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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】活性ガス生成装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
H05H1/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023562753
(86)(22)【出願日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 JP2023017030
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】有田 廉
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第7297399(JP,B1)
【文献】国際公開第2021/106100(WO,A1)
【文献】特開2012-112549(JP,A)
【文献】特開2007-090209(JP,A)
【文献】国際公開第2023/223454(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/24
B01J 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間に供給された原料ガスを活性化して活性ガスを生成する活性ガス生成装置であって、
電極ユニットと、
筐体内空間に前記電極ユニットを収容し、導電性を有する筐体とを備え、
前記筐体は、平坦面と前記平坦面から深さ方向に凹んだ導体収容空間とを含む筐体底部を有し、
前記電極ユニットは、
第1の電極構成部と、
前記第1の電極構成部の下方に設けられる第2の電極構成部と、
前記第2の電極構成部の下方に設けられ、前記導体収容空間内に収容される基準電位導体とを備え、
前記第1の電極構成部は、第1の電極用誘電体膜と前記第1の電極用誘電体膜の上面上に形成される第1の電極用導電膜とを含み、
前記第2の電極構成部は、第2の電極用誘電体膜と前記第2の電極用誘電体膜の下面上に形成される第2の電極用導電膜とを含み、
前記基準電位導体は、上部に活性ガス用バッファ空間を有し、前記第2の電極構成部は前記活性ガス用バッファ空間を塞いで配置され、
前記第2の電極用誘電体膜は平面視して前記活性ガス用バッファ空間と重複する領域に、前記第2の電極用誘電体膜を貫通する誘電体貫通口を有し、前記第2の電極用導電膜は平面視して前記活性ガス用バッファ空間と重複する領域に導電膜開口部を有し、前記導電膜開口部は平面視して前記誘電体貫通口と重複し、
前記第1の電極用誘電体膜と前記第2の電極用誘電体膜とが対向する空間が主要誘電体空間として規定され、
前記放電空間は、前記主要誘電体空間内において前記第1及び第2の電極用導電膜が平面視して重複する領域である主要放電空間を含み、
前記第1の電極用導電膜に交流電圧が印加され、前記筐体及び前記基準電位導体を介して前記第2の電極用導電膜が基準電位に設定され、
前記活性ガス生成装置は、
各々が前記活性ガス用バッファ空間の底面から前記基準電位導体を貫通して設けられる複数のガス噴出口をさらに備え、前記複数のガス噴出口は平面視して前記誘電体貫通口と重複せず、
前記放電空間は、前記主要放電空間に加え、前記誘電体貫通口、及び前記活性ガス用バッファ空間の一部を含む補助放電空間を有し、
前記複数のガス噴出口から出力される活性ガスが複数の部分活性ガスとして規定され、
前記筐体の前記筐体底部は、前記活性ガス用バッファ空間と平面視して重複する領域に筐体開口部を有し、前記複数の部分活性ガスは前記筐体開口部を介して下方に導かれ、
前記筐体開口部は下方に向かうに従い開口面積が広くなるテーパー形状のテーパー領域を含み、
前記複数のガス噴出口は、前記複数の部分活性ガスが衝突領域にて衝突するように、下方に向かうに従い互いに接近する態様で設けられ、かつ、前記衝突領域は前記テーパー領域内または前記テーパー領域より上方に存在することを特徴とする、
活性ガス生成装置。
【請求項2】
請求項1記載の活性ガス生成装置であって、
前記複数のガス噴出口はそれぞれ下方に向かうに従い前記衝突領域に近づく方向に傾いて形成され、前記複数のガス噴出口それぞれの基準方向に対する形成傾きは同一値に設定される、
活性ガス生成装置。
【請求項3】
請求項1記載の活性ガス生成装置であって、
前記電極ユニットは複数の電極ユニットを含み
前記筐体は、前記筐体内空間に前記複数の電極ユニットを収容する、
活性ガス生成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の活性ガス生成装置であって、
前記筐体の前記平坦面上に設けられ、前記第1の電極用誘電体膜を下方から支持する支持面を有する誘電体膜支持部材と、
前記第1の電極用誘電体膜を上方から抑圧するための誘電体膜抑圧部材とをさらに備え、前記誘電体膜抑圧部材は平面視して前記第1の電極用導電膜と重複せず、
前記誘電体膜抑圧部材の下面は、前記第1の電極用誘電体膜の上面と接触する誘電体接触領域と前記第1の電極用誘電体膜の上面と接触しない誘電体非接触領域と有し、前記誘電体接触領域は平面視して前記第1の電極用誘電体膜の周辺領域及び前記誘電体膜支持部材の前記支持面と重複し、前記誘電体非接触領域は平面視して前記第1の電極用誘電体膜の中間領域と重複し、前記中間領域は前記周辺領域から前記第1の電極用導電膜側に隣接する領域であり、
前記誘電体膜抑圧部材は導電性を有し、前記基準電位に設定され、
前記第1の電極用誘電体膜は、前記誘電体接触領域において上方から前記誘電体膜抑圧部材によって抑圧される、
活性ガス生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、平行平板方式の電極構造を有し、誘電体バリア放電を利用して活性ガスを生成する活性ガス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平行平板方式の電極構造を有し、誘電体バリア放電を採用した従来の活性ガス生成装置は、互いに対向する金属電極(電極用導電膜)と誘電体膜(電極用誘電体膜)との空隙、または、互いに対向する誘電体膜同士の空隙が放電空間となる。
【0003】
従来の活性ガス生成装置は、放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、この放電空間に投入された原料ガスを活性化して活性ガスを生成するという、平行平板方式誘電体バリア放電を採用している。
【0004】
平行平板方式誘電体バリア放電を採用した活性ガス生成装置として、例えば、特許文献1で開示された活性ガス生成装置がある。
【0005】
活性ガスは一般に、活性ガスとしての寿命(活性ガスが高い反応性を保っている時間)が短く、短時間で活性ガスを使用する空間へ供給する必要がある。また、活性ガスは他の物質に衝突することでも失活することから、曲がりくねったパイプ等を経由して活性ガスを使用する空間へ供給することは望ましくない。
【0006】
このため、活性ガスを使用する処理空間において、処理対象物(活性ガスを吹きかける対象)が大きい場合、活性ガスを使用する処理空間から比較的近い位置に複数のガス噴出口を設ける第1の改良構造や、複数のガス噴出口に対応する複数の放電空間を有する第2の改良構造等が従来の活性ガス生成装置で採用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2019/138456号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した第1の改良構造については、一つの誘電体膜に対して複数のガス噴出口を設けるという手法が採用されている。しかしながら、複数のガス噴出口それぞれから噴出される活性ガスは基本的に1つの方向性のみ有しているため、処理対象物を内部に載置した処理空間に均一な活性ガスを供給できていないという問題点があった。
【0009】
上述した第2の改良構造も第1の改良構造と同様、複数のガス噴出口それぞれから噴出される活性ガスは基本的に1つの方向性のみ有しているため、処理空間に均一な活性ガスを供給できていないという問題点があった。
【0010】
