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  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図1
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図2
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図3
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図4
  • 特許-電極組立体およびこれを含む二次電池 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】電極組立体およびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20240527BHJP
【FI】
H01M50/533
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022563079
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 KR2021013100
(87)【国際公開番号】W WO2022114487
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0161172
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジルサン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ドンヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジンハク・コン
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-093498(JP,A)
【文献】特表2018-534737(JP,A)
【文献】特開2010-165495(JP,A)
【文献】特開2001-338688(JP,A)
【文献】特開2000-243374(JP,A)
【文献】国際公開第2021/118209(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板、分離膜および負極板を含む単位セル、
前記正極板および前記負極板のうちの少なくとも一つの電極板から突出した電極タブ、および
前記電極タブと連結される電極リードを含み、
前記電極タブと前記電極リードの重畳部に隣接した前記電極タブの部分に楕円形状のホール(Hole)が形成されており、
前記ホールは、前記電極タブの幅方向に複数個が形成されており、
前記ホールは、前記電極タブが突出する方向に長軸を有する楕円形状であり、
前記ホールの幅方向の長さ(CW)と長さ方向の長さ(CH)との比率が0.2~0.4333である、電極組立体。
【請求項2】
前記電極タブは、電極活物質が塗布されている第1電極タブ部分と、前記電極活物質が塗布されていない第2電極タブ部分とを含む、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記第2電極タブ部分は、前記電極リードと連結されている、請求項に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記第1電極タブ部分の左右側周縁は曲線で形成されている、請求項またはに記載の電極組立体。
【請求項5】
前記ホールは、前記第2電極タブ部分に形成されている、請求項からのいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記ホールは、前記第2電極タブ部分から伸びて前記第1電極タブ部分および前記第2電極タブ部分にかけて形成されている、請求項からのいずれか一項に記載の電極組立体。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の電極組立体を含む二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2020年11月26日付韓国特許出願第10-2020-0161172号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み含まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体およびこれを含む二次電池に関し、より具体的に堅牢な電極タブを含む電極組立体およびこれを含む二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格上昇、環境汚染への関心が増幅しつつ、環境にやさしい代替エネルギー源に対する要求が未来の生活のための必要不可欠な要因になってきている。そこで、原子力、太陽光、風力、潮力など多様な電力生産技術に対する研究が続いており、このように生産されたエネルギーをより効率的に使用するための電力貯蔵装置にも大きな関心が持続している。
【0004】
特に、モバイル機器に対する技術開発および需要が増加することに伴い、エネルギー源としての電池の需要が急激に増加しており、そのため、多様な要求に応えることができる電池に対する多くの研究が行われている。
【0005】
代表的に高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性などの長所を有するリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのようなリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0006】
