(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240527BHJP
【FI】
G06Q20/06
(21)【出願番号】P 2022067106
(22)【出願日】2022-04-14
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】522152566
【氏名又は名称】株式会社ベイヤード
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 紳司
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2381499(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第113536240(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品またはサービスを含む取引対象の購入者が、前記取引対象に対応する取引対象NFTを受け取る際に、パブリックブロックチェーンネットワークにより受け取るか、または、プライベートブロックチェーンネットワークにより受け取るかの選択を受け付け、
前記パブリックブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記パブリックブロックチェーンネットワーク上で前記購入者に取引対象NFTを付与するとともに、前記取引対象の提供処理を実行し、
前記プライベートブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記プライベートブロックチェーンネットワーク上で前記購入者に取引対象NFTを付与するとともに、前記取引対象の提供処理を実行する
情報処理方法。
【請求項2】
前記取引対象NFTを受け取るか否かの選択を受け付け、
前記取引対象NFTを受け取らない選択を受け付けた場合に、前記取引対象NFTを発行することなく取引対象の提供処理を実行する
請求項
1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記プライベートブロックチェーンネットワーク上で前記取引対象NFTを発行した後に、発行された前記取引対象NFTを前記パブリックブロックチェーンネットワーク上での取引対象NFTに変更する変更要求を受け付け、
受け付けた変更要求に応じて、前記取引対象NFTを前記パブリックブロックチェーンネットワーク上での取引対象NFTに変更する
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
複数のパブリックブロックチェーンネットワークを選択可能に出力し、
出力した複数のパブリックブロックチェーンネットワークから、パブリックブロックチェーンネットワークの選択を受け付ける
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
複数のパブリックブロックチェーンネットワークを選択可能に出力し、
出力した複数のパブリックブロックチェーンネットワークから、パブリックブロックチェーンネットワークの選択を受け付ける
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記取引対象NFTが譲渡された場合に、譲渡に伴う費用の一部を前記取引対象の関係者に付与する
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記取引対象を提供する提供者のWebサイト上に、パブリックブロックチェーンネットワークまたはプライベートブロックチェーンネットワークのいずれかの選択を受け付ける画面を出力し、
出力した画面でネットワークの選択を受け付け、
選択されたネットワーク上での前記取引対象NFTの発行手続きを実行する
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記提供者の取引対象NFTのパブリックブロックチェーンネットワーク上での第1ウォレットアドレスと、前記取引対象NFTのプライベートブロックチェーンネットワーク上での第2ウォレットアドレスとを前記Webサイト上に表示させる
請求項
7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
イベントのチケット購入者がチケットNFTを受け取る際に、パブリックブロックチェーンネットワークにより受け取るか、または、プライベートブロックチェーンネットワークにより受け取るかの選択を受け付け、
前記パブリックブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記パブリックブロックチェーンネットワーク上で前記チケット購入者にチケットNFTを付与するとともに、前記イベントへの入場用コードを発行し、
前記プライベートブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記プライベートブロックチェーンネットワーク上で前記チケット購入者にチケットNFTを付与するとともに、前記イベントへの入場用コードを発行する
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項10】
商品またはサービスを含む取引対象の購入者が、前記取引対象に対応する取引対象NFTを受け取る際に、パブリックブロックチェーンネットワークにより受け取るか、または、プライベートブロックチェーンネットワークにより受け取るかの選択を受け付ける受付部と、
前記パブリックブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記パブリックブロックチェーンネットワーク上で前記購入者に取引対象NFTを付与するとともに、前記取引対象の提供処理を実行する第1実行部と、
前記プライベートブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記プライベートブロックチェーンネットワーク上で前記購入者に取引対象NFTを付与するとともに、前記取引対象の提供処理を実行する第2実行部と
を備える情報処理装置。
【請求項11】
商品またはサービスを含む取引対象の購入者が、前記取引対象に対応する取引対象NFTを受け取る際に、パブリックブロックチェーンネットワークにより受け取るか、または、プライベートブロックチェーンネットワークにより受け取るかの選択を受け付け、
前記パブリックブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記パブリックブロックチェーンネットワーク上で前記購入者に取引対象NFTを付与するとともに、前記取引対象の提供処理を実行し、
前記プライベートブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記プライベートブロックチェーンネットワーク上で前記購入者に取引対象NFTを付与するとともに、前記取引対象の提供処理を実行する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非代替トークン型の電子チケットの発行技術が注目されている。特許文献1には、興行の開催前後の各時期を通じてチケットの所有履歴を保障することができ、かつ、興行参加以外の利用価値をチケットに付加することができる電子チケット管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、チケットの購入者がチケットNFT(Non-Fungible Token;非代替性トークン)を受け取る際に利用されるブロックチェーンネットワークを指定することができないという問題がある。
【0005】
一つの側面では、取引対象NFT(例えば、チケットNFT)を受け取る際に利用されるブロックチェーンネットワークを指定することが可能な情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係る情報処理方法は、商品またはサービスを含む取引対象の購入者が、前記取引対象に対応する取引対象NFTを受け取る際に、パブリックブロックチェーンネットワークにより受け取るか、または、プライベートブロックチェーンネットワークにより受け取るかの選択を受け付け、前記パブリックブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記パブリックブロックチェーンネットワーク上で前記購入者に取引対象NFTを付与するとともに、前記取引対象の提供処理を実行し、前記プライベートブロックチェーンネットワークの選択を受け付けた場合に、前記プライベートブロックチェーンネットワーク上で前記購入者に取引対象NFTを付与するとともに、前記取引対象の提供処理を実行する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、取引対象NFTを受け取る際に利用されるブロックチェーンネットワークを指定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】チケット購入システムの概要を示す説明図である。
