(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】ジョブ処理装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240527BHJP
G06Q 10/0633 20230101ALI20240527BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240527BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q10/0633
B41J29/38 201
G06F3/12 329
G06F3/12 308
G06F3/12 375
G06F3/12 378
(21)【出願番号】P 2020038138
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】矢野 孝明
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08593689(US,B2)
【文献】特開2016-224749(JP,A)
【文献】特開2016-115362(JP,A)
【文献】特開2001-117625(JP,A)
【文献】特開2011-152745(JP,A)
【文献】特開2005-268930(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0203392(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B41J 29/38
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づく印刷を生産システムに実行させる印刷システムであって、
印刷データと品質要求データを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した品質要求データに基づいて、品質に関する複数の項目のうち、前記印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる成果物の品質として通知を行うべき項目を特定する特定手段と、
前記受信手段によって受信した印刷データを前記生産システムに送信する送信手段と、
前記生産システムに前記成果物の検品を指示する指示手段と、
前記生産システムが前記印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる前記成果物について前記指示手段によって指示された前記検品を前記生産システムが実行することによって生成された品質データを前記生産システムから受け付ける受付手段と、
前記品質に関する前記複数の項目のうち、前記特定手段によって特定された項目について前記成果物の品質の通知を、前記特定手段によって特定された前記項目と前記受付手段によって受け付けた品質データに基づいて行う通知手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
品質要求データには、前記品質に関する前記複数の項目のうち、前記
印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる前記成果物の品質として通知を実行すべき項目が含まれることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記
印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる前記成果物の品質として通知を実行すべき項目は、ユーザが指定することができることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記特定手段は、前記
印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる前記成果物の品質として通知を実行すべき複数の項目を特定することができ、
前記通知手段は、前記特定手段によって特定された全ての項目について前記成果物の品質を前記受付手段によって受け付けたことに従って、前記成果物の品質の通知を実行することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記指示手段は、前記品質要求データに基づいて前記生産システムに前記成果物の検品を指示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記品質要求データは、バーコード、色ずれ、汚れ、かすれの少なくともいずれかについての情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記受信手段は、設定をさらに受信し、
前記印刷システムは、前記印刷データの印刷を前記生産システムに前記設定に基づいて実行させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項8】
印刷データに基づく印刷を生産システムに実行させる印刷システムの制御方法であって、
印刷データと品質要求データを受信する受信工程と、
前記受信工程で受信した品質要求データに基づいて、品質に関する複数の項目のうち、印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる成果物の品質として通知を行うべき項目を特定する特定工程と、
前記受信工程で受信した印刷データを前記生産システムに送信する送信工程と、
前記生産システムに前記成果物の検品を指示する指示工程と、
前記生産システムが前記印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる前記成果物について前記指示工程で指示された前記検品を前記生産システムが実行することによって生成された品質データを前記生産システムから受け付ける受付工程と、
前記品質に関する前記複数の項目のうち、前記特定工程で特定された項目について前記成果物の品質の通知を、前記特定工程で特定された前記項目と前記受付工程で受け付けた品質データに基づいて行う通知工程と、
を有することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載された印刷システムの制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システム、印刷システムの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリントオンデマンド(POD)やプロダクションプリンティング、商業印刷と呼ばれる印刷サービス形態がある。このようなサービス形態では、印刷を注文・依頼する顧客(エンドユーザとも呼ぶ)と、印刷成果物を提供する印刷会社とが存在し、顧客は印刷会社に対して依頼する印刷成果物の仕様と、必要に応じて印刷に用いる画像データの提供を行い印刷物の注文を行う。印刷成果物の仕様とは、例えば使用する用紙種類、製本やステイプルといった仕上げ設定、印刷枚数や部数といった、印刷成果物の内容を決定する要素である。印刷会社は依頼された内容と画像データを用いて印刷成果物を作成して顧客に対して納品する。
【0003】
このような商業印刷サービスにおいて、印刷会社は印刷成果物の受注から納品までを行うために多様な機器やソフトウェアを用いる。例えば、用紙への印刷を行うための印刷装置や製本・ステイプルを行うためのフィニッシャ、印刷物の検査・検品を行うための検品装置である。その他に、顧客から印刷成果物の受注を受け付けるためのWebサーバや、印刷成果物の生産を管理するための端末やソフトウェアも用いられる。また、これらの機器やソフトウェアの使用者も複数存在する。例えば、受注案件の管理や顧客との連絡を行う受注担当者、印刷成果物を完成させるまでの作業工程を設計する工程設計者、印刷装置や検品装置の操作を行うオペレータ、最終印刷成果物の品質確認を行う確認者である。複数の生産拠点を備える印刷会社も存在し、このような場合、印刷会社は受注内容をもとに、どの生産拠点で印刷成果物の生産を行うか決定する。
【0004】
商業印刷サービスにおいては、印刷会社は顧客から印刷成果物に対して品質条件を指定されることが多い。品質条件とは、印刷成果物の仕様とは異なり、用紙の表裏における画像の位置ずれ量や、成果物内に存在する画像やロゴなどの色値や、複数部数あるいは複数ページ間での画像の色値の変動量といった、印刷成果物の品質に関する条件を指す。印刷成果物はチラシやパンフレットのような配布物、写真集や書籍、名刺、展示パネルなど多岐にわたり、それらの用途や価格も様々であるため、品質条件もまた、求められる条件や水準は多種多様である。
【0005】
品質条件を満たすために、印刷会社では、作業工程と印刷成果物に対する品質確認工程が必要となる。
【0006】
作業工程とは、品質条件を満たすために必要とされる、各種装置の調整作業を示す。例えば、顧客と合意を得たサンプル印刷の結果に基づいて、印刷装置の特定の用紙における特定の色に合わせるための色調整作業が必要である。あるいは、印刷成果物の用紙の表裏の印刷ずれが所定の範囲内に収まっていることが条件であれば、画像印字位置の調整作業が必要となる。さらに、これらの調整作業によって調整された装置の状態を確認する調整結果確認作業も含まれる。
【0007】
