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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】コネクタ組立体およびコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/648 20060101AFI20240527BHJP
   H01R 13/6473 20110101ALI20240527BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20240527BHJP
【FI】
H01R13/648
H01R13/6473
H01R12/71
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020105098
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021197328
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003742
【氏名又は名称】弁理士法人海田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128749
【弁理士】
【氏名又は名称】海田 浩明
(72)【発明者】
【氏名】大坂 純士
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/256396(WO,A1)
【文献】特開2020-043092(JP,A)
【文献】特開2019-139940(JP,A)
【文献】特開2021-103669(JP,A)
【文献】特開2021-118145(JP,A)
【文献】特開2015-230840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、第2コネクタとを備え、前記第1コネクタが第1方向に沿って前記第2コネクタと嵌め合わされ又は抜き去られるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタと前記第2コネクタのそれぞれは、少なくとも2つの高周波信号端子を有し、また、
前記第1コネクタと前記第2コネクタのそれぞれは、アウターシェルとインナーシェルを備えており、
前記高周波信号端子の配列方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向、前記第1方向および前記第2方向それぞれに直交する方向を第3方向とし、
前記第1方向で見たときに、
前記高周波信号端子は、それぞれがアウターシェルおよびインナーシェルによって周囲を囲まれており、
前記アウターシェルは全体として四辺形状であり、
前記アウターシェルにおける前記第2方向に沿った中心線を第2対称軸として、当該第2対称軸上に配置された前記高周波信号端子と、その周囲を囲む前記アウターシェルおよび前記インナーシェルが線対称形状であり、
前記高周波信号端子の前記第1方向に沿った断面を前記第2方向で見たときに、前記第2対称軸に直交する前記第1方向での前記高周波信号端子の中心線を第1対称軸として、前記高周波信号端子が線対称形状であり、
前記高周波信号端子の少なくとも1つは、前記第1方向に沿った断面を前記第3方向で見たときに、逆L字形状を有することを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタを実装した第1回路基板と、前記第2コネクタを実装した第2回路基板とを電気的に接続する基板対基板コネクタであることを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の第1コネクタとして使用できるコネクタ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の第2コネクタとして使用できるコネクタ。
【請求項5】
第1コネクタと、第2コネクタとを備え、前記第1コネクタが第1方向に沿って前記第2コネクタと嵌め合わされ又は抜き去られるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタと前記第2コネクタのそれぞれは、アウターシェルと少なくとも2つの高周波信号端子を有し、
前記高周波信号端子の配列方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向、前記第1方向および前記第2方向それぞれに直交する方向を第3方向とし、
前記第1方向で見たときに、
前記高周波信号端子は、それぞれがアウターシェルに隣接して配置されるとともに、前記アウターシェルを構成する2つの壁面が前記高周波信号端子の前記第3方向にそれぞれ配置されて前記高周波信号端子を挟むような疑似ストリップライン構造となっており、
前記アウターシェルにおける前記第2方向に沿った中心線を第2対称軸として、当該第2対称軸上に配置された前記高周波信号端子と、隣接する前記アウターシェルによる疑似ストリップライン構造が線対称形状であり、
前記高周波信号端子の少なくとも1つは、前記第1方向に沿った断面を前記第3方向で見たときに、逆L字形状を有することを特徴とするコネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ組立体およびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、平板状の2つの回路基板を電気的に接続する基板対基板コネクタが公知である。この種のコネクタは、高周波信号等の信号伝送用に複数の信号端子を備えている。これら複数の信号端子には良好な信号伝送特性が求められるため、複数の信号端子のインピーダンスを安定させる必要がある。
【0003】
例えば、図21を参照すると、下記特許文献1には、コネクタハウジング11にそれぞれ対応する相手側端子との接触面を有する複数の端子を互いに間隔をあけて装着したコネクタであって、グランド端子15、16(インナーシェル)を間に挟んで一列に配列した複数の信号端子12、13、14(複数の高周波信号端子)を含み、グランド端子15、16(インナーシェル)は、複数の信号端子12、13、14(複数の高周波信号端子)同士の配列方向に対し交差する板面15a、16aを有する導体板によって構成されるコネクタが開示されている。
【0004】
すなわち、下記特許文献1に開示されるコネクタでは、複数の高周波信号端子(複数の信号端子12、13、14)それぞれがアウターシェル(シェル状導体17)およびインナーシェル(グランド端子15、16)によって周囲を囲まれた疑似同軸構造を採用することで、インピーダンス整合させて伝送特性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-121439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたコネクタには、高周波信号端子に接続する基板上のすべての配線が、アウターシェルの高周波信号端子の配列方向に沿った中心線に直交し、かつ、同じ向きでなければ、伝送特性に差異が生じてしまうという課題が存在していた。
