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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】コンパクト容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A45D33/00 610C
A45D33/00 610J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020199151
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086882
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰紀
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-058525(JP,A)
【文献】特開2020-050400(JP,A)
【文献】米国特許第04930528(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体に係合可能な突起を有している蓋体と、前記容器本体に押し込み可能に収容されているプッシュピースと、を備えており、
前記プッシュピースは、前記プッシュピースの押圧部の後側に、前記プッシュピースを押し込んだときに前記蓋体を押し上げる押上部を有しており、前記押上部の上面には、当該押上部を、前記蓋体を押し上げる先端部と前記押圧部に連なる基部とに区画する薄肉部が形成されており、
前記プッシュピースは、平面視において、前記押上部を挟んで対向する位置に、前記押圧部から後側に延在している左右1組の支柱部と、前記左右1組の支柱部の後端部のそれぞれから前記プッシュピースの側壁に向かって突出している左右1組の腕部とを有しており、前記左右1組の前記腕部のそれぞれは、前記プッシュピースが前記容器本体に収容されているとき、前記容器本体に接触可能な先端を有している、コンパクト容器。
【請求項2】
前記左右1組の前記腕部のそれぞれは、前記プッシュピースの押圧部に向かって湾曲する湾曲部を有しており、前記腕部の前記先端は、前記湾曲部を介して前記支柱部に連なっている、請求項1に記載されたコンパクト容器。
【請求項3】
前記押上部の前記先端部には、当該先端部の上面から前記薄肉部の底面に連なる傾斜面が形成されている、請求項1又は2に記載されたコンパクト容器。
【請求項4】
前記先端部は、前記基部よりも厚さを有している、請求項1~3のいずれか1項に記載されたコンパクト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンパクト容器としては、蓋体に設けられた突起が容器本体の側壁と係合しているとき、当該容器本体に収容されたプッシュピースを押し込むことによって、前記突起の係合を解除することができるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-178910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のコンパクト容器は、前記プッシュピースを押し込んだのち、当該プッシュピースを初期の位置に復帰させる必要がある。
【0005】
しかしながら、前記プッシュピースを復帰させる力が弱い場合、当該プッシュピースを正確に初期の位置に復帰させることができない。また、前記プッシュピースの幅が広い場合、当該プッシュピースの幅方向外側を押し込んだとき、当該押し込みの側にプッシュピースが傾いてしまうことがある。
【0006】
本発明の目的は、外部からの押し込み力をプッシュピースの幅方向で均等に受けつつ、当該プッシュピースの復帰に要する力を容易に発生させることができる、新規のコンパクト容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコンパクト容器は、容器本体と、前記容器本体に係合可能な突起を有している蓋体と、前記容器本体に押し込み可能に収容されているプッシュピースと、を備えており、前記プッシュピースは、前記プッシュピースの押圧部の後側に、前記プッシュピースを押し込んだときに前記蓋体を押し上げる押上部を有しており、前記押上部の上面には、当該押上部を、前記蓋体を押し上げる先端部と前記押圧部に連なる基部とに区画する薄肉部が形成されており、前記プッシュピースは、前記押上部を挟んで対向する位置に、前記押圧部から後側に延在している支柱部と、前記支柱部の後端部から前記プッシュピースの側壁に向かって突出している腕部とを有しており、前記腕部は、前記プッシュピースが前記容器本体に収容されているとき、前記容器本体に接触可能な先端を有している。
【0008】
本発明に係るコンパクト容器において、前記腕部は、前記プッシュピースの押圧部に向かって湾曲する湾曲部を有しており、前記腕部の前記先端は、前記湾曲部を介して前記支柱部に連なっていることが好ましい。
【0009】
