(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】連続型包装袋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 30/10 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
B65D30/10 L
(21)【出願番号】P 2020170933
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】514192756
【氏名又は名称】株式会社ネオックス
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】島 圭吾
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-511042(JP,A)
【文献】特開2012-091859(JP,A)
【文献】実開昭58-014336(JP,U)
【文献】特開2008-013203(JP,A)
【文献】特開2007-182254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/10
B65B 67/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の包装袋が切離しのためのミシン目を介して連続しロール状に
巻き取られた連続型包装袋であって、
前記包装袋が偏平なチューブ状であり両側の一部に横マチを有し、
前記包装袋の前記ミシン目が包装袋の底を形成する底シールよりも巻取り方向前方に形成され、
前記包装袋の片面の前記ミシン目における長手方向の
中間位置に、破断された前記ミシン目を端に備え
他方の面との密着が解かれた開封端緒が
前記巻取り前に形成され
、
前記開封端緒の形成範囲が前記横マチよりも内側である
連続型包装袋。
【請求項2】
前記開封端緒がロール内面に位置する前記ミシン目に形成された
請求項
1に記載の連続型包装袋。
【請求項3】
前記開封端緒がロール外面に位置する前記ミシン目に形成された
請求項
1に記載の連続型包装袋。
【請求項4】
複数の包装袋が切離しのためのミシン目を介して連続しロール状に
巻き取られた連続型包装袋の製造方法であって、
前記包装袋が偏平なチューブ状であり両側に横マチを有するものであり、前記ミシン目を包装袋の底を形成する底シールよりも巻取り方向前方に形成したのち、
前記包装袋の片面
の前記ミシン目
における長手方向の中間位置に前記ミシン目を破断する方向の負荷を与えて
、前記ミシン目における
前記横マチよりも内側の範囲を破断し
、破断された前記ミシン目を端に備え
他方の面との密着が解かれた開封端緒を形成し、
その後にロール状に巻き取る
連続型包装袋の製造方法。
【請求項5】
前記開封端緒がロール内面に位置する前記ミシン目に形成される
請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記開封端緒がロール外面に位置する前記ミシン目に形成される
請求項4に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の包装袋が切離し可能に連続している連続型包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
連続型包装袋は、切離しのためのミシン目を介して連続しロール状に巻かれている。包装袋の使用に際しては、包装袋を分離したのち口を開く必要があるが、口はミシン目でつながっていた部分であるので、切離し後であっても開きにくい。例えばサッカー台に備えられたいわゆるロールポリ袋のように、包装袋を構成する合成樹脂フィルムが薄ければ薄いほど開口は困難である。
【0003】
下記特許文献1の包装袋は、開口部に熱をかけてしわ付けしたものである。しわが付いているので開封がしやすくなる。
【0004】
下記特許文献2の包装袋は、開口部に凹凸形状のエンボス部を形成したものである。エンボス部は冷間で圧縮加工して得られる。
【0005】
これらの構成では、開封しやすくなるものの、製造に際してしわ付けやエンボス部形成のための時間が必要であり、連続型包装袋の製造が効率よく行えない。
【0006】
下記特許文献3の包装袋は、ミシン目の長手方向の中間部に底シールに向けて三角形に突出する突出部を形成したものである。この包装袋では切り離すと開口する部位に突出部が存在するので、開口しやすいとされている。
【0007】
しかし、突出部を形成するぶん、ミシン目と底シールの間に適宜の距離を置かなければならないので、歩留りが悪い。
【0008】
下記特許文献4の包装袋は、開口部の近傍に丸い開封補助用貫通孔を貫通形成したものである。開封に際しては開封補助用貫通孔を指で挟んで動かす。
【0009】
しかし、このように貫通した孔を形成するということは、製造に際してゴミが出ることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特公昭53-23748号公報
【文献】特開2008-13203号公報
【文献】特許第3743890号公報
【文献】特開2000-255590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこでこの発明は、開口しやすくするための構成が製造時における搬送過程で円滑に形成できるとともに、製造工程でのごみの発生をなくすことを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのための手段は、複数の包装袋が切離しのためのミシン目を介して連続しロール状に巻かれた連続型包装袋であって、前記包装袋の片面の前記ミシン目における長手方向の一部に、破断された前記ミシン目を端に備える開封端緒が形成された連続型包装袋である。
