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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】スローアウェイ式スカラップカッッター
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/14 20060101AFI20240527BHJP
   B23C 3/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B23C5/14
B23C3/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023217723
(22)【出願日】2023-12-25
【審査請求日】2024-01-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322009022
【氏名又は名称】株式会社ホシノ
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】星野 博幸
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-123614(JP,U)
【文献】特開平10-138029(JP,A)
【文献】実開平03-071813(JP,U)
【文献】実開平02-139015(JP,U)
【文献】特開平10-296523(JP,A)
【文献】実開平04-070420(JP,U)
【文献】実開昭62-081512(JP,U)
【文献】実開平05-078419(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/12- 5/20
B23C 3/00- 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
H形鋼のウェブにスカラップを切削加工するための工具であって、中心取付穴を備えると共に前記スカラップの形状に対応する鏡餅形状のカッタボディの外面に、回転中心側から周縁に向かって複数個で一組の渦巻き状配列となる様に互いに離間させた切り屑ポケット群が形成されると共に、周縁には中心に向かって窪ませる様に切り欠き部が形成され、前記切り屑ポケットには、スローアウェイ式の三角チップが、それぞれ円弧状切れ刃の一部を対応する切り屑ポケット内に臨ませる様に取り付けられ、前記切り欠き部にはスローアウェイ式の丸駒チップが取り付けられると共に、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とするスローアウェイ式スカラップカッタ。
(1A)前記三角チップは、三つの円弧側面を有する「おにぎり形状」をなし、上下の円弧側面のそれぞれを切刃稜とする様に取り付けられていること。
(1B)前記三角チップは、それぞれ、対応する切り屑ポケットに対して、前記円弧状の切れ刃稜の中央を切削加工開始部とする様に取り付けられていること
2A)前記三角チップは、前記中心取付穴に近い第1の同心円と、前記カッタボディの周縁付近の第2の同心円と、前記第1,第2の同心円の間の同心円のぞれぞれにおいて周方向等間隔となる様に配置されていること。
(2B)前記一組の渦巻き状配列となる切り屑ポケットに臨ませた三角チップは前記丸駒チップと共同して前記カッタボディの湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置されていること
3)前記三角チップは、軸方向すくい角が所定のマイナス角度となり、半径方向すくい角が0°となる様に取り付けられ、前記丸駒チップは、軸方向すくい角及び半径方向すくい角が0°となる様に取り付けられていること。
【請求項2】
H形鋼のウェブにスカラップを切削加工するための工具であって、中心取付穴を備えると共に前記スカラップの形状に対応する鏡餅形状のカッタボディの外面に、回転中心側から周縁に向かって複数個で一組の渦巻き状配列となる様に互いに離間させた切り屑ポケット群が形成されると共に、周縁には中心に向かって窪ませる様に切り欠き部が形成され、前記切り屑ポケットには、スローアウェイ式の三角チップが、それぞれ円弧状切れ刃の一部を対応する切り屑ポケット内に臨ませる様に取り付けられ、前記切り欠き部にはスローアウェイ式の丸駒チップが取り付けられると共に、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とするスローアウェイ式スカラップカッタ。
(1A)前記三角チップは、三つの円弧側面を有する「おにぎり形状」をなし、上下の円弧側面のそれぞれを切刃稜とする様に取り付けられていること。
(1B)前記三角チップは、それぞれ、対応する切り屑ポケットに対して、前記円弧状の切れ刃稜の中央を切削加工開始部とする様に取り付けられていること。
(2A)前記三角チップは、前記中心取付穴に近い第1の同心円と、前記カッタボディの周縁付近の第2の同心円と、前記第1,第2の同心円の間の同心円のぞれぞれにおいて周方向等間隔となる様に配置されていること。
(2B)前記一組の渦巻き状配列となる切り屑ポケットに臨ませた三角チップは前記丸駒チップと共同して前記カッタボディの湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置されていること。
