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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】配線板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20240527BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240527BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240527BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H05K3/28 B
H05K3/34 502E
H01L23/12 F
H01L23/28 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020022779
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021129026
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 元通
(72)【発明者】
【氏名】大竹 正洋
【審査官】小南 奈都子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-165830(JP,A)
【文献】特開2006-332203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/28
H05K 3/34
H01L 23/12
H01L 23/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁材料からなる絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成されていて複数個の部品実装パッドを含む導体層と、
前記絶縁層の上及び前記導体層の上に形成されていて前記複数個の部品実装パッドを露出させるソルダーレジスト層と、
を備える配線板であって、
前記ソルダーレジスト層は、前記複数個の部品実装パッドの領域を取り囲む第1の溝を有し、
前記ソルダーレジスト層の前記絶縁層と反対面である第1面における前記第1の溝の幅が、前記ソルダーレジスト層の前記第1面よりも前記絶縁層側における前記第1の溝の幅よりも小さく、
前記部品実装パッドを露出させる前記ソルダーレジスト層の開口は、前記第1面から前記絶縁層に向かって連続的に幅が狭くなる形状である。
【請求項2】
請求項1記載の配線板であって、前記第1の溝は、前記第1の溝の幅が、前記第1面から前記絶縁層に向かって連続的に広くなる形状である。
【請求項3】
絶縁材料からなる絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成されていて複数個の部品実装パッドを含む導体層と、
前記絶縁層の上及び前記導体層の上に形成されていて前記複数個の部品実装パッドを露出させるソルダーレジスト層と、
を備える配線板であって、
前記ソルダーレジスト層は、前記複数個の部品実装パッドの領域を取り囲む第1の溝を有し、
前記ソルダーレジスト層の前記絶縁層と反対面である第1面における前記第1の溝の幅が、前記ソルダーレジスト層の前記第1面よりも前記絶縁層側における前記第1の溝の幅よりも小さく、
前記第1の溝の幅が、前記第1面から一定の距離だけほぼ同じ幅で形成され、その後前記絶縁層に向かって連続的に広くなっている。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の配線板であって、前記第1の溝が前記ソルダーレジスト層を貫通して前記絶縁層が前記第1の溝の底部に露出している。
【請求項5】
請求項1又は3記載の配線板であって、前記ソルダーレジスト層の前記第1面と前記第1の溝の側壁とのなす角度αが80度以上、90度以下である。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の配線板であって、前記部品実装パッドを囲む前記第1の溝のさらに外周部に前記第1の溝と離間して第2の溝をさらに含み、前記ソルダーレジスト層の前記第1面における前記第2の溝の幅が、前記ソルダーレジスト層の前記第1面よりも前記絶縁層側における前記第2の溝の幅よりも小さい。
【請求項7】
表面に複数個の部品実装パッドを含む導体層を有する絶縁層を用意することと、
前記絶縁層の上及び前記導体層の上に前記複数個の部品実装パッドを露出するようにソルダーレジスト層を形成することと、
前記複数個の部品実装パッドの領域を取り囲むように、前記ソルダーレジスト層に露光と現像によって第1の溝を形成することと、
を含む配線板の製造方法であって、
前記第1の溝は、前記ソルダーレジスト層の前記絶縁層と反対面である第1面における前記第1の溝の幅が、前記ソルダーレジスト層の前記第1面よりも前記絶縁層側における前記第1の溝の幅よりも小さく、
前記配線板の製造方法は、さらに、前記第1面から前記絶縁層に向かって連続的に幅が狭くなる形状で前記部品実装パッドを露出させる前記ソルダーレジスト層の開口を形成することを含んでいる。
【請求項8】
表面に複数個の部品実装パッドを含む導体層を有する絶縁層を用意することと、
前記絶縁層の上及び前記導体層の上に前記複数個の部品実装パッドを露出するようにソルダーレジスト層を形成することと、
前記複数個の部品実装パッドの領域を取り囲むように、前記ソルダーレジスト層に露光と現像によって第1の溝を形成することと、
