力低減機構240に対して同じ方向に配置されている場合等に、両ケーブルを無理なく連結することができる。
このように、
図11等に示した操作力低減機構240と、
図5等に示した操作力低減機構40、140を適宜使い分けることで、歩行型管理機1の構成(第一ケーブル31及び第二ケーブル32の配置)に応じた最適な設計を行うことができる。
【符号の説明】
【0122】
1 歩行型管理機
9 クラッチ機構
24 レバー(操作具)
31 第一ケーブル
32 第二ケーブル
42 回転体
42b 第一連結部(第一連結部)
42c 第二連結部(第二連結部)