(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
G06F3/12 328
G06F3/12 303
(21)【出願番号】P 2020014841
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 宣生
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-175313(JP,A)
【文献】特開2017-027538(JP,A)
【文献】特開2015-027788(JP,A)
【文献】特開2016-173771(JP,A)
【文献】特表2015-508921(JP,A)
【文献】特開2007-200284(JP,A)
【文献】特開2004-102897(JP,A)
【文献】特開2009-076068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
B41J 29/00 -29/70
G06F 8/00 - 8/38
G06F 8/60 - 8/77
G06F 9/44 - 9/445
G06F 9/451
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置で動作可能な印刷制御ソフトウェアのプログラムであって、
前記情報処理装置のコンピュータに、
OS標準印刷ソフトウェアに対応していない第1のプリンタの登録情報を所定の記憶領域から取得する取得ステップと、
前記第1のプリンタが前記情報処理装置に接続されていない状態、または、前記第1のプリンタの電源が入っていない状態において、前記取得ステップで取得した登録情報を用いて、前記印刷制御ソフトウェアに、前記第1のプリンタに対して前記OS標準印刷ソフトウェアから送信される印刷データに対応する印刷を前記第1のプリンタで実行可能とするための印刷キューを登録する登録ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記印刷制御ソフトウェアのプログラムは、前記情報処理装置のコンピュータに、
前記OS標準印刷ソフトウェアから受信した第1の形式の印刷データを、前記第1のプリンタが対応可能な第2の形式の印刷データに変換し、前記第1のプリンタに送信するように制御する制御ステップ
を更に実行させ、
前記登録ステップで登録された前記印刷キューは、前記OS標準印刷ソフトウェアから送信された印刷データを記憶するためのキューであることを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記第1のプリンタは、前記第1の形式の印刷データを解釈できないプリンタであることを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記取得ステップは、前記印刷制御ソフトウェアが前記情報処理装置において初回に起動するときに実行されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記登録ステップはさらに、前記印刷制御ソフトウェアに前記印刷キューを登録した場合、当該登録した印刷キューに対応する印刷キューを前記OS標準印刷ソフトウェアに登録させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記所定の記憶領域は、前記情報処理装置の記憶領域であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記OS標準印刷ソフトウェアに対応していない前記
第1のプリンタと通信可能であり、前記
第1のプリンタの前記登録情報を前記所定の記憶領域に記憶可能であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記登録情報は、前記OS標準印刷ソフトウェアに対応していない前記
第1のプリンタの印刷キューの登録情報であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記所定の記憶領域は、前記情報処理装置の記憶領域または前記情報処理装置とネットワークを介して接続されているサーバの記憶領域であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記取得ステップは、前記印刷制御ソフトウェアが使用されない第1バージョンのOSが前記情報処理装置において動作している際に前記所定の記憶領域に保存された前記
第1のプリンタの登録情報を、前記OSが前記印刷制御ソフトウェアが使用可能な第2バージョンに更新された後に取得することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記情報処理装置で動作するOSの第1バージョンにおいて、前記登録情報は、前記情報処理装置の第二の記憶領域に記憶されており、
前記OSが前記第1バージョンのときに、前記第二の記憶領域に記憶されている前記登録情報が、前記所定の記憶領域に退避されており、
前記印刷制御ソフトウェアは、前記情報処理装置で動作する前記OSの前記第1バージョンの後のバージョンである第2バージョンで動作することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
登録情報が保存されている保存場所を選択させる画面を表示手段に表示させる第一表示ステップと、
前記画面において前記保存場所の指定を受け付ける第一受付ステップと、
をさらに実行させ、
前記取得ステップは、前記第一受付ステップで指定を受け付けた前記保存場所を、前記所定の記憶領域として用いることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項13】
前記取得ステップで取得した前記登録情報に対応するプリンタのリストを表示手段に表示させる第二表示ステップと、
前記リストの中から登録の対象とするプリンタの選択を受け付ける第二受付ステップと、
をさらに実行させ、
前記登録ステップは、前記第二受付ステップで選択を受け付けたプリンタの前記登録情報を前記印刷制御ソフトウェアに登録することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記登録ステップは、前記
第1のプリンタの電源が入っていない状態で行われることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記登録ステップは、前記情報処理装置と前記
