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特許7493910ビークル用の複合ストリンガを有するパネルの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】ビークル用の複合ストリンガを有するパネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B64C 1/08 20060101AFI20240527BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20240527BHJP
   B64F 5/10 20170101ALI20240527BHJP
【FI】
B64C1/08
B64C1/00 B
B64F5/10
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019047033
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2019189209
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】15/963,425
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・マコト・シノザキ
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0200156(US,A1)
【文献】特開2016-40116(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0243806(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0198733(US,A1)
【文献】特開2012-218441(JP,A)
【文献】特開2016-37038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00, 3/18, 3/22.
B64F 5/10,
B29C 41/00,70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークル用のパネルを製造する方法であって、
第1及び第2のチャージ(20,30)のそれぞれの第2の端部(21,31)をトリミングするステップと、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を重ね合わせ、前記第2の端部(21,31)を整列させ、形成シート(40)を前記第1及び第2のチャージ(20,30)の間に位置決めするステップと、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)のブレード(27,37)を互いに固定するステップであって、前記ブレード(27,37)は前記第2の端部(21,31)から前記第1及び第2のチャージ(20,30)の対向する端部に配置されている、ステップと、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに固定しながら、前記形成シート(40)を使用し、前記第1及び第2のチャージ(20,30)の第1及び第2のフランジ(28,38)を前記第2の端部(21,31)で分離するステップと、
前記第1及び第2のフランジ(28,38)の間に形成された溝(70)を充填材(80)で充填するステップと、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに固定しながら、前記第1及び第2のフランジ(28,38)がパネル(60)に接触しかつ前記溝(70)が前記パネル(60)に位置決めされた状態で前記第1及び第2のフランジ(28,38)を前記パネル(60)上に配置するステップと
を含み、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)の前記ブレード(27,37)を互いに固定するステップが、第1の端部(22,32)で前記第1及び第2のチャージ(20,30)に取り付けられる一次クランプ(53)と、前記ブレード(27,37)に沿って前記第1及び第2のチャージ(20,30)に取り付けられかつ前記一次クランプ(53)から離間している二次クランプ(54)とを備えるストリンガツール(52)を前記ブレード(27,37)に取り付けるステップを含む、方法。
【請求項2】
前記第2の端部(21,31)を整列させた後でかつ前記ブレード(27,37)を互いに固定する前に、前記第1及び第2のチャージ(20,30)の第1の端部(22,32)をトリミングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を重ね合わせるステップが、前記形成シート(40)が前記第1及び第2のチャージ(20,30)の間にある状態で前記第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに積み重ねるステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2のチャージ(20,30)の間に前記形成シート(40)を位置決めするステップが、単一シートを折り畳んで第1及び第2のシート層(40a,40b)を形成するステップであって、前記第1のシート層(40a)は前記第1のチャージ(20)と接触し、前記第2のシート層(40b)は前記第2のチャージ(30)と接触する、ステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記パネル(60)と前記第1及び第2のチャージ(20,30)とを共結合又は共硬化させるステップの一方をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2のフランジ(28,38)を前記パネル(60)上に配置しながら、ストリンガツール(52)が前記第1及び第2のチャージ(20,30)に取り付けられたままの状態で前記第1及び第2のチャージ(20,30)の前記ブレード(27,37)を互いに固定するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ビークル用のパネルを製造する方法であって、