【0007】
よって本発明は、高周波信号端子に接続する基板上の配線が、アウターシェルの中心線に直交する方向に延びる場合において、基板上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくとも伝送特性に差異が生じないコネクタ組立体とコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコネクタ組立体は、第1コネクタと、第2コネクタとを備え、前記第1コネクタが第1方向に沿って前記第2コネクタと嵌め合わされ又は抜き去られるコネクタ組立体であって、前記第1コネクタと前記第2コネクタのそれぞれは、少なくとも2つの高周波信号端子を有し、また、前記第1コネクタと前記第2コネクタのそれぞれは、アウターシェルとインナーシェルを備えており、前記高周波信号端子の配列方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向、前記第1方向および前記第2方向それぞれに直交する方向を第3方向とし、前記第1方向で見たときに、前記高周波信号端子は、それぞれがアウターシェルおよびインナーシェルによって周囲を囲まれており、前記アウターシェルは全体として四辺形状であり、前記アウターシェルにおける前記第2方向に沿った中心線を第2対称軸として、当該第2対称軸上に配置された前記高周波信号端子と、その周囲を囲む前記アウターシェルおよび前記インナーシェルが線対称形状であり、前記高周波信号端子の前記第1方向に沿った断面を前記第2方向で見たときに、前記第2対称軸に直交する前記第1方向での前記高周波信号端子の中心線を第1対称軸として、前記高周波信号端子が線対称形状であり、前記高周波信号端子の少なくとも1つは、前記第1方向に沿った断面を前記第3方向で見たときに、逆L字形状を有することを特徴とするものである。
【0009】
すなわち、本発明のコネクタ組立体では、インピーダンス整合させる高周波信号端子およびその周囲を囲むアウターシェルおよびインナーシェルによる疑似同軸構造が線対称形状なので、高周波信号端子に接続する基板上の配線が、アウターシェルの中心線(第2対称軸)に直交する方向に延びる場合において、基板上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくとも伝送線路形状が変わらない。また、本発明のコネクタ組立体では、前記高周波信号端子が対称構造であるため、高周波信号端子に接続する基板上の配線が、アウターシェルの中心線(第2対称軸)に直交する方向に延びる場合において、基板上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくともインピーダンス特性に差が生じない。
【0010】
また、本発明のコネクタ組立体は、前記第1コネクタを実装した第1回路基板と、前記第2コネクタを実装した第2回路基板とを電気的に接続する基板対基板コネクタとすることができる。
【0011】
また、本発明は、上記の第1コネクタとして使用できるコネクタを含む。
【0012】
また、本発明は、上記の第2コネクタとして使用できるコネクタを含む。
【0013】
本発明の別のコネクタ組立体は、第1コネクタと、第2コネクタとを備え、前記第1コネクタが第1方向に沿って前記第2コネクタと嵌め合わされ又は抜き去られるコネクタ組立体であって、前記第1コネクタと前記第2コネクタのそれぞれは、アウターシェルと少なくとも2つの高周波信号端子を有し、前記高周波信号端子の配列方向であって前記第1方向に直交する方向を第2方向、前記第1方向および前記第2方向それぞれに直交する方向を第3方向とし、前記第1方向で見たときに、前記高周波信号端子は、それぞれがアウターシェルに隣接して配置されるとともに、前記アウターシェルを構成する2つの壁面が前記高周波信号端子の前記第3方向にそれぞれ配置されて前記高周波信号端子を挟むような疑似ストリップライン構造となっており、前記アウターシェルにおける前記第2方向に沿った中心線を第2対称軸として、当該第2対称軸上に配置された前記高周波信号端子と、隣接する前記アウターシェルによる疑似ストリップライン構造が線対称形状であり、前記高周波信号端子の少なくとも1つは、前記第1方向に沿った断面を前記第3方向で見たときに、逆L字形状を有することを特徴とするものである。
【0014】
すなわち、本発明のコネクタ組立体では、インピーダンス整合させる高周波信号端子および隣接して配置されたアウターシェルによる疑似ストリップライン構造が線対称形状なので、高周波信号端子に接続する基板上の配線が、アウターシェルの中心線(第2対称軸)に直交する方向に延びる場合において、基板上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくとも伝送線路形状が変わらない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高周波信号端子に接続する基板上の配線が、アウターシェルの中心線に直交する方向に延びる場合において、基板上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくともインピーダンス整合をとるための伝送線路形状が変わらないので、すべての配線が同じ向きでなくとも伝送特性に差異が生じないコネクタ組立体とコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態のコネクタ組立体を示す上側斜視図である。
図2図1のコネクタ組立体を示す上面図である。
図3図1のコネクタ組立体を示す底面図である。
図4図2のコネクタ組立体をA-A線に沿って示す断面図である。図において、第1回路基板および第2回路基板を破線で示している。
図5図1のコネクタ組立体を示す正面図である。
図6図5のコネクタ組立体をB-B線に沿って示す断面図である。図において、第1回路基板および第2回路基板を破線で示している。
図7図6のコネクタ組立体の要部を拡大して示す要部拡大断面図である。
図8図1のコネクタ組立体に含まれる第1コネクタを示す下側斜視図である。
図9図8の第1コネクタを示す底面図である。
図10図9の第1コネクタをC-C線に沿って示す断面図である。図において、第1回路基板を破線で示している。
図11図8の第1コネクタを示す正面図である。図において、第1回路基板を破線で示している。
図12図11の第1コネクタをD-D線に沿って示す断面図である。図において、第1回路基板を破線で示している。
