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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】支持装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0047 20190101AFI20240527BHJP
   F24F 13/32 20060101ALI20240527BHJP
   F24F 1/0317 20190101ALI20240527BHJP
【FI】
F24F1/0047
F24F13/32
F24F1/0317
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020199495
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087519
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】398034319
【氏名又は名称】エヌパット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【弁理士】
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】生野 真
(72)【発明者】
【氏名】石川 将司
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-169654(JP,A)
【文献】特許第6709485(JP,B1)
【文献】特開2015-113994(JP,A)
【文献】実開昭60-089531(JP,U)
【文献】特開2008-020170(JP,A)
【文献】登録実用新案第3051223(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0047
F24F 13/32
F24F 1/0317
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略箱形形状の互いに平行な左右両側面に取付片が設けられた天井吊り下げ物を、天井空間に吊り下げた状態で支持する支持装置であって、
前記天井吊り下げ物の上面側を左右方向に沿って互いに平行に配置される複数の第1フレーム部材と、前記天井吊り下げ物の上面側を前記第1フレーム部材に直交する前後方向に沿って互いに平行に配置される複数の第2フレーム部材と、を井桁状に組み付けて構成されるフレーム枠体と、
上端部が前記フレーム枠体に取り付けられ、下端部が前記取付片に接続されて前記天井吊り下げ物を支持する支持部材と、
下端部が前記フレーム枠体に接続され、上端部が天井構造に接続される吊り部材と、
前記フレーム枠体から垂下するように前記フレーム枠体に取り付けられ、前記天井吊り下げ物の左右両側面に当接して前記天井吊り下げ物の左右方向の振れを規制する第1規制部材と、
前記フレーム枠体から垂下するように前記フレーム枠体に取り付けられ、前記天井吊り下げ物の前後方向に位置する面に当接して前記天井吊り下げ物の前後方向の振れを規制する第2規制部材と、
を備えることを特徴とする支持装置。
【請求項2】
前記第1規制部材は、前記第1フレーム部材に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記第2規制部材は、前記第2フレーム部材に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記支持部材は、上端部が前記第1フレーム部材に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の支持装置。
【請求項5】
前記支持部材は、防振部材を備えており、前記防振部材を介して前記取付片に接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の支持装置。
【請求項6】
前記第1フレーム部材及び前記第2フレーム部材のそれぞれは、縦板部と横板部とを有するL型のアングル鋼材によって構成され、
前記フレーム枠体は、前記第1フレーム部材の横板部と前記第2フレーム部材の横板部とを互いに接合させた状態で井桁状に組み付けられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の支持装置。
【請求項7】
前記吊り部材の上端部には、前記天井構造に取り付けられたボルトに固定するための天井取付金具が予め取り付けられることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機などの天井吊り下げ物を天井空間に吊り下げた状態で支持する支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機などの天井吊り下げ物を天井空間に吊り下げた状態で支持する支持装置として、上段フレーム材と下段フレーム材とを井桁状に組み付けて構成されるフレーム枠体を備えるものが知られている(例えば特許文献1)。この従来の支持装置は、フレーム枠体から垂下する支持ボルトによって、天井吊り下げ物である空気調和機を支持する。一般に、空気調和機本体は、左右両側面の下部に、吊りボルトなどのボルト部材を連結するための取付片を備えている。フレーム枠体から垂下する支持ボルトは、その取付片が設けられた位置まで垂下延設され、下端部が取付片に接続されることにより、空気調和機本体の下部を支持するように構成される。
【0003】
この種の支持装置は、例えば大規模地震発生時においても、天井吊り下げ物が大きく振動しないように耐震性能を備えたものであることが望まれる。フレーム枠体は、天井構造に取り付けられる複数の吊りボルトによって所定高さ位置に支持される。天井構造からフレーム枠体までの距離が長くなる程、吊りボルトが長くなり、地震発生時における吊りボルトの振れ幅が大きくなり、フレーム枠体の振動も大きくなる。そのような場合、フレーム枠体を支持する複数の吊りボルトにブレースボルトを取り付けることにより、吊りボルトの振れ幅を抑えることができる。つまり、吊りボルトの長さが所定長さよりも長くなる場合には、フレーム枠体を支持する複数の吊りボルトをブレースボルトによって補強するのである。これにより、地震発生時にフレーム枠体が大きく振動を抑制することが可能である。