(4)前記三角チップが、側面全周にわたってV字状凹入部を備えていること。
【請求項3】
H形鋼のウェブにスカラップを切削加工するための工具であって、中心取付穴を備えると共に前記スカラップの形状に対応する鏡餅形状のカッタボディの外面に、回転中心側から周縁に向かって複数個で一組の渦巻き状配列となる様に互いに離間させた切り屑ポケット群が形成されると共に、周縁には中心に向かって窪ませる様に切り欠き部が形成され、前記切り屑ポケットには、スローアウェイ式の三角チップが、それぞれ円弧状切れ刃の一部を対応する切り屑ポケット内に臨ませる様に取り付けられ、前記切り欠き部にはスローアウェイ式の丸駒チップが取り付けられると共に、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とするスローアウェイ式スカラップカッタ。
(1A)前記三角チップは、三つの円弧側面を有する「おにぎり形状」をなし、上下の円弧側面のそれぞれを切刃稜とする様に取り付けられていること。
(1B)前記三角チップは、それぞれ、対応する切り屑ポケットに対して、前記円弧状の切れ刃稜の中央を切削加工開始部とする様に取り付けられていること。
(2A)前記三角チップは、前記中心取付穴に近い第1の同心円と、前記カッタボディの周縁付近の第2の同心円と、前記第1,第2の同心円の間の同心円のぞれぞれにおいて周方向等間隔となる様に配置されていること。
(2B)前記一組の渦巻き状配列となる切り屑ポケットに臨ませた三角チップは前記丸駒チップと共同して前記カッタボディの湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置されていること。
(3)前記三角チップは、軸方向すくい角が所定のマイナス角度となり、半径方向すくい角が0°となる様に取り付けられ、前記丸駒チップは、軸方向すくい角及び半径方向すくい角が0°となる様に取り付けられていること。
(4)前記三角チップが、側面全周にわたってV字状凹入部を備えていること
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スローアウェイチップを用いたスカラップカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄骨建築において梁となるH形鋼100には、図5(A)に示すように、追い込みカッター110で端部にL字状の切欠きを加工し、次いでスカラップカッター120でL字状の切欠きの一部をえぐるようにウエブ101の奥部に向けて円弧状の切欠きを加工し、最後に開先カッター130でフランジ102の先端に面取り加工を実行する。
【0003】
従来、図5(B)に示す様に、中心取付け穴を穿設した鏡餅形状のカッタボディ121の周面部分に、三つの円弧側面を有する三角チップ122a~122dおよび丸駒チップ123を、切り屑ポケット124a~124d,125に隣接したチップ座内でねじ止め固定したスローアウェイ式スカラップカッター120が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭63-20493号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたスローアウェイ式スカラップカッター120は、カッタボディ121の外面に、周縁から回転中心側に向かって渦巻き状配列となる様に互いに離間させて切り屑ポケット124a~124dを形成し、三角形の頂点が切り込み開始部CTPa~CTPdとなる様に、三角チップ122a~124dの一つの頂点を切り屑ポケット124a~124dに臨ませる様に取り付けている。スカラップ加工時には、最外縁側の三角チップ122d,122cのノーズR部(切削開始部CTPa~CTPd)から切削が開始され、図5(C)に示す様に、三角チップ122c,122dの切削開始部CTPc,CTPdで切削された切り屑SCRPは、矢印A,Bの方向に分断され排出される。このとき、図5(D)に示す様に、切り屑SCRPが切り屑ポケット124c,124d内で三角チップ122c,122dの間に挟み込まれる現象が発生し、その結果、チップの欠損やビビリ振動を発生させ、スカラップの加工精度が低下するという問題が懸念された。
【0006】
そこで、本発明は、切り屑が挟み込まれる事なく、チップの欠損防止や更には、切削時のビビリ振動を抑制して精度のよいスカラップ加工を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明のスローアウェイ式スカラップカッターは、H形鋼のウェブにスカラップを切削加工するための工具であって、中心取付穴を備えると共に前記スカラップの形状に対応する鏡餅形状のカッタボディの外面に、回転中心側から周縁に向かって複数個で一組の渦巻き状配列となる様に互いに離間させた切り屑ポケット群が形成されると共に、周縁には中心に向かって窪ませる様に切り欠き部が形成され、前記切り屑ポケットには、スローアウェイ式の三角チップが、それぞれ円弧状切れ刃の一部を対応する切り屑ポケット内に臨ませる様に取り付けられ、前記切り欠き部にはスローアウェイ式の丸駒チップが取り付けられると共に、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1A)前記三角チップは、三つの円弧側面を有する「おにぎり形状」をなし、上下の円弧側面のそれぞれを切刃稜とする様に取り付けられていること。