を含む配線板の製造方法であって、
前記第1の溝は、前記ソルダーレジスト層の前記絶縁層と反対面である第1面における前記第1の溝の幅が、前記ソルダーレジスト層の前記第1面よりも前記絶縁層側における前記第1の溝の幅よりも小さく、且つ、前記第1面から一定の距離だけほぼ同じ幅で形成され、その後前記絶縁層に向かって連続的に広くなっている。
【請求項9】
請求項8記載の配線板の製造方法であって、
前記複数個の部品実装パッドは、前記ソルダーレジスト層への露光と現像とによって露出され、
前記部品実装パッドを露出させる開口の形成と前記第1の溝の形成とが同じステップで行われる。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の配線板の製造方法であって、
前記第1の溝を形成することは、前記絶縁層を露出させることを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体素子の実装基板の実装面側において、基板パッド部を除いた箇所にソルダーレジスト膜が形成され、ソルダーレジスト膜には、基板パッド部に実装される半導体素子の外側周囲の少なくとも一部に沿って溝が形成された半導体素子の実装基板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-150206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の半導体素子の実装基板は、実装された半導体素子と実装基板との間の間隙部に充填されるエポキシ樹脂を、半導体素子の充填部側から充填部と反対側に流れやすくするために溝又は突状部が形成されている。しかし、充填される樹脂が、溝又は突状部を超えてその外周部に流出することがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線板は、絶縁材料からなる絶縁層と、前記絶縁層の上に形成されていて複数個の部品実装パッドを含む導体層と、前記絶縁層の上及び前記導体層の上に形成されていて前記複数個の部品実装パッドを露出させるソルダーレジスト層と、を備えている。そして、前記ソルダーレジスト層は、前記複数個の部品実装パッドの領域を取り囲む第1の溝を有し、前記ソルダーレジスト層の前記絶縁層と反対面である第1面における前記第1の溝の幅が、前記ソルダーレジスト層の前記第1面よりも前記絶縁層側における前記第1の溝の幅よりも小さい。
【0006】
本発明の配線板の製造方法は、表面に複数個の部品実装パッドを含む導体層を有する絶縁層を用意することと、前記絶縁層の上及び前記導体層の上に前記複数個の部品実装パッドを露出するようにソルダーレジスト層を形成することと、前記複数個の部品実装パッドの領域を取り囲むように、前記ソルダーレジスト層に露光と現像によって第1の溝を形成することと、を含む。そして、前記第1の溝は、前記ソルダーレジスト層の前記絶縁層と反対面である第1面における前記第1の溝の幅が、前記ソルダーレジスト層の前記第1面よりも前記絶縁層側における前記第1の溝の幅よりも小さい。
【0007】
本発明の実施形態によれば、配線板の表面において、アンダーフィル材などが所定の領域外へ流出することを抑止し得ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の配線板の一例を示す上面図である。
図2図1に示される配線板のII-II線に沿った断面図である。
図3図1の配線板に電子部品が実装され、アンダーフィル材が電子部品と配線板との間に充填され、第1の溝でアンダーフィル材が堰き止められる状態の説明図である。
図4A】ソルダーレジスト層に第1の溝の形成を説明する断面図である。
図4B】ソルダーレジスト層に形成される第1の溝の他の形状の断面図である。
図5A】逆テーパ形状の溝を形成する工程を示す断面図である。
図5B】逆テーパ形状の溝を形成する工程を示す断面図である。
図5C】逆テーパ形状の溝を形成する工程を示す断面図である。
図5D】逆テーパ形状の溝を形成する工程を示す断面図である。
図6A】順テーパ形状の開口を形成する工程を示す断面図である。
図6B】順テーパ形状の開口を形成する工程を示す断面図である。
図6C】順テーパ形状の開口を形成する工程を示す断面図である。
図6D】順テーパ形状の開口を形成する工程を示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態の配線板の他の例を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態の配線板のさらに他の例を示す上面図である。
図9図8に示される配線板のIX-IX線に沿った断面図である。
図10A】本発明の一実施形態の配線板の製造方法の一例を示す図である。
図10B】本発明の一実施形態の配線板の製造方法の一例を示す図である。
図10C】本発明の一実施形態の配線板の製造方法の一例を示す図である。
図10D】本発明の一実施形態の配線板の製造方法の一例を示す図である。
図10E】本発明の一実施形態の配線板の製造方法の一例を示す図である。
図10F】本発明の一実施形態の配線板の製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
つぎに、本発明の一実施形態の配線板が図面を参照しながら説明される。図1には、配線板の一例である配線板1の平面図が示され、図2には図1に示される配線板1のII-II線に沿った断面図が示されている。
【0010】