第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに積み重ね、前記第1及び第2のチャージ(20,30)の各々の少なくとも一端を整列させるステップと、
互いに積み重ねられた前記第1及び第2のチャージ(20,30)の間に第1及び第2の形成シート(40)を位置決めするステップと、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに固定するステップと、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに固定しながら、前記第1及び第2の形成シート(40)を引き離し、前記第1のチャージ(20)を有する第1のフランジ(28)及び前記第2のチャージ(30)を有する第2のフランジ(38)を形成するステップと、
前記第1及び第2のフランジ(28,38)の間に形成された溝(70)を充填材(80)で充填するステップと、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに固定しながら、前記第1及び第2のフランジ(28,38)がパネル(60)に接触した状態で前記第1及び第2のチャージ(20,30)を前記パネル(60)上に配置するステップと
を含み、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに固定するステップが、第1の端部(22,32)で前記第1及び第2のチャージ(20,30)に取り付けられる一次クランプ(53)と、ブレード(27,37)に沿って前記第1及び第2のチャージ(20,30)に取り付けられかつ前記一次クランプ(53)から離間している二次クランプ(54)とを備えるストリンガツール(52)を前記第1及び第2のチャージ(20,30)のブレード(27,37)に取り付けるステップを含む、方法。
【請求項8】
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を積み重ねる前に、前記第1及び第2のチャージ(20,30)の各々の第2の端部(21,31)をトリミングすることによって前記第1及び第2のチャージ(20,30)を準備するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
互いに積み重ねられた前記第1及び第2のチャージ(20,30)の間に前記第1及び第2の形成シート(40)を位置決めするステップが、開始シートを前記第1の形成シート(40)を備える第1の層(40a)及び前記第2の形成シート(40)を備える第2の層(40b)に折り畳むステップを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の形成シート(40)を引き離して前記第1及び第2のフランジ(28,38)を形成するステップが、前記開始シートを広げるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記溝(70)を充填するステップが、前記第1及び第2のチャージ(20,30)を前記パネル(60)上に配置する前に、前記溝(70)に充填材(80)を挿入するステップを含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ビークル用のパネルを製造する方法であって、
重なり合う配置で積み重ねられた第1及び第2のチャージ(20,30)の間に形成シート(40)を位置決めするステップと、
前記重なり合う配置にある間に、前記第1及び第2のチャージ(20,30)の各々をトリミングするステップと、
ストリンガツール(52)を前記第1及び第2のチャージ(20,30)に取り付け、前記第1及び第2のチャージ(20,30)のブレード(27,37)を互いに固定するステップと、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに固定しながら、前記形成シート(40)に力を加え、前記第1及び第2のチャージ(20,30)の第2の端部(21,31)を分離し、前記ブレード(27,37)から外側に延伸する第1及び第2のフランジ(28,38)を形成するステップと、
前記第1及び第2のフランジ(28,38)の間に形成された溝(70)を充填材(80)で充填するステップと、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)を互いに固定しながら、前記第1及び第2のフランジ(28,38)がパネル(60)に接触した状態で前記第1及び第2のチャージ(20,30)を前記パネル(60)上に配置するステップと
を含み、
前記第1及び第2のチャージ(20,30)の前記ブレード(27,37)を互いに固定するステップが、第1の端部(22,32)で前記第1及び第2のチャージ(20,30)に取り付けられる一次クランプ(53)と、前記ブレード(27,37)に沿って前記第1及び第2のチャージ(20,30)に取り付けられかつ前記一次クランプ(53)から離間している二次クランプ(54)とを備えるストリンガツール(52)を前記第1及び第2のチャージ(20,30)に取り付けるステップを含む、方法。
【請求項13】