本開示では、上記のような問題点を解決し、処理空間に均一な活性ガスを供給することができる活性ガス生成装置を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の活性ガス生成装置は、放電空間に供給された原料ガスを活性化して活性ガスを生成する活性ガス生成装置であって、電極ユニットと、筐体内空間に前記電極ユニットを収容し、導電性を有する筐体とを備え、前記筐体は、平坦面と前記平坦面から深さ方向に凹んだ導体収容空間とを含む筐体底部を有し、前記電極ユニットは、第1の電極構成部と、前記第1の電極構成部の下方に設けられる第2の電極構成部と、前記第2の電極構成部の下方に設けられ、前記導体収容空間内に収容される基準電位導体とを備え、前記第1の電極構成部は、第1の電極用誘電体膜と前記第1の電極用誘電体膜の上面上に形成される第1の電極用導電膜とを含み、前記第2の電極構成部は、第2の電極用誘電体膜と前記第2の電極用誘電体膜の下面上に形成される第2の電極用導電膜とを含み、前記基準電位導体は、上部に活性ガス用バッファ空間を有し、前記第2の電極構成部は前記活性ガス用バッファ空間を塞いで配置され、前記第2の電極用誘電体膜は平面視して前記活性ガス用バッファ空間と重複する領域に、前記第2の電極用誘電体膜を貫通する誘電体貫通口を有し、前記第2の電極用導電膜は平面視して前記活性ガス用バッファ空間と重複する領域に導電膜開口部を有し、前記導電膜開口部は平面視して前記誘電体貫通口と重複し、前記第1の電極用誘電体膜と前記第2の電極用誘電体膜とが対向する空間が主要誘電体空間として規定され、前記放電空間は、前記主要誘電体空間内において前記第1及び第2の電極用導電膜が平面視して重複する領域である主要放電空間を含み、前記第1の電極用導電膜に交流電圧が印加され、前記筐体及び前記基準電位導体を介して前記第2の電極用導電膜が基準電位に設定され、前記活性ガス生成装置は、各々が前記活性ガス用バッファ空間の底面から前記基準電位導体を貫通して設けられる複数のガス噴出口をさらに備え、前記複数のガス噴出口は平面視して前記誘電体貫通口と重複せず、前記放電空間は、前記主要放電空間に加え、前記誘電体貫通口、及び前記活性ガス用バッファ空間の一部を含む補助放電空間を有し、前記複数のガス噴出口から出力される活性ガスが複数の部分活性ガスとして規定され、前記筐体の前記筐体底部は、前記活性ガス用バッファ空間と平面視して重複する領域に筐体開口部を有し、前記複数の部分活性ガスは前記筐体開口部を介して下方に導かれ、前記筐体開口部は下方に向かうに従い開口面積が広くなるテーパー形状のテーパー領域を含み、前記複数のガス噴出口は、前記複数の部分活性ガスが衝突領域にて衝突するように、下方に向かうに従い互いに接近する態様で設けられ、かつ、前記衝突領域は前記テーパー領域内または前記テーパー領域より上方に存在することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示の活性ガス生成装置における複数のガス噴出口は上述した特徴を有している。このため、衝突領域にて複数の部分活性ガスが衝突することにより、複数の部分活性ガスそれぞれの流れの向きが1方向から複数の拡散方向に分散する。
【0013】
衝突領域はテーパー領域内またはテーパー領域より上方に存在するため、各々が拡散した複数の部分活性ガスが下方に向かうに従い、テーパー領域のテーパー形状に沿った方向に流れる。
【0014】
したがって、複数の部分活性ガスを含む活性ガスは、テーパー領域から下方の処理空間に向けて、テーパー形状に沿った方向に拡散しつつ流れる。その結果、本開示の活性ガス生成装置は、均一な活性ガスを処理空間に供給することができる。
【0015】
本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施の形態1である活性ガス生成装置の平面構造を模式的に示す平面図である。
図2図1のA-A断面の断面構造を示す断面図である。
図3】電極ユニットの平面構造を模式的に示す説明図(その1)である。
図4図3のB-B断面の断面構造を示す説明図である。
図5】電極ユニットの平面構造を模式的に示す説明図(その2)である。
図6図5のC-C断面の断面構造を示す説明図である。
図7】筐体の平面構造を模式的に示す説明図である。
図8】筐体の断面構造を模式的に示す説明図である。
図9】高圧側誘電体膜の平面構造を模式的に示す説明図である。
図10】高圧側誘電体膜の断面構造を模式的に示す説明図である。
図11】接地側誘電体膜の平面構造を模式的に示す説明図である。
図12】接地側誘電体膜の断面構造を模式的に示す説明図である。
図13】給電体の平面構造を模式的に示す説明図である。
図14】給電体の断面構造を模式的に示す説明図である。
図15】接地導体の平面構造を模式的に示す説明図である。
図16】接地導体の断面構造を模式的に示す説明図である。
図17図16の着目領域における詳細を示す説明図である。
図18】カバー誘電体膜の平面構造を模式的に示す説明図である。
図19】カバー誘電体膜の断面構造を模式的に示す説明図である。
図20】接地側電極構成部の平面構造を模式的に示す説明図である。
図21】接地側電極構成部の断面構造を模式的に示す説明図である。
図22】シールド誘電体膜の平面構造を模式的に示す説明図である。
図23】シールド誘電体膜の断面構造を模式的に示す説明図である。
図24】誘電体膜支持部材の平面構造を模式的に示す説明図である。
図25】誘電体膜支持部材の断面構造を模式的に示す説明図である。
図26】誘電体膜抑圧部材の平面構造を模式的に示す説明図である。
図27】誘電体膜抑圧部材の断面構造を模式的に示す説明図である。
図28図27の着目領域における詳細を示す説明図である。
図29】押圧部材の平面構造を模式的に示す説明図である。
図30】押圧部材の断面構造を模式的に示す説明図である。
図31】実施の形態1の活性ガス生成装置における電極ユニットの活性ガスの噴出形態を模式的に示す説明図である。
図32】実施の形態1の電極ユニットにおいて理想とする活性ガスの噴出形態を模式的に示す説明図である。
図33】実施の形態2の活性ガス生成装置における電極ユニットの断面構造を示す説明図である。
図34】実施の形態2の接地導体の構造を模式的に示す説明図(その1)である。
図35】実施の形態2の接地導体の構造を模式的に示す説明図(その2)である。
図36】実施の形態2における複数のガス噴出口の断面構造を模式的に示す説明図(その1)である。
図37】実施の形態2における複数のガス噴出口の断面構造を模式的に示す説明図(その2)である。
図38】実施の形態2の電極ユニットの筐体開口部内における活性ガスの噴出形態を示す説明図(その1)である。
図39】実施の形態2の電極ユニットの筐体開口部内における活性ガスの噴出形態を示す説明図(その2)である。
図40】実施の形態2の電極ユニットの筐体開口部内における活性ガスの噴出形態を示す説明図(その3)である。
図41】実施の形態2の電極ユニットの筐体開口部内における活性ガスの噴出形態を示す説明図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施の形態1>
図1は本開示の実施の形態1である活性ガス生成装置71の平面構造を模式的に示す平面図である。
【0018】
同図に示すように、活性ガス生成装置71において、筐体1内に3つの電極ユニット51~53が収容されている。電極ユニット51~53それぞれにガス流路21を介して原料ガスG1が供給される。そして、電極ユニット51~53それぞれは、放電空間4に供給された原料ガスG1を活性化して活性ガスG2を生成している。
【0019】
図2図1のA-A断面の断面構造を示す断面図である。図3図6は電極ユニット50の構造を部分的に説明する説明図である。なお、電極ユニット50は電極ユニット51~53のいずれかに相当する。なお、電極ユニット51~53は互いに同一構造を呈している。
【0020】
図3は電極ユニット50の平面構造を模式的に示す説明図である。図4図3のB-B断面の断面構造を示す説明図である。図3及び図4は接地導体6及びその周辺の構造を示す第1の説明図となる。
【0021】
図5は電極ユニット50の平面構造を模式的に示す説明図である。図6図5のC-C断面の断面構造を示す説明図である。図5及び図6は接地導体6及びその周辺の詳細構造を示す第2の説明図となる。