配線板1は、絶縁層及び導体層又は導電層が交互に積層されることで形成され、積層方向の一方の面側の第1面1Fと、第1面1Fと反対側の第2面1Bとを有している。配線板1は、その第1面1Fに露出するソルダーレジスト層13及びソルダーレジスト層13から一部露出する導体層10と、ソルダーレジスト層13及び導体層10の第1面1Fと反対面に積層された絶縁層11、樹脂絶縁層11a、導電層12及び被覆層14からなる。配線板1の第2面1Bには、被覆層14及び導電層12の一部が露出している。
【0011】
第1面1Fは、外部の電子部品Eを搭載する部品搭載面として形成される。第1面1F側に形成された導体層10は、複数個の部品実装パッド(以下、第1の接続パッドともいう)10a、及び複数個の第2の接続パッド10bを有している。図1の平面図に示されるように、複数個の第1の接続パッド10aが形成されている領域を取り囲むように、ソルダーレジスト層13に第1の溝13cが形成されている。第2の接続パッド10bは、第1の溝13cの外側(配線板1の周縁側)に形成されている。第1の接続パッド10aには、例えば外部の電子部品Eである半導体ICチップが、はんだバンプ等を介してフリップチップ実装される。第2の接続パッド10bには、別の電子部品が接続される。例えば、第1の接続パッド10aに接続される電子部品(半導体ICチップ)Eを跨ぐように配置されるパッケージ基板がはんだボール等を介して接続され得る。絶縁層11と樹脂絶縁層11aとは同じ材料で同じ厚さに形成されている。また、導体層10と導電層12も同じ材料で同じ厚さに形成され得る。
【0012】
図2に示される例では、第1面1Fを構成する、第1の接続パッド10a及び第2の接続パッド10bそれぞれの上面は、絶縁層11に対して同じ高さとなるように形成されている。なお、図1において、第1の溝13cは、第1の接続パッド10aが形成されている領域を一続きの枠形状で包囲するように形成されているが、第1の溝13cは部分的に離間して第1の接続パッド10aが形成されている領域を取り囲むように形成されてもよい。
【0013】
配線板1の第2面1Bには、被覆層14に形成される開口から露出する導電層12によって第3の接続パッド12aが形成されている。第3の接続パッド12aは、例えば、配線板1が用いられる電子機器のマザーボードや、積層構造を有する半導体装置のパッケージ基板などとの接続に用いられ得る。なお、図示される例の配線板1では、被覆層14はソルダーレジスト層として形成されている。
【0014】
配線板1は、1又は2層以上の樹脂絶縁層11a、及び、1又は2層以上の導電層12を有している。図1及び図2に示される例では、配線板1は、1層の絶縁層11と2層の樹脂絶縁層11a(合計3層の樹脂絶縁層)と、1層の導体層10と3層の導電層12(合計4層の導体層又は導電層)を有している。樹脂絶縁層11a及び導電層12の層数は適宜増減され得る。配線板1は4層より多い導電層を含んでいてもよい。配線板1がより多くの導電層を含むことにより、配線板1の平面サイズを大きくすることなく、より規模が大きく複雑な電気回路を配線板1内に形成することが可能となる。
【0015】
配線板1の絶縁層11及び樹脂絶縁層11aには、導電層12同士、又は、導電層12と導体層10とを接続するビア導体12bが形成されている。各ビア導体12bは第1面1F側に向かって縮径するテーパ形状を有している。なお、便宜上、「縮径」という文言が用いられているが、ビア導体12bの開口形状は必ずしも円形に限定されない。「縮径」は、単に、ビア導体12bの水平断面における外周上の最長の2点間の距離が小さくなることを意味している。
【0016】
配線板1の絶縁層11及び樹脂絶縁層11aは、エポキシ樹脂等の任意の絶縁性樹脂を用いて形成される。ポリイミド樹脂、BT樹脂(ビスマレイミド-トリアジン樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノール樹脂等も用いられ得る。樹脂絶縁層11aはシリカなどの無機フィラーを含んでいてもよい。配線板1は所謂「コアレス基板」の形態を有している。しかし、必要に応じて、樹脂絶縁層11aは、ガラス繊維やアラミド繊維などの芯材を含むコア基板を含んでいてもよい。2層の樹脂絶縁層11aと絶縁層11はそれぞれ異なる材料で構成されてもよく、2層の樹脂絶縁層11a及び絶縁層11の全てが同じ材料で形成されてもよい。樹脂絶縁層11a同士及び絶縁層11との間での剥離を抑制するために、2層の樹脂絶縁層11a及び絶縁層11の全てが同じ材料であることが好ましい。
【0017】
ソルダーレジスト層13及び被覆層14は、任意の絶縁性樹脂を用いて形成される。ソルダーレジスト層13及び被覆層14は、例えば、感光性のポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等を用いて形成される。ソルダーレジスト層13は、第1の接続パッド10a及び第2の接続パッド10bを露出させている。被覆層14は、第3の接続パッド12aの縁部を覆うように形成されるソルダーレジスト層であり得る。第1の接続パッド10a、第2の接続パッド10b及び第3の接続パッド12aに供給される、はんだ等の接続材の濡れ拡がりが抑制され、第1の接続パッド10a、第2の接続パッド10b及び第3の接続パッド12aそれぞれの間のショートによる不具合が防止され得る。導体層10及び導電層12のそれぞれの一部を露出させる開口はフォトリソグラフィ技術を用いて形成される。
【0018】
導体層10、及び、導電層12は、銅やニッケルなどの、適切な導電性を備える任意の材料を用いて形成される。導体層10、及び、導電層12は、例えば、電解銅めっき膜、もしくは無電解銅めっき膜、又はこれらの組み合わせによって形成される。導体層10は、好ましくは電解銅めっき膜によって構成される。また、導電層12は、好ましくは、無電解銅めっき膜層121及び電解銅めっき膜層122の2層構造で形成されている。しかし、各導体層の構成は、図2に例示される単層構造又は多層構造に限定されない。例えば、銅箔、無電解銅めっき膜層、及び電解銅めっき膜層の3層構造で構成されてもよい。
