特許 7493868 シャックル軸緩み防止具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B1)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-05-24

(45)【発行日】2024-06-03

(54)【発明の名称】シャックル軸緩み防止具

(51)【国際特許分類】

   F16B 45/04 20060101AFI20240527BHJP

【ＦＩ】

F16B45/04 A

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2024028028

(22)【出願日】2024-02-28

【審査請求日】2024-03-01

【早期審査対象出願】

(73)【特許権者】

【識別番号】521293512

【氏名又は名称】▲崎▼山 徳良

(74)【代理人】

【識別番号】100092727

【弁理士】

【氏名又は名称】岸本 忠昭

(74)【代理人】

【識別番号】100146891

【弁理士】

【氏名又は名称】松下 ひろ美

(74)【代理人】

【識別番号】100095407

【弁理士】

【氏名又は名称】木村 満

(74)【代理人】

【識別番号】100174388

【弁理士】

【氏名又は名称】龍竹 史朗

(74)【代理人】

【識別番号】100174573

【弁理士】

【氏名又は名称】大坂 知美

(72)【発明者】

【氏名】▲崎▼山 徳良

【審査官】正木 裕也

(56)【参考文献】

【文献】米国特許第０４７５９１７７（ＵＳ，Ａ）

【文献】実開昭６１－０５７２２０（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ１６Ｂ ４５／０４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

シャックルに着脱自在に装着されて用いられ、シャックル本体に螺合されたシャックル軸が緩むのを防止するためのシャックル軸緩み防止具であって、
基部と、
前記基部から延出し、前記シャックル軸の摘まみ部に設けられた貫通孔に挿通される挿通部と、
前記基部から延出し、前記シャックル本体と干渉可能な当接部と、を有し、
前記当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸の緩み回転方向への回転を規制し、
前記挿通部は、前記シャックル本体の脚部の長手方向に沿って前記貫通孔へ挿通されるシャックル軸緩み防止具。

【請求項2】

シャックルに着脱自在に装着されて用いられ、シャックル本体に螺合されたシャックル軸が緩むのを防止するためのシャックル軸緩み防止具であって、
基部と、
前記基部から延出し、前記シャックル軸の摘まみ部に設けられた貫通孔に挿通される挿通部と、
前記基部から延出し、前記シャックル本体と干渉可能な第１当接部及び第２当接部と、を有し、
前記シャックル軸の長手方向に垂直な第１方向において前記第１当接部と前記第２当接部の間には隙間が設けられ、前記隙間に前記シャックル本体が位置づけられるように前記シャックルに装着され、
前記第１当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸の緩み回転方向への回転を規制し、
前記第２当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸の前記緩み回転方向と逆方向への回転を規制し、
前記挿通部は、前記貫通孔へ第２方向に沿って挿通され、前記第２方向は前記シャックル軸の長手方向及び前記第１方向に対して垂直であるシャックル軸緩み防止具。

【請求項3】

シャックルに着脱自在に装着されて用いられ、シャックル本体に螺合されたシャックル軸が緩むのを防止するためのシャックル軸緩み防止具であって、
基部と、
前記基部から延出し、前記シャックル軸の摘まみ部に設けられた貫通孔に挿通される挿通部と、
前記基部から延出し、前記シャックル本体と干渉可能な当接部と、
前記挿通部が前記貫通孔から抜けるのを防止するための脱落防止手段と、を有し、
前記当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸の緩み回転方向への回転を規制するシャックル軸緩み防止具。

【請求項4】

シャックルに着脱自在に装着されて用いられ、シャックル本体に螺合されたシャックル軸が緩むのを防止するためのシャックル軸緩み防止具であって、
第１挿通孔が設けられた本体と、
前記第１挿通孔及び前記シャックル軸の摘まみ部に設けられた貫通孔に挿通される挿通部材と、を備え、
前記本体は、前記第１挿通孔が設けられた基部と、前記基部から延出し前記シャックル本体と干渉可能な第１当接部と、を有し、
前記第１当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸が前記シャックル本体に対して緩み回転方向へ回転するのを規制するシャックル軸緩み防止具。

【請求項5】

前記本体は、前記基部から延出し前記シャックル本体と干渉可能な第２当接部を更に有し、
前記第２当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸が前記シャックル本体に対して締め付けられる方向へ回転するのを規制する請求項４に記載のシャックル軸緩み防止具。