前記第1及び第2のチャージ(20,30)の第1の端部(22,32)をトリミングする前に、前記第1及び第2のチャージ(20,30)の第2の端部(21,31)を整列させるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記重なり合う配置で積み重ねられた前記第1及び第2のチャージ(20,30)の間に前記形成シート(40)を位置決めするステップが、前記形成シート(40)を前記第1及び第2のチャージ(20,30)の前記第2の端部(21,31)を越えて外側に延ばし、前記形成シート(40)を前記第1及び第2のチャージ(20,30)の第1の端部(22,32)から内側に離れるように位置決めするステップを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1及び第2のフランジ(28,38)を形成するステップが単一の開始シートから構成されている前記形成シート(40)を広げるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ビークル用の複合ストリンガを含むパネルの製造に関する。より具体的には、本開示は、製造工程中に整列され形成されかつパネルに取り付けられた別々のチャージから構成されるストリンガを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレード補強材と呼ばれることもあるストリンガなどの複合補強下部構造は、航空機産業において頻繁に使用されている。これらのストリンガを、2つ以上のチャージを組み合わせることによって製造することができる。例えば、各々が背中合わせの向きで断面L字形を有する2つのチャージを組み合わせることによって、ストリンガを製造することができる。
【0003】
問題は、ストリンガを形成するチャージを整列することである。ブレード先端でのチャージの不整合は、ストリンガが後で極端な温度で特定の熱サイクルにさらされるときに樹脂の溜まり及びひび割れを引き起こす可能性がある。
【0004】
製造プロセスはチャージを移動させることを含むことができる。望ましくない繊維の座屈及び/又はしわの原因となり得る垂れ下がりを防ぐためにチャージを支持すべきである。さらに、チャージは様々な異なる製造工程を通じて移動することができる。多くの場合、異なる製造工程のために異なるツールからチャージを取り付けたり取り外したりすることは時間がかかる。これもまた、望ましくない繊維の座屈/しわをもたらす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第2 508 326号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2 982 500号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、別々のチャージからストリンガを製造する方法に関する。チャージが操作され、互いに整列する。チャージを互いに固定し、次いでフランジを形成することができる。次いで、固定されたチャージは一緒に動かされて、そしてパネルに取り付けられることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様は、ビークル用のパネルを製造する方法に関する。方法は、第1及び第2のチャージのそれぞれの第2の端部をトリミングするステップと、第1及び第2のチャージを重ね合わせ、第2の端部を整列させ、形成シートを第1のチャージと第2のチャージとの間に位置決めするステップと、第1及び第2のチャージのブレードを互いに固定するステップであって、ブレードは第2の端部からチャージの対向する端部に配置されている、ステップと、第1及び第2のチャージを互いに固定しながら、形成シートを使用し、第1及び第2のチャージの第1及び第2のフランジを第2の端部で分離して、溝によって分離される第1及び第2のフランジを形成するステップと、フランジ間に形成された溝を充填材で充填するステップと、第1及び第2のチャージを互いに固定しながら、第1及び第2のフランジがパネルに接触しかつ溝がパネルに位置決めされた状態で第1及び第2のフランジをパネル上に配置するステップと、を含む。
【0008】
一態様では、本方法はまた、第2の端部を整列させた後でかつブレードを互いに固定する前に、第1及び第2のチャージの第1の端部をトリミングするステップを含む。
【0009】
一態様では、第1及び第2のチャージを重ね合わせるステップは、形成シートが第1のチャージと第2のチャージとの間にある状態で第1及び第2のチャージを互いに積み重ねるステップを含む。
【0010】
一態様では、第1及び第2のチャージのブレード部を互いに固定するステップは、ストリンガツールをブレード部に取り付けるステップであって、ストリンガツールは、第1の端部でチャージに取り付けられる一次クランプと、ブレード部に沿ってチャージに取り付けられかつ一次クランプから離間している二次クランプとを含む、ステップを含む。
【0011】
一態様では、第1のチャージと第2のチャージとの間に形成シートを位置決めするステップは、単一シートを折り畳んで第1及び第2のシート層を形成するステップであって、第1のシート層は第1のチャージと接触し、第2のシート層は第2のチャージと接触する、ステップを含む。
【0012】
一態様では、本方法はまた、パネルと第1及び第2のチャージとを共結合又は共硬化させるステップの一方を含む。
【0013】
一態様では、本方法はまた、第1及び第2のフランジをパネル上に配置しながら、ストリンガツールが第1及び第2のチャージに取り付けられたままの状態で第1及び第2のチャージのブレードを互いに固定するステップを含む。
【0014】
一態様は、ビークル用のパネルを製造する方法に関する。この方法は、第1及び第2のチャージを互いに積み重ね、第1及び第2のチャージの各々の少なくとも一端を整列させるステップと、互いに積み重ねられた第1のチャージと第2のチャージとの間に第1及び第2の形成シートを位置決めするステップと、第1及び第2のチャージを互いに固定するステップと、第1及び第2のチャージを互いに固定しながら、第1及び第2の形成シートを引き離し、第1のチャージを有する第1のフランジ及び第2のチャージを有する第2のフランジを形成するステップと、第1のフランジと第2のフランジとの間に形成された溝を充填材で充填するステップと、第1及び第2のチャージを互いに固定しながら、第1及び第2のフランジがパネルに接触した状態で第1及び第2のチャージをパネル上に配置するステップと、を含む。
【0015】