二次電池は、電池ケースの形状により、電極組立体が円筒型または角型の金属カンに内装されている円筒型電池および角型電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内装されているパウチ型電池とに分類される。
【0007】
パウチ型二次電池では、複数の電極タブを一つに集める工程、電極タブ束を外部と電気的に連結するために金属リードと溶接する工程など製造工程での外力および充/放電中に電極の体積変化による内力により電極タブの断線が発生することがある。また、パウチ型二次電池ケースの強度が弱いため、外部衝撃による安定性の問題にさらされることがある。
【0008】
一般的に、電極タブは各単位セルの正極板と負極板から突出した多数の正極タブおよび負極タブからなっている。前記正極タブおよび前記負極タブは、正極板および負極板と同様に非常に薄い金属薄膜からなっているため、パウチ型二次電池に衝撃が加えられる場合、他の構成品よりも先に断線される確率が高い。
【0009】
したがって、既存の電極タブに比べて、製造工程、連結過程および使用中に発生する内/外力による応力により発生する断線に堅牢な電極タブの開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、堅牢な電極タブを含む電極組立体およびこれを含む二次電池を提供することにある。
【0011】
しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、前述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による電極組立体は、正極板、分離膜および負極板を含む単位セル、前記正極板および前記負極板のうちの少なくとも一つの電極板から突出した電極タブ、および前記電極タブと連結される電極リードを含み、前記電極タブと前記電極リードの重畳部に隣接した前記電極タブの部分に楕円形状のホール(Hole)が形成される。
【0013】
前記ホールは、前記電極タブが突出する方向に長軸を有する楕円形状であり得る。
【0014】
前記電極タブは、電極活物質が塗布されている第1電極タブ部分と、前記電極活物質が塗布されていない第2電極タブ部分とを含むことができる。
【0015】
前記第2電極タブ部分は、前記電極リードと連結され得る。
【0016】
前記第1電極タブ部分の左右側周縁は曲線で形成され得る。
【0017】
前記ホールは、前記第2電極タブ部分に形成され得る。
【0018】
前記ホールは、前記第2電極タブ部分から伸びて前記第1電極タブ部分および前記第2電極タブ部分にかけて形成され得る。
【0019】
前記ホールは、前記電極タブの幅方向に複数個が形成され得る。
【0020】
前記ホールの幅方向の長さ(CW)と長さ方向の長さ(CH)との比率が0.2~0.4333であり得る。
【0021】
本発明の他の一実施形態による二次電池は、前述の電極組立体を含む。
【発明の効果】
【0022】
実施形態によれば、ホールを含む電極タブを実現することによって、内/外力による初期亀裂抵抗性を低下させずに、亀裂の進行を遅延させて完全断線に到達することを難しくして断線発生を改善することができる。
【0023】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されていないまた他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の比較例による電極組立体を示す平面図である。
図2】本発明の一実施例による電極組立体を示す平面図である。
図3図2の第1方向における断面図である。
図4】本発明の比較例と実施例によるタブ内応力最大値を比較したグラフである。
図5図2の実施例の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0026】
本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にかけて同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。
【0027】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したため、本発明が必ずしも図示されたところに限定されるのではない。図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0028】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間に他の部分がないことを意味する。また、基準となる部分の「上」にあるということは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向に向かって「上」に位置することを意味するのではない。
【0029】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0030】
また、明細書全体において、「平面図」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味し、「断面図」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0031】
図1は本発明の比較例による電極組立体を示す平面図である。図2は本発明の一実施例による電極組立体を示す平面図である。図3図2の第1方向における断面図である。
【0032】
図1を参照すれば、本発明の比較例による電極組立体は、電極板10、電極板10から突出した電極タブ11、および電極タブ11と連結される電極リード21を含む。電極タブ11と電極リード21は、重畳部15で溶接などを通じて連結され得る。電極タブ11と電極リード21は電気的に連結されるが、これらを連結するための工程、電極リード21を外部フレームと連結したり固定する過程またはパウチ型電池の周期的な充放電により電極タブ11が断線される現象が発生することがある。
