(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】識別システム
(51)【国際特許分類】
A63H 33/04 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A63H33/04 B
(21)【出願番号】P 2020203598
(22)【出願日】2020-12-08
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】志築 文太郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 圭汰
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-190662(JP,A)
【文献】特開2011-239993(JP,A)
【文献】特開2019-122484(JP,A)
【文献】齋藤圭汰 ほか,モジュラー型パルス遅延回路に基づく3Dモデリングのためのインタラクティブブロック,WISS 2020:第28回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ ,日本ソフトウェア科学会インタラクティブシステムとソフトウェア研究会,2020年12月18日,pp.1-6
【文献】齋藤 圭汰 ほか,Dial-B-Locks:ダイヤル付きブロックに基づく長さの変えられる入カインタフェース ,情報処理学会インタラクション2021論文集,情報処理学会,2021年03月12日,pp.557-558
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 33/00-33/42
G09B 1/00- 9/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号を生成する信号生成回路と、計測回路と、を有するベースと、
駆動信号入力端子と、駆動信号出力端子と、識別信号入力端子と、識別信号出力端子と、前記信号生成回路から入力される前記駆動信号に対して遅延する遅延信号を出力する遅延回路と、前記遅延回路に接続され、前記遅延信号に応じて識別信号を出力する識別回路とを有し、かつ前記ベースに電気的に接続可能、かつ取り外し可能であるように構成される識別子と、を有し、
前記遅延回路の入力端子は前記駆動信号入力端子に接続され、前記遅延回路の出力端子は前記識別回路の入力端子および前記駆動信号出力端子に接続され、前記識別回路の出力端子は前記識別信号出力端子に接続され、前記識別信号入力端子は前記識別信号出力端子に接続され、
前記ベースの前記信号生成回路の出力端子は、前記識別子の前記駆動信号入力端子に接続可能であり、前記ベースの前記計測回路の入力端子は、前記識別子の前記識別信号出力端子に接続可能であり、
前記計測回路は、前記識別回路に接続され、前記識別信号に基づき前記識別子の情報を識別する
ことを特徴とする識別システム。
【請求項2】
前記ベースに、n個(nは2以上の整数)の前記識別子が直列に接続されており、
前記ベースから数えてi番目(iは2≦i≦nを満たす正の整数)の前記識別子の前記駆動信号入力端子は、i-1番目の前記識別子の前記駆動信号出力端子に接続され、i番目の前記識別子は、i-1番目の前記識別子が出力する前記遅延信号に対して遅延する前記遅延信号を出力し、
i番目の前記識別子の前記識別信号出力端子は、i-1番目の前記識別子の前記識別信号入力端子に接続され、i番目の前記識別子の前記識別回路は、i-1番目の前記識別子に対して前記識別信号を出力し、
前記計測回路は、前記識別信号に基づき前記識別子の情報を識別する
ことを特徴とする請求項1に記載の識別システム。
【請求項3】
前記遅延回路による信号の遅延時間は、全ての前記識別子において一定の時間である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の識別システム。
【請求項4】
前記ベースは、前記信号生成回路と前記計測回路を一組とする識別子接続部を複数有し、
各々の前記識別子接続部には、前記識別子が直列に接続される、
ことを特徴とする請求項1~3にいずれか一項に記載の識別システム。
【請求項5】
更に、前記計測回路の計測結果に応じて信号を出力する出力部と、
前記出力部が出力する前記信号に駆動される表示部と、を有する
ことを特徴とする請求項1~4にいずれか一項に記載の識別システム。
【請求項6】
前記識別子は物体に取り付けられ、前記識別子が複数個ある場合は、複数の前記識別子は異なる複数の物体に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の識別システム。
【請求項7】
前記識別子はさらにセンサ部を有し、
前記識別回路は、前記センサ部に接続され、前記センサ部のセンシング結果に基づいて前記識別信号の強度を変化させる
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の識別システム。
【請求項8】
前記遅延回路は、前記信号生成回路に接続されるCR回路と、前記CR回路に接続される論理反転回路とを有する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の識別システム。
【請求項9】
前記信号生成回路は、パルスジェネレータであり、
前記識別回路は、前記論理反転回路に接続されるダイオードと前記ダイオードに接続される識別抵抗とを有し、
電流が前記識別抵抗から前記ダイオードに流れる方向が前記ダイオードの順方向であり、
前記計測回路は、電源回路と、前記電源回路に接続される基準抵抗と、前記基準抵抗の両端の電圧を計測する電圧計とを有し、かつ前記基準抵抗が前記識別抵抗に接続される
ことを特徴とする請求項8に記載の識別システム。
【請求項10】
前記信号生成回路は、パルスジェネレータであり、
前記識別回路は、前記論理反転回路に接続される識別抵抗を有し、
