(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】シート処理装置、及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/36 20060101AFI20240527BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20240527BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240527BHJP
B65H 5/24 20060101ALI20240527BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20240527BHJP
B65H 31/12 20060101ALI20240527BHJP
B65H 31/30 20060101ALI20240527BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240527BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B65H31/36
B65H29/58 B
B65H5/06 F
B65H5/24
B65H31/24
B65H31/12
B65H31/30
B65H37/04 D
G03G15/00 460
(21)【出願番号】P 2020051914
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2019102796
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019224719
(32)【優先日】2019-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿形 淳
(72)【発明者】
【氏名】辻 寛治
(72)【発明者】
【氏名】深津 正義
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-252909(JP,A)
【文献】特開2015-209281(JP,A)
【文献】特開2011-207564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/36
B65H 29/58
B65H 5/06
B65H 5/24
B65H 31/24
B65H 31/12
B65H 31/30
B65H 37/04
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを受け入れる第1搬送路と、
前記第1搬送路を介して
1枚ずつ受け取った
複数枚のシート
を重ねるバッファ部と、
前記バッファ部によって重ねられた
前記複数枚のシートが搬送される第2搬送路と、
前記第2搬送路に配置され、前記第2搬送路をシート搬送方向に搬送されてきた
前記複数枚のシートを挟持して前記シート搬送方向に搬送する搬送ローラ対と、
前記シート搬送方向において前記搬送ローラ対の下流に設けられ、前記搬送ローラ対から排出された
前記複数枚のシート
を含むシート束が積載される積載部と、
前記シート搬送方向において前記搬送ローラ対よりも下流に設けられ、前記第2搬送路から前記積載部に排出された
各シートの上面に接触して当該シートを前記シート搬送方向の下流に向けて移動させる移動手段と、
前記移動手段のシート接触位置よりも前記シート搬送方向の下流に設けられ、前記積載部に積載された
各シートの前記シート搬送方向における先端に当接してシート位置を規制する規制部と、
前記積載部に積載され、前記規制部によってシート位置を規制された
前記シート
束に処理を行う処理手段と、を備え、
前記バッファ部は、前記第1搬送路から受け取ったシートの搬送方向を反転させて当該シートを前記第2搬送路に送り込む反転ローラ対であって当接及び離間が可能な反転ローラ対と、前記第2搬送路に配置され、前記搬送ローラ対よりも前記シート搬送方向の上流に設けられた中間ローラ対と、を含み、
前記複数枚のシートに含まれる、隣り合う2枚のシートの組み合わせのそれぞれについて、前記複数枚のシートが前記積載部に積載された状態において下側に位置するシートを下位シートとし、前記下位シートの上に重なるシートを上位シートとするとき、
前記バッファ部は、前記反転ローラ対によって反転させた下位シートを前記中間ローラ対によって挟持し、前記下位シートに続いて前記第1搬送路を搬送されてくる前記上位シートを離間させた状態の前記反転ローラ対に受け入れた後、前記反転ローラ対を当接させて前記下位シート及び前記上位シートを前記反転ローラ対で挟持する、一連の動作を行うことで、前記複数枚のシートを重ねるように構成されており、
前記複数枚のシートが前記積載部に排出される前の状態において、
前記複数枚のシートに含まれる、隣り合う2枚のシートの組み合わせのそれぞれについて、前記シート搬送方向における前記
下位シートの先端が前記
上位シートの先端に対して前記シート搬送方向の下流に突出しているずらし量
が前記移動手段のシート接触位置から前記規制部までの前記シート搬送方向の距離よりも大き
くなるように、前記バッファ部は前記複数枚のシートを互いにずらしながら重ねる、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記第1搬送路における所定の検知位置でシートを検知するシート検知手段を備え、
前記中間ローラ対は、シートを前記シート搬送方向及びその反対の逆送方向に搬送可能であり、
前記バッファ部は、前記シート検知手段が前記
上位シートの通過を検知したタイミングに基づいて前記中間ローラ対により前記
下位シートを前記逆送方向に搬送することで、前記
下位シート
の前記
上位シート
に対するずらし量を制御する、
ことを特徴とする請求項
1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記バッファ部は、
離間させた状態の前記反転ローラ対に前記
上位シートを受け入れた後、前記中間ローラ対による前記
下位シートの前記逆送方向への搬送開始に同期して前記反転ローラ対を前記逆送方向に沿った回転方向に回転開始させ、その後前記反転ローラ対及び前記中間ローラ対を等しい周速で回転させている状態で前記反転ローラ対を当接させる、
ことを特徴とする請求項
2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記第1搬送路に配置された搬送手段が前記バッファ部に向けて前記
上位シートを送り込む搬送速度と、前記中間ローラ対が前記
下位シートを前記逆送方向に搬送する搬送速度が略等しい、
ことを特徴とする請求項
2又は
3に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記バッファ部は、
前記一連の動作を2回以上繰り返すことで3枚以上のシートを互いにずらした状態で重ねることが可能であ
る、
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記処理手段によって処理された
前記シート
束の前記シート搬送方向における先端に当接し、当該シートを前記積載部における前記シート搬送方向とは反対の排出方向に向かって押し出す押出手段と、
前記積載部から前記排出方向の下流に延びる第3搬送路と、
前記第3搬送路に配置され、前記押出手段によって前記積載部から押し出された
前記シート
束を
前記シート
処理装置の外部に排出する排出手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記移動手段は、前記積載部に対して昇降可能なローラ部材である、
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記移動手段は、回転する軸部と、前記軸部に支持され、前記軸部に対する周方向の一部に設けられた外周部と、を有し、前記軸部が1回転する間に前記外周部において前記積載部に積載されたシートに接触する回転部材である、
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記移動手段は、回転する軸部と、前記軸部から径方向外側に突出する弾性を有する羽根状部材と、を有するパドル状の回転部材である、
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記処理手段は、前記積載部に積載され、前記規制部によってシート位置を規制された
前記シート
束を綴じる綴じ手段を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項11】
前記綴じ手段は、前記積載部に対して前記シート搬送方向に沿って移動可能であり、前記積載部に積載された
前記シート
束の、前記シート搬送方向に直交する方向における端部を前記シート搬送方向の所定位置で綴じることが可能である、
ことを特徴とする請求項
10に記載のシート処理装置。
【請求項12】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置からシートを受け取って処理する請求項1乃至
11のいずれか1項に記載のシート処理装置と、を備える、
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを処理するシート処理装置、及びシートに画像を形成する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式複合機を例とする画像形成装置のオプションとして、画像形成装置本体で画像を形成されたシートに綴じ処理やソート処理等の処理を施すシート処理装置が用いられている。特許文献1には、処理トレイの上方に設けた排紙ローラによってシートを処理トレイに排出した後、パドル及びベルトを用いてシートを移動させ、シート位置の基準となる端規制部材にシートを当接させる後処理装置が記載されている。このパドル及びベルトは、シートの上面に接触する回転部材であって、排紙ローラによるシートの排出方向に対して概ね反対向きにシートを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献に記載されたパドル及びベルトのように、シートの上面にのみ接触する回転部材によってシートの整合を行う際、整合精度の維持とジャムの低減とを両立することが難しい場合があった。即ち、回転部材がシートに付与する搬送力が弱すぎると、シートが端規制部材に到達できずに整合動作の基準位置からずれてしまう場合がある。一方、回転部材がシートに付与する搬送力が強すぎると、回転部材と端規制部材との間でシートの座屈が発生して正常に処理を行えない状態(ジャム状態)となりやすい。
