(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】製袋充填機におけるシール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20240527BHJP
B65B 51/14 20060101ALI20240527BHJP
B65B 51/26 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B65B51/10 P
B65B51/14
B65B51/26
(21)【出願番号】P 2021093289
(22)【出願日】2021-06-02
【審査請求日】2023-04-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日:2021年5月12日~2021年5月20日 展示会名:社内展示会 開催場所:愛知県北名古屋市沖村西ノ川91番地 株式会社フジキカイ THE BASE NAGOYA コミュニケーションホール
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 弘人
(72)【発明者】
【氏名】太田 圭亮
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-068363(JP,A)
【文献】特開平02-282004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B65B 51/14
B65B 51/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が所定間隔で収容された筒状フィルムの移送路を挟んで対向し、前記筒状フィルムを挟持して該筒状フィルムの移送と共に移送方向の下流側へ移動する一対のシール体により、筒状フィルムにおける物品間の位置にシールを施す製袋充填機におけるシール装置において、
前記筒状フィルムを介して前記物品を移送する移送手段と、
前記一対のシール体を備え、前記移送手段による筒状フィルムの移送方向に並べて配設された複数のシールユニットと、
前記一対のシール体を、前記各シールユニット毎に対向方向に接近・離間移動する複数の開閉機構と、
前記シールユニットの夫々を、前記移送方向に沿って往復移動する複数の往復動機構と、を備え、
前記移送手段で移送される物品を所定間隔で収容した筒状フィルムを前記一対のシール体で挟持して、シールユニットが物品間にシールを施し得る間隔で離間した前記各シールユニットを移送方向の下流側へ移動した後に、一対のシール体を離間して筒状フィルムを解放した複数のシールユニットを、移送方向の最下流のシールユニットが、シールユニットの基数分に対応する長さで移送方向の下流側に移送される筒状フィルムにおける最上流のシールユニットでシールされたシール位置より移送方向の上流側に位置付くように移動して、筒状フィルムを挟持するよう一対のシール体を接近する動作を繰り返すように、複数の前記開閉機構および往復動機構を作動するよう構成し
、
前記複数の開閉機構は、前記移送方向の下流側のシールユニットから上流側のシールユニットの順で筒状フィルムを挟持するよう、一対のシール体を動作するよう構成した
ことを特徴とする製袋充填機におけるシール装置。
【請求項2】
物品が所定間隔で収容された筒状フィルムの移送路を挟んで対向し、前記筒状フィルムを挟持して該筒状フィルムの移送と共に移送方向の下流側へ移動する一対のシール体により、筒状フィルムにおける物品間の位置にシールを施す製袋充填機におけるシール装置において、
前記筒状フィルムを介して前記物品を移送する移送手段と、
前記一対のシール体を備え、前記移送手段による筒状フィルムの移送方向に並べて配設された複数のシールユニットと、
前記一対のシール体を、前記各シールユニット毎に対向方向に接近・離間移動する複数の開閉機構と、
前記シールユニットの夫々を、前記移送方向に沿って往復移動する複数の往復動機構と、を備え、
前記移送手段で移送される物品を所定間隔で収容した筒状フィルムを前記一対のシール体で挟持して、シールユニットが物品間にシールを施し得る間隔で離間した前記各シールユニットを移送方向の下流側へ移動した後に、一対のシール体を離間して筒状フィルムを解放した複数のシールユニットを、移送方向の最下流のシールユニットが、シールユニットの基数分に対応する長さで移送方向の下流側に移送される筒状フィルムにおける最上流のシールユニットでシールされたシール位置より移送方向の上流側に位置付くように移動して、筒状フィルムを挟持するよう一対のシール体を接近する動作を繰り返すように、複数の前記開閉機構および往復動機構を作動するよう構成し
、
前記往復動機構は、対応する前記シールユニットに連結した索状体を、往復用駆動モータにより走行駆動することで、連結したシールユニットを前記移送方向に沿って往復移動するよう構成した
ことを特徴とする製袋充填機におけるシール装置。
【請求項3】
前記複数の開閉機構は、前記移送方向の下流側のシールユニットから上流側のシールユニットの順で筒状フィルムを挟持するよう、一対のシール体を動作するよう構成したことを特徴とする請求項
2記載の製袋充填機におけるシール装置。
【請求項4】
前記移送手段は、駆動モータによって循環走行する無端の移送体を備え、
該移送体は、前記各シールユニットに対応する位置において前記移送方向の前後で前記移送路に沿って延在すると共に、一対のシール体が噛み込まない経路で案内されるよう複数の回転体に巻き掛けられて、移送方向の前後に対向する移送体の対向端部が一対のシール体の対向方向の移動領域を挟んで位置するよう構成され、
前記各シールユニットは、前記一対のシール体の前記移動領域を挟んで移送方向の前後に離間して前記移送体の対向端部を巻き掛け案内支持する一対の第1の回転体と、該第1の回転体の下方に位置し、前記移送体を巻き掛け案内支持する第2の回転体と、前記第1の回転体と第2の回転体とを連繋し、一対の第1の回転体を相互に接近・離間移動する作動機構と、を備え、
該作動機構は、前記一対の第1の回転体を、前記一対のシール体の移動時に接近・離間して一対のシール体による筒状フィルムの挟持を許容すると共に物品の円滑な受渡しを行うようにし、