第1のプリンタとが、ネットワークまたはUSBで接続されていない状態で行われることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項16】
前記登録情報は、プリセットの印刷設定情報を含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項17】
前記登録情報は、プリンタの機種情報と、プリンタのIPアドレスまたはIPアドレスを導くことができる情報とを含むことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項18】
前記登録情報は、プリンタの機種情報と、USBデバイスのシリアル番号とを含むことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項19】
プリンタと通信可能な情報処理装置であって、
OS標準印刷ソフトウェアに対応していない第1のプリンタの登録情報を所定の記憶領域から取得する取得手段と、
前記第1のプリンタが前記情報処理装置に接続されていない状態、または、前記第1のプリンタの電源が入っていない状態において、前記取得手段で取得した登録情報を用いて、前記第1のプリンタと通信可能な印刷制御ソフトウェアに、前記第1のプリンタに対して前記OS標準印刷ソフトウェアから送信される印刷データに対応する印刷を前記第1のプリンタで実行可能とするための印刷キューを登録する登録手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項20】
プリンタと通信可能な情報処理装置の制御方法であって、
OS標準印刷ソフトウェアに対応していない第1のプリンタの登録情報を所定の記憶領域から取得する取得ステップと、
前記第1のプリンタが前記情報処理装置に接続されていない状態、または、前記第1のプリンタの電源が入っていない状態において、前記取得ステップで取得した登録情報を用いて、前記第1のプリンタと通信可能な印刷制御ソフトウェアに、前記第1のプリンタに対して前記OS標準印刷ソフトウェアから送信される印刷データに対応する印刷を前記第1のプリンタで実行可能とするための印刷キューを登録する登録ステップと、
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項21】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載されたプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法、プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタベンダーの提供するプリンタ固有のソフトウェア(固有プリンタドライバ)を必要とせずに、オペレーティングシステム(OS)が標準的な印刷機能(OS標準印刷機能)を提供する技術がある(特許文献1参照)。OSは、プリンタから取得している情報に基づき、そのプリンタがOS標準印刷機能に対応しているか(サポートしているか)を判定し、対応していればOS標準印刷機能が生成した印刷データをプリンタに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プリンタによってはOS標準印刷機能に対応しておらず、OS標準印刷機能により生成された印刷データを解釈できない場合がある。また、プリンタがOS標準印刷機能に対応していたとしても、OS標準印刷機能よりも詳細な印刷設定に基づく印刷を行わせたい場合がある。
【0005】
本発明の一態様は、上記の少なくともいずれかの場合において、OS標準印刷機能を用いて適切に印刷指示を行うための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るプログラムは、情報処理装置で動作可能な印刷制御ソフトウェアのプログラムであって、前記情報処理装置のコンピュータに、OS標準印刷ソフトウェアに対応していない第1のプリンタの登録情報を所定の記憶領域から取得する取得ステップと、前記第1のプリンタが前記情報処理装置に接続されていない状態、または、前記第1のプリンタの電源が入っていない状態において、前記取得ステップで取得した登録情報を用いて、前記印刷制御ソフトウェアに、前記第1のプリンタに対して前記OS標準印刷ソフトウェアから送信される印刷データに対応する印刷を前記第1のプリンタで実行可能とするための印刷キューを登録する登録ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、OS標準印刷機能を用いて適切に印刷指示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】印刷システムのハードウェア構成を示すブロック図。
【
図2】OSアップグレード前の印刷システムのブロック構成図。
【
図3】OSアップグレード後の印刷システムのブロック構成図。
【
図4】印刷変換ユーティリティのプリンタリスト画面を示す図。
【
図5】印刷変換ユーティリティの初回起動処理のフローチャート。
【
図6】登録済みのプリンタ情報が記述されたプリンタ情報を示す図。
【
図7】プリセットの印刷設定情報が記述された印刷設定情報を示す図。
【
図8】印刷変換ユーティリティの登録候補のプリンタリスト画面を示す図。
【
図9】OSアップグレード前の印刷システムのブロック構成図。
【
図11】退避ツールのプリンタリスト画面を示す図。
【
図12】退避ツールのプリンタ情報の保存先の選択画面を示す図。
【
図13】OSアップグレード後の印刷システムのブロック構成図。
【
図14】印刷変換ユーティリティの初回起動処理のフローチャート。
【
図15】印刷変換ユーティリティの選択画面を示す図。
【
図16】OSアップグレード前の印刷システムのブロック構成図。
【
図17】ベンダードライバの初回起動時のフローチャート。
【
図18】ベンダードライバのプリセットの印刷設定情報変更時のフローチャート。
【
図19】OSアップグレード後の印刷システムのブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付画像を参照して本発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施の形態で説明されていると特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
