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特許7493869電池セルの温度均一性が向上した電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】電池セルの温度均一性が向上した電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/653 20140101AFI20240527BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240527BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240527BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20240527BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240527BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20240527BHJP
【FI】
H01M10/653
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/651
H01M10/625
H01M10/617
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022566248
(86)(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 KR2022001534
(87)【国際公開番号】W WO2022169210
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0016146
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ボン・クン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・オ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・スン・パク
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-500708(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0028518(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0189523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/653
H01M 10/613
H01M 10/647
H01M 10/651
H01M 10/625
H01M 10/617
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが積層された電池セルスタックが収容されたモジュールケース;
前記電池セルスタックと前記モジュールケースの第1面との間に付加された放熱性樹脂;
前記電池セルスタックを冷却させるために前記モジュールケースの第1面の外側に結合する冷却部材;及び
前記モジュールケースの第1面と対面する前記冷却部材の外面のうち中心部のみに付加されている熱伝達物質;
を含む電池モジュール。
【請求項2】
前記複数の電池セルは、パウチ形電池セルであり、
前記電池セルスタックは、前記パウチ形電池セルの電極組立体収納部の底面が前記モジュールケースの第1面に垂直となるように積層されており、
前記パウチ形電池セルの全長方向の外面が前記モジュールケースの第1面と平行に配置される、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記熱伝達物質は、前記モジュールケースの全長方向に沿って、前記モジュールケースの全長方向の長さと対応する長さで付加される、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記モジュールケースの第1面と対面する前記冷却部材の外面のうち、前記モジュールケースの面積と同じ面積を全幅に追って3等分した幅の中心部に前記熱伝達物質が付加される、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記熱伝達物質の厚さは、0.5mm~3mmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記電池セルスタックは、前記電池セル同士の間に配置される冷却プレートを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記冷却プレートは、前記電池セルスタックの積層方向の中心部にある電池セル同士の間に配置される、請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記冷却プレートは、前記モジュールケースの第1面のうち、前記熱伝達物質と対面する部分