前記計測回路は、電源回路と、前記電源回路に接続される加算回路とを有し、かつ前記加算回路が前記識別抵抗に接続される
ことを特徴とする請求項8に記載の識別システム。
【請求項11】
前記識別抵抗は固定抵抗、可変抵抗または抵抗を変化させる素子または回路である
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の識別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遊戯端末装置と、該遊戯端末装置に通信ネットワークを介して接続されるサーバとで構成され、前記遊戯端末装置は、表示部及び操作検出部を備えており、前記操作検出部は、シート上での玩具ブロックの位置及び重量を検出する機能を備えており、前記サーバは、前記表示部に提示されたお手本に対する前記玩具ブロックの組み立て方を認識する組み立て方認識機能と、該組み立て方認識機能の認識結果に基づいて、前記遊戯端末装置に対して教示・指導の情報を呈示する教示・指導機能とを備えており、前記組み立て方認識機能は、前記操作検出部から得られる前記玩具ブロックの前記位置と前記重量、及び時刻のデータを抽出することによって、前記シート上に設置された複数の前記玩具ブロックの積まれた順序を認識し、出力することを特徴とする玩具ブロックシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の玩具ブロックシステムは、ブロックの種類や順番を識別することができないという問題があった。一方、ブロックの種類や順番を識別する方法として、通信機能を備えたマイクロコントローラを搭載することが提案されている。
【0005】
しかしながら、ブロック積み重ねの順番を認識するために、通信機能を備えたマイクロコントローラを搭載する場合、ブロックのコストが高くなる可能性がある。そのため、多数のブロックを判別するシステムを構築するのが難しいという問題があった。また、通信機能を使用しているので、ブロックの部品が多くなる。その結果、ブロックが大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、通信機能を内蔵せず、かつ少ない部品でも多数識別子の順番及び種類を認識できる識別システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明の一様態は、
駆動信号を生成する信号生成回路と、計測回路と、を有するベースと、
駆動信号入力端子と、駆動信号出力端子と、識別信号入力端子と、識別信号出力端子と、前記信号生成回路から入力される前記駆動信号に対して遅延する遅延信号を出力する遅延回路と、前記遅延回路に接続され、前記遅延信号に応じて識別信号を出力する識別回路とを有し、かつ前記ベースに電気的に接続可能、かつ取り外し可能であるように構成される識別子と、を有し、
前記遅延回路の入力端子は前記駆動信号入力端子に接続され、前記遅延回路の出力端子は前記識別回路の入力端子および前記駆動信号出力端子に接続され、前記識別回路の出力端子は前記識別信号出力端子に接続され、前記識別信号入力端子は前記識別信号出力端子に接続され、
前記ベースの前記信号生成回路の出力端子は、前記識別子の前記駆動信号入力端子に接続可能であり、前記ベースの前記計測回路の入力端子は、前記識別子の前記識別信号出力端子に接続可能であり、
前記計測回路は、前記識別回路に接続され、前記識別信号に基づき前記識別子の情報を識別する
ことを特徴とする識別システム。
(2)(1)に記載の識別システムは、前記ベースに、n個(nは2以上の整数)の前記識別子が直列に接続されており、
前記ベースから数えてi番目(iは2≦i≦nを満たす正の整数)の前記識別子の前記駆動信号入力端子は、i-1番目の前記識別子の前記駆動信号出力端子に接続され、i番目の前記識別子は、i-1番目の前記識別子が出力する前記遅延信号に対して遅延する前記遅延信号を出力し、
i番目の前記識別子の識別信号出力端子は、i-1番目の前記識別子の前記識別信号入力端子に接続され、i番目の前記識別子の前記識別回路は、i-1番目の前記識別子に対して前記識別信号を出力し、
前記計測回路は、前記識別信号に基づき前記識別子の情報を識別してもよい。
(3)(1)又は(2)に記載の識別システムは、前記遅延回路による信号遅延時間は、全ての前記識別子において一定の時間であってもよい。
(4)(1)~(3)に記載の識別システムは、前記ベースは、前記信号生成回路と前記計測回路を一組とする識別子接続部を複数有し、
各々の前記識別子接続部には、前記識別子が直列に接続されてもよい。
(5)(1)~(4)に記載の識別システムは、更に、前記計測回路の計測結果に応じて信号を出力する出力部と、
前記出力部が出力する前記信号に駆動される表示部と、を有してもよい。
(6)(1)~(5)に記載の識別システムは、前記識別子は物体に取り付けられ、前記識別子が複数のある場合は、複数個の前記識別子は異なる複数の物体に取り付けられてもよい。
(7)(1)~(6)に記載の識別システムは、前記識別子はさらにセンサ部を有し、
前記識別回路は、前記センサ部に接続され、前記センサ部のセンシング結果に基づいて前記識別信号の強度を変化させてもよい。
(8)(1)~(7)のいずれか一項に記載の識別システムは、前記遅延回路は、前記信号生成回路に接続されるCR回路と、前記CR回路に接続される論理反転回路とを有してもよい。
(9)(8)に記載の識別システムは、前記信号生成回路は、パルスジェネレータであり、
前記識別回路は、前記論理反転回路に接続されるダイオードと前記ダイオードに接続される識別抵抗とを有し、
電流が前記識別抵抗から前記ダイオードに流れる方向が前記ダイオードの順方向であり、
前記計測回路は、電源回路と、前記電源回路に接続される基準抵抗と、前記基準抵抗の両端の電圧を計測する電圧計とを有し、かつ前記基準抵抗が前記識別抵抗に接続されてもよい。
(10)(8)に記載の識別システムは、前記信号生成回路は、パルスジェネレータであり、
前記識別回路は、前記論理反転回路に接続される識別抵抗を有し、