<<実施形態1>>
OS標準印刷機能に対応していない(サポートしていない)プリンタでは、OS標準印刷機能を用いることができない。つまり、OS標準印刷機能に対応していないプリンタは、OS標準印刷機能にて規定されている所定の形式(以下、「標準形式」とも称する)の印刷データを解釈することができない。このため、本実施形態では、OS標準印刷機能を備えていないプリンタを、OS標準印刷機能に対応したプリンタに見せかけて、OS標準印刷機能を用いた印刷指示を可能とするための印刷変換ユーティリティと呼ばれるソフトウェアが用いられる。印刷変換ユーティリティは、OSがインストールされているパーソナルコンピュータ(以下、PCと称す)にインストールされて用いられる。尚、印刷変換ユーティリティは、OSがインストールされているPCとは別個のコンピュータに備えられていてもよい。
【0011】
印刷変換ユーティリティは、OSからの能力情報の問い合わせに対し、OS標準印刷機能に対応していないプリンタの能力を代理で応答する。また、印刷変換ユーティリティは、標準形式の印刷データ(コマンド)をプリンタがサポートする形式の印刷データ(コマンド)に変換して送信する。印刷変換ユーティリティをPCに組み込むと、印刷変換ユーティリティがプリンタ固有のプロトコルによるプリンタとのやり取り(通信)をOS標準印刷機能に則ったやり取りに変換するようになる。このため、OS標準印刷機能に対応していないプリンタであってもOS標準印刷機能を使ってPCから印刷指示できるようになる。なお、PCに、プリンタベンダーが提供する固有プリンタドライバがインストールされている場合、OS標準印刷機能に対応していないプリンタであっても、固有プリンタドライバが生成する印刷データであれば解釈可能である。よって、固有プリンタドライバが提供する印刷実行ユーザインターフェイスを介してユーザが印刷指示する場合、OS標準印刷機能を使わないで印刷することもできる。
【0012】
ここで、プリンタベンダーが提供する固有プリンタドライバを使用して印刷を行っていたユーザが、PCのOSをアップグレードすると、アップグレード後のOSによっては、固有プリンタドライバが使用できなくなる場合がある。例えば、スマートフォンおよびタブレットからの印刷を行うため、またOSのセキュリティ向上のために、OS標準印刷機能が主流となり、固有プリンタドライバが不要なOSのシステム構成となる可能性がある。OSをアップグレード後に固有プリンタドライバが使用できない状態において、OS標準印刷機能に対応していないプリンタで印刷するためには、印刷変換ユーティリティを使用する必要がある。
【0013】
印刷変換ユーティリティを使用して印刷するには、ユーザがOSのアップグレード前に使用していたプリンタ情報(印刷キューとも称する)を印刷変換ユーティリティに登録することが必要となる。印刷キューを印刷変換ユーティリティに登録するには、一般的に、ユーザがOSのアップグレード前に使用していたプリンタとPCとが接続されていて、かつプリンタの電源が投入されている必要がある。また、固有プリンタドライバを使用した印刷キューに登録されていた印刷設定情報も、印刷変換ユーティリティに再度登録する必要がある。本実施形態で説明する印刷キューには、プリンタ情報および印刷設定情報の少なくとも一方が含まれるものとする。印刷キューの詳細は後述する。
【0014】
このように、一般的に、OSをアップグレード後に、印刷変換ユーティリティを使用してOS標準印刷機能に対応していないプリンタで印刷するには、ユーザの準備に手間が掛かる。以下では、ユーザが、OS標準印刷機能を用いて印刷指示を行うための印刷変換ユーティリティを使用して印刷を実行するまでの準備を簡素化する技術を説明する。
【0015】
<システムのハードウェア構成>
図1は、本実施形態において印刷に用いるシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。本システムは、ホストコンピュータであるPC101とプリンタ102とを有する。PC101は、情報処理装置の一例であり、入力インタフェース110、CPU111、ROM112、RAM113、外部記憶装置114、出力インタフェース115、及び入出力インタフェース116を有する。また、入力インタフェース110には、キーボード118またはポインティングデバイス117などの入力デバイスが接続され、出力インタフェース115には、表示部119などの表示デバイスが接続されている。
【0016】
ROM112には、初期化プログラムが格納されている。外部記憶装置114には、アプリケーションプログラム群、オペレーティングシステム(OS)、固有プリンタドライバ、及びその他の各種のデータが格納されている。RAM113は、外部記憶装置114にストアされる各種のプログラムの実行の際のワークメモリ等として使用される。
【0017】
なお、本実施形態では、CPU111が、ROM112に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、PC101における後述の機能及び後述するフローチャートに係る処理が実現される。デバイスであるプリンタ102は、入出力インタフェース116を介して、PC101と接続されている。ここでは、PC101とプリンタ102とが分かれて構成されているが、これらが一つの情報処理装置として構成されていても良い。
【0018】
<ブロック構成>
図2は、PC101におけるOSアップグレード前の印刷システムを説明するブロック構成図である。以下では、OSアップグレード前の第一バージョンのOS印刷システムを、OS印刷システムAと称する。また、OSアップグレード後の第二バージョンのOS印刷システムを、OS印刷システムBと称する(
図3で後述する)。
【0019】
PC101とプリンタ102とは、ネットワーク208を介して接続され、相互に通信可能である。本実施形態では、ネットワークとしてLAN(Local Area Network)を想定しているが、WAN(Wide Area Network)であってもよい。また、ネットワークの接続形態としては、有線無線を問わず、これらが混在していてもよい。PC101は、ネットワーク208を介して接続されたプリンタ102の制御を行う。
【0020】