【0019】
ビア導体12bは、好ましくは、無電解銅めっき膜と電解銅めっき膜とで形成される。図2に示されるように、ビア導体12bは導電層12を構成している無電解銅めっき膜及び電解銅めっき膜と一体的に形成され得る。
【0020】
上述のように、第1の溝13cは、第1の接続パッド10aが形成される領域と第2の接続パッド10bが形成される領域の間に、第1の接続パッド10aが形成される領域を取り囲むように形成される。この第1の溝13cは、例えば、第1の接続パッド10aに半導体ICチップ等の電子部品Eがフリップチップ実装される際に、電子部品Eと配線板1の第1面1Fとの間に充填されるアンダーフィル材などが周囲に流れ拡がるのを抑止するダムとして機能し得る。第1の溝13cの幅は、後述されるように、ソルダーレジスト層13の露出面(配線板1の第1面1F)と底面側とで幅が異なるが、第1面1Fにおける第1の溝13cの幅は、例えば50μm以上、100μm以下に形成される。
【0021】
電子部品Eを第1の接続パッド10aにはんだバンプなどを介して接続する場合には、電子部品Eの下部(配線板1の第1面1Fと電子部品Eとの隙間)に、接続を安定させるために、流動性を有するアンダーフィル材が充填され、固化される。アンダーフィル材が、電子部品Eが搭載される領域の外側へ流れ出すと、他の電子部品が搭載される接続パッド(例えば第2の接続パッド10b)上に付着して接続不良を引き起こし得る。通常、配線板1と電子部品Eとの隙間に確実にアンダーフィル材を充填するためにアンダーフィル材の流動性が高められているので、接続不良の発生が懸念される。第1の溝13cは、この電子部品Eの搭載領域の外側へのアンダーフィル材の流出を防止し得る。
【0022】
すなわち、図3に電子部品Eが配線板の第1の接続パッド10aに搭載された概略断面図が示されるように、配線板の絶縁層11上のソルダーレジスト層13から露出する第1の接続パッド10aと電気的に接続されるように、はんだバンプ17を介して電子部品Eが接続された後、その電子部品Eと配線板のソルダーレジスト層13との隙間にアンダーフィル材15がディスペンサ18などによって充填される。この際、アンダーフィル材15は、流動性を有するため、電子部品Eの周囲までソルダーレジスト層13の表面を流れやすい。そのような過剰な流動を制限するために、本実施形態では、複数個の第1の接続パッド10aの領域の周囲におけるソルダーレジスト層13に第1の溝13cが形成されている。この第1の溝13cによって、ソルダーレジスト層13の表面は途切れて端縁となり、アンダーフィル材15の流れは食い止められる。この際、アンダーフィル材15の端部は第1の溝13cとの境界部で表面張力によって丸くなり、流れを食い止める作用をする。
【0023】
このアンダーフィル材15の流れを食い止める作用を大きくするために、第1の溝13cの形状に工夫がなされている。すなわち、この第1の溝13cの断面形状は、図3に示されるように逆テーパ形状(ソルダーレジスト層13の露出面(配線板1の第1面1F)側の幅が小さく、深さ方向(絶縁層11側)で幅広の形状)になっている。このような形状にすることによって、順テーパ形状(第1面1Fにおけるソルダーレジスト層13の第1の溝13cの幅が溝の底部側の幅よりも大きい形状)の場合より、アンダーフィル材15の流動をより一層抑止しやすい。何故ならば、一面に沿ってアンダーフィル材15が流動して溝に達する場合、溝が順テーパ形状になっていると、そのまま溝の壁面に沿って流動して溝内に流れ込みやすい。しかし、溝が逆テーパ形状になっていると、一面の裏側の方向にはアンダーフィル材15は流れることができず、溝の入り口で表面張力によって留まる。流動してくるアンダーフィル材15の量が多くなると、溝の入り口でのアンダーフィル材15の重量が大きくなり、重力が表面張力より勝って落下することになるが、重力よりも表面張力が大きい場合には、アンダーフィル材15は踏みとどまる。従って、第1の溝13cが図3に示されるような逆テーパ形状になっていれば、流動抑止の効果が大きく発揮される。
【0024】
もし、重力が表面張力よりも勝った場合でも、アンダーフィル材15は第1の溝13cの入り口から第1の溝13c内に落下する。第1の溝13cは、底面側で幅広になっているため、第1の溝13cの底面側の容積が大きくなっている。そのため、第1の溝13c内に落下したアンダーフィル材15の量が多くても、アンダーフィル材15は第1の溝13c内に十分に溜まり得る。また、たとえアンダーフィル材15の量が多くて、第1の溝13c内に落下し、第1の溝13c内に溜まっても、第1の溝13c内が埋まらない限り、第1の溝13cを乗り越えることはできない。第1の溝13cは入口側の幅が狭い逆テーパ形状になっているので、流動物(落下したアンダーフィル材15)が、第1の溝13cの逆テーパ形状の壁面を上ることができないからである。従って、このような形状にすることは、アンダーフィル材15の流動を阻止するのに大きく寄与する。もし、流動物の第1の溝13c内への落下量がさらに多すぎる場合には、後述される第2の溝13d(図8及び図9参照)が設けられることによって、第1の溝13cと同様の作用によってアンダーフィル材15の流動が抑止され得る。
【0025】