【0005】
そこで、本発明は、シートの整合精度を維持しつつジャムの発生を低減可能なシート処理装置、及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シートを受け入れる第1搬送路と、前記第1搬送路を介して1枚ずつ受け取った複数枚のシートを重ねるバッファ部と、前記バッファ部によって重ねられた前記複数枚のシートが搬送される第2搬送路と、前記第2搬送路に配置され、前記第2搬送路をシート搬送方向に搬送されてきた前記複数枚のシートを挟持して前記シート搬送方向に搬送する搬送ローラ対と、前記シート搬送方向において前記搬送ローラ対の下流に設けられ、前記搬送ローラ対から排出された前記複数枚のシートを含むシート束が積載される積載部と、前記シート搬送方向において前記搬送ローラ対よりも下流に設けられ、前記第2搬送路から前記積載部に排出された各シートの上面に接触して当該シートを前記シート搬送方向の下流に向けて移動させる移動手段と、前記移動手段のシート接触位置よりも前記シート搬送方向の下流に設けられ、前記積載部に積載された各シートの前記シート搬送方向における先端に当接してシート位置を規制する規制部と、前記積載部に積載され、前記規制部によってシート位置を規制された前記シート束に処理を行う処理手段と、を備え、前記バッファ部は、前記第1搬送路から受け取ったシートの搬送方向を反転させて当該シートを前記第2搬送路に送り込む反転ローラ対であって当接及び離間が可能な反転ローラ対と、前記第2搬送路に配置され、前記搬送ローラ対よりも前記シート搬送方向の上流に設けられた中間ローラ対と、を含み、前記複数枚のシートに含まれる、隣り合う2枚のシートの組み合わせのそれぞれについて、前記複数枚のシートが前記積載部に積載された状態において下側に位置するシートを下位シートとし、前記下位シートの上に重なるシートを上位シートとするとき、前記バッファ部は、前記反転ローラ対によって反転させた下位シートを前記中間ローラ対によって挟持し、前記下位シートに続いて前記第1搬送路を搬送されてくる前記上位シートを離間させた状態の前記反転ローラ対に受け入れた後、前記反転ローラ対を当接させて前記下位シート及び前記上位シートを前記反転ローラ対で挟持する、一連の動作を行うことで、前記複数枚のシートを重ねるように構成されており、前記複数枚のシートが前記積載部に排出される前の状態において、前記複数枚のシートに含まれる、隣り合う2枚のシートの組み合わせのそれぞれについて、前記シート搬送方向における前記下位シートの先端が前記上位シートの先端に対して前記シート搬送方向の下流に突出しているずらし量が前記移動手段のシート接触位置から前記規制部までの前記シート搬送方向の距離よりも大きくなるように、前記バッファ部は前記複数枚のシートを互いにずらしながら重ねる、ことを特徴とするシート処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートの整合精度を維持しつつジャムの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】実施例1に係るバッファ動作を説明するための図(a~d)。
【
図4】実施例1に係るバッファ動作を説明するための図(a~d)。
【
図5】実施例1に係る画像形成システムのブロック図。
【
図6】実施例1に係る入口ローラの動作シーケンスを表すフローチャート。
【
図7】実施例1に係るバッファ前ローラの動作シーケンスを表すフローチャート。
【
図8】実施例1に係る反転ローラの動作シーケンスを表すフローチャート。
【
図9】実施例1に係る内排出ローラの動作シーケンスを表すフローチャート。
【
図10】実施例1に係る綴じ処理部の斜視図(a)及び中間上ガイドを開いた状態の綴じ処理部の斜視部(b)。
【
図11】実施例1に係る綴じ処理部の動作を説明するための図(a~d)。
【
図12】実施例1に係る綴じ処理部の動作を説明するための図(a~d)。
【
図13】実施例1に係る綴じ処理部の動作を説明するための図(a~d)。
【
図14】実施例1に係る綴じ処理部の動作を説明するための図(a、b)。
【
図15】実施例1に係るバッファ部のずらし量と綴じ処理部の整合動作との関係を説明するための図。
【
図16】実施例1に係る綴じ処理部の動作シーケンスを表すフローチャート。
【
図23】実施例4に係る画像形成システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための例示的な形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は実施例1に係る画像形成システム1Sの概略図である。本実施例の画像形成システム1Sは、画像形成装置1、画像読取装置2、原稿送り装置3及び後処理装置4によって構成される。画像形成システム1Sは、記録材であるシートに画像を形成し、必要に応じて後処理装置4によってシートに処理を施して出力する。以下、各装置の簡単な動作を説明した後、後処理装置4について詳細な説明を行う。
【0013】
原稿送り装置3は、原稿トレイ18に載置された原稿を画像読取部16、19に搬送する。画像読取部16、19はそれぞれ原稿面から画像情報を読み取るイメージセンサであり、1度の原稿搬送で原稿の両面の読み取りが行われる。画像情報を読み取られた原稿は原稿排出部20に排出される。また、画像読取装置2は駆動装置17により画像読取部16を往復移動させることで、原稿台ガラスにセットされた静止原稿(ブックレット原稿などの原稿送り装置3が使用できない原稿を含む)から画像情報を読み取ることができる。
【0014】
画像形成装置1は、直接転写方式の画像形成部1Bを備えた電子写真装置である。画像形成部1Bは、感光ドラム9を備えたカートリッジ8と、カートリッジ8の上方に配置されたレーザスキャナユニット15と、を備えている。画像形成動作を行う場合、回転する感光ドラム9の表面が帯電させられ、レーザスキャナユニット15が画像情報に基づいて感光ドラム9を露光することでドラム表面に静電潜像を書き込む。感光ドラム9に担持された静電潜像は帯電したトナー粒子によってトナー像に現像され、感光ドラム9と転写ローラ10とが対向する転写部にトナー像が搬送される。画像形成装置1のコントローラ(後述のプリンタ制御部100)は、画像読取部16,19によって読み取られた画像情報又は外部のコンピュータからネットワークを介して受信した画像情報に基づいて画像形成部1Bによる画像形成動作を実施する。
【0015】
画像形成装置1には、記録材としてのシートを1枚ずつ所定の間隔で給送する給送装置6を複数備えている。給送装置6から給送されたシートはレジストレーションローラ7にて斜行を補正された後に転写部に搬送され、転写部において、感光ドラム9に担持されたトナー像を転写される。シート搬送方向における転写部の下流には定着ユニット11が配置されている。定着ユニット11は、シートを挟持して搬送する回転体対と、トナー像を加熱するためのハロゲンランプ等の発熱体とを有し、シート上のトナー像を加熱及び加圧することで画像の定着処理を行う。
【0016】
画像形成されたシートを画像形成装置1の外部に排出する場合、定着ユニット11を通過したシートは水平搬送部14を介して後処理装置4に搬送される。両面印刷において第1面の画像形成が終了したシートの場合、定着ユニット11を通過したシートは反転ローラ12に受け渡され、反転ローラ12によってスイッチバック搬送され、再搬送部13を介して再びレジストレーションローラ7に搬送される。そして、再び転写部及び定着ユニット11を通過することで第2面に画像を形成された後、水平搬送部14を介して後処理装置4に搬送される。
【0017】
上記の画像形成部1Bはシートに画像を形成する画像形成手段の一例であり、感光体に形成したトナー像を中間転写体を介してシートに転写する中間転写方式の電子写真ユニットを用いてもよい。また、インクジェット方式やオフセット印刷方式の印刷ユニットを画像形成手段として用いてもよい。
【0018】
(後処理装置)
後処理装置4は、シートに綴じ処理を施す綴じ処理部4Aを有し、画像形成装置1から受け取ったシートに綴じ処理を施してシート束として排出する。また、後処理装置4は、画像形成装置1から受け取ったシートに綴じ処理を施さずに単に排出することもできる。
【0019】
後処理装置4には、シートを搬送する搬送路として受入パス81、内排出パス82、第1排出パス83及び第2排出パス84が設けられており、シートを排出する排出先として上排出トレイ25及び下排出トレイ37が設けられている。受入パス81は画像形成装置1からシートを受け取って搬送する本実施例の第1搬送路であり、内排出パス82は綴じ処理部4Aへ向けてシートを搬送する本実施例の第2搬送路である。第1排出パス83はシートを上排出トレイ25に排出する搬送路であり、第2排出パス84はシートを下排出トレイ37に排出する搬送路(第3搬送路)である。
【0020】
受入パス81には、入口ローラ21、バッファ前ローラ22及び入口センサ27が配置されている。第1排出パス83には反転手段としての反転ローラ24が配置されている。内排出パス82には、内排出ローラ26、中間搬送ローラ28、蹴り出しローラ29及び中間積載前センサ38が配置されている。第2排出パス84には束排出ローラ36が配置されている。入口センサ27及び中間積載前センサ38は、いずれも、シート処理装置内の搬送路における所定の検知位置でシートの通過を検知するシート検知手段の例である。入口センサ27及び中間積載前センサ38としては、後述するように、光を用いて検知位置におけるシートの有無を検出する光学センサを用いることができる。
【0021】
以下、後処理装置4におけるシートの搬送経路を説明する。ただし、反転ローラ24を含むバッファ部4Bによるバッファ動作、及び綴じ処理部4Aの詳細な構成及びその動作については後述する。
【0022】
画像形成装置1の水平搬送部14から排出されるシートは、入口ローラ21によって受け取られ、受入パス81を通ってバッファ前ローラ22へ向けて搬送される。入口センサ27は、入口ローラ21とバッファ前ローラ22との間の検知位置においてシートを検知する。バッファ前ローラ22は、入口ローラ21から受け取ったシートを第1排出パス83へ向けて搬送する。
【0023】
なお、入口センサ27がシートの後端の通過を検知した後の所定のタイミングで、バッファ前ローラ22はシートの搬送速度を水平搬送部14における搬送速度より速い速度まで加速する。また、入口ローラ21によるシートの搬送速度を水平搬送部14よりも大きく設定し、バッファ前ローラ22よりも上流の入口ローラ21で搬送速度を加速してもよい。この場合、水平搬送部14の搬送ローラとこれを駆動するモータとの間にワンウェイクラッチを設置し、入口ローラ21によってシートが引っ張られたとしても搬送ローラが空転するように構成すると好適である。