PC101は、アプリケーション201、OS印刷システムA202、ネットワーク(NW)通信制御部207、ベンダードライバ203、および記憶領域205を有する。OS印刷システムA202は、印刷キュー204を有する。固有プリンタドライバであるベンダードライバ203は、プリンタ102に印刷指示をするためのものである。ユーザは、ベンダードライバ203をPC101にインストールし、プリンタ102に対応する印刷キュー204を生成することにより、OS印刷システムA202を介してプリンタ102への印刷指示が可能となる。なお、本実施形態では、PC101に組み込まれているOSとして、macOS(登録商標)を想定している。
【0021】
印刷キューとは、OSまたは他のアプリケーションから印刷を実行するためのオブジェクトである。各印刷キューは、名称または共有の有無、接続先のポートまたはサーバの設定、印刷設定、およびデバイス関連の設定などを有する。また、印刷キューは、印刷データを記憶しておくオブジェクトとしても利用される。
【0022】
印刷キュー204を生成することで、記憶領域205にベンダードライバ203の印刷キュー登録情報206が記録される。印刷キュー登録情報は、上述した印刷キューの各種の設定など、OS印刷システムA202に登録されている印刷キュー204の情報である。
【0023】
OS印刷システムA202は、PC101に接続されているプリンタごとにアプリケーション201からの印刷要求をジョブとして順次処理する。なお、アプリケーション201は、ユーザ指示に基づき、描画データを生成するソフトウェアである。ここでいうアプリケーションはOS上で動作可能なソフトウェアである。アプリケーション201としては、例えば、文書作成用のワープロソフトや画像編集ソフト、年賀状作成ソフトなどが挙げられる。描画アプリケーションにより生成される描画データは、例えば、PDF(Portable Document Format)形式のデータである。ユーザがアプリケーション201で作成した描画データの印刷を要求すると、その要求は、印刷ジョブとしてOS印刷システムA202に投入される。OS印刷システムA202は、印刷ジョブを受けると、ベンダードライバ203を介してプリンタ102の機能に則った印刷データを生成し、印刷キュー204に印刷データを登録する。印刷キュー204に登録された印刷データは、順次、ベンダードライバ203およびNW通信制御部207を介してプリンタ102に送信される。
【0024】
プリンタ102は、NW通信制御部209、印刷制御部210、および印刷部211を有する。印刷制御部210は、NW通信制御部209を介してPC101から印刷データを受信し、印刷データに基づき印刷部211を制御して印刷を実行する。
【0025】
このように、
図2の構成では、固有プリンタドライバを介して印刷指示するため、OS標準印刷機能を使わないで印刷することができる構成となっている。
【0026】
図3は、
図2に示す構成においてOSをアップグレードした後のシステムのブロック構成を示す図である。PC101は、
図2のPC101と同一である。PC101は、
図2のOS印刷システムA202の代わりに、OS印刷システムB301を有している。また、PC101は、印刷変換ユーティリティ304を有している。OS印刷システムB301は、OS標準印刷制御部302と印刷キュー303とを有する。印刷変換ユーティリティ304は、ベンダードライバ305と印刷キュー306とを有する。記憶領域205に記録されている印刷キュー登録情報206は、PC101のOSをアップグレードする前の
図2と同一である。その他の構成も、
図2で示す構成と同一である。
【0027】
OS印刷システムB301(OS標準印刷ソフトウェアともいう)は、OS標準印刷機能を提供しており、OS標準印刷機能に対応するプリンタであれば、ベンダードライバなしで印刷が可能である。
【0028】
ベンダードライバ305を含む印刷変換ユーティリティ304は、OS標準印刷に対応していないプリンタを使うための印刷制御ソフトウェアである。印刷制御ソフトウェアは、必要に応じてユーザがPC101にインストールすることでPC101で動作可能となる。OS印刷システムB301は、PCに接続されているプリンタごとにアプリケーション201からの印刷要求をジョブとして順次処理する。ユーザがアプリケーション201で作成したデータの印刷を要求すると、その要求は印刷ジョブとしてOS印刷システムB301に投入される。
【0029】
OS印刷システムB301は、印刷ジョブを受けると、OS標準印刷機能に則ったフォーマットである標準形式の印刷データを生成する。そして、OS標準印刷機能に対応しているプリンタの印刷ジョブであれば、OS印刷システムB301は、生成した印刷データを、NW通信制御部207を介してプリンタ102に送信する。一方、OS標準印刷機能に対応していない(サポートしていない)プリンタの印刷ジョブであれば、OS印刷システムB301は、標準形式の印刷データを印刷変換ユーティリティ304に送る。そして、印刷変換ユーティリティ304は、標準形式の印刷データを、ベンダー固有のフォーマットの印刷データに変換してから、変換した印刷データを、NW通信制御部207を介してプリンタ102に送信する。尚、印刷変換ユーティリティ304は、OS標準印刷機能に対応した仮想プリンタとしての機能を備える。よって、OS印刷システムB301は、OS標準印刷機能に対応していないプリンタに対する印刷ジョブを、仮想プリンタへ出力する処理を行う。これを受けて、印刷変換ユーティリティ304は、ベンダードライバ305を利用してベンダー固有のフォーマットの印刷データに変換する。また、ベンダードライバ305の機能は、OSアップグレード前のOS印刷システムA202内のベンダードライバ203と必ずしも同等の機能でなくてもよく、少なくともプリンタベンダー固有の形式の印刷データに変換する機能を有していればよい。
【0030】
なお、プリンタがOS印刷システムB301をサポートしている場合(つまり、標準形式の印刷データを解釈可能な場合)であっても、印刷変換ユーティリティ304を使用してもよい。即ち、印刷変換ユーティリティ304が対応しているプリンタに対する印刷指示であれば、プリンタがOS印刷システムB301をサポートしている場合でも、印刷変換ユーティリティ304を使用してもよい。印刷変換ユーティリティ304を使用することにより、より多くの機能を提供できるようになる。例えば、OS印刷システムB301が提供するOS標準機能の場合、カラーマッチング処理、色味、または明るさの調整等の詳細な印刷品質の設定には対応していない。つまり、OS標準印刷機能には制限がある。そこで、印刷変換ユーティリティ304を使用することにより、プリンタベンダー固有のプリンタドライバと同等の機能を提供することができるようになる。
