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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】締付部材諦緩装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/16 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
B23B31/16 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020155004
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048925
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591033755
【氏名又は名称】エヌティーツール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰規
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-024209(JP,U)
【文献】特開平04-146010(JP,A)
【文献】特開2006-110668(JP,A)
【文献】特開平06-170621(JP,A)
【文献】特開平03-264232(JP,A)
【文献】実開平06-063208(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/06、16
B23Q 3/12
B25B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械の主軸に装着される工具ホルダ本体部の、前記主軸の延在方向に沿った先端側の外周に配置される環状の締付部材を締付けおよび緩める締付部材諦緩装置であって、
前記締付部材の外周面には、周方向に沿って複数の溝が形成され、前記溝は、周方向に沿って一方側および他方側に離間して配置されている第1壁および第2壁を有しているとともに、前記主軸の延在方向に沿って一方側および他方側に離間して配置されている第3壁および第4壁を有しており、
第1アーム部材と、第2アーム部材と、弾性部材と、を備え、
前記第1アーム部材は、前記第2アーム部材側に飛び出ている第1爪部を有し、
前記第2アーム部材は、前記第1アーム部材側に飛び出ている第2爪部を有し、
前記第1アーム部材の前記第1爪部と前記第2アーム部材の前記第2爪部は、前記締付部材を挟んで両側に配置可能であるとともに、前記弾性部材の弾性力によって、前記第1爪部と前記第2爪部の間の距離が短くなるように付勢されており、
前記第1爪部は、前記締付部材の外周面と対向する側に、当該外周面の周方向に沿って前記他方側から前記一方側に向かって、第1回転規制部、第1当接部および第1回転許容部を有し、
前記第1当接部は、当該第1当接部と前記締付部材の外周面とが当接した状態で前記締付部材が回転可能に構成され、
前記第1回転規制部は、前記締付部材の前記溝の前記第2壁と当接することによって、前記締付部材の、周方向に沿った前記一方側への回転が規制されるように構成され、
前記第1回転許容部は、前記第1回転規制部が前記溝の前記第2壁に当接した状態で、前記締付部材の外周面より外周側に延在し、締付部材の、周方向に沿った他方側への回転を許容するように構成され、
前記第2爪部は、前記締付部材の外周面と対向する側に、当該外周面の周方向に沿って前記一方側から前記他方側に向かって、第2回転規制部、第2当接部および第2回転許容部を有し、
前記第2当接部は、当該第2当接部と前記締付部材の外周面とが当接した状態で前記締付部材が回転可能に構成され、
前記第2回転規制部は、前記締付部材の前記溝の前記第1壁と当接することによって、前記締付部材の、周方向に沿った前記他方側への回転が規制されるように構成され、
前記第2回転許容部は、前記第2回転規制部が前記溝の前記第1壁に当接した状態で、前記締付部材の外周面より外周側に延在し、締付部材の、周方向に沿った一方側への回転を許容するように構成され、
前記第1回転許容部は、前記主軸の延在方向に沿って一方側および他方側のうちの少なくとも一方に、第1移動許容部を有し、
前記第1移動許容部は、前記第1アーム部材の、前記締付部材に対する、前記主軸の延在方向に沿った一方側および他方側のうちの前記少なくとも一方への移動を許容するように構成され、
前記第2回転許容部は、前記主軸の延在方向に沿って一方側および他方側のうちの前記少なくとも一方に、第2移動許容部を有し、
前記第2移動許容部は、前記第2アーム部材の、前記締付部材に対する、前記主軸の延在方向に沿った一方側および他方側のうちの前記少なくとも一方への移動を許容するように構成されている
ことを特徴とする締付部材諦緩装置。
【請求項2】
請求項1に記載の締付部材諦緩装置であって、
前記弾性部材は、前記第1爪部を、前記第2爪部に近づけるように付勢する弾性力を発生する第1弾性部材と、前記第2爪部を、前記第1爪部に近づけるように付勢する弾性力を発生する第2弾性部材を有していることを特徴とする締付部諦緩装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の締付部材諦緩装置であって、
前記第1アーム部材、前記第2アーム部材および前記弾性部材を支持する支持部材を備えていることを特徴とする締付部材諦緩装置。
【請求項4】
請求項に記載の締付部材諦緩装置であって、
前記第1アーム部材および前記第2アーム部材は、前記支持部材の、前記締付部材と対向する側の端部から飛び出ており、
