(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/10 20060101AFI20240527BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
F04B49/10 311
F04B49/06 321A
(21)【出願番号】P 2020172487
(22)【出願日】2020-10-13
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-052444(JP,A)
【文献】特開2020-143626(JP,A)
【文献】特開平11-270488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/10
F04B 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水用の電動ポンプと、
前記電動ポンプを駆動するインバータと、
給水圧を検出する圧力センサと、
給水圧を検出する第2の圧力センサと、
前記電動ポンプの吐出し流量を検出する流量センサと、
前記インバータの駆動周波数を制御することにより、前記電動ポンプの停止及び稼働を制御する制御部であって、小水量停止制御、目標圧力制御、及び異常検知制御を実行可能な制御部とを備え、
前記小水量停止制御は、前記流量センサの検出流量が予め決められた停止流量まで低下したときに、稼働している前記電動ポンプを停止させる制御であり、
前記目標圧力制御は、前記圧力センサの検出圧力が目標とする圧力となるように前記電動ポンプの稼働を調整する制御であり、
前記異常検知制御は、前記圧力センサに異常が発生したか否かを検知するための制御であり、
前記停止流量時における駆動周波数であって、基準となる駆動周波数を基準周波数としたとき、
前記異常検知制御は、前記停止流量となった時の現実の駆動周波数(以下、運転時周波数という。)と前記基準周波数とを比較し、当該運転時周波数と前記基準周波数との差の絶対値が予め決められた値以上となったときに、前記圧力センサに異常が発生したと判断する制御であ
り、
さらに、前記制御部は、前記圧力センサの検出値と前記第2の圧力センサの検出値との差の絶対値(以下、検出差という。)を利用して前記異常検知制御を実行するか否かを判断する給水装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電動ポンプの初回起動後、前記流量センサの検出流量が初めて前記停止流量となった時の現実の駆動周波数を前記基準周波数として記憶する機能を実行可能である請求項
1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出差が予め決められた値以上となる状態が予め決められた時間以上継続した場合に、前記異常検知制御を実行可能と判断する請求項
1又は2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記運転時周波数と前記基準周波数との差の絶対値が前記予め決められた値未満であるときには、前記第2の圧力センサに異常が発生したと判断する請求項
3に記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記圧力センサの検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したときには、前記異常検知制御を実行することなく、前記圧力センサに異常が発生したと判断する請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2の圧力センサの検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したときには、前記異常検知制御を実行することなく、前記第2の圧力センサに異常が発生したと判断する請求項
1ないし
5のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項7】
外部機器と通信するための通信部を備え、
前記制御部は、少なくとも前記圧力センサに異常が発生したと判断された場合に、予め決められた項目についての情報を前記通信部を介して送信する機能を実行可能である請求項1ないし
6のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項8】
前記電動ポンプの吸入側の水圧を検出する第3圧力センサ及び第4圧力センサを備え、
前記制御部は、前記第3圧力センサの検出値を利用して前記電動ポンプの作動を制御可能であり、
前記制御部は、前記第3圧力センサの検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したときには、前記第3圧力センサの検出値に代えて、前記第4圧力センサの検出値を利用して前記電動ポンプの作動を制御するとともに、前記第3圧力センサに異常が発生した旨の報知作動を実行する請求項1ないし
7のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第4圧力センサの検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したときには、前記第4圧力センサに異常が発生した旨の報知作動を実行する請求項