一方、品質確認工程とは、生産された印刷成果物が品質条件を満たすかどうかを確認する工程である。例えば、印刷後の検品作業により、印刷条件を満たさない印刷成果物を不良品と判断し除外する。検品作業は、確認者自らが検査する場合、あるいは、検品装置による自動での検査の場合がある。また、必要に応じて、顧客に対して、印刷成果物が品質条件を満たしていることを示す品質レポートを作成する。
【0008】
上述の各工程は、印刷成果物の種類や印刷条件に応じて、工程設計者により決定される。先に述べたとおり、商業印刷サービスが扱う印刷成果物の形態は多岐にわたる。さらに、印刷会社は、複数種の装置を所有する場合が多く、その中から最適な装置を選定し、各工程に反映させる作業も工程設計者が担う。そのため、工程設計者には高いスキルと経験値が要求され、作業量も多かった。
【0009】
上述の工程設計や品質レポート生成に必要とされる、品質条件の情報、そして、品質確認結果の情報は、従来統一された情報フォーマットで定義されていなかった。そのため、受注する印刷会社は、複数の顧客から異なる情報フォーマットで品質条件を受領することなり、作業工程を設計する際の障害となっていた。また、発注する顧客側の観点でも、複数の印刷会社に対して印刷成果物の発注を行う際に、品質条件と品質レポートの受け渡しを異なる情報フォーマットで行う煩雑さが存在していた。
【0010】
そこで、品質条件と品質レポートを伝送するための情報フォーマットの統一手段として、標準化技術として非特許文献1、2にそれぞれ記載のPRX、PQXが検討されている。PRXとは、Print Requirement eXchange formatの略であり、印刷に要求する品質条件の標準データフォーマットを指す。PRXを用いることで、異なる顧客あるいは異なる受注に対する品質条件を統一的な標準データフォーマットで記述できるようになる。PQXとは、Print Quality eXchange formatの略であり、印刷品質レポートの標準データフォーマットを指す。PQXは印刷成果物の品質データを標準データフォーマットで伝送することを可能にする。このようにPRX、PQXを用いて従来統一されていなかった品質条件と品質レポートとを統一された情報フォーマットで伝送できるようになる。
【0011】
また、印刷成果物の受注に関するワークフロー構築に関する技術として、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1では、印刷成果物の仕様を満たすためのワークフローを構成する個々の工程の工程定義が登録されたデータベースから工程を検索する。そして、それらの工程を組み合わせることで、印刷成果物の受注条件を生産できるワークフローを構築するための技術が記載されている。このとき、特許文献1に記載の技術では、受注条件が異なるワークフローを必要コストとともに顧客に提示することで、顧客に対してディスカウント情報を提示することを可能にしている。これにより、顧客はコストが異なる複数のワークフローから、仕様とコストの比較を行ったうえで所望のワークフローを選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【非特許文献】
【0013】
【文献】ISO/AWI 20616-1, Graphic technology -- File format for quality control and metadata --。 Part 1: Print requirements exchange (PRX), https://www.iso.org/standard/68565.html
【文献】ISO/CD 20616-2, Graphic technology -- File format for quality control and metadata --。 Part 2: Print quality exchange (PQX), https://www.iso.org/standard/69572.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
顧客が求める品質条件は多種多様であり、成果物の品質がどうであったかを知りたい項目も多種多様である。
【0015】
従来は、品質確認結果をまとめたレポートを作成する場合に、どのような項目についての品質確認結果が必要であるかをジョブごとに特定することはできなかった。
【0016】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、品質に関する複数の項目のうち、印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる成果物の品質として通知すべき項目を品質要求データに基づいて特定し、受信した印刷データを生産システムに送信し、生産システムに成果物の検品を指示し、生産システムが印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる成果物について指示された検品を生産システムが実行することによって生成された品質データを生産システムから受け付け、特定された項目について成果物の品質の通知を、特定された項目と受け付けた品質データに基づいて行うことができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、印刷データを生産システムに実行させる印刷システムであって、 印刷データと品質要求データを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した品質要求データに基づいて、品質に関する複数の項目のうち、前記印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる成果物の品質として通知を行うべき項目を特定する特定手段と、前記受信手段によって受信した印刷データを前記生産システムに送信する送信手段と、 前記生産システムに前記成果物の検品を指示する指示手段と、前記生産システムが前記印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる前記成果物について前記指示手段によって指示された前記検品を前記生産システムが実行することによって生成された品質データを前記生産システムから受け付ける受付手段と、前記品質に関する前記複数の項目のうち、前記特定手段によって特定された項目について前記成果物の品質の通知を、前記特定手段によって特定された前記項目と前記受付手段によって受け付けた品質データに基づいて行う通知手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、品質に関する複数の項目のうち、印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる成果物の品質として通知すべき項目を品質要求データに基づいて特定し、受信した印刷データを生産システムに送信し、生産システムに成果物の検品を指示し、生産システムが印刷データに基づく印刷を実行することによって得られる成果物について指示された検品を生産システムが実行することによって生成された品質データを生産システムから受け付け、特定された項目について成果物の品質の通知を、特定された項目と受け付けた品質データに基づいて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】実施形態に係るシステムの全体構成を説明する概念図
【
図3】実施形態に係るワークフロー管理システムのハードウェア構成を説明するブロック図
【
図4】実施形態に係る生産システムのハードウェア構成を説明するブロック図
【
図6】実施形態に係るソフトウェア処理を説明するシーケンス図
【
図7】実施形態に係るソフトウェア処理を説明するフローチャート
【
図8】実施形態に係るPRXデータベースの一例を示す図
【
図9】実施形態に係るPQXデータベースの一例を示す図
【
図12】その他の実施形態に係るソフトウェア処理を説明するフローチャート
【
図13】実施形態に係る印刷種別を設定するためのUIの一例を示す図
【
図14】実施形態に係る詳細印刷品質要求を設定するためのUIの一例を示す図
【
図15】実施形態に係るソフトウェア処理を説明するフロー図
【
図17】実施形態に係る品質条件ごとのPRXデータ編集例を示す図
【
図18】実施形態に係る印刷成果物全体の品質算出のための計算式の編集例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0021】
<印刷システム全体の概要説明>
図1は、本実施形態におけるジョブ処理システムの一例である印刷システムの全体像を示す全体概要図である。
【0022】
各装置の役割と印刷システムの動作詳細は
図2以降で詳述する。
図1において、菱形の項目はデータである。
【0023】
受注システムサーバ110が生成するPRXデータを、ワークフロー管理サーバ100のPRX解析部521が解析し、解析結果に基づく印刷データ、ジョブチケット、動作設定情報、制御指示が生産システム120に対して送信される。なお、PRXは、Print Requirement eXchange formatの略である。生産システム120は、受信した印刷データ、ジョブチケット、動作設定情報、制御指示に従ってジョブ処理を実行する。各装置が有する構成の詳細は以下で説明する。
【0024】
本発明の特徴は、ワークフロー管理サーバ100において、PRXデータを解釈しながら対象となるPQXの項目リストを生成する点である。なお、PQXは、Print Quality eXchange formatの略である。