前記支持部材は、前記締付部材と対向する側の端部に、前記締付部材の延在方向と交差する方向に沿って離間する位置に第3当接部と第4当接部が形成されており、
前記締付部材を挟んで両側に前記第1アーム部材の前記第1爪部と前記第2アーム部材の前記第2爪部が配置された状態において、前記締付部材の外周面が前記第3当接部および第4当接部に当接可能に構成されていることを特徴とする締付部材諦緩装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ホルダ本体部の先端側の外周に配置される締付部材を締付けおよび緩める締付部材諦緩装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工対象物を加工する際、工具を保持し、工作機械の主軸に装着される工具ホルダが用いられる。
工具ホルダは、工具ホルダ本体部と、締付部材(ナット)を備えている。工具ホルダ本体部は、先端側に、工具挿入空間を有しているとともに、後端側に、シャンク部を有している。工具ホルダ本体部のシャンク部は、工作機械の主軸に形成されているシャンク部挿入空間内に挿入される。工具ホルダ本体部の工具挿入空間内には、工具の工具シャンク部が挿入される。
締付部材は、環状に形成され、工具ホルダ本体部の先端側の外周に配置可能である。
工具の工具シャンク部を工具ホルダ本体部の工具挿入空間内に挿入した状態で、締付部材を締付ける(締付け方向に回転させる)と、締付部材が後端側に移動し、工具挿入空間を形成する内周面によって、工具の工具シャンク部を形成する外周面が挟持される。一方、締付部材を緩める(緩め方向に回転させる)と、締付部材が先端側に移動し、工具挿入空間を形成する内周面による、工具の工具シャンク部を形成する外周面の挟持が解除される。
このような工具ホルダでは、工具ホルダ(工具ホルダ本体部)によって工具を保持する際および工具ホルダ(工具ホルダ本体部)による工具の保持を解除する際に、締付部材を締付ける作業および緩める作業(諦緩作業)が必要である。
従来、締付部材の諦緩作業を自動化して作業員の負担を軽減した締付部材諦緩装置が、例えば、特許文献1(実用新案登録第2585273号)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第2585273号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている締付部材諦緩装置は、締付部材の諦緩作業を自動化しているが、自動化率が十分でない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、締付部材の諦緩作業の自動化率を高めた締付部材諦緩装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、工作機械の主軸に装着される工具ホルダ本体部の先端側の外周に配置される環状の締付部材を締付けおよび緩める際に用いられる。主軸の延在方向(主軸に装着された工具ホルダの工具ホルダ本体部の延在方向)は、鉛直方向や水平方向を含む種々の方向に設定可能である。また、主軸に対する工具ホルダ本体部の装着位置は、主軸の延在方向に沿った一方側および他方側のいずれであってもよい。締付部材は、ネジ結合を含む種々の結合構造により工具ホルダ本体部の先端側の外周面に結合可能である。
締付部材の外周面には、周方向に沿って複数の溝が形成されている。溝は、周方向に沿って一方側および他方側に離間して配置されている第1壁および第2壁を有しているとともに、主軸の延在方向に沿って一方側および他方側に離間して配置されている第3壁および第4壁を有している
本発明の締付部材諦緩装置は、第1アーム部材、第2アーム部材、弾性部材を備えている。
第1アーム部材は、第2アーム部材側に飛び出ている第1爪部を有し、第2アーム部材は、第1アーム部材側に飛び出ている第2爪部を有している。第1アーム部材の第1爪部と第2アーム部材の第2爪部は、締付部材を挟んで両側に配置可能であるとともに、弾性部材の弾性力によって、第1爪部と第2爪部の間の距離が短くなるように付勢されている。典型的には、第1アーム部材(第2アーム部材)は、第1支軸(第2支軸)を中心に回転可能に配置され、第1支軸(第2支軸)より一方側(先端側)に第1爪部(第2爪部)が設けられ、第1支軸(第2支軸)より他方側(後端側)が弾性部材により付勢される。
第1爪部は、締付部材の外周面と対向する側に、締付部材の外周面の周方向に沿って他方側から一方側に向かって、第1回転規制部、第1当接部および第1回転許容部を有している。典型的には、第1回転規制部および第1回転許容部は、第1当接部の両側に連設される。第1当接部は、第1当接部と締付部材の外周面とが当接した状態で締付部材が回転可能に構成されている。第1回転規制部は、締付部材の溝の第2壁と当接可能であり、第2壁と当接することによって、締付部材の、周方向に沿った一方側への回転が規制されるように構成されている。第1回転許容部は、第1回転規制部が溝の第2壁に当接した状態で、締付部材の外周面より外周側に延在し、締付部材の、周方向に沿った他方側への回転を許容するように構成されている。好適には、第1回転許容部は、第1回転規制部が溝の第2壁に当接した状態で、締付部材の外周面と第1壁との接続部より外周側に延在するように構成される。