前記計測回路は、電源回路と、前記電源回路に接続される加算回路とを有し、かつ前記加算回路が前記識別抵抗に接続されてもよい。
(11)(9)又は(10)に記載の識別システムは、前記識別抵抗は固定抵抗、可変抵抗または抵抗を変化させる素子または回路であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信機能を内蔵せず、かつ少ない部品でも多数識別子の順番及び種類を認識できる識別システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る識別システムの基本構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係る識別システムの基本構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る識別システムの基本構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る識別システムの基本構成の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る識別システムの基本構成の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る識別システムの基本構成の一例及び本発明の実施例に係るパルス遅延回路を示す図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係る識別システムの基本構成の一例を示す図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係る識別システムの基本構成の一例を示す図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る識別システムの基本構成の一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施例に係る識別システムのブロックの外観を示す図である。
【
図11】本発明の実施例に係る識別システムのブロックに内蔵する部品を示す写真である。
【
図12】本発明の実施例に係る識別システムのパルス測定ハードウェアに内蔵する部品を示す写真である。
【
図13】本発明の実施例に係る識別システムを使用して作成した作品を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0011】
以下に説明する「接続」とは、電気的な接続である。電気的な接続とは、電力や電気信号が伝達可能であることをいう。電気的な接続は、ケーブル、抵抗、コンデンサ、ダイオード、遮断器などの部品を介した接続であってもよい。
【0012】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る識別システム100を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態に係る識別システム100の基本構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る識別システム100はベース200と、第一ブロック300と第二ブロック400とを有する。ベース200は、信号生成回路210と計測回路220とを有する。第一ブロック300は、第一遅延回路310と、第一識別回路320と、第一駆動信号入力端子330と、第一駆動信号出力端子340と、第一識別信号入力端子350と、第一識別信号出力端子360とを有する。第二ブロック400は第二遅延回路410と、第二識別回路420と、第二駆動信号入力端子430と、第二駆動信号出力端子440と、第二識別信号入力端子450と、第二識別信号出力端子460とを有する。第一ブロック300及び第二ブロック400がそれぞれ識別子である。なお、第一ブロック300及び第二ブロック400の形状はブロックに限定されない。第一駆動信号入力端子330、第一駆動信号出力端子340、第一識別信号入力端子350及び第一識別信号出力端子360がそれぞれ識別子接続部である。
【0013】
第一ブロック300はベース200に接続している。第一ブロック300はベース200から取り外し可能であるように構成されている。第二ブロック400は第一ブロック300に接続している。第二ブロック400は第一ブロック300に取り外し可能であるように構成されている。第一ブロック300及び第二ブロック400とは同じ種類のものであってもよく、異なる種類のものであってもよい。
【0014】
(ベース)
第一ブロック300をベース200に置いたとき、信号生成回路210の入力端子は、第一駆動信号入力端子330に接続可能である。信号生成回路210は駆動信号を生成する。駆動信号として、パルス電圧及び高周波電圧が挙げられる。
【0015】
第一ブロック300をベース200に置いたとき、計測回路220は第一識別信号出力端子360に接続可能である。第一ブロック300の上に第二ブロック400を更に置いたとき、第一識別回路320及び第二識別回路420は、計測回路220に対して並列に接続している。計測回路220は、第一識別回路320及び第二識別回路420に生成される第一識別信号及び第二識別信号に基づき前記第一ブロック300及び第二ブロック400の情報を判定する。判定する情報は、ブロックの順番及び種類であってもよい。
【0016】
(第一ブロック)
第一遅延回路310の入力端子は第一駆動信号入力端子330に接続されている。第一遅延回路310の出力端子は、信号生成回路210の入力端子および第二駆動信号入力端子430に接続している。第一遅延回路310は、信号生成回路210から入力される駆動信号を入力される。第一遅延回路310は、駆動信号に対して遅延する第一遅延信号を出力する。
【0017】