第1の溝13cは、図2又は図3に示されるように、ソルダーレジスト層13を貫通して絶縁層11が露出するように形成されてもよい。この場合、第1の溝13cの底面は露出した絶縁層11の露出面になる。すなわち、ソルダーレジスト層13と絶縁層11との界面における開口の幅が最も絶縁層11側の第1の溝13cの幅になる。しかし、本実施形態における「第1面1Fにおける第1の溝13cの幅が、ソルダーレジスト層13の絶縁層11側における第1の溝13cの幅よりも小さい」、における「絶縁層11側」は、このような絶縁層11に一番近いところの溝の幅を意味するのではなく、その近傍を意味している。また、ソルダーレジスト層13の上面(露出面)は、配線板1の第1面1Fと一致するので、ソルダーレジスト層13の第1面1Fとも称される。
【0026】
第1の溝13cはソルダーレジスト層13を貫通しないで、その途中で止められてもよい。この場合でも、第1の溝13cが逆テーパ形状になっていることによって、その第1面1F側でアンダーフィル材15を抑止し得るので効果がある。この場合の第1の溝13cの絶縁層11に最も近い位置は、この凹部の底面になる。すなわち、第1の溝13cの最も絶縁層11に近い部分の溝の幅は、第1の溝13cの底面又はソルダーレジスト層13を貫通した場合の絶縁層11の露出面における貫通孔の幅になる。
【0027】
第1の溝13cの形状及びその形成法について、さらに詳細に説明される。図4Aには、図2及び図3に示される例と同様に、ソルダーレジスト層13の露出面(第1面1F)から、ソルダーレジスト層13を貫通して絶縁層11が露出する底面に向かって連続的に溝の幅が広くなる逆テーパ形状である。しかし第1の溝13cの断面形状は、この例に限らず、例えば図4Bに示されるように、第1の溝13cは、ソルダーレジスト層13の露出面側から一定距離まではほぼ同じ幅を有し、それよりも底面側では、底面に向かって溝の幅が連続的に広がっていてもよい。
【0028】
図4Aに示される第1の溝13cの形状は、前述したように、逆テーパ形状になっている。このような逆テーパ形状にすることによって、前述したように、アンダーフィル材15の流動を抑止する効果がある。このような逆テーパ形状にするテーパ角度、すなわちソルダーレジスト層13の第1の溝13cの形成により残存するソルダーレジスト層13の露出面(第1面1F)と第1の溝13cの壁面とのなす角度αは、鋭角であればアンダーフィル材15の流動を抑止できるので好ましい。しかし、角度に関わらず流動物が、逆テーパ形状を有する第1の溝13cの内壁へと流動することは困難であるため、あまり小さい角度にする必要はない。一方、後述する図4Bの構造でも流動抑止の効果を発揮するので、最大の角度αは90度でもよい。従って、角度αは、80度以上、90度以下であることが好ましい。前述した流動抑制効果を発揮し得る第1の溝13cの製造が容易であると考えられる。
【0029】
図4Bに示される構造は、前述のように、図4Aの角度αが90度である例である。図3又は図4Aに示される形状よりは表面張力による端部での流動抑止の効果は大きくないが、図4Bの形状も、アンダーフィル材15の量や粘度次第で、十分に流動抑止の効果を発揮する。また、図4Bに示される構造では、途中から逆テーパ形状になっているので、この位置からは、図4Aと同様に逆テーパ形状の効果を発揮する。
【0030】
以上のように、第1の溝13cの形状は、種々の形状をとり得る。第1の溝13cの形状は、第1面1Fにおける第1の溝13cの幅が、ソルダーレジスト層13の第1面1Fよりも絶縁層11側の第1の溝13cの底面又は絶縁層11の露出面における第1の溝13cの幅よりも小さくなっていれば、その内壁の形状について制約されない。
【0031】
次に、このようなソルダーレジスト層13の第1面1Fにおける溝の幅が小さく、第1の溝13cの底面側で幅広となる第1の溝13cの形成法が図5A~5Dを参照して説明される。まず、図5Aに示されるように、絶縁層11及び導体層10(図5Aでは省略)上にソルダーレジスト層13aが形成される。ソルダーレジスト層13aとして、例えばネガ型の感光性樹脂が用いられる。その後、図5Bに示されるように、第1の溝13cの形成場所におけるソルダーレジスト層13aの露出面(第1面1F)にマスク19が設けられる。マスク19の形成では、紫外線を透過させないレジスト膜が絶縁層11などの全面に形成される。その後、第1の溝13cの形成場所のみにレジスト膜が残存するようにパターニングされることによってマスク19が形成される。
【0032】
その後、図5Cに示されるように、紫外線Uが照射される。マスク19は紫外線Uを透過させないが、マスク19のない部分では紫外線Uがソルダーレジスト層13a中に入り込み、ソルダーレジスト層13aは紫外線Uに反応し硬化する。この際、紫外線Uはソルダーレジスト層13aで吸収されながら内部に浸透する。その結果、紫外線Uはソルダーレジスト層13aの中を進行しながら減衰する。そのため、紫外線のビームは先細りになる。その結果、図5Cに示されるように、紫外線Uの照射によって、硬化した領域Aは段々狭くなり、逆に、紫外線と反応しない領域Bは末広がりでマスク19の幅よりも広くなる。露光されない領域Bにおいてソルダーレジスト層13aが残存し、露光された領域Aがソルダーレジスト層13になる。
【0033】
その後、マスク19が除去されてから現像液に浸漬され、現像されることによって、図5Dに示されるように、露光されないで未反応の領域Bのソルダーレジスト層13aは除去され、第1の溝13cが形成される。この紫外線Uの強度が弱いと減衰も早く、未反応の領域Bが大きくなる。従って、強度の弱い紫外線Uが照射されると、硬化した領域Aのソルダーレジスト層13の第1面1Fと、硬化しないで現像によって除去される領域(未反応の領域)Bである第1の溝13cの壁面とのなす角度αは小さくなる。逆に、強度の強い紫外線Uによってソルダーレジスト層13が露光されると、角度αの大きい第1の溝13cが形成される。