【0022】
図7図30は、電極ユニット50の構成部品の詳細を示す説明図である。図7及び図8は筐体1の構造を模式的に示す説明図である。図7は筐体1の平面構造を示しており、図8は筐体1の断面構造を示している。
【0023】
図9及び図10はそれぞれ高圧側誘電体膜2の構造を模式的に示す説明図である。図9は高圧側誘電体膜2の平面構造を示しており、図10は高圧側誘電体膜2の断面構造を示している。
【0024】
図11及び図12はそれぞれ接地側誘電体膜3の構造を模式的に示す説明図である。図11は接地側誘電体膜3の平面構造を示しており、図12は接地側誘電体膜3の断面構造を示している。
【0025】
図13及び図14はそれぞれ給電体5の構造を模式的に示す説明図である。図13は給電体5の平面構造を示しており、図14は給電体5の断面構造を示している。
【0026】
図15図17はそれぞれ接地導体6の構造を模式的に示す説明図である。図15は接地導体6の平面構造を示しており、図16は接地導体6の断面構造を示しており、図17図16の着目領域R1における詳細を示している。
【0027】
図18及び図19はそれぞれカバー誘電体膜8の構造を模式的に示す説明図である。図18はカバー誘電体膜8の平面構造を示しており、図19はカバー誘電体膜8の断面構造を示している。
【0028】
図20及び図21はそれぞれ接地側電極構成部E2の構造を模式的に示す説明図である。図20は接地側電極構成部E2の平面構造を示しており、図21は接地側電極構成部E2の断面構造を示している。接地側電極構成部E2は接地側誘電体膜3、導電膜7及びカバー誘電体膜8の組合せ構造を含んでいる。
【0029】
図22及び図23はそれぞれシールド誘電体膜9の構造を模式的に示す説明図である。図22はシールド誘電体膜9の平面構造を示しており、図23はシールド誘電体膜9の断面構造を示している。
【0030】
図24及び図25はそれぞれ誘電体膜支持部材10の構造を模式的に示す説明図である。図24は誘電体膜支持部材10の平面構造を示しており、図25は誘電体膜支持部材10の断面構造を示している。
【0031】
図26図28はそれぞれ誘電体膜抑圧部材11の構造を模式的に示す説明図である。図26は誘電体膜抑圧部材11の平面構造を示しており、図27は誘電体膜抑圧部材11の断面構造を示しており、図28図27の着目領域R2における詳細を示している。
【0032】
図29及び図30はそれぞれ押圧部材12の構造を模式的に示す説明図である。図29は押圧部材12の平面構造を示しており、図30は押圧部材12の断面構造を示している。
【0033】
なお、図1図30はそれぞれ活性ガス生成装置71、電極ユニット50または電極ユニット50の構成部品を模式的に示しており、縮尺を含む形状は図1図30間で必ずしも一致しない。また、図1図30それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0034】
以下、上述した図1図30を適宜参照して、実施の形態1の活性ガス生成装置71について説明する。
【0035】
(全体構造)
図1に示すように、活性ガス生成装置71は、複数の電極ユニットとして電極ユニット51~53と、筐体内空間S1(図8参照)に電極ユニット51~53を収容し、導電性を有する筐体1とを備えている。
【0036】
図2及び図7に示すように、筐体1は、平坦面1Fと平坦面1Fから深さ方向に凹んだ導体収容空間6Sとを含む筐体底部1aを有している。
【0037】
図8に示すように、筐体1は筐体底部1a、筐体側部1b及び筐体上部1cを有し、筐体底部1a、筐体側部1b及び筐体上部1cによって、電極ユニット51~53を内部に収容する筐体内空間S1を形成している。
【0038】
電極ユニット51~53はそれぞれ接地導体6が導体収容空間6S内に配置される態様で筐体1の筐体内空間S1内に収容される。図7に示すように、外部により供給される原料ガスG1は、筐体底部1a内に設けられたガス流路21を介して導体収容空間6S内に配置された接地導体6の下面及び側面に設けられる原料ガス用流通空間に供給される。
【0039】
電極ユニット51(50)は、第1の電極構成部である高圧側電極構成部E1と、高圧側電極構成部E1の下方に設けられる第2の電極構成部である接地側電極構成部E2とを備えている。
【0040】
電極ユニット51は、第2の電極構成部である接地側電極構成部E2の下方に設けられ、導体収容空間6S内に収容される基準電位導体である接地導体6をさらに備えている。接地導体6は金属等の導電体を構成材料としている。
【0041】
第1の電極構成部である高圧側電極構成部E1は第1の電極用誘電体膜である高圧側誘電体膜2と高圧側誘電体膜2の上面上に形成される第1の電極用導電膜である給電体5とを含んでいる。なお、第1の電極用導電膜である給電体5は、第1の電極用誘電体膜である高圧側誘電体膜2の中央に設けられた給電体配置用凹部28上に設けられる。
【0042】
高圧側誘電体膜2は誘電体を構成材料としており、給電体5は金属等の導電体を構成材料としている。例えば、給電体5は金属製で構成される。
【0043】
接地側電極構成部E2は、第2の電極用誘電体膜である接地側誘電体膜3と接地側誘電体膜3の下面上に形成される第2の電極用導電膜である導電膜7とを含んでいる。なお、導電膜7の膜厚は薄いため、図2等では図示が省略され、図20及び図21で導電膜7の形成領域が示されている。
【0044】
接地側誘電体膜3は誘電体を構成材料としており、導電膜7は金属等の導電体を構成材料としている。
【0045】
基準電位導体である接地導体6は、上部に非貫通の活性ガス用バッファ空間68を有し、接地側電極構成部E2は活性ガス用バッファ空間68を塞いで配置される。したがって、活性ガス用バッファ空間68外において、導電膜7の下面と接地導体6の上面とが接触関係を有する。
【0046】
第2の電極用誘電体膜である接地側誘電体膜3は平面視して活性ガス用バッファ空間68と重複する領域に、接地側誘電体膜3を貫通する誘電体貫通口3hを有し、第2の電極用導電膜である導電膜7は平面視して活性ガス用バッファ空間68と重複する領域に導電膜開口部7hを有し、導電膜開口部7hは平面視して誘電体貫通口3hと重複している。
【0047】
筐体1の筐体底部1aは外部から原料ガスG1を受けるガス流路21を有し、接地導体6と筐体1の導体収容空間6Sとの間に原料ガス用流通空間が設けられる。原料ガス用流通空間は後述するように、原料ガスバッファ空間61、スリット空間62及び側面空間63を含んでいる。
【0048】
原料ガスG1はガス流路21及び上記原料ガス用流通空間を介して、放電空間4の主要放電空間に導かれる。なお、主要放電空間は、後述するように、高圧側誘電体膜2と接地側誘電体膜3との間の誘電体空間18内における放電空間4を意味する。
【0049】
交流電源15から印加される交流電圧は、電気配線や導入端子等の電気的接続手段を介して、第1の電極用導電膜である給電体5に印加される。なお、電気的接続手段を示す図示は図2等では省略している。
【0050】
一方、筐体1は基準電位である接地電位に設定される。したがって、筐体1及び接地導体6を介して第2の電極用導電膜である導電膜7が接地電位に設定される。
【0051】
電極ユニット51(50)は、さらに誘電体膜支持部材10、誘電体膜抑圧部材11及び押圧部材12等の補助部材を備えている。
【0052】
(高圧側誘電体膜2の固定)
誘電体膜支持部材10の段差部102は、筐体1の平坦面1F上に設けられ、高圧側誘電体膜2を下方から支持する支持面10Fとなる上面を有している。この際、誘電体膜支持部材10の側面と筐体1の筐体底部1aの導体収容空間6Sの側面とが一致するように、誘電体膜支持部材10は平坦面1F上に配置される。
【0053】
誘電体膜抑圧部材11は、高圧側誘電体膜2を上方から抑圧するための部材であり、平面視して給電体5と重複しない。すなわち、高圧側誘電体膜2の上面に、誘電体膜抑圧部材11及び給電体5が形成されていない露出領域EX2が存在する。
【0054】
図6図27及び図28に示すように、誘電体膜抑圧部材11の下面は、高圧側誘電体膜2の上面と接触する誘電体接触領域112と高圧側誘電体膜2の上面と接触しない誘電体非接触領域111と有している。誘電体接触領域112は高圧側誘電体膜2と接して荷重を加える領域となり、誘電体非接触領域111は高圧側誘電体膜2とは接触関係を有することなく、高圧側誘電体膜2の上面上で給電体5側にせり出す領域となる。