【
図3】購入者DB及びチケットDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図4】購入履歴DB及びネットワークDBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図6】購入者端末の構成例を示すブロック図である。
【
図7】チケットNFTの受取を拒否する場合のチケットの発行処理を説明する説明図である。
【
図8】チケットNFTを受け取る場合のチケットの発行処理を説明する説明図である。
【
図9】チケットの購入確認画面の一例を示す説明図である。
【
図10】特典の表示画面の一例を示す説明図である。
【
図11】チケットNFTが付加されていないチケットを発行する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】チケットNFTが付加されているチケットを発行する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】チケットNFTを発行する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【
図14】チケットNFTの変更処理を説明する説明図である。
【
図15】チケットNFTの変更処理を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】チケットNFTを変更する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【
図17】ブロックチェーンネットワークの選択受付画面の一例を示す説明図である。
【
図18】関係者に譲渡費用の一部を付与する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図19】スマートコントラクトによる関係者への費用付与処理を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0010】
(実施形態1)
実施形態1は、取引対象の購入者が、当該取引対象に対応する取引対象NFTを受け取る際に、選択されたブロックチェーンネットワーク上で当該購入者に取引対象NFTを付与するとともに、当該取引対象の提供処理を実行する形態に関する。
【0011】
取引対象は、商品またはサービスを含む。商品は、例えば、デジタルコンテンツ(音楽、映画またはゲームキャラクター等)、アート作品(絵画、彫刻、イラストレーションまたは写真等)、コンサート、競技大会もしくは遊園地等のチケット(入場券)、または、モノとして取引される洋服、靴、バッグもしくは家具等を含む。サービスは、例えば、ファンクラブサービスまたはスポーツクラブ会員サービス等を含む。なお、本実施形態では、取引対象がチケットである例を説明するが、他の種類の取引対象にも同様に適用することができる。以下では簡潔のため、取引対象をチケットと読み替える。
【0012】
NFTは、鑑定書または所有証明書付きのデジタルデータであり、仮想通貨と同様にデータ管理にブロックチェーン技術が用いられ、改ざん・偽造ができない仕組みである。チケットNFTは、ブロックチェーンシステム上で発行され、チケットとNFTとを紐付けることで当該チケットの所有権を持っているという証明である。
【0013】
図1は、チケット購入システムの概要を示す説明図である。本実施形態のシステムは、情報処理装置1、パブリックブロックチェーンシステム2、プライベートブロックチェーンシステム3及び情報処理端末4を含み、各装置はインターネット等のネットワークNを介して情報の送受信を行う。
【0014】
情報処理装置1は、種々の情報に対する処理、記憶及び送受信を行う情報処理装置である。情報処理装置1は、例えばサーバ装置、パーソナルコンピュータまたは汎用のタブレットPC(パソコン)等である。本実施形態において情報処理装置1はサーバ装置であるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。
【0015】
パブリックブロックチェーンシステム2は、パブリック型の分散型台帳技術又は分散型ネットワークである。パブリックブロックチェーンシステム2は、コンセンサス処理を実行する複数のノード21により構成される。ノード21の各々は、当該コンセンサス処理の実行を通じて、ブロックチェーンデータのコピーを保持する。パブリックブロックチェーンシステム2は、ブロックと呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖のように連結していくことによりデータを保管する。
【0016】
パブリックブロックチェーンシステム2は、ピアツーピア(Peer to Peer)ネットワークと分散型タイムスタンプサーバの使用により自律的に管理される。鎖状に保存しているため、ブロック内のデータを一度記憶した場合、該データを遡及的に変更することが難しい。データの単位はブロックではなく個々のトランザクションであっても良い。また、データの保存は鎖状以外にも有向非巡回グラフ等の保存形式であっても良い。以下では簡潔のため、パブリックブロックチェーンシステム2をパブリックBC2と読み替える。
【0017】
パブリックBC2はインターネット等のネットワークNに接続できる人であれば誰でも許可なく取引に参加できる、管理者が存在しないブロックチェーンである。パブリックBC2が完全にオープンであるため、管理者がいなくてもマイニングによる承認によって取引の正当性を担保することができる。パブリックBC2は、情報共有と相互監視によって、信用できる管理者が不要な非中央集権型のネットワークである。
【0018】
プライベートブロックチェーンシステム3は、プライベート型の分散型台帳技術又は分散型ネットワークである。なお、プライベートブロックチェーンシステム3の構成に関しては、パブリックBC2の構成と同様であるため、説明を省略する。以下では簡潔のため、プライベートブロックチェーンシステム3をプライベートBC3と読み替える。
【0019】
プライベートBC3は、特定の管理者(運営者)が存在する、限定された参加者のみが利用できるブロックチェーンである。プライベートBC3は中央集権型のネットワークであり、透明性はないものの、外部に公開されないためプライバシーが確保され、閉じたシステム内でブロックチェーンにデータを格納することができる。
【0020】
プライベートBC3は、全体の参加者数が不明であるパブリックBC2と異なり、参加者数がわかるため、多数決で合意を得ることが可能となる。また、パブリックBC2のノード21の数は、プライベートBC3のノード31の数より多いため、合意形成に時間及び取引時間を要する。
【0021】
なお、本実施形態では、パブリックBC2及びプライベートBC3の例を説明したが、これに限るものではない。例えば、コンソーシアムブロックチェーンネットワークにも同様に適用することができる。
【0022】
情報処理端末4は、チケットの購入、及び当該チケットに対応するチケットNFTの受取等を行う端末装置である。情報処理端末4は、例えばスマートフォン、携帯電話、アップルウォッチ(Apple Watch:登録商標)等のウェアラブルデバイス、タブレット、パーソナルコンピュータ端末等の情報処理機器である。以下では簡潔のため、情報処理端末4を購入者端末4と読み替える。
【0023】
本実施形態に係るサーバ1は、チケットの購入者が、当該チケットに対応するチケットNFTを受け取る際に、パブリックBC2により受け取るか、または、プライベートBC3により受け取るかの選択を受け付ける。サーバ1は、パブリックBC2の選択を受け付けた場合、当該パブリックBC2上で購入者にチケットNFTを付与するとともに、当該チケットの提供処理を実行する。サーバ1は、プライベートBC3の選択を受け付けた場合、当該プライベートBC3上で購入者にチケットNFTを付与するとともに、当該チケットの提供処理を実行する。
【0024】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読取部16及び大容量記憶部17を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0025】