【請求項6】

前記基部には第２挿通孔が更に設けられており、
前記挿通部材は、前記第１挿通孔,前記貫通孔,及び第２挿通孔に挿通される請求項４に記載のシャックル軸緩み防止具。

【請求項7】

前記挿通部材は、前記第１挿通孔及び前記貫通孔に挿通される挿通部と、前記挿通部が前記第１挿通孔及び前記貫通孔から抜けるのを防止するための脱落防止手段と、を有する請求項４又は５に記載のシャックル軸緩み防止具。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、シャックル本体に螺合されたシャックル軸が緩むのを防止するシャックル軸緩み防止具に関する。

【背景技術】

【0002】

一般的なシャックルには、シャックル軸がボルト・ナット式のものと、ねじ込み式のものがある。ねじ込み式のシャックル軸は振動等により回転し、シャックル本体に対するシャックル軸の螺合が緩んでしまうことがあった。そこで、鉄製又は銅製のバインド線や鈍し鉄線（以下、「鉄線等」という）をシャックル軸の摘まみ部とシャックル本体に巻き付けることによってシャックル軸の回転を防止することが一般的に行われている。

【0003】

しかしながら、鉄線等は、シャックルに対する巻き付けと取り外しを繰り返すと容易に金属疲労し、使用不能に至る。また、使用不能になった鉄線等は廃棄せざるを得ず、ゴミの発生に繋がるという問題があった。

【0004】

また、鉄線等を用いずにシャックル軸の回転を防止するものとして、特許文献１に開示のピン止めキャップや、特許文献２に開示のピン脱落防止装置等がある。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【文献】実開昭５５－８２５４２号公報

【文献】実開昭５８－１１２７１３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

しかしながら、特許文献１に開示のピン止めキャップは、耐久性や強度において疑問である。また、特許文献２に開示のピン脱落防止装置については、シャックル自体に加工が必要であり、またピン脱落防止装置を複数のシャックルで使い回すことはできなかった。

【0007】

本発明は、シャックルに加工を施すことなく使用可能なシャックル軸緩み防止具の提供を目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明の側面に係るシャックル軸緩み防止具は、シャックルに着脱自在に装着されて用いられ、シャックル本体に螺合されたシャックル軸が緩むのを防止するものであって、基部と、前記基部から延出し、前記シャックル軸の摘まみ部に設けられた貫通孔に挿通される挿通部と、前記基部から延出し、前記シャックル本体と干渉可能な第１当接部と、を有し、前記第１当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸の緩み回転方向への回転を規制する。

【0009】

本発明の他の側面に係るシャックル軸緩み防止具は、シャックルに着脱自在に装着されて用いられ、シャックル本体に螺合されたシャックル軸が緩むのを防止するものであって、第１挿通孔が設けられた本体と、前記第１挿通孔及び前記シャックル軸の摘まみ部に設けられた貫通孔に挿通される挿通部材と、を備え、前記本体は、前記第１挿通孔が設けられた基部と、前記基部から延出し前記シャックル本体と干渉可能な第１当接部と、を有し、前記第１当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸が前記シャックル本体に対して緩み回転方向へ回転するのを規制する。

【発明の効果】

【0010】

本発明の側面に係るシャックル軸緩み防止具によれば、前記基部から延出し、前記シャックル軸の摘まみ部に設けられた貫通孔に挿通される挿通部と、前記基部から延出し、前記シャックル本体と干渉可能な第１当接部と、を有し、前記第１当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸の緩み回転方向への回転を規制するので、シャックルに加工を施さなくてもシャックル軸緩み防止具をこれに装着してシャックル軸の緩みを防止することができる。

【0011】

本発明の他の側面に係るシャックル軸緩み防止具によれば、挿通孔が設けられた本体と、前記挿通孔及び前記シャックル軸の摘まみ部に設けられた貫通孔に挿通される挿通部材と、を備え、前記本体は、基部と、前記基部から延出し前記シャックル本体と干渉可能な第１当接部と、を有し、前記第１当接部が前記シャックル本体に当接することによって、前記シャックル軸が前記シャックル本体に対して緩み回転方向へ回転するのを規制するので、シャックルに加工を施さなくてもシャックル軸緩み防止具をこれに装着してシャックル軸の緩みを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本発明の第１実施形態に係るシャックル軸緩み防止具及びこれが用いられるシャックルを示す側面図。