図13図8の第1コネクタの特徴を説明するための模式図である。図において、第1コネクタを細い破線で示し、回路パターンの一部を実線で示し、本実施形態の第1コネクタが有する特徴的な部分を太い破線で囲っている。
図14図1のコネクタ組立体に含まれる第2コネクタを示す上側斜視図である。
図15図14の第2コネクタを示す上面図である。
図16図15の第2コネクタをE-E線に沿って示す断面図である。図において、第2回路基板を破線で示している。
図17図14の第2コネクタを示す正面図である。図において、第2回路基板を破線で示している。
図18図17の第2コネクタをF-F線に沿って示す断面図である。図において、第2回路基板を破線で示している。
図19図14の第2コネクタの特徴を説明するための模式図である。図において、第2コネクタを細い破線で示し、回路パターンの一部を実線で示し、本実施形態の第2コネクタが有する特徴的な部分を太い破線で囲っている。
図20】本発明のコネクタ組立体が取り得る多様な変形形態の一例を示す上面概略図である。
図21】特許文献1のコネクタ組立体(雄雌コネクタセット)に含まれるコネクタの一方側(レセプタクル)の概略構成の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項における発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態のコネクタ組立体10は、第1コネクタ500と、第2コネクタ100とを備えている。
【0019】
図1および図4を参照して、本実施形態の第1コネクタ500は、第1方向に沿って第2コネクタ100に対して嵌め合わされ又は抜き去られるものである。本実施形態において、第1方向は、上下方向である。図において、上下方向はZ方向として示される。特に、上方を+Z方向、下方を-Z方向とする。
【0020】
図4図6図10および図12に示されるように、本実施形態の第1コネクタ500は、第1回路基板860に固定されるものである。
【0021】
図8および図9に示されるように、本実施形態の第1コネクタ500は、第1絶縁体600と、第1絶縁体600を取り囲んで配置される第1アウターシェル700と、第1絶縁体600の内部に取り付けられる2つの第1インナーシェル750と、2つの第1インナーシェル750の間に配置される複数の第1電気端子800と、第1アウターシェル700と第1インナーシェル750に挟まれた領域に配置される2つの第1高周波信号端子850とを備えている。なお、本発明の範囲はこの実施形態に限定されず、第1電気端子800は、少なくとも1つあればよい。また、第1コネクタ500は、第1絶縁体600と、第1アウターシェル700と、第1インナーシェル750と、第1高周波信号端子850を備えていればよい。すなわち、第1コネクタ500は、第1電気端子800を備えていなくてもよい。
【0022】
図8図9および図12を参照して、本実施形態の第1絶縁体600は、樹脂からなるものであり、上面部610と、第1周壁部620と、第1電気端子収容部630と、第1インナーシェル収容部640と、第1高周波信号端子収容部650と、第1アウターシェル固定部660とを有している。
【0023】
図9図10および図12に示されるように、本実施形態の上面部610は、上下方向と直交する矩形の平板形状を有しており、第1絶縁体600の上端を規定している。
【0024】
図8および図9に示されるように、本実施形態の第1周壁部620は、上下方向に沿って見た場合、矩形形状を構成する四辺の中央部が切り欠かれた外周を有している。第1周壁部620は、4つの第1長壁部622と、4つの第1短壁部626とを有している。
【0025】
図8および図12に示されるように、本実施形態の4つの第1長壁部622は、2つの第1長壁部622が第2方向に沿って並んでおり、かつ、第3方向において二対の第1長壁部622が互いに対向している。本実施形態において、第2方向はX方向であり、第3方向はY方向である。第1長壁部622の上端は、上面部610と連結されている。
【0026】
図8および図12に示されるように、本実施形態の4つの第1短壁部626は、2つの第1短壁部626が第3方向に沿って並んでおり、かつ、第2方向において二対の第1短壁部626が互いに対向している。第1短壁部626の上端は、上面部610と連結されている。第1短壁部626の第2方向端は、第1長壁部622と夫々連結されている。上下方向において、第1短壁部626の下端は、第1長壁部622の下端と同じ位置にある。すなわち、第1周壁部620は、矩形の平板形状を有する第1絶縁体600の四隅にL字形をした外形を有する。
【0027】
図8図9および図10に示されるように、本実施形態の第1電気端子収容部630は、第2方向に延びる2つの壁面が第3方向で並列しており、この壁面の上下方向において下端が開口した凹部を有する。本実施形態の第1電気端子800は4つあるので、第3方向で並列した2つの壁面の夫々には、2つの凹部がある。すなわち、第1電気端子収容部630の凹部は、第1電気端子800の位置を規定している。第1電気端子収容部630は、上下方向と直交する平面内において第1周壁部620に包囲されている。本実施形態において、上下方向と直交する平面は、XY平面である。
【0028】
図8図9および図10に示されるように、本実施形態の第1インナーシェル収容部640は、第1電気端子収容部630を構成する並列した2つの壁面それぞれの端部に形成された孔部である。後述する第1インナーシェル750は板状の金属部材であり、板面が第3方向に沿うように配置される。つまり、並列した2つの壁面である第1電気端子収容部630の壁面方向である第2方向に対して直交する第3方向に第1インナーシェル750の板面が平行配置されるように、第1インナーシェル収容部640の孔部が形成される。
【0029】
図8図9および図10に示されるように、本実施形態の第1高周波信号端子収容部650は、第1高周波信号端子850を収容固定する孔部である。第1高周波信号端子850は、第1アウターシェル700と第1インナーシェル750に挟まれた領域に2つ配置される。したがって、第1高周波信号端子収容部650は、この2つの配置位置に対応した箇所に形成された孔部である。
【0030】
図8および図9に示されるように、本実施形態の第1アウターシェル固定部660は、第1絶縁体600の上面部610の第2方向側の側面から外方に向けて突出した突出部である。本実施形態の第1アウターシェル固定部660は、+X方向の側面に2つ形成され、-X方向の側面に2つ形成される。突出部である第1アウターシェル固定部660は、第1絶縁体600の各側面に2つずつ配置された突出部によって後述する第1アウターシェル700の一部を挟み込み、金属部材である第1アウターシェル700の弾性力を利用して第1アウターシェル700を第1絶縁体600に固定する。
【0031】