制御部11はCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を含み、記憶部12に記憶された制御プログラム1P(プログラム製品)を読み出して実行することにより、サーバ1に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。また制御プログラム1Pには、例えばイーサリアム、Mist Wallet等のスマートコントラクトの生成・実行、仮想通貨の送金、アカウントの作成、マイニング等の処理を実行するプログラムが含まれる。なお、
図2では制御部11を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0026】
記憶部12はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ素子を含み、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1P又はデータ等を記憶している。また、記憶部12は、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部13は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、パブリックBC2のノード21、プライベートBC3のノード31または購入者端末4等との間で情報の送受信を行う。
【0027】
入力部14は、マウス、キーボード、タッチパネルまたはボタン等の入力デバイスであり、受け付けた操作情報を制御部11へ出力する。表示部15は、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等であり、制御部11の指示に従い各種情報を表示する。
【0028】
読取部16は、CD(Compact Disc)-ROM又はDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読取部16を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、大容量記憶部17に記憶しても良い。また、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御部11が制御プログラム1Pをダウンロードし、大容量記憶部17に記憶しても良い。さらにまた、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでも良い。
【0029】
大容量記憶部17は、例えばHDD(Hard disk drive:ハードディスク)、SSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等の記録媒体を備える。大容量記憶部17は、購入者DB(データベース:database)171、チケットDB172、購入履歴DB173及びネットワークDB174を含む。
【0030】
購入者DB171は、購入者に関する情報を記憶している。チケットDB172は、チケットに関する情報を記憶している。購入履歴DB173は、購入者がチケットを購入した購入履歴を記憶している。ネットワークDB174は、ブロックチェーンネットワークに関する情報を記憶している。
【0031】
なお、本実施形態において記憶部12及び大容量記憶部17は一体の記憶装置として構成されていても良い。また、大容量記憶部17は複数の記憶装置により構成されていても良い。更にまた、大容量記憶部17はサーバ1に接続された外部記憶装置であっても良い。
【0032】
サーバ1は、種々の情報処理及び制御処理等をコンピュータ単体で実行しても良いし、複数のコンピュータで分散して実行しても良い。また、サーバ1は、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されても良いし、クラウドサーバを用いて実現されても良い。
【0033】
図3は、購入者DB171及びチケットDB172のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
購入者DB171は、購入者ID列、氏名列、支払方法列及び登録カード列を含む。購入者ID列は、各購入者を識別するために、一意に特定される購入者のIDを記憶している。氏名列は、購入者の氏名を記憶している。
【0034】
支払方法列は、購入者がチケットを購入する際の支払方法を記憶している。支払方法は、例えば、現金、銀行の口座振替、キャッシュレス決済(クレジットカード、コード決済または電子マネー決済等)、または仮想通貨(暗号資産)等を含む。なお、本実施形態での支払方法は、クレジットカードによる決済が例示されている。登録カード列は、クレジットカード等による決済の際に登録されたカード番号及び有効期限等の情報を記憶している。
【0035】
チケットDB172は、チケットID列、カテゴリ列、座席種類列、内容列、金額列及び手数料列を含む。チケットID列は、各チケットを識別するために、一意に特定されるチケットのIDを記憶している。カテゴリ列は、チケットのカテゴリ(例えば、コンサートまたは競技大会)を記憶している。座席種類列は、座席の種類(例えば、普通席または指定席)を記憶している。内容列は、チケットの内容を記憶している。金額列は、チケットの金額を記憶している。手数料列は、チケットの発行手数料を記憶している。
【0036】
図4は、購入履歴DB173及びネットワークDB174のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
購入履歴DB173は、購入者ID列、チケットID列、金額列、手数料列、購入日時列、NFT受取状況列、ネットワークID列、種類列及びチケットNFT列を含む。購入者ID列は、購入者を特定する購入者IDを記憶している。チケットID列は、チケットを特定するチケットIDを記憶している。金額列は、購入者が支払った金額を記憶している。手数料列は、チケット購入の際に支払われた発行手数料を記憶している。購入日時列は、購入者がチケットを購入した日時情報を記憶している。
【0037】
NFT受取状況列は、購入されたチケットに対応するチケットNFTの受取状況を記憶している。受取状況は、例えば受取または受取拒否等を含む。ネットワークID列は、ブロックチェーンネットワークを特定するネットワークIDを記憶している。種類列は、ブロックチェーンネットワークの種類を記憶している。
【0038】
チケットNFT列は、パブリックBC2またはプライベートBC3上で発行されたチケットNFTを記憶している。例えば、パブリックBC2上で、Ethereumの一つのスマートコントラクト規格であるERC721を利用し、「価値」を証明することができるチケットNFTを発行しても良い。ERC721が利用された場合、チケットNFTは、トークン(Token)ID、所有者アドレス及びトークンURI(Uniform Resource Identifier)等が構成される。
【0039】
例えばチケットNFT列には、チケットNFTのトークンID、所有者アドレス及びトークンURI等を含むブロックチェーン上でのインデックスが記憶されている。なお、チケットNFTの発行時に、チケットNFTのトークンID、所有者アドレス及びトークンURI等がブロックチェーン上で記憶される。トークンURIは、チケットNFTに対するメタデータの場所を示す属性である。メタデータの場所は、例えば対象データ(画像または動画等)のURL(Uniform Resource Locator)等である。なお、メタデータそのものは、例えばJSON(JavaScript Object Notation)形式で外部のデータベース装置に記憶されても良い。
【0040】
ネットワークDB174は、ネットワークID列、種類列、名称列及び特典列を含む。ネットワークID列は、各ブロックチェーンネットワークを識別するために、一意に特定されるブロックチェーンネットワークのネットワークIDを記憶している。種類列は、ブロックチェーンネットワークの種類を記憶している。ブロックチェーンネットワークの種類は、パブリックブロックチェーンネットワーク、プライベートブロックチェーンネットワーク、またはコンソーシアムブロックチェーンネットワーク等を含む。名称列は、ブロックチェーンネットワークの名称を記憶している。
【0041】