【0055】
誘電体接触領域112は平面視して高圧側誘電体膜2の周辺領域及び誘電体膜支持部材10の支持面10Fと重複し、誘電体非接触領域111は平面視して高圧側誘電体膜2の周辺領域より内側の中間領域と重複している。すなわち、中間領域は高圧側誘電体膜2の周辺領域から給電体5側に隣接する領域となる。
【0056】
誘電体膜抑圧部材11は金属等で構成され、導電性を有し、筐体1、取付用ボルト31、及び押圧部材12を介して基準電位である接地電位に設定される。取付用ボルト31及び押圧部材12も導電性を有している。
【0057】
したがって、高圧側誘電体膜2は、誘電体接触領域112において上方から誘電体膜抑圧部材11によって抑圧される。以下、誘電体膜支持部材10、誘電体膜抑圧部材11及び押圧部材12の組合せ構造について詳述する。
【0058】
図2に示すように、誘電体膜支持部材10の上面上に押圧部材12が配置され、取付用ボルト31によって押圧部材12及び誘電体膜支持部材10が筐体1の筐体底部1a上に固定される。
【0059】
図24及び図25に示すように、誘電体膜支持部材10は平面視して中央に中央開口部100を有する円状を呈している。中央開口部100の周辺に段差部102と周辺部上面101とからなる段差構造が円環状に設けられる。段差部102の上面が支持面10Fとなる。段差部102(支持面10F)の外周側の周辺部上面101に複数の貫通口10hが離散して円状に設けられる。
【0060】
一方、図9及び図10に示すように、高圧側誘電体膜2は平面視して中央に給電体配置用凹部28を有する円状を呈している。給電体配置用凹部28の周辺に円環状に周辺表面領域27が設けられる。また、高圧側誘電体膜2は平面視して円状の凹部底面26を有し、凹部底面26の周辺の底面が平面視して円環状の凸部底面23となる。
【0061】
図13及び図14に示すように、給電体5は円柱形状を有している。給電体5の底面が高圧側誘電体膜2の給電体配置用凹部28上に位置する態様で、給電体5は高圧側誘電体膜2の上面上に配置される。
【0062】
第1の電極用導電膜である給電体5には交流電源15より交流電圧が印加される。なお、図5に示すように、給電体配置用凹部28は平面視して給電体5を含み、給電体5より少し広い平面形状を有している。
【0063】
高圧側誘電体膜2は誘電体膜支持部材10の支持面10Fと高圧側誘電体膜2の凸部底面23とが接触する態様で、高圧側誘電体膜2は誘電体膜支持部材10上に配置される。高圧側誘電体膜2と誘電体膜支持部材10とは、図示しないOリング等のシール材を介して接触させている。
【0064】
また、図26及び図27に示すように、誘電体膜抑圧部材11は平面視して中央に中央開口部110を有する円状を呈している。中央開口部110の外周側に設けられる円環状の下面領域が誘電体非接触領域111となり、誘電体非接触領域111の外周側に設けられる円環状の下面領域が誘電体接触領域112となる。
【0065】
図28に示すように、誘電体接触領域112は誘電体非接触領域111より下方(-Z方向)に突出しており、高圧側誘電体膜2の上面U2と接触関係を有する。一方、誘電体非接触領域111は高圧側誘電体膜2の上面U2との間に隙間SP11が存在するため、高圧側誘電体膜2の上面U2と非接触となる。
【0066】
図29及び図30に示すように、押圧部材12は平面視して中央に中央開口部120を有する円状を呈している。中央開口部120の外周側の外周領域125に複数の内側貫通口121hが離散して円状に設けられ、複数の内側貫通口121hの外周側に複数の外側貫通口122hが離散して円状に設けられる。
【0067】
このように、押圧部材12の外周領域125に複数の内側貫通口121hと複数の外側貫通口122hとが設けられる。なお、複数の内側貫通口121hはそれぞれタップを切った貫通口となる。
【0068】
上述した構造の押圧部材12の外周領域125の一部が誘電体膜支持部材10上に載置され、複数の取付用ボルト31によって、誘電体膜支持部材10及び押圧部材12は筐体1の筐体底部1aに固定される。複数の取付用ボルト31のねじ部は複数の外側貫通口122h及び複数の貫通口10hを貫通し、筐体底部1aに取り付けられる。
【0069】
図2図6に示すように、押圧部材12は、平面視して誘電体膜支持部材10及び誘電体膜抑圧部材11と重複する領域に配置されている。
【0070】
一方、押圧部材12の複数の内側貫通口121hを貫通させる態様で複数の抑圧補助部材32を押圧部材12に取り付けている。抑圧補助部材32としてボルトや止めねじ等を考えられる。複数の抑圧補助部材32によって誘電体膜抑圧部材11を押圧するように、複数の抑圧補助部材32が複数の内側貫通口121h内に取り付ける。複数の抑圧補助部材32は平面視して誘電体膜抑圧部材11の誘電体接触領域112と高圧側誘電体膜2の凸部底面23と重複する位置に設けられる。
【0071】
したがって、複数の抑圧補助部材32の押圧力を受ける誘電体膜抑圧部材11によって、上方の誘電体接触領域112から高圧側誘電体膜2が抑圧される。
【0072】
上述したように、実施の形態1の活性ガス生成装置71の電極ユニット50において、第1の電極用誘電体膜である高圧側誘電体膜2は、複数の抑圧補助部材32の押圧力を受ける誘電体膜抑圧部材11によって、上方の誘電体接触領域112から抑圧される。このため、誘電体膜抑圧部材11によって高圧側誘電体膜2に荷重がかかる領域は誘電体接触領域112の下方領域のみに制限することができる。
【0073】
その結果、実施の形態1の活性ガス生成装置71は、高圧側誘電体膜2に不要な曲げ応力を与えることなく、誘電体膜抑圧部材11の誘電体接触領域112と誘電体膜支持部材10の支持面10Fとの間で高圧側誘電体膜2を安定性良く固定することができる。
【0074】
誘電体膜抑圧部材11は、基準電位である接地電位に設定され、導電性を有している。誘電体膜抑圧部材11の誘電体非接触領域111は、平面視して高圧側誘電体膜2の中間領域と重複している。
【0075】
したがって、電極ユニット50は、誘電体非接触領域111を有する誘電体膜抑圧部材11によって給電体5の電界強度を緩和して高圧側誘電体膜2の中間領域の電位を低下させることができるため、高圧側誘電体膜2と接地側誘電体膜3との外径方向の電位を低下させることができる。
【0076】
その結果、実施の形態1の活性ガス生成装置71における電極ユニット50は、高圧側誘電体膜2と誘電体膜支持部材10との空隙20における絶縁破壊を確実に防止することができる。
【0077】
(接地導体6)
図15図17に示すように、筐体1の導体収容空間6S内に収容される接地導体6は、平面視して円状を呈しており、底面の端部領域に原料ガスバッファ空間61及びスリット空間62を有している。
【0078】
原料ガスバッファ空間61は平面して円環状に形成されており、図2に示すように、ガス流路21と繋がっており、外部から供給される原料ガスG1をガス流路21を介して原料ガスバッファ空間61内に取り込むことができる。
【0079】
原料ガスバッファ空間61の周辺に複数のスリット空間62が離散して設けられる。図17に示すように、複数のスリット空間62はそれぞれ原料ガスバッファ空間61と繋がっており、原料ガスバッファ空間61からスリット空間62にかけて原料ガスG1を流通されることができる。
【0080】
図6及び図17に示すように、側面空間63は導体収容空間6Sの内周側面と接地導体6の外周側面との間の隙間空間であり、平面視して円環状に設けられる。
【0081】
誘電体膜支持部材10と接地導体6とは、図3及び図4に示すような位置関係を有するため、側面空間63を通過した原料ガスG1は誘電体膜支持部材10の下方側面領域R10に供給される。
【0082】
このように、原料ガスバッファ空間61は、接地導体6の下面側に設けられ、ガス流路21介して原料ガスG1を受けている。複数のスリット空間62はそれぞれ、接地導体6の下面側に設けられ、原料ガスバッファ空間61に繋がっている。
【0083】
側面空間63は、接地導体6の側面側に設けられ、複数の前記スリット空間に繋がっている。上述したように、原料ガス用流通空間は、原料ガスバッファ空間61、複数のスリット空間62及び側面空間63を含んでいる。