一態様では、本方法はまた、第1及び第2のチャージを積み重ねる前に、第1及び第2のチャージの各々の第2の端部をトリミングすることによって第1及び第2のチャージを準備するステップを含む。
【0016】
一態様では、互いに積み重ねられた第1のチャージと第2のチャージとの間に第1及び第2の形成シートを位置決めするステップは、開始シートを第1及び第2の層に折り畳むステップであって、第1の層は第1の形成シートを含み、第2の層は第2の形成シートを含む、ステップを含む。
【0017】
一態様では、本方法はまた、第1及び第2の形成シートを引き離して第1及び第2のフランジを形成しながら開始シートを広げるステップを含む。
【0018】
一態様では、開口部を充填するステップは、第1及び第2のチャージをパネル上に配置する前に、開口部に充填材を挿入するステップを含む。
【0019】
一態様では、第1及び第2のチャージを互いに固定するステップは、ストリンガツールを第1及び第2のチャージのブレードに取り付けるステップであって、ストリンガツールは、第1の端部でチャージに取り付けられる一次クランプと、ブレードに沿ってチャージに取り付けられかつ一次クランプから離間している二次クランプとを含む、ステップを含む。
【0020】
一態様は、ビークル用のパネルを製造する方法に関する。方法は、重なり合う配置で積み重ねられた第1のチャージと第2のチャージとの間に形成シートを位置決めするステップと、重なり合う配置にある間に、第1及び第2のチャージの各々をトリミングするステップと、ストリンガツールを第1及び第2のチャージに取り付け、第1及び第2のチャージのブレードを互いに固定するステップと、第1及び第2のチャージを互いに固定しながら、形成シートに力を加え、第1及び第2のチャージの第2の端部を分離し、ブレードから外側に延伸する第1及び第2のフランジを形成するステップと、第1のフランジと第2のフランジとの間に形成された溝を充填材で充填するステップと、第1及び第2のチャージを互いに固定しながら、第1及び第2のフランジがパネルに接触した状態で第1及び第2のチャージをパネル上に配置するステップと、を含む。
【0021】
一態様では、本方法はまた、第1及び第2のチャージの第1の端部をトリミングする前に、第1及び第2のチャージの第2の端部を整列させるステップを含む。
【0022】
一態様では、重なり合う配置で積み重ねられた第1のチャージと第2のチャージとの間に形成シートを位置決めするステップは、形成シートを第1及び第2のチャージの第2の端部を越えて外側に延ばし、形成シートを第1及び第2のチャージの第1の端部から内側に離れるように位置決めするステップを含む。
【0023】
一態様では、本方法はまた、第1及び第2のチャージの第1の端部にストリンガツールを取り付けて、第1及び第2のチャージを互いに固定するステップを含む。
【0024】
一態様では、本方法はまた、単一の開始シートから構成されている形成シートを広げて、第1及び第2のフランジを形成するステップを含む。
【0025】
一態様は、本方法のうちの1つに従って製造されたビークルのパネルに関する。
【0026】
一態様は、本方法のうちの1つに従って製造されたパネルを有するビークルに関する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1及び第2のチャージを含むストリンガの部分斜視端面図である。
図2】第1及び第2のチャージの斜視図である。
図3】ビークル用パネルの製造工程のフローチャート図である。
図4】切削ツール並びに第1及び第2のチャージの端面図である。
図5】重なり合う第1のチャージと第2のチャージとの間に配置された形成シートの端面図である。
図6】切削ツール並びに第1及び第2のチャージの斜視図である。
図7】第1及び第2のチャージに取り付けられたストリンガツールの部分斜視図である。
図8】第1及び第2のチャージに取り付けられたストリンガツール、並びに第1及び第2のチャージのフランジをテーブル縁部上に片持ち支持した状態で支持する支持プレートの側面図である。
図9】第1及び第2のチャージを互いに固定するストリンガツールの端面図である。
図10A】フランジ端部から外側に延伸する形成シート、並びに第1及び第2のチャージを互いに固定するストリンガツールの端面図である。
図10B】フランジ部に沿って分離されている図10Aの第1及び第2のチャージの端面図である。
図11】ストリンガツール及び挿入された角部充填材と互いに固定された第1及び第2のチャージのフランジ部及びブレード部の端面図である。
図12】第1のチャージのフランジ、第2のチャージのフランジ、並びにストリンガツールが第1及び第2のチャージを互いに固定する状態でパネルに接触する角部充填材の端面図である。
図13】ハンドリングシート上に配置されたチャージの側面図である。
図14】チャージ上に配置された硬質プレートの側面図である。
図15】支持体に輸送されている硬質プレート上に配置されたチャージの側面図である。
図16】硬質プレート上に配置され、硬質プレートの両側にハンドリングシートが配置されたチャージの側面図である。
図17】第1のチャージに輸送されている硬質プレート上の第2のチャージの側面図である。
図18】硬質プレートとハンドリングシートとが第1及び第2のチャージの間から取り外されて互いに積み重ねられた第1及び第2のチャージの側面図である。
図19】補強ストリップを有する形成シートの斜視図である。
図20】補強ストリップと、補強ストリップから延伸する細長部材とを有する形成シートの斜視図である。
図21】ビークル製造及び保守方法のフロー図である。
図22】ビークルのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本出願は、ビークル用の複合ストリンガを製造する方法に関する。これは、重なり合う配置で整列しているチャージの間に形成シートを位置決めすることを含む、別々のチャージからストリンガを形成するステップを含む。チャージは互いに保持され、形成シートはチャージの端部を分離してブレードから外向きに延伸するフランジを形成するために使用される。まだ互いに固定されている間に、形成されたストリンガをパネルに移動させ、フランジをパネルに接触させて位置決めすることができる。