【0024】
シートの排出先が上排出トレイ25の場合、反転ローラ24はバッファ前ローラ22から受け取ったシートを上排出トレイ25に排出する。この場合、シート後端がバッファ前ローラ22を通過した後の所定のタイミングで反転ローラ24は所定の排出速度まで減速する。
【0025】
シートの排出先が下排出トレイ37の場合、反転ローラ24はバッファ前ローラ22から受け取ったシートのスイッチバック搬送を行ってシートを内排出パス82に搬送する。反転ローラ24によるシートの排出方向において反転ローラ24よりも上流側で受入パス81及び内排出パス82が第1排出パス83から分岐する分岐部には、逆流防止弁23が配置されている。逆流防止弁23は、反転ローラ24によってスイッチバックされたシートが受入パス81に逆流することを規制する機能を有する。
【0026】
内排出パス82に配置された内排出ローラ26、中間搬送ローラ28及び蹴り出しローラ29は、反転ローラ24から受け取ったシートを順に受け渡しながら綴じ処理部4Aへ向けて搬送する。中間積載前センサ38は、中間搬送ローラ28と蹴り出しローラ29との間でシートを検知する。
【0027】
綴じ処理部4Aは、本実施例の綴じ手段であるステイプラを有し、内排出パス82から受け取った複数枚のシートを整合した後、ステイプラによってシート束の所定位置を綴じる。綴じ処理部4Aの詳細な構成及び動作については後述する。綴じ処理部4Aによって綴じられたシート束は、第3搬送路としての第2排出パス84を介して束排出ローラ36に受け渡され、排出手段としての束排出ローラ36によって下排出トレイ37に排出される。後処理装置4は、束排出ローラ36によって排出方向に搬送されるシートを、装置内から装置外へ排出するための開口部である排出部Dを備える。
【0028】
上排出トレイ25及び下排出トレイ37は、いずれも後処理装置4の筐体に対して上下に移動可能である。後処理装置4は、上排出トレイ25及び下排出トレイ37におけるシートの上面位置(シートの積載高さ)を検知するシート面検知センサを備えており、いずれかのセンサがシートを検知すると、対応するトレイをA2,B2方向に下降させる。また、上排出トレイ25又は下排出トレイ37のシートが取り除かれたことをシート面検知センサによって検知すると、そのトレイをA1,B1方向に上昇させる。従って、上排出トレイ25及び下排出トレイ37は、積載されたシートの上面を一定に保つように、シートの積載量に応じて昇降制御される。本実施形態において、第1の積載部としての上排出トレイ25及び第2の積載部としての下排出トレイ37は、それぞれモータ駆動により昇降制御されるものとするが、例えばバネ等の付勢手段により昇降可能な構成としてもよい。
【0029】
(バッファ動作)
次に、
図2~
図4を用いてバッファ動作の詳細な説明を行う。
図2はバッファ部4Bの概略図、
図3及び
図4の各図はバッファ動作の様子を示している。
【0030】
図2に示すように、本実施例のバッファ部4Bは、反転ローラ24(反転ローラ対)、逆流防止弁23及び内排出ローラ26(中間ローラ対)を含んでいる。また、受入パス81に配置される入口ローラ21、バッファ前ローラ22及び入口センサ27もバッファ動作に関与する。
【0031】
以下、入口ローラ21とバッファ前ローラ22との間のシート搬送路(受入パス81の一部)を形成する搬送ガイドを「入口上ガイド40」及び「入口下ガイド41」とする。また、内排出ローラ26と中間搬送ローラ28との間のシート搬送路(内排出パス82の一部)を形成する搬送ガイドを「内排出上ガイド46」及び「内排出下ガイド47」とする。さらに、バッファ前ローラ22と反転ローラ24との間で、入口上ガイド40と同じ側からシートを案内する搬送ガイドを「反転上ガイド42」とする。また、反転ローラ24と内排出ローラ26との間で、内排出下ガイド47と同じ側からシートを案内する搬送ガイドを「反転下ガイド43」とする。
【0032】
入口ローラ21が搬送するシートは、入口上ガイド40及び入口下ガイド41によってバッファ前ローラ22に案内される。入口上ガイド40には入口センサ27が配置されている。入口センサ27としては、受入パス81へ向けて赤外光を照射し、シートからの反射光を検出することで検知位置におけるシートの有無を判定する反射式フォトセンサを用いることができる。この場合、入口下ガイド41の入口センサ27に対向する部分には、シートが通過していない場合に赤外光が反射しないように、入口センサ27のスポット光の直径以上の大きさの穴を設ける。
【0033】
バッファ前ローラ22の下流であって、第1排出パス83に対して受入パス81及び内排出パス82が分岐する部分には、逆流防止弁23が配置されている。逆流防止弁23は、内排出上ガイド46に対して回転軸23aを介して回転可能に支持されている。また、逆流防止弁23は、不図示のバネにより、回転軸23aの軸方向(シートの幅方向)から見て逆流防止弁23の先端部が反転上ガイド42と重なる位置(
図2の位置)へ向けてC2方向(図中時計回り方向)に常時付勢されている。また、上記のバネのバネ定数は、バッファ前ローラ22から送り出されるシートが逆流防止弁23に当接した際に、バネの付勢力に抗して逆流防止弁23がC1方向(図中反時計回り方向)に回動する程度の大きさに設定されている。従って、逆流防止弁23は、バッファ前ローラ22から反転ローラ24へ向かって搬送されるシートの通過を許容する。その一方で、受入パス81におけるシートの後端が逆流防止弁23を通過すると、逆流防止弁23はC2方向に回動して、反転ローラ24からバッファ前ローラ22にシートが逆流することを規制する。
【0034】
反転ローラ24は、反転上ローラ24a及び反転下ローラ24bによって構成される。本実施例では、反転上ローラ24a及び反転下ローラ24bの両方に駆動力が入力され、また、反転上ローラ24a及び反転下ローラ24bの回転は常時同期している。
【0035】
反転ローラ24は、プランジャソレノイド45によって当接及び離間を行うことが可能に構成されている。具体的には、反転上ローラ24aのローラ軸に離間レバー44の一端が接続され、離間レバー44は反転上ガイド42に対してレバー支点軸44aを中心に回転可能に支持されている。離間レバー44の他端に設けられたソレノイド接続軸44bは、プランジャソレノイド45のプランジャに連結されている。
【0036】
プランジャソレノイド45が通電されると、磁力によってプランジャがD1方向に引き付けられて離間レバー44がE1方向に回転し、反転ローラ24は離間状態(ローラ対のニップ部が開いた状態)となる。プランジャソレノイド45への通電が停止すると、反転上ローラ24aのローラ軸に接続された加圧バネ48の付勢力によって反転上ローラ24aが反転下ローラ24bに当接し、反転ローラ24は当接状態(ニップ部が閉じた状態)となる。このとき、反転上ローラ24aの移動に伴って離間レバー44はE2方向に回転し、プランジャソレノイド45のプランジャはD2方向へ移動する。
【0037】
内排出ローラ26は、内排出パス82におけるシートの搬送方向において反転ローラ24に隣り合うローラ対であって、正転及び逆転が可能なローラ対である。つまり、内排出ローラ26は、反転ローラ24から綴じ処理部4Aに向かうシート搬送方向(内排出パス82の順送方向)、及び、綴じ処理部4Aから反転ローラ24に向かう逆送方向のいずれにもシートを搬送可能である。
【0038】
次に、
図3及び
図4を用いてバッファ部4Bのバッファ動作について詳細な説明を行う。バッファ動作は、綴じ処理部4Aにおいて前の部のシート束に対する綴じ処理が完了するまでの間、次の部のシート束を構成する所定枚数のシートをバッファ部4Bで待機させる動作である。バッファ動作を行うことにより、画像形成システムは、画像形成装置1の生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)を落とすことなく、綴じ処理を含む画像形成ジョブを実行することが可能となる。
【0039】
以下、シートを区別するため、画像形成装置1から後処理装置4に受け渡される順番に、「シートS1」、「シートS2」、「シートS3」とする。また、シート搬送方向におけるシートの両端の内、入口ローラ21を先に通過するものを「第1端」とし、入口ローラ21を後から通過するものを「第2端」とする。また、画像形成装置1の水平搬送部14におけるシートの搬送速度をV1とし、後処理装置4の内部で搬送速度を加速した後の搬送速度をV2とする。
【0040】
図3(a)は、受入パス81におけるシートS1の後端(第2端S1b)が入口センサ27の検知位置を通過した時点の様子を表している。入口センサ27がシートS1の第2端S1bの通過を検知すると、バッファ前ローラ22及び反転ローラ24はシートS1を速度V1から速度V2まで加速させる。このようにシートS1を加速することで後続するシートS2との間隔が広がり、反転ローラ24による反転動作(スイッチバック)に必要なシート間隔が確保される。
図3(a)の時点では、反転ローラ24は反転前の回転方向R1に回転し、シートS1を上排出トレイ25に向かう方向に搬送している。
【0041】
図3(b)は、受入パス81におけるシートS1の後端(第2端S1b)が逆流防止弁23を抜けた時点の様子を表している。反転ローラ24は、シートS1の後端(第2端S1b)が逆流防止弁23を抜けた後の所定のタイミングで回転を一時停止する。所定のタイミングは、入口センサ27がシートS1の後端(第2端S1b)の通過を検知したタイミングからの経過時間に基づいて決定される。
【0042】
図3(c)は、反転ローラ24が反転後の回転方向である回転方向R2に回転を開始し、シートS1を内排出ローラ26に受け渡した後の様子を表している。内排出ローラ26は、回転方向R3に回転している状態でシートS1を受け取り、内排出パス82における順送方向にシートS1を搬送する。また、内排出パス82におけるシートS1の先端(第2端S1b)が逆流防止弁23の位置を通過した後に、受入パス81におけるシートS2の先端(第1端S2a)が逆流防止弁23に到達する。そのため、シートS1及びシートS2は搬送パスの分岐部においてすれ違うように搬送される。
【0043】
図3(d)は、内排出パス82におけるシートS1の先端(第2端S1b)が内排出ローラ26から所定量搬送されて、内排出ローラ26が一時的に停止した時点の様子を表す。