第一識別回路320の出力端子は、第一識別信号出力端子360に接続している。第一識別信号出力端子360は第一識別信号入力端子350に接続されている。第一識別信号入力端子350及び第一識別回路320は、第一識別信号出力端子360に対して並列に接続している。第一識別信号出力端子360は計測回路220に接続可能である。第一識別回路320は第一遅延回路310によって生成される第一遅延信号を入力される。第一識別回路320は第一遅延信号に応じて第一識別信号を出力する。第一識別信号として、パルス電圧及び高周波電圧が挙げられる。
【0018】
(第二ブロック)
第二遅延回路410の入力端子は、第二駆動信号入力端子に接続している。第二駆動信号入力端子430は第一駆動信号出力端子340に接続可能である。第一ブロック300及び第二ブロック400が接続している場合、第二遅延回路410は、第一遅延回路310から入力される第一遅延信号を入力される。第二遅延回路410は、第一遅延信号に対して遅延する第二遅延信号を出力する。第二識別信号が出力されるのは第一識別信号よりも後であるので、計測回路220で信号の計測される順番をモニタリングすることでブロックの順番を識別することができる。また、第一識別信号及び第二識別信号の強度が異なるので、計測回路220で信号の強度を計測することでブロックの種類を識別することができる。第二遅延信号対する第一遅延信号の遅延時間と、第一遅延信号対する駆動信号の遅延時間とは同じであることが好ましい、これにより第一ブロック300と第二ブロック400とが同じ種類のものである場合でも、ブロックの順番をより確実に判別することができる。
【0019】
第二識別回路420の入力端子は、第二遅延回路410の出力端子に接続している。第二識別回路420の出力端子は第二識別信号出力端子に接続している。第二識別信号出力端子460は第二識別信号入力端子450に接続されている。第二識別信号入力端子450及び第二識別回路420は、第二識別信号出力端子460に対して並列に接続している。第二識別信号出力端子460は第一識別信号入力端子に接続可能である。第二識別回路420は第二遅延回路410によって生成される第二遅延信号を入力される。第二識別回路420は第二遅延信号に応じて第二識別信号を出力する。第二識別信号として、パルス電圧及び高周波電圧が挙げられる。
【0020】
第一ブロック300及び第二ブロック400とが同じ種類のものである場合は、第二識別信号は第一識別信号と同じ強度である。一方、第一ブロック300及び第二ブロック400とが異なる種類のものである場合は、第二識別信号は第一識別信号と異なる強度である。これにより、ブロックの種類を確実に識別することができる。
【0021】
第一識別信号が出力されている間の少なくとも一定時間において、第二識別信号は出力されないことが好ましい。また、第二識別信号が出力されている間の少なくとも一定時間において、第一識別信号は出力されない。これにより、計測回路220が第一識別信号と第二識別信号とを確実に判別することができる。その結果、ブロックの順番及び種類を確実に判別することができる。第一識別信号が出力されている間、第二識別信号は出力されないことがより好ましい。また、第二識別信号が出力されている間、第一識別信号は出力されないことがさらに好ましい。これにより、計測回路220が第一識別信号と第二識別信号とをより確実に判別することができる。
【0022】
以下において、本発明の第1実施形態に係る識別システム100の動作の流れを説明する。
【0023】
信号生成回路210は、駆動信号を第一遅延回路310に出力する。これにより、第一遅延回路310を駆動させる(ステップS101)。第一遅延回路310は、駆動信号に対して遅延した第一遅延信号を、第一識別回路320及び第二遅延回路410に出力する(ステップS102)。第一識別回路320は、第一遅延信号に駆動される。第一識別回路320は、第一識別信号を出力する。この時、第二遅延信号に駆動されて生成される第二識別信号は、第一遅延信号に駆動されて生成する第一識別信号よりも後に出力される。そのため、第一識別信号及び第二識別信号が出力される順番により、ブロックが積まれた順番を識別することができる。この時、第一識別信号を出力されている間の少なくとも一定時間では、第二識別回路420は第二識別信号を出力しない。これにより、第二識別信号の強度が第一識別信号の影響を受けない。その結果、第一識別信号及び第二識別信号の強度によりブロックの種類を識別することができる(ステップS103)。計測回路220は、信号の強度に時間経過を検出する。この時、第二識別回路420は第二識別信号を出力しないので、計測回路220で検出される信号の強度の時間経過は、第一識別信号のものとなる(ステップS104)。
【0024】
第二遅延回路410は、第一遅延信号に対して遅延した第二遅延信号を、第二識別回路420に出力する(ステップS105)。第二識別回路420は、第二遅延信号に駆動される。第二識別回路420は、第二識別信号を出力する。第二遅延信号は第一遅延信号よりも時間的に後に出力される。そのため、第二識別信号も第一識別信号よりも時間的に後に出力される。また、第一識別信号の出力は、第二識別信号の出力が終了する前に終了している(ステップS106)。計測回路220は、信号の強度に時間経過を検出する。この時、第一識別回路320は第一識別信号を出力しないので、計測回路220で検出される信号の強度の時間経過は、第二識別信号のものとなる(ステップS107)。計測回路220が検出した信号強度の時間経過に基づき、ブロックの順番及び種類が判定される(ステップS108)。
【0025】
本発明の第1実施形態に係る識別システム100の信号生成回路210は、駆動信号を一定間隔で出力し続けてもよい。駆動信号の間隔は、最初の駆動信号から計測回路220がベース200から一番離れたブロックの識別信号を計測するまでの時間よりも長いことが好ましい。これにより、ブロックが新たに取り付けられた状態又は取り外された状態をリアルタイムで判別することができる。
【0026】