の内側面に配置される、請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記冷却部材は、冷媒流入口と冷媒排出口が形成されているヒートシンクである、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記複数の電池セルの温度偏差は、3℃以内である、請求項1~9のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記冷却部材の全幅及び全長はそれぞれ、前記モジュールケースの全幅及び全長よりも大きい、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月4日付韓国特許出願第2021-0016146号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本願発明は、電池セルの温度均一性が向上した電池モジュールに関する。具体的には、電池モジュールを構成する複数の電池セルに位置によって熱損失差が発生して電池セルに温度偏差が発生することを防止できるように電池セルの温度均一性が向上した電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
充放電が可能なリチウム二次電池の安定性向上と容量増加が早く達成されている中、前記リチウム二次電池をエネルギー源として用いるデバイスの種類も増加している。
【0004】
例えば、前記リチウム二次電池は、多機能小型製品であるワイヤレスモバイル機器(wireless mobile device)又は身体に着用するウェアラブル機器(wearable device)のエネルギー源として広範囲に用いられているだけでなく、大気汚染を誘発する既存のガソリン車及びディーゼル車の代案とされている電気自動車とハイブリッド電気自動車などのエネルギー源又は電力貯蔵装置(ESS)としても用いられている。
【0005】
前記リチウム二次電池は、電池ケースの形状によって、円筒形又は角形の金属缶に電極組立体が内蔵されている円筒形二次電池及び角形二次電池と、アルミニウムラミネートシートのパウチ形ケースに電極組立体が内蔵されているパウチ形二次電池とに分類される。そのうち、パウチ形二次電池は、形態変形が自由であり、且つ体積当たりにエネルギー密度が高いという長所がある。
【0006】
高出力及び高エネルギー密度が要求される中大型デバイス用エネルギー源として、複数のパウチ形電池セルを密着するように配列して電気的に連結し、モジュールケースに収容することで、電池モジュールを製造することができる。
【0007】
この時、前記複数のパウチ形電池セルとモジュールケースとの間に放熱性樹脂を付加して、前記電池セルで発生する熱をモジュールケースの外部に排出することができる。
【0008】
一般に、複数のパウチ形電池セルが積層されてモジュールケースに収容される場合に、個別の電池セルは類似レベルの発熱特性を有するが、電池セルの位置によって熱損失にばらつきが発生するため、全体的に電池セル間に温度偏差が発生する。
【0009】
具体的には、電池セルのうち、縁部に配置された電池セルは熱損失が多いのに対し、中心部に位置する電池セルは熱損失が少ないため、縁部に配置された電池セルは相対的に温度が低く、中心部に位置する電池セルは相対的に温度が高い。
【0010】
電池セル間の温度偏差は、電池セルの退化速度差を招くだけでなく、電池モジュールの性能を低下させる原因になり得る。
【0011】
これと関連して、特許文献1は、複数のセル室が隣接して配置されるモノブロック電池において、外部と接する面積が大きい縁部のセル室の熱損失が大きいことから、中央にあるセル室と温度差が発生することを緩和するために、中央にあるセル室に放熱促進部材を付加することを開示している。
【0012】
特許文献1は、電池の外壁に熱伝導性に優れた放熱促進部材を配置して電池の温度を下げる技術を開示しているが、冷却装置のような外部部材を使用しないため、電池の温度を迅速かつ持続的に下げることが難しい形態である。
【0013】
特許文献2は、複数のバッテリーセルを収容する支持部材に複数の貫通孔が形成されており、前記複数の貫通孔は熱伝達物質で充填されており、前記支持部材に接触するようにヒートシンクが配置されたバッテリーモジュールを開示している。
【0014】
特許文献2の複数のバッテリーセルは、支持部材に含まれた熱伝達物質を通じてヒートシンクに熱を排出できるが、複数のバッテリーセル間に温度偏差が発生することを解決するための技術は開示できずにいる。
【0015】
したがって、複数の電池セルを含む電池モジュールにおいて電池セル間の温度偏差が発生することを防止し、効果的に熱を排出できる技術が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開平10-092394号公報