8に記載の給水装置。
【請求項10】
外部機器と通信するための通信部を備え、
前記制御部は、前記第3圧力センサ及び第4圧力センサのうち少なくとも一方の圧力センサに異常が発生したと判断された場合に、予め決められた項目についての情報を前記通信部を介して送信する機能を実行可能である請求項
8又は
9に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動ポンプを備える給水装置に関する
【背景技術】
【0002】
電動ポンプを制御する制御部は、給水圧を検出する圧力センサの検出値を利用して当該電動ポンプの作動を制御する。そして、特許文献1に記載の給水装置では、圧力センサの異常を検知したとき、ポンプを停止させることなく、運転を継続し、流量検知器が小水量を検知した場合、運転が継続されているポンプを停止させ、ポンプが所定時間以上停止していると判定したときに、運転していたポンプ又は異なるポンプの運転を開始している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、圧力センサに異常が発生したか否かを検知することは、電動ポンプを制御する上で重要な事項である。しかし、特許文献1に記載には、具体的に、どのようにして圧力センサに異常が発生したか否かを検知するかについての言及が一切無い。
【0005】
本開示は、上記点に鑑み、圧力センサに異常が発生したか否かを検知する機能を備える給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
給水装置は、例えば、給水用の電動ポンプ(2)と、電動ポンプ(2)を駆動するインバータ(3)と、給水圧を検出する圧力センサ(Ps1)と、電動ポンプ(2)の吐出し流量を検出する流量センサ(Fs)と、インバータ(3)の駆動周波数を制御することにより、電動ポンプ(2)の停止及び稼働を制御する制御部(4)であって、圧力センサ(Ps1)の検出圧力が目標とする圧力となるように電動ポンプ(P)の稼働を調整する目標圧力制御、及び圧力センサ(Ps1)に異常が発生したか否かを検知するための異常検知制御を実行可能な制御部(4)とを備える。
【0007】
そして、異常検知制御は、基準流量(Frs)となった時の現実の駆動周波数(以下、運転時周波数(fd)という。)と基準周波数(fo)とを比較し、当該運転時周波数(fd)と基準周波数(fo)との差の絶対値が予め決められた値以上となったときに、圧力センサ(Ps1)に異常が発生したと判断する。
【0008】
なお、電動ポンプ(2)の給水負荷が予め決められた条件となり、かつ、給水負荷が予め決められた当該条件となったときを判断基準状態とし、当該判断基準状態時における基準となる電動ポンプ(2)の吐出し流量を基準流量(Frs)とし、当該判断基準状態時における駆動周波数を基準周波数(fo)とする。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る異常検知制御を示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態に係る異常検知制御を示すフローチャートである。
【
図4】第1実施形態に係る異常検知制御を示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0012】
少なくとも符号が付されて説明された機器や部材等の構成要素は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該構成要素は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された構成要素等を備える。
【0013】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。
図1に示されるように、本実施形態に係る給水装置1は、電動ポンプ2、インバータ3、圧力センサPs、流量センサFs及び制御部4等を少なくとも備える。
【0014】
電動ポンプ2は、ポンプ部2A及びモータ部2Bを有する電動式のポンプである。電動ポンプ2は、制御部4より制御される。具体的には、当該制御部4は、電動ポンプ2のモータ部2Bを駆動するインバータ3を介して電動ポンプ2制御する。
【0015】
インバータ3は、制御部4から出力される指令周波数に応じた周波数の駆動電流をモータ部2Bに供給する。これにより、モータ部2Bの回転数が制御部4により可変制御される。なお、インバータ3からモータ部2Bに供給される駆動電流の周波数を駆動周波数という。
【0016】
つまり、制御部4は、インバータ3の駆動周波数を制御することにより、電動ポンプ2の停止及び稼働を制御する。制御部4には、圧力センサPsの検出値及び流量センサFsの検出値が入力されている。
【0017】
流量センサFsは電動ポンプ2の吐出し流量を検出する。本実施形態に係る圧力センサPsは、第1圧力センサPs1及び第2圧力センサPs2により構成されている。第1圧力センサPs1及び第2圧力センサPs2は、給水装置1の給水圧を検出する。
【0018】
なお、制御部4には、第1圧力センサPs1の検出値、及び第2圧力センサPs2の検出値のいずれも入力されている。以下、2つの圧力センサのうちいずれか一方の圧力センサを意図する際には、圧力センサPsと記す。