【0025】
<全体システム構成説明>
図2は、本実施形態に係る商業印刷システムの構成を説明する図である。
【0026】
ワークフロー管理サーバ100は、商業印刷の商品に関して、ワークフロー全体を管理する装置である。
【0027】
ワークフロー管理サーバ100は、受注システムサーバ110から、印刷データや品質条件情報であるPRXデータを受信する。そして、ワークフロー管理サーバ100は、受注システムサーバ110から受信したPRXデータを解析して、受注ジョブ毎に、生産システム120の決定や、印刷データのプリプレス処理などを実行する。さらに、ワークフロー管理サーバ100は、PRXデータを解析した結果に基づいて、PQX項目リストを生成する。また、生産システム120での処理対象となるデータ(
図1に記載の印刷データ、ジョブチケット、動作設定情報、制御指示)を生成し、生産システム120を構成する各デバイスに送信する。生産システム120を構成するデバイスについては後述する。
【0028】
そして、生産システムから各種制御結果を受信し、品質レポートを作成する。作成した品質レポートを、受注システムサーバ110へ送信する。
【0029】
なお、本実施形態は、ワークフロー管理サーバ100は、ワークフロー管理を行う拠点に設置されるオンプレミスサーバであるものとして説明するが、その限りではない。別の実施形態として、ワークフロー管理サーバ100をクラウドサーバとして構築し、後述のワークフロー管理端末101からは、インターネットを介して接続する構成としてもよい。後述の、受注システムサーバ110も同様である。
【0030】
ワークフロー管理端末101は、ワークフロー管理者が操作する端末であって、ワークフロー管理サーバ100にネットワークを介して接続し、各種機能を実行する。具体的には、ワークフロー管理機能の設定変更や、生産システム120のデバイスの状態確認などである。
【0031】
受注システムサーバ110は、商業印刷の商品に関して、エンドユーザから注文を受けるためのシステムを管理する装置である。受注した商品、また、エンドユーザからの注文内容に応じて、印刷用データ、及び、PRXデータを生成し、ワークフロー管理サーバ100へと送信する。
【0032】
受注システム管理端末111は、受注システムの管理者が操作する端末であって、ネットワークを介して受注システムサーバ110に接続し、各種機能を実行する。具体的には、商品別の要求品質設定、受注ジョブごとのステータス確認、受注ジョブごとの成果物の品位情報の閲覧などの機能である。
【0033】
エンドユーザ端末112は、エンドユーザが操作する端末であって、ネットワークを介して受注システムサーバ110に接続する。そして、ウェブブラウザなどのUIから商品の選択、原稿データの送信、発注などの指示をエンドユーザから受け付け、受注システムサーバ110に送信する。
【0034】
生産システム120は、エンドユーザから受注した商業印刷における商品(成果物)を、生産するためのシステムである。詳細には、印刷装置121、印刷装置121を制御するプリントサーバ122、後処理加工装置123、検品装置124などの装置により構成される。
【0035】
印刷装置121とプリントサーバ122は、ネットワーク、または、専用のインターフェースにより接続される。
【0036】
本実施例では、後処理加工装置123、検品装置124は、他のデバイスとネットワークで接続されるニアライン構成であるものとして説明する。ただし、その限りではなく、単独で稼働するオフライン構成でもよい。オフライン構成の場合は、ネットワークと接続可能な不図示の操作端末と接続し、操作端末を介してネットワークと接続する。いずれの場合も、ネットワーク経由で、ワークフロー管理サーバ100と接続し、各種情報の送受信を行う。
【0037】
なお、生産システム120は、プリントサーバ122、後処理加工装置123、検品装置124のいずれか、または全てを含まない構成の場合もある。
【0038】
印刷装置121は、ワークフロー管理サーバ100からのデータと指示に基づき、印刷処理を実行する装置である。印刷方式は特に限定されることはなく、電子写真方式、インクジェット方式、その他の方式のいずれでもよい。
【0039】
生産システム120の管理者、あるいは、オペレータは、印刷装置121のUIを介して、印刷に関する制御を指示することが可能である。
【0040】
プリントサーバ122は、印刷装置121を制御するサーバである。一般的な印刷システムと同様に、生産システム120の管理者、あるいは、オペレータは、プリントサーバ122のUIを介して、印刷に関する制御を指示することが可能である。
【0041】
なお、本実施形態では、後述する色管理部545は、プリントサーバ122が有するものとして説明するが、その限りではない。例えば、プリントサーバ122、印刷装置121とネットワークを介して接続可能な、色管理サーバ(不図示)を別途設置し、色管理に関する処理を色管理サーバが実施する形態でもよい。
【0042】
後処理加工装置123は、印刷済みの用紙、用紙束に対して、後処理加工を施すための装置である。例えば、用紙への筋付け(クリース)や折り、あるいは、用紙束に対する断裁、製本処理などである。
【0043】
検品装置124は、最終成果物、あるいは、中間成果物に対して、不具合を検知し、ユーザへの通知や、生産ラインからの除外などの処理を実行する装置である。
【0044】
生産オペレータ端末125は、上述の生産システム120の各種デバイスを操作するオペレータが使用する装置である。デバイスの稼働状況の確認、異常発生時のエラー情報の確認などの機能を有する。別の形態として、外部の端末ではなく、各デバイスが具備するUI操作部が、これらの機能を担う構成でもよい。
【0045】
<ハードウェア構成説明>
次に、本実施形態に関わる各種装置のハードウェア構成を説明する。
【0046】
図3は、本実施形態に係るワークフロー管理サーバ100とワークフロー管理端末101とを含む、ワークフロー管理システムのハードウェア構成を説明するブロック図である。
【0047】
まず、受信管理サーバ110のハードウェア構成を説明する。
【0048】
CPU211は、ROM212又はハードディスク(HDD)214に記憶された制御プログラムをRAM213に展開し、その展開したプログラムを実行してシステムバス216に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM212は、CPU211が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM213は、主としてCPU211の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAM213によりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)214は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。尚、本実施形態ではHDD214を用いたが、HDDの他にSDカードや、フラッシュメモリなどを外部記憶装置として利用してもよい。これは、以降に説明するHDDを有する装置も同様である。ネットワークI/F215は、ネットワークを経由して、各種装置とデータ通信を行う。
【0049】
次に、ワークフロー管理サーバ100のハードウェア構成を説明する。
【0050】
CPU201は、ROM202又はハードディスク(HDD)204に記憶された制御プログラムをRAM203に展開し、その展開したプログラムを実行してシステムバス206に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM202は、CPU201が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM203は、主としてCPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAM203によりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)204は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。尚、本実施形態ではHDD204を用いたが、HDDの他にSDカードや、フラッシュメモリなどを外部記憶装置として利用してもよい。これは、以降に説明するHDDを有する装置も同様である。ネットワークI/F205は、ネットワークを経由して、各種装置とデータ通信を行う。
【0051】
次に、ワークフロー管理端末101のハードウェア構成を説明する。
【0052】
検品装置221は、ROM222又はハードディスク(HDD)224に記憶された制御プログラムをRAM223に展開し、その展開したプログラムを実行してシステムバス226に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM222は、検品装置221が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM223は、主として検品装置221の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAM223によりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)224は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。ネットワークI/F225は、ネットワークを経由して、その他の装置とデータ通信を行う。
