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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20240527BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20240527BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20240527BHJP
   A41D 15/04 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A41D13/11 B
A41D13/11 Z
A41D19/015 610Z
A62B18/02 C
A41D15/04 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020101933
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021195646
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】520210354
【氏名又は名称】林 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】林 岳
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107101(JP,A)
【文献】特表2009-531087(JP,A)
【文献】特開2019-039110(JP,A)
【文献】特開2013-079465(JP,A)
【文献】実開昭59-137922(JP,U)
【文献】実開平05-096014(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0188018(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/11
A41D 19/00-19/04
A62B 18/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の顔に装着する初期状態から、使用者の手に装着可能な手袋状態に変更可能なマスクであって、
前記初期状態において、顔に当接される本体と、
前記本体の左右方向の両端に設けられ、前記本体を顔に当接させた状態を維持する装着部と、を備え、
前記本体は、
複数の布状体が重ねられており、
前記両端の一方において、複数の前記布状体が互いに連結されている封鎖部が形成され、
前記両端の他方において、複数の前記布状体を互いに離間させ、複数の前記布状体の間に、手を挿入可能な挿入部が形成され、
前記手袋状態において、前記挿入部から、使用者が手を挿入することで、当該手の掌から指先まで覆うことを可能であり、
前記本体は、
前記挿入部側に設けられ、前記手袋状態において、掌を覆う掌部と、
前記掌部に連なり、前記手袋状態において、指を覆う指部と、を備え、
前記指部は、少なくとも、
人差し指を覆う人差し指部と、
前記人差し指部に隣接し、中指を覆う中指部と、
前記中指部に隣接し、薬指を覆う薬指部と、
前記薬指部に隣接し、小指を覆う小指部と、を有し、
前記初期状態において、
前記人差し指部は、前記中指部と隣接する端部が、前記中指部の一部と重畳しており、
前記中指部は、前記薬指部と隣接する端部が、前記薬指部の一部と重畳しており、
前記薬指部は、前記小指と隣接する端部が、前記小指の一部と重畳しており、
前記手袋状態において、
前記人差し指部は、前記封鎖部側が、前記中指部と離間可能であり、
前記中指部は、前記封鎖部側が、前記薬指部と離間可能であり、
前記薬指部は、前記封鎖部側が、前記小指部と離間可能であることを特徴とするマスク。
【請求項2】
前記装着部は、前記初期状態では、前記本体に連結されており、前記手袋状態にする場合に、前記本体から分離することを可能とすることを特徴とする請求項1に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクに関し、特に、使用者の顔に装着する初期状態から、使用者の手に装着可能な手袋状態に変更可能なマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
ウィルスが蔓延した場合、マスクを着用することで、空気中に浮遊するウィルスに罹患してしまうことを防止できる。
ところが、ウィルスは、空気中のみならず、物に付着し生存している場合もあり、例えば、公共交通機関の手摺りや吊革等の不特定多数の人々が触る部分にウィルスが付着していた場合、このような部分に直接的に手で触れ、この手で顔等を触ってしまうと、ウィルスに罹患するおそれがある。
【0003】
このため、ウィルスに罹患してしまうことを防止するためには、外出時にマスクを着用するだけでなく、不特定多数の人々が触り、ウィルスが付着している可能性がある部分に、直接的に手で触れないように、手袋で手を覆うことが望ましい。
【0004】