【0019】
<2.制御部の制御>
<2.1 制御部等の概要>
制御部4は、例えば、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータ等にて構成されている。当該制御部4は、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されたプログラムに従って下記の各制御を実行する。
【0020】
制御部4内又は制御部4外(本実施形態では、制御部4内)には、記憶部5が設けられている。記憶部5は、停止流量Frs、目標圧力、及び基準周波数fo等を記憶するための不揮発性記憶装置である。なお、停止流量Frs、目標圧力、及び基準周波数foは、下記の各制御で必要とされる定数値又はパラメータである。
【0021】
制御部4内又は制御部4外(本実施形態では、制御部4内)には、通信部6が設けられている。通信部6は、無線及び有線のうち少なくとも一方の通信手法(本実施形態では、無線)にて外部機器と通信可能な機器である。外部機器とは、例えば、携帯型の通信機器や給水装置1を遠隔監視する管理装置等である。
【0022】
制御部4は、少なくとも圧力センサPsに異常が発生したと判断された場合に、予め決められた項目についての情報を通信部6を介して送信する。なお、予め決められた項目とは、例えば、圧力センサPsに異常が発生したときの給水装置の運転状態と発生日時等である。
【0023】
警告装置7は、給水装置1の構成機器に異常が発生したときに、その旨の警告を発する装置である。当該警告装置7は、制御部4から信号を受けて、いずれの機器に異常が発生したかを作業者が認識可能な態様で警告を発する。
【0024】
<2.2 制御部の制御>
<制御の概要>
制御部4は、電動ポンプ2の停止及び稼働を制御する。つまり制御部4は、インバータ3の出力を制御する。制御部4は、制御モードとして、小水量停止制御、目標圧力制御、及び異常検知制御等を少なくとも実行可能である。
【0025】
小水量停止制御及び目標圧力制御は、電動ポンプ2を制御するための制御モードである。異常検知制御は、圧力センサPsに異常が発生したか否かを検知するための制御モードである。なお、小水量停止制御、目標圧力制御、及び異常検知制御それぞれは、独立並列的に実行される。
【0026】
<小水量停止制御>
小水量停止制御は、流量センサFsの検出流量が停止流量Frsまで低下したときに、電動ポンプ2を停止させる制御である。なお、本実施形態に係る停止流量Frsは、定数値として予め決められた値である。
【0027】
すなわち、停止流量Frsとは、電動ポンプ2の給水負荷が予め決められた条件となったとき(以下、このときを判断基準状態ともいう。)における基準となる電動ポンプ2の吐出し流量(以下、この流量を基準流量ともいう。)である。
【0028】
具体的には、建物側で必要とする給水量が小さくなり、電動ポンプ2の給水負荷が小さくなると、電動ポンプ2の吐出し流量も小さくなる。電動ポンプ2は、その構造上、最小吐出し流量より小さい吐出し流量で稼働することができない。
【0029】
つまり、停止流量Frsは、給水負荷が予め決められた条件となったとき、つまり判断基準状態となったときの吐出し流量であって、最小吐出し流量より大きい予め決められた吐出し流量である。
【0030】
そして、制御部4は、停止流量Frsを基準流量として、電動ポンプ2を停止させるか否かを制御する。なお、電動ポンプ2が停止した後、圧力センサPsの検出値が予め決められた圧力(以下、起動圧力という。)以下まで低下したときに、制御部4は電動ポンプ2を起動する。
【0031】
<目標圧力制御>
目標圧力制御は、圧力センサPsの検出圧力が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように電動ポンプ2を調整する制御である。つまり、制御部4は、圧力センサPsの検出圧力が目標圧力に近づくように指令周波数を変化させる。
【0032】
制御部4は、第1圧力センサPs1及び第2圧力センサPs2のうちいずれか一方の圧力センサを目標圧力制御に用いる。以下、2つの圧力センサPs1、Ps2のうち目標圧力制御等に用いられる圧力センサを使用センサPsという。
【0033】
なお、本実施形態では、第1圧力センサPs1に不具合が発生した場合を除き、第1圧力センサPs1が使用センサPsとして選択される。つまり、給水装置1の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると、制御部4は、第1圧力センサPs1の検出圧力を目標圧力及び起動圧力と比較する。
【0034】
<異常検知制御>
異常検知制御は、停止流量Frsとなった時の現実の駆動周波数(以下、運転時周波数fdという。)と基準周波数foとを比較し、当該運転時周波数fdと基準周波数foとの差の絶対値が予め決められた値以上となったときに、使用圧力センサPsに異常が発生したと判断する制御である。
【0035】
基準周波数foとは、流量センサFsの検出流量が停止流量Frs、つまり基準流量となったときにおける駆動周波数であって、異常検知制御の実行時に判断基準となる駆動周波数をいう。
【0036】
本実施形態に係る制御部4は、電動ポンプ2の初回起動後、検出流量が初めて停止流量Frs、つまり基準流量となった時の現実の駆動周波数を基準周波数foとして記憶部5に記憶する。
【0037】