【0053】
なお、受注システム管理端末111、エンドユーザ端末112、そして、生産オペレータ端末125などの、その他の端末装置も、そのハードウェア構成はワークフロー管理端末101と同様であるため、説明は省略する。
【0054】
図4は、本実施形態に係る生産システム120のハードウェア構成を説明するブロック図である。
【0055】
CPU301は、ROM302又はハードディスク(HDD)304に記憶された制御プログラムをRAM303に展開し、その展開したプログラムを実行してシステムバス306に接続される各種のデバイスとのアクセスを総括的に制御する。ROM302は、CPU301が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM303は、主としてCPU301の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。ハードディスク(HDD)304は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶する。ネットワークI/F305は、ネットワークを経由して、その他の装置とデータ通信を行う。
【0056】
プリンタI/F307は、印刷装置121の画像形成部321への画像出力を制御する。またプリンタI/F307は、印刷装置121内部に備わる測定部322を制御し、測定結果を受信する。
【0057】
印刷装置121は、少なくとも印刷動作を担う画像形成部321と、後述する測定部322を有している。他にも、不図示の給紙装置や、インラインの後処理装置が接続された構成でも構わない。
【0058】
画像形成部321は、印刷用データを用紙に出力する。そのハードウェア構成は、一般的な印刷装置121と同じである。
【0059】
測定部322は、プリントサーバ122、あるいは、印刷装置121自体の指示に従い、画像形成部321が生成する印刷物を測定する。測定形式は、分光測色、濃度測定、CCSスキャン、CISスキャンなどの既知の測定形式である。 なお、本実施形態では、測定部322は、印刷装置121内に設けられるものとして説明するが、その限りではない。印刷装置121とは独立して、測定部322単体でネットワークに接続する構成でもよい。あるいは、ネットワークに接続可能な不図示の操作端末と接続し、操作端末を介してネットワークに接続する。いずれの場合も、ネットワーク経由で、ワークフロー管理サーバ100と接続し、各種情報の送受信を行う。
【0060】
<ソフトウェア構成説明>
次に、本実施形態に係る各種装置のソフトウェア構成を説明する。
【0061】
図5(a)は、本実施形態に係る受注システムサーバ110のソフトウェア構成を説明するブロック図である。これらのソフトウェアモジュールは、HDD(不図示)にプログラムとして格納され、CPU(不図示)が、そのプログラムをRAM(不図示)に展開して実行することにより実現される。
【0062】
受注部501は、ネットワークを介して、エンドユーザ端末112から商品の注文情報を受信する。注文情報とは、商品種別の情報、入稿された画像データ、品質に係る要求情報などが含まれる。なお、本実施形態では、入稿データとして、PDF形式データを例に説明するがその限りではない。生産システム120が解釈可能な、その他の一般的な形式の画像データを扱う形態でもよい。
【0063】
PRX生成部502は、受注部501から受信した注文情報を解析し、PRXデータを生成する。また、生成したPRXデータを、ワークフロー管理サーバ100へと送信する。
【0064】
データ管理部503は、注文情報、PRXデータなどの情報を記録する。また、データ管理部503は、入稿された画像データ、商品種別情報、及び、PRXデータをワークフロー管理サーバ100へと送信する。さらにデータ管理部503は、各種装置との間の、その他のデータ送受信を実行する。
【0065】
図5(b)は、本実施形態に係るワークフロー管理サーバ100のソフトウェア構成を説明するブロック図である。これらのソフトウェアモジュールは、HDD204にプログラムとして格納され、CPU201が、そのプログラムをRAM203に展開して実行することにより実現される。
【0066】
PRX解析部521は、受注システムサーバ110から受信したPRXデータを解析し、印刷品質要件や必要とされるプリプレス処理の一部を特定する。例えば、印刷品質要件とは、所定の色パッチの測定結果から得られる平均色差が、特定の基準内に収まっていることである。
【0067】
また、プリプレス処理とは、例えば、画像データの余白部に、色品位確認処理で測色対象となる、色パッチ画像を追加する、などの処理である。
【0068】
さらに、PRX解析部521は、解析結果情報をPQX生成部522へ送信する。解析結果情報とは、PRXで指定された印刷品質要件の項目情報を指す。
【0069】
PQX生成部522は、PRX解析部521から送信されるPRX解析結果情報を基に、対象の印刷ジョブが必要とするPQX項目をまとめたリストを作成する。詳細は後述する。
【0070】
さらに、PQX生成部522は、工程管理部523によって生産システム120へ指示され実行された各品質確認結果の情報を、作成したPQX項目に保存する。
【0071】
工程管理部523は、受注システムサーバ110から受信した商品種別情報、及び、PRX解析部521の解析結果情報を用いて、使用する生産システム120の決定や、プリプレス制御部526への命令を実行する。
【0072】
また、工程管理部523は、生産システム120での各デバイスが参照するジョブチケットデータを生成する。本実施形態では、ジョブチケットデータとして、既知のJDFデータを用いて説明するが、その限りでない。生産システム120が解釈可能な、その他の既知のジョブチケットデータ形式を用いる構成でもよい。
【0073】
また、工程管理部523は、PRXの情報を参照し、後処理加工装置123や検品装置124の動作設定情報を生成する。
【0074】
さらに、工程管理部523は、後述のプリプレス処理後のPDFデータ、JDFデータ、および、各デバイスの動作設定情報を、生産システム120へ送信する。
【0075】
プリプレス制御部526は、工程管理部523からの指示に基づき、入稿画像データに対してプリプレス処理を実行し、処理後のPDFデータを工程管理部523へと送信する。
【0076】
データ管理部525は、受注システムサーバ110から、印刷用データ、PRXデータを受信する。生産システム120へPDFデータ、JDFデータ、そして、生産システム120を構成する各種装置に対する指示情報を送信する。また、生産システム120から、制御結果データを受信する。さらに、受注システムサーバ110へ、品質レポートを送信する。また、データ管理部525は各種装置との間のその他のデータ送受信を実行する。
【0077】
品質レポート作成部526は、PQX生成部522が生成したPQXデータに基づき、受注システムサーバ110へ送信する品質レポートを作成する。
【0078】
図5(c)は、本実施形態に係る生産システム120のソフトウェア構成を説明するブロック図である。これらのソフトウェアモジュールは、生産システム120を構成する各種デバイスにおいて、HDD304にプログラムとして格納され、CPU301が、そのプログラムをRAM303に展開して実行することにより実現される。なお、生産システム120は印刷装置121、プリントサーバ122、後処理加工装置123、検品装置124を含むが、本実施例では前記4つのハードウェアを、生産システム120という一つのハードウェアとみなして説明する。
【0079】
印刷制御部541は、ワークフロー管理サーバ100から受信した情報(PDF,JDF)を用いて、印刷制御を実行する。また、印刷制御部541は、印刷品位を調整する調整機能も有しており、ワークフロー管理サーバ100、プリントサーバ122、あるいは、生産オペレータ端末125のいずれかから受信した制御指示に応じて、調整機能を実行する。
【0080】
データ管理部544は、ワークフロー管理サーバ100へ、生産システム120の各種デバイスの制御結果などの情報を送信する。さらにデータ管理部544、各種装置との間の、その他のデータ送受信を実行する。なお、データ管理部544は、各デバイスに個別に備わる形態でもよい。
【0081】
後処理加工制御部542は、ワークフロー管理サーバ100から受信した制御指示に応じて、後処理加工装置123による後処理加工制御を実行する。
【0082】
検品制御部543は、ワークフロー管理サーバ100から受信した制御指示に応じて、検品装置124による検品制御を実行する。
【0083】
検品制御部543は、検品装置124内のセンサで読取った画像データと、基準となる画像データを比較する。比較の結果、所定の許容範囲を超える差分が検知された場合は、検品対象物を欠陥として特定し、結果をデータ管理部544を介してワークフロー管理サーバ100へ送信したり、ユーザへの通知を行う、といった所定の制御を行う。
【0084】
<PRX構成説明>
ここで、本発明で利用するPRXおよびPQXの構成について説明する。
【0085】
図10は、本実施形態におけるPRXの構成情報の一例を示す図である。主に本発明に関係する項目のみ挙げている。ここに挙げる各パラメータおよびパラメータ間の関係は一例であり、各パラメータが持つ情報を表現することができるのであれば他の項目や構成が存在しても良い。