本発明の第1実施形態に係る識別システム100は、ベース200と直列に接続され、かつ取り外し可能であるように構成されn個のブロックとを有してよい。ただし、nは正の整数である。ベース200から数えてi番目の前記ブロックは、i-1番目のブロックが出力する遅延信号に対して遅延する遅延信号を出力する。i番目のブロックの識別回路は、計測回路220に接続される。i番目のブロックの識別回路が識別信号を出力している間の少なくとも一定時間において、i番目以外の前記ブロックの識別回路は識別信号を出力しない。これにより、ブロックの順番及び種類を確実に判定することができる。ただし、iは2≦i≦nを満たす正の整数である。
【0027】
i-1番目のブロックが出力する遅延信号に対するi番目のブロックが出力する遅延信号の遅延時間は、iによらず一定であることが好ましい。これにより、同じ種類のブロックが連続して並んでいても、ブロックの順番及び種類を確実に判定することができる。
【0028】
上述したように、本発明の第1実施形態に係る識別システム100は、多数ブロックの順番及び種類を識別することができる。また、ブロックが通信機能を内蔵していなくても、ブロックの順番及び種類を識別できるので、識別システム100を小さくすることができる。
【0029】
図1に示すように、ベース200は、信号生成回路210と計測回路220を一組とするブロック接続部を複数有してもよい。各々のブロック接続部には、ブロックが直列に接続されてもよい。
【0030】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態に係る識別システム100Aを図面に基づいて説明する。以下の説明において、第1実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付し、その機能に関する具体的な説明を省略する場合がある。ただし、説明の便宜上、第2実施形態の識別システム100Aを「識別システム100A」と称する。
【0031】
図2は、第2実施形態に係る識別システム100Aの基本構成の一例を示す図である。
図2に示すように、本発明の第2実施形態に係る識別システム100Aは複数のベース200と、複数の第一ブロック300と、複数の第二ブロック400と、出力部500と、表示部600とを有する。
【0032】
出力部500は、計測回路220で検出された第一識別信号及び第二識別信号の計測結果に応じた信号を出力する。出力部500は、第一識別信号及び第二識別信号をそのまま出力してもよい。出力部500は、第一識別信号及び第二識別信号をそれぞれ対応する別の信号に変化して出力してもよい。
【0033】
表示部600は、出力部500で出力される信号に駆動される。表示部600は、入力さる信号に基づいて、情報を表示する。
図2において、表示部600はディスプレイである。
図2において、ディスプレイは画像を表示する。現実のブロックの形状、色及び三次元的な並び順と、表示部600で表示される画像の中のブロックの形状、色及び三次元的な並び順とは、同じであることが好ましい。これにより、
図2に記載の識別システム100Aを、構造物の設計又は子供向けの遊具などに応用することができる。
【0034】
図3に示すように、出力部500で出力される信号は、ブロックの種類及び順番に対応した命令信号であってもよい。表示部600は、命令信号に基づいて命令を実行してもよい。表示部600は、命令を実行した結果を表示してもよい。表示部600は演算処理装置であってもよい。命令信号の出力を始めるスイッチ510を有してもよい。スイッチ510を作動させることで、ブロックに駆動信号が入力される。
図3に記載の識別システム100Aは、命令が実行されるのが速い順で、左に線を引く命令ブロックと、上に線を引く命令ブロックと、前2つまでの命令ブロックの命令を繰り返す命令ブロックと、星マークを表示する命令ブロックとを有する。表示部600は、折れ線と折れ線の先に星がある図形を表示する。
【0035】
図4に示すように、出力部500で出力される信号は、ブロックの種類及び順番に対応した数値を入力する信号であってもよい。表示部600は、数値を入力する信号に基づいて数値の入力を実行してもよい。表示部600は、数値の入力することによって得られる数値列を表示してもよい。ブロックはそれぞれつまみ520を有する。つまみ520を調整することで、該当ブロックが0~6までのいずれか一つの数値を表示するように調整することができる。
図4に記載の識別システム100Aは、命令が実行されるのが速い順で、「2」を表示するブロックと、「5」を表示するブロックと、「6」を表示するブロックとを有する。表示部600は、「256」の数値列を表示する。
【0036】
図5に示すように、ブロックはセンサ部700を更に有していてもよい。出力部500で出力される信号は、センサ部700のセンシング結果に応じて変化してもよい。
図5において、センサ部700は光センサである。手で光センサに入る光の強度を順番に変化させる。そして、出力部500は、光の強度の変化及び変化の順番に応じて大きさ及び方向の情報を有する信号を出力する。表示部600は、出力部500から出力される信号を基に、ベクトルを表示する。
図5に記載の識別システム100Aは、複数の出力部500の先にそれぞれ1つ以上のブロックが接続されている。それぞれのブロックにはセンサ部700として光センサが接続されている。手で光センサに入る光の量を減少させる。光センサは光の量の減少を検知して、識別信号出力回路で出力される識別信号の強度を変化させる。手をドラッグさせて、ブロックの光センサに入る光の量を順番に減少させると、出力部は、最初に光の量が減少したブロックから最後に光に量が減少したブロックまでのベクトルを表示する信号を表示部600に出力する。表示部600は、入力される信号に応じたベクトルを出力する、表示画面が切り替わる及び手の動きに合わせた図形を描画するなどの動作を表示する。
【0037】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態に係る識別システム100Bを図面に基づいて説明する。以下の説明において、第1実施形態又は第2実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付し、その機能に関する具体的な説明を省略する場合がある。ただし、説明の便宜上、第2実施形態の識別システム100Bを「識別システム100B」と称する。