【0034】
従って、紫外線Uの強度を強くすると、第1面1F側から一定の深さまで紫外線Uが吸収されて弱くなってもソルダーレジスト層13を硬化させることができる。その結果、適当な強さの紫外線Uを照射することにより、図4Bに示されるように、ある一定の深さまでは、ソルダーレジスト層13の第1面の幅とほぼ同じ幅で溝が形成される。そして、一定の深さのところから紫外線Uの減衰によって露光領域が減り、硬化した領域Aはテーパ状に減少する。換言すると、ソルダーレジスト層13の第1面1Fにおける硬化した領域Aのソルダーレジスト層13の第1面1Fと、硬化していない領域Bとのなす角度αは90度になるが、一定の深さ以上では、αが90度よりも小さくなる。このような形状でも、前述したように、流動抑止の効果が発揮される。また、第1の溝13cの容積が大きくなるので、多くのアンダーフィル材15が第1の溝13c内に保持され得る。
【0035】
一方、図2~3に示されるように、第1の接続パッド10aなどを露出させる開口13eでは、ソルダーレジスト層13の第1面1Fでの開口13eの幅が第1の接続パッド10aにおける開口13eの幅よりも大きく形成される(残存するソルダーレジスト層13に関して順テーパ形状に形成される)ことが好ましい場合がある。例えば図3に示されるように、はんだバンプ17によって接続される場合、ソルダーレジスト層13の開口13eが順テーパ形状の方がはんだバンプ17が収まりやすいからである。しかし、開口13eは、ソルダーレジスト層13の厚さ方向において幅が略変化しないストレート形状を有していてもよい。
【0036】
このようなソルダーレジスト層13の開口13eを順テーパ形状に形成する方法が図6A~6Dを参照して説明される。まず、図6Aに示されるように、絶縁層11及び第1の接続パッド10aの上にソルダーレジスト層13aが形成される。図6Aには、第1の接続パッド10a上の開口13eの形成のため、第1の接続パッド10aの部分が図示されている。
【0037】
次に、図6Bに示されるように、開口13eの形成場所に紫外線の透過を阻止するマスク19が形成される。このマスク19の形成方法は、例えば前述の図5Bに示される例と同じである。この後、図6Cに示されるように、紫外線Uが全面に照射される。マスク19が存在しない領域においてソルダーレジスト層13を透過した紫外線Uは、開口13eの形成場所の近傍には第1の接続パッド10aが存在するため、第1の接続パッド10aの周縁部で乱反射光Rを発生させる。その結果、マスク19の真下の領域でも、その周縁部ではソルダーレジスト層13が反射光Rによって露光される。そして、図6Cに示されるように、未露光領域Bは、ソルダーレジスト層13の第1面1Fにおける幅が第1の接続パッド10との境界部である底面における幅よりも大きくなる。
【0038】
その後、マスク19が除去され、現像されることによって、未露光のソルダーレジスト層13a(未露光領域B)が除去される。その結果、図6Dに示されるように、開口13eの周囲に残存するソルダーレジスト層13が順テーパ形状を有する開口13eが形成される。
【0039】
このように、第1の接続パッド10aを露出させるために形成された開口13eの断面形状が順テーパ形状で、第1の溝13cの断面形状が逆テーパ形状である配線板1aの例が図7に示されている。すなわち、図7は、図2に示される構造とは異なり、コア基板20に形成されたスルーホール導体21を介して、コア基板20の両面に形成されたビルドアップ層が接続された配線板1aを示している。配線板1aのコア基板20の一方の面に形成された絶縁層11及び第1の導体層10を覆うようにソルダーレジスト層13が形成され、コア基板20の他方の面に樹脂絶縁層11a及び導電層12を覆うように被覆層14が形成されている。そのソルダーレジスト層13に第1の接続パッド10aの一部を露出させる開口13eが形成されている。また、被覆層14に第3の接続パッド12aが露出するように開口14eが形成されている。開口13e、14eは、順テーパ形状(ソルダーレジスト層13(被覆層14)の上面(露出面;配線板1aの第1面1F)での断面の幅が、底面(第1の接続パッド10aと接する面)の断面の幅よりも大きい形状)に形成されている。この形状は、前述の図6A~6Dを参照して説明された方法で形成される。
【0040】
また、第1の溝13cの断面形状は逆テーパ形状(順テーパ形状と溝の幅の大小関係が逆になる形状)に形成されている。この逆テーパ形状の構造は、前述の図5A~5Dに示されるように形成され得る。なお、ビルドアップ層を構成する樹脂絶縁層11aと導電層12は前述の図1~2で説明されたものと同じであり、同じ符号を付してその説明は省略される。スルーホール導体21もビア導体12bと同様に形成される。このように、同じソルダーレジスト層13に形成される開口13eと第1の溝13cの断面形状が順テーパ形状及び逆テーパ形状という異なる形状に形成されている。
【0041】
この開口13eの形成と、第1の溝13cの形成は、同じステップで同時に行われてもよく、別々のステップで行われてもよい。同じステップで紫外線が照射されても、開口13eの下には導体層(第1の接続パッド10a)が存在するため、図6Cに示されるように、紫外線がその導体層で乱反射してマスク19の下でも、その周縁部は露光される。その結果、順テーパ形状になりやすい。一方、第1の溝13cの形成箇所には導体層が存在しないので紫外線の反射光は生じない。しかも開口13eの場所よりもソルダーレジスト層13の厚さが厚いため、絶縁層11に近づくにしたがって、紫外線は減衰する。従って、逆テーパ形状に形成されやすい。しかし、開口13e形成用の紫外線の照射と、第1の溝13c形成用の紫外線の照射を別々の工程で紫外線の強度を変えて行うこともできる。また、図7では、第2の接続パッドが省略されているが、図2の例と同様に第2の接続パッドが形成されてもよい。