【0086】
PRXは、例えば、XMLテキスト形式で記述されたデータであって、印刷データに対して通常1つ紐付けて存在する。顧客からの各種品質に対する要望や要求の情報から構成されている。
【0087】
QualitySpecificationは、PRX要素のひとつである。評価項目に対する品質目標や評価基準に関する情報から構成されている。
【0088】
CustomerJobは、QualitySpecification要素のひとつである。要求品質項目に対する印刷ジョブに関する情報から構成される。
【0089】
QualityGoalsは、CustomerJob要素のひとつである。顧客が指示する印刷品質の目標に関する情報から構成されている。印刷品質として、Color、Barcode、Registration、Defectsという4つの項目から構成されている。
【0090】
Colorは、QualityGoals要素のひとつである。顧客が指示する要求品質が色の場合に用いられる情報から構成されている。要求品質の目標を記述したComplianceGoal、対象となる色の定義や要求レベルを記述したColorScore、後述するColorParameter、などから構成されている。
【0091】
ColorParameterは、Color要素のひとつである。カラーパッチの詳細情報を記述している。一つの成果物の中で複数の色に対して要望が存在するケースにも対応するため、ColorParameterは同時に複数記述することが可能である。パラメータ名称を記述したParameterName、対象の色が印刷データ中に描かれている場所情報を記述したSamplingPositionなどから構成されている。また、対象の色が単体の場合に記述するPatchTypeあるいは複数パッチ群の場合に記述するChartType、およびパッチ信号値に関する情報へのリンク情報を記述したCxFReferenceObjectIdLink、などから構成されている。
【0092】
Barcodeは、QualityGoals要素のひとつである。顧客が指示する要求品質が成果物中に印字されるバーコードの場合に用いられる情報から構成されている。Color要素と似た構成になっており、Barcodeに関する情報が記述された、BarcodeScore、BarcodeParameterなどから構成されている。
【0093】
Registrationは、QualityGoals要素のひとつである。顧客が指示する要求品質が色ずれなどのレジストレーションの場合に用いられる情報から構成されている。Color要素と似た構成になっており、色ずれや表裏の印刷ずれに関する情報が記述された、RegistrationScore、RegistrationParameterなどから構成されている。
【0094】
Defectsは、QualityGoals要素のひとつである。顧客が指示する要求品質が印刷不良の場合に用いられる情報から構成されている。印刷不良とは、期待される印刷結果通りになっていない状態であり、例えば、トナー漏れや定着不良などが原因で発生する汚れや欠け、かすれなどが挙げられる。顧客の期待としては常に印刷不良なきことが要望であるが、特に気を付けてチェックを要求する高い品質要求を行う場合にこの要素が利用される。要求レベルに関する情報が記述されたScoringInfo、画像不良の詳細情報が記述されたDefectParameterなどから構成される。
【0095】
<PQX構成説明>
図11は、本実施形態におけるPQXの構成情報の一例を示す図である。主に本発明に関係する項目のみ挙げている。ここに挙げる各パラメータおよびパラメータ間の関係は一例であり、各パラメータが持つ情報を表現することが出来るのであれば他の項目や構成が存在しても良い。
【0096】
PQXとは、例えば、XMLテキスト形式で記述されたデータであって、印刷データを印刷した成果物に対して通常1つ紐付けて存在する。印刷した成果物の品質状態を示す情報から構成されている。
【0097】
SampleCollectionは、PQX要素のひとつである。評価項目に対する品質結果に関する情報から構成されている。
【0098】
Sampleは、SampleCollection要素のひとつである。顧客が指示した評価項目に対して成果物を生成する時の実績に関する情報から構成されている。実績を記述する印刷品質として、ColorReport、BarcodeReport、RegistrationReport、DefectReportという4つの項目から構成されている。
【0099】
ColorReportは、Sample要素のひとつである。色に関する品質実績を示す情報から構成されている。カラーパッチ測定結果の情報を記述するMeasurementSetなどから構成される。
【0100】
MeasurementSetは、ColorReport要素のひとつである。測定したカラーパッチの位置情報を記述したPositionOnSample、および測定したカラーパッチの測定結果情報を記述したMeasurement、などから構成されている。
【0101】
Measurementは、MeasurementSet要素のひとつであり、カラーパッチのId、PatchType、測定結果情報へのリンク情報を記述したCxFSampleObjectIdLinkなどから構成されている。
【0102】
BarcodeReportは、Sample要素のひとつである。バーコードに関する品質実績を示す情報から構成されている。バーコードの品質レベルを検査した結果の情報を記述するVerificationSetなどから構成される。
【0103】
RegistrationReportは、Sample要素のひとつである。レジストレーションに関する品質実績を示す情報から構成されている。レジストレーションの品質レベルを検査した結果の情報を記述するRegistrationSetなどから構成される。
【0104】
DefectReportは、Sample要素のひとつである。検品工程にて検査した印刷不良に関する情報を記述するDefectSetなどから構成される。
【0105】
<ソフトウェア処理のシーケンス説明>
図6は、実施形態に係るソフトウェア処理を説明するシーケンス図である。
【0106】
S601において、受注システムサーバ110の受注部501は、エンドユーザからの注文を受注する。受注する注文は、印刷データとしてのPDFと、成果物に関する要求情報であり、受注システムサーバ110の操作部などから受け付ける。
【0107】
S602において、PRX生成部502は、受注した印刷データおよび成果物要求情報から、PRXを生成する。
【0108】
図13は、本実施形態に係る受注システムサーバ110に表示されるUI例である。エンドユーザは、
図13に記載のUI1301を用いて、印刷発注時にどのような成果物を作成するか選択する。
【0109】
図14(a)は、本実施形態に係る受注システムサーバ110に表示されるUI例である。本UIは、エンドユーザが、
図13に記載のUI上にある品質詳細設定ボタン602を押すことで、受注システムサーバ110に表示される。
【0110】
エンドユーザは、UI例1401を用いて、印刷成果物の品質について、詳細な品質条件の設定が可能となる。例えば、ジョブ毎にJapanColorの基準に対して、どの品質基準を求めているかを入力することができる。これにより、エンドユーザは生産した印刷物の測色値と、JapanColor規定値との色差ΔE00(CIE DE2000)の平均値の許容値と理想値を具体的な数値で指定することが可能となる。また、別の例では、複数ある品質条件のうち、重要視している品質条件が何なのかを設定することができる。こうすることで、エンドユーザは特に重要視している品質条件を印刷ジョブごとに設定することが可能となる。
【0111】
JapanColor規定値など基準の色値と印刷成果物の測色値との色差の指定の仕方について、
図14(b)に示した通り、品質の程度が異なる複数の選択肢のうちから、ユーザがいずれかの選択肢を選択できるようにしてもよい。
図14(b)の例では、JapanColor規定値との色差ΔE00(CIE DE2000)の平均値との差異の程度を、3以下、5以下、又は、10以下のうちから選択することができる。
【0112】
図15は、本実施形態に係るソフトウェア処理を説明するフローチャートである。
【0113】
図15に記載のフローチャートの制御プログラムは、受注管理サーバ110に搭載されているROM212に記憶されており、CPU211によってRAM213に読み出され処理される。
【0114】
受注部501は、S1501において、エンドユーザからの注文を受注する。注文の内容としては、印刷データとしてのPDFと、成果物に関する商品種別が含まれる。商品種別とは、受注システムサーバ110があらかじめ定義している成果物の種類を表す情報である。例えば、「フォトブック」と「名刺」という2つの商品種別を受注システムサーバ110が定義しているとする。「フォトブック」という商品種別は、仕上がりサイズ「A5」、製本種類「無線綴じ」、本文の用紙種類「光沢紙」、本文仕上げ「ラミネート加工」という成果物の種類を表す。「名刺」という商品種別は、仕上がりサイズ「名刺」、製本種類「なし」、用紙種類「上質紙」という成果物の種類を表す。このような商品種別を設けることで、受注システム、ワークフロー管理サーバ100、生産システム120にて生産する商品の種類を定義する。なお、本実施例では、エンドユーザが「フォトブック」を選択したとして説明する。また、本実施例では受注システムサーバ110が商品種別を定義している構成として説明するが、その限りではなく、エンドユーザからの注文を営業が手動で入力するような構成にしてもよい。