第2爪部は、締付部材の外周面と対向する側に、締付部材の外周面の周方向に沿って一方側から他方側に向かって、第2回転規制部、第2当接部および第2回転許容部を有している。典型的には、第2回転規制部および第2回転許容部は、第2当接部の両側に連設される。第2当接部は、第2当接部と締付部材の外周面とが当接した状態で締付部材が回転可能に構成されている。第2回転規制部は、締付部材の溝の第1壁と当接可能であり、第1壁と当接することによって、締付部材の、周方向に沿った他方側への回転が規制されるように構成されている。第2回転許容部は、第2回転規制部が溝の第1壁に当接した状態で、締付部材の外周面より外周側に延在し、締付部材の、周方向に沿った一方側への回転を許容するように構成されている。好適には、第2回転許容部は、第2回転規制部が溝の第1壁に当接した状態で、締付部材の外周面と第2壁との接続部より外周側に延在するように構成される。
好適には、第1回転許容部は、第1当接部から延在する平面あるいは曲面に形成され、第2回転許容部は、第2当接部から延在する平面あるいは曲面に形成される。
また、第1爪部の第1回転許容部は、第1回転規制部が溝の第2壁に当接した状態で、締付部材の外周面より外周側に延在するように構成されている。好適には、第1回転許容部は、第1回転規制部が溝の第2壁に当接した状態で、締付部材の外周面と第1壁との接続部より外周側に延在するように構成される。また、第2爪部の第2回転許容部は、第2回転規制部が溝の第1壁に当接した状態で、締付部材の外周面より外周側に延在するように構成されている。好適には、第2回転許容部は、第2回転規制部が溝の第1壁に当接した状態で、締付部材の外周面と第2壁との接続部より外周側に延在するように構成される。
好適には、第1回転許容部は、第1当接部から延在する平面あるいは曲面に形成され、第2回転許容部は、第2当接部から延在する平面あるいは曲面に形成される。
また、第1回転許容部は、主軸の延在方向に沿って一方側および他方側のうちの少なくとも一方に、第1移動許容部を有している。第1移動許容部は、第1アーム部材の、締付部材に対する、主軸の延在方向に沿って一方側および他方側のうちの少なくとも一方側への移動を許容するように構成されている。
また、第2アーム部材の第2爪部の第2回転許容部は、主軸の延在方向に沿って一方側および他方側のうちの少なくとも一方に、第2移動許容部を有している。第2移動許容部は、第2アーム部材の、締付部材に対する、主軸の延在方向に沿って一方側および他方側のうちの少なくとも一方側への移動を許容するように構成されている。
第1爪部と第2爪部を、締付部材の両側に、第1爪部の第1当接部および第2爪部の第2当接部が締付部材の外周面に当接するように配置した状態で、工具ホルダ本体部(主軸)を周方向に沿って一方側(締付部材を締付ける方向)に回転させると、第1爪部の第1回転規制部が溝の第2壁に当接した位置で、締付部材の、周方向に沿った一方側への回転が規制され、締付部材が締付けられる。一方、工具ホルダ本体部を周方向に沿って他方側(締付部材を緩める方向)に回転させると、第2爪部の第2回転規制部が溝の第1壁に当接した位置で、締付部材の、周方向に沿った他方側への回転が規制され、締付部材が緩められる。
また、締付部材を、第1回転規制部により周方向に沿って一方側への回転が規制されている状態から、溝の第1壁により規制されることなく、容易に、周方向に沿って他方側に回転させることができる。また、締付部材を、第2回転規制部により周方向に沿って他方側への回転が規制されている状態から、溝の第2壁により規制されることなく、容易に、周方向に沿って一方側に回転させることができる。
また、第1アーム部材および第2アーム部材を、締付部材に対して、溝の第3壁および第4壁に規制されることなく、容易に、主軸の延在方向に沿って一方側および他方側のうちの少なくとも一方側に移動させることができる。
本発明では、締付部材の諦緩作業の自動化率を高めることができ、作業員の負担を軽減することができる。
本発明の異なる形態では、弾性部材は、第1爪部を、第2爪部に近づけるように付勢する弾性力を発生する第1弾性部材と、第2爪部を、第1爪部に近づけるように付勢する弾性力を発生する第2弾性部材を有している。
本形態では、第1爪部および第2爪部を効果的に付勢することができる。
本発明の異なる形態では、第1アーム部材、第2アーム部材および弾性部材を支持する支持部材を備えている。
本形態では、支持部材を移動させることによって、容易に、締付部材を挟んで両側に第1突部と第2突部を配置することができる。
本発明の異なる形態では、第1アーム部材および第2アーム部材は、支持部材の、締付部材と対向する側の端部から飛び出ている。また、支持部材は、締付部材と対向する側の端部に、締付部材の延在方向と交差する方向に沿って離間する位置に第3当接部と第4当接部が形成されている。締付部材の延在方向は、主軸の延在方向に対応する。
そして、締付部材を挟んで両側に第1アーム部材の第1爪部と第2アーム部材の第2爪部が配置された状態において、締付部材の外周面が第3当接部および第4当接部に当接するように構成されている。
本形態では、締付部材を挟んで両側に、第1アーム部材の第1爪部および第2アーム部材の第2爪部を安定して配置することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、締付部材の諦緩動作の自動化率を高めることができ、作業員の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】加工装置と本発明の締付部材諦緩装置の一実施形態を側方から見た図である。
図2】本発明の締付部材諦緩装置の一実施形態を、図1の矢印II方向から見た図である。
図3】本発明の締付部材諦緩装置の一実施形態を、作業位置に配置した状態を示す図である。
図4】本発明の締付部材諦緩装置の一実施形態を用いて締付部材を締付ける動作を説明する図である。
図5図4に矢印Vで示されている部分の拡大図である。
図6図4のVI-VI線矢視図である。