【図2】図１に示すシャックル軸緩み防止具の斜視図。

【図3】図１に示すシャックル軸緩み防止具のシャックルへの装着手順を説明する図。

【図4】図３の要部拡大斜視図。

【図5】図１に示すシャックル軸緩み防止具をシャックルに取り付けた状態を示す側面図。

【図6】図５の要部拡大斜視図。

【図7】図１に示すシャックル軸緩み防止具が備える挿通部材の変形形態を示す図。

【図8】図１に示すシャックル軸緩み防止具が備える挿通部材の他の変形形態を示す図。

【図9】図１に示すシャックル軸緩み防止具が備える挿通部材の更に他の変形形態を示す図。

【図10】本発明の第２実施形態に係るシャックル軸緩み防止具を示す斜視図。

【図11】図１０に示すシャックル軸緩み防止具をシャックルに装着した状態を示す斜視図。

【図12】本発明の第３実施形態に係るシャックル軸緩み防止具及びこれが用いられるシャックルを示す斜視図。

【発明を実施するための形態】

【0013】

［第１実施形態］
以下、添付図面を参照して、本発明の第１実施形態に係るシャックル軸緩み防止具について説明する。本発明に係るシャックル軸緩み防止具は、シャックル本体に螺合されたシャックル軸が緩むのを防止するものである。

【0014】

ここではまず、図１を参照して、本実施形態のシャックル軸緩み防止具１が使用されるシャックルＳについて説明する。シャックルＳはシャックル軸ねじ込み式であり、シャックル本体Ｓ１と、シャックル軸Ｓ２と、を備える。シャックル本体Ｓ１は、一対の脚部Ｓ１１，Ｓ１２と、一対の脚部Ｓ１１，Ｓ１２を相互に連結するＵ字状のクラウン部Ｓ１３と、から成る。一方の脚部Ｓ１１には軸挿通孔Ｓ１１ａが設けられ、他方の脚部Ｓ１２には雌ねじ部Ｓ１２ａが設けられている。シャックル軸Ｓ２は棒状であって、その先端側には雄ねじ部Ｓ２ａが設けられ、基端側には摘まみ部Ｓ２１と、鍔部Ｓ２２と、が設けられ、摘まみ部Ｓ２１には貫通孔Ｓ２１ａが設けられている。

【0015】

シャックル軸Ｓ２のシャックル本体Ｓ１への取り付けは、シャックル軸Ｓ２をシャックル本体Ｓ１の軸挿通孔Ｓ１１ａに挿通させ、シャックル軸Ｓ２の雄ねじ部Ｓ２ａをシャックル本体Ｓ１の雄ねじ部Ｓ１２ａへ螺合させることにより行われる。

【0016】

図１及び図２を参照して、シャックル軸緩み防止具１は、例えば金属製であって、本体２と、挿通部材６と、を備える。本体２は、基部３と、基部３から延出する第１及び第２当接部４，５と、を有し、第１当接部４及び第２当接部５は第１方向Ｄ１に相互に間隔（隙間）Ｇを空けて対向配置されている。

【0017】

基部３は、第１挿通孔３１ａが設けられた第１有孔部３１と、第２挿通孔３２ｂが設けられた第２有孔部３２と、第１,第２有孔部３１，３２と第１,第２当接部４，５を相互に連結する連結部３３と、を有する。

【0018】

第１有孔部３１と第２有孔部３２とは、第１方向Ｄ１と垂直な第２方向Ｄ２に間隔を空けて設けられており、第１挿通孔３１ａ及び第２挿通孔３２ａは、その中心軸方向を第２方向Ｄ２とし、第２方向Ｄ２において相互に対向している。連結部３３には、連結部３３を第１方向Ｄ１及び第２方向Ｄ２と垂直な第３方向Ｄ３に貫通する開口部３３ａが設けられており、第１及び第２挿通孔３１ａ,３２ａ（第１及び第２有孔部３１,３２）は開口部３３ａの第２方向Ｄ２両側に位置づけられている。

【0019】

挿通部材６は、第１及び第２挿通孔３１ａ,３２ａとシャックルＳの貫通孔Ｓ２１ａに挿通される棒状の挿通部６１と、第１及び第２挿通孔３１ａ,３２ａよりも大径の頭部６２と、を有する。