前記作動機構は、前記一対の第1の回転体が離間する際および接近する際の何れにおいても、該第1の回転体の移動量と同じ量だけ前記第2の回転体を移動して前記移送体を張った状態に維持するよう構成したことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の製袋充填機におけるシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状フィルムに対し接近・離間する対向配置された一対のシール体によって、筒状フィルムを挟持しながら筒状フィルムと共に該筒状フィルムの移送方向下流側へ移動してシールする製袋充填機におけるシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、横形製袋充填機に配設され、筒状フィルムにエンドシール・切断を施すエンドシール装置は、筒状フィルムの移送路を挟んで上下に対向する一対のシール体を備え、両シール体を互いに対向した状態で円運動させる構成を採用すると共に、両シール体の移動軌跡が重なるように設定している。そして、エンドシール装置では、前記移動軌跡の重合区間で両シール体を当接して筒状フィルムを挟持した状態で、該両シール体を筒状フィルムの移送方向に沿って移動してエンドシールを施すと共に該フィルムを切断した後、相互に離間して後退し、再び相互に当接して移動する運動を繰返す、所謂ボックスモーションを行うよう構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エンドシール装置として、引用文献2には、筒状フィルムの移送路を挟む上下位置に、互いに同期して長円軌道上を周回する一対のチェーンが配設され、各チェーンに等間隔で複数のシール体を配設したエンドシール装置が開示されている。このエンドシール装置では、周回移動する上下で対をなすシール体が、長円軌道上の直線部分を移動する際に筒状フィルムを挟持してエンドシールを施すよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-202220号公報
【文献】特開2002-284120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示のエンドシール装置では、筒状フィルムを挟持した一対のシール体が所定距離だけ直線的に移動するので、シール時間を長く確保することができ、筒状フィルムに良質なシールを施すことができる。しかしながら、特許文献1に開示のエンドシール装置では、シール時間を長く確保する必要から包装速度(シール体の回転速度)の高速化は望めず、単位時間あたりの生産数を増やすことができない問題がある。また、特許文献2に開示のエンドシール装置では、一対のシール体からなるシール体組を複数備えることで、シール時間を長く確保しつつ単位時間あたりの生産数を増やすことはできるものの、オーダー変更などによって物品のサイズが変わる場合は、物品サイズに応じたエンドシールを施す間隔である一包装長に合わせて、チェーンに対するシール体の配設間隔を変更するなどの煩雑な作業が必要となり、ロスタイムが長くなる問題が指摘される。
【0006】
本発明の目的は、一対のシール体がフィルムを挟持しながらフィルムの移送方向下流側へ移動するシール装置において、フィルムに良質なシールを施し得ると共に単位時間あたりの生産数を増加することができ、併せてオーダー変更にも容易に対応し得る製袋充填機におけるシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明の製袋充填機におけるシール装置は、
物品(40)が所定間隔で収容された筒状フィルム(10)の移送路を挟んで対向し、前記筒状フィルム(10)を挟持して該筒状フィルム(10)の移送と共に移送方向の下流側へ移動する一対のシール体(11,12)により、筒状フィルム(10)における物品間の位置にシールを施す製袋充填機におけるシール装置において、
前記筒状フィルム(10)を介して前記物品(40)を移送する移送手段(52)と、
前記一対のシール体(11,12)を備え、前記移送手段(52)による筒状フィルム(10)の移送方向に並べて配設された複数のシールユニット(13)と、
前記一対のシール体(13)を、前記各シールユニット(13)毎に対向方向に接近・離間移動する複数の開閉機構(14)と、
前記シールユニット(14)の夫々を、前記移送方向に沿って往復移動する複数の往復動機構(15)と、を備え、
前記移送手段(52)で移送される物品(40)を所定間隔で収容した筒状フィルム(10)を前記一対のシール体(11,12)で挟持して、シールユニット(13)が物品間にシールを施し得る間隔で離間した前記各シールユニット(13)を移送方向の下流側へ移動した後に、一対のシール体(11,12)を離間して筒状フィルム(10)を解放した複数のシールユニット(13)を、移送方向の最下流のシールユニット(13)が、シールユニット(13)の基数分に対応する長さで移送方向の下流側に移送される筒状フィルム(10)における最上流のシールユニット(13)でシールされたシール位置より移送方向の上流側に位置付くように移動して、筒状フィルム(10)を挟持するよう一対のシール体(11,12)を接近する動作を繰り返すように、複数の前記開閉機構(14)および往復動機構(15)を作動するよう構成し、
前記複数の開閉機構(14)は、前記移送方向の下流側のシールユニット(13)から上流側のシールユニット(13)の順で筒状フィルム(10)を挟持するよう、一対のシール体(11,12)を動作するよう構成したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、シールユニットを複数設けることで、筒状フィルムに良質なシールを施し得るシール時間を確保しつつ、単位時間あたりの生産数を増加することができる。また、各シールユニットにおける一対のシール体の開閉動作および各シールユニットの移送方向の往復移動を、各シールユニットの夫々で独立して行い得るよう構成したので、オーダー変更にも容易に対応することができる。また、シールユニットで挟持した筒状フィルムを下流側に引っ張って、上流側の筒状フィルムを弛ませることなく上流側のシールユニットで良好にシールすることができる。また、筒状フィルム内の空気を、筒状フィルムにおける未シールの上流側に逃がすことができ、内部空気によってシール時の抵抗が大きくなってシール不良を招くのを防ぐことができる。
【0008】
本願の請求項2に係る発明の製袋充填機におけるシール装置は、
物品(40)が所定間隔で収容された筒状フィルム(10)の移送路を挟んで対向し、前記筒状フィルム(10)を挟持して該筒状フィルム(10)の移送と共に移送方向の下流側へ移動する一対のシール体(11,12)により、筒状フィルム(10)における物品間の位置にシールを施す製袋充填機におけるシール装置において、
前記筒状フィルム(10)を介して前記物品(40)を移送する移送手段(52)と、
前記一対のシール体(11,12)を備え、前記移送手段(52)による筒状フィルム(10)の移送方向に並べて配設された複数のシールユニット(13)と、