【0031】
印刷変換ユーティリティ304をアプリケーション201から使用するためには、OS印刷システムB301内の印刷キュー303と、印刷変換ユーティリティ304内の印刷キュー306との二つの印刷キューを登録する必要がある。OS印刷システムB301内の印刷キュー303は、アプリケーション201からの印刷要求を受けたOS標準印刷機能の印刷データを記憶する印刷キューである。印刷変換ユーティリティ304内の印刷キュー306は、印刷変換ユーティリティ304が印刷キュー303から受けた印刷データを記憶する印刷キューである。印刷変換ユーティリティ304が、印刷キュー306を登録すると、OS標準印刷機能の印刷キュー303も自動的に登録される。
【0032】
本実施形態のプリンタ102は、OS標準印刷機能に対応していない。上述したように、ユーザがPC101のアプリケーション201で印刷変換ユーティリティ304を介して印刷する場合には印刷キュー306が必要である。本実施形態の技術を用いない場合、印刷キュー306を生成するには、ユーザによって手間のかかる準備が行われることになる。以下、具体的に説明する。
【0033】
図4は、印刷変換ユーティリティ304が表示するプリンタリスト画面401の例を示す図である。プリンタリスト画面401は、プリンタを登録するための「追加」ボタン403とプリンタを削除するための「削除」ボタン404とを備える。印刷変換ユーティリティ304は、「追加」ボタン403の押下を検知すると
図4のプリンタ登録画面405を表示する。
【0034】
プリンタ登録画面405は、プリンタリスト406、「キャンセル」ボタン407、および「登録」ボタン408を備える。印刷変換ユーティリティ304は、ネットワークまたはUSBを介してPC101に接続されており、電源を投入されている状態であり、且つOS標準機能に対応していない全てのプリンタをプリンタリスト406に表示する。つまり、ネットワークまたはUSBを介してPC101に接続されていない、または、電源を投入されていない状態のプリンタは、プリンタリスト406に表示されず、登録することができない。このため、OSをアップグレードしたユーザは、登録したいプリンタの電源をオンにし、ネットワークまたはUSBの接続を行う準備が必要になる。
【0035】
プリンタリスト406のプリンタが選択されている状態で、ユーザによる「登録」ボタン408の押下を検知すると、印刷変換ユーティリティ304は、選択されているプリンタに対応する印刷キュー306を生成する。
【0036】
本実施形態では、PC101のOSアップグレード後に、記憶領域205に印刷キュー登録情報206が存在することを前提とし、印刷変換ユーティリティ304が印刷キュー306を自動生成する例を説明する。即ち、ネットワークまたはUSBを介してPC101に接続されていない、または、電源が投入されてないプリンタであっても、印刷変換ユーティリティ304が印刷キュー306を生成する例を説明する。
【0037】
図5は、本実施形態における印刷変換ユーティリティ304の初回起動時の処理フローを示す図である。
図5に示す処理は、CPU111が、ROM112または外部記憶装置114に記憶されている印刷変換ユーティリティ304のプログラムを実行することで行われる。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味する(以下、本明細書において同様である)。
【0038】
印刷変換ユーティリティ304は、初回起動のみ
図5の起動処理を開始する。S501で印刷変換ユーティリティ304は、ベンダードライバ203の印刷キュー登録情報206が、PC101の記憶領域205に存在するか判定する。
【0039】
印刷キュー登録情報206には、プリンタ情報と、プリセットの印刷設定情報とが含まれる。プリンタ情報には、ネットワーク接続の場合、一例として、プリンタのMulticast DNS、またはDNS-SDのホスト名および、それに付随するプリンタの機種情報を含むTXTレコード情報が含まれる。即ち、プリンタ情報には、プリンタのIPアドレスまたはIPアドレスを導くことができる情報が含まれる。USB接続の場合には、一例として、USBデバイスであるプリンタのUSBシリアル番号、および、プリンタの機種情報が含まれる。プリセットの印刷設定情報とは、ユーザが印刷の各設定値を任意に選択した情報のことである。以下、具体的な一例を説明する。
【0040】
図6は、登録済みのプリンタ情報が記述されたプリンタ情報の一例を示す図である。なお、このプリンタ情報は、マークアップ言語で記述されている。
図6において行602から行609までが、USB接続で登録されたプリンタ情報である。行608の“serial=”に続く記述は、USBシリアル番号を示す。行607の“MakeModel”に続く記述は、プリンタの機種情報を示す。
【0041】
また、
図6において行610から行617までがネットワーク接続で登録されたプリンタ情報である。行616の“DeviceURI”に続く記述は、Multicast DNSのホスト名を示す。行615の“MakeModel”に続く記述は、プリンタの機種情報を示す。
【0042】
図7は、プリセットの印刷設定情報が記述されたファイルの一例を示す図である。
図7のファイルは、マークアップ言語で記載されており、各マークアップのキーにより解釈が行われる。
図7において、行701および行708は、これらの行の間に印刷設定が記載されていることを示している。行702~704は、用紙サイズ設定を記述しており、その設定値は“A4”であることを示している。行705~707は、両面設定を記述しており、その設定値は“None”であることを示している。
【0043】
S501で印刷変換ユーティリティ304は、ベンダードライバの印刷キュー登録情報206が存在しないと判定すると処理は終了する。S501で印刷変換ユーティリティ304は、ベンダードライバの印刷キュー登録情報206が存在すると判定するとS502に進む。
【0044】