図3(c)に示す時点の後、受入パス81におけるシートS2の先端(第1端S2a)が反転ローラ24に到達する前にプランジャソレノイド45が通電される。これにより反転上ローラ24aがE1方向に移動し、反転ローラ24は離間している。シートS1は停止状態の内排出ローラ26によって保持されており、シートS1の一部は離間状態の反転ローラ24の間に位置している。そのため、バッファ前ローラ22によって受入パス81から第1排出パス83に送り込まれるシートS2は、シートS1の上を滑るようにして搬送される。なお、シートS2についても、入口センサ27がシートS2の後端(第2端S2b)の通過を検知した後にバッファ前ローラ22によって速度V1から速度V2まで加速されている。
【0044】
図4(a)は、内排出ローラ26がシートS1の逆送方向への搬送を開始した後の状態を表している。内排出ローラ26は、シートS2が所定の位置まで搬送されたタイミングで回転方向R4に回転を開始し、シートS1を反転ローラ24に向かう逆送方向に搬送する。内排出ローラ26の目標速度はバッファ前ローラ22と同じく速度V2に設定されている。シートS1とシートS2の速度が略等しく(相対速度が略零に)なった後のタイミングで、プランジャソレノイド45への通電は停止される。これによって反転上ローラ24aがE2方向に移動して反転ローラ24が再び当接状態となり、シートS1とシートS2が重ねられた状態で反転ローラ24に挟持される。また、反転ローラ24は、内排出ローラ26に同期して回転方向R1の回転を開始しており、離間状態から当接状態に切替わるまでに、バッファ前ローラ22及び内排出ローラ26と等しい周速(速度V2)となるように制御される。
【0045】
図4(b)は、受入パス81におけるシートS2の後端(第2端S2b)が逆流防止弁23を抜けた後の様子を表している。反転ローラ24は、シートS2の後端(第2端S2b)が逆流防止弁23を抜けた後の所定のタイミングで回転を一時停止する。このとき、重ねられた状態のシートS1,S2はいずれも移動を停止するが、シートS1の第2端S1bは、シートS2の第2端S2bに比べて、内排出パス82の順送方向に所定のずらし量kだけ突出している。このずらし量kは、
図4(a)を用いて説明したように内排出ローラ26が所定のタイミングでシートS1の逆送方向への搬送を開始することで制御される。
【0046】
図4(c)は、反転ローラ24が回転方向R2に回転を開始し、重ねられた状態のシートS1、S2を内排出ローラ26に受け渡した後の様子を表している。内排出ローラ26は、回転方向R3に回転している状態でシートS1、S2を受け取り、内排出パス82における順送方向にシートS1,S2を搬送する。シートS1,S2は、重ねられた状態のまま内排出パス82を介して綴じ処理部4Aに向かって搬送される。
【0047】
なお、内排出パス82におけるシートS2の先端(第2端S2b)が逆流防止弁23の位置を通過した後に、3枚目のシートS3の受入パス81における先端(第1端S3a)が逆流防止弁23に到達する。そのため、シートS2及びシートS3は搬送パスの分岐部においてすれ違うように搬送される。また、シートS2が内排出ローラ26に挟持された後に反転上ローラ24aはE1方向に移動し、後続のシートS3を受け入れる準備として反転ローラ24は再び離間状態となる。
【0048】
図4(d)は、反転ローラ24が離間状態から当接状態に切替わった後の様子を表している。反転ローラ24は、シートS2の第1端S2aが反転ローラ24から離脱した後に離間状態から当接状態に切替わり、シートS3を挟持する。この後、反転ローラ24がシートS3の反転動作を行い、シートS1,S2に続いてシートS3が内排出パス82を介して綴じ処理部4Aに搬送される。
【0049】
(3枚以上のシートをバッファする場合)
以上の
図3(a)~
図4(d)では2枚のシートS1,S2をバッファする動作について説明したが、本実施例のバッファ部4Bは3枚以上のシートをバッファすることも可能である。この場合、内排出ローラ26は
図4(c)に示すようにシートS1,S2を挟持している状態で停止し、3枚目のシートS3(第3シート)の第2端が入口センサ27によって検知された後の所定のタイミングでシートS1,S2を逆送方向に搬送する。そして、内排出ローラ26の搬送速度がバッファ前ローラ22の搬送速度に同期した後に反転ローラ24が当接状態となることで、反転ローラ24は重ねられた状態の3枚のシートS1,S2,S3を挟持する。このとき、内排出ローラ26が所定のタイミングでシートS1,S2の逆送を開始することにより、2枚目のシートS2の第2端は3枚目のシートの第2端に対して順送方向に所定のずらし量kだけ突出した状態となる。
【0050】
また、反転ローラ24の開閉と内排出ローラ26の反転を適切な順序で繰り返すことにより、バッファ部4Bは例えば最大で5枚のシートをバッファすることが可能である。このように3枚以上のシートを重ねるバッファ機能を有することにより、後処理装置4は画像形成装置1の生産性を低下させることなくシートを処理することが可能となり、画像形成システム全体の生産性向上に貢献する。
【0051】
(ローラの駆動制御)
次に、
図3及び
図4を用いて説明した動作を実現する制御構成について説明する。
図5は、本実施例に係る画像形成システム1Sの構成を表すブロック図である。画像形成装置1にはプリンタ制御部100が搭載され、後処理装置4にはフィニッシャ制御部400が搭載されている。プリンタ制御部100及びフィニッシャ制御部400は、通信インタフェースを介して互いに接続され、協働して画像形成システム1Sの動作を制御する。
【0052】
プリンタ制御部100は、中央処理装置(CPU)101と、メモリ102とを有する。CPU101は、メモリ102に格納されたプログラムを読み出して実行し、画像形成装置1を統括制御する。例えば、CPU101は、画像形成部1Bに画像形成動作を実行させる処理や、画像読取装置2に読取動作を実行させて画像情報を取得する処理を実行する。メモリ102は、読取専用メモリ(ROM)のような不揮発性の記憶媒体及びランダムアクセスメモリ(RAM)のような揮発性の記憶媒体を含み、プログラム及びデータの保管場所となると共にCPU101がプログラムを実行する際の作業スペースとなる。メモリ102は、画像形成装置を制御するためのプログラムを格納した非一過性の記憶媒体の例である。
【0053】
プリンタ制御部100は、外部インタフェース(I/F)104を介してパーソナルコンピュータ又は携帯型情報機器等の外部機器に接続され、画像形成システム1Sに対する画像形成ジョブの実行指令等を受け付ける。また、プリンタ制御部100は、画像形成システム1Sのユーザインタフェースである操作表示部103に接続されている。操作表示部103は、ユーザに情報を提示する液晶パネル等の表示装置と、ユーザによる入力操作を受け付ける物理ボタン及び液晶パネルのタッチパネル機能部等の入力装置とを備える。プリンタ制御部100は、操作表示部103と通信を行うことにより、表示装置の表示内容を制御し、入力装置を介して入力された情報を受け取る。
【0054】
フィニッシャ制御部400は、中央処理装置(CPU)401と、メモリ402と、タイマー403とを有する。CPU401は、メモリ402に格納されたプログラムを読み出して実行し、後処理装置4を統括制御する。メモリ402は、読取専用メモリ(ROM)のような不揮発性の記憶媒体及びランダムアクセスメモリ(RAM)のような揮発性の記憶媒体を含み、プログラム及びデータの保管場所となると共にCPU401がプログラムを実行する際の作業スペースとなる。メモリ402は、後処理装置を制御するためのプログラムを格納した非一過性の記憶媒体の例である。
【0055】
タイマー403は、計時機能を有する回路要素であり、RTC機能を有する集積回路や、CPU401が実行するプログラムのモジュールとして実装される。なお、タイマー403に限らず、プリンタ制御部100及びフィニッシャ制御部400が備える各機能は、ASIC等の独立したハードウェアとして制御部の回路上に実装してもよく、プログラムの機能単位としてソフトウェア的に実装してもよい。また、以下で説明するフィニッシャ制御部400の機能の一部又は全部を、プリンタ制御部100が担うようにすることもできる。
【0056】
後処理装置4には、上述の入口センサ27、中間積載前センサ38、プランジャソレノイド45、ステイプラ51に加えて、シートを搬送するための駆動源又は綴じ処理部4Aの駆動源となる複数のモータ(M1~M11)が搭載されている。この内、入口モータM1は入口ローラ21を回転駆動する。バッファ前モータM2はバッファ前ローラ22を回転駆動する。反転モータM3は反転ローラ24を回転駆動する。内排出モータM4は内排出ローラ26を回転駆動する。蹴り出しモータM5は、蹴り出しローラ29を回転駆動する。主に綴じ処理部4Aによる綴じ処理及び綴じられたシート束の排出に関係する他のモータ(M6~M11)については後述する。なお、上記の各ローラはそれぞれ独立したモータ(M1~M5)によって駆動されるものとして説明したが、以下の説明に沿って各ローラの駆動状態を適切に制御可能な構成であれば、複数のローラを共通のモータによって制御することも可能である。
【0057】
以下、各ローラの動作シーケンスについて、
図6~
図9のフローチャートに沿って説明する。フローチャートの各工程は、フィニッシャ制御部400のCPU401がメモリ402から読み出したプログラムを実行することで処理される。また、各動作シーケンスは、フィニッシャ制御部400が、下排出トレイ37をシートの排出先とする画像形成ジョブの実行を開始したことを表す通知をプリンタ制御部100から受け取った場合に開始される。
【0058】
なお、以下の説明において、ローラの回転開始及び停止、並びに回転速度の変更とは、CPU401が各モータ(M1~M5)の駆動回路に対して回転速度や回転方向を指令する信号を送る処理を指している。また、「起動タイマー」や「停止タイマー」等は、タイマー403が、予め設定されている待機時間に基づいて、所定のイベントの発生時刻を基準として対象とする処理の実行タイミングをカウントダウンする機能を指す。
【0059】
(入口ローラの動作シーケンス)
まず、
図6を用いて、入口ローラ21の動作シーケンスを説明する。
【0060】
S101では、入口ローラ21を目標速度V1で回転開始させる。S102では、入口センサ27が受入パス81におけるシート後端の通過を検知したか否かを判定しながら待機する。入口センサ27がシート後端の通過を検知すると、S103では搬送中のシートが最終シートか否かを判定し、最終シートではない場合、S102に戻って処理を継続する。S103で搬送中のシートが最終シートであった場合、S104で入口ローラ21の回転を停止して動作シーケンスを終了する。
【0061】
(バッファ前ローラの動作シーケンス)
次に、
図7を用いて、バッファ前ローラ22の動作シーケンスを説明する。
【0062】