(1B)前記三角チップは、それぞれ、対応する切り屑ポケットに対して、前記円弧状の切れ刃稜の中央を切削加工開始部とする様に取り付けられていること。
【0008】
本発明のスローアウェイ式スカラップカッターによれば、スカラップ加工によって発生する切り屑自体が大きくなり、かつ、切削加工位置から均等に流れ、ボディに噛み込むことなく排出される。
【0009】
ここで、本発明のスローアウェイ式スカラップカッタは、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(2A)前記三角チップは、前記中心取付穴に近い第1の同心円と、前記カッタボディの周縁付近の第2の同心円と、前記第1,第2の同心円の間の同心円のぞれぞれにおいて周方向等間隔となる様に配置されていること。
(2B)前記一組の渦巻き状配列となる切り屑ポケットに臨ませた三角チップは前記丸駒チップと共同して前記カッタボディの湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置されていること。
【0010】
かかる構成をも備えることにより、最内周の三角チップ群、中間の三角チップ群、最外周の三角チップ群のピッチ間隔を広くすることができ、先にワークに切り込んだ三角チップから流出する切り屑の影響を受けることなく次の三角チップによる切削を実施することができる。そして、三角チップ同士のピッチ間隔を広くすることによって、同時切削数は常に1枚となり、切削抵抗を低減し、ビビリ抑制効果を有効に発揮することができる。加えて、カッタボディ3に備えさせるべき三角チップの配列数を削減する事が可能となり、全体個数を低減させ、コストダウンを実現する。
【0011】
これら本発明のスローアウェイ式スカラップカッタは、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(3)前記三角チップは、軸方向すくい角が所定のマイナス角度となり、半径方向すくい角が0°となる様に取り付けられ、前記丸駒チップは、軸方向すくい角及び半径方向すくい角が0°となる様に取り付けられていること。
【0012】
かかる構成を採用することにより、切削が安定し、より一層ビビリ振動の抑制効果が高まる。
【0013】
特に、本発明のスローアウェイ式スカラップカッタは、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(4)前記三角チップが、側面全周にわたってV字状凹入部を備えていること。
【0014】
かかる構成を採用することにより、より切れ味が向上し、切削抵抗削減の効果がある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、切り屑の噛み込みによるチップの欠損を防止し、更には、切削時のビビリ振動を抑制して精度のよいスカラップ加工を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1のスローアウェイ式スカラップカッターを示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D1)~(D4)はスローアウェイチップを示し、(D1)は斜視図、(D2)は正面図、(D3)は右側面図、(D4)は左側面図、(D5)は底面図である。
図2】実施例1のスローアウェイ式スカラップカッターを示し、(A)は正面図、(B)は側面投影図である。
図3】実施例2のスローアウェイ式スカラップカッターを示し、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D1)~(D4)はスローアウェイチップを示し、(D1)は斜視図、(D2)は正面図、(D3)は右側面図、(D4)は左側面図、(D5)は底面図である。
図4】実施例2のスローアウェイ式スカラップカッターを示し、(A)は正面図、(B)は側面投影図である。
図5】従来技術の問題点を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
実施例1のスローアウェイ式スカラップカッター1は、図1(A)~(C)に示す様に、中心取付穴2を穿設した鏡餅形状のカッタボディ3を有する。カッタボディ3の外面には、回転中心側から周縁に向かって3個で一組の渦巻き状配列となる様に互いに離間させた切り屑ポケット4a1~4c1,4a2~4c2,4a3~4c3,4a4~4c4が形成されると共に、周縁には中心に向かって窪ませる様に切り欠き部4d1~4d4が形成されている。
【0019】
渦巻き状配列の切り屑ポケット4a1~4c1,4a2~4c2,4a3~4c3,4a4~4c4には、スローアウェイ式の三角チップ30a1~30c1,30a2~30c2,30a3~30c3,30a4~30c4が、それぞれ一部を切り屑ポケット内に臨ませる様に取り付けられ、周縁の切り欠き部4d1~4d4にはスローアウェイ式の丸駒チップ40d1~40d4が取り付けられている。
【0020】
