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特許7493906マスターアーム入力装置及びそれを備える手術システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】マスターアーム入力装置及びそれを備える手術システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20240527BHJP
   B25J 13/02 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J13/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018081723
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019187649
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東條 剛史
【合議体】
【審判長】井上 哲男
【審判官】近藤 利充
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-104964(JP,A)
【文献】特開平7-246578(JP,A)
【文献】国際公開第2017/043969(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0290814(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具であるエンドエフェクタが設けられたスレーブマニピュレータを操作するための医療用装置のマスターアーム入力装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に水平多関節型リンク機構を介して接続された昇降ガイドと、
前記昇降ガイドに沿って上下方向に昇降する昇降リンクと、
グリップ及び前記グリップと交差する方向に延びるリンクとを有し、前記昇降リンクの昇降する方向に軸線を有する軸部材に対して回転自在であり、かつ前記軸部材の軸線に直交する方向に前記リンクが延びて配置された把持部と、
前記把持部のリンクが延びる方向の前記リンクの端部に配設され、前記スレーブマニピュレータの先端部に設けられている前記エンドエフェクタを操作する操作者が該把持部を把持する指の延びる方向に長尺状となった、一対のエンドエフェクタ操作部と、を備え、
前記一対のエンドエフェクタ操作部は、人差し指または中指のいずれかである第1の指のみで操作され、前記第1の指が挿入される第1の保護カバーを備える第1のエンドエフェクタ操作部と、親指である第2の指のみで操作され、前記第2の指が挿入される第2の保護カバーを備える第2のエンドエフェクタ操作部のみからなり、
前記第1のエンドエフェクタ操作部は、長手方向において前記第1の指が沿うように接触する面が外方に向かって突出するように湾曲しており、
前記第2のエンドエフェクタ操作部は、長手方向において前記第2の指が沿うように接触する面の中間部が外方に向かって突出するように屈曲しており、
前記第1および第2のエンドエフェクタ操作部は、互いに非対称の形状をなし、前記第1および第2のエンドエフェクタ操作部の開閉軸を前記リンクの長手方向の端部に有する、
マスターアーム入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマスターアーム入力装置と、
スレーブマニピュレータと、を備える、
手術システム。
【請求項3】
前記手術システムは、
前記マスターアーム入力装置からの操作信号を受け付けるマスターアーム制御部と、
前記スレーブマニピュレータを制御するスレーブマニピュレータ制御部と、を備え、
前記マスターアーム制御部とスレーブマニピュレータ制御部を集中制御する単独の制御装置をさらに備える、
請求項2に記載の手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスターアーム入力装置及びそれを備える手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術に用いられるマニュピレータが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されているマスタスレーブマニピュレータでは、把持部と、把持部に設けられているエンドエフェクタ操作部と、を備えている。