S201では、バッファ前ローラ22を目標速度V1で回転開始させる。S202では、入口センサ27が受入パス81におけるシート後端の通過を検知したか否かを判定しながら待機する。入口センサ27がシート後端の通過を検知すると、S203でバッファ前ローラ22を目標速度V2まで加速させる処理を開始するとともに、減速タイマーをセットする。
・減速タイマーの終了時刻は、シート後端がバッファ前ローラ22を通過する時刻又はそれ以降のタイミングとなるように設定される。
【0063】
S204では、減速タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S205でバッファ前ローラ22を目標速度V1まで減速させる処理を開始する。S206では搬送中のシートが最終シートか否かを判定し、最終シートではない場合、S202に戻って処理を継続する。S206で搬送中のシートが最終シートであった場合、S207でバッファ前ローラ22の回転を停止して動作シーケンスを終了する。
【0064】
(反転ローラの動作シーケンス)
次に、
図8を用いて、反転ローラ24の動作シーケンスを説明する。
【0065】
S301では、搬送中のシートがバッファ動作の対象になっているか否かを判定し、バッファ対象の場合はS302に進み、バッファ対象でない場合はS321に進む。バッファ動作の対象になるシートとは、綴じ処理部4Aにおいて複数部のシート束を形成する画像形成ジョブを実行する場合に、前の部のシート束に対する綴じ処理が完了する前に画像形成装置1から後処理装置4に受け渡される次の部のシートである。バッファ動作の対象となるシートの枚数は、プリンタ制御部100から通知される画像形成ジョブの内容(特に、画像形成装置1からシートが排出される間隔や、搬送方向におけるシートの長さ及びプロセス速度)に応じて予め定められている。
【0066】
S302~S320は、バッファ対象のシートに対する動作の内容を表している。S302では、搬送中のシートが1枚目のシートか否かを判定し、1枚目のシートである場合はS303に進み、1枚目のシートでない場合はS307に進む。
【0067】
S303では、反転ローラ24を目標速度V1、かつ、反転前の回転方向R1に回転開始させ、また、反転ローラ24をニップ部を形成する当接状態とする。S304では、入口センサ27が受入パス81におけるシート後端の通過を検知したか否かを判定しながら待機する。入口センサ27がシート後端の通過を検知すると、S305で反転ローラ24を目標速度V2まで加速させる処理を開始し、S306で各種タイマーをセットする。
・反転タイマーの終了時刻は、シートの第2端が逆流防止弁23通過した後でかつ反転ローラを通過する前のタイミングとなるように設定される。
・離間タイマーの終了時刻は、反転ローラ24により反転されたシートの先端(シートの第2端)が内排出ローラ26に到達した後のタイミングとなるように設定される。
・停止タイマーの終了時刻は、内排出ローラ26の停止(
図9のS408)と同期するように設定される。
S306の後は、搬送中のシートが1枚目のシートでない場合の処理と合流し、S313に進む。
【0068】
S307では、入口センサ27が受入パス81におけるシート後端の通過を検知したか否かを判定しながら待機する。入口センサ27がシート後端の通過を検知すると、S308で各種タイマーをセットする。
・起動タイマーの終了時刻は、内排出ローラ26によるシートの逆送開始(
図9のS411)と同期するように設定される。
・ニップタイマーの終了時刻は、下記のS310で回転を開始した反転ローラ24の周速が速度V2に到達した後のタイミングとなるように設定される。
・反転タイマーの終了時刻は、受入パス81におけるシートの後端が逆流防止弁23通過した後でかつ反転ローラを通過する前のタイミングとなるように設定される。
・離間タイマーの終了時刻は、反転ローラ24により反転されたシートの先端(シートの第2端)が内排出ローラ26に到達した後のタイミングとなるように設定される。
・停止タイマーの終了時刻は、内排出ローラ26の停止(
図9のS419)と同期するように設定される。
【0069】
S309では、起動タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。ここで反転ローラ24が離間状態で待機している間に、搬送中のシートが反転ローラ24に到達し、内排出ローラ26によって挟持されているシートに重なる(
図3(d))。カウントダウンが終了すると、S310で反転ローラ24を目標速度V1、かつ、反転前の回転方向R1に回転開始させる。S311では、ニップタイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S312でプランジャソレノイドへの通電を停止し、反転ローラ24を当接させる(
図4(a))。このとき、反転ローラ24が内排出ローラ26と等しい周速で回転している状態で反転ローラ24が離間状態から当接状態に切替わる。S312の後は、搬送中のシートが1枚目のシートである場合の処理と合流し、S313に進む。
【0070】
S313では、反転タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S314で反転ローラ24を一時停止させ(
図4(b))、回転方向を反転前の回転方向R1から反転後の回転方向R2に切替えて、目標速度V2で再起動する。S315では、バッファ動作を継続するか(次に搬送するシートもバッファ動作の対象であるか否か)を判定し、継続の場合はS316に進む。S316では、離間タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S317でプランジャソレノイドへの通電を停止し、反転ローラ24を離間させる(
図4(c))。S318では、停止タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S319で反転ローラを停止させる。S320では搬送中のシートが最終シートか否かを判定し、最終シートではない場合、S301に戻って処理を継続する。S320で搬送中のシートが最終シートであった場合、動作シーケンスを終了する。一方、S315でバッファ動作を継続しないと判定した場合、S331で停止タイマーが終了するまで待った後に、S332で停止タイマーを再セットする。再セットされた停止タイマーの終了時刻は、内排出パス82におけるシートの後端が反転ローラ24を抜けた後のタイミングに設定される。S332の後は、S318に合流して上述の処理が行われる。
【0071】
S321~S329は、バッファ対象でないシートに対する動作を表している。この場合、反転ローラ24を当接状態としたまま、反転ローラ24によるシートの反転搬送が行われる。即ち、S321では、反転ローラ24を目標速度V1、かつ、反転前の回転方向R1に回転開始させ、また、反転ローラ24をニップ部を形成する当接状態とする。S322では、入口センサ27が受入パス81におけるシート後端の通過を検知したか否かを判定しながら待機する。入口センサ27がシート後端の通過を検知すると、S323で反転ローラ24を目標速度V2まで加速させる処理を開始し、S324で各種タイマーをセットする。
・反転タイマーの終了時刻は、シートの第2端が逆流防止弁23通過した後でかつ反転ローラを通過する前のタイミングとなるように設定される。
・停止タイマーの終了時刻は、内排出パス82におけるシート後端が反転ローラ24を通過した後のタイミングとなるように設定される。
【0072】
S325では、反転タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S326で反転ローラ24を一時停止させ、回転方向を反転前の回転方向R1から反転後の回転方向R2に切替えて、目標速度V2で再起動する。S327では、停止タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S328で反転ローラを停止させる。S329では搬送中のシートが最終シートか否かを判定し、最終シートではない場合、S301に戻って処理を継続する。S329で搬送中のシートが最終シートであった場合、動作シーケンスを終了する。
【0073】
(内排出ローラの動作シーケンス)
次に、
図9を用いて、内排出ローラ26の動作シーケンスを説明する。
【0074】
S401では、入口センサ27が受入パス81におけるシート後端の通過を検知したか否かを判定しながら待機する。入口センサ27がシート後端の通過を検知すると、S402で、搬送中のシートがバッファ動作の対象になっているか否かを判定し、バッファ対象の場合はS403に進み、バッファ対象でない場合はS421に進む。S403では、搬送中のシートが綴じ処理部4Aで処理するシート束の1枚目のシートか否かを判定し、1枚目のシートである場合はS404に進み、1枚目のシートでない場合はS409に進む。
【0075】
S404では、S401で入口センサ27がシート後端の通過を検知したタイミングに基づいて各種タイマーをセットする。
・起動タイマーの終了時刻は、反転ローラ24によって反転されたシートが内排出ローラ26に到達する前に内排出ローラ26が目標速度V2まで加速できるようなタイミングに設定される。
・停止タイマーの終了時刻は、内排出パス82におけるシート先端が反転ローラ24を通過して所定距離搬送されたタイミングとなるように設定される。
【0076】
S405では、起動タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S406で内排出ローラ26を目標速度V2、かつ、内排出パス82における順送方向に沿った回転方向R3に回転開始させる。S407では、停止タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S408で内排出ローラ26を停止させ、S401に戻る。S408で内排出ローラ26を停止させるタイミングは、
図8のS319で反転ローラ24を停止させるタイミングと同期している。また、S408で内排出ローラ26を停止させることで、バッファ対象である1枚目のシートが内排出ローラ26に保持された状態で停止する(
図3(d))。
【0077】
S409~S418は、バッファ対象のシート(1枚目を除く)を搬送する際の動作の内容を表している。ただし、S409~S413の実行中に内排出ローラ26が接触するのは搬送中のシートではなく、内排出ローラ26に保持された状態のシート(バッファ中のシート)であることに注意する。例えば、
図3(d)~
図4(c)において2枚目のシートS2を「搬送中のシート」として内排出ローラ26が動作するとき、
図4(b)と
図4(c)の間でシートS2の第2端S2aが内排出ローラ26に到達するまでは、内排出ローラ26は、実際にはバッファ中のシートである1枚目のシートS1を移動させている。