S502において印刷変換ユーティリティ304は、S501で存在を確認した情報の中に印刷変換ユーティリティ304の対応プリンタの情報が存在するかを判定する。さらに、印刷変換ユーティリティ304は、そのプリンタに対応した印刷変換ユーティリティ304の印刷キューが登録されていないかを判定する。S501で得た情報の中に対応プリンタの情報が存在し、かつ、そのプリンタに対応した印刷変換ユーティリティ304の印刷キューが登録されていない場合(条件を満たすプリンタがある場合)、S503に進む。条件を満たすプリンタがないと判定すると処理を終了する。
【0045】
S503で印刷変換ユーティリティ304は、印刷変換ユーティリティ304に登録する候補のプリンタリストを印刷キュー登録情報に基づいて作成する。そして、印刷変換ユーティリティ304は、プリンタリスト画面を表示し、S504に進む。
【0046】
図8は、S503で印刷変換ユーティリティ304が表示する、印刷変換ユーティリティ304に登録する候補のプリンタリスト画面801の例を示す図である。プリンタリスト画面801は、プリンタリスト802、チェックボックス803、「キャンセル」ボタン804、および「登録」ボタン805を含む。プリンタリスト802には、印刷キュー登録情報で得られたプリンタのリストが表示される。
【0047】
S504でユーザは、プリンタリスト802から、印刷変換ユーティリティ304に登録するプリンタをチェックボックス803で選択する。即ち、印刷変換ユーティリティ304は、印刷変換ユーティリティ304に登録する対象のプリンタの指定を受け付ける受付処理をする。印刷変換ユーティリティ304は、「キャンセル」ボタン804、または「登録」ボタン805が押下されたことを検知するとS505に進む。
【0048】
S505で印刷変換ユーティリティ304は、ユーザによって「登録」ボタン805が押下され、且つ、選択されたプリンタが1台以上あるかを判定する。条件を満たす場合、S506に進む。それ以外の場合、印刷変換ユーティリティ304は処理を終了する。
【0049】
S506で印刷変換ユーティリティ304は、索引番号を初期化(n=1)しS507に進む。S507で印刷変換ユーティリティ304は、選択されたプリンタの台数分のループを開始する。S508で印刷変換ユーティリティ304は、n番目のプリンタのベンダードライバの印刷キュー登録情報206からプリンタ情報を取得して、印刷変換ユーティリティの印刷キュー306を登録(作成)する。その後、S509に進む。
【0050】
S509で印刷変換ユーティリティ304は、n番目のプリンタのベンダードライバの印刷キュー登録情報206からプリセットの印刷設定情報を取得して、印刷変換ユーティリティ304の印刷キュー306に引き継ぐ。S509で引き継いだ印刷設定は、印刷変換ユーティリティ304が提供する印刷実行ユーザインターフェイスで利用可能である。S510で、印刷変換ユーティリティ304は、索引番号をインクリメントし、S511に進み、ループを繰り返す。
【0051】
尚、前述したように、印刷変換ユーティリティ304の印刷キュー306が登録されると、OS印刷システムB301の印刷キュー303も自動的に登録される。即ち、印刷変換ユーティリティ304は、自身にプリンタを登録すると、登録されたプリンタに関する情報をもとに、内部で生成したOS標準印刷機能への対応情報を付加して、OS印刷システムB301に応答するようになる。プリンタに関する情報としては、例えば、モデル名、プリンタ名、プリンタの設置場所情報がある。内部で生成したOS標準印刷機能への対応情報としては、例えば、UUID、能力情報がある。印刷変換ユーティリティ304は、OS印刷システムB301に応答しているプリンタに関する情報に基づいて、OS印刷システムB301にプリンタ102の印刷キュー303を登録させるための登録コマンドを実行する。OS印刷システムB301に応答しているプリンタに関する情報とは、例えば、モデル名、プリンタ名、プリンタの設置場所情報、UUID、または能力情報である。このように、印刷変換ユーティリティ304は、OS印刷システムB301に印刷キュー303の登録を指示する。ユーザは、印刷変換ユーティリティ304に印刷キューを登録するための処理を実行するだけで、OS印刷システム301Bの印刷キュー303も自動で登録されることになる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態においては、印刷変換ユーティリティ304を用いることにより、OS標準印刷機能を用いて印刷指示をプリンタ102に適切に出力することが可能となる。また、印刷変換ユーティリティ304は、PC101のOSをアップグレードする前にベンダードライバを介して印刷実行していた印刷キュー情報がPCのOSアップグレード後に存在していた場合に、そのプリンタ一覧をユーザに報知する。そして、印刷変換ユーティリティ304は、印刷変換ユーティリティに登録したいプリンタをユーザに選択させることで、印刷変換ユーティリティの印刷キュー登録を簡易化することができる。更にOSをアップグレード前に使用していたプリンタがPCに接続されていない場合、または、プリンタの電源が投入されていない場合であっても、ユーザは印刷キューを登録することが可能となる。このため、OSをアップグレード後に、印刷変換ユーティリティを使用してOS標準印刷機能に対応していないプリンタで印刷する場合において、ユーザの準備に手間が掛かってしまう状態を回避することができる。また、ユーザは、ベンダードライバの印刷キューに登録されていたプリセットの印刷設定を再利用することもできる。
【0053】
<<第2実施形態>>
第1実施形態では、PC101のOSアップグレード後に、記憶領域205に記録されている印刷キュー登録情報206が存在することを前提とし、印刷キュー306を自動的に生成する例を説明した。本実施形態では、PC101のOSアップグレード後に、記憶領域205に記録されている印刷キュー登録情報206が存在しないことを前提に、印刷キュー306を自動的に生成する例を説明する。
【0054】
図9は、OSのアップグレード前の
図2のシステム構成に、インターネット901およびサーバ902を追加したブロック図である。サーバ902は、ネットワーク208またはインターネット901を介してPC101と接続されたネットワークサーバであってもよいし、ネットワーク208のみを介してPC101と接続されるローカルサーバであってもよい。また、
図9では、PC101は、印刷キュー登録情報を退避するためのソフトウェアである退避ツール905(印刷キュー登録情報退避ツール)を有している。OSのアップグレード前では、記憶領域205に印刷キュー登録情報206が記憶されているが、OSアップグレード後には、記憶領域205に記録されている印刷キュー登録情報206が存在しなくなる。