前記一対のシール体(13)を、前記各シールユニット(13)毎に対向方向に接近・離間移動する複数の開閉機構(14)と、
前記シールユニット(14)の夫々を、前記移送方向に沿って往復移動する複数の往復動機構(15)と、を備え、
前記移送手段(52)で移送される物品(40)を所定間隔で収容した筒状フィルム(10)を前記一対のシール体(11,12)で挟持して、シールユニット(13)が物品間にシールを施し得る間隔で離間した前記各シールユニット(13)を移送方向の下流側へ移動した後に、一対のシール体(11,12)を離間して筒状フィルム(10)を解放した複数のシールユニット(13)を、移送方向の最下流のシールユニット(13)が、シールユニット(13)の基数分に対応する長さで移送方向の下流側に移送される筒状フィルム(10)における最上流のシールユニット(13)でシールされたシール位置より移送方向の上流側に位置付くように移動して、筒状フィルム(10)を挟持するよう一対のシール体(11,12)を接近する動作を繰り返すように、複数の前記開閉機構(14)および往復動機構(15)を作動するよう構成し、
前記往復動機構(15)は、対応する前記シールユニット(13)に連結した索状体(50)を、往復用駆動モータ(46)により走行駆動することで、連結したシールユニット(13)を前記移送方向に沿って往復移動するよう構成したことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、複数のシールユニットを、簡単な構成で夫々独立して往復移動することができる。
【0009】
請求項3に係る発明では、前記複数の開閉機構(14)は、前記移送方向の下流側のシールユニット(13)から上流側のシールユニット(13)の順で筒状フィルム(10)を挟持するよう、一対のシール体(11,12)を動作するよう構成したことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、シールユニットで挟持した筒状フィルムを下流側に引っ張って、上流側の筒状フィルムを弛ませることなく上流側のシールユニットで良好にシールすることができる。また、筒状フィルム内の空気を、筒状フィルムにおける未シールの上流側に逃がすことができ、内部空気によってシール時の抵抗が大きくなってシール不良を招くのを防ぐことができる。
【0010】
請求項4に係る発明では、前記移送手段(52)は、駆動モータ(54)によって循環走行する無端の移送体(53)を備え、
該移送体(53)は、前記各シールユニット(13)に対応する位置において前記移送方向の前後で前記移送路に沿って延在すると共に、一対のシール体(11,12)が噛み込まない経路で案内されるよう複数の回転体(58,59,60,61)に巻き掛けられて、移送方向の前後に対向する移送体(53)の対向端部が一対のシール体(11,12)の対向方向の移動領域を挟んで位置するよう構成され、
前記各シールユニット(13)は、前記一対のシール体(11,12)の前記移動領域を挟んで移送方向の前後に離間して前記移送体(53)の対向端部を巻き掛け案内支持する一対の第1の回転体(58,59)と、該第1の回転体(58,59)の下方に位置し、前記移送体(53)を巻き掛け案内支持する第2の回転体(60,61)と、前記第1の回転体(58,59)と第2の回転体(60,61)とを連繋し、一対の第1の回転体(58,59)を相互に接近・離間移動する作動機構(72)と、を備え、
該作動機構(72)は、前記一対の第1の回転体(58,59)を、前記一対のシール体(11,12)の移動時に接近・離間して一対のシール体(11,12)による筒状フィルム(10)の挟持を許容すると共に物品(40)の円滑な受渡しを行うようにし、
前記作動機構(72)は、前記一対の第1の回転体(58,59)が離間する際および接近する際の何れにおいても、該第1の回転体(58,59)の移動量と同じ量だけ前記第2の回転体(60,61)を移動して前記移送体(53)を張った状態に維持するよう構成したことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、一対のシール体による筒状フィルムのシールを許容しつつ、筒状フィルムを介して物品を下流側に円滑に移送することができる。また、移送体を常に張った状態に維持し得るので、移送体が弛むことで蛇行したり物品の良好な移送を阻害したりするのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、シール時間を確保しつつ、単位時間あたりの生産数を増加することができると共に、オーダー変更に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】エンドシール装置を縦断して示す要部概略側面図である。
【
図3】エンドシール装置を示す要部概略斜視図である。
【
図4】エンドシール装置を縦断してフィルム移送方向の下流側から見た概略図である。
【
図5】シールユニットをフィルム移送方向の下流側から見た概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る製袋充填機におけるシール装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。実施例では、製袋充填機を横形製袋充填機で説明すると共に、シール装置をエンドシール装置で説明する。
【実施例】
【0014】
横形製袋充填機は、フィルムロールから引き出した帯状フィルムを、その長手方向両端縁部を合掌状に重合して筒状フィルムとして成形する製袋手段と、筒状フィルムに向けて物品を所定間隔毎に供給する供給コンベヤと、前記合掌状に重合した筒状フィルムの重合部にセンターシール部を形成するセンターシール装置と、前記筒状フィルムの重合部を挟持してセンターシール装置に向けて筒状フィルムを移送するフィルム移送手段と、筒状フィルム中に所定間隔毎に供給された物品の前後位置で筒状フィルムを挟み、筒状フィルムの移送方向と交差する方向(幅方向)にエンドシール・切断を施すエンドシール装置と、の夫々を備える。
【0015】
図1~