【0004】
しかし、フレーム枠体から垂下する支持ボルトは、ブレースボルトによって補強することができない。そのため、地震発生時には、フレーム枠体から垂下する支持ボルトが大きく振動し、それに伴って天井吊り下げ物も大きく振動してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-207095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、地震発生時における天井吊り下げ物の振動を従来よりも抑制できるようにした支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、概略箱形形状の互いに平行な左右両側面に取付片が設けられた天井吊り下げ物を、天井空間に吊り下げた状態で支持する支持装置であって、前記天井吊り下げ物の上面側を左右方向に沿って互いに平行に配置される複数の第1フレーム部材と、前記天井吊り下げ物の上面側を前記第1フレーム部材に直交する前後方向に沿って互いに平行に配置される複数の第2フレーム部材と、を井桁状に組み付けて構成されるフレーム枠体と、上端部が前記フレーム枠体に取り付けられ、下端部が前記取付片に接続されて前記天井吊り下げ物を支持する支持部材と、下端部が前記フレーム枠体に接続され、上端部が天井構造に接続される吊り部材と、前記フレーム枠体から垂下するように前記フレーム枠体に取り付けられ、前記天井吊り下げ物の左右両側面に当接して前記天井吊り下げ物の左右方向の振れを規制する第1規制部材と、前記フレーム枠体から垂下するように前記フレーム枠体に取り付けられ、前記天井吊り下げ物の前後方向に位置する面に当接して前記天井吊り下げ物の前後方向の振れを規制する第2規制部材と、を備えることを特徴とする構成である。
【0008】
第2に、本発明は、上記第1の構成を有する支持装置において、前記第1規制部材は、前記第1フレーム部材に取り付けられることを特徴とする構成である。
【0009】
第3に、本発明は、上記第1又は第2の構成を有する支持装置において、前記第2規制部材は、前記第2フレーム部材に取り付けられることを特徴とする構成である。
【0010】
第4に、本発明は、上記第1乃至第3のいずれかの構成を有する支持装置において、前記支持部材は、上端部が前記第1フレーム部材に取り付けられることを特徴とする構成である。
【0011】
第5に、本発明は、上記第1乃至第4のいずれかの構成を有する支持装置において、前記支持部材は、防振部材を備えており、前記防振部材を介して前記取付片に接続されることを特徴とする構成である。
【0012】
第6に、本発明は、上記第1乃至第5のいずれかの構成を有する支持装置において、前記第1フレーム部材及び前記第2フレーム部材のそれぞれは、縦板部と横板部とを有するL型のアングル鋼材によって構成され、前記フレーム枠体は、前記第1フレーム部材の横板部と前記第2フレーム部材の横板部とを互いに接合させた状態で井桁状に組み付けられることを特徴とする構成である。
【0013】
第7に、本発明は、上記第1乃至第6のいずれかの構成を有する支持装置において、前記吊り部材の上端部には、前記天井構造に取り付けられたボルトに固定するための天井取付金具が予め取り付けられることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来の支持装置よりも耐震性能を向上させた支持装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】支持装置を示す斜視図である。
図2】空気調和機に支持装置を組み付けた状態を示す斜視図である。
図3】空気調和機を示す斜視図である。
図4】空気調和機の一構成例を示す斜視図である。
図5】第1規制部材の取付態様の一例を示す図である。
図6】第2規制部材の取付態様の一例を示す図である。
図7】支持装置が空気調和機に取り付けられた状態を前方側の正面から視た図である。
図8】支持装置が空気調和機に取り付けられた状態を横方向から視た左側面図である。
図9】ブレースボルトを用いて吊りボルトを補強した支持装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態である支持装置1を示す斜視図である。この支持装置1は、天井吊り下げ物を天井空間に吊り下げた状態で支持する装置である。本実施形態では、天井吊り下げ物として、隠蔽式の空気調和機100を例示する。隠蔽式の空気調和機100は、天井スラブやデッキプレートなどの天井構造と天井パネルとの間の天井空間に隠蔽された状態で設置される空気調和機である。図2は、天井吊り下げ物である空気調和機100に対して支持装置1を組み付けた状態を示す斜視図である。図3は、その空気調和機100を示す斜視図であり、図4は、空気調和機100の構成例を示す斜視図である。これらの図面に示すXYZ三次元座標系は、XY平面を水平面とし、Z方向を鉛直方向とする座標系であり、各図において互いに共通する座標系である。尚、他の図に示す三次元座標系も同様である。
【0018】
天井吊り下げ物である空気調和機100は、平面視略矩形状の箱形ユニットである。本実施形態において、空気調和機100の左右方向とはXYZ三次元座標系におけるX方向であり、前後方向とは同座標系におけるY方向である。この空気調和機100は、図3に示すように、空気調和機本体110と、吹出チャンバ120と、吸気チャンバ130とが前後方向(Y方向)に沿って直列に一体的に組み付けられる装置である。空気調和機本体110は、内部に熱交換機やファンなどの機械的動作機構が設けられている。これに対し、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130は、内部が空洞の軽量チャンバである。そのため、空気調和機100において、空気調和機本体110の重量割合が高く、空気調和機100全体の重心位置は空気調和機本体110にある。