特典列は、対象ブロックチェーンネットワークにおける利用可能な特典情報を記憶している。チケットNFTがチケットと分離して発行されるため、入場に利用しない購入者(ユーザ)がチケットNFTのみを所有することができる。チケットNFTに各種の特典を付与することにより、当該チケットNFTの付加価値を高める。特典は、例えば、音楽、動画もしくは画像等のコンテンツ配信・閲覧、関連商品の購入時に割引適用、特定イベントの参加、ポイント還元、または特別グッズ(例えば、書籍、雑誌またはギフトカード)の受領等を含む。また、プライベートBC3上で発行されたチケットNFTより、パブリックBC2上で発行されたチケットNFTに多くの特典を付与することが可能となる。
【0042】
なお、上述した各DBの記憶形態は一例であり、データ間の関係が維持されていれば、他の記憶形態であっても良い。
【0043】
図5は、ノードの構成例を示すブロック図である。
図5Aは、パブリックBC2のノード21の構成例を示すブロック図である。
パブリックBC2のノード21は、制御部211、記憶部212、通信部213、受付部214、出力部215、ブロック生成部216、ブロック検証部217及びブロック共有部218を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0044】
制御部211は、他ノード21(端末)の制御部と自律分散的に協調して、常に最新のブロックチェーン(台帳:ブロックチェーンデータのコピー)を記憶部212に保持する。記憶部212には、分散型のネットワークへブロードキャストされたトランザクションが含まれたブロックチェーン(台帳)、及びブロック内の情報の検証処理に必要となる情報等が記憶される。
【0045】
通信部213は、通信に関する処理を行うための通信モジュールである。受付部214は、外部ノードから、パブリックBC2が管理するブロックチェーンである分散型のネットワークに記録する情報を受け付ける。出力部215は、外部ノードからの要求に応じて、自身が保持するブロックチェーンの情報を出力する。
【0046】
ブロック生成部216は、受付部214が受け付けた情報を基に、ブロックチェーンに追加するブロックを生成する。ブロック生成部216は、前ブロックに基づく情報と受付部214が受け付けた情報とを含むブロックを生成する。また、ブロック生成部216は、自身が生成したブロックまたは後述するブロック共有部218を介して他のブロックチェーンのノード21が生成したブロックに対して、所定のコンセンサス処理として、例えば、ノンスを探索する処理または署名を付与する処理を行った上で、自身が管理するブロックチェーン(台帳)にブロックを追加する。なお、ブロック生成部216が生成したブロックに対して、複数のノード21が所定のコンセンサス処理を行って得られたものが、最終的にパブリックBC2に追加されるブロックとなる。
【0047】
ブロック検証部217は、自身が保持するブロックチェーンにブロックを追加する際に、該ブロック内の情報の検証を行う。通常、追加対象とされるブロックは、自ノードを含むノード21群において最も早く規則が満たされたブロックであるが、悪意のあるノード21が含まれていた場合等を考慮して、実際に規則が満たされているか等を検証しても良い。
【0048】
ブロック共有部218は、パブリックBC2に属するノード21間で情報交換を行う。ブロック共有部218は、より具体的には、受付部214が受け付けた情報、ブロック生成部216が生成したブロック、及び他のノード21から受け付けたブロック等を、適宜他のノード21に送信する。これにより、可能な限り全てのノード21でこれらの情報および最新のパブリックBC2を共有する。
【0049】
なお、
図5Aの構成はあくまで一例であって、ブロックチェーンのノード21は、改ざんが困難なパブリックBC2を複数のノードが共有して管理するための所定のコンセンサス処理を実行可能であり、外部ノードからの要求に応じて分散型のネットワークへの情報追加、及び分散型のネットワークに記録された情報の参照が可能なノードであれば、具体的な構成は問わない。
【0050】
図5Bは、プライベートBC3のノード31の構成例を示すブロック図である。プライベートBC3のノード31は、制御部311、記憶部312、通信部313、受付部314、出力部315、ブロック生成部316、ブロック検証部317及びブロック共有部318を含む。なお、プライベートBC3のノード31の構成に関しては、パブリックBC2のノード21の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
なお、サーバ1は、パブリックBC2のノード21、またはプライベートBC3のノード31であっても良い。
【0052】
図6は、購入者端末4の構成例を示すブロック図である。購入者端末4は、制御部41、記憶部42、通信部43、入力部44及び表示部45を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0053】
制御部41はCPU、MPU等の演算処理装置を含み、記憶部42に記憶された制御プログラム4P(プログラム製品)を読み出して実行することにより、購入者端末4に係る種々の情報処理、制御処理等を行う。また制御プログラム4Pには、例えばイーサリアム、Mist Wallet等のスマートコントラクトの生成・実行、仮想通貨の送金、アカウントの作成、マイニング等の処理を実行するプログラムが含まれる。なお、
図6では制御部41を単一のプロセッサであるものとして説明するが、マルチプロセッサであっても良い。
【0054】
記憶部42はRAM、ROM等のメモリ素子を含み、制御部41が処理を実行するために必要な制御プログラム4P又はデータ等を記憶している。また、記憶部42は、制御部41が演算処理を実行するために必要なデータ等を一時的に記憶する。通信部43は通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、ネットワークNを介して、サーバ1等と情報の送受信を行う。入力部44は、キーボード、マウスまたは表示部45と一体化したタッチパネルでも良い。表示部45は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部41の指示に従い各種情報を表示する。
【0055】
図7は、チケットNFTの受取を拒否する場合のチケットの発行処理を説明する説明図である。
購入者端末4は、チケットの購入者がチケットNFTを受け取るか否かを示す指示情報を受け付けた場合、受け付けた指示情報に基づいてチケットNFTを受け取るか否かを判定する。購入者端末4は、チケットNFTを受け取っていないと判定した場合、購入者ID及びチケットIDに対応付けて、チケットNFTの受取に関する指示情報をサーバ1に送信する。サーバ1は、購入者端末4から送信された購入者ID、チケットID及び指示情報を受信する。サーバ1は、受信した購入者ID及びチケットIDに基づいて、入場用コードのみを生成する。
【0056】
入場用コードは、例えば、2次元コードまたは1次元コード等である。2次元コードは、横方向にしか情報を持たない1次元コードに対し、水平方向と垂直方向に情報を持つ表示方式のコードである。代表的な2次元コードは、例えばQRコード(登録商標)、DataMatrix(登録商標)又はVeriCode(登録商標)である。1次元コードは、例えばバーコードである。本実施の形態では一例として、入場用のQRコードを読み取るものとして説明する。
【0057】
具体的には、サーバ1は、2次元コードの生成ライブラリを利用し、購入者の購入者ID及び当該購入者が購入した対象チケットのチケットIDを含むQRコードを生成する。なお、2次元コードの中に埋め込まれる項目は、上述した購入者ID及びチケットIDに限らず、実際のニーズに応じて任意の項目が設定されても良い。
【0058】
サーバ1は、購入者ID及びチケットIDに対応付けて、金額、手数料、購入日時、及び「受取拒否」となったNFT受取状況を一つのレコードとして購入履歴DB173に記憶する。サーバ1は、生成した入場用のQRコードを当該購入者の購入者端末4に送信する。購入者端末4は、サーバ1から送信された入場用のQRコードを受信し、受信したQRコードを画面に表示する。
【0059】
なお、入場用のQRコードをメール、SNS(Social Networking Service)またはSMS(Short Message Service)等を利用して購入者に送信しても良い。または、入場用のQRコードを印刷して郵送等により購入者に送付しても良い。
【0060】
図8は、チケットNFTを受け取る場合のチケットの発行処理を説明する説明図である。購入者端末4は、チケットの購入者がチケットNFTを受け取るか否かを示す指示情報を受け付けた場合、受け付けた指示情報に基づいてチケットNFTを受け取るか否かを判定する。購入者端末4は、チケットNFTを受け取ると判定した場合、当該チケットNFTを受け取る際に利用されるブロックチェーンネットワークを選択するために、複数のブロックチェーンネットワークをサーバ1のネットワークDB174から取得する。購入者端末4は、取得した複数のブロックチェーンネットワークを選択可能に表示する。