【文献】韓国公開特許第2020-0004202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本願発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、電池セル間の温度偏差を減らすことによって電池モジュールの性能を向上させることができる構造を含む電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的を達成するための本願発明に係る電池モジュールは、複数の電池セルが積層された電池セルスタックが収容されたモジュールケース、前記電池セルスタックと前記モジュールケースの第1面との間に付加された放熱性樹脂、前記電池セルスタックを冷却させるために前記モジュールケースの第1面の外側に結合する冷却部材、及び前記モジュールケースの第1面と対面する前記冷却部材の外面のうち中心部に付加される熱伝達物質、を含むことができる。
【0019】
前記複数の電池セルは、パウチ形電池セルであり、前記電池セルスタックは、前記パウチ形電池セルの電極組立体収納部の底面が前記モジュールケースの第1面に垂直となるように積層されており、前記パウチ形電池セルの全長方向の外面が前記モジュールケースの第1面と平行に配置されてよい。
【0020】
前記熱伝達物質は、前記モジュールケースの全長方向に沿って、前記モジュールケースの全長方向の長さと対応する長さで付加されてよい。
【0021】
前記モジュールケースの第1面と対面する前記冷却部材の外面のうち、前記モジュールケースの面積と同じ面積を全幅に追って3等分した幅の中心部に、前記熱伝達物質が付加されてよい。
【0022】
前記熱伝達物質の厚さは、0.5mm~3mmであってよい。
【0023】
前記電池セルスタックは、前記電池セル同士の間に配置される冷却プレートを含むことができる。
【0024】
前記冷却プレートは、前記電池セルスタックの積層方向の中心部にある電池セル同士の間に配置されてよい。
【0025】
前記冷却プレートは、前記モジュールケースの第1面のうち、前記熱伝達物質と対面する部分の内側面に配置されてよい。
【0026】
前記冷却部材は、冷媒流入口と冷媒排出口が形成されているヒートシンクであってよい。
【0027】
前記複数の電池セルの温度偏差は、3℃以内であってよい。
【0028】
前記冷却部材の全幅及び全長のそれぞれは、前記モジュールケースの全幅及び全長のそれぞれよりも大きくてよい。
【0029】
本願発明は、また、上記の課題を解決するための手段を様々に組み合わせた形態で提供することもできる。
【発明の効果】
【0030】
以上に説明したように、本願発明に係るモジュールケースに収容された電池セルスタックにおいて電池セルの温度偏差が起きることを最小化できる。
【0031】
したがって、電池セルの温度偏差によって電池モジュールの寿命が短縮したり性能が低下したりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1実施例に係る電池モジュールの分解斜視図である。
図2図1の熱伝達物質が付加された冷却部材の平面図である。
図3】第2実施例に係る電池モジュールの分解斜視図である。
図4】実施例による電池モジュールにおいて電池セルの温度変化を示すグラフである。
図5】比較例による電池モジュールにおいて電池セルの温度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が本願発明を容易に実施できる実施例を詳細に説明する。ただし、本願発明の好ましい実施例に対する動作原理を詳細に説明するとき、関連する公知機能又は構成に関する具体的な説明が本願発明の要旨を却って曖昧にし得ると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0034】
なお、図面中、類似の機能及び作用をする部分に対しては同一の図面符号を使用する。明細書全体を通じて、ある部分が他の部分と連結されているとしているとき、これは、直接に連結されている場合の他に、それらの間にさらに他の素子を介在して間接に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むということは、別に断らない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0035】
また、構成要素を限定又は付加して具体化する説明は、特に制限がない限り、いかなる発明に適用されてもよく、特定の発明に関する説明に限定されない。
【0036】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示されたものは、特に言及されない限り、複数である場合も含む。
【0037】
また、本願発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって、「又は」は、特に言及されない限り、「及び」も含むものである。したがって、「A又はBを含む」とは、Aを含む、Bを含む、A及びBを含む、3つのいずれの場合をも意味する。
【0038】
本願発明を、図面を参照して詳細な実施例のように説明する。
【0039】
図1は、第1実施例に係る電池モジュールの分解斜視図である。
【0040】
図1を参照すると、第1実施例に係る電池モジュールは、複数の電池セル110が積層された電池セルスタック100が収容されたモジュールケース200、電池セルスタック100とモジュールケース200の第1面201との間に付加された放熱性樹脂300、電池セルスタック100を冷却させるためにモジュールケース200の第1面201の外側に結合する冷却部材400、及びモジュールケース200の第1面201と対面する冷却部材400の外面のうち中心部に付加される熱伝達物質450を含む。