<異常検知制御の実行タイミング>
本実施形態に係る制御部4は、以下の2つの要件に基づいて異常検知制御を実行するか否かを判断する。具体的には、2つ要件が共に満たされた場合には、制御部4は、異常検知制御を実行する。2つ要件のうちいずれかを満たさない場合には、制御部4は、異常検知制御を実行しない。
【0038】
<第1の要件>
第1圧力センサPs1の検出値と第2圧力センサPs2の検出値との差の絶対値(以下、検出差という。)が予め決められた値以上となる状態が、予め決められた時間(例えば、3秒)以上継続した場合に、制御部4は、第1の要件が満たされたと判断する。
【0039】
つまり、第1の要件が満たされた場合、制御部4は、異常検知制御を実行可能であると判断する。その理由は、第1の要件が満たされた場合には、2つの圧力センサPs1、Ps2のうち少なくとも一方に異常が発生している可能性が高いからである。
【0040】
<第2の要件>
簡易異常検出制御により、第1圧力センサPs1及び第2圧力センサPs2のいずれにも異常が発生していないと判断された場合に、制御部4は、第2の要件が満たされたと判断する。
【0041】
簡易異常検出制御とは、検出圧力の最小値及び最大値に基づいて圧力センサPsに異常が発生したか否かを破断する制御である。つまり、制御部4は、検出圧力が所定範囲に収まっているか否かかに基づいて異常の有無を判断する。
【0042】
具体的には、制御部4は、第1圧力センサPs1の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間(例えば、3秒)継続したとき、異常検知制御を実行することなく、第1圧力センサPs1に異常が発生したと判断する。
【0043】
制御部4は、第2圧力センサPs2の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間(例えば、3秒)継続したとき、異常検知制御を実行することなく、第2圧力センサPs2に異常が発生したと判断する。
【0044】
<異常検知制御等の詳細>
以下の説明及び
図2~
図4は、使用センサPsとして第1圧力センサPs1が選択された場合の異常検知制御等の制御を示すフローチャートの一例である。なお、
図2~
図4に示される制御は、小水量停止制御、及び目標圧力制御と独立並列的に実行される。
【0045】
給水装置1の電源スイッチ(図示せず。)が投入されると、制御部4は、初回の電源投入時であるか否かを判断する(S1)。なお、初回の電源投入時であるか否かの判断は、例えば、電源スイッチが過去に投入されたこと示すパラメータに基づいて判断される。
【0046】
初回の電源投入時である場合には(S1:YES)、初回の小水量停止時か否かを判断する(S3)。初回の小水量停止時である場合には(S3:YES)、その小水量停止時における運転時周波数を基準周波数foとして記憶部5に記憶させる(S5)。
【0047】
初回の電源投入時でない場合(S1:NO)、又はS5が実行された場合、制御部4は、電動ポンプ2が稼働中であるか否かを判断する(S7)。電動ポンプ2が稼働中である場合には(S7:YES)、制御部4は、第1圧力センサPs1の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したか否かを判断する(S9)。
【0048】
第1圧力センサPs1の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したと判断された場合には(S9:YES)、制御部4は、第1圧力センサPs1に異常が発生した旨を警告装置7に表示するとともに、通信部6を介して警告信号を発信する(S11)。
【0049】
次に、制御部4は、第2圧力センサPs2の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したか否かを判断する(S13)。第2圧力センサPs2の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続しなかった場合には(S13:NO)、制御部4は、第2圧力センサPs2を使用センサPsに変更する(S15)。
【0050】
第2圧力センサPs2の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続した場合(S13:YES)、又は第2圧力センサPs2が使用センサPsに変更された場合(S15)、本制御が終了する。
【0051】
第1圧力センサPs1の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続しなかった場合には(S9:NO)、制御部4は、第2圧力センサPs2の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したか否かを判断する(S17)。
【0052】
第2圧力センサPs2の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続した場合(S17:YES)、制御部4は、第2圧力センサPs2に異常が発生した旨を警告装置7に表示するとともに、通信部6を介して警告信号を発信した後(S19)、本制御が終了する。
【0053】