図7】本発明の締付部材諦緩装置の一実施形態を用いて締付部材を緩める動作を説明する図である。
図8図7に矢印VIIIで示されている部分の拡大図である。
図9図7のIX-IX線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
先ず、加工対象物を加工する加工装置の一例を、図1を参照して説明する。なお、以下で説明する加工装置では、締付部材230は、工具ホルダ本体部210の先端側の外周面にネジ結合可能に構成されている。
図1に示されている加工装置は、工作機械100、工具ホルダ200、工具300を有している。図1に示されている加工装置は、鉛直方向(z軸方向)に沿って配置されている。
なお、図1において、工作機械100の主軸110の主軸回転中心線Pの延在方向に沿って、工具300側を「先端側」といい、主軸110側を「後端側」という。また、主軸110の主軸回転中心線Pの延在方向を「主軸の延在方向」あるいは「軸方向」という。
【0009】
工作機械100は、主軸回転中心線Pを中心に回転可能な主軸110を有している。主軸110は、工具ホルダ本体部210のシャンク部220が挿入されるシャンク部挿入空間を有している。
工具ホルダ200は、工具ホルダ本体部210と締付部材(ナット)230を有している。
工具ホルダ本体部210は、後端側に、シャンク部220を有し、先端側に、工具300の工具シャンク部が挿入される工具挿入空間(図示省略)を有している。また、工具ホルダ本体部210の先端側の外周面には、締付部材230の内周面に形成されている雌ネジとネジ結合可能な雄ネジが形成されている。
締付部材230は、環状に形成されている。締付部材230の内周面には、工具ホルダ本体部210の先端側の外周面に形成されている雄ネジとネジ結合可能な雌ネジが形成されている。
工具300は、後端側(工具シャンク部挿入空間に挿入される側)に工具シャンク部を有している。
【0010】
工具ホルダ200は、工作機械100の主軸110に装着される。図1に示されている加工装置では、工具ホルダ本体部210のシャンク部220が、主軸110のシャンク部挿入空間内に挿入された状態で保持される。
工具300は、工具ホルダ200により保持される。図1に示されている加工装置では、工具シャンク部の外周面と工具挿入空間を形成する内周面は、テーパー嵌合可能なテーパー面に形成されている。そして、工具300の工具シャンク部が工具ホルダ本体部210の工具挿入空間内に挿入された状態で、締付部材230を締付ける。これにより、工具シャンク部の外周面と工具挿入空間を形成する内周面がテーパー嵌合し、工具300が工具ホルダ200に保持される。
なお、図1に示されている加工装置では、締付部材230を、工具ホルダ本体部210に対して、主軸回転中心線P回りに矢印R方向(時計回り)に回転させることによって、締付部材230が工具ホルダ本体部210に締付けられる。また、締付部材230を、工具ホルダ本体部210に対して、主軸回転中心線P回りに矢印F方向(反時計回り)に回転させることによって、工具ホルダ本体部210に締付けられている締付部材230が緩められる。
【0011】
次に、本発明の締付部材諦緩装置の一実施形態を、図1図2を参照して説明する。図1は、締付部材諦緩装置400を側方から見た図であり、図2は、締付部材諦緩装置400を、図1に矢印IIで示されている方向から見た図である。
本実施形態の締付部材諦緩装置400は、支持部材410、支持部材410により支持されている第1アーム部材420、第2アーム部材440、弾性部材460および470等を有している。
【0012】
なお、締付部材230の外周面231には、周方向に沿って複数の溝240が形成されている。
溝240は、底壁241a、側壁241b、241c、上壁241d、下壁241eにより形成されている(図5図6参照)。底壁241aは、溝240の底部に配置され、軸方向(主軸回転中心線Pの延在方向)および周方向に沿って延在している。側壁241bは、底壁241aの、周方向に沿って一方側(F方向)の端部から、軸方向および径方向に沿って延在している。側壁241cは、底壁241aの、周方向に沿って他方側(R方向)の端部から、軸方向および径方向に沿って延在している。上壁241dは、底壁241aの、軸方向に沿って一方側(上方)の端部から、径方向および周方向に沿って延在している。下壁241eは、底壁241aの、軸方向に沿って他方側(下方)の端部から、径方向および周方向に沿って延在している。
側壁241bが、本発明の「周方向に沿って一方側に配置されている第1壁」に対応し、側壁241cが、本発明の「周方向に沿って他方側に配置されている第2壁」に対応し、上壁241dが、本発明の「主軸の延在方向に沿って一方側に配置されている第3壁」に対応し、下壁241eが、本発明の「主軸の延在方向に沿って他方側に配置されている第4壁」に対応する。
【0013】
支持部材410は、板状に形成され、上面410Aと下面410Bを有している。支持部材410は、上面410Aが、主軸の延在方向(z軸)に沿って一方側(上方)となるように配置される。また、支持部材410は、中心線Qの延在方向が、主軸の延在方向(z軸)と直交する(「略直交する」を含む)方向に延在するように配置される。
中心線Qの延在方向が、本発明の「支持部材の延在方向」に対応する。また、上面410Aが、「主軸の延在方向に沿って一方側に配置されている第1面」に対応し、下面410Bが、本発明の「主軸の延在方向に沿って他方側に配置されている第2面」に対応する。
【0014】
支持部材410は、締付部材230と対向する側の端部411側に凹部412を有している。凹部412は、底部411a、側部411b、411c、当接部411d、411eにより形成されている。