【0115】
受注部501は、1301でエンドユーザから受注した商品種別をPRX生成部502へ送信する。エンドユーザが商品種別から「フォトブック」を選択した場合は、エンドユーザの選択が「フォトブック」であることをPRX生成部502へ送信する。
【0116】
S1502にて、PRX生成部502は、1302にて受注部501から受信した商品種別からPRXを生成する。
【0117】
まず、本処理で生成するPRXについて概要を説明する。
図16に例示されるように、PRXはMessageInfo、BusinessInfo、QualitySpecなどの品質に対する要求から構成されている。
【0118】
QualitySpecは品質仕様および評価基準を含むフィールドから構成されている。BasisOfCalculationは印刷品質のスコアやグレードを特定するためのバイヤーが指定した計算式の情報を表す。OverallGradingScaleは全体的なスコアやグレードの意味や範囲を表す。MinimumAcceptableRankは許容可能な最低品質レベルを表す。QualityParameterSetは色・レジ・画像不良・バーコードごとのスコア基準等を表す。QualityParameterSetTypeは色・レジ・画像不良・バーコードなどの品質仕様の種類を表す。ParameterSetNameは品質仕様の名称を表す。ParameterSetScoringScaleはバイヤーのスコア基準定義を表す。本実施例ではQualitySpecの一部分を使用する構成として説明するが、その限りでなく、PRXの他のフィールドを使用するような構成にしてもよい。
【0119】
第一のQualityParameterSetの例として、印刷制御部541による色変動検査がある。印刷制御部541は測定制御部5411を有しており、生産しながら生産システム120の色変動を監視することができる。印刷色基準の一例としてJapanColorがある。この基準を満たしている生産システム120は、印刷物の品質が一定以上であることが証明できる。
【0120】
本実施例では、ジョブ毎にJapanColorの基準を満たしていることを確認することで、色変動検査を行う。生産システム120が生産した印刷物の測色値と、JapanColor規定値との色差ΔE00(CIE DE2000)の平均値によって、色変動を検査する。この場合、ParameterSetNameに「色変動検査」、QualityParameterSetTypeに「Color」を設定する。また、ParameterSetScoringScaleに以下を記載する。DisplayLabel:RankColor1、Rank:1。ValueRange:ΔE00平均値が4以上。DisplayLabel:RankColor2、Rank:2。ValueRange:ΔE00平均値が4未満かつ3以上。DisplayLabel:RankColor3。Rank:3。ValueRange:ΔE00平均値が3未満。Rankの数値が高いほど、品質が高いことを表す。また、本QualityParameterSet内のMinimumAcceptableRankに「Rank:2」とすることで、最低品質レベルを記載することができる。第二のQualityParameterSetの例として、検品装置によるトナー飛び散りの外観検査がある。生産システム120による生産が始まる前に、検品装置に付随しているカメラによって正解画像を取得し、検品装置に登録する。生産中は、検品装置がカメラによって印刷結果画像を取得し、正解画像と比較することで、トナーの飛び散りを検査する。この場合、ParameterSetNameに「飛び散り検査」を設定する。また、QualityParameterSetTypeを「Defects」に設定する。また、ParameterSetScoringScaleに以下を記載する。DisplayLabel:RankDefects1。Rank:1。ValueRange:飛び散り直径3mm以上。DisplayLabel:RankDefects2。Rank:2。ValueRange:飛び散り直径3mm未満かつ2mm以上。DisplayLabel:RankDefects3。Rank:3。ValueRange:飛び散り直径2mm未満。Rankの数値が高いほど、品質が高いことを表す。また、本QualityParameterSet内のMinimumAcceptableRankに「Rank:2」とすることで、最低品質レベルを記載することができる。上記のようなQualityParameterSetを利用して、BasisOfCalculationによって品質のランクを計算する。例えば、BasisOfCalculationに色変動検査及び飛び散り検査のRankによる全体品質の計算式を記載する。例えば、「TotalRank=Rank(色変動検査)*0.6+Rank(飛び散り検査)*0.3」のような計算式を記載する。TotalRankは全体品質を表し、Rank(ParameterSetName)はParameterSetNameに対応するRankを表すこととする。上記のBasisOfCalculationを使用して計算された品質のランクの意味を、OverallGradingScaleによって表す。DisplayLabel:Poor。Rank:1。DisplayLabel:Good。Rank:2。DisplayLabel:Excellent。Rank:3のように記載する。ここまでで説明した品質基準を表すようなPRXは、PRX生成部502内にあるPRXデータ保持部5033が固定的な基準値として保持していることとして説明する。
【0121】
PRX生成部502は、S1502において、受注システムサーバ110のメモリに保持しているPRXデータから、受注した印刷物に対応したPRXデータを取得する。例えば、UI例601でフォトブックが選択された場合には、フォトブック用のPRXデータをメモリから取得する。
【0122】
PRX生成部502は、S1503において、受注した印刷物に対してエンドユーザが詳細な品質条件の設定を行っているかを判定する。例えば、ユーザがUI例1401を用いて、JapanColor規定値との色差ΔE00の平均値で、要求ΔE00平均値を3以下、理想ΔE00平均値を2以下と設定した場合には、詳細な印刷条件設定ありと判定される。詳細な印刷条件設定があると判定された場合には、S1504に進み、詳細な印刷条件設定がないと判定された場合には、S1505に進み、S1502で取得したPRXデータをワークフロー管理サーバ110に送信される。
【0123】
PRX生成部502は、S1504において、S1502で取得したPRXデータに対して、詳細品質条件設定の内容を反映する。本実施例では、ユーザがUI例1401を用いて、JapanColor規定値との色差ΔE00の平均値で、要求ΔE00平均値を3未満、理想ΔE00平均値を2未満と設定した場合を例に説明する。PRX生成部502は、以下が設定されている品質条件に対して編集処理を行う。S802で取得したPRXデータのParameterSetNameに「色変動検査」。QualityParameterSetTypeに「Color」。
【0124】
図17の1701の枠線内に図示するように、QualityParameterSetにはあらかじめ、フォトブックの標準的な品質要求が設定されている。ParameterSetScoringScaleに以下が設定されている。DisplayLabel:RankColor1。Rank:1。ValueRange:ΔE00平均値が4以上。DisplayLabel:RankColor2。Rank:2。ValueRange:ΔE00平均値が4未満かつ3以上。DisplayLabel:RankColor3。Rank:3。ValueRange:ΔE00平均値が3未満。MinimumAcceptableRankにRank:2。
【0125】
このPRXデータのパラメータを
図17の1702の枠線内に図示するように変更する。すなわち、以下のように変更する。DisplayLabel:RankColor1。Rank:1。ValueRange:ΔE00平均値が3以上。DisplayLabel:RankColor2。Rank:2。ValueRange:ΔE00平均値が3未満かつ2以上。DisplayLabel:RankColor3。Rank:3。ValueRange:ΔE00平均値が2未満また、本QualityParameterSet内のMinimumAcceptableRankに「Rank:2」。DesiredRankに「Rank:3」に設定する。
【0126】
PRX内のDesiredRankは、ユーザが期待する品質基準を表現することができる。DesiredRankを用いることで、エンドユーザが理想とする品質基準についても、最低品質基準と合わせてワークフロー管理サーバに通知することが可能となる。これにより、印刷会社ではより高い顧客満足度を実現することが可能となる。
【0127】
また、別の例として、ユーザがUI例1401を用いて、重要品質条件を設定した場合についても述べる。前述したPRXの説明であるとおり、BasisOfCalculationによって複数の品質条件に基づいた、印刷成果物の品質のランクを算出することができる。例えば、BasisOfCalculationに色変動検査及び飛び散り検査のRankによる全体品質の計算式を記載する。例えば、