【0041】
電池セルスタック100は、複数のパウチ形電池セルが、電極組立体収納部の底面120が互いに密着する方向に配置されて構成される。電池セル110は、電池ケースの外側に電極リード(図示せず)が突出して電気的な連結がなされてよい。
【0042】
電池セルスタック100は、パウチ形電池セルの電極組立体収納部の底面120がモジュールケース200の第1面201に垂直となるように積層されており、パウチ形電池セルの電極組立体収納部の側面である全長方向Aの外面111がモジュールケース200の第1面201と平行に配置される。
【0043】
モジュールケース200の第1面201の内側面には放熱性樹脂300が付加されており、電池セルスタック100とモジュールケース200との間に形成される空間を放熱性樹脂300が埋めてよい。したがって、電池セルスタック100の熱エネルギーを放熱性樹脂300を通じてモジュールケースの第1面201の外側に排出することができる。
【0044】
冷却部材400は、電池セルスタックで発生する熱エネルギーが放熱性樹脂300を通じて排出されれば、排出された熱エネルギーを速く冷却させるためのものである。したがって、熱交換がなされる冷媒の温度を低く維持できるように、継続して冷媒が冷却部材の内部に流入及び内部から排出されながら流動することが好ましい。
【0045】
そこで、冷却部材400は、例えば、冷媒流入口410と冷媒排出口420が形成されているヒートシンクであってよい。
【0046】
一方、熱伝達物質450を通じて排出される熱エネルギーを速く冷却させることによって、電池セルスタックの中心部にある電池セルの熱放出が円滑になされ得るように、冷却部材400の平面視のサイズは、熱伝達物質450と対面するモジュールケースの第1面201の面積よりも十分に大きく形成されることが好ましい。
【0047】
したがって、冷却部材400の全幅c1及び全長c2のそれぞれは、モジュールケース200の全幅m1及び全長m2のそれぞれよりも大きいサイズで形成されてよい。
【0048】
図2は、図1の熱伝達物質が付加された冷却部材の平面図である。
【0049】
図2を参照すると、冷却部材400の上面にモジュールケースを配置するための部分であるモジュールケース配置部200’があり、モジュールケース配置部200’の上部と下部のそれぞれには、モジュールケースの位置を固定するためのガイド部401が付加されてよい。
【0050】
冷却部材400の外面に付加された熱伝達物質450は、平面視で長方形の形態で付加され、熱伝達物質の長さは、モジュールケース200の全長方向Aに沿ってモジュールケース200の全長方向Aの長さと対応する長さで付加される。
【0051】
熱伝達物質450の幅は、モジュールケース200の第1面201と対面する冷却部材400の外面のうち、モジュールケース200の面積と同じ面積を有するモジュールケース配置部200’の全幅m1に沿って3等分した幅と対応する大きさで形成され、前記3等分した幅の中心部に熱伝達物質450が付加される。
【0052】
熱伝達物質の厚さは、0.5mm~3mmの範囲で形成されてよく、詳細には、1mm~3mmの範囲で形成されてよい。
【0053】
このように、一定の厚さを有するように付加される熱伝達物質の両側に、モジュールケースと冷却部材との間にギャップ(gap)ができることがある。このようなギャップを埋めるために、熱伝導性の低い素材からなる支持部が配置されてよく、前記支持部の厚さは、熱伝達物質の厚さと同一であってよい。
【0054】
前記支持部は、熱伝導性の低い素材からなるので、モジュールケースと冷却部材との間に支持部が介在されても、電池セルスタックの中心部に配置された電池セルは、縁部に配置された電池セルに比べて、熱伝達物質を通じてよりよく熱交換され得る。
【0055】
前記熱伝達物質の素材は、熱伝導性に優れた素材であれば特に限定されず、例えば、ウレタン系、エポキシ系及びシリコン系からなる群から選ばれる1種以上であってよい。
【0056】
図3は、第2実施例に係る電池モジュールの分解斜視図である。
【0057】
図3を参照すると、第2実施例に係る電池モジュールは、複数の電池セル110が積層された電池セルスタック100が収容されたモジュールケース200、電池セルスタック100とモジュールケース200の第1面201との間に付加された放熱性樹脂300、電池セルスタック100を冷却させるためにモジュールケース200の第1面201の外側に結合する冷却部材400、及びモジュールケース200の第1面201と対面する冷却部材400の外面のうち中心部に付加される熱伝達物質450を含む。
【0058】
電池セルスタック100は、複数のパウチ形電池セルが電極組立体収納部の底面120が互いに密着する方向に配置されて構成される。電池セル110は、電池ケースの外側に電極リード(図示せず)が突出して電気的な連結がなされてよい。
【0059】