【0055】
<印刷キュー登録情報退避処理>
図10は、PC101のOSアップグレード前に、印刷キュー登録情報を退避するための退避ツール905(退避ソフトウェア)を使用して、印刷キュー登録情報206を退避する処理フローを示す図である。なお、本実施形態では、退避ツール905は、PC101にインストールされている例を説明するが、退避ツール905は、サーバ902または他の装置が有していてもよい。
【0056】
退避ツール905を起動すると、S1001で退避ツール905は、ベンダードライバの印刷キュー登録情報206がPC101の記憶領域に存在するか判定する。S1001で退避ツール905は、ベンダードライバの印刷キュー登録情報がPC101の記憶領域に存在しないと判定した場合は処理を終了する。S1001でベンダードライバの印刷キュー登録情報が存在すると判定すると、S1002に進む。
【0057】
S1002で退避ツール905は、登録済みのプリンタリストを作成し、作成したプリンタリストを表示する。
【0058】
図11は、退避ツール905が表示する、登録済みのプリンタリスト画面1101の例を示す図である。プリンタリスト画面1101は、プリンタリスト1102、チェックボックス1103、「キャンセル」ボタン1104、および「登録」ボタン1105を有する。
【0059】
S1003でユーザは、印刷キュー登録情報206を退避するプリンタをチェックボックス1103で選択する。即ち、退避ツール905は、印刷キュー登録情報206を退避するプリンタの選択を受け付ける。ユーザが「保存」ボタン1105または「キャンセル」1104ボタンを押下すると、S1004に進む。
【0060】
S1004で退避ツール905は、ユーザによって「保存」が押下され、且つ、選択されたプリンタが1台以上あるかを判定する。条件を満たす場合、S1005に進み、それ以外の場合は処理を終了する。
【0061】
S1005で退避ツール905は、印刷キュー登録情報206の保存先(退避先)をユーザに選択させる画面を表示する。
【0062】
図12は、退避ツール905の印刷キュー登録情報の保存場所の選択画面1201の例を示す図である。S1006でユーザは、印刷キュー登録情報の保存先を選択する。即ち、退避ツール905は、印刷キュー登録情報の保存先の選択を受け付ける。ユーザが、印刷キュー登録情報を任意の場所に保存する場合は、ラジオボタン1202を選択し、入力ボックス1204に保存先のフォルダパスを入力するか、「選択」ボタン1205でファイルエクスプローラを開きファイルパスを選択する。ファイルエクスプローラで選択したフォルダパスは、入力ボックス1204に反映される。選択されたフォルダパスが、記憶領域903に相当する。また、ユーザが、印刷キュー登録情報をサーバに保存する場合は、ラジオボタン1203を選択し、入力ボックス1206にアカウント情報を入力し、入力ボックス1207にパスワードを入力する。ユーザが「OK」ボタン1209または「キャンセル」ボタン1208を押下すると、S1007に進む。S1007で退避ツール905は、ユーザが「OK」を選択したと判定すると、S1008に進み、それ以外の場合は処理を終了する。
【0063】
S1008で退避ツール905は、索引番号を初期化する(n=1)。S1009で退避ツール905は、選択されたプリンタの台数分のループを開始する。S1010で退避ツール905は、n番目のプリンタのベンダードライバの印刷キュー登録情報206からプリンタ情報を取得して、S1006でユーザが選択した場所にプリンタ情報を印刷キュー登録情報バックアップ904として保存する。プリンタ情報は、第1実施形態で示したものと同様である。その後、S1011で退避ツール905は、n番目のプリンタのベンダードライバの印刷キュー登録情報206からプリセットの印刷設定を取得して、S1006でユーザが選択した場所に印刷キュー登録情報バックアップ904として保存する。S1012で退避ツール905は、索引番号をインクリメントし、S1013に進み、ループを繰り返す。
【0064】
<印刷変換ユーティリティの印刷キュー自動生成処理>
図13は、本実施形態におけるPC101のOSをアップグレード後のシステムのブロック構成を示す図である。
図13では、
図3のシステム構成に、
図9のシステム構成で示したインターネット901および、サーバ902が追加されている。印刷キュー登録情報バックアップ904は、
図12の印刷キュー登録情報退避処理で保存されている情報である。印刷キュー登録情報バックアップ904が記憶されている記憶領域は、
図13の例では、PC101の記憶領域903を示しているが、サーバ902の記憶領域であってもよい。また、PC101の記憶領域903およびサーバ902の記憶領域の両方であってもよい。
【0065】
図14は、本実施形態における印刷変換ユーティリティ304の初回起動処理フローを示す図である。印刷変換ユーティリティ304は、初回起動のみ
図14の起動処理を開始する。
【0066】
S1401で印刷変換ユーティリティ304は、退避した印刷キュー登録情報の保存場所の入力画面を表示する。
図15は、退避した印刷キュー登録情報の保存場所の入力画面1501の例を示す図である。
【0067】
S1402でユーザは、印刷キュー登録情報退避処理で保存した(退避した)印刷キュー登録情報バックアップ904の保存先を入力する。即ち、印刷変換ユーティリティ304は、退避した印刷キュー登録情報の保存先の入力を受け付ける。任意の場所に保存した場合、ユーザはラジオボタン1502を選択し、フォルダパスを入力ボックス1504に直接入力するか、「選択ボタン」1505を押下しファイルエクスプローラを開きファイルパスを選択する。サーバに保存した場合、ユーザはラジオボタン1503を選択し、入力ボックス1506にアカウント情報、入力ボックス1507にパスワードを入力する。ユーザが「OK」ボタン1509を押下すると、印刷変換ユーティリティ304は、S1403に進む。ユーザが「キャンセル」ボタン1508を押下すると、処理を終了する。
【0068】
S1403で印刷変換ユーティリティ304は、S1402でユーザによって印刷キュー登録情報の保存場所が入力され、且つ、その保存場所に印刷キュー登録情報が存在すると判定した場合にS1404に進み、それ以外の場合は処理を終了する。
【0069】