【0061】
ブロックチェーンネットワークは、パブリックBC2及びプライベートBC3等を含む。パブリックBC2は、例えば、ビットコイン(Bitcoin;登録商標)ネットワーク、イーサリアム(Ethereum;登録商標)ネットワークまたはポリゴン(Polygon)ネットワーク等を含む。プライベートBC3は、例えば、ハイパーレジャーファブリック(Hyperledger Fabric)ネットワーク、またはパーミッション型(許可型)であるQuorumネットワーク等を含む。
【0062】
購入者端末4は、購入者によるブロックチェーンネットワークの選択を受け付ける。購入者端末4は、購入者ID及びチケットIDに対応付けて、チケットNFTの受取に関する指示情報及び選択されたブロックチェーンネットワークのネットワークIDをサーバ1に送信する。サーバ1は、購入者端末4から送信された購入者ID、チケットID、指示情報及びネットワークIDを受信する。
【0063】
サーバ1は、受信した指示情報及びネットワークIDに応じて、ネットワークDB174から当該ネットワークIDに対応するブロックチェーンネットワークの種類を取得する。サーバ1は、取得したブロックチェーンネットワークの種類に応じて、選択されたブロックチェーンネットワークがパブリックBC2であるか、または、プライベートBC3であるかを判定する。
【0064】
サーバ1は、選択されたブロックチェーンネットワークがパブリックBC2であると判定した場合、当該パブリックBC2上でチケットNFTを作成(発行)する。例えば、選択されたブロックチェーンネットワークがEthereumである場合、サーバ1は、Ethereumの一つのスマートコントラクト規格であるERC721を利用してチケットNFTを作成する。
【0065】
ERC721規格を用いれば、パブリックBC2上の全てのチケットNFTを開示しているが、改ざんすることはできないため、所有者または帰属情報等を付けることが可能となる。作成されたチケットNFTのトークンID、所有者アドレス及びトークンURI等がパブリックBC2上で記憶される。
【0066】
なお、チケットNFTを管理者に発行した場合、管理者は保有する当該チケットNFTを対象購入者に譲渡する。この場合、パブリックBC2は、チケットNFTのトークンID及びトークンURI(メタデータの場所)を引き継ぐようにする。パブリックBC2は、チケットNFTの所有者アドレスを、管理者の所有者アドレスから対象購入者の所有者アドレスに変更する。パブリックBC2は、譲渡後のチケットNFTのトークンID(変更なし)、変更後の所有者アドレス、及びトークンURI(変更なし)等を記録する。
【0067】
また、チケットNFTの所有者は、チケットNFTの売買または移転を介して、暗号資産と同様にチケットNFTを自由に取引できる。
【0068】
サーバ1は、取得したブロックチェーンネットワークの種類に応じて、選択されたブロックチェーンネットワークがプライベートBC3であると判定した場合、当該プライベートBC3上でチケットNFTを作成する。
【0069】
サーバ1は、上述したチケットNFTを作成するとともに、入場用のQRコードを生成する。なお、QRコードの生成処理に関しては、上述したQRコードの生成処理と同様であるため、説明を省略する。サーバ1は、購入者ID及びチケットIDに対応付けて、金額、手数料、購入日時、「受取」となったNFT受取状況、ネットワークID、ブロックチェーンネットワークの種類、及びチケットNFT(例えば、トークンID、所有者アドレスまたはトークンURI)を一つのレコードとして購入履歴DB173に記憶する。
【0070】
サーバ1は、作成したチケットNFT、及び生成した入場用のQRコードを購入者端末4に送信する。購入者端末4は、サーバ1から送信されたチケットNFT及び入場用のQRコードを受信し、受信したチケットNFT及び入場用のQRコードを画面に表示する。例えば購入者端末4は、入場用のQRコードとともに、チケットNFTのトークンID、所有者アドレス及びトークンURIを画面に表示する。トークンURIは、例えばチケットNFTに付与した特典(例えば、画像または動画)を示す特典ページのURLである。購入者端末4は、トークンURIのタッチ操作を受け付けた場合、特典ページのURLで指定されるサイトに掲載されている画像または動画を表示する。
【0071】
図9は、チケットの購入確認画面の一例を示す説明図である。
図9Aは、チケットNFTの受取を拒否する場合の購入確認画面である。
図9Bは、チケットNFTを受け取る場合の購入確認画面である。
図9Aまたは
図9Bは、チケット表示欄11a、受取チェックボックス11b、支払欄11c及び購入ボタン11dを含む。
【0072】
チケット表示欄11aは、チケットの内容を表示する表示欄である。受取チェックボックス11bは、購入者がチケットを購入する際に、当該チケットに対応するチケットNFTを受け取るか、または受け取っていないかの設定を受け付けるチェックボックスである。支払欄11cは、支払方法の設定を受け付ける欄である。購入ボタン11dは、チケットを購入するボタンである。
【0073】
購入者端末4は、購入者ID及びチケットIDをサーバ1に送信する。サーバ1は、購入者端末4から送信された購入者ID及びチケットIDを受信する。サーバ1は、受信した購入者IDに基づき、予め登録された登録カードに関する情報(カード番号及び有効期限等)を購入者DB171から取得する。サーバ1は、チケットIDに基づき、チケットの座席の種類、内容(名称及び開場日時等)、金額または手数料等を含むチケット情報をチケットDB172から取得する。
【0074】
サーバ1は、取得したチケット情報及び登録カードに関する情報を購入者端末4に送信する。購入者端末4は、サーバ1から送信されたチケット情報及び登録カードに関する情報を受信して表示する。具体的には、購入者端末4は、受信したチケット情報をチケット表示欄11aに表示し、登録カードに関する情報を支払欄11cに表示する。
【0075】
購入者端末4は、受取チェックボックス11bのチェック操作を受け付けた場合、チケットNFTを受け取るか否かを示す指示情報を取得する。購入者端末4は、取得した指示情報に応じて、チケットNFTを受け取る(受取チェックボックス11bにチェックを付ける)と判定した場合、複数のブロックチェーンネットワークに関する情報をサーバ1のネットワークDB174から取得する。ブロックチェーンネットワークに関する情報は、ネットワークID及びネットワーク名称等を含む。
【0076】
購入者端末4はネットワーク選択欄11e及び特典表示ボタン11fを生成し、生成したネットワーク選択欄11e及び特典表示ボタン11fを画面(
図9B)に表示する。ネットワーク選択欄11eは、ブロックチェーンネットワークを選択するためのコンボボックスである。購入者端末4は、取得した複数のブロックチェーンネットワークをネットワーク選択欄11eに設定する。
【0077】
購入者端末4は、ネットワーク選択欄11eの選択操作を受け付けた場合、選択されたブロックチェーンネットワークのネットワークIDを取得する。購入者端末4は、特典表示ボタン11fのタッチ(クリック)操作を受け付けた場合、後述する特典表示画面(
図10)に遷移する。購入者端末4は、購入ボタン11dのタッチ操作を受け付けた場合、購入者ID及びチケットIDに対応付けて、チケットNFTの受取に関する指示情報、及び選択されたブロックチェーンネットワークのネットワークIDをサーバ1に送信する。
【0078】
図10は、特典の表示画面の一例を示す説明図である。パブリックBC2またはプライベートBC3における利用可能な特典が異なる場合がある。購入者は、パブリックBC2及びプライベートBC3それぞれの特典を確認した上、チケットNFTを発行するためのブロックチェーンネットワークを選択する。
【0079】
特定の表示画面は、パブリックBC2特典表示欄11g、プライベートBC3特典表示欄11h及び戻るボタン11iを含む。パブリックBC2特典表示欄11gは、パブリックBC2における利用可能な特典情報を記憶している。プライベートBC3特典表示欄11gは、プライベートBC3における利用可能な特典情報を記憶している。戻るボタン11iは、前の画面に戻るボタンである。
【0080】