【0013】
この構成では、開封端緒は、目の間隔が広いミシン目のようになっており、包装袋の他方の面に対する密着が解かれた状態である。包装袋をミシン目で切り離すときに開封端緒を指先で保持して引っ張れば、切離しと同時に開口が行える。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、開封端緒を有しているので開口が容易であり、商品等の収納作業が簡易に素早く行える。開封端緒はミシン目を破断して得られるので製造時における搬送過程で容易に形成できる。しかも、開封端緒の形成はミシン目を破断するだけでよいので、製造工程においてゴミの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図5】他の例に係る連続型包装袋とその使用状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0017】
図1に、少し引き出した状態の連続型包装袋11の一部破断斜視図を示す。連続型包装袋11は、複数の包装袋12が切離しのためのミシン目13を介して連続しロール状に巻かれたものであり、引き出し可能に保持されたり箱に収容されたりして使用される。
【0018】
連続型包装袋11の素材はポリエチレン等の合成樹脂であり、連続型包装袋11は薄いフィルム状に形成されている。包装袋12は、いわゆるボトムシール型であり、底のみがシールされた形態の袋である。つまり、包装袋12は偏平なチューブに包装袋12の開口となるミシン目13と、包装袋12の底となる底シール14が平行に形成されている。ミシン目13と底シール14はチューブの幅全体に直線状に形成される。ミシン目13は包装袋12の厚み方向に貫通している。
【0019】
包装袋12はすべて同一姿勢で連続しているとともに、包装袋12の底が引き出し方向D1に向けられている。つまり、ひとつの包装袋12について、包装袋12の開口となるミシン目13が巻取り方向D2前方に、包装袋12の底となる底シール14が巻取り方向D2後方に配設される。隣り合う包装袋12の底シール14とミシン目13の間は、包装袋12のいわゆるスカート15となる部分であり、その長さは適宜設定されるが、短いほうが歩留りを良くできる。
【0020】
また包装袋12は横マチ付きであり、左右両側部には内側に折り込まれるマチ16を有している。
【0021】
このような連続型包装袋11における包装袋12は、その片面のミシン目13における長手方向の一部に、破断されたミシン目を端に備える開封端緒17を有している。開封端緒17は、互いに接するフィルムのうち片面のフィルムにおける他方の面のフィルムとの密着が解かれた状態となっている部分である。開封端緒17では、ミシン目13の長手方向の一部が破断されることによって自由端ができ、他方の面のフィルから浮いたり、皺を有したりする外観となる。
【0022】
前述のように連続型包装袋11の包装袋12は底が引き出し方向D1に向けられた姿勢であるので、開封端緒17は、ミシン目13の引き出し方向D1側の部分に形成されることになる。
【0023】
開封端緒17はミシン目13の長手方向の中間位置に形成される。開封端緒17の範囲は適宜設定し得るが、左右のマチ16よりも内側であるのが好ましい。
【0024】
この例において開封端緒17が形成されるのは、ロール内面に位置するミシン目13であり、このことによって開封端緒17はロール状に巻かれた状態において外面に露出することなく内側に収まることになる。
【0025】
このような構成の連続型包装袋11は、
図2に示したように製造される。
【0026】
ガゼット付きのチューブ11aをその長手方向に搬送しながら所定間隔おきに底シール14を形成する溶着と、ミシン目13を形成するミシン目形成を行う。
図2中、21は溶着機であり、21aはその受け台、21bは上下動可能に設けられたシールバーである。また22はミシン目形成機であり、22aはその受け台、22bは上下動可能に設けられたミシン目形成刃である。
【0027】
ミシン目13と底シール14を形成したのち、包装袋12の片面におけるミシン目13部分に、ミシン目13を破断する方向の負荷を与えてミシン目13における長手方向の一部を破断して、破断されたミシン目13を端に備える開封端緒17を形成する。開封端緒17の形成後に、完成した連続型包装袋11をロール状に巻き取る。
図2中、23は巻取り軸である。
【0028】
ミシン目13の部分的な破断は、様々な構成で行い得るが、例えば次のような構成で行うとよい。
【0029】
すなわち、ミシン目破断機24は、チューブ11aの下でチューブ11aを搬送方向における送りローラ24aと、チューブ11a上で送りローラ24aに向けて往復動する接触ローラ24bで構成されている。送りローラ24aはチューブ11aの幅よりも長く形成されるが、接触ローラ24bの長さはそれよりも短く、所望する開封端緒17の大きさに応じて形成される。また送りローラ24aは搬送方向に回転する一方、接触ローラ24bはそれとは反対方向に回転するように設定される。接触ローラ24bは、例えばシリコーンゴムなど、チューブ11aに対して摩擦抵抗の高い材料で形成される。
【0030】
接触ローラ24bの往復動のための機構は、例えばカムやクランク機構などでモータの回転運動を直線運動に変換する適宜の機構で構成する。