例えば、特許文献1には、マスクとしても使用可能であり、使用者の手首部と甲部と覆う自己等防災用擬似手袋が提案されている。
このような自己等防災用擬似手袋によれば、必要に応じて、マスクとしても、手袋としても使用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6344875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の自己等防災用擬似手袋は、使用者の手首部と甲部と覆うものの、指先が露出してしまうため、ウィルスが付着している可能性がある部分を指先で触れてしまった場合、ここからウィルスに罹患してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、マスクとしても、手袋としても使用可能である利便性を得つつ、手袋として使用するときに、手を全体的に覆い、ウィルスが付着している可能性がある部分に直接的に手で触れてしまうのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマスクは、
使用者の顔に装着する初期状態から、使用者の手に装着可能な手袋状態に変更可能なマスクであって、
前記初期状態において、顔に当接される本体と、
前記本体の左右方向の両端に設けられ、前記本体を顔に当接させた状態を維持する装着部と、を備え、
前記本体は、
複数の布状体が重ねられており、
前記両端の一方において、複数の前記布状体が互いに連結されている封鎖部が形成され、
前記両端の他方において、複数の前記布状体を互いに離間させ、複数の前記布状体の間に、手を挿入可能な挿入部が形成され、
前記手袋状態において、前記挿入部から、使用者が手を挿入することで、当該手の掌から指先まで覆うことを可能であることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、使用者の顔に装着する初期状態から、使用者の手に装着可能な手袋状態に変更可能なマスクであって、本体と、装着部と、を備える。
本体は、初期状態において、顔に当接される。
装着部は、本体の左右方向の両端に設けられ、本体を顔に当接させた状態を維持する。
本体は、複数の布状体が重ねられており、封鎖部と、挿入部と、が形成されている。
封鎖部は、両端の一方において、複数の布状体が互いに連結されている。
挿入部は、両端の他方において、複数の布状体を互いに離間させ、複数の布状体の間に、手を挿入可能である。
そして、本体は、手袋状態において、挿入部から、使用者が手を挿入することで、当該手の掌から指先まで覆うことを可能である。
【0010】
このような構成によれば、使用者の顔に装着するマスクにおいて、顔に当接される本体を、複数の布状体を重ねて構成し、これらの複数の布状体を互いに離間させ、使用者が手を挿入することで、当該手の掌から指先まで覆う。
【0011】
これにより、マスクを、使用者の手を、手の掌から指先まで覆う手袋としても使用することが可能となる。
したがって、マスクとしても、手袋としても使用可能である利便性を得つつ、手袋として使用するときに、手を全体的に覆い、ウィルスが付着している可能性がある部分に直接的に手で触れてしまうのを防止することができる。
【0012】
また、本発明のマスクは、
前記本体は、
前記挿入部側に設けられ、前記手袋状態において、掌を覆う掌部と、
前記掌部に連なり、前記手袋状態において、指を覆う指部と、を備え、
前記指部は、少なくとも、
人差し指を覆う人差し指部と、
前記人差し指部に隣接し、中指を覆う中指部と、
前記中指部に隣接し、薬指を覆う薬指部と、
前記薬指部に隣接し、小指を覆う小指部と、を有し、
前記初期状態において、
前記人差し指部は、前記中指部と隣接する端部が、前記中指部の一部と重畳しており、
前記中指部は、前記薬指部と隣接する端部が、前記薬指部の一部と重畳しており、
前記薬指部は、前記小指と隣接する端部が、前記小指の一部と重畳しており、
前記手袋状態において、
前記人差し指部は、前記封鎖部側が、前記中指部と離間可能であり、
前記中指部は、前記封鎖部側が、前記薬指部と離間可能であり、
前記薬指部は、前記封鎖部側が、前記小指部と離間可能としてもよい。
【0013】
このような構成によれば、本体は、掌部と、指部と、を備える。
掌部は、挿入部側に設けられ、手袋状態において、掌を覆う。
指部は、掌部に連なり、手袋状態において、指を覆う。
指部は、少なくとも、人差し指部と、中指部と、薬指部と、小指部と、を有する。
人差し指部は、人差し指を覆う。
中指部は、人差し指部に隣接し、中指を覆う。
薬指部は、中指部に隣接し、薬指を覆う。
小指部は、薬指部に隣接し、小指を覆う。
そして、初期状態において、人差し指部は、中指部と隣接する端部が、中指部の一部と重畳しており、中指部は、薬指部と隣接する端部が、薬指部の一部と重畳しており、薬指部は、小指と隣接する端部が、小指の一部と重畳している。
また、手袋状態において、人差し指部は、封鎖部側が、中指部と離間可能であり、中指部は、封鎖部側が、薬指部と離間可能であり、薬指部は、封鎖部側が、小指部と離間可能である。
【0014】