S1404で印刷変換ユーティリティ304は、S1403で存在を確認した印刷キュー登録情報の中に、対応プリンタの情報が存在し、且つ、そのプリンタに対応した印刷変換ユーティリティ304の印刷キューが登録されていないかを判定する。条件を満たすプリンタがない場合は処理を終了し、条件を満たすプリンタがある場合、S1405に進む。
【0070】
S1405で印刷変換ユーティリティ304は、登録候補のプリンタリストを作成し、
図8で示したように、印刷変換ユーティリティ304に登録する候補のプリンタリスト画面801を表示する。S1406~S1413は、ユーザによって選択された保存場所(記憶領域)に保存されている情報である印刷キュー登録情報バックアップ904を用いる点を除いて、
図5で説明したS504~S511と同じ処理であるので、説明を省略する。
【0071】
以上説明したように、本実施形態においては、PCのOSをアップグレードする前にベンダードライバを介して印刷実行していた印刷キュー情報を、退避ツール905がPCのOSアップグレード前に退避する。そしてPCのOSアップグレード後に、印刷変換ユーティリティが、そのプリンタ一覧をユーザに報知する。印刷変換ユーティリティは、印刷変換ユーティリティに登録したいプリンタをユーザに選択させることで、印刷変換ユーティリティの印刷キュー登録を簡易化することができる。更にOSをアップグレード前に使用していたプリンタがPCに接続されていない場合、または、プリンタの電源が投入されていない場合であっても、ユーザは印刷キュー登録が可能となる。また、ユーザはベンダードライバの印刷キューに登録されていたプリセットの印刷設定を再利用できる。
【0072】
<<第3実施形態>>
第2実施形態では、PC101のOSアップグレード前に、退避ツール905を用いてベンダードライバの印刷キュー登録情報を退避する例を説明した。本実施形態では、退避ツール905ではなく、ベンダードライバが印刷キュー登録情報を退避する例を説明する。
【0073】
図16は、本実施形態におけるOSのアップグレード前のシステムのブロック構成を示す図である。
図16の構成は、
図2のシステム構成と基本的に同じ構成である。ただし、ベンダードライバ203が、印刷キュー登録情報を、印刷キュー登録情報バックアップ1602として記憶領域1601に記憶(退避)する例を示している。
【0074】
<印刷キュー登録情報退避処理>
本実施形態では、印刷キュー登録情報を退避するタイミングとして、ベンダードライバ203のインストールまたはベンダードライバ203のアップデート後の初回起動時と、ベンダードライバ203に新規の印刷キュー登録後の初回起動時とを想定している。
【0075】
図17は、ベンダードライバ203のインストールもしくはアップデート後、または、ベンダードライバ203に新規の印刷キュー登録後の初回起動時の処理フローを示す図である。ベンダードライバ203は、これらの初回起動時に
図17の処理を行う。
【0076】
S1701でベンダードライバ203は、索引番号を初期化する(n=1)。S1702でベンダードライバ203は、存在する印刷キューの個数分のループを開始する。S1703でベンダードライバ203は、n番目のプリンタのベンダードライバの印刷キュー登録情報206からプリンタ情報を取得して、印刷キュー登録情報バックアップ1602を登録する。印刷キュー登録情報バックアップ1602の記憶領域1601の場所は、ベンダードライバ203が定めた所定の場所となる。
【0077】
本実施形態ではベンダードライバ203は、印刷キュー登録情報のうちプリセットの印刷設定情報がユーザによって変更された場合に、ベンダードライバ203がその情報の退避を行う。
【0078】
図18は、ベンダードライバ203がプリセットの印刷設定情報の退避を行う処理フローを示す図である。S1801でベンダードライバ203は、プリセットの印刷設定情報がユーザによって変更されたと判定するとS1802に進む。S1802でベンダードライバ203は、印刷キュー登録情報206からプリセットの印刷設定情報を取得し、印刷キュー登録情報バックアップ1602を登録する。S1801でベンダードライバ203は新規の印刷キューの登録が行われてないと判定すると処理を終了する。
【0079】
<印刷変換ユーティリティの印刷キュー自動生成処理>
図19は、PC101のOSをアップグレード後のシステム構成である。印刷キュー登録情報バックアップ1602は、ベンダードライバ203によって印刷キュー登録情報退避処理で記録された情報である。
【0080】
印刷変換ユーティリティ304の初回起動時の処理フローについては、基本的に第1実施形態で説明した例と同様である。具体的には、S501でベンダードライバの印刷キュー登録情報が存在するかを印刷変換ユーティリティ304が判定する記憶領域が異なる点が相違し、他の部分は第1実施形態で説明した例と同様であるので、説明を省略する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態においては、PCのOSをアップグレードする前にベンダードライバを介して印刷実行していた印刷キュー情報を、ベンダードライバがPCのOSアップグレード前に自動的に退避する。そしてPCのOSアップグレード後に、印刷変換ユーティリティがそのプリンタ一覧をユーザに報知する。印刷変換ユーティリティはユーザに印刷変換ユーティリティに登録したいプリンタを選択させることで、印刷変換ユーティリティの印刷キュー登録を簡易化することができる。更にOSをアップグレード前に使用していたプリンタがPCに接続されていない場合またはプリンタの電源が投入されていない場合でも、ユーザは印刷キュー登録が可能となる。また、ユーザはベンダードライバの印刷キューに登録されていたプリセットの印刷設定を再利用できる。
【0082】
<<その他の実施形態>>
第3実施形態では、ベンダードライバ203がPC101内の記憶領域1601に印刷キュー登録情報バックアップ1602を記憶する例を説明したが、これに限られない。第2実施形態で説明したように、ベンダードライバ203が所定のサーバに印刷キュー登録情報バックアップ1602を保存するように構成されていてもよい。
【0083】
また、本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0084】
101 PC
202 OS印刷システムA
301 OS印刷システムB
302 OS標準印刷制御部
304 印刷変換ユーティリティ
305 ベンダードライバ