【0019】
また、空気調和機本体110の重心位置は、比較的低い位置にある。そのため、例えば図4に示すように、空気調和機本体110は、左右両側面110a,110bの下部に、吊りボルトなどのボルト部材を連結するための取付片111,111を備えている。これら取付片111,111は、空気調和機本体110の荷重を支える強度を有している。例えば、左側面110aの下部には、所定間隔離れた2箇所の位置に取付片111,111が取り付けられ、右側面110bの下部にも、左側面110aと同じ位置に取付片111,111が設けられている。空気調和機本体110は、左右両側面110a,110bに設けられた合計4つの取付片111に吊りボルトなどにボルト部材が接続され、吊り下げられた状態で支持される。
【0020】
また、空気調和機本体110は、後方側にフィルタユニット112を備えている。そのフィルタユニット112の後方側の端面110dの中央には、吸気口が設けられている。また、空気調和機本体110は、前方側の端面110cの中央に吹出口が設けられている。空気調和機本体110は、後方側の吸気口から空気を流入させ、フィルタユニット112で塵埃などを除去した後、内部で温度調整を行い、温度調整された空気を前方側の吸気口から吹き出す。空気調和機本体110は、前方側の吹出口の周縁部を前方側に突出させたスリーブ状の接続部113を有している。この接続部113は、空気調和機本体110の前方側に吹出チャンバ120を接続するためのものである。また、空気調和機本体110は、後方側の吸気口の周縁部を後方側に突出させたスリーブ状の接続部115を有している。この接続部115は、空気調和機本体110の後方側に吸気チャンバ130を接続するためのものである。尚、これらの接続部113,115は、前後方向の各端面110c,110dのサイズよりも若干小さくなっている。
【0021】
吹出チャンバ120は、空気調和機本体110と対向する面120aの中央に開口が設けられており、その開口を介して空気調和機本体110の吹出口から吹き出される空気をチャンバ内部に流入させることができる。吹出チャンバ120は、その開口の周縁部を空気調和機本体110に向けて突出させたスリーブ状の接続部122を有している。この接続部122は、空気調和機本体110の前方側に形成されている接続部113の内側又は外側に嵌め込むことが可能である。例えば、吹出チャンバ120の接続部122を空気調和機本体110の接続部113に嵌め込んだ状態で外側からビスなどを打ち込むことにより、吹出チャンバ120は空気調和機本体110の前方側に取り付けられる。
【0022】
また、吸気チャンバ130は、空気調和機本体110と対向する面130aの中央に開口が設けられており、その開口を介してチャンバ内の空気を空気調和機本体110に送り込むことができる。吸気チャンバ130は、その開口の周縁部を空気調和機本体110に向けて突出させたスリーブ状の接続部132を有している。この接続部132は、空気調和機本体110の後方側に形成されている接続部115の内側又は外側に嵌め込むことが可能である。例えば、吸気チャンバ130の接続部132を空気調和機本体110の接続部115に嵌め込んだ状態で外側からビスなどを打ち込むことにより、吸気チャンバ130は空気調和機本体110の後方側に取り付けられる。
【0023】
吸気チャンバ130は、図示を省略するダクト接続部を備えており、そのダクト接続部に外気を取り込むためのダクトが接続される。また、吹出チャンバ120は、図4に示すように周囲側面に少なくとも1つのダクト接続部121を備えている。このダクト接続部121には、温度調整された空気を室内空間へ導くための送風ダクトが接続される。そのため、空気調和機100は、吸気チャンバ130を介して外気を空気調和機本体110に取り込み、温度調整された空気を少なくとも1つの室内空間に供給することができる。
【0024】
また、吹出チャンバ120は、前方側の端面120bの上部に取り付けられる取付片125を備えている。この取付片125は、ビス126を用いて取り付け可能であるため、左右方向(X方向)の任意の位置に取り付け可能である。更に、吸気チャンバ130は、後方側の端面130bの上部に取り付けられる取付片135を備えている。この取付片135も上記と同様に、ビス136を用いて取り付け可能であるため、左右方向(X方向)の任意の位置に取り付け可能である。これら取付片125,135は、ボルト部材を接続して上方に持ち上げることにより、各チャンバの端面120b,130bが自重によって下向き姿勢となってしまうことを防止するためのものである。
【0025】
本実施形態の支持装置1は、上述のように空気調和機本体110の前後に吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130が一体的に組み付けられた空気調和機100を支持するように構成される。以下、支持装置1の詳細について説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の支持装置1は、フレーム枠体2と、吊り部材3と、支持部材4と、規制部材5とを備えている。この支持装置1は、空気調和機100の上面側に配置され、空気調和機本体110の左右両側面に設けられた取付片111を支持すると共に、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130のそれぞれの端面に取り付けられた取付片125,135を支持する。
【0027】
フレーム枠体2は、空気調和機100の上面側を左右方向に沿って互いに平行に配置される複数の第1フレーム部材11,11と、空気調和機100の上面側を第1フレーム部材11,11に直交する前後方向に沿って互いに平行に配置される複数の第2フレーム部材21,21と、を井桁状に組み付けて構成される枠体である。例えば、本実施形態では、2本の第1フレーム部材11,11と、2本の第2フレーム部材21,21とにより、井桁状のフレーム枠体2が構成される。