図3に示す如く、前記エンドシール装置は、筒状フィルム10を介して物品40を移送する移送コンベヤ(移送手段)52と、該移送コンベヤ52で移送される物品40が所定間隔で収容された筒状フィルム10の移送路を挟んで対向する一対のシール体11,12を備える複数(実施例では3基)のシールユニット13と、を備え、複数のシールユニット13は、筒状フィルム10の移送方向(以後、フィルム移送方向と称す)に並べて配設される。エンドシール装置は、複数のシールユニット13毎に独立して一対のシール体11,12を相互に接近・離間移動する複数の開閉機構14と、複数のシールユニット13の夫々を独立してフィルム移送方向に沿って往復移動する複数の往復動機構15と、を備える。各シールユニット13は、開閉機構14および往復動機構15を作動することで、一対のシール体11,12が、前記移送路を挟んで相互に離間する初期位置から相互に接近して筒状フィルム10における物品間の位置を挟持し、その挟持状態で筒状フィルム10のフィルム移送方向の下流側に移動した後に、相互に離間して初期位置に復帰するボックスモーションを行う。実施例では、3基のシールユニット13について、以下の説明において区別する際には、フィルム移送方向の下流側から上流側の順に、第1のシールユニット13A、第2のシールユニット13B、第3のシールユニット13Cと指称する。
【0016】
図1、
図2、
図4に示す如く、前記エンドシール装置の装置本体としての機枠16は、前記フィルム移送方向と交差する幅方向に離間する一対の側壁17,17を備え、該一対の側壁17,17の間に、3基の前記シールユニット13がフィルム移送方向に沿って夫々移動可能に支持される。3基のシールユニット13の構成は同じであって、該シールユニット13は、本体18を構成する幅方向に離間する一対の側板18a,18aの間に、本体18に対して調節機体19が上下方向に移動可能に支持され、該調節機体19が、図示しない高さ調節手段によって高さ調節可能に構成される。調節機体19は、幅方向に離間する一対の支持部材20,20を備え、該一対の支持部材20,20の間に、前記移送路を挟んで対向し、各シール体11,12を支持する一対の保持部材21,22が上下方向に移動可能に支持される。調節機体19には、幅方向に離間して一対の支持体23,23が配設され、各支持体23に、上下方向に延在するスライドシャフト24が夫々摺動可能に挿通支持されている。一対の支持体23,23から上方に延出する一対のスライドシャフト24,24の上端部に、筒状フィルム10の移送路より上方に臨む第1保持部材21が配設されると共に、一対の支持体23,23から下方に延出する一対のスライドシャフト24,24の下端部が連結部材25で連結される。また、第1保持部材21と支持体23,23との間のスライドシャフト24,24に、移送路より下方に臨む第2保持部材22が摺動可能に支持され、第1保持部材21および第2保持部材22は、スライドシャフト24,24に沿って姿勢を維持したまま相対的に接近・離間し得るように構成される。
【0017】
図2、
図4、
図5に示す如く、前記第1保持部材21の下側に、シール面が筒状フィルム10の移送路を指向する姿勢で、前記一対のシール体11,12の一方である第1シール体11が、上下方向(一対のシール体11,12の対向方向)に移動可能に支持される。すなわち、第1シール体11に、一対の連結シャフト26,26が幅方向に離間して配設され、該一対の連結シャフト26,26が、第1保持部材21にホルダ27,27を介して摺動可能に挿通支持されている。第1保持部材21の上方に延出する連結シャフト26,26は、幅方向に延在する取付部材28に連結されており、該取付部材28は、第1保持部材21に対して第1シール体11と一体で上下方向に移動するよう構成される。また、第1保持部材21と第1シール体11との間の各連結シャフト26の外周に、付勢手段としてのバネ29が配置され、第1シール体11は、バネ29,29によって第1保持部材21に対して下方(後述する第2シール体12側)に向けて付勢されている。なお、連結シャフト26には、第1保持部材21より上側にストッパ26aが設けられ、バネ29,29によって付勢されている第1シール体11の下方への移動は、ストッパ26aがホルダ27に当接することで規制される。また、第1シール体11に、切断刃30が上下方向に進退移動可能に支持されると共に、該切断刃30を進退移動する進退動手段としてのエアシリンダ31が取付部材28に配設されており、第1シール体11と第2シール体12とで筒状フィルム10を挟持した際に、エアシリンダ31により切断刃30を進退移動して筒状フィルム10を切断するよう構成される。第1シール体11に対して切断刃30は、常には収容されており、エアシリンダ31によって切断刃30を下降させると、第1シール体11のシール面から切断刃30が突出し、その刃先が、第2シール体12の受け溝に進入することで、挟持している筒状フィルム10が切断される。なお、
図4、
図5は、第1のシールユニット13Aを示している。
【0018】
図2、
図4に示す如く、前記第2保持部材22の上側に、シール面が筒状フィルム10の移送路を指向する姿勢で、前記一対のシール体11,12の他方である第2シール体12が配設固定される。第2シール体12は、第2保持部材22の上側に、第1シール体11と筒状フィルム10の移送路を挟んで平行に対向するよう配設される。
【0019】
図2、
図4、
図5に示す如く、前記各シールユニット13の夫々に配設される前記開閉機構14は、幅方向に延在するように前記調節機体19に回転可能に支持されたネジ軸32と、該ネジ軸32を回転するサーボモータなどの開閉用駆動モータ33と、ネジ軸32が螺合されると共に第1および第2保持部材21,22を連繋するリンク機構としてのトグル機構34と、を備える。トグル機構34は、ネジ軸32に螺合する雌ネジ部材35と一体で移動する移動部材36の上端部に、第2保持部材22に一端が回転可能に支持された第1作動体37の他端部が回転可能に支持されると共に、移動部材36の下端部に、前記連結部材25に一端が回転可能に支持された第2作動体38の他端部が回転可能に支持されている。第1作動体37および第2作動体38は、一対のシール体11,12が相互に離間する状態では、第2保持部材22および連結部材25に対して回転可能に支持される一端側が相互に接近するように位置し、開閉用駆動モータ33によりネジ軸32を回転して雌ネジ部材35および移動部材36を、第1作動体37および第2作動体38の一端が離間するように幅方向に移動することで、一対のシール体11,12が相互に接近するよう構成される。すなわち、開閉用駆動モータ33によりネジ軸32を正転方向および逆転方向に回転することで、第2保持部材22と連結部材25とが相互に接近・離間移動し、これに伴い上下のシール体11,12が前記移送路を挟んで相互に離間・接近移動する。
【0020】
3基のシールユニット13の各開閉機構14は、各開閉用駆動モータ33の作動タイミングをずらすことで、3基のシールユニット13において、フィルム移送方向の下流側から上流側の順で筒状フィルム10を挟持するよう一対のシール体11,12を接近移動すると共に、下流側から上流側の順で筒状フィルム10を解放するよう一対のシール体11,12を離間移動するよう構成される。なお、各シールユニット13において、シール体11,12で筒状フィルム10を挟持する時間は、該筒状フィルム10に良質なエンドシールを施し得る時間に設定される。