図8から図10図12に示されるように、本実施形態の第1アウターシェル700は、第1絶縁体600に保持される。より詳しくは、第1アウターシェル700は、第1絶縁体600の第1周壁部620の下端と接するとともに、第1絶縁体600の上面部610の第2方向側の2側面から外方に向けて2つずつ、合計4つ突出した突出部によって固定保持される。
【0032】
図8および図9を参照して、本実施形態の第1アウターシェル700は、第1方向で見たときに、全体として四辺形状の外形を有する。第1アウターシェル700は、金属からなるものであり、第1金属平面710と、第1金属周壁部720と、第1金属係合部730とを有している。
【0033】
図9から図12に示されるように、本実施形態の第1金属平面710は、第1方向、すなわち上下方向と直交する平面である。第1金属平面710は、第1絶縁体600の第1周壁部620が有する第1長壁部622の下端に位置している。第1金属平面710は、第1絶縁体600の第1周壁部620が有する第1短壁部626の下端に位置している。
【0034】
図8に示されるように、本実施形態の第1金属周壁部720は、第1金属長壁部722と、第1金属短壁部726とを有している。
【0035】
図8から理解されるように、本実施形態の第1金属長壁部722は、第1方向と直交する平板形状を有している。第1金属長壁部722は、第1絶縁体600の第1周壁部620が有する2つの第1長壁部622の第3方向外端に位置している。
【0036】
図8から理解されるように、本実施形態の第1金属短壁部726は、第1方向と直交する平板形状を有している。第1金属短壁部726は、第1絶縁体600の第1周壁部620が有する2つの第1短壁部626の第2方向外端に位置している。
【0037】
本実施形態の第1金属短壁部726は、第1絶縁体600の上面部610の第2方向側の側面から外方に向けて突出する第1アウターシェル固定部660によって第3方向の側面を挟み込まれる。より詳しくは、図8に示されるように、突出部である第1アウターシェル固定部660は、第1絶縁体600のX方向の両側面に2つずつ形成され、2つずつ配置された突出部の間に挟み込むように第1金属短壁部726が挿入される。このとき、第1金属短壁部726には、2つ配置された突出部である第1アウターシェル固定部660の間隔寸法と、第1金属短壁部726の第3方向での幅寸法の差異によって、第1金属短壁部726には撓み力が生じる。第1金属短壁部726は金属材料であるため、この撓み力に抗する弾性力が生じ、2つの第1アウターシェル固定部660の間で第1金属短壁部726が固定される。
【0038】
図10および図12を参照して、本実施形態の第1金属周壁部720が有する第1金属長壁部722と第1金属短壁部726の夫々の上端は、第1コネクタ500を第1回路基板860に固定した際に、第1回路基板860上の回路パターン(図示せず)に半田付けされるものである。これにより、第1アウターシェル700はグランド導体として接地電位とすることができる。
【0039】
図8に示されるように、本実施形態の第1金属係合部730は、第1金属長係合部732と、第1金属短係合部736とを有する。
【0040】
図8に示されるように、本実施形態の第1金属長係合部732は、第1金属長壁部722の第3方向の外周面であって、第1金属長壁部722の壁面に形成される棒状突起部である。本実施形態の第1金属長係合部732は、第1金属長壁部722の第3方向の外周面中央部に位置する。棒状突起部である第1金属長係合部732は、第2方向に沿って棒状形状が延びて形成される。
【0041】
図8に示されるように、本実施形態の第1金属短係合部736は、第1金属短壁部726の第2方向の外周面であって、第1金属短壁部726の壁面に形成される棒状突起部である。本実施形態の第1金属短係合部736は、第1金属短壁部726の第2方向の外周面中央部に位置する。棒状突起部である第1金属短係合部736は、第3方向に沿って棒状形状が延びて形成される。
【0042】
図4および図6から理解されるように、第1金属長係合部732と第1金属短係合部736は、第2コネクタ100側のアウターシェル(詳細は後述する)と接することで、第1金属長壁部722と第1金属短壁部726とが互いに第1アウターシェル700の中心側に傾くように力を受ける。この傾きの力が金属材料である第1アウターシェル700の第1金属長壁部722と第1金属短壁部726に弾性力を生じさせる。発生した弾性力が第1金属長係合部732と第1金属短係合部736とを介して第2コネクタ100側のアウターシェル(詳細は後述する)に及ぼされることで、第1コネクタ500と第2コネクタ100との嵌め合い固定が実現できる。
【0043】
図8から図10に示されるように、本実施形態の第1インナーシェル750は、板状の金属部材である。第1インナーシェル750は2つ配置されている。第1インナーシェル750の板面は、第1絶縁体600の内部において第3方向に沿うように配置される。より詳しくは、第1絶縁体600に対して孔部として形成された第1インナーシェル収容部640に嵌め込むことで、第1インナーシェル750は第1絶縁体600に取り付けられる。第1インナーシェル収容部640の孔部は、第1電気端子収容部630を構成する並列した2つの壁面それぞれの端部に形成されており、第1電気端子収容部630の壁面方向は第2方向に対して平行方向である。この第2方向に直交する第3方向に沿って2つの第1インナーシェル750の互いの板面が平行配置されるように、孔部としての第1インナーシェル収容部640に第1インナーシェル750が嵌め込まれる。
【0044】
図10を参照して、本実施形態の第1インナーシェル750の上端は、第1コネクタ500を第1回路基板860に固定した際に、第1回路基板860上の回路パターン(図示せず)に半田付けされるものである。これにより、第1インナーシェル750はグランド導体として接地電位とすることができる。
【0045】
図8から図10を参照して、本実施形態の第1電気端子800は、導電性部材からなるものである。複数の第1電気端子800は、第1電気端子収容部630に保持される。より詳しくは、本実施形態の第1電気端子800は4つある。一方、第1電気端子収容部630は、第3方向で並列した2つの壁面を構成するものであり、2つの壁面の夫々には、2つの凹部がある。第1電気端子800を第1電気端子収容部630が有する凹部に嵌め込むことで、第1電気端子800は第1電気端子収容部630に保持される。すなわち、第1絶縁体600は、複数の第1電気端子800を保持している。また、複数の第1電気端子800は、2つの第1インナーシェル750の間に配置される。
【0046】
図8から図10図12を参照して、本実施形態の第1高周波信号端子850は、導電性部材からなるものである。第1高周波信号端子850は、第1方向の縦断面で見たときに逆L字形状を有している。第1高周波信号端子850は、孔部として形成された第1高周波信号端子収容部650に嵌め込むことで保持される。より詳しくは、第1高周波信号端子850は、第1アウターシェル700と第1インナーシェル750に挟まれた2つの領域に対して夫々1つずつ配置されており、孔部として形成された第1高周波信号端子収容部650の夫々に第1高周波信号端子850を嵌め込むことで、2つの第1高周波信号端子850が固定される。