【0042】
前述の各例では、ソルダーレジスト層13としてネガ型の感光性樹脂を使用したが、ポジ型の感光性樹脂を使用しても、露光と非露光の領域を逆にすれば同様に所望の形状の第1の溝13cを形成することができる。
【0043】
次いで、図8及び図9を参照して、一実施形態である配線板の他の例が説明される。図8及び図9に示される配線板1bは、図1及び図2と同様の上面図及び断面図であり、配線板1と異なり、第2の溝13dを備えている。第2の溝13dは第1の溝13cと第2の接続パッド10bとの間に設けられており、第1の溝13cを枠状に取り囲むように形成される。第2の溝13dは、第1の溝13cと同様に、例えば、第1の接続パッド10aに接続される電子部品Eと配線板1aとの間隙に充填されるアンダーフィル材などが、第1の接続パッド10aが形成される領域の外側へと流出するのを防ぐダムとして機能する。第1の溝13cで阻止されなかったアンダーフィル材の濡れ拡がりは第2の溝13dで抑止される。第2の接続パッド10b上にアンダーフィル材が付着することがより確実に防止される。
【0044】
第2の溝13dの幅は、第1の溝13cとほぼ同じ幅で形成されてもよく、第2の溝13dの断面形状は、前述の図4A~4Bに示される形状と同様の形状に形成されてもよい。すなわち、ソルダーレジスト層13の上面(配線板1bの第1面1F)における第2の溝13dの幅が、第2の溝13dの底面又はソルダーレジスト層13を貫通した場合の絶縁層11との界面における第2の溝13dの幅より小さい。第2の溝13dは、前述の第1の溝13cと同様に露光と現像によって形成され得る。
【0045】
配線板1bにおいて、第1の溝13c及び第2の溝13dは例えば50~200μm程度の間隔をあけて形成される。このような間隔で2重に溝を設けることによって、配線板1bのサイズの拡大を抑制しながらアンダーフィル材の流動抑止効果を高めることができる。なお、第1の溝13cでほぼ流動抑制の目的が達成され得るので、第2の溝13dは必須の要素ではなく、両溝同士の間隔も、必ずしも上記に例示の範囲に限定されない。第2の溝13dも、第1の溝13cの周囲を切れ目なく囲んでいることが好ましいが、途切れて周状に間欠的に形成されてもよい。第1及び第2の溝13c、13dの近傍が疎油性を有することが好ましい。より有効にアンダーフィル材の濡れ拡がりを抑止できる場合がある。
【0046】
配線板1、1a、1bにおける各接続パッド(第1の接続パッド10a、第2の接続パッド10b、第3の接続パッド12a)のそれぞれの表面には、図示しない保護膜が形成されてもよい。例えばNi/Pd/Auからなる保護層が設けられる。保護層はNi/Au、又はSnにより形成されてもよい。有機材の吹き付けによりOSP膜が形成されてもよい。
【0047】
次いで、図10A~10Fを参照して、図1及び図2に示される配線板1の製造方法が説明される。先ず、図10A及び図10Bに示されるように、支持板100上に、第1の接続パッド10a、及び第2の接続パッド10bとなる導体層10が形成される。支持板100の両面が配線板1の形成に用いられてもよく、支持板100の片方の面だけが配線板1の形成に用いられてもよい。図10Aは支持板100の両面が描かれているが、図10B以降では支持板100の一方側のみが図示され、別の一方側に形成される導体層などは省略されている。なお、図10A~10Fにおいて各構成要素の厚さの正確な比率を示すことは意図されていない。配線板1の製造方法の説明においては、支持板100から遠い側を「上」、「外」、「上側」、又は「外側」と称する。
【0048】
図10Aに示されるように、コア材101及びその表面に金属箔103を有する支持板100が用意される。金属箔103は、そのコア材101側の一面に接着されたキャリア金属箔102を備えており、キャリア金属箔102とコア材101とが熱圧着などにより接合されている。金属箔103とキャリア金属箔102とは、剥離可能なように、例えば、熱可塑性接着剤などの分離可能な接着剤で接着されるか、縁部だけで固着されている。コア材101には、例えばガラスエポキシ基板が用いられる。両面銅張積層板が、キャリア金属箔102を備えたコア材101として用いられてもよい。金属箔103及びキャリア金属箔102は好ましくは銅箔である。
【0049】
続いて、図10Bに示されるように、支持板100上に導体層10が形成される。例えば、図示されないめっきレジストが金属箔103上に形成される。めっきレジストには、導体層10が有するべき、第1及び第2の接続パッド10a、10bのパターンに応じた開口が設けられる。そして、めっきレジストの開口部に、金属箔103をシード層とする金属材料の電解めっきにより、例えば電解銅めっき膜が形成され、その後、めっきレジストが除去される。所望のパターンを有する導体層10(第1の接続パッド10a、第2の接続パッド10b)が形成される。導体層10は、無電解めっきなどの他の方法で形成されてもよく、スパッタリングや真空蒸着などにより形成されてもよい。
【0050】
さらに、図10Cに示されるように、支持板100上及び導体層10上に絶縁層11及び導電層12と樹脂絶縁層11aが積層され、導体層10、絶縁層11、樹脂絶縁層11a、及び導電層12を含む積層体が形成される。導電層12は、無電解めっき膜121とその無電解めっき膜121をシード層として電解めっきによって形成された電解めっき膜122とからなっている。絶縁層11、樹脂絶縁層11a及び導電層12の積層には、一般的なビルドアップ配線板の製造方法が用いられ得る。