【0021】
図2、
図4に示す如く、前記機枠16には、フィルム移送方向に沿って延在し、幅方向に離間する一対のレール部材39,39が、前記高さ調節手段によって上下方向に位置調節可能に支持されている。各レール部材39には、フィルム移送方向に沿って延在する長孔39aが形成されており、該長孔39a内に、各シールユニット13における前記支持部材20,20の下端部に回転可能に支持したローラ20a,20aが転動可能に支持されている。すなわち、高さ調節手段によって一対のレール部材39,39を上下方向に移動することで、ローラ20a,20aを介して支持されている前記調節機体19は、前記本体18に対して上下方向に移動し、前記移送コンベヤ52で移送される物品40の高さに応じて、前記一対のシール体11,12が筒状フィルム10を挟持する高さ位置の調節を行い得るよう構成される。実施例では、一対のレール部材39,39を上下方向に移動することで、3基のシールユニット13におけるシール体11,12による筒状フィルム10の挟持高さ位置が同じ位置に調節される。
【0022】
図1、
図4に示す如く、前記機枠16の各側壁17の内面上部に、フィルム移送方向に沿って延在する第1ガイドシャフト41および第2ガイドシャフト42が、上下に離間して平行に配設されると共に、各側壁17の内面下部に、第1および第2ガイドシャフト41,42と平行に第3ガイドシャフト43が配設されており、3基のシールユニット13は、複数のガイドシャフト41,42,43によってフィルム移送方向に沿って往復移動可能に支持される。実施例では、第1および第3のシールユニット13A,13Cは、第1ガイドシャフト41および第3ガイドシャフト43に、対応する側板18aに配設したスライダ44を介して移動可能に支持され、第2のシールユニット13Bは、第2ガイドシャフト42および第3ガイドシャフト43に、対応する側板18aに配設したスライダ44を介して移動可能に支持される。
【0023】
図1~
図3に示す如く、前記複数の往復動機構15の夫々は、前記機枠16に配設された移動機構45と、該移動機構45を作動するサーボモータなどの往復用駆動モータ46と、を備える。移動機構45は、機枠16におけるフィルム移送方向の一端側において両側壁17,17間に回転可能に支持された駆動軸47と、該駆動軸47に一体的に回転するように配設されて軸方向に離間する一対の駆動プーリ48,48と、機枠16におけるフィルム移送方向の他端側の両側壁17,17に回転可能に支持された従動プーリ49,49と、フィルム移送方向で対向する駆動プーリ48および従動プーリ49に巻き掛けられた無端状ベルトなどの索状体50と、を備え、移動機構45は、シールユニット13を挟んで幅方向に離間して一対の索状体50,50が平行に位置している(
図4参照)。そして、側壁17に配設した往復用駆動モータ46が駆動軸47に連結されると共に、シールユニット13の各側板18aに配設したブラケット51が、対応する索状体50に連結され、往復用駆動モータ46によって駆動軸47を正転方向および逆転方向に回転することで、索状体50,50に連結したシールユニット13がフィルム移送方向の前後(上流と下流)に往復移動するよう構成される。実施例では、3基のシールユニット13に対応する3基の往復動機構15は、上下方向に離間して配置されて、相互に干渉しないよう構成される。
【0024】
3基の往復動機構15は、3基のシールユニット13の夫々の間隔(隣り合うシールユニット13,13の間隔)を、筒状フィルム10のカットピッチ(筒状フィルム10の一包装分であって物品間にシールを施し得る間隔)と同じ長さの間隔としてシールユニット13を往復移動するよう構成される。実施例では、隣り合う下流側のシールユニット13のシール体11,12が筒状フィルム10を挟持した後に、上流側のシールユニット13のシール体11,12が筒状フィルム10を挟持する際には両シールユニット13,13の間隔をカットピッチと同じ間隔とする。また、3基の往復動機構15は、シール体11,12で筒状フィルム10を挟持してフィルム移送方向の下流側へ移動した3基のシールユニット13の全てのシール体11,12が筒状フィルム10を解放すると、第1のシールユニット13A(フィルム移送方向の最下流のシールユニット)が、シールユニット13の基数分に対応する長さでフィルム移送方向の下流側に移送される筒状フィルム10における第3のシールユニット13C(フィルム移送方向の最上流のシールユニット)でエンドシールされたシール位置よりフィルム移送方向の上流側(実施例では、シール位置よりカットピッチ分だけ上流側)の初期位置に位置付くように、全てのシールユニット13を同期して移動するよう作動制御される。なお、実施例では、複数基のシールユニット13のシール体11,12で筒状フィルム10にエンドシールを施して初期位置に復帰するまでの間に、筒状フィルム10は前記移送コンベヤ52によって、カットピッチのシールユニット13の基数分(実施例では3倍)だけ下流側に移送される。
【0025】
前記一対のシール体11,12による筒状フィルム10の挟持状態での各シールユニット13のフィルム移送方向の下流側への移動速度は、フィルム移送速度と略同一速度となるよう前記往復用駆動モータ46が回転制御される。また、前記開閉用駆動モータ33および往復用駆動モータ46は、物品40のサイズに対応して設定される筒状フィルム10のカットピッチと、所望の包装速度とから得られる筒状フィルム10の移送速度と、設定包装速度とに応じて変速制御されるように設定される。なお、実施例のエンドシール装置では、各シールユニット13において筒状フィルム13を一対のシール体11,12で挟持する際には、該シール体11,12が相互に接近しつつフィルム移送方向の下流側へ移動するように開閉機構14および往復動機構15が作動制御されると共に、筒状フィルム13を一対のシール体11,12が解放する際には、該シール体11,12が相互に離間しつつフィルム移送方向の上流側へ移動するよう開閉機構14および往復動機構15が作動制御される。
【0026】
図1、
図2に示す如く、前記機枠16には、前記供給コンベヤから供給される物品40を、筒状フィルム10を介して載置して移送する前記移送コンベヤ52が配設される。移送コンベヤ52は、移送体としての無端の1枚の移送ベルト53を、サーボモータなどの駆動モータ54により循環走行することで、該移送ベルト53に載置された物品40を下流側に向けて移送するベルトコンベヤが採用される。移送ベルト53は、複数の回転体58,59,60,61,66,67,68,69,70,71に巻き掛け案内されて、各シールユニット13に対応する位置においてフィルム移送方向の前後(具体的には、シールユニット13におけるフィルム移送方向の中間位置であって一対のシール体11,12の対向方向の移動領域の前後)では前記移送路に沿って略水平に延在する支持面を形成すると共に、各シールユニット13の配設位置では、一対のシール体11,12が噛み込まないよう(シールユニット13と接触干渉しないよう)第2シール体(下側のシール体)12の下方を迂回する経路で走行するよう構成される(