このように、初期状態において、人差し指部、中指部、薬指部及び小指部が、互いに隣接する端部の一部と重畳するので、マスクとしての使用時において、隙間無く口を覆うことが可能となる。
そして、手袋状態において、人差し指部、中指部、薬指部及び小指部が、封鎖部側において、互いに離間可能なので、人差し指、中指、薬指及び小指をそれぞれ独立して動かすことが可能となり、手袋としての利便性が向上する。
【0015】
また、本発明のマスクは、
前記装着部は、前記初期状態では、前記本体に連結されており、前記手袋状態にする場合に、前記本体から分離することを可能としてもよい。
【0016】
このように、初期状態では、本体に連結されている装着部を、手袋状態にする場合に、本体から分離することで、手袋として使用したものを、再び、マスクとして使用してしまうことを防止できるので、衛生管理が容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マスクとしても、手袋としても使用可能である利便性を得つつ、手袋として使用するときに、手を全体的に覆い、ウィルスが付着している可能性がある部分に直接的に手で触れてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態におけるマスクの初期状態における裏面図である。
図2】本発明の一実施の形態における本体の展開図である。
図3】本発明の一実施の形態におけるマスクの模式的な断面図である。図3(a)は初期状態におけるマスクの模式的な断面図であり、図3(b)は手袋状態における図1に示すAA’の模式的な断面図であり、図3(c)は手袋状態における図1に示すBB’の模式的な断面図である。
図4】本発明の一実施の形態におけるマスクの手袋状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0020】
[マスクの構成]
本発明の一実施の形態におけるマスクの構成について説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施の形態におけるマスクの初期状態における裏面図である。
以下の説明において、マスク1の裏面は、マスク1を使用者の顔に装着する初期状態において、使用者の顔に当接する面である。また、マスク1の表面は、当該裏面の反対側の面である。
【0022】
マスク1は、使用者の顔に装着する初期状態(図1に示す状態)から、使用者の手に装着可能な手袋状態(後述する図4に示す状態)に変更可能である。
マスク1は、本体10と、装着部20と、を備える。
【0023】
図2は、本発明の一実施の形態における本体の展開図である。
マスク1は、図1に示す状態から、装着部20を取り除き、図1に示す状態では折り重ねられている部分を上下方向に延ばし、後述する折り畳んで収容されている親指部145を展開することで、図2に示す状態となる。
【0024】
本体10は、初期状態において、顔に当接される。本体10は、複数の布状体(例えば、不織布、綿等)が重ねられており、封鎖部11と、挿入部12と、が形成されている。
【0025】
封鎖部11は、本体10の上下方向と直交する方向の両端の一方(図1に示す例では左側)において、複数の布状体が互いに連結されている。封鎖部11は、具体的には、例えば、複数の布状体が互いに接着や縫合されている。また、封鎖部11は、例えば、1枚の布状体が折り返された部分であってもよい。
【0026】
挿入部12は、本体10の上下方向と直交する方向の両端の他方(図1に示す例では右側)において、複数の布状体を互いに離間させ、複数の布状体の間に、使用者が手を挿入可能である。
【0027】
本体10は、上端Tから下方に第1寸法(例えば、45~50mm)だけ延び、左右方向に延びる折れ線L1において、折り返される。
そして、本体10は、上方に第2寸法(例えば、3~10mm)だけ延び、左右方向に延びる折れ線L2において、折り返される。
そして、本体10は、下方に第3寸法(例えば、45~55mm)だけ延び、左右方向に延びる折れ線L3において、折り返される。
そして、本体10は、上方に第4寸法(例えば、3~10mm)だけ延び、左右方向に延びる折れ線L4において、折り返される。
そして、本体10は、下方に第5寸法(例えば、35~45mm)だけ延び、左右方向に延びる折れ線L5において、折り返される。
そして、本体10は、上方に第6寸法(例えば、3~10mm)だけ延び、左右方向に延びる折れ線L6において、折り返され、下方に第7寸法(例えば、35~40mm)だけ延び、下端Uに至る。
【0028】
本体10は、上端Tから折れ線L2までの間に形成される第1領域R1と、折れ線L2から折れ線L4までの間に形成される第2領域R2と、折れ線L4から折れ線L6までの間に形成される第3領域R3と、折れ線L6から下端Uまでの間に形成される第4領域R4と、を含む少なくとも4つの領域を有する。
【0029】