側部411bは、底部411aの、中心線Qの延在方向と交差する方向に沿って一方側に接続されている。当接部411dは、側部411bの、中心線Qの延在方向と交差する方向に沿って一方側に接続されている。
側部411cは底部411aの、中心線Qの延在方向と交差する方向に沿って他方側に接続されている。当接部411eは、側部411cの、中心線Qの延在方向と交差する方向に沿って他方側に接続されている。
すなわち、当接部411dおよび411eは、中心線Qの延在方向と交差する方向に沿って離間する位置に形成されている。
【0015】
第1アーム部材420は、板状に形成され、上面420Aと下面420Bを有している。第1アーム部材420は、支軸430を中心に回転可能に支持されている。また、第2アーム部材440は、板状に形成され、上面440Aと下面440Bを有している。第2アーム部材440は、支軸450を中心に回転可能に支持されている。支軸430と支軸450は、中心線Qの延在方向と直交する方向に離間して配置されている。
第1アーム部材420と第2アーム部材440は、支持部材410の、締付部材230と対向する側の端部411から飛び出るように配置されている。
第1アーム部材420は、支持部材410から飛び出ている部分(支軸430より、中心線Qの延在方向に沿って一方側)の、第2アーム部材440と対向する側に、内側空間形成部421a、回転規制部421b、当接部421c、回転許容部421dを有している。回転規制部421b、当接部421cおよび回転許容部421dによって、第2アーム部材440側に飛び出ている爪部422が形成されている。
第2アーム部材440は、支持部材410から飛び出ている部分(支軸450より、中心線Qの延在方向に沿って一方側)の、第1アーム部材420と対向する側に、内側空間形成部441a、回転規制部441b、当接部441c、回転許容部441dを有している。回転規制部441b、当接部441cおよび回転許容部41dによって、第1アーム部材420側に飛び出ている爪部442が形成されている。
第1アーム部材420の内側空間形成部421aと第2アーム部材440の内側空間形成部441aによって、締付部材230を配置可能な内側空間401が形成される。また、爪部422の回転許容部421dと爪部442の回転許容部441dによって、内側空間401の開口部401aが形成される。締付部材230は、開口部401aを介して内側空間401内に配置される。
第1アーム部材420は、弾性部材460の弾性力によって、爪部422が第2アーム部材440の爪部442に近づくように付勢されている。
第2アーム部材440は、弾性部材470の弾性力によって、爪部442が第1アーム部材420の爪部422に近づくように付勢されている。
以上により、締付部材230を挟んで両側に第1アーム部材420の爪部422と第2アーム部材440の爪部442が配置されるように構成されている。
なお、第1アーム部材420の、爪部422が第2アーム部材440の爪部442に近づく方向への回転を規制する回転規制部材480が設けられている。また、第2アーム部材440の、爪部442が第1アーム部材420の爪部422に近づく方向への回転を規制する回転規制部材490が設けられている。
弾性部材460、470としては、スプリングが用いられている。弾性部材460、470としては、公知の種々の弾性部材を用いることができる。
【0016】
第1アーム部材420が、本発明の「第1アーム部材」に対応し、支軸430が、本発明の「第1支軸」に対応し、弾性部材460が、本発明の「第1弾性部材」に対応し、回転規制部材480が、本発明の「第1回転規制部材」に対応し、第2アーム部材440が、本発明の「第2アーム部材」に対応し、支軸450が、本発明の「第2支軸」に対応し、弾性部材470が、本発明の「第2弾性部材」に対応し、回転規制部材490が、本発明の「第2回転規制部材」に対応する。
また、爪部422が、本発明の「第1爪部」に対応し、内側空間形成部421aが、本発明の「第1内側空間形成部」に対応し、回転規制部421bが、本発明の「第1回転規制部」に対応し、当接部421cが、本発明の「第1当接部」に対応し、回転許容部421dが、本発明の「第1回転許容部」に対応し、爪部442が、本発明の「第2爪部」に対応し、内側空間形成部441aが、本発明の「第2内側空間形成部」に対応し、回転規制部441bが、本発明の「第2回転規制部」に対応し、当接部441cが、本発明の「第2当接部」に対応し、回転許容部441dが、本発明の「第2回転許容部」に対応する。
また、支持部材410の当接部411dが、本発明の「第3当接部」に対応し、当接部411eが、本発明の「第4当接部」に対応する。
【0017】
第1アーム部材420の爪部422の回転規制部421b、当接部421c、回転許容部421dは、内側空間401内に締付部材230が配置された状態において、締付部材230の外周面231の周方向に沿って他方側(R方向)から一方側(F方向)に向かって配置されるように形成されている。
当接部421cは、当接部421cと締付部材230の外周面231が当接した状態で、締付部材230が回転可能に形成されている。
回転規制部421bは、溝240の側壁241c(周方向に沿って他方側の側壁)と当接可能であり、回転規制部421bと側壁241cが当接することによって、締付部材230の周方向に沿って一方側(F方向)への回転が規制されるように形成されている。締付部材230の周方向に沿って一方側(F方向)への回転が規制された状態で、工具ホルダ本体部210が周方向に沿って一方側(F方向)に回転すると、締付部材230が工具ホルダ本体部210の先端側の外周に締付けられる。