エンドエフェクタ操作部は、操作者が把持部を手で持った際に、指先で開閉操作可能なように構成されていて、その開閉量により、スレーブマニピュレータのエンドエフェクタの開閉量が指示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-131014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているマスタスレーブマニピュレータでは、エンドエフェクタ操作部は、単に、操作者が把持部を手で持った際に、指先で開閉操作可能なように構成されていると記載されているだけであり、操作者のエンドエフェクタ操作部に対するフィット感及び操作者の肉体的負担については何ら考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、従来のマスターアーム入力装置に比して、エンドエフェクタ操作部に対するフィット感を向上し、及び操作者の疲労を軽減することができる、マスターアーム入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係るマスターアーム入力装置は、複数の自由度に対応した関節軸を有するスレーブマニピュレータを操作するためのマスターアーム入力装置であって、装置本体と、把持部と、前記把持部に配設され、前記スレーブマニピュレータの先端部に設けられているエンドエフェクタを操作するように構成されている、一対の長尺状のエンドエフェクタ操作部と、を備え、一対の前記エンドエフェクタ操作部のうち、少なくとも一方の前記エンドエフェクタ操作部は、長手方向において湾曲、及び/又は長手方向における中間部において屈曲するように形成されている。
【0007】
操作者が、一対のエンドエフェクタ操作部を、例えば、親指と、人差し指又は中指と、で操作するときには、人差し指又は中指を屈曲するようにして、一対のエンドエフェクタ操作部を把持する(一対のエンドエフェクタ操作部と当接する)。このため、少なくとも一方のエンドエフェクタ操作部が、長手方向において湾曲、及び/又は長手方向における中間部において屈曲するように形成されていると、当該エンドエフェクタ操作部と、人差し指又は中指と、のフィット感を向上させることができる。また、フィット感が向上するので、操作者の疲労を軽減することができる。
【0008】
また、本発明に係る手術システムは、上記マスターアーム入力装置と、スレーブマニピュレータと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明のマスターアーム入力装置及びそれを備える手術システムによれば、従来のマスターアーム入力装置に比して、エンドエフェクタ操作部に対するフィット感が向上し、操作者の疲労を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施の形態1に係る手術システムの概略構成を示す模式図である。
図2図2は、本実施の形態1に係るマスターアーム入力装置の概略構成を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示すマスターアーム入力装置の要部を拡大した斜視図である。
図4図4は、図2に示すマスターアーム入力装置の把持部の概略構成を示す斜視図である。
図5図5は、図2に示すマスターアーム入力装置の把持部の概略構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するための構成要素を抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している場合がある。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0012】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係るマスターアーム入力装置は、複数の自由度に対応した関節軸を有するスレーブマニピュレータを操作するためのマスターアーム入力装置であって、装置本体と、把持部と、把持部に配設され、スレーブマニピュレータの先端部に設けられているエンドエフェクタを操作するように構成されている、一対の長尺状のエンドエフェクタ操作部と、を備え、一対のエンドエフェクタ操作部のうち、少なくとも一方のエンドエフェクタ操作部は、長手方向において湾曲、及び/又は長手方向における中間部において屈曲するように形成されている。
【0013】
また、本実施の形態1に係るマスターアーム入力装置では、一対のエンドエフェクタ操作部は、長手方向において湾曲、及び/又は長手方向における中間部において屈曲するように形成されていてもよい。
【0014】
さらに、本実施の形態1に係るマスターアーム入力装置では、一方のエンドエフェクタ操作部は、その長さが他方のエンドエフェクタ操作部よりも長くなるように形成されていてもよい。
【0015】
本実施の形態1に係る手術システムは、少なくとも上記いずれか1つのマスターアーム入力装置と、スレーブマニピュレータと、を備える。
【0016】
以下、本実施の形態1に係るマスターアーム入力装置及びそれを備える手術システムの一例について、図1図5を参照しながら説明する。
【0017】
[手術システムの構成]
図1は、本実施の形態1に係る手術システムの概略構成を示す模式図である。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態1に係る手術システム1は、マスターマニピュレータ10と、スレーブマニピュレータ20と、制御装置30と、表示装置50と、を備えていて、操作者(医者;施術者)がマスターマニピュレータ10を操作して、患者に内視鏡外科手術等の手術を施すシステムである。
【0019】
マスターマニピュレータ10は、マスターアーム入力装置11を備えている。マスターアーム入力装置11は、操作者により操作され、スレーブマニピュレータ20を操作するための操作信号を生成し、制御装置30に出力するように構成されている。なお、マスターアーム入力装置11の詳細な説明については、後述する。