【0028】
第1フレーム部材11は、例えば断面L型のアングル鋼材(山形鋼)によって構成され、互いに直角を成す横板部12と縦板部13とを有している。第1フレーム部材11は、横板部12が水平なXY平面と平行となるように配置され、縦板部13が鉛直方向のXZ平面と平行となるように配置される。そして2本の第1フレーム部材11,11は、空気調和機本体110の左右両側面110a,110bに設けられている取付片111の間隔に合わせて互いに平行な状態に配置される。
【0029】
また、第2フレーム部材21も、例えば断面L型のアングル鋼材によって構成され、互いに直角を成す横板部22と縦板部23とを有している。第2フレーム部材21は、横板部22が水平なXY平面と平行となるように配置され、縦板部23が鉛直方向のYZ平面と平行となるように配置される。そして2本の第2フレーム部材21,21は、例えば吊り部材3を設置する間隔に合わせて互いに平行な状態に配置される。
【0030】
第1フレーム部材11は、横板部12が縦板部13の上に位置するように配置され、第2フレーム部材21は、横板部22が縦板部23の下に位置するように配置される。そして第1フレーム部材11は、空気調和機本体110の上面から所定高さの位置で空気調和機本体110を左右方向に横断するように配置され、第2フレーム部材21は、第1フレーム部材11の横板部12に対して横板部22を接合させた状態で空気調和機100の上方を前後方向に縦断するように配置される。そして第1フレーム部材11と第2フレーム部材21の交点は、ボルトとナットから成る交点連結部材25によって固定される。
【0031】
第1フレーム部材11は、その両端が空気調和機本体110の左右両側面に設けられている取付片111の上方位置を超える位置まで延設される。つまり、第1フレーム部材11は、空気調和機本体110の左右方向の長さよりも長尺である。一方、第2フレーム部材21は、その両端が空気調和機100の前後方向の両端面を超える位置まで延設される。つまり、第2フレーム部材21は、空気調和機100の前後方向の長さよりも長尺である。ただし、第2フレーム部材21は、1本のフレーム部材によって構成されるものに限られず、複数のフレーム部材を組み付けることによって空気調和機100の前後方向の長さよりも長尺となるように構成されるものであっても構わない。
【0032】
吊り部材3は、フレーム枠体2を、天井スラブなどの天井構造に吊り下げるための部材である。すなわち、吊り部材3は、その上端部が天井構造に接続され、下端部がフレーム枠体2に接続される。例えば、吊り部材3は、フレーム枠体2の4箇所の位置に取り付けられ、それら4箇所の位置でフレーム枠体2を支持する。
【0033】
吊り部材3は、吊りボルト31と、天井取付金具32とを備えている。吊りボルト31の下端部は、フレーム枠体2に接続される。例えば本実施形態では、吊りボルト31の下端部は、第2フレーム部材21の横板部22に固定される。第2フレーム部材21の横板部22には、吊りボルト31の取付位置に孔が形成されており、その孔に吊りボルト31が挿通される。そして横板部22を挟んで吊りボルト31に装着される2つのナットが横板部22の上面及び下面に締着されることにより、吊りボルト31の下端部が第2フレーム部材21に固定される。
【0034】
吊りボルト31の上端部には天井取付金具32が取り付けられる。この天井取付金具32は、天井構造に予め取り付けられているボルト部材に対して吊りボルト31を連結するための金具である。例えば、天井取付金具32は、特開2020-12344号公報に記載されている「天井設置金具」と同様のものである。すなわち、天井取付金具32は、天井構造に取り付けられるボルト部材を挿入可能な取付孔を有し、吊りボルト31の軸回りに回動することにより、取付孔をボルト部材の位置に適合させてボルト部材を取付孔へ挿入させることが可能な金具である。吊りボルト31の上端部に天井取付金具32を取り付けることにより、空気調和機100を天井空間に吊り下げる前に床面作業で支持装置1を空気調和機100に装着することが可能である。そして床面上で支持装置1を空気調和機100に装着した後、空気調和機100と支持装置1とを同時に持ち上げて天井取付金具32を天井構造から垂下するボルト部材に取り付けることにより、空気調和機100を支持する支持装置1を天井構造に固定することができる。つまり、支持装置1は、吊り部材3に天井取付金具32を設けているため、支持装置1を空気調和機に100に取り付ける作業を床面上で簡単且つ効率的に行うことができるのである。
【0035】
支持部材4は、空気調和機100を支持する部材である。この支持部材4は、上端部がフレーム枠体2に取り付けられてフレーム枠体2から垂下し、下端部が空気調和機100に接続される。すなわち、支持部材4は、フレーム枠体2の下方に空気調和機100を吊り下げた状態で支持する。
【0036】
支持部材4は、空気調和機本体110を支持する第1支持部材4aと、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130のそれぞれを支持する第2支持部材4bとを備えている。第1支持部材4aは、第1フレーム部材11の両端部に取り付けられ、空気調和機本体110の左右両側面110a,110bのそれぞれに設けられている取付片111を支持する。第2支持部材4bは、第2フレーム部材21の両端部に取り付けられ、吹出チャンバ120の前方側の端面120bに取り付けられる取付片125、及び、吸気チャンバ130の後方側の端面130bに取り付けられる取付片135を支持する。
【0037】