回転許容部421dは、締付部材230の回転を許容するように形成されている。例えば、回転許容部421dは、回転規制部421bが溝240の側壁241c(周方向に沿って他方側の側壁)と当接した状態において、締付部材230の外周面231より外周側に延在するように形成される。本実施形態では、図5に示されているように、締付部材230の外周面231と溝240の側壁241b(周方向に沿って一方側の側壁)との接続部より外周側に延在する平面あるいは曲面に形成されている。これにより、締付部材230は、回転規制部421bが溝240の側壁241cと当接して周方向に沿って一方側(F方向)への回転が規制された状態から、溝240の側壁241bによって規制されることなく、容易に周方向に沿って他方側(R方向)に回転することができる。
【0018】
第2アーム部材440の爪部442の回転規制部441b、当接部441c、回転許容部441dは、内側空間401内に締付部材230が配置された状態において、締付部材230の外周面231の周方向に沿って一方側(F方向)から他方側(R方向)に向かって配置されるように形成されている。
当接部441cは、当接部441cと締付部材230の外周面231が当接した状態で、締付部材230が回転可能に形成されている。
回転規制部441bは、溝240の側壁241b(周方向に沿って一方側の側壁)と当接可能であり、回転規制部441bと側壁241bが当接することによって、締付部材230の周方向に沿って他方側(R方向)への回転が規制されるように形成されている。締付部材230の周方向に沿って他方側(R方向)への回転が規制された状態で、工具ホルダ本体部210が周方向に沿って他方側(R方向)に回転すると、工具ホルダ本体部210の先端側の外周に締付けられている締付部材230が緩められる。
回転許容部441dは、締付部材230の回転を許容するように形成されている。例えば、回転許容部441dは、回転規制部441bが溝240の側壁241b(周方向に沿って一方側の側壁)と当接した状態において、締付部材230の外周面231より外周側に延在するように形成される。本実施形態では、図8に示されているように、締付部材230の外周面231と溝240の側壁241c(周方向に沿って他方側の側壁)との接続部より外周側に延在する平面あるいは曲面に形成されている。これにより、締付部材230は、回転規制部441bが溝240の側壁241bと当接して周方向に沿って他方側(R方向)への回転が規制された状態から、溝240の側壁241cによって規制されることなく、容易に周方向に沿って一方側(F方向)に回転することができる。
【0019】
また、本実施形態では、第1アーム部材420の爪部422の回転許容部421dは、主軸110の延在方向に沿って一方側(上方)に移動許容部421d1を有している。
移動許容部421d1は、第1アーム部材420の、主軸110の延在方向に沿った移動を許容するように形成されている。例えば、移動許容部421d1は、第1アーム部材420の当接部421cが溝240内に挿入されている状態において、締付部材230の外周面231より外周側に延在するように形成される。本実施形態では、図6に示されているように、締付部材230の外周面231と溝240の、主軸110の延在方向に沿って一方側の上壁241dとの接続部より外周側に延在する平面あるいは曲面に形成されている。これにより、第1アーム部材420を、溝240の上壁241dによって規制されることなく、容易に主軸110の延在向に沿って一方側(上方)に移動させることができる。
【0020】
また、本実施形態では、第2アーム部材440の爪部442の回転許容部441dは、主軸110の延在方向に沿って一方側(上方)に、移動許容部441d1を有している。
移動許容部441d1は、第2アーム部材440の、主軸110の延在方向に沿った移動を許容するように形成されている。例えば、移動許容部441d1は、第2アーム部材440の当接部441cが溝240内に挿入されている状態において、締付部材230の外周面231より外周側に延在するように形成される。本実施形態では、図9に示されているように、締付部材230の外周面231と溝240の、主軸110の延在方向に沿って一方側の上壁241dとの接続部より外周側に延在する平面あるいは曲面に形成されている。これにより、第2アーム部材440を、溝240の上壁241dによって規制されることなく、容易に主軸110の延在向に沿って一方側(上方)に移動させることができる。
【0021】
移動許容部421d1は、爪部422の回転許容部421dの、主軸110の延在方向に沿って一方側(上方)および他方側(下方)の少なくとも一方に設けることができる。
また、移動許容部441d1は、爪部442の回転許容部441dの、主軸110の延在方向に沿って一方側(上方)および他方側(下方)の少なくとも一方に設けることができる。
移動許容部421d1が、本発明の「第1移動許容部」に対応し、移動許容部441d1が、本発明の「第2移動許容部」に対応する。
【0022】
次に、本実施形態の締付部材諦緩装置400の動作を説明する。
締付部材230の締付け作業および緩め作業を行わない場合には、締付部材諦緩装置400は、図1に示されている位置(a)(待機位置)に配置されている。なお、待機位置としては、適宜の位置を設定することができる。
【0023】
工具300の工具シャンク部が工具ホルダ本体部210の工具挿入空間内に挿入された状態で、締付部材230を締付ける場合は、締付部材諦緩装置400を、図1に示されている位置(a)から、中心線Qの延在方向に沿って締付部材230側に移動させる。