【0047】
図13を参照して、本実施形態の第1電気端子800と第1高周波信号端子850は、第1コネクタ500を第1回路基板860に固定した際に、それぞれの端子上端が第1回路基板860上の電気回路パターン862と高周波信号回路パターン864に半田付けされるものである。本実施形態では、電気回路パターン862と第1電気端子800との接続によって電力の供給や一般的な電気信号の伝送をおこなうことができる。また、本実施形態では、高周波信号回路パターン864と第1高周波信号端子850との接続によって高周波信号の伝送をおこなうことができる。
【0048】
図14に示されるように、本実施形態の第2コネクタ100は、第1回路基板860とは異なる第2回路基板460に固定されるものである。
【0049】
図14に示されるように、本実施形態の第2コネクタ100は、第2絶縁体200と、第2絶縁体200を取り囲んで配置される第2アウターシェル300と、第2絶縁体200の内部に取り付けられる2つの第2インナーシェル350と、2つの第2インナーシェル350の間に配置される複数の第2電気端子400と、第2アウターシェル300と第2インナーシェル350に挟まれた領域に配置される2つの第2高周波信号端子450とを備える。なお、本発明の範囲はこの実施形態に限定されず、第2電気端子400は、少なくとも1つあればよい。また、第2コネクタ100は、第2絶縁体200と、第2アウターシェル300と、第2インナーシェル350と、第2高周波信号端子450を備えていればよい。すなわち、第2コネクタ100は、第2電気端子400を備えていなくてもよい。
【0050】
図3図14および図15を参照して、本実施形態の第2絶縁体200は、樹脂からなるものであり、底面部210と、第2電気端子収容部230と、第2インナーシェル収容部240と、第2高周波信号端子収容部250とを有する。
【0051】
図15図16および図18に示されるように、本実施形態の底面部210は、上下方向と直交するH字形の平板形状を有しており、第2絶縁体200の下端を規定している。
【0052】
図14から図16に示されるように、本実施形態の第2電気端子収容部230は、2つの絶縁平面232と、島状部236とを有する。
【0053】
図14および図15に示されるように、本実施形態の絶縁平面232は、第1方向、すなわち上下方向と直交する平面である。図15に示されるように、絶縁平面232は、底面部210の第3方向両端付近に位置している。絶縁平面232は、第2方向において絶縁平面232の+Y側と-Y側の2箇所に位置している。
【0054】
図14および図15に示されるように、本実施形態の島状部236は、底面部210から第1方向に向けて上方に突出している。図15に示されるように、島状部236は、上下方向と直交する平面内において、第3方向の両側を絶縁平面232に包囲されている。すなわち、島状部236は、上下方向と直交する平面内において、2つの絶縁平面232によって挟まれている。島状部236は、第3方向において2つの絶縁平面232の中間に位置している。
【0055】
図14から図16に示されるように、本実施形態の第2インナーシェル収容部240は、1つの第2インナーシェル350を収容保持するために、2つの第2内壁部242と、2つの第2外壁部246を有する。
【0056】
図14に示されるように、本実施形態の第2内壁部242は、上下方向に沿って見た場合、T字形をした壁面である。第2内壁部242は、T字形の縦棒の下端が第2方向の外方側を向くように配置される。第2内壁部242の下端は、底面部210と連結されている。
【0057】
図14に示されるように、本実施形態の第2外壁部246は、上下方向に沿って見た場合、L字形をした壁面である。第2外壁部246は、L字形の縦棒が底面部210における第2方向側の周縁に配置されるとともに、L字形の縦棒が第3方向に沿って配置される。第2外壁部246の下端は、底面部210と連結されている。
【0058】
上下方向に沿って見た場合に、T字形をした2つの第2内壁部242とL字形をした2つの第2外壁部246との組によって、第2インナーシェル350が収容保持される。また、2つの第2内壁部242と2つの第2外壁部246との組が2組配置されることで、2つの第2インナーシェル350が収容保持される。
【0059】
図14図15および図18に示されるように、本実施形態の第2高周波信号端子収容部250は、第2高周波信号端子450を収容固定する凸形状部252と、2つの第2外壁部246の間に差し込んで固定するための平板取付部256を有する。なお、第2高周波信号端子450は、第2アウターシェル300と第2インナーシェル350に挟まれた領域に2つ配置される。したがって、第2高周波信号端子収容部250は、この2つの配置位置に対応した箇所に形成される。
【0060】
図14図15および図18に示されるように、本実施形態の第2高周波信号端子収容部250は、2つの第2外壁部246の間に設置できる。より詳しくは、底面部210における第2方向側の周縁において第3方向で並列して配置される2つの第2外壁部246の間に対して、第2方向に沿って外方側から内方側に向けて第2高周波信号端子収容部250の平板取付部256を差し込むことで、第2高周波信号端子収容部250を2つの第2外壁部246の間に設置できる。
【0061】
図14図15および図18に示されるように、本実施形態の第2高周波信号端子収容部250の取付時において、第2高周波信号端子収容部250が有する凸形状部252は、第2方向に沿って内方側を向いて配置される。後述する第2高周波信号端子450は、図18に示すように、第1方向である上下方向の縦断面を第2方向から見たときに、C字形の開放部が外方に開いた壺型形をしており、凸形状部252がC字形の閉鎖部の内方に突き通されることで、第2高周波信号端子450が凸形状部252と底面部210に挟み込まれ、固定される。
【0062】
図14から図16を参照して、本実施形態の第2電気端子400は、導電性部材からなるものである。複数の第2電気端子400は、第2電気端子収容部230に保持される。より詳しくは、本実施形態の第2電気端子400は4つある。一方、第2電気端子収容部230は、2つの絶縁平面232と、島状部236とを有している。絶縁平面232は、底面部210の第3方向両端付近に位置している。島状部236は、底面部210から第1方向に向けて上方に突出している。島状部236は、上下方向と直交する平面内において、2つの絶縁平面232によって挟まれている。2つの絶縁平面232と島状部236との間で第2方向に並列して形成された2つの隙間に第2電気端子400を挿入することで、第2電気端子収容部230が隙間に嵌め込まれ、第2電気端子400は第2電気端子収容部230に保持される。すなわち、第2絶縁体200は、複数の第2電気端子400を保持している。また、複数の第2電気端子400は、後述する2つの第2インナーシェル350の間に配置される。