【0020】
スレーブマニピュレータ20は、スレーブアーム21と、エンドエフェクタ22と、カメラ23と、を備えている。スレーブアーム21は、例えば、その先端部が6自由度を有するように構成されていてもよい。また、スレーブアーム21は、複数台設置されていてもよい。
【0021】
スレーブアーム21の先端には、エンドエフェクタ22が設けられている。エンドエフェクタ22は、例えば、グリッパ(把持器)又は鉗子等の術具で構成されていてもよい。術具は、患者の体腔内に挿入されて使用される。また、スレーブアーム21の先端部には、カメラ23が設けられている。カメラ23は、撮影した映像情報を制御装置30に入力するように構成されている。なお、カメラ23としては、立体内視鏡で構成されていてもよい。
【0022】
制御装置30は、スレーブマニピュレータ20の動作を制御するものであり、機能ブロックとして、マスタ制御部31と、マニピュレータ制御部32と、画像処理部33と、を備えている。制御装置30は、例えば、マイクロコントローラ、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等からなる演算部(図示せず)と、ROM又はRAM等からなるメモリ部(図示せず)と、から構成されている。なお、制御装置30は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0023】
制御装置30の演算部は、記憶部に記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、手術システム1の各種動作を制御する。また、制御装置30が備える各機能ブロックは、制御装置30の演算部が、メモリ部等に格納されているプログラムを読み出し実行することにより実現できる。
【0024】
マスタ制御部31は、マスターアーム入力装置11からの操作信号に従って、エンドエフェクタ22の位置及び/又は姿勢の指令値を、マニピュレータ制御部32に出力するように構成されている。また、マスタ制御部31は、エンドエフェクタ22の駆動量を指令するための操作信号をマニピュレータ制御部32に出力するように構成されている。なお、エンドエフェクタ22の位置及び/又は姿勢の指令値は、例えば、運動学計算に従って算出してもよい。
【0025】
マニピュレータ制御部32は、マスタ制御部31から入力されたエンドエフェクタ22の位置及び/又は姿勢の指令値を基に、スレーブアーム21の各関節の駆動量を算出し、算出した駆動量を基に、スレーブアーム21の各関節を駆動させるように構成されている。また、マニピュレータ制御部32は、マスタ制御部31からのエンドエフェクタ22の駆動量を指令するための操作信号を基に、エンドエフェクタ22を駆動させるように構成されている。なお、スレーブアーム21の各関節の駆動量は、例えば、逆運動学計算によって算出してもよい。
【0026】
画像処理部33は、スレーブアーム21の先端に設けられたカメラ23から得られた画像信号を処理し、表示用の画像信号(画像情報)を生成して表示装置50に出力するように構成されている。表示装置50は、画像処理部33から出力された画像情報を画面に表示するように構成されている。
【0027】
なお、制御装置30は、スレーブマニピュレータ20に設けられている力覚センサが検出した力覚情報が入力されるように構成されていてもよい。力覚センサは、エンドエフェクタ等に外部から作用する反力、又はエンドエフェクタ等が外部に作用する力を検出し、検出した力覚情報を制御装置30に出力するように構成されている。
【0028】
また、制御装置30は、力覚センサが検知した力覚情報をスレーブアーム21の各軸に設けられている駆動モータ(サーボモータ)にフィードバックする、ハプティクス制御を実行してもよい。また、制御装置30は、マスターマニピュレータ10とスレーブマニピュレータ20をバイラテラルに制御してもよい。
【0029】
[マスターアーム入力装置]
図2は、本実施の形態1に係るマスターアーム入力装置の概略構成を示す斜視図である。図3は、図2に示すマスターアーム入力装置の要部を拡大した斜視図である。なお、図2及び図3においては、マスターアーム入力装置における方向を、便宜上、三次元直交座標系のX軸、Y軸及びZ軸の方向で表わしている。また、図2及び図3においては、右手用のマスターアーム入力装置11を例示している。
【0030】
図2に示すように、マスターアーム入力装置11は、装置本体100と、水平多関節型リンク機構40と、昇降ガイド104と、昇降リンク105と、把持部110と、を備えている。水平多関節型リンク機構40は、その基端部が、装置本体100に接続されていて、その先端部が、昇降ガイド104に接続されている。昇降ガイド104は、昇降リンク105の基端部を上下方向に昇降させるように構成されていて、昇降リンク105の先端部には、把持部110が接続されている。
【0031】
水平多関節型リンク機構40は、第1軸部材JT1、第1リンク101、第2軸部材JT2、第2リンク102、第3軸部材JT3、及び第3リンク103を備えている。
【0032】