本発明に係るコンパクト容器において、前記押上部の前記先端部には、当該先端部の上面から前記薄肉部の底面に連なる傾斜面が形成されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係るコンパクト容器において、前記先端部は、前記基部よりも厚さを有しているものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部からの押し込み力をプッシュピースの幅方向で均等に受けつつ、当該プッシュピースの復帰に要する力を容易に発生させることができる、新規のコンパクト容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る、コンパクト容器の平面図である。
図2図1のコンパクト容器のX-X断面図であって、当該コンパクト容器は、蓋体が閉じられている状態で示されている。
図3図1のコンパクト容器のX-X断面図であって、当該コンパクト容器は、蓋体がプッシュピースの押し込みによって開かれている状態で示されている。
図4図1のコンパクト容器に係る容器本体の、収容凹部の周辺を拡大して示す平面図であって、当該プッシュピースは、容器本体に対して押し込まれていない状態で示されている。
図5図1のコンパクト容器に係る容器本体の、収容凹部の周辺を拡大して示す平面図であって、当該プッシュピースは、容器本体に対して限界まで押し込まれている状態で示されている。
図6図3の領域Aを拡大して示す断面図である。
図7図1のコンパクト容器に係るプッシュピースの平面図である。
図8図7のY-Y断面図である。
図9図7のプッシュピースの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、コンパクト容器について説明をする。なお、以下の説明において、「前側」とは、プッシュピースが配置される側をいい、「後側」とは、その反対側をいう。また、以下の説明において、「右」、「左」とは、コンパクト容器の前側を正面としたときを基準とする。さらに、以下の説明において、「幅」とは、左右方向の幅を意味するものとする。なお、以下の説明において、「上」とは、通常の意味のほかに、蓋体の側を意味することを含む。また、以下の説明において、「下」とは、通常の意味のほかに、容器本体の側を意味することを含む。
【0014】
図1中、符号1は、本発明の一実施形態に係る、コンパクト容器である。コンパクト容器1は、側壁を備えている容器本体2と、容器本体2の前記側壁に係合可能な突起(21)を有している蓋体20と、容器本体2に押し込み可能に収容されているプッシュピース10と、を備えている。
【0015】
本実施形態において、容器本体2の側壁は、前側壁3、後側壁4、左側壁5、右側壁5を含む。図2を参照すれば、前側壁3には、蓋体20に設けられた突起21と係合可能な係合部6が設けられている。本実施形態において、係合部6は、前側壁3の外面から突出している突起である。
【0016】
本実施形態において、蓋体20に設けられている突起21は、蓋体20の下面前側に設けられている。これによって、図2に示すように、突起21は、蓋体20を容器本体2に対して閉じたときに、容器本体2の係合部6に係止させることができる。ここで、「係合」とは、例えば、突起21を係合部6に対して引掛けることをいう。前記係合は、図3に示すように、蓋体20を下側から押し上げることによって解除することができる。
【0017】
なお、本実施形態において、蓋体20は、容器本体2の後側に取り付けられている。本実施形態では、蓋体20は、左右方向に配置されたピン22によって容器本体2に対してヒンジ結合されている。これによって、本実施形態において、蓋体20は、容器本体2に対してピン22の周りを上下方向に回転させることができる。また、本実施形態において、蓋体20の下面にはまた、鏡23が取り付けられている。
【0018】
図4を参照すれば、容器本体2の前側壁3には、収容凹部Cが形成されている。収容凹部Cには、プッシュピース10が前後方向にスライド可能に収容されている。収容凹部Cには、プッシュピース10を前後方向にガイドする、2つのガイド溝Gが設けられている。2つのガイド溝Gは、幅方向に間隔を置いて配置されている。また、本実施形態において、収容凹部Cには、2つのガイド溝Gの間にスライド傾斜部7が設けられている。本実施形態において、スライド傾斜部7は、第1スライド傾斜部8と、2つの第2スライド傾斜部9とによって構成されている。第2スライド傾斜部9は、第1スライド傾斜部8の傾斜面上に設けられている。第2スライド傾斜部9は、左右方向に間隔を置いて配置されている。プッシュピース10を容器本体2に対して後側に押し込んだときに、プッシュピース10に設けられた押上部15は、第1スライド傾斜部8、第2スライド傾斜部9の順で、図5に示すように、これらの傾斜面上をスライドする。図6に示すように、第2スライド傾斜部9は、第1スライド傾斜部8よりも大きな傾斜角度を有している。これによって、スライド傾斜部7は、図6に示すように、プッシュピース10を後側に押し込んだときに、当該プッシュピース10に設けられた押上部15を、段階的に、上側に向かって上昇するようにスライドさせることができる。
【0019】
図7は、プッシュピース10の平面図である。図8には、図7のY-Y断面を示す。また、図9は、プッシュピース10の背面図である。プッシュピース10は、弾性又は剛性を有する材料によって形成されている。こうした材料としては、例えば、PP(ポリプロピレン)、ABS樹脂の樹脂が挙げられる。
【0020】
図7を参照すれば、プッシュピース10は、プッシュピース10の押圧部11の後側に、プッシュピース10を押し込んだときに蓋体20を押し上げる押上部15を有している。図7に示すように、押上部15の上面には、当該押上部15を、蓋体20を押し上げる先端部16と押圧部11に連なる基部17とに区画する薄肉部18が形成されている。