【0078】
S409では、S401で入口センサ27がシート後端の通過を検知したタイミングに基づいて各種タイマーをセットする。
・起動タイマーの終了時刻は、下記のS411で逆送方向に搬送開始されるバッファ中のシートと、搬送中のシートとの間のずらし量が、所定のずらし量kとなるように設定される。
・反転タイマーの終了時刻は、反転ローラ24が反転後の回転方向R2に回転を開始するタイミング(
図8のS314)と同期するように設定される。
・停止タイマーの終了時刻は、搬送中のシートの第2端(複数枚のシートを内排出ローラ26に保持させてバッファするときは、最上位のシートの第2端)が内排出ローラ26を通過して所定距離搬送されたタイミングとなるように設定される。
【0079】
S410では、起動タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S411で内排出ローラ26を目標速度V2、かつ、内排出パス82における逆送方向に沿った回転方向R4に回転開始させる。これにより、バッファ中のシートが逆送方向に搬送され、バッファ前ローラ22から送り込まれる搬送中のシートと所定のずらし量kで重ねられた状態となる(
図4(a、b))。また、内排出ローラ26が逆送方向にシートを搬送する搬送速度(V2)は、バッファ前ローラ22が反転ローラ24にシートを送り込む搬送速度に等しい。
【0080】
S412では、反転タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S413で内排出ローラ26を一時停止させ、内排出ローラ26の回転方向を反転させて(R4→R3)搬送方向を逆送方向から順送方向に切替えて、目標速度V2で再起動する。この内排出ローラ26の反転動作は、反転ローラ24の反転動作(
図8のS314)と同期して行われる。これにより、搬送中のシートとバッファ中のシートとが重ねられた状態で反転ローラ24から内排出ローラ26に受け渡される(
図4(c))。
【0081】
S414では、停止タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S415でバッファ動作を継続するか否か(次に内排出ローラ26に到達するシートもバッファ対象であるか否か)を判定する。バッファ動作を継続する場合、停止タイマーの終了に基づいてS416で内排出ローラ26を停止させ、S401に戻って処理を継続する。この場合、次のシートについてS409~S414の処理が繰り返されることで、バッファ部において3枚以上のシートが重ねられた状態となる。バッファ動作を継続しない場合、S417で停止タイマーを再セットして内排出ローラ26の回転を継続させる。再セットされた停止タイマーの終了時刻は、内排出パス82におけるシートの後端(搬送中のシートの第1端)が内排出ローラ26を通過した後のタイミングとなるように設定される。この場合、S418で停止タイマーのカウントダウンを行いながら待機し、カウントダウンが終了すると、内排出ローラ26を停止させる。S420では搬送中のシートが最終シートか否かを判定し、最終シートではない場合はS401に戻って処理を継続し、最終シートであった場合は動作シーケンスを終了する。
【0082】
S421~S423は、バッファ対象でないシートに対する動作を表している。この場合、内排出ローラ26は反転ローラ24から受け取ったシートを逆送方向に搬送することなく、単純に綴じ処理部4Aに向かって順送方向に搬送する。即ち、S421では、S401で入口センサ27がシート後端の通過を検知したタイミングに基づいて各種タイマーをセットする。
・起動タイマーの終了時刻は、反転ローラ24によって反転されたシートが内排出ローラ26に到達する前に内排出ローラ26が目標速度V2まで加速できるようなタイミングに設定される。
・停止タイマーの終了時刻は、内排出パス82におけるシート後端が内排出ローラ26を通過した後のタイミングとなるように設定される。
【0083】
S422では起動タイマーのカウントダウンを行いながら待機し、カウントダウンが終了すると、S423で内排出ローラ26を目標速度V2、かつ、内排出パス82における順送方向に沿った回転方向R3に回転開始させる。その後、S418で停止タイマーのカウントダウンを行いながら待機し、カウントダウンが終了すると、S419で内排出ローラ26を停止させる。S420では搬送中のシートが最終シートか否かを判定し、最終シートではない場合はS401に戻って処理を継続し、最終シートであった場合は動作シーケンスを終了する。
【0084】
(綴じ処理部)
次に、綴じ処理部4Aについて説明する。
図10(a)は綴じ処理部4Aを示す斜視図であり、
図10(b)は一部の部材(中間上ガイド31)を開いた状態の綴じ処理部4Aを示す斜視図である。
【0085】
図10(a、b)及び
図1の概略図に示すように、綴じ処理部4Aは、ステイプラ51と、中間上ガイド31及び中間下ガイド32と、縦整合基準板39と、縦整合ローラ33と、束排出ガイド34と、ガイド駆動部35とを備えている。綴じ処理部4Aは、内排出パス82から排出されて中間積載部に積載されたシートのステイプラ51によって綴じ処理を施し、綴じられたシート束を形成する。
【0086】
中間上ガイド31及び中間下ガイド32は、処理対象のシートが積載される中間積載部を構成している。中間下ガイド32は、内排出パス82における最も下流側のローラである蹴り出しローラ29から排出されるシートの積載部となる。
【0087】
蹴り出しローラ29の下流側には束押さえフラグ30が回動可能に設けられている。束押さえフラグ30の下面は、中間積載部に先に排出された先行シートの後端部を押さえて、蹴り出しローラ29によって後から排出される後続シートの先端が先行シートの後端の上方を通過させる。つまり、束押さえフラグ30は、蹴り出しローラ29から排出されるシートの後端部を下方に移動させてシート同士の衝突を防ぐ手段として機能する。束押さえフラグ30の下面は、綴じ処理部4Aで処理可能な各サイズのシートについて、シート幅方向の両端部を押さえることができるようなシート幅方向の範囲に設けられている。
【0088】
本実施例の移動部材である縦整合ローラ33は、中間下ガイド32の上方に配置されている。縦整合ローラ33は合成ゴムもしくはエラストマー樹脂等の弾性材料で成形され、外周面が所定の摩擦係数になるように調整されたローラ部33aを有する。ローラ部33aは中間上ガイド31に回転可能に支持される軸部33bに支持されており、ギア部33cを含む駆動伝達装置により、1回転ずつ間欠回転するように駆動される。縦整合ローラ33の外周部であるローラ部33aは、軸部33bの軸方向から見て非円形である。中間積載部にシートが排出される前の待機状態において、縦整合ローラ33は中間上ガイド31からローラ部33aが露出しないような回転角度で保持される。また、縦整合ローラ33が1回転する間に、中間上ガイド31に設けられた開口部31aからローラ部33aが一時的に露出して、中間下ガイド32に積載されたシートの最上位シートの上面に接触して搬送力を付与する。縦整合ローラ33のシートに対する接触圧は、シートが縦整合基準板39に突き当たった後は縦整合ローラ33がスリップするように調整されている。
【0089】
中間積載部には可撓性のシート部材である押さえガイド56が配置されている。押さえガイド56は、中間下ガイド32に当接するように配置され、中間積載部に積載されたシートの上面を所定の加圧力で押圧する。
【0090】
本実施例の規制部材である縦整合基準板39は、蹴り出しローラ29によるシート排出方向に関して縦整合ローラ33よりも下流に設けられている。縦整合基準板39は、シートの端部に当接する規制部として、中間下ガイド32の上面から上方に突出する基準壁39aを有する。また、本実施例の縦整合基準板39、39は、シート排出方向に直交する方向(シートの幅方向)における両側に2つ設けられている。
【0091】
以下、綴じ処理部4Aにおいて、蹴り出しローラ29によって排出されるシートが縦整合基準板39に向かって移動する方向を「縦整合方向X1」とする。縦整合方向X1は、内排出パス82における順送方向に沿った方向であると共に、縦整合ローラ33がシートを縦整合基準板39に向けて移動させる方向である。また、縦整合方向X1とは反対の方向、即ち綴じ処理部4Aからシート束が排出される方向を、「束排出方向X2」とする。
【0092】
ステイプラ51は、中間積載部に積載され、縦整合方向X1及びシート幅方向に関して整合された複数枚のシートの所定位置に綴じ処理を施す。本実施例のステイプラ51は、シート幅方向において横整合基準板52と同じ側に設けられ、かつ、縦整合方向X1及び束排出方向X2に移動可能に設けられている。また、中間下ガイド32は、長辺送り方向(縦整合方向X1が長辺方向となり、シート幅方向が短辺方向となる搬送方向)に搬送されてくるA4サイズのシートを積載可能な広さを有している。従って、ステイプラ51は、中間積載部に積載されたシート束の角部を綴じるコーナー綴じだけでなく、シート束に対して移動しながらシート束の長辺に沿った複数位置を綴じる長辺綴じ動作を行うことができる。
【0093】
図19(a~d)で、具体的にシートの綴じ位置を説明する。
図19(a~d)に示した例では、画像形成装置1及び後処理装置4はシートを長辺送り方向に搬送するものとし、画像の上下方向はシートの長辺方向であるものとする。
図19(a)は、画像形成装置1にて、シートの下端Sd側から上端Su側に向かって画像を書き出したシートに対して、
図1において実線で示した51aの位置(縦整合基準板39に近い側の位置)で綴じ処理をした結果を示す。この場合、シートの上端Suが内排出パス82の順送方向におけるシートの先端となる。そして、シートの画像が書き出された面(画像面)が中間下ガイド32に対向しているフェイスダウン状態で、かつ、シートの上端Suが縦整合基準板39に突き当てられた状態で、
図1の51aの位置でステイプラ51が綴じ処理を実施することで、画像面の左上角の綴じ位置stで左角綴じされたシート束(
図19(a))が作られる。また、シートの下端Sd側から上端Su側に向かって画像を書き出したシートに対して、ステイプラ51をシート搬送方向に沿って移動させながら2個所の綴じ位置stで綴じ処理をした場合には、左端部綴じしたシート束(
図19(b))が作られる。
【0094】
一方、
図19(c)は、画像形成装置1にて、シートの上端Su側から下端Sd側に画像を書き出したシートに対して、
図1において破線で示した51bの位置(縦整合基準板39から遠い側の位置)で綴じ処理をした結果を表す。シートの下端Sdが内排出パス82の順送方向におけるシートの先端となる。そして、シートのフェイスダウン状態で、かつ、シートの下端Sdが縦整合基準板39に突き当てられた状態で、