【0029】
図1は、背中合わせに配置されている第1のチャージ20及び第2のチャージ30から構成されたストリンガ10を示している。第1のチャージ20は、第1のブレード端部22と、それに対向する第2のフランジ端部21とを含む。同様に、第2のチャージ30は、第1のブレード端部32と、それに対向する第2のフランジ端部31とを含む。ストリンガ10は、第1及び第2のチャージ20,30のブレード端部22,32を含むブレード27,37によって形成されたブレード部11を含む。ストリンガ10はまた、フランジ端部21を含む第1のチャージ20の第2の部分にフランジ28と、フランジ端部31を含む第2のチャージ30の第2の部分にフランジ38とを含むフランジ部12を含む。ブレード部11及びフランジ部12の大きさ及び形状は変えることができる。一方のストリンガ10は、フランジ部12に対して垂直なブレード部11を含む。他方のストリンガ10は、ブレード部11とフランジ部12との間の異なる角度位置、並びに異なる形状及び/又は大きさを含むことができる。
【0030】
第1及び第2のチャージ20,30を、単一のプライから構成することもできるし、あるいは複合材料の複数プライから構成することもできる。一例は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、炭素繊維強化ポリマー、炭素繊維強化熱可塑性樹脂、及びガラス繊維強化プラスチック(FRP)などであるがこれらに限定されない複合材料のプライから形成される第1及び第2のチャージ20,30を含む。
【0031】
チャージ20,30は最初に処理されてストリンガ10に形成される。図2に示すように、各チャージ20,30は、最初は比較的平らな細長い形状を含む。第1のチャージ20はフランジ端部21とそれに対向するブレード端部22とを含む。第1のチャージ20はまた、第3の端部23と第4の端部24との間に延伸する長さを有する。同様に、第2のチャージ30はフランジ端部31、ブレード端部32、並びに第3及び第4の端部33,34を含む。1つの設計では、ストリンガ10がビークルのパネルと共に使用されるとき、第3及び第4の端部23,33,24,34は内側端部及び外側端部である。
【0032】
図3は、第1及び第2のチャージ20,30を有するストリンガ10を形成することを含むパネルの製造方法を示している。図3の特定のステップも対応する図4図13に開示される。
【0033】
この方法は、図4に示すように、第1及び第2のチャージ20,30のフランジ端部21,31を所望の形状及び/又は向きにトリミングするステップ(ブロック100)を含む。同じ又は異なる切削ツール50を使用して、端部21,31の各々から材料を除去することができる。図4は、底面25に対して角度αを形成するようにトリミングされている第1のチャージ20のフランジ端部21を含む。同様に、第2のチャージ30のフランジ端部31は、底面35に対して角度αにトリミングされている。2つのチャージ20,30上の角度αは、同じでも異なっていてもよい。さらに、角度αは、ストリンガ10の使用状況に応じて変化し得る。さらに、一方又は両方のチャージ20,30の角度αは、長さに沿って(すなわち、第3及び第4の端部23,24,33,34の間で)変化し得る。このトリミングプロセスは、後のプロセスでブレード先端の高精度の整列を可能にし、これは整列のずれ、樹脂の溜まりのリスク、及び熱亀裂を防止する。
【0034】
本方法はまた、チャージ20,30を積み重ねる前にフランジ端部21,31をトリミングしないこと、並びにチャージ20,30を個々にトリミングして、チャージ20,30をプライごとに互いに積み重ねることを含むことができる。
【0035】
次いで、チャージ20,30は、図5に示すように重なり合う向きに配置される(ブロック110)。これは、チャージ20,30を積層構成に配置することを含むことができる。さらに、チャージ20,30を、端部のうちの1つ又は複数に沿って整列させることができる。これは、既に所望の形状及び/又は向きにトリミングされているフランジ端部21,31を整列させることを含むことができる。本方法はまた、第1のチャージ20及び第2のチャージ30の異なる部分を整列させることを含むことができる。チャージ20,30は、底面25,35が互いに向かい合うように積み重ねられる。
【0036】
形成シート40を第1のチャージ20と第2のチャージ30との間に配置する(ブロック115)。形成シート40を、フランジ端部21,31を越えて外側に延伸するように配置することができる。形成シート40は、2つのプライに折り畳まれた単一のシート、又は重なり合う配置で互いに配置された2つの別々のシートを含むことができる。図5は、第1のチャージ20に接触する第1のプライと第2のチャージ30に接触する第2のプライとを有する2つのプライに折り畳まれる単一シートである形成シート40を含んでいる。形成シート40を、テフロン(Teflon)(登録商標)及びアルマロン(Armalon)を含むがこれらに限定されない様々な材料から構成することができる。形成シート40を、木綿や羊毛のような天然源からの強力で柔軟な繊維、あるいはポリエステルやナイロンのような合成繊維から構成することもできる。形成シート40を、これらの材料の様々な組み合わせから構成することもできる。
【0037】
第1及び第2のチャージ20,30が重なり合うと、図6に示すように、チャージ20,30の残りの端部のうちの1つ又は複数をトリミングすることができる(ブロック120)。これは、ブレード端部22,32をトリミングすることを含むことができる。1つのトリミング方法は、ブレード端部22,32を正方形にトリミングすることを含む。他のトリミング方法は、異なるトリミング形状を含むことができる。追加の及び/又は他の端部も必要に応じてトリミングすることができる。トリミングは、トリミングされるべき1つ又は複数の縁部に沿って移動する1つ又は複数の切削ツール50によって実行され得る。チャージ20,30が重なり合う向きにあると、トリミングにより、チャージ20,30の所望の縁部が互いに整列されることになる。トリミングは、2つが密接に整列するように、1つ又は複数の端部に沿って第1及び第2のチャージ20,30の両方を同時に切断することができる。第1及び第2のチャージ20,30の端部に沿った変動により、対応する端部が実質的に同じであり整列するように除去することができる。