【0020】

このように構成されたシャックル軸緩み防止具１は、次のようにしてシャックルＳへ装着される。まず、図１に示す様に、シャックル軸Ｓ２の貫通孔Ｓ２１ａの中心軸Ｃ１がシャックルＳの脚部Ｓ１１の長手方向（図１における第２方向Ｄ２）に沿うように、シャックル軸Ｓ２の向きを調整する。次に、図３及び図４に示す様に、本体２の開口部３３ａにシャックル軸Ｓ２の摘まみ部Ｓ２１を挿通させ、基部３（連結部３３）を鍔部Ｓ２２に当接させると共に、第１及び第２当接部４,５の間の隙間Ｇにシャックル本体Ｓ１の脚部Ｓ１１を位置づける。これにより、シャックル軸Ｓ２の貫通孔Ｓ２１ａは、本体２の第１及び第２挿通孔３１ａ,３２ａの間に位置し、貫通孔Ｓ２１ａと第１及び第２挿通孔３１ａ,３２ａとは第２方向Ｄ２に沿って直線上に並ぶ。この状態で、図５及び図６に示す様に、挿通部材６の挿通部６１を第１挿通孔３１ａ,貫通孔Ｓ２１ａ及び第２挿通孔３２ａに挿通させる。

【0021】

このようにしてシャックル軸緩み防止具１をシャックルＳへ装着させると、シャックル軸Ｓ２のシャックル本体Ｓ１に対する回転が規制される。即ち、シャックル軸Ｓ２の中心軸Ｃ２を中心とするシャックル本体Ｓ１に対する緩み回転方向Ｒ１を基準として、第１当接部４はシャックル本体Ｓ１（脚部Ｓ１１）の上流側に位置づけられ、第２当接部５はシャックル本体Ｓ１の下流側に位置づけられる。これにより、シャックル軸Ｓ２がシャックル軸緩み防止具１と共にシャックル本体Ｓ１に対して緩み回転方向Ｒ１へ回転しそうになっても、第１当接部４がシャックル本体Ｓ１に緩み回転方向Ｒ１上流側から当接し、シャックル軸Ｓ２の緩み回転方向Ｒ１への回転を阻止する。なお、このように第１当接部４がシャックル本体Ｓ１に緩み回転方向Ｒ１上流側から当接すると、本体２には挿通部６１を中心に回転する方向（図６に矢印Ｒ３で示す方向）に力が加わるが、第２当接部５がシャックル本体Ｓ１（脚部Ｓ１１）に当接することによって、このような回転が阻止される。

【0022】

同様に、シャックル軸Ｓ２がシャックル軸緩み防止具１と共に緩み回転方向Ｒ１とは逆の締め付け方向Ｒ２へ回転しそうになっても、第２当接部５がシャックル本体Ｓ１に緩み回転方向Ｒ１下流側から当接し、これによってシャックル軸Ｓ２の締め付け方向Ｒ２への回転が阻止される。また、このように第２当接部５がシャックル本体Ｓ１に緩み回転方向Ｒ１下流側から当接すると、本体２には挿通部６１を中心に回転する方向（図６に矢印Ｒ４で示す方向）に力が加わるが、第１当接部４がシャックル本体Ｓ１（脚部Ｓ１１）に当接することによって、このような回転が阻止される。

【0023】

このように、本実施形態のシャックル軸緩み防止具１によれば、鉄線等を使用することなくシャックル軸Ｓ２の緩みを防止することができる。また、シャックルＳ自体に加工を施す必要がなく、既存のシャックルＳに着脱可能に装着させて用いることができる。

【0024】

なお、第１当接部４及び第２当接部５は、シャックル本体Ｓ１の脚部Ｓ１１に緩み回転方向Ｒ１上流側及び下流側からそれぞれ干渉できればよく、その延出長さ（第３方向Ｄ３における基部３からの延出長さ）に制限はないが、図５に示す様に、シャックル軸緩み防止具１をシャックルＳへ装着させた状態において、第１及び当接部４,５の先端が脚部Ｓ１１の内側縁Ｓ１１ｂを超えない長さとするのが好ましい。

【0025】

本実施形態のシャックル軸緩み防止具１は、シャックルＳに着脱自在に装着されて用いられ、シャックル本体Ｓ１に螺合されたシャックル軸Ｓ２が緩むのを防止するものであって、第１挿通孔３１ａが設けられた本体２と、第１挿通孔３１ａ及びシャックル軸Ｓ２の摘まみ部Ｓ２１に設けられた貫通孔Ｓ２１ａに挿通される挿通部材６と、を備え、本体２は、第１挿通孔３１ａが設けられた基部３と、基部３から延出しシャックル本体Ｓ１と干渉可能な第１当接部４と、を有し、第１当接部４がシャックル本体Ｓ１に当接することによって、シャックル軸Ｓ２がシャックル本体Ｓ１に対して緩み回転方向Ｒ１へ回転するのを規制する。