すなわち、本体10は、左右方向に延び、上下方向に、配列された複数(例えば、4つ)の領域を有する。また、本体10は、互いに隣接する領域が連なる部分には、複数の領域の一部が互いに重畳する重畳領域(図1に示す例では、折れ線L1と折れ線L2の間(斜線部分)、折れ線L3と折れ線L4の間(斜線部分)、折れ線L5と折れ線L6の間(斜線部分)、)が形成されている。このような構成により、本体10は、例えば、マスク1を初期状態において、マスクとして使用する場合、上下方向に引っ張ることで、重畳領域分、上下方向の外寸を大きくし、使用者の顔の大きさに合わせることが可能となる。なお、重畳領域は、省略してもよい。この場合、複数の領域は、重畳領域を介さず、直接的に、互いに隣接する領域に連なる。
【0030】
また、本体10は、左右方向に配列された掌部13と、指部14と、を備える。
掌部13は、左右方向において、本体10の中間部分から挿入部12まで設けられ、手袋状態(後述する図4に示す状態)において、複数の布状体の間に挿入された使用者の手の掌を覆う。
【0031】
掌部13は、上端T及び下端Uは、複数の布状体が互いに連結されている(図2に示すドット部分)。掌部13の上端T及び下端Uは、具体的には、例えば、複数の布状体が互いに接着や縫合されている。また、掌部13の上端T及び下端Uは、例えば、1枚の布状体が折り返されていてもよい。
また、掌部13の上端Tの挿入部12側には、後述する指部14の親指部145が挿通する挿通口131が形成されている。すなわち、掌部13の上端Tは、挿通口131以外の部分において、複数の布状体が互いに連結されている。
【0032】
また、掌部13には、挿通口131近傍において、本体10の外表面に、使用者が把持可能な把持部132を設けてもよい。使用者は、把持部132を摘まみ、引っ張ることで、挿通口131を開き、掌部13の内部に配置した親指部145を引き出すことが可能となる。
【0033】
指部14は、掌部13に連なり、掌部13の封鎖部11側の端部から封鎖部11まで設けられ、手袋状態(後述する図4に示す状態)において、複数の布状体の間に挿入された使用者の手の指を覆う。
指部14は、複数の布状体の間に挿入された使用者の手に対して、人差し指を覆う人差し指部141と、中指を覆う中指部142と、薬指を覆う薬指部143と、小指を覆う小指部144と、親指を覆う親指部145と、を有する。
【0034】
図1に示すように、指部14において、第1領域R1が人差し指部141であり、第2領域R2が中指部142であり、第3領域R3が薬指部143であり、第4領域R4が小指部144である。
【0035】
すなわち、初期状態において、人差し指部141は、中指部142と隣接する端部(折れ線L1と折れ線L2の間の重畳領域)が、中指部142の一部(上端T側端部)と重畳しており、中指部142は、薬指部143と隣接する端部(折れ線L3と折れ線L4の間の重畳領域)が、薬指部143の一部(上端T側端部)と重畳しており、薬指部143は、小指部144と隣接する端部(折れ線L5と折れ線L6の間の重畳領域)が、小指部144の一部(上端T側端部)と重畳している。
【0036】
また、本実施形態では、第1領域R1(人差し指部141)及び第2領域R2(中指部142)は、第3領域R3(薬指部143)及び第4領域R4(小指部144)より、上下方向の寸法が大きく形成されている。
【0037】
ここで、人が指を使った作業等をするとき、薬指や小指より、人差し指や中指を用いることが多い。本実施形態のように、第1領域R1(人差し指部141)及び第2領域R2(中指部142)を、第3領域R3(薬指部143)及び第4領域R4(小指部144)より大きい寸法で形成することで、マスク1を手袋状態(後述する図4に示す状態)で使用する場合、指を用いた作業性が向上する。
【0038】
なお、第1領域R1(人差し指部141)、第2領域R2(中指部142)、第3領域R3(薬指部143)及び第4領域R4(小指部144)は、任意の寸法としてもよく、例えば、全て同じ寸法としてもよいし、それぞれ異なる寸法としてもよい。
【0039】
また、手袋状態において、人差し指部141は、封鎖部11側が、中指部142と離間可能であり、中指部142は、封鎖部11側が、薬指部143と離間可能であり、薬指部143は、封鎖部11側が、小指部144と離間可能としてもよい。
【0040】
具体的には、指部14には、折れ線L2(人差し指部141と中指部142との境界線)上において、人差し指部141と中指部142とを分離可能とする分離部Dが形成されている。
また、指部14には、折れ線L4(中指部142と薬指部143との境界線)上において、中指部142と薬指部143とを分離可能とする分離部Dが形成されている。
また、指部14には、折れ線L6(薬指部143と小指部144との境界線)上において、薬指部143と小指部144とを分離可能とする分離部Dが形成されている。
【0041】
分離部Dは、例えば、使用者が分離する方向に引っ張ることで裂くことが可能な構成であれば、例えば、互いに分離する部分をまたぐ紙を配置したり、ミシン目を設けたり、簡易な接着等の任意の構成とすることができる。なお、指部14において、分離部Dを設けず、人差し指部141、中指部142、薬指部143及び小指部144を、予め、互いに分離しておいてもよい。
【0042】
また、指部14において、人差し指部141、中指部142、薬指部143及び小指部144の外周は、複数の布状体が互いに連結されている(図2に示すドット部分)。この外周は、具体的には、例えば、複数の布状体が互いに接着や縫合されている。また、この外周は、例えば、1枚の布状体が折り返されていてもよい。