図6参照)。そして、移送コンベヤ52は、シール体11,12で筒状フィルム10にエンドシール・切断を施す際には、移送ベルト53によってフィルムを介して物品40を支持すると共に移送する。また、移送路に沿って延在する移送ベルト53における各シールユニット13のフィルム移送方向の中間位置(移動領域)を挟む前後において、後述する開閉回転体58,59に巻き掛けられて前後に対向する対向端部は、各シールユニット13に配設した端部開閉機構55によって相互に接近・離間移動する。すなわち、一対のシール体11,12が相互に接近する際には、移送ベルト53の対向端部が相互に離間移動して下側の第2シール体12の上昇時の通過を許容すると共に、一対のシール体11,12が相互に離間する際には、移送ベルト53の対向端部が相互に接近移動して筒状フィルム10中の物品40の下流側への移送を円滑になし得るよう構成される。
【0027】
図5、
図6に示す如く、前記端部開閉機構55は、前記移送ベルト53における支持面を形成する部位を支持し得る位置において前記一対のシール体11,12の前記移動領域を挟んでフィルム移送方向の前後に離間し、前記移送ベルト53の前記対向端部を巻き掛け案内支持する上側の一対の開閉回転体(第1の回転体)58,59と、フィルム移送方向の前後に離間して第2シール体12を迂回する移送ベルト53を巻き掛け案内支持する下側の一対の開閉回転体(第2の回転体)60,61と、上側の開閉回転体58,59と下側の開閉回転体60,61とを連繋し、上側の一対の開閉回転体58,59を相互に接近・離間移動する作動機構72と、を備える。該作動機構72は、前記調節機体19にフィルム移送方向の前後に揺動可能に支持されて、フィルム移送方向に離間する一対の開閉部材56,57と、前記第2保持部材22に一体的に移動するよう配設されたカム部材62,62と、各開閉部材56,57に配設されてカム部材62,62に形成したカム孔62a,62bに転動可能に案内されるフォロワ63,64と、を備え、各開閉部材56,57の上端部に、上側の開閉回転体58,59が回転可能に支持されると共に、各開閉部材56,57の下端部に、下側の開閉回転体60,61が回転可能に支持される。一対の開閉部材56,57は、フィルム移送方向の上流側に位置する第1開閉部材56と、下流側に位置する第2開閉部材57とからなり、第1開閉部材56は、幅方向に離間して対向する一対の第1揺動部材56a,56aから構成されると共に、第2開閉部材57は、幅方向に離間して対向する一対の第2揺動部材57a,57aから構成される。
【0028】
図5、
図6に示す如く、幅方向に対向する前記各支持部材20に、フィルム移送方向に離間して第1開閉部材56を構成する前記第1揺動部材56aと、第2開閉部材57を構成する前記第2揺動部材57aとの夫々が、支軸65を介して揺動可能に支持されている。そして、幅方向に対向する一対の第1揺動部材56a,56aの上端間に、上側の開閉回転体58,59の一方である第1開閉回転体58が回転可能に支持されると共に、幅方向に対向する一対の第2揺動部材57a,57aの上端間に、上側の開閉回転体58,59の他方である第2開閉回転体59が回転可能に支持される。また、一対の第1揺動部材56a,56aの下端間に、下側の開閉回転体60,61の一方である第3開閉回転体60が回転可能に支持されると共に、一対の第2揺動部材57a,57aの下端間に、下側の開閉回転体60,61の他方である第4開閉回転体61が回転可能に支持される。なお、支持部材20,20の上端部間には、第1開閉回転体58の下方に第1補助回転体66が回転可能に支持されると共に、第2開閉回転体59の下方に第2補助回転体67が回転可能に支持される。また、支持部材20,20の下端部間には、第3開閉回転体60を挟む上下位置に、第3補助回転体68および第4補助回転体69が夫々回転可能に支持されると共に、第4開閉回転体61を挟む上下位置に、第5補助回転体70および第6補助回転体71が夫々回転可能に支持される。実施例の移送ベルト53は、各シールユニット13の前後において、第1開閉回転体58、第1補助回転体66、第3補助回転体68、第3開閉回転体60、第4補助回転体69、第6補助回転体71、第4開閉回転体61、第5補助回転体70、第2補助回転体67および第2開閉回転体59の順で巻き掛けられる。
【0029】
図4、
図6に示す如く、前記第2保持部材22における幅方向の両端に、前記カム部材62が夫々一体的に移動するように配設されており、各カム部材62には、フィルム移送方向に離間して第1カム孔62aと第2カム孔62bとが、
図6において左右対称となるよう形成される。フィルム移送方向の上流側に位置する第1カム孔62aには、前記第1開閉部材56の各第1揺動部材56aに配設した第1フォロワ63が転動可能に案内されるように臨むと共に、フィルム移送方向の下流側に位置する第2カム孔62bには、前記第2開閉部材57の各第2揺動部材57aに配設した第2フォロワ64が転動可能に案内されるように臨んでいる。第1および第2カム孔62a,62bの形状は、カム部材62,62の上下動に伴い該カム孔62a,62bに沿ってフォロワ63,64が案内される第1開閉部材56と第2開閉部材57とを逆方向に揺動して、前記第1開閉回転体58および第2開閉回転体59に巻き掛けられる移送ベルト53の対向端部を、前記第2シール体12の作動に伴って、フィルム移送方向に沿って相互に接近・離間移動するよう設定される。また、前記開閉部材56,57の第1および第2揺動部材56a,57aは、上下方向の中間位置において支軸65,65を介して支持部材20に揺動可能に支持されており、一対の開閉部材56,57が相互に逆方向に揺動することで、第1開閉回転体58と第2開閉回転体59とが接近する際には、第3開閉回転体60と第4開閉回転体61とは、第1開閉回転体58と第2開閉回転体59とが接近する同じ距離(移動量)だけ離間し(
図6(a)参照)、第1開閉回転体58と第2開閉回転体59とが離間する際には、第3開閉回転体60と第4開閉回転体61とは、第1開閉回転体58と第2開閉回転体59とが離間する同じ距離(移動量)だけ接近する(