第1支持部材4aは、図1及び図2に示すように、第1フレーム部材11に固定される支持ボルト41と、支持ボルト41の下部に設けられる防振部材42とを備えている。支持ボルト41は、第1フレーム部材11の横板部12に固定される。例えば図5に示すように、第1フレーム部材11の横板部12の両端近傍の所定位置には、支持ボルト41を挿通するための孔14が形成されており、その孔14に支持ボルト41が挿通される。そして横板部12を挟んで支持ボルト41に装着される2つのナット44,44が横板部12の上面及び下面に締着されることにより、支持ボルト41の上端部が第1フレーム部材11に固定される。防振部材42は、その支持ボルト41の下部に取り付けられる。例えば図5に示すように、防振部材42は、概略コ字状に形成された金属製の部材であり、上板部42aに形成された孔にゴムなどで形成された保持部材43aが装着され、その保持部材43aがコイルバネなどで形成される弾性部材43を保持する構成である。支持ボルト41の下部は、保持部材43aに形成された孔を介して弾性部材43の内側に挿通され、下端部にナット43bが装着される。つまり、支持ボルト41は、弾性部材43の下面側を支持するように装着される。そして防振部材42の下板部42bが、ボルトとナットを介して空気調和機本体110の取付片111に固定される。したがって、フレーム枠体2から垂下する支持ボルト41は、防振部材42を介して空気調和機本体110の側面を支持することになる。支持ボルト41が防振部材42を介して空気調和機本体110を支持することにより、空気調和機本体110の稼働中に熱交換機やファンなどが動作することによって発生する振動がフレーム枠体2に伝播することを抑制することができる。つまり、防振部材42は、空気調和機100の運転中に生じる機械的振動が天井構造に伝わることを防止するための部材である。
【0038】
第2支持部材4bは、図1に示すように、第2フレーム部材21に固定される支持ボルト45と、支持ボルト45を第2フレーム部材21に固定するための固定部材46と、支持ボルト45の下部に設けられる防振部材47とを備えている。支持ボルト45は、例えば第2フレーム部材21の縦板部23に固定される。第2フレーム部材21の縦板部23の両端近傍の所定位置には、固定部材46を縦板部23に固定するためのボルトを挿通する孔が形成されており、その孔にボルトが挿通される。このボルトは、固定部材46に形成されている孔にも挿通され、ボルト先端にナットが締着されることにより、固定部材46が縦板部23に固定される。また、固定部材46は、縦板部23との間に支持ボルト41を挟み込むためにU字状に切り欠いたボルト保持部を有しており、そのボルト保持部の内側に支持ボルト45を保持する。支持ボルト45の上端部は、固定部材46のボルト保持部によって保持された状態でボルトとナットが締結されることにより、固定部材46と縦板部23との間に挟み込まれた状態で固定される。防振部材47は、例えばゴムなどによって円錐台状又は円筒状に形成された弾性部材で構成される。防振部材47にはその中心に支持ボルト45を挿通可能な孔が形成されており、下面側にワッシャーが配置される。支持ボルト45は、下部が取付片125,135に形成された孔に挿通され、取付片125,135から下方に突出する先端に防振部材47が装着される。すなわち、支持ボルト45の下部は、防振部材47に形成された孔及びワッシャーに挿通され、その先端にナットが装着される。これにより、取付片125,135は、その下面側が防振部材47によって支持されることになる。第2支持部材4bは、防振部材47を介して取付片125,135の下面側を支持することにより、空気調和機100の稼働中に熱交換機やファンなどが動作することによって発生する振動がフレーム枠体2に伝播することを抑制することができる。つまり、防振部材47は、上述した防振部材42と同様に、空気調和機100の運転中に生じる機械的振動が天井構造に伝わることを防止するための部材である。
【0039】
規制部材5は、フレーム枠体2に取り付けられ、空気調和機100の左右方向及び前後方向の振れを規制する部材である。この規制部材5は、フレーム枠体2に取り付けられる。具体的には、規制部材5は、空気調和機100の左右方向及び前後方向の端面に当接するようにフレーム枠体2に固定されることで空気調和機100がフレーム枠体2に対して左右方向及び前後方向のそれぞれに相対変位してしまうことを規制する。
【0040】
規制部材5は、空気調和機100の左右方向の振れを規制する第1規制部材5aと、空気調和機100の前後方向の振れを規制する第2規制部材5bとを備えている。第1規制部材5aは、空気調和機本体110の左右両側面110a,110bに当接することで空気調和機100の左右方向の振れを規制する。第2規制部材5bは、空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dに当接することで空気調和機100の前後方向の振れを規制する。
【0041】
上述したように、空気調和機100は、空気調和機本体110の重量割合が高く、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130の重量割合が低い。そのため、地震発生に伴う加速度が作用すると、空気調和機本体110には大きな力が加わるのに対し、吹出チャンバ120や吸気チャンバ130に加わる力は比較的小さい。そこで、本実施形態では、規制部材5を空気調和機本体110の左右方向及び前後方向の端面に当接させた状態に設置することにより、空気調和機本体110が左右方向及び前後方向に大きく揺動することを規制し、それによって空気調和機100全体の振れを小さくするようにしている。
【0042】
第1規制部材5aは、例えば第1フレーム部材11の両端部に取り付けられる。本実施形態における第1規制部材5aは、第1支持部材4aと同じ位置に、第1支持部材4aと共に第1フレーム部材11に固定できるようにしている。
【0043】