この時、第1アーム部材420の爪部422の回転許容部421dおよび第2アーム部材440の爪部442の回転許容部441dが締付部材230の外周面231に当接すると、第1アーム部材420および第2アーム部材440は、弾性部材460および470の弾性力に抗して、爪部422と442の間の距離が大きくなるように、支軸430および450を中心に回転する。
締付部材諦緩装置400を締付部材230側に移動することにともなって、爪部422と爪部442との間の距離がさらに大きくなり、爪部422の当接部421cおよび爪部442の当接部441cが締付部材230の外周面231に当接する。
締付部材320の外周面231が支持部材410の当接部411dおよび411eに当接するまで、締付部材諦緩装置400を、中心線Qの延在方向に沿って締付部材230側に移動させる。この時、締付部材諦緩装置400は、第1に(b)で示されている位置に配置される。
これにより、締付部材230を挟んで両側に第1アーム部材420の爪部422および第2アーム部材440の爪部442が配置される。
【0024】
次に、締付部材諦緩装置400を、主軸110の延在方向に沿って他方側(下方)に移動させ、図1に示されている位置(c)に移動させる。
図1に示されている位置(c)は、主軸110の延在方向に沿った、溝240に対応する位置である。
図3に、締付部材230を挟んで両側に爪部422および爪部424が配置されているとともに、締付部材230の外周面231が支持部材410の当接部411dおよび411eに当接している状態が示されている。
【0025】
次に、図3に示されている状態で、工具ホルダ本体部210(主軸110)を、周方向に沿って一方側(F方向)に回転させる。この時、締付部材230は、第1アーム部材420の爪部422の当接部421cおよび第2アーム部材440の爪部442の当接部441cが締付部材230の外周面231と当接した状態で、工具ホルダ本体部210とともに、周方向に沿って一方側(F方向)に回転する。
この状態で、締付部材230が、爪部422の当接部421cが、溝240が形成されている位置まで回転すると、弾性部材460の弾性力によって爪部422の当接部421cが溝240内に挿入される。
そして、爪部422の回転規制部421bが、溝240の、周方向に沿って他方側(R方向)の側壁241cに当接すると、締付部材230の、周方向に沿って一方側(F方向)への回転が規制される。
締付部材230の、周方向に沿って一方側(F方向)への回転が規制された状態で、工具ホルダ本体部210(主軸110)を、周方向に沿って一方側(F方向)にさらに回転させると、締付部材230が、工具ホルダ本体部210の先端側の外周に締付けられる。
締付部材230の締付けが完了すると、工具ホルダ本体部210(主軸110)の周方向に沿って一方側(F方向)への回転を停止させる。締付け作業が完了したことは、例えば、締付けトルクが第1設定値を超えたことにより判別することができる。
【0026】
締付部材230の締付け作業が完了すると、締付部材諦緩装置400を、図1に(a)で示されている位置に移動させる。
例えば、工具ホルダ本体部210(主軸110)を、周方向に沿って他方側(R方向)に回転させる。これにより、締付部材230は、工具ホルダ本体部210とともに、周方向に沿って他方側(R方向)に回転する。そして、爪部422の当接部421cが溝240から抜け出た状態で、工具ホルダ本体部210(主軸110)の、周方向に沿って他方側(R方向)への回転を停止させる。なお、爪部422の回転許容部421dにより、締付部材230は、溝240の、周方向に沿って一方側の側壁241bにより規制されることなく、周方向に沿って他方側(R方向)に容易に回転する。
この状態で、締付部材諦緩装置400を、主軸110の延在方向に沿って一方側(上方)に移動させ、図1に示されている位置(b)に移動させる。
さらに、締付部材諦緩装置400を、中心線Qの延在方向に沿って他方側(締付部材230から離れる方向)に移動させ、図1に示されている位置(a)に配置する。
【0027】
工具ホルダ本体部210の先端側に締付けられている締付部材230を緩める場合は、前述した方法で、図1に示されている位置(a)から、位置(b)を介して位置(c)に移動させる。
【0028】
次に、図3に示されている状態で、工具ホルダ本体部210(主軸110)を、周方向に沿って他方側(R方向)に回転させる。この時、締付部材230は、爪部422の当接部421cおよび爪部442の当接部441cが締付部材230の外周面231と当接した状態で、工具ホルダ本体部210とともに、周方向に沿って他方側(R方向)に回転する。
この状態で、締付部材230が、爪部442の当接部441cが、溝240が形成されている位置まで回転すると、弾性部材470の弾性力によって爪部442の当接部441cが溝240内に挿入される。
そして、爪部442の回転規制部441bが、溝240の、周方向に沿って一方側(F方向)の側壁241bに当接すると、締付部材230の、周方向に沿って他方側(R方向)への回転が規制される。
締付部材230の、周方向に沿って他方側(R方向)への回転が規制された状態で、工具ホルダ本体部210(主軸110)を、周方向に沿って他方側(R方向)にさらに回転させると、工具ホルダ本体部210の先端側に締付けられている締付部材230が緩められる。
締付部材230の緩め作業が完了すると、工具ホルダ本体部210(主軸110)の周方向に沿って他方側(R方向)への回転を停止させる。緩め作業が完了したことは、例えば、締付けトルクが第2設定値より小さくなったことにより判別することができる。
【0029】
締付部材230の緩め作業が完了すると、前述した方法で、締付部材諦緩装置400を、図1に(a)で示されている位置に移動させる。
【0030】