第1リンク101及び第2リンク102は、それぞれ、横長の平板状に形成されていて、第3リンク103は、縦長の平板状に形成されている。また、第1軸部材JT1~第3軸部材JT3は、それぞれ、その軸心が鉛直方向に向くように配置されている。
【0033】
第1リンク101の基端部は、第1軸部材JT1を介して、装置本体100に対して、回動自在に接続されている。第1リンク101の先端部には、第2軸部材JT2を介して、第2リンク102の基端部が、回動自在に接続されている。第2リンク102の先端部には、第3軸部材JT3を介して、第3リンク103が回動自在に接続されている。第3リンク103には、昇降ガイド104が接続されている。
【0034】
昇降ガイド104は、昇降リンク105を上下方向に昇降させるように構成されていれば、どのような形態であってもよく、例えば、直動アクチュエータ及びリニアガイドで構成されていてもよい。
【0035】
図3に示すように、昇降リンク105は、第1リンク105a、第4軸部材JT4、第2リンク105b、第5軸部材JT5、第3リンク105c、及び第6軸部材JT6を備えていて、第4軸部材JT4~第6軸部材JT6は、それぞれの軸心が、互いに直交するように配置されている。
【0036】
具体的には、第4軸部材JT4は、把持部110が基準位置に位置するときに、その軸心がY軸方向に向くように配置されている。第5軸部材JT5は、把持部110が基準位置に位置するときに、その軸心がZ軸方向に向くように配置されている。第6軸部材JT6は、把持部110が基準位置に位置するときに、その軸心がX軸方向に向くように配置されている。
【0037】
第1リンク105aは、第1棒部201、第2棒部202、及び第3棒部203を有している。第1棒部201は、本実施の形態1においては、略直方体状に形成されていて、X軸方向に延びるように配置されている。第1棒部201の基端部は、昇降ガイド104に接続されていて、第1棒部201の先端部は、第2棒部202の基端部と接続されている。第2棒部202は、本実施の形態1においては、略直方体状に形成されていて、Y軸方向に延びるように配置されている。第2棒部202の先端部は、第3棒部203の基端部と接続されている。第3棒部203は、本実施の形態1においては、略直方体状に形成されていて、Z軸方向に延びるように配置されている。第3棒部203の先端部には、第4軸部材JT4を介して、第2リンク105bの基端部が回動自在に接続されている。
【0038】
第2リンク105bは、本実施の形態1においては、略L字状に形成されている。第2リンク105bの先端部には、第5軸部材JT5を介して、第3リンク105cが回動自在に接続されている。
【0039】
第3リンク105cは、本実施の形態1においては、略短冊状に形成されていて、先端部の方が基端部に比して、上方に位置するように配置されている。また、第3リンク105cは、把持部110が基準位置に位置するときに、X軸方向に延びるように配置されている。第3リンク105cの先端部には、第6軸部材JT6を介して、把持部110が回動自在に接続されている。
【0040】
ここで、図4及び図5を参照しながら、把持部110の構成について、詳細に説明する。
【0041】
図4は、図2に示すマスターアーム入力装置の把持部の概略構成を示す斜視図である。図5は、図2に示すマスターアーム入力装置の把持部の概略構成を示す上面図である。
【0042】
図4及び図5に示すように、把持部110は、略L字状に形成されていて、当該把持部110が基準位置に位置するときに、X軸方向に延びるように形成されているリンク110aと、Z軸方向に延びるように形成されているグリップ110bと、を有している。
【0043】
また、把持部110の角部には、一対の長尺状のエンドエフェクタ操作部111a、111bが配設されている。一対のエンドエフェクタ操作部111a、111bは、操作者が、薬指、小指、及び手のひらでグリップ110bを握った状態で、親指と人差し指又は中指で、基端部を軸にして、開閉するように構成されている。
【0044】
また、エンドエフェクタ操作部111a、111bには、それぞれ、保護カバー112、112が設けられている。さらに、エンドエフェクタ操作部111a、111bには、それぞれ、エンドエフェクタ操作部111a、111bを駆動する駆動器と、エンドエフェクタ操作部111a、111bの開閉角度を検知し、検知した角度情報を制御装置30に出力するように構成されている検知器が設けられている(いずれも図示せず)。
【0045】
エンドエフェクタ操作部111a、111bを駆動する駆動器としては、例えば、駆動モータ(サーボモータ)であってもよい。また、エンドエフェクタ操作部111a、111bの開閉角度を検知する検知器としては、例えば、駆動モータの回転角度をエンドエフェクタ操作部111a、111bの開閉角度として検知するエンコーダであってもよい。
【0046】
一対のエンドエフェクタ操作部111a、111bのうち、少なくとも一方のエンドエフェクタ操作部は、長手方向において湾曲、及び/又は長手方向における中間部において屈曲するように形成されている。本実施の形態1においては、エンドエフェクタ操作部111aが、長手方向において湾曲するように形成されている。具体的には、エンドエフェクタ操作部111aは、人差し指と接触する外面が円弧状に形成されている。より詳細には、把持部110が基準位置に位置するときに、Z軸方向から見て、エンドエフェクタ操作部111aの外面は、その中心が内面側(内方)に位置するように、円弧状に形成されている。換言すると、把持部110が基準位置に位置するときに、Z軸方向から見て、エンドエフェクタ操作部111aの外面は、外方に向かって(エンドエフェクタ操作部111bから離れる方向に)突出するように円弧状に形成されている。