第2圧力センサPs2の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続しなかった場合には(S17:NO)、制御部4は、検出差が予め決められた値以上となる状態が予め決められた時間以上継続したか否かを判断する(S21)。
【0054】
検出差が予め決められた値以上となる状態が予め決められた時間以上継続しなかった場合には(S21:NO)、制御部4は、再び、S7を実行する。検出差が予め決められた値以上となる状態が予め決められた時間以上継続した場合には(S21:YES)、制御部4は、小水量停止時か否かを判断する(S23)。
【0055】
小水量停止時である場合には(S23:YES)、その小水量停止時における運転時周波数fdを取得した後(S25)、制御部4は、取得した運転時周波数fdと基準周波数foとの差の絶対値が予め決められた値以上であるか否かを判断する(S27)。
【0056】
当該絶対値が予め決められた値以上である場合には(S27:YES)、制御部4は、使用センサPsである第1圧力センサPs1に異常が発生した旨を警告装置7に表示するとともに、通信部6を介して警告信号を発信する(S29)。
【0057】
次に、制御部4は、第2圧力センサPs2を使用センサPsに変更した後(S31)、本制御を終了する。上記絶対値が予め決められた値以上でない場合には(S27:NO)、制御部4は、第2圧力センサPs2に異常が発生した旨を警告装置7に表示するとともに、通信部6を介して警告信号を発信した後(S33)、本制御を終了する。
【0058】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
例えば、電動ポンプ2の羽根車の回転数が同じであっても、給水負荷、つまり吐出し側の負荷が変化すると、電動ポンプ2の吐出し流量が変動する。また、羽根車の回転数は、駆動周波数に対して線形的に変化する。
【0059】
したがって、駆動周波数、給水負荷及び吐出し流量の3つのパラメータのうち、2つのパラメータの値が決定すると、残り1つのパラメータの値が一義的に決定する。このため、例えば、給水負荷及び吐出し流量の値が決定すれば、駆動周波数が一義的に決定する。
【0060】
つまり、給水負荷が予め決められた負荷状態、つまり判断基準状態であるときにおいて、吐出し流量の値が基準流量であれば、駆動周波数は、理想的には、常に基準周波数foとなる。
【0061】
負荷状態、つまり判断基準状態は、給水圧の影響を受ける。しかし、本実施形態に係る給水装置1では、目標圧力制御が実行されるので、吐出し流量が基準流量となる状態では、負荷状態も判断基準状態にほぼ維持される。
【0062】
したがって、基準流量となった時の現実の駆動周波数である運転時周波数fdが基準周波数foに対して大きく相違する場合には、圧力センサPsに異常が発生した可能性が極めて高い。
【0063】
そこで、本実施形態に係る異常検知制御において、制御部4は、運転時周波数fdと基準周波数foとの差の絶対値が予め決められた値以上となったときに、圧力センサPsに異常が発生したと判断する。
【0064】
小水量停止制御により電動ポンプ2が停止する状態は圧力変動が小さい。このため、当該状態であれば、圧力センサPsに異常が発生しているか否かを判断する際に、誤った判断がされる可能性が低い。そこで、本実施形態では、判断基準状態として小水量停止制御により電動ポンプ2が停止する状態を採用し、基準流量として停止流量Frsを採用している。
【0065】
本実施形態に係る制御部4は、第1の要件及び第2の要件に基づいて異常検知制御を実行するか否かを判断する。したがって、必要以上に異常検知制御が実行されることが抑制できる。
【0066】
すなわち、第1の要件が満たされた場合には、2つの圧力センサPs1、Ps2のうち少なくとも一方に異常が発生している可能性が高い。したがって、第1の要件が満たされた場合に異常検知制御が実行されれば、必要以上に異常検知制御が実行されることが抑制できる。
【0067】
第2の要件が満たされていない場合には、異常検知制御が実行されるまでもなく、圧力センサPsに異常が発生している可能性が高い。したがって、必要以上に異常検知制御が実行されることが抑制できる。
【0068】
制御部4は、少なくとも使用センサPsに異常が発生したと判断された場合に、予め決められた項目についての情報を通信部6を介して送信する。したがって、給水装置1の管理会社に、早期のメンテナンスを促すことが可能となるとともに、メンテナンス業務の効率化が期待でき得る。
【0069】
(第2実施形態)
本実施形態に係る給水装置1は、
図5に示されるように、上記の構成に加えて、電動ポンプ2の吸入側の水圧を検出する第3圧力センサPs3及び第4圧力センサPs4を備える。
【0070】
すなわち、第1実施形態に係る給水装置1は、受水槽(図示せず。)に貯留されている水を電動ポンプ2にて吸引して給送する構成であった。これに対して、本実施形態では、電動ポンプ2の吸引側に水道が連結されている。
【0071】
このため、本実施形態に係る電動ポンプ2の吸入側には、水道圧が作用している。そして、制御部4は、電動ポンプ2の吸入側の水圧(以下、吸入圧という。)が予め決められた水圧以上となるように、電動ポンプ2の作動を制御する。
【0072】
つまり、本実施形態に係る制御部4は、小水量停止制御、目標圧力制御、及び異常検知制御それぞれを独立並列的に実行しながら、電動ポンプ2の吸入側の水圧が予め決められた水圧以上となるような制御も独立並列的に実行する。