スローアウェイ式の三角チップについて、図1(D1)~(D5)に基づいて説明する。三角チップ30は、正面視において三つの円弧側面31~33を有する「おにぎり形状」をなし、側面全周にわたってV字状凹入部34を備えている。三角チップ30は、上下の円弧側面のそれぞれを切れ刃稜31a~33a,31b~33bとする様に取り付けることにより、一つのチップで6コーナーの切れ刃を使用することができるものとなっている。
【0021】
次に、図2に基づいて、三角チップ30a1~30c1,30a2~30c2,30a3~30c3,30a4~30c4と、切り屑ポケット4a1~4c1,4a2~4c2,4a3~4c3,4a4~4c4との関係について説明する。
【0022】
三角チップ30a1~30c1,30a2~30c2,30a3~30c3,30a4~30c4は、図2(A)に示す様に、切り屑ポケット4a1~4c1,4a2~4c2,4a3~4c3,4a4~4c4に対して、切れ刃稜の中央を切り込み開始部CTP30a1~CTP30c1,CTP30a2~CTP30c2,CTP30a3~CTP30c3,CTP30a4~CTP30c4とする様に取り付けられている。
【0023】
三角チップ30a1~30a4は中心取付穴2に近い位置の同心円上に周方向等間隔となる様に配置され、三角チップ30c1~30c4はカッタボディ3の周縁付近の同心円上に周方向等間隔となる様に配置され、三角チップ30b1~30b4は、中心取付穴2とカッタボディ3の周縁の中間付近の同心円上に周方向等間隔となる様に配置されている。
【0024】
また、図2(B)に示す様に、三角チップ30a1~30c1は丸駒チップ40d1と共同してカッタボディ3の湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置され、三角チップ30a3~30c3は丸駒チップ40d3と共同してカッタボディ3の湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置され、他の三角チップ30a2~30c2と丸駒チップ40d2、三角チップ30a4~30c4と丸駒チップ40d4も、それぞれ共同してカッタボディ3の湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置されている。
【0025】
三角チップ30a1~30c1,30a2~30c2,30a3~30c3,30a4~30c4は、軸方向すくい角=-5°~-20°,半径方向すくい角=0°、丸駒チップ40d1~40d4は、軸方向すくい角=0°,半径方向すくい角=0°となる様に取り付けられている。
【0026】
[作用・効果1]
実施例1のスローアウェイ式スカラップカッター1によれば、スカラップ加工によって発生する切り屑自体が大きくなり、かつ、切り込み位置CTP30a1等から均等に流れ、ボディに噛み込む事なく排出される。
【0027】
[作用・効果2]
また、ワークとの接触部分が長くなる結果、図2に示した様に三角チップを配列することができ、最内周の三角チップ30a1~30a4、中間の三角チップ30b1~30b4、最外周の三角チップ30c1~30c4のピッチ間隔を広くすることが可能となる。この結果、先にワークに切り込んだ三角チップから流出する切り屑の影響を受けることなく次の三角チップによる切削を実施することができる。
【0028】
[作用・効果3]
さらに、三角チップ同士のピッチ間隔を広くすることによって、同時切削数は常に1枚となり、切削抵抗を低減し、ビビリ抑制効果を有効に発揮することができる。
【0029】
[作用・効果4]
加えて、カッタボディ3に備えさせるべき三角チップの個数を低減することにもつながる。
【0030】
[作用・効果5]
すくい角を上述の様に構成することにより、切削が安定し、より一層ビビリ振動の抑制効果が高まる。
【実施例2】
【0031】
次に、実施例2のスローアウェイ式スカラップカッター5について説明する。実施例2のスローアウェイ式スカラップカッタ5は、実施例1のスローアウェイ式スカラップカッター1と基本的には同様であって、図3(A)~(C)に示す様に、中心取付穴6を穿設した鏡餅形状のカッタボディ7を有する。カッタボディ7の外面には、回転中心側から周縁に向かって3個で一組の渦巻き状配列となる様に互いに離間させた切り屑ポケット8a1~8c1,8a2~8c2,8a3~8c3,8a4~8c4が形成されると共に、周縁には中心に向かって窪ませる様に切り欠き部8d1~8d4が形成されている。
【0032】
渦巻き状配列の切り屑ポケット8a1~8c1,8a2~8c2,8a3~8c3,8a4~8c4には、スローアウェイ式の三角チップ50a1~50c1,50a2~50c2,50a3~50c3,50a4~50c4が、それぞれ一部を切り屑ポケット内に臨ませる様に取り付けられ、周縁の切り欠き部8d1~8d4にはスローアウェイ式の丸駒チップ60d1~60d4が取り付けられている。
【0033】
実施例2においては、図3(D1)~(D5)に示す様に、三角チップ50は、正面視において三つの円弧側面51~53を有する「おにぎり形状」をなし、上下の円弧側面のそれぞれを切れ刃稜51a~53a,51b~53bとする様に取り付けることにより、一つのチップで6コーナーの切れ刃を使用することができるものとなっている。実施例1との相違点は、側面が全周にわたって平坦面となっている点である。