【0084】
したがって、外部からガス流路21に供給される原料ガスG1は、原料ガスバッファ空間61、スリット空間62及び側面空間63を経由して、放電空間4に導かれる。
【0085】
複数のスリット空間62はそれぞれ、原料ガスG1が原料ガスバッファ空間61で一時的に滞留した後、複数のスリット空間62それぞれに流れるように、原料ガスバッファ空間61と比較的して原料ガスが流れにくい狭い空間に設定される。すなわち、複数のスリット空間62は、原料ガスバッファ空間61や側面空間63と比較して原料ガスG1の流れ易さを表す係数であるコンダクタンスを小さくしている。
【0086】
その結果、実施の形態1の活性ガス生成装置71は、放電空間4へ原料ガスG1を空間的に均一に供給することができる。すなわち、平面視して円状の誘電体空間18の周辺部から中心の放電空間4に向かって均一に原料ガスG1が供給される。
【0087】
スリット空間62のコンダクタンスを下げることによって、原料ガスバッファ空間61と側面空間63との差圧が大きくなり、複数のスリット空間62それぞれを流れる原料ガスG1の流量のばらつきが低減化される。したがって、原料ガスG1は放電空間4に向けて均一に供給される。なお、原料ガスG1の流量は、例えば、ガス流路21の上流に設けられたマスフローコントローラー(MFC)等よって調整される。
【0088】
したがって、一般的な活性ガス生成装置は、原料ガスG1が均一に供給されないと、原料ガスG1が放電空間4を通過する時間が変わる結果、活性ガスG2の生成効率が悪化する不具合が生じる。実施の形態1の活性ガス生成装置71は、原料ガスG1を均一に供給することができるため、上記した不具合は生じない。
【0089】
(接地側電極構成部E2と活性ガス用バッファ空間68)
上述したように、第2の電極構成部である接地側電極構成部E2は接地側誘電体膜3及び導電膜7を含んでいる。
【0090】
図11及び図12に示すように、接地側誘電体膜3は平面視して円状を呈しており、中央に円状の誘電体貫通口3hを有している。
【0091】
図18及び図19に示すように、カバー誘電体膜8は平面視して円状を呈しており、中央に円状のカバー貫通口8hを有している。なお、カバー誘電体膜8は接地側誘電体膜3と同じ構成材料を用いることが望ましい。これは、カバー誘電体膜8と接地側誘電体膜3との間で熱膨張係数が異なる場合に、歪が生じることを防ぐためである。また、熱膨張係数が近い材料を、カバー誘電体膜8及び接地側誘電体膜3それぞれの材料として選択しても良い。
【0092】
図20及び図21に示すように、導電膜7は平面視して円状を呈しており、中央に平面視して円状の導電膜開口部7hを有している。
【0093】
誘電体貫通口3h及び導電膜開口部7hはそれぞれ平面視して活性ガス用バッファ空間68と重複しており、図21に示すように、導電膜開口部7hは平面視して誘電体貫通口3hを含み、誘電体貫通口3hより広い形状を呈している。
【0094】
接地側誘電体膜3及び導電膜7それぞれの中心位置を一致させた態様で接地側誘電体膜3の下面上に導電膜7が設けられる。導電膜7の径は接地側誘電体膜3の径と同程度に設定されるが、中央に誘電体貫通口3hより広い導電膜開口部7hが設けられている分、導電膜7の形成面積は接地側誘電体膜3の形成面積より狭い。
【0095】
導電膜開口部7hの円周状の外周線となる導電膜内側境界7eは、導電膜7における誘電体貫通口3h側の端部となり、導電膜内側境界7eより内側の領域には導電膜7が形成されていない。導電膜内側境界7eが導電膜7の電極境界線となる。したがって、図21に示すように、接地側誘電体膜3の下面上における導電膜7の形成領域A7は、接地側誘電体膜3の外周位置から導電膜内側境界7eに至る領域となる。
【0096】
図20及び図21に示すように、カバー誘電体膜8は接地側誘電体膜3の下面上から導電膜内側境界7eを含んで導電膜7の下面上にかけて円状に設けられる。ただし、カバー誘電体膜8は中心にカバー貫通口8hを有している。すなわち、導電膜7の導電膜開口部7hの外径は、カバー誘電体膜8の外径より短くなる寸法関係となる。
【0097】
カバー貫通口8hは誘電体貫通口3hと同程度の形状を有し、カバー貫通口8hは導電膜開口部7hに含まれ、導電膜開口部7hより狭い形状を有している。したがって、カバー誘電体膜8は導電膜7の導電膜内側境界7e(電極境界線)を覆っている。そして、カバー誘電体膜8が覆われていない導電膜7の下面と接地導体6の上面とが接触関係を有することになる。
【0098】
図15及び図16に示すように、接地導体6の上部に設けられる活性ガス用バッファ空間68は平面視して円状を呈しており、活性ガス用バッファ空間68の底面65の周辺に複数のガス噴出口69が設けられる。
【0099】
図15及び図16にカバー誘電体膜8の形成領域も併せて示している。これらの図にしめすように、カバー誘電体膜8の外周線は活性ガス用バッファ空間68の外周線とほぼ同じになる。
【0100】
図2及び図16に示すように、活性ガス用バッファ空間68の底面65上にシールド誘電体膜9が設けられる。
【0101】
図22及び図23に示すようにシールド誘電体膜9は所定の膜厚で平面視して円状に形成されている。
【0102】
シールド誘電体膜9は、活性ガス用バッファ空間68及びシールド誘電体膜9それぞれの中心位置を一致させた態様で活性ガス用バッファ空間68の底面65上に設けられる。
【0103】
図15及び図16に示すように、複数のガス噴出口69は平面視してカバー誘電体膜8と重複し、かつ、平面視して誘電体貫通口3h及びカバー貫通口8hとは重複しない。
【0104】
図16に示すように、活性ガス用バッファ空間68の底面65の周辺に接地導体6を貫通して複数のガス噴出口69が設けられる。すなわち、平面視してシールド誘電体膜9の周辺領域に複数のガス噴出口69が設けられる。
【0105】
このような構造の実施の形態1の活性ガス生成装置71において、原料ガスG1は金属筐体2の外部から、前述したように、ガス流路21及び原料ガス用流通空間を経由して放電空間4に供給される。
【0106】
誘電体バリア放電が発生している放電空間4に原料ガスG1が供給されると、原料ガスG1は活性化され活性ガスG2となり、誘電体貫通口3h及びカバー貫通口8hを通過して活性ガス用バッファ空間68に導入される。活性ガス用バッファ空間68内に入った活性ガスG2は、活性ガス用バッファ空間68の底面に設けられた複数のガス噴出口69を通過して後段の処理空間に供給される。
【0107】
このような構成の実施の形態1の活性ガス生成装置71において、第1の電極用誘電体膜である高圧側誘電体膜2と、第2の電極用誘電体膜である接地側誘電体膜3とが対向する主要誘電体空間が誘電体空間18となる。誘電体空間18は平面視して円状を呈している。また、高圧側誘電体膜2とシールド誘電体膜9とが対向する空間が補助誘電体空間として規定される。放電空間4は、誘電体空間18内において給電体5と導電膜7とが平面視して重複する主要放電空間を含んでいる。
【0108】
上記主要放電空間を形成するために、高圧側誘電体膜2と接地側誘電体膜3とが高さ方向(Z方向)に一定の距離となるように対応して設置されており、高圧側誘電体膜2と接地側誘電体膜3との間の誘電体空間18内に放電空間4の上記主要放電空間が存在している。
【0109】
放電空間4は、さらに、上記補助誘電体空間内において誘電体貫通口3h、カバー貫通口8h、及びシールド誘電体膜9上の活性ガス用バッファ空間68の一部からなる補助放電空間44を含んでいる。
【0110】
接地導体6において底面65下の底面領域を接地電位に設定された接地電極用導電膜として用い、交流電源15より交流電圧を受ける給電体5と上記接地電極用導電膜との間に放電電圧を印加することにより、補助放電空間44を生成することができる。
【0111】
前述したように、補助放電空間44は誘電体貫通口3h、カバー貫通口8h及び活性ガス用バッファ空間68の一部を含んでいる。このように、実施の形態1で形成される放電空間4は、誘電体空間18内の主要放電空間及び補助放電空間44を含んでいる。
【0112】
実施の形態1の活性ガス生成装置71において、補助放電空間44から複数のガス噴出口69それぞれに至る経路が活性ガス流通経路として規定される。
【0113】