【0063】
図14から図16図18を参照して、本実施形態の第2高周波信号端子450は、導電性部材からなるものである。第2高周波信号端子450は、第1方向である上下方向の縦断面を第2方向から見たときに、C字形の開放部が外方に開いた壺型形を有する。第2高周波信号端子450は、第2高周波信号端子収容部250が有する凸形状部252がC字形の閉鎖部の内方に突き通されることで、凸形状部252と底面部210に挟み込まれ、固定される。
【0064】
図19を参照して、本実施形態の第2電気端子400と第2高周波信号端子450は、第2コネクタ100を第2回路基板460に固定した際に、それぞれの端子下端が第2回路基板460上の電気回路パターン462と高周波信号回路パターン464に半田付けされるものである。本実施形態では、電気回路パターン462と第2電気端子400との接続によって電力の供給や一般的な電気信号の伝送をおこなうことができる。また、本実施形態では、高周波信号回路パターン464と第2高周波信号端子450との接続によって高周波信号の伝送をおこなうことができる。
【0065】
図14から図16に示されるように、本実施形態の第2インナーシェル350は、板状の金属部材である。第2インナーシェル350は2つ配置されている。第2インナーシェル350の板面は、第2絶縁体200の内部において第3方向に沿うように配置される。より詳しくは、第2絶縁体200に対して取り付けられた第2インナーシェル収容部240を形成する2つの第2内壁部242と、2つの第2外壁部246の間に形成される隙間に第2インナーシェル350を挟み込むことで、2つの第2インナーシェル350の夫々が取り付けられる。第2インナーシェル350を取り付ける隙間の方向は第3方向に対して平行方向である。この第3方向に直交する第2方向に沿って2つの第2インナーシェル350の互いの板面が平行配置されるように、隙間として形成される第2インナーシェル収容部240に第2インナーシェル350が嵌め込まれる。
【0066】
図16を参照して、本実施形態の第2インナーシェル350の下端は、第2コネクタ100を第2回路基板460に固定した際に、第2回路基板460上の回路パターン(図示せず)に半田付けされるものである。これにより、第2インナーシェル350はグランド導体として接地電位とすることができる。
【0067】
図15に示されるように、本実施形態の第2アウターシェル300は、第2インナーシェル350に接続して保持されている。より詳しくは、第2アウターシェル300は、第3方向の外方に向けて延びる2つの第2インナーシェル350の両端部の4箇所で第2インナーシェル350と接続する。
【0068】
図14および図15を参照して、本実施形態の第2アウターシェル300は、第1方向で見たときに、全体として四辺形状の外形を有する。第2アウターシェル300は、金属からなるものであり、第1方向である上下方向で見たときに、コ字形をした2つの第2金属周壁部320がコ字形の開放部を互いに対向させる方向で配置されたものである。また、2つの第2金属周壁部320の上方には、第2金属係合部330が上方に向けて延びて形成される。つまり、本実施形態の第2アウターシェル300は、第2金属周壁部320と第2金属係合部330とで形成される上面視でコ字形をした一対の部材が対向配置されている。
【0069】
14に示されるように、本実施形態の第2金属周壁部320は、第2金属長壁部322と、第2金属短壁部326とを有する。
【0070】
図14から理解されるように、本実施形態の第2金属長壁部322は、第1方向と直交する方向であって、第2方向に沿った方向に配置される。第2金属長壁部322は、第2絶縁体200が有する底面部210の第3方向の外端に位置している。
【0071】
図14から理解されるように、本実施形態の第2金属短壁部326は、第2金属長壁部322の両端部から第3方向に沿った方向に延びて形成される。第2金属短壁部326は、第2絶縁体200が有する底面部210の第2方向の外端に位置している。
【0072】
図15から理解されるように、本実施形態の第2金属周壁部320は、第2金属長壁部322と2つの第2インナーシェル350の端部とが接続することで固定される。つまり、第2金属周壁部320が有する第2金属長壁部322は第2インナーシェル350の端部によって固定されている。一方、第2金属周壁部320が有する第2金属短壁部326は、第2金属短壁部326の内方側が自由端となって撓むことができる。
【0073】
図14から理解されるように、本実施形態の第2金属係合部330は、内方側に向けて曲率を持った湾曲形状で形成される。第2金属係合部330は、図4および図6から理解されるように、第1コネクタ500側の第1金属長係合部732と第1金属短係合部736と接することで、第2金属係合部330が押されて第2アウターシェル300の外周側に向けて傾くように力を受ける。この傾きの力が金属材料である第2アウターシェル300の第2金属係合部330や第2金属短壁部326に弾性力を生じさせる。発生した弾性力が第2金属係合部330や第2金属短壁部326と、第1コネクタ500側の第1金属長係合部732や第1金属短係合部736に及ぼされることで、第1コネクタ500と第2コネクタ100との嵌め合い固定が実現できる。
【0074】
図16および図18を参照して、本実施形態の第2金属周壁部320が有する第2金属長壁部322と第2金属短壁部326の夫々の下端は、第2コネクタ100を第2回路基板460に固定した際に、第2回路基板460上の回路パターン(図示せず)に半田付けされるものである。これにより、第2アウターシェル300はグランド導体として接地電位とすることができる。
【0075】
図13および図19を参照して、第1コネクタ500と第2コネクタ100とを備える本実施形態のコネクタ組立体10は、2つの第1高周波信号端子850と2つの第2高周波信号端子450を備えている。これらの第1高周波信号端子850と第2高周波信号端子450は、第1方向で見たときに、第1アウターシェル700と第2アウターシェル300、および第1インナーシェル750と第2インナーシェル350によって周囲を囲まれている。
【0076】
より詳細には、図13で示すように、第1コネクタ500では、第1アウターシェル700の第1金属周壁部720を形成する2つの第1金属長壁部722と、1つの第1金属短壁部726、ならびに第1インナーシェル750によって、第1高周波信号端子850が周囲を囲まれている(図13中の太い破線参照)。
【0077】
一方、図19で示すように、第2コネクタ100では、第2アウターシェル300の第2金属周壁部320を形成する2つの第2金属長壁部322と、2つの第2金属短壁部326、ならびに第2インナーシェル350によって、第2高周波信号端子450が周囲を囲まれている(図19中の太い破線参照)。