【0021】
本実施形態において、押圧部11は、プッシュピース10の前側壁である。押圧部11は、幅方向に延在している。押圧部11の前面f5は、使用者が容器本体2の側に押し込むために押圧する押圧面である。プッシュピース10の側壁12は、押圧部11の後面f6に設けられている。本実施形態において、側壁12は、押圧部11の後面f6から後側に延在している。側壁12は、幅方向に間隔を置いて配置されている。プッシュピース10の上側壁13は、図7に示すように、押圧部11の上端とともに側壁12の上端に結合させている。本実施形態において、上側壁13は、押上部15の位置に切欠き部Nが形成されている。即ち、上側壁13は、図7に示すように、切欠き部Nによって、押上部15の位置において、当該押上部15の上側が開放されるように設けられている。
【0022】
本実施形態において、押上部15は、押圧部11の後面f6に設けられている。本実施形態において、押上部15の基部17は、押圧部11の後面f6と一体に形成されている。図7に示すように、本実施形態では、押上部15の後端は、前後方向において、上側壁13の後端と同一の位置にある。
【0023】
図8を参照すれば、押上部15の先端部16には、当該先端部16の上面から薄肉部18の底面f3に連なる傾斜面f1が形成されている。
【0024】
本実施形態において、傾斜面f1は、薄肉部18の後側面を形成している。また、本実施形態において、押上部15の基部17には、当該基部17の上面から薄肉部18の底面f3に連なる連続面f2が形成されている。本実施形態において、連続面f2は、薄肉部18の前側面を形成している。本実施形態において、連続面f2は、薄肉部18の底面f3に対して垂直面である。
【0025】
また、本実施形態において、押上部15の先端部16は、基部17よりも厚さを有している。図8を参照すれば、先端部16の厚さt1は、基部17の厚さt2よりも厚い。
【0026】
さらに、翻って図7を参照すれば、プッシュピース10は、平面視(本実施形態では、背面視も同様。)において、押上部15を挟んで対向する位置に、押圧部11から後側に延在している支柱部31と、支柱部31の後端部32からプッシュピース10の側壁12に向かって外向きに突出している腕部34とを有している。腕部34は、プッシュピース10が容器本体2に収容されているとき、容器本体2の前側壁3に接触可能な先端36を有している。
【0027】
図9を参照すれば、本実施形態において、腕部34の先端36は、曲線によって形作られている。この場合、腕部34の先端36が幅方向に移動にしても、前側壁3との接触を維持させることができる。本実施形態では、図9に示すように、先端36は、曲率半径r1の円弧曲線が形作られた形状を有している。
【0028】
図9を参照すれば、本実施形態において、腕部34は、背面視(平面視)において、プッシュピース10の押圧部11に向かって湾曲する湾曲部35を有している。腕部34の先端36は、湾曲部35を介して支柱部31に連なっている。
【0029】
本実施形態において、支柱部31は、腕部34とともに一体に形成されている。図9を参照すれば、支柱部31は、腕部34とともに、プッシュピース10の下側壁を形成している。支柱部31の後端部32は、傾斜端縁e1を有している。傾斜端縁e1は、図9に示すように、平面視において、プッシュピース10の側壁12に向かうにしたがって押圧部11に向かって傾斜している。本実施形態において、支柱部31の前端部33は、押圧部11の下端とともに側壁12の下端に結合させている。また、本実施形態において、支柱部31の前端部33には、ガイド突起38が設けられている。ガイド突起38は、容器本体2の収容凹部Cに形成されたガイド溝Gに対してスライド可能に嵌合する。また、本実施形態では、支柱部31には、前後方向に延在しているリブ39が形成されている。
【0030】
更に、本実施形態において、支柱部31は、押上部15の基部17に連なっている。
【0031】
本実施形態において、2つの支柱部31の前端部33は、連結部37を介して押上部15の基部17とともに一体に形成されている。本実施形態において、連結部37は、押圧部11の下端に接合されている。即ち、本実施形態において、連結部37は、支柱部31の前端部33の一部として、プッシュピース10の下側壁を形成している。これによって、本実施形態において、押上部15と支柱部31との間には、スリットSが形成されている。
【0032】
ここで、コンパクト容器1の開閉動作について説明をする。
【0033】
図4は、収容凹部Cに収容されたプッシュピース10の初期状態を示す。プッシュピース10の初期状態において、2つの腕部34の先端36は、それぞれ、前側壁3に対して幅方向に間隔を置いて接触している。また、腕部34は、支柱部31に連なり、支柱部31は、前端部33及び連結部37によってスリットSが形成されるように押圧部11に結合している。これによって、2つの腕部34は、それぞれ、支柱部31とともに、それらの弾性力(復元力)によって、プッシュピース10を容器本体2の内部に押し込んだときに、プッシュピース10の後方移動を許容しつつ、その押し込み力に対する抗力を生じさせることができる。
【0034】