図1の51bの位置でステイプラ51が綴じ処理を実施することで、画像面の右上角の綴じ位置stで右角綴じしたシート束(
図19(c))が作られる。また、シートの上端Su側から下端Sd側に画像を書き出したシートに対して、ステイプラ51をシート搬送方向に沿って移動させながら2個所の綴じ位置stで綴じ処理をした場合には、右端部綴じしたシート束(
図19(d))が作られる。
【0095】
なお、ステイプラ51は、針を用いてシートを綴じるものに限らず、針無し綴じ方式(例えば、凹凸面の間にシートを挟むことでシート同士を圧着させるものや、シートの一部をU字状にカットして折り曲げるものがある)を用いてもよい。
【0096】
2つの縦整合基準板39の間には、処理済みのシートを中間積載部から押し出す押出手段として、束排出ガイド34が配置されている。束排出ガイド34はガイド駆動部35(
図1)に取り付けられ、束排出方向X2(排出方向)及び縦整合方向X1に移動可能である。また、中間下ガイド32には、束排出ガイド34の移動を案内するスライド溝32aが形成されている(
図10(b))。
【0097】
中間下ガイド32には、横整合基準板52が固定され、また、横整合ジョガー58が横整合基準板52に対してシート幅方向に移動可能に設けられている。横整合基準板52は、中間下ガイド32の上面から上方に突出し縦整合方向X1に沿って延びる基準壁52aを有し、シート幅方向に横整合ジョガー58に対向している。
【0098】
中間上ガイド31は中間下ガイド32の支点部32bを中心にして、中間下ガイド32に対して回動可能(開閉可能)に支持されている。中間下ガイド32に固定された突き当て板54、57は、それぞれ中間上ガイド31の開閉ハンドル53及び固定板55に当接することで、中間下ガイド32に対して中間上ガイド31を位置決めする。突き当て板54、57は鉄等の着磁可能な金属で構成され、また、開閉ハンドル53及び固定板55には磁石が内包されており、磁力によって中間上ガイド31の移動が規制される。開閉ハンドル53は、例えば後処理装置4の筐体の正面に設けられた開閉カバーを開いた際にアクセス可能な位置に設けられている。従って、綴じ処理部4Aにおいてシートのジャムが発生した場合には、ユーザは開閉カバーを開いて開閉ハンドル53を把持し、中間上ガイド31を開放することで、ジャムシートを除去することができる。
【0099】
なお、磁石を使った固定手段に代えて、中間上ガイド31及び中間下ガイド32の一方に樹脂材料で形成した爪形状を設け、他方のガイドに爪形状に係合する凹部を設けたスナップフィット機構を用いてもよい。また、他の固定手段の例として、中間上ガイド31及び中間下ガイド32の一方に軸状の突起(ダボ)を設け、他方のガイドにこの突起に係合するフックを設けることで中間上ガイド31及び中間下ガイド32の相対移動を規制してもよい。
【0100】
図5に示すように、主に綴じ処理部4Aの動作に関与する駆動源として、後処理装置4には縦整合モータM6、ジョガー駆動モータ(横整合モータ)M7、ステイプラ移動モータM8、綴じモータM9、ガイド駆動モータM10、及び束排出モータM11を備えている。縦整合モータM6は、縦整合ローラ33を1回転ずつ間欠動作させる駆動力を供給する。ジョガー駆動モータM7は、横整合ジョガー58をシート幅方向に移動させる。ステイプラ移動モータM8は、ステイプラ51を縦整合方向X1及び束排出方向X2に移動させる。綴じモータM9は、ステイプラ51にシート束を綴じる動作を行わせる。ガイド駆動モータM10は、ガイド駆動部35を駆動して束排出ガイド34をスライド移動させる。束排出モータM11は、束排出ローラ36を回転駆動する。
【0101】
(綴じ処理部の動作)
以下、綴じ処理部4Aにおいてシートを整合し、ステイプラ51によってシート束を綴じる動作について説明する。ただし、
図11~
図14の側面図(
図11~
図13の(a、c)及び
図14(a、b))は、
図10(a)における矢印Fの方向(シート幅方向)から見た図である。また、
図11~
図13における上面図(
図11~
図13の(b、d))は、
図10(a)における矢印Gの方向から見た図である。
【0102】
図11(a、b)は、綴じ処理部4Aに1枚目のシートS1が排出されつつある様子を表している。蹴り出しローラ29は、シートS1を挟持して中間積載部に排出している。また、束押さえフラグ30は、シートS1に押圧されてJ1方向に回動し、シートの排出経路から退避している。シートS1は、幅方向に関して待機位置にある横整合ジョガー58と横整合基準板52との間を通過して縦整合方向X1に移動する。
【0103】
図11(c、d)は、蹴り出しローラ29から1枚目のシートS1の後端(縦整合方向X1の後端)が抜けた直後の様子を表している。シートS1が蹴り出しローラ29の挟持から解放されたことで、束押さえフラグ30がJ2方向に回動し、シートS1の後端部を蹴り出しローラ29のニップ位置よりも下方に落とす。このとき、シートS1は押さえガイド56と中間下ガイド32との間に挟まれた状態となっている。また、蹴り出しローラ29からシート後端が抜けた時点で、縦整合方向X1におけるシートS1の先端は縦整合ローラ33の下方位置まで進出している。
【0104】
図12(a、b)に示すように、蹴り出しローラ29からシートS1の後端が抜けた後に、N方向に回転する縦整合ローラ33のローラ部がシートS1に接触し、シートS1を縦整合方向X1に移動させる。これにより、シートS1の先端が縦整合基準板39に突き当てられ、縦整合方向X1に関してシートS1の位置が整合された状態となる。
【0105】
図12(c、d)に示すように、縦整合ローラ33がシートS1から離間した後に横整合ジョガー58がM1方向に移動し、シートS1を横整合基準板52に向かって移動させる。これにより、シート幅方向におけるシートS1の端部(側端)が横整合基準板52に突き当てられ、シート幅方向(横方向)に関してシートS1の位置が整合された状態となる。
【0106】
図13(a、b)に示すように、シートS1の横方向の整合が終了すると、横整合ジョガー58はM2方向に移動して待機位置に復帰する。これにより、綴じ処理部4Aは次のシートS2を受け入れ可能な状態となる。なお、ここでは横整合ジョガー58が待機位置まで復帰した後に蹴り出しローラ29によるシートS2の排出が始まるものとして説明したが、横整合ジョガー58が待機位置に復帰する前にシートS2の排出が始まるようにすることもできる。この場合、例えば、シートS2は横整合ジョガー58の上面を滑るようにして排出され、横整合ジョガー58が待機位置に復帰するとシートS2が横整合ジョガー58の上面から中間下ガイド32の上面に落下するようにする。
【0107】
これ以降、1部のシート束を構成する最終シートの整合が完了するまで、
図12(a、b)~
図13(a、b)の動作が繰り返される。そして、最終シートに対する縦方向及び横方向の整合動作が完了すると、ステイプラ51がシート束の所定位置を綴じる。
【0108】
図13(c、d)に示すように、ステイプラ51により綴じ動作が行われると、ガイド駆動部35の駆動が開始され、ガイド駆動部35にベース部材59を介して接続された束排出ガイド34がH1方向に移動する。これにより、綴じられた状態のシート束SBが束排出ローラ36に向かって束排出方向X2に押し出される。このとき、束排出ローラ36の上ローラ36a及び下ローラ36bは離間している。また、第2排出パス84を形成する排出上ガイド85及び中間下ガイド32の上流部(蹴り出しローラ29よりも束排出方向X2の下流側に延びている部分)により、シート束SBは束排出ローラ36に案内される。
【0109】
図14(a)に示すように、束排出方向X2におけるシート束SBの先端が束排出ローラ36に到達すると、束排出ガイド34は一時停止する。すると、上ローラ36aがP1方向に移動し、束排出ローラ36は当接状態となる。束排出ローラ36の回転開始に合わせて、束排出ガイド34は再び束排出方向X2に移動を開始する。これにより、シート束SBは束排出ローラ36に挟持され、束排出ローラ36によって引き続き束排出方向X2に排出される。
【0110】
図14(b)に示すように、束排出方向X2におけるシート束SBの後端が束排出ローラ36を抜けると、上ローラ36aがP2方向に移動し、束排出ローラ36は再び離間状態となる。束排出ローラ36によって後処理装置4の外部に排出されたシート束SBは、下排出トレイ37に積載される。また、束排出ガイド34が縦整合方向X1に移動して
図11(a)の待機位置まで復帰することで、綴じ処理部4Aは次のシートを受け入れ可能な状態となる。
【0111】
このように、本実施例では、シートを挟持して搬送する搬送ローラ対(蹴り出しローラ29)によって縦整合方向X1に向けて中間積載部にシートを排出する。その後、シートの上面に接触する移動手段(縦整合ローラ33)によって縦整合方向X1にさらにシートを移動させることで、シートを規制部(基準壁39a)に当接させている。
【0112】
以上に述べたように、ステイプラ51の移動領域は、後処理装置4の筐体内部と筐体外部との境界部に配置された束排出ローラ36に対して、ステイプラ51の移動方向(ここでは、束排出方向X2)の上流側に配置されている。この構成により、下排出トレイ37の上方空間にステイプラ51や、ステイプラ51の駆動機構などの構造物が存在しないため、下排出トレイ37上に積載されたシートの取り出し性が良い。
【0113】
また、下排出トレイ37上に積載されたシートを受け取る際に、ユーザの手や受け取ったシートによって、誤って整合中のシートやステイプラ51に触れられることがない。そのため、ユーザ起因の整合不良が引き起こされたり、ステイプラ51の動作を妨げられたりすることがない。さらには、束排出ローラ36の離間量を必要最小限に設定することで、排出部から整合中のシートやステイプラ51に、より触れられないようにアクセスを妨げることができるため、より効果的である。即ち、束排出ローラ36は、後処理装置4の外部から内部への物体の侵入を妨げるための遮蔽手段を兼ねている。
【0114】
ところで、後処理装置の中間積載部(処理トレイ)においてシートを整合させる方式としては、搬送ローラ対が中間積載部にシートを排出する際のシート搬送方向が、中間積載部におけるシートの縦整合方向X1と一致しない構成が知られている。つまり、搬送ローラ対が中間積載部の上方に設けられ、縦整合方向X1の上流側に向かってシートを排出した後、中間積載部に落下したシートを縦整合ローラ33のようにシートの上面に接触する整合部材で縦整合基準板39に向けて移動させる構成である。しかし、この構成では、縦整合ローラ33が縦整合基準板39に向けてシートを移動させる距離が長く(例えば50mm以上に)なることがあり、シートの片面のみに接触する縦整合ローラ33では十分な整合精度が得られない場合があった。一方、例えば縦整合ローラ33のシートに対する接触圧を高めてシートに付与する搬送力が大きくなるようにすると、縦整合ローラ33と縦整合基準板39との間でシートの座屈が生じる可能性があった。