【0043】
図3は、本発明の一実施の形態におけるマスクの模式的な断面図である。
図3(a)は初期状態におけるマスクの模式的な断面図であり、図3(b)は手袋状態における図1に示すAA’の模式的な断面図であり、図3(c)は手袋状態における図1に示すBB’の模式的な断面図である。
【0044】
本体10は、図3(a)に示すように、初期状態では複数の布状体が互いに密着した状態である。
また、本体10のうち指部14は、手袋状態において、図3(b)に示すように、分離部Dで分離された場合、人差し指部141、中指部142、薬指部143及び小指部144がそれぞれ分離した状態となり、それぞれ、複数の布状体の間に使用者の指が挿入可能な空間が形成される。
一方、本体10のうち掌部13は、手袋状態において、図3(c)に示すように、複数の布状体の間に、上端Tから下端Uまで一体的な空間が形成され、使用者の掌が配置可能となる。
【0045】
親指部145は、図2に示すように、略長方形形状(例えば、長辺65~85mm、短辺5.5~7.5mm)に形成され、掌部13の上端Tの挿入部12側に形成された挿通口131に設けられている。親指部145は、長辺が上端Tに対して、80°~90°の角度となるように、掌部13に、略長方形形状の基端側が取り付けられている(図2に示す格子部分)。親指部145は、他の指部と同様に、外周が、複数の布状体が互いに連結されている(図2に示すドット部分)。この外周は、具体的には、例えば、複数の布状体が互いに接着や縫合されている。また、この外周は、例えば、1枚の布状体が折り返されていてもよい。
【0046】
親指部145は、図1に示すように、初期状態では、第1領域R1において、複数の布状体の間に、折り畳まれて収容されている。そして、親指部145は、マスク1を手袋状態とするときに、挿通口131から、複数の布状体の間から引き出されることで、掌部13の上端Tから突出し、図2に示す状態となる。図2に示す親指部145の一点鎖線は、初期状態における折り線であり、親指部145は、上端T近傍及びこの折り線で折り畳まれることで、初期状態では、掌部13の第1領域R1に収容されている。
【0047】
図1に示すように、絞り部15は、掌部13の挿入部12近傍において、上端T近傍から下端U近傍まで延びる弾性体(例えば、ゴム等)である。絞り部15は、マスク1の初期状態から上下方向に本体10が広げられた場合、挿入部12の上下方向の寸法を、初期状態の寸法に戻す方向に付勢する。これにより、使用者が、マスク1に手を挿入した場合、挿入部12を絞ることが可能となるので、手袋状態のマスク1が、手からはずれることを防止することが可能となる。
【0048】
装着部20は、本体10の左右方向の両端に設けられ、本体10を顔に当接させた状態を維持する。装着部20は、縁部21と、引っ掛け部22と、を備える。
縁部21は、本体10に分離部Dを介して接続されている。
引っ掛け部22は、一端が縁部21の上端T近傍に取り付けられ、他端が縁部21の下端U近傍に取り付けられ、縁部21より長い寸法の弾性体(例えば、ゴム等)で形成され、初期状態において、使用者の耳に引っ掛けられる。
【0049】
装着部20は、マスク1を手袋状態として使用する場合、分離部Dにおいて、本体10から分離することが可能である。
【0050】
次に、マスク1の使用方法について説明する。
図4は、本発明の一実施の形態におけるマスクの手袋状態を説明する図である。
使用者は、図1に示す初期状態でマスク1をマスクとして使用し、その後、手袋として使用する場合、装着部20を、本体10から離す方向に引っ張り、分離部Dにおいて、本体10から分離する。
【0051】
そして、使用者は、本体10の把持部132を摘まみ、引っ張ることで、挿通口131を開き、掌部13の内部に配置された親指部145を引き出す。
【0052】
また、使用者は、指部14において、人差し指部141、中指部142、薬指部143及び小指部144を、それぞれ離間させる方向(上下方向に広げる方向)に引っ張ることで、分離部Dで、それぞれ分離させる。これにより、図4に示す手袋状態となる。このとき、指部14側は上下方向に広がっているが、掌部13側は挿入部12近傍に、絞り部15が配置されているので、挿入部12の上下方向の寸法が略初期状態の寸法に維持されている。
【0053】
そして、使用者が、この手袋状態において、挿入部12から、手を挿入することで、マスク1により、当該手を掌から指先まで覆うことが可能となる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 マスク
11 封鎖部
12 挿入部
13 掌部
14 指部
15 絞り部
20 装着部
21 縁部
22 引っ掛け部
131 挿通口
132 把持部
141 指部
142 中指部
143 薬指部
144 小指部
145 親指部
D 分離部
L1 折れ線
L2 折れ線
L3 折れ線
L4 折れ線
L5 折れ線
L6 折れ線
R1 第1領域
R2 第2領域
R3 第3領域
R4 第4領域
T 上端
U 下端

図1
図2
図3
図4