【0026】

ここで、上述のシャックル軸緩み防止具１の本体２には一対の挿通孔３１ａ,３２ａが設けられているが、挿通孔３１ａ,３２ａのうちの何れか一方のみ（即ち、第１有孔部３１のみ又は第２有孔部３２のみ））を設けた構成であっても構わない。また、挿通孔３１ａのみ（第１有孔部３１のみ）を設ける場合には、摘まみ部Ｓ２１を挿通させるための開口部３３ａを省略することができる。これによっても上述したのと同様の効果を得ることができる。

【0027】

また、図２に示す例では、連結部３３は側面視逆向きＬ字形状を有するものであって、第２方向Ｄ２に延びる板状部と、板状部の上端から第３方向Ｄ３に延びる延出部と、を有し、延出部の先端から第１及び第２当接部４,５が第３方向Ｄ３に沿って延出しているが、連結部３３の形状はこれに限定されない。

【0028】

更に、シャックル軸緩み防止具１を上述の様にしてシャックルＳに装着させた際に挿通部材６が貫通孔Ｓ２１ａから抜けて落ちてしまうのを防止するための脱落防止手段を設けても良い。脱落防止手段としては、例えば図７に示す様に、挿通部６１の頂部に波形の線材６２を取り付け、線材６２と挿通部６１によりスナップピンを構成し、第１有孔部３１，摘まみ部Ｓ２１，及び／又は第２有孔部３２を挟持する形態のものや、図８に示すように挿通部６１の頂部にバネ６３を取り付け、バネ６３の先端に設けられたリング部材６４を挿通部６１の先端に引っかける形態のもの、更には図９に示す様に挿通部６１の先端に設けられた雄ねじ部６１ａにナット６５を螺着させる形態のもの等が挙げられるが、これらに限定されない。

【0029】

このような脱落防止手段を設けることにより、シャックル軸緩み防止具１が装着されたシャックルＳが図６に示す状態から上下逆さの状態になっても、挿通部材６が本体２及びシャックル軸Ｓ２から抜け落ちるのを防止できる。

【0030】

また、本体２と挿通部材６とを可撓性を有する連結部材（チェーン,ワイヤ,紐等）で連結させてもよい。更に、本実施形態に係るシャックル軸緩み防止具１は、鍔部Ｓ２２を有しないシャックルにおいても好適に用いることができる。

【0031】

［第２実施形態］
次に、本発明の第２実施形態に係るシャックル軸緩み防止具について説明する。なお、以下の各実施形態において、上述の第１実施形態に係るものと実質同一の部材には同一の参照番号を付し、詳細な説明は省略する。

【0032】

図１０を参照して、本実施形態のシャックル軸緩み防止具１０１は、上述のシャックル軸緩み防止具１と類似であるが、本実施形態のシャックル軸緩み防止具１０１には挿通孔３１ａ，３２ａが設けられてなく、挿通部６１が基部１０３と一体とされている点で異なる。

【0033】

より具体的に、シャックル軸緩み防止具１０１は、基部１０３と、基部１０３から第２方向Ｄ２に延びる挿通部６１と、基部１０３から延出する第１及び第２当接部４,５と、を有する。

【0034】

このように構成されたシャックル軸緩み防止具１０１は、図１１に示す様に、第１及び第２当接部４,５をシャックル本体Ｓ１の両側に位置づけて、シャックル軸Ｓ２の貫通孔Ｓ２１ａに挿通部６１を挿通させることによりシャックルＳに装着される。

【0035】

このような構成によっても、シャックル軸Ｓ２の中心軸線Ｃ２を中心とするシャックル本体Ｓ１に対する回転を規制でき、上述したのと同様の効果を得ることができる。

【0036】

本実施形態に係るシャックル軸緩み防止具１０１は、基部１０３と、基部１０３から延出してシャックル軸Ｓ２の貫通孔Ｓ２１ａに挿通される挿通部６１と、基部１０３から延出してシャックル本体Ｓ１と干渉可能な第１当接部４と、を有し、第１当接部４がシャックル本体Ｓ１に当接することによって、シャックル軸Ｓ２の緩み回転方向Ｒ１への回転が阻止される。