【0078】
そして、図13で示すように、本実施形態の第1コネクタ500では、第1アウターシェル700における第1高周波信号端子850の配列方向である第1方向に直交する第2方向に沿った中心線を第2対称軸βとして把握した場合、当該第2対称軸β上に配置された第1高周波信号端子850と、その周囲を囲む第1アウターシェル700(2つの第1金属長壁部722と、1つの第1金属短壁部726)および第1インナーシェル750が線対称形状となっている。
【0079】
また、図19で示すように、本実施形態の第2コネクタ100では、第2アウターシェル300における第2高周波信号端子450の配列方向である第1方向に直交する第2方向に沿った中心線を第2対称軸βとして把握した場合、当該第2対称軸β上に配置された第2高周波信号端子450と、その周囲を囲む第2アウターシェル300(2つの第2金属長壁部322と、2つの第2金属短壁部326)および第2インナーシェル350が線対称形状となっている。
【0080】
すなわち、本実施形態のコネクタ組立体10では、インピーダンス整合させる高周波信号端子450,850およびその周囲を囲むアウターシェル300,700およびインナーシェル350,750による疑似同軸構造が線対称形状なので、高周波信号端子450,850に接続する回路基板460,860上の配線が、アウターシェル300,700の中心線(第2対称軸β)に直交する方向に延びる場合において、回路基板460,860上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくとも伝送線路形状が変わらない。
【0081】
また、図7を参照して、第1コネクタ500と第2コネクタ100とを備える本実施形態のコネクタ組立体10は、高周波信号端子450,850の第1方向に沿った断面を第2方向で見たときに、第2対称軸βに直交する第1方向での高周波信号端子450,850の中心線を第1対称軸αとして、高周波信号端子450,850が線対称形状となっている。
【0082】
すなわち、本実施形態のコネクタ組立体10では、高周波信号端子450,850が対称構造であるため、高周波信号端子450,850に接続する回路基板460,860上の配線が、アウターシェル300,700の中心線(第2対称軸β)に直交する方向に延びる場合において、回路基板460,860上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくともインピーダンス特性に差が生じない。
【0083】
したがって、本実施形態のコネクタ組立体10によれば、高周波信号端子450,850に接続する回路基板460,860上の配線が、アウターシェル300,700の中心線に直交する方向に延びる場合において、回路基板460,860上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくともインピーダンス整合をとるための伝送線路形状が変わらないので、すべての配線が同じ向きでなくとも伝送特性に差異が生じないコネクタ組立体10を提供することができる。この効果は、本実施形態のコネクタ組立体10を基板対基板コネクタ組立体として使用する場合に特に有益である。
【0084】
次に、本実施形態のコネクタ組立体10における第1コネクタ500と第2コネクタ100との嵌め合わせの操作を、以下に説明する。
【0085】
図4図10および図16を参照して、第1コネクタ500の第1金属周壁部720が有する第1金属長壁部722および第1金属短壁部726と、第2コネクタ100の第2金属係合部330とが上下方向において対向するように、第1コネクタ500および第2コネクタ100を位置決めする。このとき、第1コネクタ500の第1金属周壁部720が有する第1金属長壁部722および第1金属短壁部726と、第2コネクタ100の第2金属係合部330とは、上下方向において対向している。
【0086】
上記位置決めの後、第1コネクタ500と第2コネクタ100とを上下方向において互いに近づけるように移動させて、第1コネクタ500を、上下方向において第2コネクタ100に部分的に挿入する。このとき、第1コネクタ500の第1金属周壁部720が有する第1金属長壁部722および第1金属短壁部726は、第2コネクタ100の第2金属係合部330に部分的に収容される。
【0087】
第1コネクタ500と第2コネクタ100とを上下方向において更に近づけると、第1金属長壁部722の外周側に形成された第1金属長係合部732と、第1金属短壁部726の外周側に形成された第1金属短係合部736が、内方側に向けて曲率を持った湾曲形状で形成される第2金属係合部330の内周面と接触しながら下方に移動するので、第1コネクタ500の第2コネクタ100に対する挿入において挿入力が付与される。
【0088】
このとき、第1コネクタ500と第2コネクタ100とが有する互いの端子類が、位置合わせされた状態で部分的に挿入を開始される。すなわち、第1コネクタ500の第1電気端子800と第2コネクタ100の第2電気端子400、第1コネクタ500の第1高周波信号端子850と第2コネクタ100の第2高周波信号端子450、第1コネクタ500の第インナーシェル750と第2コネクタ100の第2インナーシェル350の夫々が、部分的に挿入又は接触された状態となる。
【0089】
第1コネクタ500と第2コネクタ100とを上下方向に更に近づけるようにコネクタ組立体10に力を加えると、第1コネクタ500の第1金属長係合部732と第1金属短係合部736は、第2コネクタ100の第2金属係合部330と接触しながら下方に移動し、第1金属長係合部732と第1金属短係合部736における第1方向での中央位置と、第2金属係合部330における湾曲形状の頂部が接触する時点において、第1コネクタ500の第2コネクタ100に対する挿入力は最大となる。
【0090】
上記接触の後、第1コネクタ500と第2コネクタ100とを上下方向において更に近づけるようにコネクタ組立体10に力を加え続けると、第1金属長係合部732と第1金属短係合部736における第1方向での中央位置は、第2金属係合部330における湾曲形状の頂部を乗り越えて下方に移動し、第1コネクタ500の第1金属長係合部732と第1金属短係合部736の上方の曲面が、第2金属係合部330における湾曲形状の下方の曲面と接触する。ここで、第1コネクタ500の第1金属長係合部732と第1金属短係合部736が、第2コネクタ100の第2金属係合部330における湾曲形状の頂部を乗り越えた時点以降においては、第1コネクタ500の第2コネクタ100に対する挿入力は減少する。また、第1コネクタ500の第1金属長係合部732と第1金属短係合部736の上方の曲面が、第2金属係合部330における湾曲形状の下方の曲面と接触することで、第1コネクタ500と第2コネクタ100との嵌め合いが安定する。