図6(b)参照)よう構成される。すなわち、前記作動機構72は、第1開閉回転体58と第2開閉回転体59とが離間する際および接近する際の何れにおいても、第3開閉回転体60と第4開閉回転体61とを逆方向に移動して、複数の開閉回転体58,59,60,61に巻き掛けられている前記移送ベルト53を、移送ベルト53におけるフィルム移送方向の上流端から下流端までの長さを変化させることなく、張った状態に維持し得るよう構成されている。
【0030】
次に、実施例に係る横形製袋充填機におけるエンドシール装置の作用について説明する。
前記各シールユニット13における一対のシール体11,12の夫々が相互に離間した初期位置の状態から、前記第1のシールユニット13Aが往復動機構15によってフィルム移送方向の下流側へ移動すると共に、開閉機構14によって一対のシール体11,12が相互に接近して、前記筒状フィルム10の物品40,40を挟む位置が挟持される。第1のシールユニット13Aにおける一対のシール体11,12が相互に接近する際には、
図2、
図6(b)に示す如く、前記端部開閉機構55によって前記第1開閉回転体58および第2開閉回転体59が相互に離間して、当該第1のシールユニット13Aに対応する位置の移送ベルト53の対向端部間に隙間が形成され、第2シール体12の上昇移動は許容される。また、端部開閉機構55によって前記第3開閉回転体60および第4開閉回転体61は、第1開閉回転体58と第2開閉回転体59とが離間する同じ距離だけ接近することで、移送ベルト53は弛むことなく張った状態に維持される。そして、一対のシール体11,12で筒状フィルム10を挟持した状態を維持したままフィルム移送方向の下流側へ第1のシールユニット13Aが移動し、これにより筒状フィルム10に良質なエンドシールが施される。また、一対のシール体11,12が筒状フィルム10を挟持している間に、前記エアシリンダ31により前記切断刃30が作動され、エンドシールが施された筒状フィルム10は幅方向に切断される。
【0031】
前記第1のシールユニット13Aがフィルム移送方向の下流側への移動を開始した後、該第1のシールユニット13Aとの間隔がカットピッチと同じ間隔となるタイミングで前記第2のシールユニット13Bが往復動機構15によってフィルム移送方向の下流側へ移動すると共に、開閉機構14によって一対のシール体11,12が相互に接近し、第1のシールユニット13Aのシール体11,12が筒状フィルム10を挟持した後に、当該第2のシールユニット13Bのシール体11,12によって前記筒状フィルム10の物品40,40を挟む位置が挟持される。第2のシールユニット13Bによって筒状フィルム10にエンドシールを施す場合も、第1のシールユニット13Aの場合と同様に、前記端部開閉機構55によって、当該第2のシールユニット13Bに対応する位置の移送ベルト53の対向端部間に隙間が形成されると共に、移送ベルト53は弛むことなく張った状態に維持される。そして、一対のシール体11,12で筒状フィルム10を挟持した状態を維持したままフィルム移送方向の下流側へ第2のシールユニット13Bが移動し、筒状フィルム10にエンドシールが施されると共に、前記切断刃30によりエンドシールが施された筒状フィルム10は幅方向に切断される。
【0032】
前記第3のシールユニット13Cは、前記第2のシールユニット13Bと同様に、フィルム移送方向の下流側へ移動するタイミングを、第2のシールユニット13Bがフィルム移送方向の下流側への移動を開始したタイミングからずらすと共に、第2のシールユニット13Bのシール体11,12が筒状フィルム10を挟持した後に、当該第3のシールユニット13Cのシール体11,12によって筒状フィルム10の物品40,40を挟む位置を挟持するように、往復動機構15および開閉機構14が作動される。また、前記端部開閉機構55によって、当該第3のシールユニット13Cに対応する位置の移送ベルト53の対向端部間に隙間が形成されると共に、移送ベルト53は弛むことなく張った状態に維持される。そして、一対のシール体11,12で筒状フィルム10を挟持した状態を維持したままフィルム移送方向の下流側へ第3のシールユニット13Cが移動し、筒状フィルム10にエンドシールが施されると共に、前記切断刃30によりエンドシールが施された筒状フィルム10は幅方向に切断される。
【0033】
前記第1のシールユニット13Aが、シール体11,12で挟持している筒状フィルム10に良質なエンドシールを施し得る時間に対応する距離だけフィルム移送方向の下流側へ移動した後、前記開閉機構14によって一対のシール体11,12が相互に離間して筒状フィルム10を解放しつつ、前記往復動機構15によって第1のシールユニット13Aがフィルム移送方向の上流側に移動する。また、第2のシールユニット13Bにおいても、当該第2のシールユニット13Bが、シール体11,12で挟持している筒状フィルム10に良質なエンドシールを施し得る時間に対応する距離だけフィルム移送方向の下流側へ移動した後、前記開閉機構14によって一対のシール体11,12が相互に離間して筒状フィルム10を解放しつつ、前記往復動機構15によって第3のシールユニット13Cがフィルム移送方向の上流側に移動する。また、第3のシールユニット13Cが、シール体11,12で挟持している筒状フィルム10に良質なエンドシールを施し得る時間に対応する距離だけフィルム移送方向の下流側へ移動した後、前記開閉機構14によって一対のシール体11,12が相互に離間して筒状フィルム10を解放する。そして、第3のシールユニット13Cのシール体11,12が筒状フィルム10を解放すると、各往復動機構15によって全てのシールユニット13A~13Cは、第1のシールユニット13Aが、カットピッチの3倍の長さでフィルム移送方向の下流側に移送される筒状フィルム10における第3のシールユニット13Cでエンドシールされたシール位置よりフィルム移送方向の上流側、すなわち筒状フィルム10における該シール位置よりカットピッチ分だけ上流側にエンドシールを施し得る初期位置に位置付くように復帰される。エンドシール装置は、複数基のシールユニット13の夫々をボックスモーションする前述した1包装サイクルの動きを繰り返すことで、一度に複数の包装体を製造する。
【0034】
実施例のエンドシール装置は、複数基のシールユニット13をフィルム移送方向に並べて配設し、1包装サイクルで複数の包装体を製造し得るよう構成した。すなわち、各シールユニット13における一対のシール体11,12が筒状フィルム10を挟んだままフィルム移送方向の下流側へ移動することで、エンドシールの高いシール性を確保し得ると共に、単位時間あたりの生産数を増加することができる。また、各シールユニット13における一対のシール体11,12の開閉動作および各シールユニット13のフィルム移送方向の往復移動を、各シールユニット13の夫々で独立して行い得るので、オーダー変更によって物品サイズが変わった場合は、各開閉機構14および各往復動機構15の作動タイミング等を変更する制御的な調節だけで容易に対応でき、シールユニット13の配設位置を変更するなどの煩雑な機械的な調節作業を省くことができる。なお、実施例のエンドシール装置は、シール時間を長く確保し得るので、ポリプロピレンなどの基材に、アルミ蒸着や、アルミラミネート処理されたフィルムなどで比較的厚みがあって、フィルム重合部に対する表面側からの加熱に対して内面まで熱が伝わりにくい性状のフィルムを用いて、高速包装される場合などにおいても、密封性の高い良好なシールを得ることができる。