【0038】
図5は、本発明の第3実施形態に係る識別システム100Bの構成例を示す図である。
図5に示すように、本発明の第3実施形態に係る識別システム100Bは、ベース200と、第一ブロック300と第二ブロック400とを有する。ベース200は、信号生成回路210と計測回路220とを有する。第一ブロック300は、第一遅延回路310と第一識別回路320と第一駆動信号入力端子330と、第一駆動信号出力端子340と、第一識別信号入力端子350と、第一識別信号出力端子360とを有する。第二ブロック400は第二遅延回路410と第二識別回路420と第二駆動信号入力端子430と、第二駆動信号出力端子440と、第二識別信号入力端子450と、第二識別信号出力端子460とを有する。信号生成回路210は、パルスジェネレータ211を有する。計測回路220は電源回路221と基準抵抗222と有する。第一遅延回路310は、第一コンデンサ311と第一抵抗312とを有する第一CR回路314と、第一シュミットトリガインバータ313と、を有する。第一識別回路320は、第一ダイオード321と第一識別抵抗322とを有する。第二遅延回路410は、第二コンデンサ411と第二抵抗412とを有する第二CR回路414と、第二シュミットトリガインバータ413と、を有する。第二識別回路420は、第二ダイオード421と第二識別抵抗422とを有する。本発明の第3実施形態に係る識別システム100において、第一ブロック300及び第二ブロック400がそれぞれ識別子である。
【0039】
(パルスジェネレータ)
パルスジェネレータ211は、第一駆動信号入力端子330に接続可能である。パルスジェネレータ211は、第一駆動信号入力端子330を通じて、駆動信号を第一CR回路314に入力する。パルスジェネレータ211は駆動信号を出力するとき以外は0Vを出力する。駆動信号はパルス電圧であってもよい。駆動信号は二値化したVout0であってもよい。駆動信号がパルス電圧である場合、パルス電圧のワンショットパルスの幅は第一コンデンサ311が電荷をためていない状態から充電か完了するまでの時間よりも長いことが好ましい。
【0040】
(第一CR回路)
第一CR回路314の入力端子は、第一駆動信号入力端子330に接続されている。パルスジェネレータ211の入力電圧が切り替わる瞬間、第一CR回路314はVout0を出力する。その後、第一CR回路314の第一コンデンサ311が充電するにつれて、第一CR回路314の出力電圧が低下する。第一コンデンサ311の充電が終わると、第一CR回路314の出力は0Vとなる。
【0041】
(第一シュミットトリガインバータ)
第一シュミットトリガインバータ313の入力端子は第一CR回路314の出力端子に接続されている。第一シュミットトリガインバータ313の出力端子は、第一ダイオード321及び第二駆動信号出力端子440に接続されている。第一シュミットトリガインバータ313は、二値化したVout1を出力する。二値化したVout1の内、電圧が低い方の出力は0Vである。第一シュミットトリガインバータ313は、ブロックを識別するとき以外は、電圧が高い方を出力する。第一CR回路314からVout0が入力されると、第一シュミットトリガインバータ313は、出力を高い方の電圧から0Vに切り替える。前述の構成は論理反転回路であればよい。シュミットトリガインバータ以外の論理反転回路として、NOTゲート及び反転コンパレータなどが挙げられる。
【0042】
(第一ダイオード)
第一ダイオード321は、第一シュミットトリガインバータ313の出力端子に接続されている。第一ダイオード321から第一シュミットトリガインバータ313へ電流が流れる方向が第一ダイオード321の順方向である。
【0043】
(第一識別抵抗)
第一識別抵抗322は、第一ダイオード321に接続されている。第一識別抵抗322の第一ダイオード321との接続の反対側は第一識別信号出力端子360に接続されている。第一識別信号出力端子360は、第一識別信号入力端子350に接続されている。第一識別信号入力端子350および第一識別抵抗322は、第一識別信号出力端子360に対して並列に接続されている。第一識別信号出力端子360は基準抵抗222に接続可能である。第一識別抵抗322は、固定抵抗、可変抵抗または抵抗を変化させる素子または回路であってもよい。
【0044】
(第二CR回路)
第二CR回路414は、第二駆動信号入力端子430に接続可能である。第二駆動信号入力端子430は第一駆動信号出力端子340に接続可能である。第一シュミットトリガインバータ313の入力電圧が切り替わる瞬間、第二CR回路414はVout1を出力する。第一CR回路314の第一コンデンサ311の放電が終わると、第二CR回路414の出力は0Vとなる。
【0045】
(第二シュミットトリガインバータ)
第二シュミットトリガインバータ413の入力端子は第二CR回路414の出力端子に接続されている。第二シュミットトリガインバータ413の出力端子は、第二ダイオード421及び第二駆動信号出力端子440に接続されている。第二シュミットトリガインバータ413は、二値化したVout2を出力する。第二シュミットトリガインバータ413は、ブロックを識別するとき以外は、高い方の電圧を出力する。第二CR回路414から入力電圧が一定以下になると、第二シュミットトリガインバータ413は、出力を高い方の電圧から0Vに切り替える。前述の構成は論理反転回路であればよい。シュミットトリガインバータ以外の論理反転回路として、NOTゲート及び反転コンパレータなどが挙げられる。
【0046】
(第二ダイオード)
第二ダイオード421は、第二シュミットトリガインバータ413の出力端子に接続されている。第二ダイオード421から第二シュミットトリガインバータ413へ電流が流れる方向が第二ダイオード421の順方向である。
【0047】
(第二識別抵抗)