図5は、第1規制部材5aの取付態様の一例を示す図である。図5に示すように、第1フレーム部材11の横板部12の所定位置には、支持ボルト41を挿通するための孔14が形成されており、その孔14に第1支持部材4aが取り付けられる。第1規制部材5aは、L型に折れ曲がった金属部材51によって構成され、第1フレーム部材11の横板部12の上面に接合する平板部51aと、平板部51aから下方に垂下する縦板部51bとを有している。また、第1規制部材5aは、縦板部51bの先端部に装着されるゴムなどで形成された緩衝部材52を備えている。この緩衝部材52は、少なくとも空気調和機本体110の側面110a,110bと当接する位置に配置される。つまり、第1規制部材5aは、緩衝部材52を介して空気調和機本体110の側面110a,110bに当接するのである。平板部51aには、孔14と略同径の孔が形成されており、第1フレーム部材11の横板部12の孔14に挿通された支持ボルト41の上端部を平板部51aの孔に挿通することができる。そして平板部51aから上方に突出する支持ボルト41の先端にナット44を装着することで、第1規制部材5aは、第1支持部材4aと同じ位置に固定される。このように第1規制部材5aを第1支持部材4aと共に第1フレーム部材11に固定できるようにすることで、空気調和機100に支持装置1を組み付ける作業を軽減することができる。ただし、これに限られるものではなく、第1規制部材5aは、第1支持部材4aとは別に第1フレーム部材11に固定されるものであっても構わない。
【0044】
第1規制部材5aは、第1フレーム部材11に固定されると、緩衝部材52が空気調和機本体110の側面110a,110bに当接した状態となる。第1規制部材5aは、金属製であり、しかも左右方向(X方向)に一定の幅を有していることから、左右方向の力が働いた場合であっても変形し難い部材である。例えば、地震発生時に空気調和機100が左右方向に振動しようとした場合でも、空気調和機本体110の左右両側面110a,110bに第1規制部材5aが当接しているため、空気調和機本体110の左右方向の振動を規制することができる。そのため、第1規制部材5aは、空気調和機100の左右方向の振れを小さく抑えることができる。特に、1本の第1フレーム部材11の両端部に取り付けられている一対の第1規制部材5a,5aは、地震が発生してもその間隔を変化させることがない。そのため、地震発生時においてもそれら一対の第1規制部材5aが空気調和機本体110の左右両側面110a,110bのそれぞれに当接した状態を良好に維持することから、左右方向に関して空気調和機100がフレーム枠体2に対して相対変位することを良好に防止することができる。
【0045】
第2規制部材5bは、例えば第2フレーム部材21に取り付けられる。本実施形態における第2規制部材5bは、例えば空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dの上方位置に取り付けられる。
【0046】
図6は、第2規制部材5bの取付態様の一例を示す図である。図6に示すように、第2規制部材5bは、金属製のボルト部材55と、緩衝部材56と、ナット57,57とを備えて構成される。第2フレーム部材21の横板部12には、第2規制部材5bの取付位置に、ボルト部材55を挿通するための孔24が形成されている。ボルト部材55は、その孔14に挿通され、2つのナット57,57を横板部12の上面側及び下面側に装着して締め付けることにより、第2フレーム部材21の横板部12に固定される。第2フレーム部材21の横板部22から下方に延びるボルト部材55の先端部には、ゴムなどで形成される緩衝部材56が装着される。この緩衝部材56は、少なくとも空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dと当接する位置に配置される。
【0047】
第2規制部材5bは、第2フレーム部材21に固定されると、緩衝部材56が空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dに当接した状態となる。具体的には、第2規制部材5bは、空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dの上部に当接した状態となる。そのため、第2規制部材5bは、第2フレーム部材21に固定されている位置から空気調和機本体110の端面110c,110dに当接する位置までの距離が比較的短く、支持ボルト41などと比較すると短尺のボルト部材55を用いることができる。そのため、第2規制部材5bは、剛性が高く、空気調和機本体110の端面110c,110dから横方向の力を受けたとしても変形し難い部材として形成される。例えば、地震発生時に空気調和機100が前後方向に振動しようとした場合でも、空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dに第2規制部材5bが当接しているため、空気調和機本体110の前後方向の振動を規制することができる。そのため、第2規制部材5bは、空気調和機100の前後方向の振れを小さく抑えることができる。特に、1本の第2フレーム部材21の2箇所の位置に取り付けられている一対の第2規制部材5b,5bは、地震が発生してもその間隔を変化させることがなく、それら一対の第2規制部材5b,5bは、空気調和機本体110の前方側の端面110cと後方側の端面110dのそれぞれに当接している。そのため、地震発生時において、それら一対の第2規制部材5b,5bは、空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dのそれぞれに当接した状態を良好に維持し、前後方向に関して空気調和機100がフレーム枠体2に対して相対変位することを良好に防止することができる。
【0048】
図7は、支持装置1が空気調和機100に取り付けられた状態を前方側の正面から視た図である。尚、図7では、吹出チャンバ120の図示を省略している。図7に示すように、支持装置1は、空気調和機100に組み付けられると、第1規制部材5aが空気調和機本体110の左右両側面110a,110bに当接する。そのため、地震発生時において左右方向(X方向)の振れが作用した場合であっても、空気調和機本体110はフレーム枠体2に対して相対的に左右方向に振れてしまうことがない。つまり、第1規制部材5aは、地震発生時における空気調和機100の左右方向の振動を抑制することができる。そのため、本実施形態の支持装置1は、空気調和機本体110の側面を支持する支持ボルト41や、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130を支持する支持ボルト45を補強することなく、空気調和機100の左右方向の振動を抑制することが可能である。