購入者端末4は、ブロックチェーンネットワークの種類に応じて、パブリックBC2における利用可能な特典情報、及びプライベートBC3における利用可能な特典情報をサーバ1のネットワークDB174から取得する。購入者端末4は、取得したパブリックBC2における利用可能な特典情報をパブリックBC2特典表示欄11gに表示する。購入者端末4は、取得したプライベートBC3における利用可能な特典情報をプライベートBC3特典表示欄11hに表示する。
【0081】
なお、本実施形態では、ブロックチェーンネットワークの種類に応じて与えた特典の例を説明したが、これに限るものではない。例えば、ブロックチェーンネットワーク毎に特典を与えても良い。購入者端末4は、戻るボタン11iのタッチ操作を受け付けた場合、チケットNFTを受け取る場合の購入確認画面(
図9B)に遷移する。
【0082】
図11は、チケットNFTが付加されていないチケットを発行する際の処理手順を示すフローチャートである。購入者端末4の制御部41は、チケットの購入者がチケットNFTの受取を拒否する指示情報を入力部44により受け付ける(ステップS401)。制御部41は、購入者ID、当該購入者が購入した対象チケットのチケットID、及び受け付けた指示情報を通信部43によりサーバ1に送信する(ステップS402)。
【0083】
サーバ1の制御部11は、購入者端末4から送信された購入者ID、チケットID及び指示情報を通信部13により受信する(ステップS101)。制御部11は、2次元コードの生成ライブラリを利用し、購入者ID及びチケットIDを含む入場用コード(例えば、QRコード)を生成する(ステップS102)。
【0084】
制御部11は、購入者ID及びチケットIDに対応付けて購入情報を大容量記憶部17の購入履歴DB173に記憶する(ステップS103)。具体的には、制御部11は購入者ID及びチケットIDに対応付けて、金額、手数料、購入日時、及び「受取拒否」となったNFT受取状況を一つのレコードとして購入履歴DB173に記憶する。
【0085】
制御部11は通信部13を介して、生成した入場用コードを購入者端末4に送信する(ステップS104)。購入者端末4の制御部41は、サーバ1から送信された入場用コードを通信部13により受信する(ステップS403)。制御部41は、受信した入場用コードを表示部45により表示し(ステップS404)、処理を終了する。
【0086】
図12は、チケットNFTが付加されているチケットを発行する際の処理手順を示すフローチャートである。購入者端末4の制御部41は、チケットの購入者がチケットNFTを受け取る指示情報を入力部44により受け付ける(ステップS411)。制御部41は通信部43を介して、複数のブロックチェーンネットワークをサーバ1の大容量記憶部17のネットワークDB174から取得する(ステップS412)。
【0087】
制御部41は、取得した複数のブロックチェーンネットワークを表示部45により表示する(ステップS413)。制御部41は、購入者によるブロックチェーンネットワークの選択を入力部44により受け付ける(ステップS414)。制御部41は通信部43を介して、購入者ID、チケットID、指示情報及び選択されたブロックチェーンネットワークのネットワークIDをサーバ1に送信する(ステップS415)。
【0088】
サーバ1の制御部11は、購入者端末4から送信された購入者ID、チケットID、指示情報及びネットワークIDを通信部13により受信する(ステップS111)。制御部11は、2次元コードの生成ライブラリを利用し、購入者ID及びチケットIDを含む入場用コード(例えば、QRコード)を生成する(ステップS112)。制御部11は、チケットNFTを発行する処理のサブルーチンを実行する(ステップS113)。なお、チケットNFTの発行処理のサブルーチンに関しては後述する。
【0089】
制御部11は、購入者ID及びチケットIDに対応付けて購入情報を大容量記憶部17の購入履歴DB173に記憶する(ステップS114)。具体的には、制御部11は購入者ID及びチケットIDに対応付けて、金額、手数料、購入日時、「受取」となったNFT受取状況、及びチケットNFT(コントラクトアドレスまたはトークンID等)を一つのレコードとして購入履歴DB173に記憶する。
【0090】
制御部11は、生成した入場用コード、及び作成したチケットNFTを通信部13により購入者端末4に送信する(ステップS115)。購入者端末4の制御部41は、サーバ1から送信された入場用コード及びチケットNFTを通信部13により受信する(ステップS416)。制御部41は、受信した入場用コード及びチケットNFTを表示部45により表示し(ステップS417)、処理を終了する。
【0091】
図13は、チケットNFTを発行する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、ネットワークIDに応じて、当該ブロックチェーンネットワークの種類を大容量記憶部17のネットワークDB174から取得する(ステップS01)。制御部11は、取得したブロックチェーンネットワークの種類に応じて、選択されたブロックチェーンネットワークがパブリックBC2であるか否かを判定する(ステップS02)。
【0092】
制御部11は、選択されたブロックチェーンネットワークがパブリックBC2であると判定した場合(ステップS02でYES)、当該パブリックBC2上で購入者にチケットNFTを発行する(ステップS03)。制御部11は、チケットNFTの発行処理のサブルーチンを終了してリターンする。例えば、選択されたブロックチェーンネットワークがEthereumである場合、制御部11は、Ethereumの一つのスマートコントラクト規格であるERC721を利用してチケットNFTを発行する。
【0093】
具体的には、制御部11は、チケットNFTの発行指示を通信部13によりパブリックBC2のいずれかのノード21に送信する。パブリックBC2のノード21の制御部211は、サーバ1から送信されたチケットNFTの発行指示を通信部213により受信する。ノード21の制御部211は、受信した発行指示に応じて、当該パブリックBC2上でチケットNFTを発行する。ノード21の制御部211は、発行したチケットNFTのトークンID、所有者アドレス及びトークンURIを記憶部212に記憶する。ノード21の制御部211は、発行したチケットNFTを通信部213によりサーバ1に送信する。サーバ1の制御部11は、パブリックBC2のノード21から送信されたチケットNFTを通信部13により受信する。
【0094】
制御部11は、選択されたブロックチェーンネットワークがパブリックBC2でないと判定した場合(ステップS02でNO)、選択されたプライベートBC3上で購入者にチケットNFTを発行する(ステップS04)。制御部11は、チケットNFTの発行処理のサブルーチンを終了してリターンする。
【0095】
具体的には、制御部11は、チケットNFTの発行指示を通信部13によりプライベートBC3のいずれかのノード31に送信する。プライベートBC3のノード31の制御部311は、サーバ1から送信されたチケットNFTの発行指示を通信部313により受信する。ノード31の制御部311は、受信した発行指示に応じて、当該プライベートBC3上でチケットNFTを発行する。ノード31の制御部311は、発行したチケットNFTのトークンID、所有者アドレス及びトークンURIを記憶部312に記憶する。ノード31の制御部311は、発行したチケットNFTを通信部313によりサーバ1に送信する。サーバ1の制御部11は、プライベートBC3のノード31から送信されたチケットNFTを通信部13により受信する。
【0096】
本実施形態によると、チケットNFTを付加可能なチケットを購入者に提供することが可能となる。
【0097】
本実施形態によると、チケットの購入者が、当該チケットに対応するチケットNFTを受け取る際に、パブリックBC2により受け取るか、または、プライベートBC3により受け取るかを選択することが可能となる。
【0098】
本実施形態によると、チケットとチケットNFTとを分離することにより、購入者にチケットNFTを付加していないチケットのみを発行することが可能となる。
【0099】
(実施形態2)
実施形態2は、プライベートBC3上で発行されたチケットNFTをパブリックBC2上でのチケットNFTに変更する形態に関する。なお、実施形態1と重複する内容については説明を省略する。
【0100】
図14は、チケットNFTの変更処理を説明する説明図である。サーバ1は、プライベートBC上で発行された所有者A氏のチケットNFTの変更要求を受け付けた場合、プライベートBC3とパブリックBC2とに独立して相互接続されているクロスチェーンネットワークを介して、プライベートBC3上で発行されたチケットNFTをパブリックBC2上でのチケットNFTに変更する。
【0101】