以上では、締付部材諦緩装置400を、図1に示されている位置(a)から、位置(b)を介して位置(c)に移動させたが、締付部材諦緩装置400を位置(c)に移動させる方法はこれに限定されない。
例えば、締付け作業が完了した後、工具ホルダ本体部210を周方向に沿って他方側(R方向)に回転させ、爪部422の当接部421cが溝240から抜け出た状態で、締付部材諦緩装置400を、主軸110の延在方向に沿って一方側(上方)に移動させたが、工具ホルダ本体部210を周方向に沿って他方側に回転させることなく、すなわち、爪部422の当接部421cが溝240内に挿入された状態で、締付部材諦緩装置400を、主軸110の延在方向に沿って一方側(上方)に移動させてもよい。
また、緩め作業が完了した後、工具ホルダ本体部210を周方向に沿って一方側(F方向)に回転させ、爪部442の当接部441cが溝240から抜け出た状態で、締付部材諦緩装置400を、主軸110の延在方向に沿って一方側(上方)に移動させたが、工具ホルダ本体部210を周方向に沿って一方側に回転させることなく、すなわち、爪部442の当接部441cが溝240内に挿入された状態で、締付部材諦緩装置400を、主軸110の延在方向に沿って一方側(上方)に移動させてもよい。
この場合、爪部422の回転許容部421dの移動許容部421d1によって、締付部材締結装置400を、溝240の上壁241により規制されることなく、容易に、主軸110の」延在方向に沿って一方側(上方)に移動させることができる。また、爪部442の回転許容部441dの移動許容部441d1によって、締付部材締結装置400を、溝240の上壁241により規制されることなく、容易に、主軸110の」延在方向に沿って一方側(上方)に移動させることができる。
また、締付部材諦緩装置400を、図1に示されている位置(b)を介することなく、直接に、位置(c)に移動させるように構成することもできる。
【0031】
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
弾性力を発生する弾性部材してスプリングを用いたが、弾性部材としては、スプリング以外の種々の公知の弾性部材を用いることができる。
実施形態では、第1アーム部材に作用する弾性力と第2アーム部材に作用ずる弾性力を、それぞれ異なる弾性部材を用いて発生させたが、同じ弾性部材を用いて発生させることもできる。
実施形態では、第1支軸を中心に回転する第1アーム部材と第2支軸を中心に回転する第2アーム部材を用いたが、第1アーム部材および第2アーム部材の形状、構成は、これに限定されない。
実施形態では、第1アーム部材の支軸回りの回転を規制する第1回転規制部材と第2アーム部材の支軸回りの回転を規制する第2回転規制部材を設けたが、第1回転規制部材および第2回転規制部材は、省略することもできる。
実施形態では、支持部材の延在方向と交差する方向に沿って離間する位置に一対の当接部(第3当接部、第4当接部)を形成したが、支持部材の当接部は省略することもできる。
実施形態では、工具ホルダ本体部が、鉛直方向に沿って、先端部が上方に位置するように配置されている(締付部材が上方から装着される)場合について説明したが、工具ホルダ本体部の配置方向は、種々の方向に設定可能であり、また、先端部の位置も適宜設定可能である。
実施形態では、工作機械の主軸に装着される工具ホルダ本体部にネジ結合される締付部材を締付けおよび緩める場合について説明したが、締付部材がネジ結合される結合部材は、工具ホルダ本体部に限定されない。
実施形態では、被結合部材である工具ホルダ本体部にネジ結合される締付部材を締付けおよび緩める場合にについて説明したが、本発明は、被結合部材に、ネジ結合以外の結合構造(例えば、特開平6-297215号公報に開示されている結合構造)で結合される締付部材を締付けおよび緩める場合に用いることもできる。工具シャンク部挿入空間を形成する工具ホルダ本体部内周面と工具シャンク部の外周面の形状は、被結合部材と締付部材との結合構造に応じて設定される。
実施形態で説明した構成は、単独で用いることもできるし、適宜選択した複数の構成を組み合わせて用いることもできる。
【符号の説明】
【0032】
100 工作機械
110 主軸
200 工具ホルダ
210 工具ホルダ本体部
220 シャンク部
230 締付部材
231 締付部材外周面
240 溝
241a 底壁
241b 側壁(第1壁)
241c 側壁(第2壁)
241d 上壁(第3壁)
241e 下壁(第4壁)
300 工具
400 締付部材諦緩装置
401 内側空間
410 支持部材
410A、420A、440A 上面(第1面)
410B、420B、440B 下面(第2面)
411 端部
411a 底面
411b、411c 側面
411d 当接部(第3当接部)
411e 当接部(第4当接部)
412 凹部
420 第1アーム部材
421a 内側空間形成部(第1内側空間形成部)
421b 回転規制部(第1回転規制部)
421c 当接部(第1当接部)
421d 回転許容部(第1回転許容部)
421d1 移動許容部(第1移動許容部)
422 爪部(第1爪部)
430 支軸(第1支軸)
440 第2アーム部材
441a 内側空間形成部(第2内側空間形成部)
441b 回転規制面(第2回転規制面)
441c 当接部(第2当接部)
441d 回転許容部(第2回転許容部)
441d1 移動許容部(第2移動許容部)
442 爪部(第2爪部)
450 支軸(第2支軸)
460 弾性部材(第1弾性部材)
470 弾性部材(第2弾性部材)
480 回転規制部材(第1回転規制部材)
490 回転規制部材(第2回転規制部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9