【0038】
チャージ20,30が整列した状態で、チャージ20,30は互いに固定される(ブロック130)。図7に示すように、これは、ストリンガツール52をチャージ20,30に取り付けることを含むことができる。ストリンガツール52は、形成中に第1及び第2のチャージ20,30を互いに固定し、また第1及び第2のチャージ20,30を輸送するように機能する。両方の機能を実行するために単一のストリンガツール52を使用すると、チャージ20、30の弛緩及び垂れ下がりや、望ましくない繊維の座屈及び/又はしわを引き起こす可能性があるツール交換の必要がなくなる。
【0039】
図7に示すように、ストリンガツール52は一次クランプ53及び二次クランプ54を含む。一次クランプ53は、形成及び配置プロセス中にブレード端部22,32を安定に保持する。以下で説明するように、チャージ20,30がパネル60上に配置されるまで、プロセス中に一次クランプ53をチャージ20,30に固定することができる。二次クランプ54は、形成シート40をチャージ20と30との間の位置に維持する。二次クランプ54は、チャージ20,30と接触するように及び離れるように移動することができる成形ブロック57を含む。成形ブロック57は、チャージ20,30の長さに沿って延伸することができ、チャージ20,30に適合するように様々な形状を含むことができる。成形ブロック57は、まっすぐな、湾曲した、対称的な、非対称的な、又は他の形状であってもよく、長さに沿ってチャージ20,30の形状に適合し、それに対応する。成形ブロック57は単一の細長部材を含むことができ、あるいは長さに沿ってチャージ20,30の形状に一致するように独立して調整可能な異なる部分から構成され得る。成形ブロック57は、チャージ20,30に応じて異なる形状及び/又は大きさを有する他の成形ブロック57と交換可能である。
【0040】
図8は、チャージ20,30に取り付けられたストリンガツール52の側面図を示している。一次クランプ53はチャージ20,30のブレード端部22,32により近接して配置されている。二次クランプ54は、チャージ20,30に沿ってフランジ端部21,31に向かってさらに延伸し、一次クランプ53から離れている。形成シート40はチャージ20と30との間に配置され、フランジ端部21,31を越えて外側に延伸することができる。
【0041】
図8に示すように、硬質プレート55をチャージ20,30の下に支持のために配置することができる。硬質プレート55は、望ましくない繊維のしわ/座屈を引き起こす可能性があるチャージ20,30の垂れ下がりを防ぐ。1つ又は複数のハンドリングシート56を硬質プレート55に対して配置することができる。ハンドリングシート56は、第2のチャージ30(図8の下側チャージ)が硬質プレート55に付着するのを防止し、ストリンガツール52が硬質プレート55に付着するのを防止する。ハンドリングシート56は、チャージ20と30との間に配置された形成シート40と同じ又は異なる構造を有することができる。1つの設計は、形成シート40とハンドリングシート56の両方がテフロン(登録商標)であることを含む。硬質プレート55はまた、チャージ20,30への付着を防ぐように処理され得る。この硬質プレート55は、ハンドリングシート56なしで使用することができ、下側チャージ20,30に直接接触することができる。また図8に示すように、チャージ20,30を支持体90上に配置することができる。支持体90はまた、チャージ20,30の垂れ下がりを防ぐ。ストリンガツール52の取り付けを容易にするために、チャージ20,30を、ブレード端部22,32が支持体90を越えて外側に延伸するように配置することができる。
【0042】
1つ又は複数のクランププレート58を一次クランプ53とチャージ20,30との間に配置することができる。クランププレート58は、チャージ20,30の平坦面と接触して一次クランプ53によって加えられるクランプ力を分散させる平坦な内側面を含むことができる。クランププレート58は、一次クランプ53がチャージ20,30を損傷すること、例えば望ましくない形成されたしわを作り出すことを防ぐことができる。
【0043】
ストリンガツール52は、様々な異なる構成を含むことができる。図9は、第1及び第2のチャージ20,30に取り付けられた一次クランプ53及び二次クランプ54を含むストリンガツール52を示している。ストリンガツール52は、チャージ20,30をつかむように構成されたより大きなロボット機構の構成要素とすることができる。図9は、ヒンジ付き設計の一次クランプ53を含む。一次クランプ53は、並進自由度を有する反対側面を含むがこれらに限定されない様々な異なる構成を含むことができる。ストリンガツール52を、天井クレーンシステム又は他の機械的輸送及び取扱システムに取り付けることもできる。
【0044】
図8に示すように、硬質プレート55及びハンドリングシート56をストリンガツール52から取り外すことができる。これらは同時に取り外すことも、別々に取り外すこともできる。一旦取り外されると、ストリンガツール52は、第1及び第2のチャージ20,30への確実な取り付けを保証するために再び締め付けられ得る。
【0045】
チャージ20,30を互いに固定した状態で、チャージ20,30のフランジ28,38を図10A及び図10Bに示すように分離する(ブロック140)。形成前に、チャージ20,30を加熱して形成プロセスを容易にすることができる。加熱は、チャージ20,30と接触している成形ブロック57を介して起こり得る。加熱は、チャージ20,30と接触するように配置されたヒートパッドを配置して、チャージ20,30が位置する環境を加熱することなどの他の方法によっても起こり得る。
【0046】