クロスチェーンネットワークは、複数のブロックチェーン間で、正確かつ迅速に値を転送可能なプロトコルに基づいて構築されたネットワークである。クロスチェーンネットワークは、例えばPolkadot、Cosmos, International Blockchain Consulting(IBC)、Atomic SwapsまたはPolyNetwork等を含む。なお、例示的なクロスチェーンネットワークに限らず、異なるブロックチェーンが相互接続可能な任意のネットワーク及びプロトコルを利用しても良い。
【0102】
以下では、IBCを利用した場合のチケットNFTの変更処理を説明する。サーバ1は、プライベートBC3上で発行されたチケットNFT(以下では、旧チケットNFTと読み替える)の変更要求、及び変更先のパブリックBC2のネットワークIDを購入者端末4から受け付ける。サーバ1は、IBCを経由して、プライベートBC3上で旧チケットNFTをロックするロック指示をプライベートBC3のいずれかのノード31に送信する。プライベートBC3のノード31は、IBCを経由して、サーバ1から送信されたロック指示に応じて、旧チケットNFTをロックする。
【0103】
サーバ1は、IBCを経由して、変更先のパブリックBC2のネットワークIDに対応するパブリックBC2のいずれかのノード21に、新チケットNFTを発行する発行通知を送信する。該当するパブリックBC2のノード21は、IBCを経由して、サーバ1から送信された新チケットNFTの発行通知に応じて、当該パブリックBC2上でチケットNFT(以下では、新チケットNFTと読み替える)を発行する。例えば、パブリックBC2のノード21は、新たなトークンID及び所有者アドレスを発行し、トークンURI(メタデータの場所)を変更元のプライベートBC3から引き継ぐようにする。
【0104】
サーバ1は、IBCを経由して、旧チケットNFTのバーン(Burn)通知をプライベートBC3のいずれかのノード31に送信する。プライベートBC3のノード31は、IBCを経由して、サーバ1から送信された旧チケットNFTのバーン通知に応じて、旧チケットNFTをバーンする。バーンは、トークンIDを所有するための秘密鍵がないアドレスにトークンを送ることで、トークンを事実上消滅させることである。
【0105】
以上のような処理を行い、チケットNFTの所有者に対し、プライベートBC3上で発行された旧チケットNFTをパブリックBC2上での新チケットNFTに変更することができる。
【0106】
図15は、チケットNFTの変更処理を行う際の処理手順を示すフローチャートである。プライベートBC3上でチケットNFTを発行した後に、サーバ1の制御部11は、複数のパブリックBC2、及び各パブリックBC2における利用可能な特典情報を大容量記憶部17のネットワークDB174から取得する(ステップS121)。特典情報は、例えば、音楽、動画もしくは画像等のコンテンツ配信・閲覧、または関連商品の購入時に割引適用等の特典を示す情報である。
【0107】
制御部11は、通信部13を介して、当該チケットNFTをパブリックBC2上でのチケットNFTに変更する案内情報、取得した複数のパブリックBC2及び各パブリックBC2における利用可能な特典情報を購入者端末4に送信する(ステップS122)。購入者端末4の制御部41は、サーバ1から送信された案内情報、複数のパブリックBC2及び特典情報を通信部43により受信する(ステップS421)。
【0108】
制御部41は、受信した案内情報、複数のパブリックBC2及び特典情報を表示部45により表示する(ステップS422)。制御部41は、案内情報及び特典情報に応じて、購入者によるパブリックBC2の選択を入力部44により受け付ける(ステップS423)。制御部41は通信部43を介して、購入者ID及び選択されたパブリックBC2のネットワークIDをサーバ1に送信する(ステップS424)。
【0109】
サーバ1の制御部11は、購入者端末4から送信された購入者ID及びネットワークIDを通信部13により受信する(ステップS123)。制御部11は、チケットNFTを変更する処理のサブルーチンを実行する(ステップS124)。なお、チケットNFTの変更処理のサブルーチンに関しては後述する。
【0110】
制御部11は、受信した購入者IDに基づいて購入情報を更新する(ステップS125)。具体的には、制御部11は購入者IDに基づき、大容量記憶部17の購入履歴DB173に、パブリックBC2のネットワークID、「パブリック」であるブロックチェーンネットワークの種類、及びパブリックBC2上に発行されたチケットNFTを更新する。
【0111】
制御部11は、変更後のチケットNFTを通信部13により購入者端末4に送信する(ステップS126)。購入者端末4の制御部41は、サーバ1から送信された変更後のチケットNFTを通信部13により受信する(ステップS425)。制御部41は、受信した変更後のチケットNFTを表示部45により表示し(ステップS426)、処理を終了する。
【0112】
図16は、チケットNFTを変更する処理のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、クロスチェーンネットワーク(例えば、IBC)を経由して、プライベートBC3上で旧チケットNFTをロックするロック指示を通信部13によりプライベートBC3のいずれかのノード31に送信する(ステップS11)。プライベートBC3のノード31の制御部311は、クロスチェーンネットワークを経由して、サーバ1から送信されたロック指示を通信部313により受信する(ステップS12)。ノード31の制御部311は、受信したロック指示に応じて、旧チケットNFTをロックする(ステップS13)。
【0113】
サーバ1の制御部11は、クロスチェーンネットワークを経由して、変更先のパブリックBC2のネットワークIDに対応するパブリックBC2のいずれかのノード21に、新チケットNFTを発行する発行通知を通信部13により送信する(ステップS14)。該当するパブリックBC2のノード21の制御部211は、クロスチェーンネットワークを経由して、サーバ1から送信された新チケットNFTの発行通知を通信部213により受信する(ステップS15)。ノード21の制御部211は、受信した発行通知に応じて、当該パブリックBC2上で新チケットNFTを発行する(ステップS16)。
【0114】
サーバ1の制御部11は、クロスチェーンネットワークを経由して、プライベートBC3のいずれかのノード31に、旧チケットNFTをバーンするバーン通知を通信部13により送信する(ステップS17)。ノード31の制御部311は、クロスチェーンネットワークを経由して、サーバ1から送信された旧チケットNFTのバーン通知を通信部313により受信する(ステップS18)。ノード31の制御部311は、受信したバーン通知に応じて、旧チケットNFTをバーンする(ステップS19)。サーバ1の制御部11は、チケットNFTの変更処理のサブルーチンを終了してリターンする。
【0115】
また、プライベートBC3上で発行されたチケットNFTをパブリックBC2上でのチケットNFTに変更した場合、所有者に特典を与えたることができる。例えば、動画コンテンツの閲覧または買い物時の割引適用等の特典を所有者に提供しても良い。
【0116】
本実施形態によると、プライベートBC3上で発行されたチケットNFTをパブリックBC2上でのチケットNFTに変更することが可能となる。
【0117】
(実施形態3)
実施形態3は、チケットを提供する提供者のWebサイト上に、当該チケットに対応するチケットNFTを発行する形態に関する。なお、実施形態1~2と重複する内容については説明を省略する。
【0118】
チケットを提供する提供者のWebサイト上に、当該チケットに対応するチケットNFTを発行して販売することができる。具体的には、サーバ1は、提供者のWebサイト上に、パブリックBC2またはプライベートBC3のいずれかの選択を受け付ける受付画面を出力する。サーバ1は、出力した受付画面で購入者によるブロックチェーンネットワークの選択を受け付ける。サーバ1は、選択されたブロックチェーンネットワーク上にチケットNFTの発行手続きを実行する。
【0119】
また、サーバ1は、当該提供者のチケットNFTのパブリックBC2上での第1ウォレットアドレスと、当該チケットNFTのプライベートBC3上での第2ウォレットアドレスとを提供者のWebサイト上に表示させる。
【0120】
図17は、ブロックチェーンネットワークの選択受付画面の一例を示す説明図である。選択受付画面では、チケット表示欄12a、ネットワーク選択欄12b及び発行ボタン12cを含む。チケット表示欄12aは、チケットの内容を表示する表示欄である。ネットワーク選択欄12bは、ブロックチェーンネットワークを選択する選択欄である。発行ボタン12cは、チケットNFTを発行するボタンである。