【0073】
制御部4は、通常、第3圧力センサPs3を吸入圧を検出する圧力センサ(以下、使用センサPsという。)として選択する。そして、電源スイッチが投入されると、制御部4は、
図6に示されるように、電動ポンプ2が稼働中であるか否かを判断する(S41)。
【0074】
電動ポンプ2が稼働中である場合には(S41:YES)、制御部4は、第3圧力センサPs3の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したか否かを判断する(S43)。
【0075】
第3圧力センサPs3の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したと判断された場合には(S43:YES)、制御部4は、第3圧力センサPs3に異常が発生した旨を警告装置7に表示するとともに、通信部6を介して警告信号を発信する(S45)。
【0076】
次に、制御部4は、第4圧力センサPs4の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したか否かを判断する(S47)。第4圧力センサPs4の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続しなかった場合には(S47:NO)、制御部4は、第4圧力センサPs4を使用センサPsに変更する(S49)。
【0077】
第4圧力センサPs4の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続した場合(S47:NO)、又は第4圧力センサPs4が使用センサPsに変更された場合(S49)、本制御が終了する。
【0078】
第3圧力センサPs3の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続しなかった場合には(S43:NO)、制御部4は、第4圧力センサPs4の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続したか否かを判断する(S51)。
【0079】
第4圧力センサPs4の検出値が予め決められた範囲外となる状態が予め決められた時間継続した場合(S51:YES)、制御部4は、第4圧力センサPs4に異常が発生した旨を警告装置7に表示するとともに、通信部6を介して警告信号を発信した後(S53)、本制御が終了する。
【0080】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0081】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置は、1つの電動ポンプ2、1つインバータ3、及び1つの制御部4を備える構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、複数の電動ポンプ2を備え、1つ又は電動ポンプ2と同数のインバータ3及び制御部4を備える構成であってもよい。
【0082】
上述の実施形態では、圧力センサPsに異常が発生した際に送信する情報は、少なくとも給水装置の運転状態と発生日時を含む情報であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、給水量の変化等を含む情報を送信する構成であってもよい。
【0083】
上述の実施形態では、判断基準状態として小水量停止制御により電動ポンプ2が停止する状態を採用し、基準流量として停止流量Frsを採用した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、判断基準状態及び基準流量として、その他の状態及び流量を採用してもよい。
【0084】
上述の実施形態では、電動ポンプ2の初回起動後、流量センサFsの検出流量が初めて基準流量となった時の現実の駆動周波数を基準周波数foとした。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0085】
すなわち、当該開示は、例えば、試験等により求めた値を予め記憶部5に基準周波数foとして記憶させた構成、又は給水装置1の据え付け時に作業者が基準周波数foを設定入力する構成であってもよい。
【0086】
上述の実施形態に係る制御部4は、第1の要件及び第2の要件に基づいて異常検知制御を実行するか否かを判断した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第1の要件及び第2の要件のうち少なくとも1つの要件判断を廃止してもよい。なお、第1の要件及び第2の要件を廃止した場合には、第2圧力センサPs2を廃止してもよい。
【0087】
上述の実施形態では、少なくとも使用センサPsに異常が発生したと判断された場合に、無線通信にて情報を送信した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、有線通信にて情報を送信してもよい。
【0088】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1… 給水装置 2… 電動ポンプ 3… インバータ
4… 制御部 5… 記憶部 6… 通信部 7… 警告装置
Ps1… 第1圧力センサ Ps2… 第2圧力センサ Fs… 流量センサ