図10Aに示すように、チャージ20は、最初は比較的まっすぐであり、それらの高さに沿って背中合わせの向きに配置されている。形成シート40はチャージ20と30との間に配置され、フランジ端部21,31を越えて外側に延伸することができる。形成シート40を、チャージ20,30のブレード端部22,32から内方に離間させることができる。形成シート40は、第1のチャージ20と接触する第1の層40aと、第2のチャージ30と接触する第2の層40bとを含むことができる。形成シート40は、異なる材料層を含むことができ、あるいは第1及び第2の層40a,40bに折り畳まれる単一のシートとすることができる。
【0047】
図10Bに示すように、力Cが形成シート層40a,40bに加えられる。これらの力Cは、チャージ20,30に沿ってフランジ端部21,31を点26,36まで引き離す。チャージ20,30のフランジは、分離して様々な量で成形されることができる。これは、フランジ端部21,31におけるチャージ20,30の底面25,35が、背中合わせの向きを維持してブレード端部22,32から内方に延伸するブレード部11に対して垂直であることを含むことができる。チャージ20,30は、フランジ28と38との間に形成された溝70を用いて異なる量で分離することができる。チャージ20,30を分離した後、形成シート40を除去する。形成シート40の除去は、除去を可能にするために二次クランプ54の力を減少させることを含むことができる。
【0048】
形成シート40は、チャージ20,30に力Cを加えてフランジ28,38を分離して形成するために使用される。力Cを同時に加えて、第1及び第2のチャージ20,30のそれぞれを同時に変形させることができる。力Cは、第1及び第2のチャージ20,30の一方に加えられる第1の力Cと、その後にチャージ20,30の他方に加えられる第2の力とを別々に加えることができる。
【0049】
図11に示すように、狭窄部75を含むように、複合充填材80を溝70内に配置することができる(ブロック150)。充填材80が溝70内に配置された後、図12に示されるように、ストリンガツール52に依然として取り付けられている間にチャージ20,30がパネル60上に配置される(ブロック160)。第1及び第2のチャージ20,30は、フランジ28,38がパネル60に接触するように配置される。充填材80を有する溝70もパネル60に配置される。配置後、ストリンガ10とパネル60とを一緒に取り付けることができる。
【0050】
他の方法は、複合充填材80を溝70内に配置することを含まない。チャージ20,30を、充填材80なしでパネル60上に配置することができる。さらに別の方法では、チャージ20,30をパネル60上に配置した後に、充填材80を溝70内に配置することができる。加えて、パネル60を前もって硬化させることができ、形成されたチャージ20,30を後でパネル60に共結合させ、次いで硬化させることができる。
【0051】
上述のように、方法は、チャージ20,30を重ね合わせて整列させること(ブロック110)と、形成シート40を第1のチャージ20と第2のチャージ30との間に配置すること(ブロック115)とを含むことができる。このプロセスは、図14図17に示すように複数のステップを含むことができる。
【0052】
プロセスの始めに第1のチャージ20を反転させることが必要になる場合がある。図13は、支持体90上のハンドリングシート56上に配置された第1のチャージ20を示している。フランジ端部21はトリミングされており、面取り部を含む。図14に示すように、支持ブロック85がフランジ端部21に対して配置されている。支持ブロック85は、フランジ端部21の面取り部を補完し、フランジ端部21の曲がりを防止する傾斜面を含む。硬質プレート55が第1のチャージ20及び支持ブロック85の上に配置されている。
【0053】
ハンドリングシート56及び硬質プレート55を使用して第1のチャージ20を反転させ、全体を図15に示すように180°回転させる。次に、硬質プレート55は、他のハンドリングシート56も含む支持体90の表面と整列される。このハンドリングシート56を、周縁部の周りに延伸するテープなどによって支持体90に固定することができる。次いで、第1のチャージ20を硬質プレート55からハンドリングシート56及び支持体90の上に滑らせる。第1のチャージ20は、面取りされたフランジ端部21を支持体90に向かって下方に向けられている。
【0054】
第2のチャージ30を第1のチャージ20上に重ね合わせることは、様々な異なるプロセスで起こり得る。図16図18は1つのプロセスを示している。図16は、硬質プレート55上に配置された第2のチャージ30を含んでいる。ハンドリングシート56を、第2のチャージ30と硬質プレート55との間に配置することができる。ハンドリングシート56もまた硬質プレート55の反対側に配置することができる。図17に示すように、第2のチャージ30は、硬質プレート55によって第1のチャージ20に移動される。
【0055】
図18に示すように、第2のチャージ30、硬質プレート55、及びハンドリングシート56を第1のチャージ20及び形成シート40の上に配置する。ブロック88を、第1及び第2のチャージ20,30のブレード端部22,32に配置することができる。さらに、クランプツール87を形成シート40に取り付けることができ、そこでそれらは第1及び第2のチャージ20,30のフランジ端部21,31を越えて外側に延伸する。
【0056】
ハンドリングシート56及び硬質プレート55は次に矢印Lの方向に引っ張られ、第1及び第2のチャージ20,30の間から外側に移動する。ブロック88は、支持体90上の第1及び第2のチャージ20,30の位置を維持する。さらに、クランプツール87は、形成シート40が第1のチャージ20と第2のチャージ30との間から移動するのを防止する。
【0057】
形成プロセス中、形成シート40を、チャージ20,30に力を加えるために様々な方法で取り扱うことができる。クランプツール87又はアクチュエータは、形成シート40の露出端部をつかみ、力を加えることができる。取扱いを容易にするために、ロープのような細長部材を形成シート40の露出端部に取り付けることができる。
【0058】