第二識別抵抗422は、第二ダイオード421に接続されている。第二識別抵抗422の第二ダイオード421との接続の反対側は第二識別信号出力端子460に接続されている。第二識別信号出力端子460は、第二識別信号入力端子450に接続されている。第二識別信号入力端子450および第二識別抵抗422は、第二識別信号出力端子460に対して並列に接続されている。第二識別信号出力端子460は第一識別信号入力端子350に接続されている。第一識別抵抗322と第二識別抵抗422は基準抵抗222に対して並列に接続されている。第二識別抵抗422は、固定抵抗、可変抵抗または抵抗を変化させる素子または回路であってもよい。
【0048】
(基準抵抗)
基準抵抗222は、第一識別信号出力端子360に接続可能である。基準抵抗222は、第一識別抵抗322と第二識別抵抗422に対して並列に接続可能である。基準抵抗222の両端の電圧は、第一識別抵抗322又は第二識別抵抗422に抵抗値によって変化する。そのため、基準抵抗222の両端の電圧によって第一ブロック300及び第二ブロック400に種類を判別することができる。基準抵抗222の両端の電圧は、電圧計で測定してもよい。
【0049】
(電源回路)
電源回路221は、基準抵抗222に接続されている。電源回路221はVccを出力する。基準抵抗222は、第一識別抵抗322と第二識別抵抗422に対して並列に接続している。
【0050】
ベースで、基準抵抗222を加算回路に置換してもよい。この場合、第一ブロック300の第一ダイオード321及び第二ブロック400の第二ダイオード421を省略することができる。
【0051】
(第4実施形態)
続いて、本発明の第4実施形態に係る識別システム100Cを図面に基づいて説明する。以下の説明において、第1実施形態から第3実施形態で説明した内容と同様の機能を有する部分については、同様の名称および符号を付し、その機能に関する具体的な説明を省略する場合がある。ただし、説明の便宜上、第2実施形態の識別システム100Cを「識別システム100C」と称する。
【0052】
図7は、本発明の第4実施形態に係る識別システム100Cの基本構成の一例を示す図である。
図7に示すように、第一ブロック300は物体910に取り付けられてもよい。第二ブロック400は物体920に取り付けられている。第一ブロック300及び第二ブロック400は電極テープ810が取り付けられている。電極テープ810は物体910及び物体920に脱着可能であるように取り付けられている。物体910の電極テープ810と物体920の電極テープ810とはコネクタ820で脱着可能であるように接続している。第一ブロック300及び第二ブロック400がそれぞれ識別子である。第一ブロック300及び第二ブロック400の形状はブロックに限定されない。
【0053】
図8は、本発明の第4実施形態に係る識別システム100Cの基本構成の一例を示す図である。
図8に示すように、第一ブロック300及び第二ブロック400を接続するために、物体910に導線810Aを埋め込んでもよい。物体910と物体920との接続部にコネクタ820を埋め込んでもよい。
図7及び
図8において、第一ブロック300及び第二ブロック400は物体910及び物体920の妨げとならないように、できる限り小さく構成されることが好ましい。
【0054】
図9は、本発明の第4実施形態に係る識別システム100Cの基本構成の一例を示す図である。
図9に示すように、第一ブロック300及び第二ブロック400を取り付ける物体910及び物体920はロボットアームであってもよい。第一ブロック300と第二ブロック400に内蔵される抵抗は、ロボットアームの関節700Aの回転角度を測定するために可変抵抗でもよい。この場合でも、各ロボットアームは取り外し、取り付け可能であり、接続後のロボットアームの接続順と回転角度を正しく認識できる。
【実施例】
【0055】
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用する一条件例である。本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得る。
【0056】
(種類識別)
本発明の実施例に係る識別システムは、
図6のR
refにおける電圧降下V
Rrefを測定する。電圧降下V
Rrefの測定結果に基づきブロックの種類を識別する。各ブロックに内蔵する種類識別抵抗R
nを変えることにより、V
Rrefが変化する。V
Rrefは、電源電圧V
CC、ダイオードの順方向電圧V
diode、基準抵抗222および各ブロックに内蔵する種類識別抵抗Rnを用いて、以下の式で表すことができる。
V
Rref=R
ref×(V
CC-V
diode)/(R
ref+R
n)・・・(1)
【0057】
任意の異なる2種類の種類識別抵抗RnにおけるVRrefの差は、測定器の分解能以上である必要がある。そのため、任意の2種類のブロックにおけるVRrefの差が一定かつ分解能以上となるように抵抗を選択した。また、種類識別に使用できる電圧はVCC-Vdiodeであり、その電圧を最大限使用できるようにした。以下に種類識別抵抗Rnの選択式を示す。
VRrefRn=VCC-Vdiode・・・(2)
dV=VRrefRn/N>Vres・・・(3)
Rn=VRrefRn×Rref/(VRrefRn-n×dV)-Rref・・・(4)
【0058】
ここで、VRrefRnはRrefおよびRnにおける電圧降下の和、Nは識別したい種類数、Vresは測定器の分解能、dVは任意の2種類のブロックにおけるVrefの差を表す。また、nはブロックの種類を表す0以上の整数である。
【0059】
(識別システムの実装)
本発明の実施例に係る識別システムは、モジュラー型パルス遅延回路を内蔵したブロックおよびパルス測定ハードウェアによって構成される。また、ハードウェアを用いた3Dモデリングアプリケーションを作製した。
【0060】
図10は、本発明の実施例に係る識別システムのブロックの外観を示す図である。
図10に示すように、モジュラー型パルス遅延回路を内蔵したブロックを30個作製した(
図10左;上面、右;底面)。