【0091】
上記挿入力の減少する状態から嵌め合いが安定する状態までの間に、第1コネクタ500と第2コネクタ100とが有する互いの端子類の挿入が部分的なものから正規の嵌め合わせの位置に到達する。このようにして、本実施形態のコネクタ組立体10における第1コネクタ500と第2コネクタ100との嵌め合わせの操作が完了する。
【0092】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることができる。
【0093】
例えば、上述した実施形態では、アウターシェル(第1アウターシェル700,第2アウターシェル300)は、第1方向で見たときに、全体として四辺形状の外形を有していた。しかし、本発明におけるアウターシェルは、四辺形の1部品とは限らず、複数部品の組合せでもよい。また、本発明におけるアウターシェルは、部品と部品の間にわずかな隙間が生じていても全体として四辺形状であればよい。また、本発明におけるアウターシェルは、第1方向で見たときの形状が、平行四辺形に限らず、長円形(oval)のように湾曲した辺を有していても全体として四辺形状の中心線が明確であればよい。また、本発明におけるアウターシェルは、第1方向で見たときの形状が、トラック形状のように、直線と湾曲した円弧を組み合わせたものであっても、全体として四辺形状の中心線が明確であればよい。
【0094】
また例えば、上述した実施形態の高周波信号端子(第2高周波信号端子450,第1高周波信号端子850)については、シングルエンド伝送方式(single-ended transmission)のシングルエンド端子であることを想定していた。シングルエンドとは、信号線を通じてデジタルデータを伝送する方式のうち、ある電圧を基準として、それより電圧が高いか、それとも低いかによって、信号の「1」と「0」を表現する方式のことである。ただし、本発明の高周波信号端子はシングルエンド方式に限られず、例えば、ディファレンシャル伝送方式(differential transmission)など、その他の伝送方式に基づく高周波信号端子を採用できる。
【0095】
また例えば、本発明におけるコネクタ組立体は、図20で示す変形形態を含むことができる。なお、図20では、上述した実施形態と同一又は類似する部材について、同一符号を付して説明を省略する。
【0096】
すなわち、変形形態例のコネクタ組立体10’では、第1コネクタ500と、第2コネクタ100とを備え、第1コネクタ500が第1方向に沿って第2コネクタ100と嵌め合わされ又は抜き去られる。このコネクタ組立体10’において、第1コネクタ500と第2コネクタ100のそれぞれは、アウターシェル300,700と少なくとも2つの高周波信号端子450,850を有している。そして、第1方向で見たときに、高周波信号端子450,850は、それぞれがアウターシェル300,700に隣接して配置された疑似ストリップライン構造となっており、アウターシェル300,700における高周波信号端子450,850の配列方向である第1方向に直交する方向に沿った中心線を第2対称軸βとして、当該第2対称軸β上に配置された高周波信号端子450,850と、隣接するアウターシェル300,700による疑似ストリップライン構造が線対称形状となっている。
【0097】
なお、変形形態例のコネクタ組立体10’では、アウターシェル300,700の形状を長方形の四方の角を切り欠いた多角形状としたが、本発明におけるアウターシェルは、第1方向で見たときの形状が、多角形状に限らず、平行四辺形や、長円形(oval)のように湾曲した辺を有していても全体として四辺形状の中心線が明確であればよい。また、本発明におけるアウターシェルは、第1方向で見たときの形状が、トラック形状のように、直線と湾曲した円弧を組み合わせたものであっても、全体として四辺形状の中心線が明確であればよい。
【0098】
すなわち、変形形態例のコネクタ組立体10’では、インピーダンス整合させる高周波信号端子450,850および隣接して配置されたアウターシェル300,700による疑似ストリップライン構造が線対称形状なので、高周波信号端子450,850に接続する回路基板460,860上の配線が、アウターシェル300,700の中心線(第2対称軸β)に直交する方向に延びる場合において、回路基板460,860上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくとも伝送線路形状が変わらない。
【0099】
したがって、変形形態例のコネクタ組立体10’によれば、高周波信号端子450,850に接続する回路基板460,860上の配線が、アウターシェル300,700の中心線に直交する方向に延びる場合において、回路基板460,860上のすべての配線の引き出し方向が同一方向でなくともインピーダンス整合をとるための伝送線路形状が変わらないので、すべての配線が同じ向きでなくとも伝送特性に差異が生じないコネクタ組立体10’を提供することができる。この効果は、変形形態例のコネクタ組立体10’を基板対基板コネクタ組立体として使用する場合に特に有益である。
【0100】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0101】
10,10’ コネクタ組立体
100 第2コネクタ(コネクタ)
200 第2絶縁体
210 底面部
230 第2電気端子収容部
232 絶縁平面
236 島状部
240 第2インナーシェル収容部
242 第2内壁部
246 第2外壁部
250 第2高周波信号端子収容部
252 凸形状部
256 平板取付部
300 第2アウターシェル(アウターシェル)
320 第2金属周壁部、
322 第2金属長壁部
326 第2金属短壁部
330 第2金属係合部
350 第2インナーシェル(インナーシェル)
400 第2電気端子
450 第2高周波信号端子(高周波信号端子)
460 第2回路基板
462 電気回路パターン
464 高周波信号回路パターン
500 第1コネクタ(コネクタ)
600 第1絶縁体
610 上面部
620 第1周壁部
622 第1長壁部
626 第1短壁部
630 第1電気端子収容部
640 第1インナーシェル収容部
650 第1高周波信号端子収容部
660 第1アウターシェル固定部
700 第1アウターシェル(アウターシェル)
710 第1金属平面
720 第1金属周壁部
722 第1金属長壁部
726 第1金属短壁部
730 第1金属係合部
732 第1金属長係合部
736 第1金属短係合部
750 第1インナーシェル(インナーシェル)
800 第1電気端子
850 第1高周波信号端子(高周波信号端子)
862 電気回路パターン
864 高周波信号回路パターン
860 第1回路基板
α 第1対称軸
β 第2対称軸
図1
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