【0037】

なお、本実施形態においても上述したような脱落防止手段を採用することができる。

【0038】

［第３実施形態］
次に、本発明の第３実施形態に係るシャックル軸緩み防止具について説明する。図１２を参照して、本実施形態のシャックル軸緩み防止具２０１は、上述のシャックル軸緩み防止具１と実質同一であるが、本体２０２の基部２０３が備える連結部２３３は無底円筒形状（円管形状）を有する点において異なり、第１及び第２有孔部３１,３２は、連結部２３３の一端側（図１２における左側）に第２方向Ｄ２に相互に間隔を空けて配置されている。

【0039】

このようなシャックル軸緩み防止具２０１は特に、図１２に示すシャックルＳ２００のように、比較的幅の広い鍔部Ｓ２２２を有するシャックルにおいて好適に用いられ、シャックル軸緩み防止具２０１を上述したのと同様にシャックルＳ２００に装着させると、鍔部Ｓ２２２が連結部２３３に収容され、シャックル軸緩み防止具２０１のシャックルＳ２００への装着をより安定させることができる。

【0040】

なお、第１実施形態と同様に、図１２に示すシャックル軸緩み防止具２０１において第１有孔部３１又は第２有孔部３２（第１挿通孔３１ａ又は第２挿通孔３２ａ）を省略することもできる。シャックル軸緩み防止具２０１に図７～図９に示すような脱落防止手段を設けても良い。

【0041】

以上、本発明の実施形態に係るシャックル軸緩み防止具について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。

【0042】

例えば、挿通部６１の第１，第２挿通孔３１ａ,３２ａ及び貫通孔２１ａへ挿入方向は、図１や図１２における上側からである必要はなく、図１や図１２における下側から挿入させることもできる。

【0043】

また、上記実施形態のシャックル軸緩み防止具１,１０１,２０１は、シャックル軸Ｓ２の緩み回転方向Ｒ１への回転を阻止するための第１当接部４と、シャックル軸Ｓ２の逆方向への回転を阻止するための第２当接部５と、を有するが、少なくとも第１当接部４を有していればよく、第２当接部５を省略することもできる。なお、この場合であっても、基部３,２０３,１０３がシャックル本体Ｓ１及び／又はシャックル軸Ｓ２の鍔部Ｓ２２と当接することによって、本体２,２０２,シャックル軸緩み防止具１０１が挿通部６１を中心にＲ３方向へ回転するのを阻止できる。

【0044】

また、第１当接部４と第２当接部５の基部３（１０３,２０３）からの第３方向Ｄ３への突出長さは同一である必要はなく、例えば第１当接部４よりも第２当接部５を短くしても良い。

【0045】

第１,第２当接部４,５の内縁形状は、図２や図１２に示す様にシャックルＳの脚部Ｓ１１の外周面に沿った円弧状や、図１０に示す様な直線状に限定されず、他の形状であっても良い。また、第１,第２当接部４,５は、図２や図１０のように平板に切欠を設けることによって形成することもでき、或いは図１２に示す様に基部２０３に棒状のものを取り付ることにより形成することもできるが、これらの構成に限定されない。

【符号の説明】

【0046】

１,１０１,２０１ シャックル軸緩み防止具
２,２０２ 本体
３,１０３,２０３ 基部
３１ａ 第１挿通孔
３２ａ 第２挿通孔
３３,２３３ 連結部
４ 第１当接部
５ 第２当接部
６ 挿通部材
６１ 挿通部
Ｒ１ 緩み回転方向
Ｓ シャックル
Ｓ１ シャックル本体
Ｓ２ シャックル軸
Ｓ２１ 摘まみ部
Ｓ２１ａ 貫通孔

【要約】

【課題】シャックルに加工を施すことなく使用可能なシャックル軸緩み防止具を提供する。
【解決手段】シャックル軸緩み防止具１０１は、シャックルＳに着脱自在に装着されて用いられ、シャックル本体Ｓ１に螺合されたシャックル軸Ｓ２が緩むのを防止するものであって、基部１０３と、基部１０３から延出し、シャックル軸Ｓ２の摘まみ部Ｓ２１に設けられた貫通孔Ｓ２１ａに挿通される挿通部６１と、基部１０３から延出し、シャックル本体Ｓ１と干渉可能な第１当接部４と、を有する。第１当接部４がシャックル本体Ｓ１に当接することによって、シャックル軸Ｓ２の緩み回転方向Ｒ１への回転を規制する。
【選択図】図１１

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】