実施の形態1の活性ガス生成装置71において、放電空間4の一部である補助放電空間44は誘電体貫通口3hとカバー貫通口8hと活性ガス用バッファ空間68の一部とを含んでいるため、補助放電空間44から複数のガス噴出口69に至る活性ガス流通経路を必要最小限の体積に抑えて活性ガスG2の失活量を抑制することができる。
【0114】
さらに、電極ユニット50の接地側電極構成部E2におけるカバー誘電体膜8は、活性ガス用バッファ空間68内において導電膜7の電極境界線である導電膜内側境界7eを覆い、かつ、平面視して複数のガス噴出口69と重複しているため、活性ガスG2が導電膜7に衝突することに伴い活性ガスG2が消失する表面失活現象を抑制することができる。
【0115】
その結果、実施の形態1の活性ガス生成装置71は、高濃度な活性ガスG2を複数のガス噴出口69から後段の処理空間に供給することができる。
【0116】
実施の形態1の電極ユニット50は、上記述した構造を有することにより、放電空間4に面する部分は絶縁体である誘電体を構成材料とした部品(高圧側誘電体膜2,接地側誘電体膜3,カバー誘電体膜8及びシールド誘電体膜9)のみとなる。金属材料が放電に面すると容易にイオン化し、ガス中に金属イオンが含まれることとなり、コンタミネーションの原因となる。一方、誘電体は放電に面しても容易にイオン化はしないため、ガス中へのコンタミネーションを防止することができる。
【0117】
(筐体開口部41)
図2に示すように、筐体1の筐体底部1aは筐体開口部41を有している。筐体開口部41は活性ガス用バッファ空間68と平面視して重複する領域に設けられ、筐体底部1aを貫通している。
【0118】
したがって、複数のガス噴出口69噴出される活性ガスG2は、筐体開口部41を介して下方の処理空間に導かれる。
【0119】
図2に示すように、筐体底部1aに設けられた筐体開口部41は、下方に向かうに従い開口面積が広くなり、図2及び図7に示すように、最下外周縁41Lを有するテーパー形状を有している。
【0120】
実施の形態1の活性ガス生成装置71において、筐体1の筐体底部1aに設けられる筐体開口部41は下方に向かうに従い開口面積が広くなるテーパー形状を有している。
【0121】
このため、実施の形態1の活性ガス生成装置71は、複数のガス噴出口69から噴出される活性ガスG2が筐体底部1aに衝突することによる損失を最小限に抑え、高濃度な活性ガスG2を下方の処理空間に供給することができる。
【0122】
<実施の形態2>
(実施の形態1の課題)
上述した実施の形態1の活性ガス生成装置71では、活性ガス用バッファ空間68から複数のガス噴出口69を経由して、下方に存在する後段の処理空間へ活性ガスG2を供給している。以下、複数のガス噴出口69から活性ガスG2を複数の部分活性ガスと規定して説明する。
【0123】
図31は実施の形態1の活性ガス生成装置71における電極ユニット50(51~53)の活性ガスG2の噴出形態を模式的に示す説明図である。図32は電極ユニット50において理想とする活性ガスG2の噴出形態を模式的に示す説明図である。図31及び図32は例えば図1のA-A断面に相当する。図31及び図32それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0124】
図31に示すように、実施の形態1の活性ガス生成装置71が備える電極ユニット50(51~53)において、複数のガス噴出口69は、複数の部分活性ガス間で衝突が生じないように、下方に向かうに従い互いに遠ざかる態様で設けられている。
【0125】
しかし、活性ガス用バッファ空間68の空間圧力p0と後段の処理空間の空間圧力p1とが大きく異なる場合、例えば、{(p1/p0)<0.5}となる場合、複数のガス噴出口69から噴出される複数の部分活性ガスは、図31のガスの流れFGXに示すように、チョーク流れと呼ばれる1方向のみの流れとなり、複数の部分活性ガスはそれぞれ拡散することなく直線上に進む。
【0126】
実施の形態1の活性ガス生成装置71は、後段の処理空間に均一な活性ガスG2を供給するために、電極ユニット50単位に複数のガス噴出口69を設け、さらに、比較的広い領域を有する処理空間に対し活性ガスG2を供給するために、電極ユニット50を電極ユニット51~53として複数設ける構造を採用している。
【0127】
しかしながら、各電極ユニット50から噴出される複数の部分活性ガスはそれぞれ、図31で示す直線状のガスの流れFGXで処理空間に供給されており、図32で示す多方向に拡散したガスの流れFGYになっていない。
【0128】
このように、電極ユニット50の複数のガス噴出口69それぞれから噴出される部分活性ガスは基本的に1つの方向性のみ有している。このため、実施の形態1の活性ガス生成装置71は、[発明が解決しようとする課題]の欄で述べた第1及び第2の改良構造と同様、処理空間に均一な活性ガスG2を供給できていないという課題が残っている。
【0129】
以下で述べる実施の形態2の活性ガス生成装置75では、上記課題の解決を図ったものである。
【0130】
(実施の形態2の構造)
図33は実施の形態2の活性ガス生成装置75における電極ユニット55の断面構造を示す説明図である。
【0131】
活性ガス生成装置75の全体構成は図1で示した活性ガス生成装置71と同様な構成である。したがって、図33で示す電極ユニット55は、図1で示す全体構成の活性ガス生成装置75における電極ユニット51~53のいずれかに対応する。
【0132】
すなわち、実施の形態2の活性ガス生成装置75は、実施の形態1の活性ガス生成装置71と同様、複数の電極ユニットとして電極ユニット51~53と、筐体内空間S1(図8参照)に電極ユニット51~53を収容し、導電性を有する筐体1とを備えている。
【0133】
実施の形態2の電極ユニット55は、実施の形態1の電極ユニット50の接地導体6を接地導体60に置き換えたことを特徴としている。
【0134】
以下、実施の形態1の電極ユニット50と同一の構成部分は同一符号を付して、実施の形態4の電極ユニット55の特徴部分を中心に説明する。
【0135】
図33に示すように、電極ユニット55は、接地側誘電体膜3を含む接地側電極構成部E2の下方に設けられ、導体収容空間6S内に収容される基準電位導体である接地導体60を備えている。接地導体60は金属等の導電体を構成材料としている。
【0136】
実施の形態2の電極ユニット55は、接地導体60が導体収容空間6S内に配置される態様で筐体1の筐体内空間S1内に収容される。外部により供給される原料ガスG1は、筐体底部1a内に設けられたガス流路21を介して導体収容空間6S内に配置された接地導体60の下面及び側面に設けられる原料ガス用流通空間に供給される。
【0137】
(接地導体60)
図34及び図35はそれぞれ接地導体60の構造を模式的に示す説明図である。図34は接地導体60の平面構造を示しており、図35は接地導体60の断面構造を示している。図34及び図35それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0138】
基準電位導体である接地導体60は、上部に非貫通の活性ガス用バッファ空間68を有し、接地側誘電体膜3を含む接地側電極構成部E2は活性ガス用バッファ空間68を塞いで配置される。したがって、活性ガス用バッファ空間68外において、導電膜7の下面と接地導体60の上面とが接触関係を有する。
【0139】
実施の形態1と同様、筐体1は基準電位である接地電位に設定される。したがって、筐体1及び接地導体60を介して導電膜7が接地電位に設定される。
【0140】
筐体1の導体収容空間6S内に収容される接地導体60は、図34に示すように、平面視して円状を呈しており、底面の端部領域に原料ガスバッファ空間61及びスリット空間62を有している。
【0141】
実施の形態1の接地導体6に対するのと同様、接地導体60に対し、原料ガスバッファ空間61、複数のスリット空間62及び側面空間63を含む原料ガス用流通空間が設けられる。
【0142】
したがって、外部からガス流路21に供給される原料ガスG1は、原料ガスバッファ空間61、スリット空間62及び側面空間63を経由して、放電空間4に導かれる。
【0143】
このため、実施の形態2の活性ガス生成装置75は、実施の形態1の活性ガス生成装置71と同様、放電空間4へ原料ガスG1を空間的に均一に供給することができる。