【0031】
チューブ11aの搬送中、
図3に実線で示したように、送りローラ24aと接触ローラ24bは共に回転している。送りローラ24aの上を、一つの包装袋12となる部分の底シール14と、これに続く別の包装袋12となるミシン目13が通過したときに、接触ローラ24bを降下させてチューブ11aにおけるミシン目13の搬送方向後ろ側に接触させる。
【0032】
接触ローラ24bの接触と、接触ローラ24bの搬送方向とは反対方向への回転により、搬送中のチューブ11aにおけるミシン目13部分に負荷がかかり、ミシン目13は破断する。ミシン目13の破断と接触ローラ24bの回転によって、ミシン目13の搬送方向後ろ側の部分は、仮想線で示したように皺が寄るような態様になり、密着していた対向側フィルムとの間に隙間ができる。いったん降下させた接触ローラ24bは、すぐさま上昇させる。
【0033】
次々に形成されるミシン目13の一部には、このような接触ローラ24bの間欠動作によって、開封端緒17が形成される。
【0034】
ミシン目13の破断に際して、ミシン目13の巻取り方向D2のすぐ隣であって接触ローラ24bの回転方向上流側には、底シール14が形成されているので、破断のための負荷がかかる部分におけるフィルムの延びを抑制でき、ミシン目13は確実に破断される。
【0035】
このあと、巻取り軸23で巻取りがなされると、連続型包装袋11の開封端緒17はロール内面に収まり、開封端緒17の自由端は保持される。開封端緒17を有していても、巻取り時においては左右両側部のマチ16がしっかりとした巻取りを可能にする。
【0036】
以上のように製造された連続型包装袋11は、サッカー台等に備えられる既存のロールホルダに取り付けられたり、箱に引き出し可能に収納されたりして使用される。
【0037】
図4に連続型包装袋11を下方に引き出した状態を示している。なお、
図4では、連続型包装袋11の先端部を単に垂らした状態を示したが、一般的なホルダに保持させると、ロールからの引き出し端部は手前側に位置させられる。
【0038】
底シール14を先頭に引き出される連続型包装袋11は、包装袋12の上端であるミシン目13があらわれるまで引き出すと、そのミシン目13の長手方向の中間に開封端緒17が露出する。開封端緒17は対向するフィルムに対して密着しておらず、開きやすい状態である。このため、仮想線で示したように開封端緒17をつまんで包装袋12を引っ張ると、ミシン目13が破れて上端全体が開口しつつ包装袋12を分離できる。
【0039】
分離された包装袋12は開口しているので、あえて口をあける作業は必要なく、商品等を入れる作業が簡易迅速に行える。
【0040】
開封端緒17はミシン目13の長手方向の中間位置に形成されているので、左右のいずれか一方に偏って形成されている場合と比較して、開口と切離しが安定して行える。
【0041】
また開封端緒17はロール内面に位置するミシン目13に形成されているので、巻取り状態において開封端緒17の露出を防げる。このため、不測に破れたりすることを防止し、無駄なく正しい使用が可能である。
【0042】
包装袋12はすべて同一姿勢であるとともに、包装袋12の底が引き出し方向D1に向けられているので、開封端緒17を有していても、連続型包装袋11を引き出した状態において包装袋12が開口することはなく、包装袋12の衛生状態を維持できる。
【0043】
また包装袋12は横マチ付きであるので、開封端緒17を有していても左右両側部でしっかりした密な巻取りができるので、外観も良好で使いやすい連続型包装袋11となる。
【0044】
連続型包装袋11の製造は、既存の方法でミシン目13と底シール14を形成したのち、ミシン目13の一部を破断するだけでよいので、装置の構成を簡素にできるとともに、従来のように孔をあける場合とは異なり、製造工程でのゴミの発生をなくすこともできる。
【0045】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0046】
以下、他の例に係る連続型包装袋11を説明する。この説明において前述の構成と同一の構成については同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0047】
図5は他の例に係る連続型包装袋11の斜視図である。この図に見られるように、開封端緒17はロール外面に存在している。つまり、
図5の連続型包装袋11は、開封端緒17をロール外面に位置するミシン目13に形成した構成である。製造工程において、開封端緒17の向きをロール外面に向けて巻き取る以外は、前述の構成と同じである。
【0048】
このような構成の連続型包装袋11では、引き出し先端側の包装袋12が静電気によってロールに密着している状態であっても、包装袋12を取るときに
図5に仮想線で示したようにロールの外面に沿って指を動かせば、指先が開封端緒17を捉える。このため、容易に包装袋12の開口と分離ができる。また、包装袋12の開口と分離は、ロールを回して引き出し先端側の包装袋12を引き出さなくても行える。
【0049】
そのほか、図示は省略するが、例えば開封端緒17の形成は、接触ローラ24bに代えて、送りローラ24aに向けて移動する方向に間欠動作するハンマーのような回転しない構成を使用してもよい。
【0050】
また、包装袋12はマチ16のない形態でも、サイドシール型のものでもよい。
【符号の説明】
【0051】
11…連続型包装袋
12…包装袋
13…ミシン目
14…底シール
16…マチ
17…開封端緒
D1…引き出し方向
D2…巻取り方向