形成シート40は、図19に示すように、側面の一方に沿って補強ストリップ41を含むことができる。補強ストリップ41は、曲げ工程中に形成シート40を横切ってより分散した引っ張り力を伝達する。補強ストリップ41を、形成シート40の片面又は両面に配置することができ、金属及びプラスチックを含むがこれらに限定されない様々な材料から構成することができる。補強ストリップ41を、接着剤並びにブラケット及びリベットなどの様々な機械的締め具を含むがこれらに限定されない様々な方法で形成シート40に取り付けることができる。図20に示すように、細長部材42を補強ストリップ41に取り付けることができる。タブ43を補強ストリップ41に取り付けて細長部材42を位置決めすることができる。あるいは、細長部材42を補強ストリップ41に直接取り付けることができる。
【0059】
ストリンガ10及び製造方法論は、例えば、航空宇宙、船舶、自動車用途、及び自動敷設装置が使用され得る他の用途を含む様々な潜在的な用途、特に輸送産業において使用され得る。ストリンガ10及び方法論は、図21に示すようなビークル製造及び保守方法236、並びに図22に示すような航空機などのビークル238の文脈で使用され得る。製造準備段階に、例示的な方法236は、ビークル238の仕様及び設計240や材料調達242を含むことができる。製造中に、構成要素及び部分組立品の製造244とビークル238のシステム統合246が行われる。その後、ビークル238は、認証及び搬送248を経由して、就航中250になることができる。顧客の就航中、ビークル238は、修正、再構成、改修などを含み得る日常の整備及び保守点検252のためにスケジュールされている。
【0060】
方法236のプロセスを、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実行することができる。この説明の目的のために、システムインテグレータは、非限定的に、任意の数のビークル製造業者及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者は、非限定的に、任意の数のベンダ、下請業者、及びサプライヤを含んでもよく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織等であってもよい。
【0061】
図22に示すように、例示的な方法236によって製造されたビークル238は、複数のシステム256と内部258を有する機体254を含むことができる。高レベルのシステム256の例には、推進システム260、電気システム262、油圧システム264、及び環境システム266の1つ又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙の例が示されているが、本開示の原理は、船舶及び自動車産業などの他の産業に適用されてもよい。
【0062】
本明細書で実現されるシステム及び方法を、製造及び保守方法236の任意の1つ又は複数の段階の間に利用することができる。例えば、構成要素及び部分組立品の製造244に対応する構成要素又は部分組立品は、ビークル238が就航中に生産された構成要素又は部分組立品と同様の方法で製造され得る。また、1つ又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせは、例えば、ビークル238の組み立てを実質的に促進するか又はコストを削減することによって、構成要素及び部分組立品の製造244及びシステム統合246の間に利用され得る。同様に、1つ又は複数の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、ビークル238の就航中に、例えば限定するものではないが、整備及び保守点検252に利用することができる。
【0063】
ストリンガ10を、限定はしないが、翼のスキン、隔壁、及びビークルの胴体を含む様々なパネルに取り付けることができる。ストリンガ10を様々なビークルに使用することができる。1つのビークルは、それぞれが乗客を収容するように構成された座席の列を含む民間航空機を含む。他のビークルは、限定はしないが、有人航空機、無人航空機、有人宇宙機、無人宇宙機、有人回転翼航空機、無人回転翼航空機、衛星、ロケット、ミサイル、有人地上ビークル、無人地上ビークル、有人水上ビークル、無人水上ビークル、有人潜水ビークル、無人潜水ビークル、及びそれらの組み合わせを含む。
【0064】
本開示は、本開示の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に具体的に記載されたもの以外の他の方法で実行することができる。本態様は、あらゆる点で例示的であり限定的ではないとみなされるべきであり、添付の特許請求の範囲の意味及び等価の範囲内にあるすべての変更はその中に包含されることが意図されている。
【符号の説明】
【0065】
10 ストリンガ
11 ブレード部
12 フランジ部
20 第1のチャージ、チャージ充填材
21 第2のフランジ端部
22 第1のブレード端部
23 第3の端部
24 第4の端部
25 底面
26 点
27 ブレード
28 フランジ
30 第2のチャージ、チャージ充填材
31 第2のフランジ端部
32 第1のブレード端部
33 第3の端部
34 第4の端部
35 底面
36 点
37 ブレード
38 フランジ
40 形成シート
40a 第1の層、形成シート層
40b 第2の層、形成シート層
41 補強ストリップ
42 細長部材
43 タブ
50 切削ツール
52 ストリンガツール
53 一次クランプ
54 二次クランプ
55 硬質プレート
56 ハンドリングシート
57 成形ブロック
58 クランププレート
60 パネル
70 溝
75 狭窄部
80 複合充填材
85 支持ブロック
87 クランプツール
88 ブロック
90 支持体
238 ビークル
254 機体
256 システム
258 内部
260 推進システム
262 電気システム
264 油圧システム
266 環境システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22