【0047】
なお、本実施の形態1においては、エンドエフェクタ操作部111aが、長手方向において湾曲するように形成されている形態を採用したが、これに限定されない。エンドエフェクタ操作部111a、111bの両方が、それぞれ、長手方向において湾曲するように形成されている形態を採用してもよい。
【0048】
また、一対のエンドエフェクタ操作部111a、111bのうち、少なくとも一方のエンドエフェクタ操作部が、長手方向における中間部において屈曲するように形成されている形態を採用してもよい。この場合、エンドエフェクタ操作部の外面は、1箇所で屈曲してもよく、複数箇所で屈曲してもよい。また、エンドエフェクタ操作部の外面は、外方に突出するように形成されていてもよい。
【0049】
また、一対のエンドエフェクタ操作部111a、111bのうち、少なくとも一方のエンドエフェクタ操作部が、長手方向において湾曲、及び長手方向における中間部において屈曲するように形成されている形態を採用してもよい。具体的には、例えば、エンドエフェクタ操作部の基端部が湾曲していて、エンドエフェクタ操作部の中間部が屈曲するように形成されていてもよい。また、例えば、エンドエフェクタ操作部の中間部が屈曲していて、エンドエフェクタ操作部の先端部が湾曲するように形成されていてもよい。
【0050】
また、一対のエンドエフェクタ操作部111a、111bのうち、一方のエンドエフェクタ操作部が長手方向において湾曲し、他方のエンドエフェクタ操作部が長手方向における中間部において屈曲するように形成されている形態を採用してもよい。
【0051】
さらに、エンドエフェクタ操作部111aが、エンドエフェクタ操作部111bに比して、長手方向の寸法が長くなるように形成されている形態を採用してもよい。
【0052】
このように構成された、本実施の形態1に係るマスターアーム入力装置11及びそれを備える手術システム1では、一対のエンドエフェクタ操作部111a、111bのうち、少なくとも一方のエンドエフェクタ操作部は、長手方向において湾曲、及び/又は長手方向における中間部において屈曲するように形成されている。
【0053】
これにより、長手方向において湾曲、及び/又は長手方向における中間部において屈曲するように形成されているエンドエフェクタ操作部と、人差し指又は中指と、のフィット感を向上させることができる。また、フィット感が向上するので、操作者の疲労を軽減することができる。
【0054】
また、本実施の形態1に係るマスターアーム入力装置11及びそれを備える手術システム1では、エンドエフェクタ操作部111aは、長手方向の長さがエンドエフェクタ操作部111bよりも長くなるように形成されていてもよい。
【0055】
これにより、エンドエフェクタ操作部111aと、人差し指又は中指と、のフィット感を向上させることができる。また、フィット感が向上するので、操作者の疲労を軽減することができる。
【0056】
さらに、本実施の形態1に係るマスターアーム入力装置11及びそれを備える手術システム1では、Z軸方向から見て、エンドエフェクタ操作部111a、111bの先端部が、一致するように構成されていてもよい。
【0057】
これにより、操作者の指と、エンドエフェクタ操作部111a、111bと、のフィット感を向上させることができる。また、フィット感が向上するので、操作者の疲労を軽減することができる。
【0058】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良又は他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のマスターアーム入力装置及び手術システムによれば、従来のマスターアーム入力装置に比して、エンドエフェクタ操作部に対するフィット感が向上し、操作者の疲労を軽減することができるため、ロボットの分野において有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 手術システム
10 マスターマニピュレータ
11 マスターアーム入力装置
20 スレーブマニピュレータ
21 スレーブアーム
22 エンドエフェクタ
23 カメラ
30 制御装置
31 マスタ制御部
32 マニピュレータ制御部
33 画像処理部
40 水平多関節型リンク機構
50 表示装置
100 装置本体
101 第1リンク
102 第2リンク
103 第3リンク
104 昇降ガイド
105 昇降リンク
105a 第1リンク
105b 第2リンク
105c 第3リンク
110 把持部
110a リンク
110b グリップ
111a エンドエフェクタ操作部
111b エンドエフェクタ操作部
112 保護カバー
201 第1棒部
202 第2棒部
203 第3棒部
JT1 第1軸部材
JT2 第2軸部材
JT3 第3軸部材
JT4 第4軸部材
JT5 第5軸部材
JT6 第6軸部材
図1
図2
図3
図4
図5