【0144】
図34及び図35に示すように、接地導体60の上部に設けられる活性ガス用バッファ空間68は平面視して円状を呈しており、活性ガス用バッファ空間68の底面65の周辺に複数のガス噴出口70が設けられる。
【0145】
複数のガス噴出口70は、実施の形態1の複数のガス噴出口69と同様、平面視してカバー誘電体膜8と重複し、かつ、平面視して誘電体貫通口3h及びカバー貫通口8hとは重複しない。
【0146】
図33図35に示すように、活性ガス用バッファ空間68の底面65の周辺に接地導体60を貫通して複数のガス噴出口70が設けられる。すなわち、平面視してシールド誘電体膜9の周辺領域に複数のガス噴出口70が設けられる。
【0147】
誘電体バリア放電が発生している放電空間4に原料ガスG1が供給されると、原料ガスG1は活性化され活性ガスG2となり、誘電体貫通口3h及びカバー貫通口8hを通過して活性ガス用バッファ空間68に導入される。活性ガス用バッファ空間68内に入った活性ガスG2は、活性ガス用バッファ空間68の底面に設けられた複数のガス噴出口70を通過して後段の処理空間に供給される。
【0148】
実施の形態2の活性ガス生成装置75において、補助放電空間44から複数のガス噴出口70それぞれに至る経路が活性ガス流通経路として規定される。
【0149】
実施の形態2の活性ガス生成装置75において、放電空間4の一部である補助放電空間44は誘電体貫通口3hとカバー貫通口8hと活性ガス用バッファ空間68の一部とを含んでいるため、補助放電空間44から複数のガス噴出口70に至る活性ガス流通経路を必要最小限の体積に抑えて活性ガスG2の失活量を抑制することができる。
【0150】
さらに、電極ユニット55の接地側電極構成部E2におけるカバー誘電体膜8は、活性ガス用バッファ空間68内において導電膜7の電極境界線である導電膜内側境界7eを覆い、かつ、平面視して複数のガス噴出口70と重複しているため、活性ガスG2が導電膜7に衝突することに伴い活性ガスG2が消失する表面失活現象を抑制することができる。
【0151】
その結果、実施の形態2の活性ガス生成装置75は、実施の形態1と同様、高濃度な活性ガスG2を複数のガス噴出口70から後段の処理空間に供給することができる。
【0152】
筐体1の筐体底部1aは、活性ガス用バッファ空間68と平面視して重複する領域に筐体開口部41を有し、複数のガス噴出口70から噴出される活性ガスG2は、筐体開口部41を介して下方の処理空間に導かれる。
【0153】
実施の形態2の活性ガス生成装置75において、筐体1の筐体底部1aに設けられる筐体開口部41は下方に向かうに従い開口面積が広くなるテーパー形状を有している。
【0154】
このため、実施の形態2の活性ガス生成装置75は、実施の形態1と同様、複数のガス噴出口70から噴出される活性ガスG2が筐体底部1aに衝突することによる損失を抑制し、比較的高濃度な活性ガスG2を下方の処理空間に供給することができる。
【0155】
(複数のガス噴出口70)
実施の形態2の電極ユニット55で設けられる複数のガス噴出口70から噴出される活性ガスG2が、下方に存在する後段の処理空間に供給される。ここで、複数のガス噴出口70から噴出される活性ガスを複数の部分活性ガスとして規定する。
【0156】
実施の形態2の電極ユニット55において、複数のガス噴出口70から噴出された複数の部分活性ガスは筐体開口部41を介して下方に導かれる。
【0157】
図36及び図37は複数のガス噴出口70の断面構造を模式的に示す説明図であり、図36及び図37はそれぞれ図34のD-D断面構造に相当する。図36及び図37それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0158】
図36及び図37に示すように、筐体開口部41は、高さ方向(Z方向)における開口面積が一定の上方領域41aと、下方に向かうに従い開口面積が広くなるテーパー形状のテーパー領域である下方テーパー領域41tとを含んでいる。筐体開口部41において、下方テーパー領域41tは上方領域41aより下方に設けられるテーパー領域となる。
【0159】
図37では、上方領域41aと下方テーパー領域41tとの境界線の中心位置から少し低い座標位置を衝突点P80として示している。衝突点P80は後述する衝突領域80内に存在し、衝突領域80の中心となる。
【0160】
実施の形態1の電極ユニット55において、複数のガス噴出口70は、複数の部分活性ガスが衝突点P80で衝突するように、下方に向かうに従い互いに接近する態様で設けられる。
【0161】
以下、複数のガス噴出口70の構造について詳述する。図36及び図37では2つのガス噴出口70を図示しているが、図34に示すように、複数のガス噴出口70の個数が“3”以上設けられている。
【0162】
以下では、図36及び図37それぞれで図示される2つのガス噴出口70のうち、図中右側(+X方向側)のガス噴出口70をガス噴出口70(1)と標記し、図中左側(-X方向側)のガス噴出口70をガス噴出口70(2)と標記する。
【0163】
前述したように、複数のガス噴出口70は平面視して円状に互いに離散して配置されている。以下、複数のガス噴出口70の中心を結ぶ円状の仮想線を「仮想ガス噴出口円」と称する。
【0164】
ガス噴出口70(1)及び70(2)は、上記仮想ガス噴出口円において直径方向に対向する1対のガス噴出口70,70に相当する。ここで、ガス噴出口70(1)から噴出される部分活性ガスを部分活性ガスg2(1)と標記し、ガス噴出口70(2)から噴出される部分活性ガスを部分活性ガスg2(2)と標記する。
【0165】
ガス噴出口70(1)は基準方向である水平方向(X方向)に対し“0”を超え、90°未満の一定の噴出口傾斜度A71を有している。噴出口傾斜度A71はガス噴出口70(1)から噴出される部分活性ガスg2(1)が衝突点P80に向かう方向に設定される。
【0166】
ガス噴出口70(2)はガス噴出口70(1)と同様、水平方向に対し“0”を超え、90°未満の一定の噴出口傾斜度A72を有している。噴出口傾斜度A72はガス噴出口70(2)から噴出される部分活性ガスg2(2)が衝突点P80に向かう方向に設定される。
【0167】
噴出口傾斜度A71及びA72は互いに同一角度であり、例えば、45°に設定される。
【0168】
ガス噴出口70(1)及び70(2)が設けられる、活性ガス用バッファ空間68下の接地導体60の残存膜厚T6は例えば3mmに設定される。最上部におけるガス噴出口70(1)及び70(2)の中心位置間の形成間隔R70は例えば16.4mmに設定される。形成間隔R70は仮想ガス噴出口円の直径Φの長さに一致する。
【0169】
一方、筐体開口部41のZ方向に沿った全体深さDTAは例えば18.5mmに設定され、筐体開口部41のうち上方領域41aのZ方向に沿った上方深さDT1は例えば5.0mmに設定される。
【0170】
また、筐体開口部41のテーパー領域となる下方テーパー領域41tの側面はテーパー傾斜度A41に沿って円錐状に拡がっている。テーパー傾斜度A41は例えば45°に設定される。
【0171】
上述した構造の接地導体60において、ガス噴出口70(1)及び70(2)から部分活性ガスg2(1)及びg2(2)が噴出されると、部分活性ガスg2(1)と部分活性ガスg2(2)とは衝突点P80で衝突する。図37に示すように、衝突点P80の接地導体60の表面からの形成深さが衝突深さDTXとなる。
【0172】
なお、ガス噴出口70の総数が“3”以上であっても、各ガス噴出口70が形成間隔R70を直径とした仮想ガス噴出口円に沿って配置され、かつ、衝突点P80に向かう方向に同一値となる噴出口傾斜度A70を設定することにより、同一の衝突点P80で3以上の複数の部分活性ガスを衝突させることができる。なお、噴出口傾斜度A70は噴出口傾斜度A71及びA72等の総称である。
【0173】
上述した噴出口傾斜度A71及びA72、形成間隔R70、残存膜厚T6、及び上方深さDT1の設定例では、衝突点P80の衝突深さDTXは5.2mmとなる。
【0174】