【0035】
実施例のエンドシール装置は、複数基のシールユニット13において、一対のシール体11,12による筒状フィルム10の挟持を、下流側から上流側の順でずらして行うよう構成したので、シールユニット13で挟持した筒状フィルム10を下流側に引っ張って、上流側の筒状フィルム10を弛ませることなく上流側のシールユニット13で良好にシールすることができ、エンドシール位置がずれるのを防ぐことができる。また、一対のシール体11,12による筒状フィルム10の挟持をずらすことで、筒状フィルム10内の空気を、筒状フィルム10における未シールの上流側に逃がすことができる。すなわち、一対のシール体11,12で筒状フィルム10を挟持する際に、内部空気によって抵抗が大きくなってシール不良を招くのを防ぐことができる。
【0036】
実施例のエンドシール装置では、各シールユニット13は、該ユニット13に連結した索状体50,50を往復用駆動モータ46で走行駆動してフィルム移送方向に沿って往復移動するよう構成したので、複数基のシールユニット13を、簡単な構成で夫々独立して往復移動することができる。
【0037】
また、筒状フィルム10を移送する移送コンベヤ52では、各シールユニット13に対応する位置でフィルム移送方向の前後で対向する移送ベルト53の対向端部を、各シールユニット13に設けた端部開閉機構55によって一対のシール体11,12の接近・離間に同期して離間・接近するよう構成したので、一対のシール体11,12による筒状フィルム10のエンドシールを許容しつつ、筒状フィルム10を介して物品40を下流側に円滑に移送することができる。また、移送ベルト53の対向端部を離間・接近するべく前記第1開閉回転体58および第2開閉回転体59を相互に離間または接近する際には、前記第3開閉回転体60および第4開閉回転体61を、第1開閉回転体58と第2開閉回転体59とが離間または接近する同じ距離だけ接近または離間するよう構成したので、移送ベルト53におけるフィルム移送方向の上流端から下流端までの長さを変化させることなく、該移送ベルト53を常に張った状態に維持することができ、該移送ベルト53が弛むことで蛇行したり物品40の良好な移送を阻害したりするのを防ぐことができる。
【0038】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 実施例では、3基のシールユニット13をフィルム移送方向に並べて配設したが、シールユニット13の配設数は、2基以上であればよい。
(2) シールユニット13を3基以上配設した構成において、フィルム移送方向の上流または下流の端側に位置する1基または複数基のシールユニット13を、他のシールユニット13の移動を妨げない待機位置に位置付けたもとで、他のシールユニット13のみで筒状フィルム10をシールする動作を行わせる構成を採用することができる。また、全てのシールユニット13をフィルム移送方向に往復移動するもとで、任意のシールユニット13のシール体11,12を相互に離間する位置に維持してシールを行わないようにすることもできる。
(3) 実施例の端部開閉機構55では、一対の開閉回転体(第2の回転体)60,61を、一対の開閉回転体(第1の回転体)58,59とは反対方向に移動して移送ベルト53を常に張った状態に維持するよう構成したが、例えば、第2シール体12を迂回する移送ベルト53が巻き掛けられる一対の補助回転体をフィルム移送方向の前後に離間して配設すると共に、該一対の補助回転体の間に臨む移送ベルト53を下側から支持する1つの第2の回転体を上下方向に移動可能に支持し、一対の開閉回転体(第1の回転体)58,59が離間する際に第2の回転体を上昇すると共に、一対の開閉回転体(第1の回転体)58,59が接近する際に第2の回転体を下降することで、移送ベルト53を常に張った状態に維持するなどの構成を採用することができる。
【0039】
(4) 実施例では、移送ベルト53における各シールユニット13に対応する位置においてフィルム移送方向の前後で対向する対向端部を、第2シール体12の上昇を許容するように開閉するよう構成したが、第2シール体12の昇降を許容する空所の長さでは落下することのない長さの物品40を包装する場合は、移送ベルト53における各シールユニット13に対応する位置の対向端部を開閉することなく離間した状態を維持する構成を採用することができる。
(5) シールユニット13における一対のシール体11,12を接近・離間移動する開閉機構14は、クランク機構やエアシリンダなど、公知の各種手段を採用することができる。
(6) 各シールユニット13を独立して往復移動する往復動機構15は、リニアスライド機構など、公知の各種手段を採用することができる。
(7) 実施例では、筒状フィルム10を各シールユニット13のシール体11,12で挟持するタイミングをずらすよう構成したが、全てのシールユニット13のシール体11,12が、同じタイミングで筒状フィルム10を挟持する構成を採用することができる。
(8) 実施例は、第1シール体11に切断刃30を配設して、一対のシール体11,12によってエンドシールを施す同時期に筒状フィルム10を切断するよう構成したが、最下流のシールユニット13の配設位置より下流側に切断装置を設け、全てのシールユニット13で複数箇所にエンドシールが施された筒状フィルム10を、切断装置によってカットピッチで切断する構成を採用することができる。
(9) 実施例は、全てのシールユニット13の間隔を同じ(カットピッチ)としたが、3基以上のシールユニット13を並べて配設する構成において、隣り合うシールユニット13の間隔を異なる間隔とすることができる。
【符号の説明】
【0040】
10 筒状フィルム,11 第1シール体(シール体),12 第2シール体(シール体)
13 シールユニット,14 開閉機構,15 往復動機構,40 物品
46 往復用駆動モータ,50 索状体,52 移送コンベヤ(移送手段)
53 移送ベルト(移送体),54 駆動モータ,58 第1開閉回転体(第1の回転体)
59 第2開閉回転体(第1の回転体),60 第3開閉回転体(第2の回転体)
61 第4開閉回転体(第2の回転体),72 作動機構