【0051】
導体層10に接する絶縁層11は、例えば、導体層10及び金属箔103の露出部分上へのフィルム状のエポキシ樹脂などの熱圧着によって形成される。絶縁層11は、第1の接続パッド10a、及び第2の接続パッド10bを含む導体層10を、金属箔103側の一面を除いて被覆するように形成される。その後、ビア導体12bの形成場所に対応する位置の絶縁層11に、例えば炭酸ガスレーザー、又はYAGレーザーなどのレーザー光の照射によって、絶縁層11を貫通する導通用孔が形成される。
【0052】
次いで、導通用孔の内側、絶縁層11の表面上に、例えば無電解めっきによって金属膜(無電解めっき膜121)が形成される。さらに、この金属膜をシード層として用いて、パターンめっき法を用いて電解めっき膜122が形成される。その後、パターンめっきに用いられたレジストは除去され、その除去により露出する金属膜がエッチングにより除去される。その結果、導体層10に接して形成される絶縁層11の支持板100と反対側に、所望の導体パターンを有する導電層12が形成され、また、導通用孔内には、ビア導体12bが導電層12と一体的に形成される。配線板1の製造においては、この絶縁層11と導電層12の形成と同様の方法で、2層の樹脂絶縁層11a、及び、さらに2層の導電層12がビア導体12bと共に形成される。
【0053】
次に、支持板100が除去される。具体的には、キャリア金属箔102と金属箔103とが分離され、それにより露出する金属箔103が、例えばエッチングによって除去される。金属箔103とキャリア金属箔102との分離は、例えば、両者を接着している熱可塑性接着剤を加熱により軟化させることや、両者を縁部において固着している接合部の切除によって行われ得る。支持板100の除去によって、図10Dに示されるように、導体層10及び絶縁層11が露出する。
【0054】
次いで、図10Eに示されるように、露出している絶縁層11及び導体層10の表面にソルダーレジスト層13を形成するため、感光性のエポキシ樹脂層13aやポリイミド樹脂層が形成される。また、絶縁層11と反対側に露出している樹脂絶縁層11a及び導電層12の表面に被覆層14を形成するための例えばエポキシ樹脂層14aが形成される。
【0055】
そして、図10Fに示されるように、フォトリソグラフィ技術により、エポキシ樹脂層13aに覆われている第1の接続パッド10a及び第2の接続パッド10bを露出させる開口13eが形成される。また、絶縁層11と反対面の樹脂絶縁層11aの上のエポキシ樹脂層14aにも同様にフォトリソグラフィ技術によって開口14eが形成され、第3の接続パッド12aが露出される。こうしてソルダーレジスト層13及び被覆層14が形成される。さらに、この開口13eと同時に、又は別工程で第1の溝13cが形成される。その結果、第1の接続パッド10aの領域を囲むように第1の溝13cが形成される。第1の溝13cの形成によって、第1の溝13c内に絶縁層11が露出する。第1の溝13cの形成は、前述したように、露光の際の紫外線の照射強度の調整によって、図4A~4Bに示されるように、ソルダーレジスト層13の第1面1F側における第1の溝13cの幅が、第1面1Fよりも絶縁層11側における第1の溝13cの幅よりも小さく形成される。第1の溝13cと開口13eとを同時に形成する場合、開口13eも逆テーパになり得るか、第1の溝13cが図4Bの上部に示される構造になり得るが、いずれでも特に問題は生じない。
【0056】
前述した第2の溝13d(図8図9参照)が形成される場合には、図10Fの工程で第1の溝13cが形成される際に、同時に露光・現像によって第2の溝13dも形成され得る。第2の溝13dは第1の溝13cを取り囲むように形成される。
【0057】
前述の例では、図10Cの支持板100を除去した面に電子部品を実装する例で説明されたが、図10Cの支持板100が除去された面と反対面に電子部品が実装される場合でも同様である。この場合、図10Cの導体層10と反対面の導電層12及び樹脂絶縁層11aをそれぞれ導体層10及び絶縁層11、被覆層14をソルダーレジスト層13として同様に第1の溝13cが形成され得る。
【0058】
実施形態の配線板は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。例えば、導体層10が、第1及び第2の接続パッド10a、10bの他にも導体パターンを含んでいてもよい。溝は3重、又は4重の枠状構造を有するように形成されてもよく、第1及び第2の溝13c、13dに加えてさらなる溝が形成されてもよい。ビア導体12bは、必ずしも第1面1F側に向って縮径していなくてもよい。配線板1、1aは任意の数の導体層(導電層)及び絶縁層を有してよい。被覆層14は設けられずともよい。また、実施形態の配線板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されず、その条件や順序などは適宜変更されてよい。現に製造されるプリント配線板の構造に応じて、一部の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、1a、1b 配線板
1F 第1面
1B 第2面
10 導体層
10a 第1の接続パッド
10b 第2の接続パッド
11 絶縁層
11a 樹脂絶縁層
12 導電層
12b ビア導体
13 ソルダーレジスト層
13c 第1の溝
13d 第2の溝
20 コア基板
21 スルーホール導体
100 支持板
103 金属箔
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F