【0033】
図2を参照すれば、本実施例による電極組立体は、電極板100、電極板100から第1方向d1に突出した電極タブ110、および電極タブ110と連結される電極リード210を含む。前記電極組立体は、正極板、分離膜および負極板を含む単位セルを含み、本実施例による電極板100は、前記正極板および前記負極板のうちの少なくとも一つであり得る。
【0034】
本実施例によれば、電極タブ110の一端部と電極リード210の一端部とが重畳して重畳部150を形成し、重畳部150において溶接などの方法で電極タブ110と電極リード210が連結されて連結部を形成することができる。本実施例による重畳部150に隣接した電極タブ110部分に楕円形状のホール500が形成されている。この時、ホール500は、電極タブ110が突出する方向である第1方向d1に長軸を有する楕円形状であることが好ましい。言い換えると、本実施例によるホール500は、第1方向d1と同一な高さ方向CHと、第1方向d1と垂直な幅方向CWを有し、高さ方向CHの長さが幅方向CWの長さよりも長い。また、ホール500は、第1方向d1と垂直な電極タブ110の幅方向に複数個が形成され得る。
【0035】
図2および図3を参照すれば、本実施例による電極タブ110は、電極活物質105が塗布されている第1電極タブ部分110aと、電極活物質105が塗布されていない第2電極タブ部分110bを含む。幅が互いに異なる第1部分110aと第2部分110bを含む。第2部分110bは第1部分110aよりも幅が狭く、第2部分110bは電極リード210と連結される部分であり得る。第1部分110aの左右側周縁は第1曲率Rを有する曲線で形成され得る。この時、ホール500は、第2部分110bに形成され得る。突出部130は、電極板100と電極タブ110を区分する境界であり得る。
【0036】
図4は本発明の実施例と比較例によるタブ内の応力最大値を比較したグラフである。図4のグラフは、一定の長さだけ引いた時に加えられる電極タブ内の応力値(各ケース別の応力最大値)を基準として初期亀裂抵抗性を示す。
【0037】
図2および図4を参照すれば、ホール500を備えた実施例において、長さ方向の長さCHが一定の場合(CH=3)、幅方向の長さCWと応力最大値との関係をみると、幅方向の長さCWが1mmに近づくほど応力最大値は最小となる。幅方向の長さCWが1.5mmから増加するにつれて、電極タブ内の応力が増加する傾向を示す。以下で説明する長さ方向の長さCHと幅方向の長さCWは図2に図示したように、長さ方向の半径と幅方向の半径を指し得る。
【0038】
これは楕円形状のホール500が、幅方向の長さCWが長さ方向の長さCHよりも顕著に小さい形状を有する場合、ホール500の下側および上側の端部において最大の応力集中が発生することがある。これに対し、幅方向の長さCWが長さ方向の長さCHと類似するかまたは大きいホール形状を有するようになると、左側および右側の端部において最大の応力集中が発生するため、電極タブ内の応力最大値が増加するようになる。
【0039】
したがって、本実施例によれば、幅方向の長さCWと長さ方向の長さCHとの比率が0.2~0.4333であり得、一例として、長さ方向の長さCHが3mmである時、幅方向の長さCWは0.6mm~1.3mmの範囲を有することができる。幅方向の長さCWが1mmである場合、ホール500に応力が集中せずに、電極タブ内の応力が最小となる。
【0040】
ホールが備えられていない比較例の応力レベルと比較すると、幅方向の長さCWが特定の範囲の形状である時、電極タブ内応力が低く、長さ方向が長軸でないホールを備えた電極タブは応力が高く、ホールを備えることがかえって電極タブ内の応力を増加させるため、電極タブの強度が一定の場合に初期亀裂が簡単に生成され得る。
【0041】
下記表1は、ホールの個数およびホールの形状による電極タブが破断される時点までの変形される長さを示す。
【表1】
【0042】
表1を参照すれば、ホール500の高さ方向CHの長さが幅方向CWの長さよりも長い場合にのみ、ホール500を備えることによる応力増加がないため、初期亀裂抵抗性に影響がなく、ホール500の幅方向CWが高さ方向CHよりも長い場合には、ホール生成によるホールへの応力集中により亀裂抵抗性が減少し、かえって亀裂が簡単に生成されて断線危険性が増加することがある。また、亀裂が一定部分進行された場合に、比較例では亀裂の進行による亀裂部の周辺形状に変化がないが、実施例では特定のホールにより新たな亀裂発生が要求されると亀裂生成に必要なエネルギーが高いため、完全な断線までの変形の水準を増大させ得る。さらには、本実施例による特定のホールでなく、幅方向の長さが長いホールの場合には、応力が簡単に集中するため、追加の亀裂生成に必要なエネルギー水準が比較的低く、完全な断線までの変形の水準を低減し得る。
【0043】
図5図2の実施例の変形例を示す平面図である。
【0044】
図5を参照すれば、図2で説明した実施例とほぼ同一であり、ただし、本実施例によるホール600は、第2電極タブ部分110bのみならず、第1電極タブ部分110aまで伸びて形成され得る。以上で説明した差異を除き、図2で説明した内容の全ては本実施例に適用され得る。
【0045】
一方、本発明の実施例による電極組立体は、パウチ型二次電池を形成することに使用され得る。
【0046】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0047】
100:電極板
110:電極タブ
150:重畳部
210:電極リード
105:電極活物質
120:境界部
150:連結部
500、600:ホール
図1
図2
図3
図4
図5