図18の1801の枠線内に図示するように「TotalRank=Rank(色変動検査)*0.6+Rank(飛び散り検査)*0.3」のような計算式がフォトブックの標準品質設定としてPRXデータに記載されていたとする。その場合に、ユーザがUI例1401を用いて、画像不良について、重要品質条件として設定した場合、BasisOfCalculationに含まれる計算式の飛び散り検査の重みづけの値を小さくするように変更する。本実施例では画像不良を重要品質条件として設定するとは許容する画像不良の程度を小さくすることを意味する。例えば、画像不良としてのトナーの飛び散りの検査の基準を厳しくすることを意味する。例えば、
図18の1802の枠線内に図示するように「TotalRank=Rank(色変動検査)*0.6+Rank(飛び散り検査)*0.1」のように変更する。こうすることで、OverallGradingScaleに設定されているRankを高いものにするには、飛び散り検査の検査結果が標準の品質基準よりも高い品質にならないと、印刷物全体としての品質要求を満たすことができない。こうすることで、エンドユーザの重要品質条件の設定について、より厳しい基準で検査することが可能となる。PRX生成部502は、S1505において、S1504で編集したPRXデータをワークフロー管理サーバに送信する。
【0128】
なお、本実施例では、基準色となるJapanColorとの色差についての詳細設定について述べたが、用紙の溶離における画像の位置ずれやバーコードの読み取り可否、画像不良についての詳細設定について受け付けて反映するのでも構わない。なお、
図17及び
図18に図示したPRXデータの構造は
図17、
図18のようなxml形式でなくてもよいものとする。また、各品質条件を記載するパラメータの記載方法や計算式の記載方法も、数式を用いたものなど、他の形式でも構わない。
【0129】
ここで、例えば、エンドユーザが発注した注文がフォトブックの場合、色味に対する要求が想定される。任意のページに配置された人物の肌を綺麗に出力したいという要求や、成果物全体の色味を標準色空間のひとつであるJapanColorに合わせたいという要求があり得る。PRX生成部502は、このような要求を受付け、要求に基づいてPRXを生成する。具体的には、PRXのColor要素にあるColorParameterを生成する。人物の肌に関する要求であれば、ParameterNameに「BabyCheek」のように要求対象を表す名称を記録する。また、SamplingPositionに要求対象が存在する場所情報を記録する。さらに、CxFReferenceObjectIdLinkに目標とする色味情報を記録する。このようにして、ColorParameterを生成する。また、JapanColorに合わせたいという要求であれば、ParameterNameに「JapanColor」を記録、SamplingPositionに色確認用のパッチ群の印字位置を記録する。そして、CxFReferenceObjectIdLinkにJapanColorで規定された目標とするパッチ群の色味情報を記録する。
【0130】
印刷データおよびPRXデータは、データ管理部503を介して、ワークフロー管理サーバ100に送信される。
【0131】
ワークフロー管理サーバ100は、データ管理部525を介して印刷データおよびPRXデータを受信すると、S603において、PRX解析部521は、受信したPRXデータを解析する。解析結果は
図8に示すようにデータベースとしてデータ管理部525にて保存する。また、解析したPRXデータから、プリプレスに必要な処理の一部を特定する。
【0132】
図8は、解析したPRXデータのデータベースの一例を説明する図である。本データは、PRX解析部521によって生成され、データ管理部525に保存される。エンドユーザが要求する品質の項目に応じた数が生成される。
【0133】
列801は、Color、Barcode、Registration、Defectの4種類の品質項目のうちどれに当たるかを示した情報である。
【0134】
列802は、各項目に付けられた名前情報である。
【0135】
列803は、各項目が存在する場所情報である。場所情報は、画像データ内のオブジェクトごとに割りふられたものであり、場所情報によってオブジェクトが特定される。
【0136】
列804および列805は、Color項目の場合のパラメータであり、列804は対象カラーがひとつのパッチであるか複数からパッチ群であるかを表す情報である。列805は、対象カラーの目標とする色味情報である。構成上、別の領域に実際の色味情報が記録されており、ここではその情報に対するリンク情報となっている。
【0137】
列806は、エンドユーザが要求する品質レベルを示す情報である。例えば、Color項目であれば目標と実測の色差を表すdE00の数値であったり、Barcode項目であればISOで規定されている方法に則って確認された結果がPASSすることであったりする。また、Registration項目であればズレ量の数値等である。このように、エンドユーザが要求する品質レベルを示す情報は、項目により異なる。
【0138】
続くS604において、プリプレス制御部524は、S603で解析したPRXデータから、必要なプリプレス処理を実行する。プリプレス処理の一例としては、Color項目においてパッチ情報が記録されていれば、その色パッチ画像を生成し印刷データの余白部分に配置することが挙げられる。また、Registration項目が記録されていれば、4色カラーや表裏にズレ量を検知するためのマーク画像を生成し印刷データの余白部分に配置することなどが挙げられる。
【0139】
S605において、工程管理部523は、印刷データおよびS603で解析したPRXデータから、JDFおよび作業指示書を生成する。JDFは、印刷データに対する製本仕上がりの設定や、後加工装置で実行する後加工の設定を記録したジョブチケットである。また、工程管理部523は、JDFにS604にて生成したカラーパッチ画像やレジマーク画像を測定する指示を設定する。印刷データPDF、および生成したJDFは生産システム120へ送信される。
【0140】
また、JDFで設定可能な指示の一部は、作業指示書という形式で表現する場合もある。作業指示書は、印刷オペレータに対して実行してほしい作業指示を示した情報である。例えばパッチ画像の測定や、バーコード検査、検品といった品質確認作業は、生産システムの構成によっては自動で行えずオペレータがオフラインで実施する必要がある。そういった環境では、作業指示書を生成し印刷オペレータに必要な作業を伝えて印刷フローを遂行する。
【0141】
続くS606において、PQX生成部522は、S603でPRX解析した結果からPQXリストを生成する。本発明において、PQXリストとは、対象印刷ジョブの成果物に対する品質結果を表すための情報を、PQX形式の項目単位でまとめたリストのことを指す。以下、
図7を用いてPQXリスト生成について説明する。
【0142】
図7は、本実施例におけるPQXリストの生成手順を説明するフローチャートである。本フローチャートは、HDD204にプログラムとして格納され、CPU201が、そのプログラムをRAM203に展開して実行することにより実現される。本フローチャートは、PQX生成部522が、PRX解析603にて保存されたPRXデータを取得できる状態になると開始する。
【0143】
S701において、PQX生成部522は、生成対象となる印刷ジョブで解析されたPRXを選択する。
【0144】
S702において、PQX生成部522は、PRXに品質データが存在するか否かを判定する。
図8に示したPRXデータを例にすると、PRXデータの各行が品質データのひとつに相当する。
【0145】
S702にてPRX項目が存在すると判定した場合(S702でYES)、続くS703で、PQX生成部522は、一つ目の品質項目を選択する。
【0146】
S704において、PQX生成部522は、選択したひとつの品質項目に対して、PQX形式で作成するひとつの品質レポート向け項目を生成する。ワークフロー管理サーバ100のHDD204には、PRXのパラメータとPQXのパラメータのそれぞれの対応付けを定義したテーブルが事前に記憶されている。PQX生成部522は、そのテーブルを参照し、選択したひとつの品質項目に対して、PQX形式で作成するひとつの品質レポート向け項目を生成する。
【0147】
ここで、生成するPQXデータについて、
図9を用いて説明する。
図9は、本実施例で作成するPQXデータベースの一例を説明する図である。本データは、PQX生成部522によって生成され、データ管理部525に保存される。
【0148】
列901は、Color、Barcode、Registration、Defectの4種類の品質項目のうちどのレポートかを示した情報である。PRXデータ801に相当する情報として生成する。例えば、
図8の1行目のColorと
図9の1行目のColorReportとが事前に対応付けてテーブルに登録されている。そして、PQX生成部522は、PRXの品質項目Colorと、事前に登録されたテーブルに基づいて、品質レポート向けの項目ColorReportを特定して生成する。2行目以降も同様にPRXとテーブルに基づいて、PQXの項目が特定され、生成される。列902は、項目の名称情報であり、PRXデータ802に相当する情報として生成する。列903は、項目が存在する場所情報である。場所情報は、画像データ内のオブジェクトごとに割りふられたものであり、場所情報によってオブジェクトが特定される。PRXデータ803に相当する情報として生成する。列904は、項目の結果情報である。本情報は、PQX生成時には存在しない。後述する印刷工程の途中過程においてデータが取得され、その結果がここに記録される。