【0049】
また、図7に示すように、支持装置1が空気調和機100に組み付けられると、第2規制部材5bは、空気調和機本体110の前後方向(Y方向)の端面の上部に当接している。図8は、支持装置1が空気調和機100に取り付けられた状態を横方向から視た左側面図である。図8に示すように、支持装置1が空気調和機100に組み付けられると、第2規制部材5bは、空気調和機本体110の前後方向(Y方向)の端面110c,110dに当接する。そのため、地震発生時において前後方向(Y方向)の振れが作用した場合であっても、空気調和機本体110はフレーム枠体2に対して相対的に前後方向に振れてしまうことがない。つまり、第2規制部材5bは、地震発生時における空気調和機100の前後方向の振動を抑制する。そのため、本実施形態の支持装置1は、空気調和機本体110の側面を支持する支持ボルト41や、吹出チャンバ120及び吸気チャンバ130を支持する支持ボルト45を補強することなく、空気調和機100の前後方向の振動を抑制することが可能である。
【0050】
このように本実施形態の支持装置1は、フレーム枠体2に取り付けられる第1規制部材5a及び第2規制部材5bを備えており、空気調和機100を支持する支持ボルト41,45を補強することなく、空気調和機100の左右方向及び前後方向の振れを防止することができる構成である。そのため、従来のように、地震発生時にフレーム枠体から垂下する支持ボルト41,45が大きく振動してしまうことによって空気調和機も大きく振動してしまうことを良好に防止することが可能である。
【0051】
また本実施形態の支持装置1は、空気調和機100の左右方向の振れを規制する第1規制部材5aを、第1フレーム部材11に取り付けている。第1フレーム部材11は、空気調和機100の上面側を左右方向に横断するように配置されている。そのため、比較的大規模な地震が発生した場合においても、第1規制部材5aは、空気調和機100の左右両側面110a,110bに当接した状態を維持し、空気調和機100の左右方向の振れを良好に抑制することができる。
【0052】
また本実施形態の支持装置1は、空気調和機100の前後方向の振れを規制する第2規制部材5bを、第2フレーム部材21に取り付けている。第2フレーム部材21は、空気調和機100の上面側を前後方向に縦断するように配置されている。そのため、比較的大規模な地震が発生した場合においても、第2規制部材5bは、空気調和機100の前後方向の端面110c,110dに当接した状態を維持し、空気調和機100の前後方向の振れを良好に抑制することができる。
【0053】
また第1規制部材5a及び第2規制部材5bは、空気調和機100の側面(端面)と当接する部分に緩衝部材52,56を設けている。そのため、地震発生時には、緩衝部材52,56が衝撃を吸収するため、空気調和機100の側面(端面)を破損させることがない。
【0054】
また本実施形態の支持装置1は、空気調和機100の左右両側面110a,110bを支持する一対の第1支持部材4aの上端部を第1フレーム部材11の両端部に取り付けている。第1フレーム部材11は、空気調和機100の上面側を左右方向に横断するように配置されている。そのため、比較的大規模な地震が発生した場合においても、一対の第1支持部材4aの間隔は変わらないため、一対の第1支持部材4aは、フレーム枠体2に対する空気調和機100の支持位置を一定状態に保持することができる。
【0055】
また本実施形態の支持装置1は、支持部材4に防振部材42,47を設けている。そのため、空気調和機100の運転中に発生する振動が天井構造に伝播してしまうことを防止することが可能である。
【0056】
更に本実施形態の支持装置1は、吊り部材3の上端部は、天井構造に取り付けられたボルトに固定するための天井取付金具32が予め取り付けられている。そのため、支持装置1を空気調和機100に組み付ける際には、床面で作業を行うことができるため、高所作業を軽減することができるという利点がある。
【0057】
ところで、上述した支持装置1では、フレーム枠体2に取り付けられる吊り部材3の吊りボルト31が比較的短尺である場合を例示した。吊りボルト31が短尺である場合には、特に吊りボルト31を補強する必要はない。しかし、吊りボルト31の長さが一定の長さを超える場合には、地震発生時に吊りボルト31が大きく振れることとなり、空気調和機100の振れ幅が大きくなる。そのような吊りボルト31の振れを防止するためには、互いに隣接する一対の吊りボルト31,31の間に斜め補強材となるブレースボルトを取り付けることが好ましい。
【0058】
図9は、ブレースボルト35を用いて吊りボルト31を補強した支持装置1の構成例を示す図である。この支持装置1は、フレーム枠体2を天井構造に吊り下げるために、吊りボルト31と、天井取付金具32と、ブレースボルト35とを備えている。フレーム枠体2には、4本の吊りボルト31が平面視矩形となる頂点の位置に取り付けられている。それら4本の吊りボルト31は所定長さ以上あり、上端近傍位置及び下端近傍位置のそれぞれにブレース連結金具36が取り付けられる。ブレースボルト35は、互いに隣接する2本の吊りボルト31,31間に斜め方向に配置され、その両端部がブレース連結金具36によって互いに異なる吊りボルト31に連結固定される。2本の吊りボルト31,31間には、2本のブレースボルト35が交差するように配置される。これにより、4本の吊りボルト31は、ブレースボルト35によって相互に連結された状態に補強され、耐震強度が増す。尚、2本のブレースボルト35が交差する交差部には、図示を省略する交差連結金具を取り付け、2本のブレースボルト35の交差部を相互に固定することがより好ましい。
【0059】