【0121】
サーバ1は、チケットIDに基づき、チケットの座席の種類、内容(名称及び開場日時等)、金額または手数料等を含むチケット情報をチケットDB172から取得する。サーバ1は、複数のブロックチェーンネットワークに関する情報をネットワークDB174から取得する。ブロックチェーンネットワークに関する情報は、ネットワークID、種類及びネットワーク名称等を含む。
【0122】
サーバ1は、それぞれのブロックチェーンネットワーク上での提供者のウォレットアドレスを取得する。なお、ブロックチェーンネットワーク別に提供者のウォレットアドレスが予め記憶部12または大容量記憶部17に記憶されても良い。サーバ1は、取得したチケット情報、複数のブロックチェーンネットワークに関する情報、及びそれぞれのブロックチェーンネットワーク上での提供者のウォレットアドレスを提供者のWebサイトに送信する。
【0123】
サーバ1は、当該Webサイト上にチケット情報をチケット表示欄12aに表示させる。サーバ1は、当該Webサイト上に、それぞれのブロックチェーンネットワークに関する情報(ネットワーク名称及び種類等)、及び提供者のウォレットアドレスをそれぞれのネットワーク選択欄12bに表示させる。
【0124】
提供者がネットワーク選択欄12bを通じてブロックチェーンネットワークを選択した場合、サーバ1は、ネットワーク選択欄12bにより選択されたブロックチェーンネットワークのネットワークIDを取得する。提供者が発行ボタン12cをタッチ(クリック)した場合、サーバ1は、取得したネットワークIDに基づき、該当するブロックチェーンネットワーク上にチケットNFTの発行処理(発行手続き)を実行する。なお、チケットNFTの発行処理に関しては、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0125】
本実施形態によると、チケットを提供する提供者のWebサイト上に、当該チケットに対応するチケットNFTを発行することが可能となる。
【0126】
(実施形態4)
実施形態4は、チケットNFTが譲渡された場合、譲渡に伴う費用の一部を当該チケットの関係者に付与する形態に関する。なお、実施形態1~3と重複する内容については説明を省略する。
【0127】
第1購入者が購入したチケットに対応するチケットNFTを、第2購入者に譲渡することができる。チケットNFTが譲渡された場合、譲渡に伴う費用が発生する。また、発生した費用の一部を当該チケットの関係者に付与することができる。チケットの関係者は、例えば、コンサートのチケットの例として、コンサートを企画する企画者、コンサートを運営する運営者、コンサートの主催者または出演者等を含む。
【0128】
図18は、関係者に譲渡費用の一部を付与する際の処理手順を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は、チケットNFTが譲渡された場合、譲渡に伴う譲渡費用を取得する(ステップS131)。例えば、譲渡費用が記憶部12または大容量記憶部17に記憶された場合、制御部11は、記憶部12または大容量記憶部17から譲渡費用を取得する。
【0129】
制御部11は、チケットNFTに対応するチケットにおける関係者情報を取得する(ステップS132)。関係者情報は、例えば関係者ID、または譲渡費用の受取方式(例えば、口座情報またはウォレットアドレス)等を含み、予め記憶部12または大容量記憶部17に記憶される。なお、関係者が1人または複数人であっても良い。
【0130】
制御部11は、取得した譲渡費用及び関係者情報に基づき、当該関係者に付与する費用(譲渡費用の一部)を所定の基準により算出する(ステップS133)。例えば、譲渡費用に所定の割合(例えば、5%)を乗じて、関係者に付与する費用を算出しても良い。なお、関係者に付与する費用が固定金額であっても良い。
【0131】
制御部11は、関係者情報に含まれる譲渡費用の受取方式に基づき、算出した費用を関係者に付与し(ステップS134)、処理を終了する。なお、関係者に費用を付与する方式については、特に限定されず、法定通貨(口座による送金、現金またはクレジットカード等)、または、ビットコインもしくはイーサリアム等の暗号資産等を利用しても良い。
【0132】
更にまた、ブロックチェーン上でのスマートコントラクトにより、各関係者に譲渡費用の一部を付与することができる。
図19は、スマートコントラクトによる関係者への費用付与処理を説明する説明図である。チケットNFTを所有する所有者A氏から、当該チケットNFTを所有者B氏に譲渡することができる。例えばERC721でチケットNFTを所有者A氏に発行した場合、チケットNFTは、トークンID、所有者アドレス及びトークンURIが構成される。
【0133】
チケットNFTの所有者A氏から、当該チケットNFTを所有者B氏に譲渡した場合、ERC721上に所有者A氏のアドレスから所有者B氏のアドレスに変更することにより、当該チケットNFTの譲渡を完了させる。チケットNFTの譲渡に伴って発生した費用の一部をスマートコントラクトにより当該チケットの各関係者に付与する。
【0134】
スマートコントラクトは、事前に執行条件及び契約内容の定義がプログラム化されてトランザクションに組み込まれ、執行条件及び契約内容に合致した取引が発生した場合、自動的に契約が履行される仕組みである。
【0135】
サーバ1は、各関係者への費用付与処理を行うための必要な執行条件、契約内容及び各関係者のウォレットアドレス等が記述されたスマートコントラクトのコードを生成する。サーバ1は、生成したスマートコントラクトのコードを含むトランザクションを予めブロックチェーン(パブリックBC2またはプライベートBC3)に記録する。
【0136】
スマートコントラクトのコードの内容は、本実施形態では、チケットNFTが譲渡された場合、各関係者のウォレットアドレス宛に所定の基準により算出された費用(仮想通貨)を支払う契約をコードで定義している。なお、本実施形態では、単一のスマートコントラクトが単一のトランザクションに含まれたが、これに限るものではない。例えば、連携された複数のスマートコントラクトが単一又は複数のトランザクションに含まれても良い。
【0137】
図示のように、トランザクションは、スマートコントラクトのコード、チケットNFTに対応するトークンID、譲渡費用、各関係者(例えば、関係者A及び関係者B)の電子署名を含む。ブロックチェーンは、当該チケットNFTの譲渡に関する執行条件に合致した場合、契約内容上で決められた仮想通貨量を所有者B氏(譲渡先)のウォレットアドレス宛から各関係者のウォレットアドレス宛に支払う。
【0138】
例えば、譲渡費用が100仮想通貨量である場合、契約内容に基づき、譲渡費用の10%である10仮想通貨量を関係者Aに付与し、譲渡費用の20%である20仮想通貨量を関係者Bに付与しても良い。なお、スマートコントラクト内に所有者B氏の仮想通貨を予めデポジットしておいても良い。この場合、デポジットされた仮想通貨から対応する額の仮想通貨が各関係者のウォレットアドレス宛に支払われる。
【0139】
本実施形態によると、チケットに対応するチケットNFTが譲渡された場合、譲渡に伴う費用の一部を当該チケットの関係者に付与することが可能となる。
【0140】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0141】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0142】
1 情報処理装置(サーバ)
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 入力部
15 表示部
16 読取部
17 大容量記憶部
171 購入者DB
172 チケットDB
173 購入履歴DB
174 ネットワークDB
1a 可搬型記憶媒体
1b 半導体メモリ
1P 制御プログラム
2 パブリックブロックチェーンシステム(パブリックBC)
21 ノード
211 制御部
212 記憶部
213 通信部
214 受付部
215 出力部
216 ブロック生成部
217 ブロック検証部
218 ブロック共有部
3 プライベートブロックチェーンシステム(プライベートBC)
31 ノード
311 制御部
312 記憶部
313 通信部
314 受付部
315 出力部
316 ブロック生成部
317 ブロック検証部
318 ブロック共有部
4 情報処理端末(購入者端末)
41 制御部
42 記憶部
43 通信部
44 入力部
45 表示部
4P 制御プログラム