【0034】
三角チップ50a1~50c1,50a2~50c2,50a3~50c3,50a4~50c4は、図4(A)に示す様に、切り屑ポケット8a1~8c1,8a2~8c2,8a3~8c3,8a4~8c4に対して、切れ刃稜の中央を切り込み開始部CTP50a1~CTP50c1,CTP50a2~CTP50c2,CTP50a3~CTP50c3,CTP50a4~CTP50c4とする様に取り付けられている。
【0035】
三角チップ50a1~50a4は中心取付穴6に近い位置の同心円上に周方向等間隔となる様に配置され、三角チップ50c1~50c4はカッタボディ7の周縁付近の同心円上に周方向等間隔となる様に配置され、三角チップ50b1~50b4は、中心取付穴6とカッタボディ7の周縁の中間付近の同心円上に周方向等間隔となる様に配置されている。
【0036】
また、図4(B)に示す様に、三角チップ50a1~50c1は丸駒チップ60d1と共同してカッタボディ7の湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置され、三角チップ50a3~50c3は丸駒チップ60d3と共同してカッタボディ7の湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置され、他の三角チップ50a2~50c2と丸駒チップ60d2、三角チップ50a4~50c4と丸駒チップ60d4も、それぞれ共同してカッタボディ3の湾曲外面に対応して隙間無く切削できる様に配置されている。
【0037】
三角チップ50a1~50c1,50a2~50c2,50a3~50c3,50a4~50c4は、軸方向すくい角=-5°~-20°,半径方向すくい角=0°、丸駒チップ60d1~60d4は、軸方向すくい角=0°,半径方向すくい角=0°となる様に取り付けられている。
【0038】
この様に、実施例2のスローアウェイ式スカラップカッタ5は、三角チップ50の側面が平坦面で構成される以外は、実施例1のスローアウェイ式スカラップカッタ1と同様に構成されている。従って、上述した「作用・効果1]~[作用・効果5]を全て発揮する。
【0039】
なお、実施例1のスローアウェイ式スカラップカッタ1は、三角チップ30の側面全周にわたってV字状凹入部34を備える結果、より切れ味が向上し、切削抵抗削減効果がある。
【0040】
以上、発明を実施するための二つの実施例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内における種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、カッター回転方向を逆方向とする場合は、上述した実施例における三角チップ30,50と切り屑ポケット4a1,8a1等の位置を左右逆転させた配置とすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は建築用H形鋼の端部に対するスカラップ加工に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
[実施例1]
1・・・スローアウェイ式スカラップカッター、2・・・中心取付穴、3・・・カッタボディ、4a1~4c1,4a2~4c2,4a3~4c3,4a4~4c4・・・切り屑ポケット、4d1~4d4・・・切り欠き部、30a1~30c1,30,30a2~30c2,30a3~30c3,30a4~30c4・・・三角チップ、31~33・・・円弧側面、31a~33a,31b~33b・・・切れ刃稜、34・・・V字状凹入部、40d1~40d4・・・丸駒チップ、CTP30a1~CTP30c1,CTP30a2~CTP30c2,CTP30a3~CTP30c3,CTP30a4~CTP30c4・・・切り込み開始部。
[実施例2]
5・・・スローアウェイ式スカラップカッター、6・・・中心取付穴、7・・・カッタボディ7、8a1~8c1,8a2~8c2,8a3~8c3,8a4~8c4・・・切り屑ポケット、8d1~8d4・・・切り欠き部、
50,50a1~50c1,50a2~50c2,50a3~50c3,50a4~50c4・・三角チップ、51~53・・・円弧側面、51a~53a,51b~53b・・・切れ刃稜、60d1~60d4・・・丸駒チップ、CTP50a1~CTP50c1,CTP50a2~CTP50c2,CTP50a3~CTP50c3,CTP50a4~CTP50c4・・・切り込み開始部。
【要約】
【課題】切り屑の噛み込みによるチップの欠損を防止し、更には、切削時のビビリ振動を抑制して精度のよいスカラップ加工を可能にする。
【解決手段】スローアウェイ式スカラップカッター1は、回転中心側から周縁に向かって3個で一組の渦巻き状配列となる様に互いに離間させた切り屑ポケット4a1~4c1,4a2~4c2,4a3~4c3,4a4~4c4を備え、各切り屑ポケット4a1~4c1等には、スローアウェイ式の三角チップ30a1~30c1等が、切れ刃稜の中央を切り込み開始部CTP30a1~CTP30c1,CTP30a2~CTP30c2,CTP30a3~CTP30c3,CTP30a4~CTP30c4とする様に取り付けられている。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5