即ち、プッシュピース10の初期状態において、当該プッシュピース10は、左右1組の腕部34及び支柱部31の弾性力(反発力)によって、収容凹部Cから前側に突出するように、当該収容凹部Cに対して位置決めされている。これによって、蓋体20を閉じた状態では、図2に示すように、プッシュピース10の押上部15が蓋体20を上側に押し上げることなく、蓋体20の突起21と容器本体2の係合部6との係合は維持される。したがって、コンパクト容器1によれば、容器本体2に対して蓋体20が係合された状態に維持することができる。
【0035】
蓋体20を開けるときには、プッシュピース10を容器本体2の内部に押し込む。翻って図4を参照すれば、プッシュピース10を容器本体2に対して後側に押し込んだときにも、2つの腕部の先端36は前側壁3に対して接触している。これによって、プッシュピース10を押し込んだとき、左右1組の腕部34及び支柱部31は、プッシュピース10の後方移動を許容しつつ、その押し込み力に対する抗力を増大させることができる。加えて、このとき、2つの腕部34の先端36は、前側壁3に対して幅方向に間隔を置いて接触している。したがって、プッシュピース10の押し込みに際し、その押し込み力がプッシュピース10の押圧部11の左右いずれかに片寄っても、プッシュピース10がその片寄り側に傾くことを防止することができる。
【0036】
図5は、プッシュピース10を容器本体2の内部に完全に押し込んだ状態を示す。この状態では、プッシュピース10は、2つの腕部34の弾性力(反発力)に抗して、収容凹部Cの内部に位置決めされている。図6を参照すれば、押上部15の先端部16は、プッシュピース10の押し込みによって、第1スライド傾斜部8、第2スライド傾斜部9を順次移動しつつ、薄肉部18を起点とした屈曲によって、蓋体20を上側に押し上げる。これによって、プッシュピース10を容器本体2の内部に完全に押し込めば、図6に示すように、蓋体20の突起21と容器本体2の係合部6との係合は解除される。したがって、コンパクト容器1によれば、プッシュピース10を押し込むことによって、図6に示すように、蓋体20を容器本体2に対して開くことができる。
【0037】
プッシュピース10を初期状態に復帰させるときには、プッシュピース10に対する押し込み力を解除する。このとき、プッシュピース10は、左右1組の腕部34及び支柱部31の弾性力(反発力)と、薄肉部18を起点とした屈曲に伴う弾性力(反発力)とによって、図4の初期位置まで自動的に復帰させることができる。
【0038】
すなわち、例えば、図7を参照すれば、コンパクト容器1は、プッシュピース10を押し込んだときに変形する一方、その押し込みを解除したときに復元する箇所として、押上部15に設けた薄肉部18と、支柱部31及び腕部34の3か所を有している。これによって、コンパクト容器1は、押し込みに際してプッシュピース10が左右のいずれかに傾くことなく、プッシュピース10の位置を初期位置に復帰させるための力を生じさせ易くことができる。
【0039】
したがって、コンパクト容器1によれば、外部からの押し込み力をプッシュピース10の幅方向で均等に受けつつ、当該プッシュピース10の復帰に要する力を容易に発生させることができる。
【0040】
また、本実施形態において、腕部34は、例えば、図9に示すように、プッシュピース10の押圧部11に向かって湾曲する湾曲部35を有しており、腕部34の先端36は、湾曲部35を介して支柱部31に連なっている。この場合、プッシュピース10の復帰に要する力を腕部34に対してより容易に蓄積させることができる。これによって、プッシュピース10の復帰に要する力をより容易に発生させることができる。
【0041】
また、図8を参照すれば、本実施形態において、押上部15の先端部16には、当該先端部16の上面から薄肉部18の底面f3に連なる傾斜面f1が形成されている。この場合、先端部16が薄肉部18に対して弾性変形したときに生じる、当該薄肉部18に対する応力集中を緩和することができる。したがって、この場合、耐久性に優れる。
【0042】
また、図8に示すように、本実施形態において、先端部16は、基部17よりも厚さを有している。この場合、先端部16は、蓋体20を効果的に押し上げることができる。
【0043】
上述したところは、本発明の一実施形態について説明を行ったにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、容器本体2は、中皿を収容したものとすることができる。この場合、容器本体2の側壁を中皿の側壁とし、係合部6は、中皿の側壁に設けることができる。また、コンパクト容器1は、化粧用コンパクト容器として使用する場合、容器本体2と蓋体20との間には、ファンデーション等の化粧料の他、パフ等の化粧道具を収容することができる。また、容器本体2の外観形状も、平面視において、正方形であるものに限定されない。
【符号の説明】
【0044】
1:コンパクト容器, 2:容器本体, 3:前側壁, 4:後側壁, 5:右側壁(左側壁),6:係合部, 7:スライド傾斜部, 8:第1スライド傾斜部, 9:第2スライド傾斜部, 10:プッシュピース, 11:押圧部, 12:プッシュピースの側壁, 15:押上部, 16:先端部, 17:基部, 18:薄肉部, 20:蓋体, 31:支柱部, 34:腕部, 36:腕部の先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9