ガス噴出口70(1)及び70(2)の口径等を考慮すると、複数の部分活性ガスは衝突点P80を中心として拡がりを有する衝突領域80にて衝突すると考えられる。したがって、上述した例では、下方テーパー領域41tの上部領域から上方領域41aの下部領域にかけて衝突領域80が形成されることになる。すなわち、衝突領域80は下方テーパー領域41t内または下方テーパー領域41tより上方の上方領域41a内に存在する。
【0175】
(活性ガスG2の噴出形態)
図38図41はそれぞれ実施の形態2の電極ユニット55の筐体開口部41内における活性ガスG2の噴出形態を模式的に示す説明図である。図38図41はそれぞれ図34のD-D断面の一部に相当する。図38図41それぞれにXYZ直交座標系を記している。
【0176】
以下、ガス噴出口70(1)から噴出される部分活性ガスg2(1)の噴出方向を部分活性ガス噴出方向V7(1)と規定し、ガス噴出口70(2)から噴出される部分活性ガスg2(2)の噴出方向を部分活性ガス噴出方向V7(2)と規定する。
【0177】
図38に示すように、部分活性ガスg2(1)は衝突点P80に達するように部分活性ガス噴出方向V7(1)に沿って噴出され、部分活性ガスg2(2)は衝突点P80に達するように部分活性ガス噴出方向V7(2)に沿って噴出される。
【0178】
すなわち、部分活性ガスg2(1)の流れの向きは部分活性ガス噴出方向V7(1)の1方向のみであり、部分活性ガスg2(2)の流れの向きは部分活性ガス噴出方向V7(2)の1方向のみとなっている。
【0179】
その後、図39に示すように、衝突点P80を含む衝突領域80にて部分活性ガスg2(1)と部分活性ガスg2(2)とが衝突して、部分活性ガスg2(1)及びg2(2)は複数の拡散方向DKに拡散する。
【0180】
すなわち、部分活性ガスg2(1)の流れの向きが1つの部分活性ガス噴出方向V7(1)から複数の拡散方向DKに分散し、部分活性ガスg2(2)の流れの向きが1つの部分活性ガス噴出方向V7(2)から複数の拡散方向DKに分散する。このように、衝突領域80において複数の部分活性ガスそれぞれ流れの向きが1方向から複数の拡散方向に分散する。
【0181】
そして、図40に示すように、複数の部分活性ガスの中間供給方向DR1は、下方テーパー領域41tの側面の影響を受け、テーパー傾斜度A41に近づくように規制される。
【0182】
このように、衝突領域80は下方テーパー領域41t及び下方テーパー領域41tより上方の上方領域41aに存在するため、各々が拡散した複数の部分活性ガスが下方に向かうに従い、下方テーパー領域41tの側面のテーパー形状に沿った方向に流れる。
【0183】
その後、図41に示すように、複数の部分活性ガスはテーパー傾斜度A41に沿った拡がりの最終供給方向DR2に沿って下方に位置する後段の処理空間に供給される。
【0184】
(効果)
このような構造の実施の形態2の活性ガス生成装置75は、実施の形態1と同様な効果を有し、さらに、以下の実施の形態2に固有の効果を奏する。
【0185】
実施の形態2の活性ガス生成装置75は上述した接地導体60を有する電極ユニット55を筐体1の筐体内空間1S内に収容している。実施の形態2の電極ユニット55の接地導体60に設けられる複数のガス噴出口70は、複数の部分活性ガスが衝突点P80を含む衝突領域80にて衝突するように、下方に向かうに従い互いに接近する態様で設けられ、かつ、衝突領域80は下方テーパー領域41t内または下方テーパー領域41tより上方に存在する。
【0186】
このため、図39に示すように、衝突領域80にて複数の部分活性ガスが衝突することにより、複数の部分活性ガスそれぞれの流れの向きが1方向から複数の拡散方向DKに分散する。
【0187】
衝突領域80は下方テーパー領域41t内または下方テーパー領域41tより上方に存在する。このため、各々が拡散した複数の部分活性ガスが下方に向かうに従い、下方テーパー領域41tの側面のテーパー形状に沿った方向、すなわち、図40で示す中間供給方向DR1に流れる。
【0188】
その後、複数の部分活性ガスを含む活性ガスG2は、下方テーパー領域41tから下方の処理空間に向けて、下方テーパー領域41tの側面のテーパー形状に沿った方向、すなわち、図41で示す最終供給方向DR2に沿って拡散しつつ流れる。
【0189】
このように、複数のガス噴出口70から噴出された複数の部分活性ガスは、図38図41で示したように筐体開口部41内を流れる。
【0190】
その結果、活性ガス用バッファ空間68の空間圧力p0と後段の処理空間の空間圧力p1とが大きく異なっていても、実施の形態1の活性ガス生成装置75は、均一な活性ガスG2を後段の処理空間に供給することができる。
【0191】
実施の形態2の電極ユニット55に設けた複数のガス噴出口70はそれぞれ下方に向かうに従い衝突点P80を含む衝突領域80に近づく方向に傾いて形成され、複数のガス噴出口70それぞれの基準方向となる水平方向に対する形成傾きである噴出口傾斜度A70は同一値に設定される。
【0192】
このため、ガス噴出口70の個数が“3”以上であっても、複数のガス噴出口70から噴出される複数の部分活性ガスを同一の衝突領域80内で衝突させることができる。
【0193】
その結果、実施の形態2の活性ガス生成装置75は、1つの衝突領域80にて複数の部分活性ガスをそれぞれ複数の拡散方向に分散させることにより、より均一な活性ガスG2を後段の処理空間に向けて供給することができる。
【0194】
さらに、実施の形態2の活性ガス生成装置75は、図1に示すように、電極ユニット55を電極ユニット51~53として複数設ける構造を採用している。
【0195】
このため、実施の形態2の活性ガス生成装置75は、各々が電極ユニット55と同様な構造を有する複数の電極ユニット51~53それぞれから複数の部分活性ガスを噴出させることにより、比較的広い領域を有する後段の処理空間に対し均一に活性ガスG2を供給することができる。
【0196】
本開示は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本開示がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0197】
例えば、実施の形態2では1つの衝突領域80にて複数の部分活性ガスを衝突させたが、2つ以上の複数の衝突領域にて複数の部分活性ガスを選択的に衝突させても良い。
【0198】
すなわち、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0199】
1 筐体
2 高圧側誘電体膜
3 接地側誘電体膜
4 放電空間
5 給電体
6,60 接地導体
7 導電膜
8 カバー誘電体膜
9 シールド誘電体膜
10 誘電体膜支持部材
11 誘電体膜抑圧部材
12 押圧部材
13 バッファ導体
21 ガス流路
22 冷却路
41 筐体開口部
41a 上方領域
41t 下方テーパー領域
50,51~53,55 電極ユニット
61 原料ガスバッファ空間
62 スリット空間
63 側面空間
68 活性ガス用バッファ空間
69,70 ガス噴出口
71,75 活性ガス生成装置
80 衝突領域
E1 高圧側電極構成部
E2 接地側電極構成部
【要約】
本開示は、均一な活性ガスを処理空間に供給することができる活性ガス生成装置の構造を提供することを目的とする。本開示の活性ガス生成装置(75)における電極ユニット(55)は、接地側電極構成部(E2)の下方に設けられる接地導体(60)を備えている。筐体(1)の筐体底部(1a)は筐体開口部(41)を有し、筐体開口部(41)は下方に向かうに従い開口面積が広くなる下方テーパー領域(41t)と上方領域(41a)とを含んでいる。接地導体(60)に設けられる複数のガス噴出口(70)は、複数の部分活性ガスが衝突領域(80)にて衝突するように、下方に向かうに従い互いに接近する態様で設けられ、衝突領域(80)は下方テーパー領域(41t)内または下方テーパー領域(41t)より上方の上方領域(41a)内に存在する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
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図32
図33
図34
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図36
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