図9に示すように、4本の吊りボルト31を、ブレースボルト35を用いて相互に連結することにより、地震発生時におけるフレーム枠体2の振動を抑制することが可能である。したがって、吊りボルト31の長さが所定長さ以上となる場合には、図9に示すように、互いに隣接する一対の吊りボルト31,31間にブレースボルト35を取り付けて吊りボルト31を補強した支持装置1を構成することが好ましい。
【0060】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態において説明したものに限定されるものではない。すなわち、本発明には、上記各実施形態において説明したものに種々の変形例を適用したものの含まれる。
【0061】
例えば、上記実施形態では、天井吊り下げ物として、空気調和機100を例示し、空気調和機100が空気調和機本体110に対して吹出チャンバ120と吸気チャンバ130とが装着された構成である場合を例示した。しかし、本実施形態の支持装置1が支持する対象は、空気調和機本体110のみであっても良いし、空気調和機本体110に対して吹出チャンバ120のみが組み付けられた空気調和機100であっても良い。
【0062】
また、上記実施形態では、天井吊り下げ物の一例として隠蔽式の空気調和機100を例示した。しかし、上述した支持装置1を使用して吊り下げ可能な物体は、必ずしも隠蔽式の空気調和機100に限られない。例えば、上述した支持装置1は、パッケージエアコンなどのように一部が天井パネルの開口部から室内側に露出した状態に配置される空気調和機に適用することも可能である。また、上述した支持装置1を使用して吊り下げ可能な物体は、空気調和機にも限られない。すなわち、上述した支持装置1は、概略箱形形状を有する天井吊り下げ物を天井構造に吊り下げた状態で良好に支持することができる装置である。
【0063】
また、上記実施形態の支持装置1は、第1フレーム部材11と第2フレーム部材21とを互いに接合させたフレーム枠体2を備える例を説明した。しかし、フレーム枠体2において、第1フレーム部材11と第2フレーム部材21とは必ずしも互いに接合していなくても構わない。例えば、フレーム枠体2は、第1フレーム部材11と第2フレーム部材21との間に所定間隔を設けた状態で井桁状に組み付けられるものであっても構わない。
【0064】
また、上記実施形態におけるフレーム枠体2は、第1フレーム部材11を第2フレーム部材21の下側に配置した例を説明した。しかし、これに限られるものでもない。すなわち、フレーム枠体2は、第1フレーム部材11を第2フレーム部材21も上側に配置されるものであっても良いし、第1フレーム部材11と第2フレーム部材21とを同一平面に配置したものであっても構わない。
【0065】
また、上記実施形態では、第1規制部材5aは、第1フレーム部材11に取り付けられる場合を例示した。しかし、第1規制部材5aは、第2フレーム部材21に取り付けられるものであっても構わない。ただし、第1規制部材5aを第2フレーム部材21に取り付けると、地震発生時に空気調和機本体110の左右両側面110a,110bに当接している一対の第1規制部材5aの間隔が若干変動するため、空気調和機100の左右方向の振れ止め効果が若干低下する可能性がある。それを防止するためには、第1規制部材5aは、上述したように左右方向に配置される第1フレーム部材11の両端部に取り付けることが好ましい。
【0066】
また、第1規制部材5aは、上述したようにフレーム枠体2に対して直接取り付けられるのではなく、フレーム枠体2に対して間接的に取り付けられるものであっても構わない。例えば、第1規制部材5aは、第1フレーム部材11に取り付けるのではなく、支持部材4(例えば第1支持部材4a)に取り付けるようにしても良い。
【0067】
また、上記実施形態では、第2規制部材5bは、第2フレーム部材21に取り付けられる場合を例示した。しかし、第2規制部材5bは、第1フレーム部材11に取り付けられるものであっても構わない。例えば、2本の第1フレーム部材11の間隔を空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dの間隔に合わせてフレーム枠体2を形成すれば、第2規制部材5bを第1フレーム部材11に取り付けることができる。ただし、第2規制部材5bを第1フレーム部材11に取り付けると、地震発生時に空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dに当接している一対の第2規制部材5bの間隔が若干変動するため、空気調和機100の前後方向の振れ止め効果が若干低下する可能性がある。それを防止するためには、第2規制部材5bは、上述したように前後方向に配置される第2フレーム部材21に取り付けることが好ましい。
【0068】
また、第2規制部材5bは、上述したようにフレーム枠体2に対して直接取り付けられるのではなく、フレーム枠体2に対して間接的に取り付けられるものであっても構わない。例えば、第2規制部材5bは、第2フレーム部材21に対して直接取り付けるのではなく、フレーム枠体2の下方に突出する吊りボルト31に取り付けるようにしても良い。
【0069】
また、上記実施形態では、第2規制部材5bは、空気調和機本体110の前後方向の端面110c,110dに当接する例を説明した。しかし、第2規制部材5bは、吹出チャンバ120又は吸気チャンバ130の端面に当接し、空気調和機100の前後方向の振れを規制するものであっても構わない。この場合、第2規制部材5bは、第2フレーム部材21に取り付けるのではなく、支持部材4(例えば第2支持部材4b)に取り付けるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0070】
1…支持装置、2…フレーム枠体、3…吊り部材、4…支持部材、4a…第1支持部材、4b…第2支持部材、5…規制部材、5a…第1規制部材、5b…第2規制部材、31…吊りボルト、32…天井取付金具、41,45…支持ボルト、42,47…防振部材、100…空気調和機(天井吊り下げ物)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9