図11は、識別システムのブロックに内蔵する部品を示す図である。
図11に示すように、ブロックは、回路を入れるための箱、ブロックの上面および底面に取り付けるマグネット式電極(
図11左および中央)、およびモジュラー式パルス遅延回路(
図11右)によって構成される。
【0061】
マグネット式電極はUSBケーブルに用いられているものである。また、モジュラー型パルス遅延回路において使用される素子は、コンデンサ(100pF、エラー率5%)、抵抗器(1MΩ、エラー率1%および種類識別用抵抗エラー率1%)、シュミットトリガインバータ(TOSHIBA,TC4584BP、6回路入り、1回路のみ使用)である。上述の素子を使用した際のブロックから出力されるパルスの幅は約0.1msであった。
【0062】
作製したブロックは、式(2)~(4)に基づき異なる8種類の抵抗を内蔵する8色のブロックに分けた。式(2)~(4)における変数にはそれぞれ、VCC=5V、Vdiode=0.6V、N=8、Rref=10kΩを代入した。nは0≦n≦7を満たす整数とした計算結果に近い抵抗をE24系列の抵抗から選択した。抵抗値と画面に表示する色の対応関係は以下のであった。黒色にはR0=0Ω;緑色にはR1=1.5kΩ;オレンジ色にはR2=3.3kΩ;青色にはR3=6.2kΩ;ピンク色にはR4=10kΩ;赤色にはR5=16kΩ;黄色にはR6=30kΩ及び白色にはR7=68kΩ。
【0063】
(パルス測定ハードウェア)
図11は、本発明の実施例に係る識別システムのパルス測定ハードウェアに内蔵する部品を示す写真である。
図11に示すように、パルス測定ハードウェアは、多機能測定器(Digilent,Analog Discovery 2)、直流電源、マイクロコントローラ(Arduino Srl,Arduino UNO Rev3)、マルチプレクサ(SparkFun,CD74HC4067)及びリードリレー(FUJITSU SEMICONDUCTOR,FRL-644D05 / 1AS 5V)で構成した。
【0064】
多機能測定器は、電圧測定器およびパルスジェネレータの両方の機能を有するものを使用した。マイクロコントローラはマルチプレクサのコントロールを行うため及び5Vの直流電源を出力するために使用した。リードリレーは16個を使用した。本実施例は、20個以上のブロックを使用するので、Arduino電源の定格電流(200mA)以上の電流を必要とした。そのため、直流安定化電源(KIKUSUI,PMC18-3)(
図11右)を使用した。
【0065】
マルチプレクサを使用して、測定したいブロック列に接続されたリードリレーをオンにした。マルチプレクサを介して電圧を印加すると抵抗(約70Ω)の影響を受けて印加電圧が減衰してしまうので、接点接触抵抗が150mΩであるリードリレーを使用した。その後、パルスジェネレータからブロック列に、パルス幅0.5msの矩形パルスを印加した。パルスの印加をトリガとし、各ブロックは順番にパルス波を出力した。システムは、サンプリング周波数2MHzにおいて電圧測定器を使用して、Rrefに加わる電圧を測定した。電圧測定器は8000個の測定電圧をバッファリングしてPCに送信した。
【0066】
(3Dモデリングアプリケーション)
作製したハードウェアを用いて3Dモデリングを行うアプリケーションを作製した。このアプリケーションは、プログラム言語としてPython3.7.6を使用した。描画ライブラリとしてOpenGL 4.6.0を用いた。アプリケーションは電圧測定器から送信された測定電圧が閾値(0.4V)以上となる時間を用いてブロックの段数を識別した。また、各ブロックにおける電圧値と設定した閾値を比較し、ブロック種類を識別した。全種類のブロックの電圧をあらかじめ測定し、その電圧を基準として±0.2Vを閾値とした。そして、識別結果をもとにブロックを描画した。ブロックの測定を開始して、16箇所のブロック列を識別し、画面を更新するまでの時間は、0.3sであった。
【0067】
図12は、本発明の実施例に係る識別システムを使用して作成した作品を示す写真である。
図12に示すように、アプリケーションを用いて3つの作品を作製した。キリン(
図12左)には、20個のブロックを使用した。花(
図12中央)には16個のブロックを使用した。タワー(
図12右)には30個のブロックを使用した。キリンおよび花において黒色のブロックは透明として表示した。また,タワーを作製することにより、少なくとも30段のブロックを識別できることを確認した(
図12右)。
【0068】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「有する」や「備える」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0069】
また、明細書に記載の「…部」の用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアとして具現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで具現されてもよい。
【0070】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のことから、本発明によれば、通信機能を内蔵せず、かつ少ない部品でも多数識別子の順番及び種類を認識できる識別システムを提供することができるので、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0072】
100、100A、100B、100C 識別システム
200 ベース
300 第一ブロック
400 第二ブロック
210 信号生成回路
211 パルスジェネレータ
220 計測回路
221 電源回路
222 基準抵抗
310 第一遅延回路
320 第一識別回路
410 第二遅延回路
420 第二識別回路
500 出力部
600 表示部
700 センサ部
700A 関節
810 電極テープ
810A 導線
820 コネクタ
910、920 物体