電池セルスタック100は、パウチ形電池セルの電極組立体収納部の底面120がモジュールケース200の第1面201に垂直となるように積層されており、パウチ形電池セルの電極組立体収納部の側面である全長方向Aの外面111がモジュールケース200の第1面201と平行に配置される。
【0060】
電池セルスタック100は、電池セル110同士の間に配置される冷却プレート510を含む。冷却プレート510は、電池セルスタック100の積層方向Bの中心部にある電池セル同士の間に配置され、図3には3個の冷却プレート510が電池セル110同士の間に配置された状態を示している。
【0061】
冷却プレート510の配置によって、電池セルスタック100の中心部にある電池セルの熱排出がより効果的になされ得る。
【0062】
また、冷却プレート510がモジュールケース200の第1面201のうち熱伝達物質450と対面する電池セル同士の間に配置されるので、冷却プレート510と熱伝達物質450とが隣接して配置され得る。したがって、電池セルスタック100の中心部にある電池セル110の放熱効果が増加し得る。
【0063】
その他、前記第1実施例に係る電池モジュールと第2実施例に係る電池モジュールに含まれる同一の構成要素に関する説明は、前記第1実施例に係る電池モジュールの説明に記載された内容が、前記第2実施例に係る電池モジュールに関する説明に同一に適用されてよい。
【0064】
以下では、本願発明の実施例を参照して説明するが、これは、本願発明のより容易な理解のためのもので、本願発明の範疇を限定するものではない。
【0065】
<実施例>
24個のパウチ形電池セルを含む電池モジュールを準備し、該24個のパウチ形電池セルに順に1番電池セルから24番電池セルまでと番号を付した。前記電池モジュールの内部に熱電対(thermocouple)を挿入して11番電池セル(#11)と24番電池セル(#24)の表面に付着させた。
【0066】
図1に示したように、冷却部材の上面のうち電池モジュールが配置される部分と対応する面積を3等分し、中央の部分のみに熱伝達物質を1mm厚で塗布した。
【0067】
前記熱電対を充放電器(メーカー:PNEソリューション(60V/600A仕様のモジュール充放電器))と連結し、前記電池モジュールに充電と放電を繰り返し行いながら、11番電池セル(#11)と24番電池セル(#24)の温度を測定した。
【0068】
図4は、実施例による電池モジュールにおいて電池セルの温度変化を示すグラフである。
【0069】
図4は、3回目の充電サイクルの一部を示している。
【0070】
図4を参照すると、中心部に配置された11番電池セルの温度は、初期と後期を除けば、縁部に配置された24番電池セルの温度よりも高く測定された。
【0071】
中心部に配置された11番電池セルと縁部に配置された24番電池セルとの温度偏差の最大値は2.4℃であり、平均温度偏差は約1℃であった。
【0072】
<比較例>
前記実施例において熱伝達物質を冷却部材の上面のうち電池モジュールが配置される部分と対応する面積全体に塗布した以外は、前記実施例と同一にして電池モジュールを準備した。
【0073】
前記実施例と同一に前記電池モジュールに充電と放電を繰り返し行いながら、複数のパウチ形電池セルのうち、中心部に配置された11番電池セル(#11)と縁部に配置された24番電池セル(#24)のそれぞれの温度を測定した。
【0074】
図5は、比較例による電池モジュールにおいて電池セルの温度変化を示すグラフである。
【0075】
図5は、3回目の充電サイクルの一部を示している。
【0076】
図5を参照すると、中心部に配置された11番電池セルの温度は全体的に、縁部に配置された24番電池セルの温度よりも高く測定された。
【0077】
中心部に配置された11番電池セルと縁部に配置された24番電池セルとの温度偏差の最大値は7.1℃であり、平均温度偏差は約4℃であった。
【0078】
このように、本願発明のように冷却部材の中心部にのみ熱伝達物質を塗布して適用する場合には、電池セルスタックの中心部に配置された電池セルと縁部に配置された電池セルとの温度偏差が顕著に減ることが確認できる。
【0079】
したがって、電池セル間における温度偏差の減少によって電池モジュールの寿命が増加でき、電池モジュールの性能低下を防止することができる。
【0080】
本願発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本願発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上に説明したように、本願発明に係るモジュールケースに収容された電池セルスタックにおいて電池セル間に温度偏差が起きることを最小化することができる。
【0082】
したがって、電池セルの温度偏差によって電池モジュールの寿命が短縮したり性能が低下したりすることを防止できる。
【符号の説明】
【0083】
100 電池セルスタック
110 電池セル
111 全長方向の外面
120 電極組立体収納部の底面
200 モジュールケース
200’ モジュールケース配置部
201 第1面
300 放熱性樹脂
400 冷却部材
401 ガイド部
410 冷媒流入口
420 冷媒排出口
450 熱伝達物質
510 冷却プレート
c1,m1 全幅
c2,m2 全長
図1
図2
図3
図4
図5