【0149】
以上のように、PRXデータに記録されている項目を基に、PQX項目を生成する。
【0150】
S705において、PQX生成部522は、全てのPRX項目を処理したかどうかを判断する。
【0151】
まだ処理していないPRX項目が存在する場合(S705でNO)、S706に移り、PQX生成部522は、次のPRX項目を選択する。そして選択したPRX項目に対してS704の処理を実行する。
【0152】
S705において全てのPRX項目を処理した場合(S705でHES)、S707に移り、PQX生成部522は、生成した全てのPQX項目をPQXリストとして確定する。
【0153】
S702にてPRX項目がひとつも存在しない場合(S702でNO)、S708に移り、PQX生成部522は、空のPQXリストを生成しS707へ移る。
【0154】
以上のフローを実行することで、PQX生成部522は、PQXリスト生成606においてPQXリストを生成する。
【0155】
また、ここで生成するPQXリストは、PRXを解析することで生成されるため、PRXに記載のない項目はPQXリストの項目として存在しないことは明白である。
【0156】
生産システム120の印刷制御部541は、S607にて、ワークフロー管理サーバ100から受信した印刷データの印刷を実行する。印刷制御部541は、受信したPDFデータをプリントサーバ122でRIP処理を行い、印刷装置121にてハーフトーン処理を行い、印刷実行する。また、JDFデータの設定情報に基づき、必要に応じて後処理加工制御部542が後処理加工装置123を使って後処理を実施する場合もある。
【0157】
S608において、印刷制御部541は、JDFデータを解析し、カラーパッチの測定指示が有るか否かを判定する。カラーパッチの測定指示がない場合(S608でNO)、パッチの測定に関する処理はスキップし、次へ進む。
【0158】
JDFにパッチあるいはマークの測定指示が有った場合(S608でYES)、S609において、印刷制御部541は、対象のカラーパッチの測定を実施する。印刷制御部541は、印刷装置121が有する測定部322を制御し、パッチの色値をセンサで読取る。読取りする色値は、例えば濃度データや、L*a*b*に代表される色値などが一般的である。パッチの色値測定後、生産システム120のデータ管理部544は、ワークフロー管理サーバ100へ、取得した測定結果を送信する。測定するパッチは1つとは限らず、複数存在するケースもあり得る。
【0159】
ワークフロー管理サーバ100のデータ管理部525は、生産システム120からパッチを測定した色値情報を受信すると、S610において、PQXデータベースに結果を保存する。本実施例においては、PQXデータ904に測定結果を記録する。
【0160】
S611において、生産システム120の検品制御部543は、JDFデータを解析し、検品に関する指示が有るか否かを判定する。検品に関する指示と、例えば、PRXにおいてDefect項目で指定される印刷ミスの有無などが挙げられる。
【0161】
S612において、検品制御部543は、検品装置124を用いて検品処理を実行する。前述の印刷ミスの有無を例にすると、検品装置124において不図示のカメラで印刷後の成果物を1ページずつ撮影し、予め登録しておいた正解画像と比較して、一致しない箇所が検知されると印刷ミスとして判断する手段が挙げられる。検品制御部543は、検品結果を検品装置124から生産システム120へ自動で送信する。また、前述の作業指示書を利用して、オペレータが印刷ミスの有無を目視でチェックする手段でも良い。その場合は、例えば生産オペレータ端末125を通じて、オペレータが印刷結果をワークフロー管理サーバ100へ通知する。
【0162】
S613において、ワークフロー管理サーバ100のデータ管理部525は、生産システム120から検品結果を受信すると、PQXデータベースに結果を保存する。本実施例においては、PQXデータ904に測定結果を記録する。
【0163】
続くS614において、ワークフロー管理サーバ100の品質レポート作成部526は、品質レポートを作成する。品質レポートとは、例えば、PQXデータをシステム管理者やエンドユーザが確認しやすい形式に文書化したものである。一般的に、エンドユーザが発注したジョブに対して成果物と共にひとつ生成される。品質レポート作成部526は、ここで作成した品質レポートを、データ管理部525を介して受注システムサーバ110に送信する。
【0164】
S615において、受注システムサーバ110のデータ管理部503は、ワークフロー管理サーバ100から受信した品質レポートを保存する。保存した品質レポートは、システム管理者やエンドユーザが、それぞれの端末111や112を介して確認することが可能となる。
【0165】
以上の処理により、成果物生成時の結果を記した品質レポート作成に必要な項目を品質要求データから自動で作成しリスト化する。ジョブ毎に存在する異なる複数の品質要求項目に対して、品質レポート作成に必要な品質確認項目を特定することが可能となる。
【0166】
実施形態1において、PRXを解析して確認が必要な品質項目となるPQX項目リストを生成し、各PQX項目に対して生産システムからの制御結果を記録、その結果を基に品質レポートを作成する情報処理システムについて説明した。
【0167】
品質レポートには、顧客が注文発注時に要求した品質項目に対する成果物出力時の品質測定結果が全て記載されている必要がある。しかし、品質レポートに記載すべき品質項目はジョブによって異なるため、作成された品質レポートが本当に過不足なく必要な情報が記録されているか否かを判断することは困難である。
【0168】
そこで、本実施形態においては、品質レポート作成614において品質レポートを作成するにあたり、606において生成したPQXリストの全項目に対して結果情報が記録されているか否かを判断する手段を有するシステムを提案する。
【0169】
本実施形態に係る、システム全体構成、ハードウェア構成、およびソフトウェア構成は実施形態1と共通の為説明を省略する。ソフトウェア処理の全体のフローも、実施形態1の
図6で説明したフローと基本的に共通であり説明を省略する。
【0170】
本実施形態の特徴である品質レポート作成時のフローについて、
図12を用いて説明する。
【0171】
図12は、本実施形態に係る品質レポート作成処理について説明するフローチャートである。本フローチャートは、HDD204にプログラムとして格納され、CPU201が、そのプログラムをRAM203に展開して実行することにより実現される。本フローチャートは、品質レポート作成614のステップにおいて、品質レポート作成部526が実行する。
【0172】
S1201において、品質レポート作成部526は、PQXリストに記載されているPQX項目に更新があるか否かを判断する。PQX項目の更新とは、任意のPQX項目に対して品質確認結果が記録されることを想定している。品質確認結果の記録は、生産システム120から品質確認結果を受信することによって行われる。また、品質確認結果の記録は、ワークフロー管理端末101を介してユーザが品質確認結果を入力することによって行われる。
【0173】
PQXデータに更新があると判断された場合(S1201でYES)、S1202において、品質レポート作成部526は、ひとつ目のPQX項目を選択する。更新がない場合(S1201でNO)は、本フローチャート先頭に戻る。
【0174】
続くS1203において、品質レポート作成部526は、選択したPQX項目に品質確認結果情報が記録されているか否かを判断する。
【0175】
PQX項目に結果情報が記録されていなかった場合(S1203でNO)、S1204に移り、品質レポート作成部526は、対象のPQX項目情報をオペレータに通知する。通知手段としては、例えば生産オペレータ端末125の不図示のディスプレイ上へ、その旨を表示する。通知後、本フローチャートの先頭に戻る。
【0176】
PQX項目に結果情報がきちんと記録されている場合(S1203でYES)、S1205に移り、品質レポート作成部526は、全てのPQX項目を処理したか否かを判断する。
【0177】
まだ処理していないPQX項目が存在する場合(S1205でNO)、S1206に移り、品質レポート作成部526は、次のPQX項目を選択する。そして選択したPRX項目に対してS1203の処理を実行する。
【0178】
S1207において、全てのPQX項目に必要な品質確認結果が記録されていることが確定したため、品質レポート作成部526は、品質レポートを作成する。
【0179】
以上の処理により、本実施形態においては、PQXリストに存在する全てのPQX項目に品質確認結果が記録されている場合に限って品質レポートを作成するようにしている。このような処理を行うことにより、一部の項目が抜けたり不要な項目が入ったりといった要素がなくなるため、顧客が要求した品質項目の全てを品質レポートに記載することを、システムとして保証することができる。
【0180】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0181】
100 ワークフロー管理サーバ
521 PRX解析部
522 PQX生成部