【0115】
これに対し、本実施例では、シートを挟持して搬送する蹴り出しローラ29がシートを排出する方向と、シートの片面に接触する縦整合ローラ33が縦整合基準板39にシートを突き当てる方向(縦整合方向X1)を揃えた構成である。そのため、シートの片面に接触する縦整合ローラ33の負担を軽減し、シートの座屈を回避しつつ整合精度を高めることができる。つまり、シートを挟持する蹴り出しローラ29によって、縦整合方向X1におけるシートの先端が縦整合基準板39に十分近付くまで(例えば縦整合基準板39まで20mmの位置まで)搬送することができる。その後、縦整合ローラ33がシートの上面に接触してシートを短い距離で移動させれば、シートが縦整合基準板39に当接する。
【0116】
(バッファシートのずらし量と綴じ処理部における整合動作)
次に、バッファ部4Bにおけるずらし量kと、綴じ処理部4Aにおける整合動作との関係について説明する。
【0117】
図15は、綴じ処理部4Aに搬送されてくるシートがバッファ部4Bにおいて重ねられたシートS1,S2である場合において、1枚目のシートS1の縦整合方向X1の後端が蹴り出しローラ29を抜けた直後の様子を表している。このとき、中間積載部においてシートS1の上に重なる2枚目のシートS2は、蹴り出しローラ29によって挟持されている。また、シートS1の縦整合方向X1の先端は縦整合基準板39の基準壁39aに到達しておらず、縦整合ローラ33のローラ部33aから縦整合方向X1の搬送力を受けている。
【0118】
ここで、縦整合ローラ33のシート接触位置と縦整合基準板39の基準壁39aとの間の縦整合方向X1の距離(以下では「縦整合ローラ33から縦整合基準板39までの距離」と呼ぶ)をk0とする。ただし、縦整合ローラ33のシート接触位置とは、縦整合ローラ33のローラ部33aがシートに搬送力を付与する作用点とみなせる縦整合方向X1の位置であり、本実施例では、軸部33bの軸心位置と等しいものとする。
【0119】
上述した通り、バッファ部4Bで複数枚のシートを重ねるとき、各シートがシート搬送方向に関して所定のずらし量kでずれた状態となるようにバッファ動作が制御されている。ずらし量kは、中間積載部において上下に重なる2枚のシートの内の第1シート(S1)の先端(S1b)が、その上に重なる第2シート(S2)の先端(S2b)に対して、縦整合方向X1の下流に突出する長さに相当する。
【0120】
ここで、バッファ部によって重ねられた状態のシートを、縦整合ローラ33のようにシートの上面にのみ接触する回転部材によって整合しようとすると、回転部材に接しているシートと接していないシートとの間で、シートが受ける搬送力の大きさに差が生じる。その結果、従来、バッファ部によって重ねられた複数枚のシートそれぞれの整合精度を維持しつつジャムの発生を低減することが難しかった。
【0121】
本実施例において、ずらし量kは、縦整合ローラ33から縦整合基準板39までの距離k0よりも大きな値に設定される(k>k0)。以下、ずらし量kをこのような値に設定することで、縦整合ローラ33による整合動作の精度を高めることと、綴じ処理部4Aにおけるジャムの低減とを両立可能であることを説明する。
【0122】
本実施例ではずらし量kが距離k0よりも大きいことから、
図15に示すように、シートS1の先端(S1b)が縦整合基準板39に当接する前の時点では、通常、シートS2の先端(S2b)が縦整合ローラ33のシート接触位置よりも上流に位置する。この状態で縦整合ローラ33が回転すると、ローラ部33aはシート接触位置において1枚目のシートS1に接触し、縦整合方向X1の搬送力を付与する。そして、1枚目のシートS1が縦整合基準板39に当接して縦方向のシート位置が整合された後に、蹴り出しローラ29によって送り出される2枚目のシートS1の先端(S2b)が縦整合ローラ33のシート接触位置に到達する。すると、縦整合ローラ33が2回目の回転を行って、シート接触位置において2枚目のシートS2に接触して縦整合方向X1の搬送力を付与することで、2枚目のシートS2が縦整合基準板39に当接する。
【0123】
このように、ずらし量kが距離k0よりも大きいことにより、バッファ部4Bにおいて重ねられた状態のシートS1,S2を縦整合ローラ33によって整合する際に、縦整合ローラ33を重ねられた複数枚のシートの各々に接触させることが可能となる。ここではバッファ部4Bにおいて2枚のシートが重ねられた場合を説明したが、3枚以上のシートが重ねられた場合であっても、上下に重なる2枚のシート間のずらし量kが距離k0よりも大きければ、同様の作用が得られる。
【0124】
これに対し、仮にずらし量kが縦整合ローラ33から縦整合基準板39までの距離k0以下であったとすると、シートS1が縦整合基準板39に到達する前に、その上に重なるシートS2が縦整合ローラ33のシート接触位置に到達する可能性がある。この場合、例えばシートS1が中間下ガイド32から摩擦力を受ける一方で、縦整合ローラ33の搬送力がシートS2に付与されることで、シートS2がシートS1の上を滑ってシートS1を追い越すように縦整合方向X1に移動することがある。そして、シートS2がシートS1より先に縦整合基準板39に到達すると、縦整合ローラ33の搬送力がシートS1には伝わらない状態となり、シートS1が縦整合基準板39から離れた位置で静止する。その結果、縦整合方向X1の整合精度が低下してしまう。
【0125】
このような整合精度の低下を回避するために、縦整合ローラ33のシートに対する接触圧を高めてシートに付与する搬送力を高めることも考えられる。しかし、この場合、縦整合ローラ33と縦整合基準板39との間でシートが座屈しやすくなり、綴じ処理部4Aによるジャムの発生につながる。従って、ずらし量kが距離k0以下であると、整合精度の維持とジャムの低減とを両立することが難しい場合があった。
【0126】
一方、本実施例では、バッファされたシートのずらし量kを縦整合ローラ33から縦整合基準板39までの距離k0よりも大きな値に設定したことで、縦整合ローラ33を重ねられた複数枚のシートの各々に接触させることが可能である。また、縦整合ローラ33よりも上流に設けられた蹴り出しローラ29は、シートを挟持して搬送する搬送ローラ対であるため、各シートを縦整合ローラ33のシート接触位置まで確実に送り込むことができる。その結果、縦整合ローラ33がシートに付与する搬送力が比較的小さく、シートの座屈が生じる可能性が低い条件であっても、重ねられた複数枚のシートの各々をより確実に縦整合基準板39まで移動させることが可能となる。そのため、縦整合ローラ33による整合動作の精度を高めることと、綴じ処理部4Aにおけるジャムの低減とを両立することが可能となる。
【0127】
特に、生産性の高い画像形成装置1に連結される本実施例の後処理装置4では、3枚以上のシートをバッファ部4Bにおいて重ねる必要がある場合がある。また、バッファされたシートの整合動作に使用可能な時間(バッファ動作を行わない最初のシートが搬送されてくるまでの時間)も短くなるため、バッファされた複数枚のシートを速やかに整合する必要がある。このように厳しい条件で整合動作を行う場合に、整合精度を維持しつつジャムの低減を図ることができる点で本技術は特に有効である。
【0128】
なお、縦整合ローラ33から縦整合基準板39までの距離k0を20mmとするとき、バッファされたシートのずらし量kは、例えば35mm程度とすると好適である。ずらし量kと距離k0の差をある程度の大きさとすることで、シートS1が縦整合基準板39に到達する前に、その上に重なるシートS2が縦整合ローラ33に接触する可能性を低減できる。
【0129】
また、バッファされた複数枚のシートを縦整合ローラ33によって整合している期間中、縦整合ローラ33が1回転する度に蹴り出しローラ29を一時停止させてもよいが、蹴り出しローラ29を一定の速度V2で継続的に回転させることもできる。この場合、蹴り出しローラ29が速度V2でずらし量kだけシートを移動させる時間と、縦整合ローラ33の回転間隔を同期させることが考えられる。いずれにせよ、蹴り出しローラ29によってバッファされた複数枚のシートの内の1枚が縦整合ローラ33のシート接触位置に到達する度に縦整合ローラ33が1回転するようにすれば、縦整合ローラ33を各シートに接触させることができる。
【0130】
(綴じ処理部の動作シーケンス)
上述の動作を実現する綴じ処理部の動作シーケンスを、
図16のフローチャートに沿って説明する。フローチャートの各工程は、フィニッシャ制御部400(
図5)のCPU401がメモリ402から読み出したプログラムを実行することで処理される。また、本動作シーケンスは、フィニッシャ制御部400が、綴じ処理部4Aによる綴じ処理を要求する画像形成ジョブの実行を開始したことを表す通知をプリンタ制御部100から受け取った場合に開始される。
【0131】
S501では、中間積載前センサ38が内排出パス82におけるシートの通過を検知したか否かを判定しながら待機する。中間積載前センサ38がシートを検知すると、S502では、縦整合タイマー及びジョガータイマーをセットする。
・縦整合タイマーの終了時刻は、縦整合方向X1におけるシートの後端が蹴り出しローラ29を通過した後のタイミングとなるように設定される。なお、今回のシートがバッファ部4Bによって重ねられたバッファシートの場合、縦整合タイマーの終了時刻は、最初のシートの後端が蹴り出しローラ29を通過した後のタイミングとなるように設定される。
・ジョガータイマーの終了時刻は、縦整合ローラ33の整合動作(S504)が終了した後のタイミングとなるように設定される。今回のシートがバッファ部4Bによって重ねられたバッファシートの場合、ジョガータイマーの終了時刻は、全てのバッファシートに対する縦整合ローラ33の整合動作(S504)が終了した後のタイミングとなるように設定される。
【0132】
S503では、縦整合タイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S504で縦整合ローラ331を1回転させて縦方向の整合動作を開始させる。今回のシートがバッファ部4Bによって重ねられたバッファシートの場合、バッファシートの枚数分、縦整合ローラ33が繰り返し回転駆動される。S505では、ジョガータイマーのカウントダウンを行いながら待機する。カウントダウンが終了すると、S506で横整合ジョガー58を待機位置から横整合基準板52に向けて移動を開始させ、横方向の整合動作を開始する。
【0133】
S507では、今回のシートが最終シートか否か(シート束を構成するシートの中で最後に綴じ処理部4Aが受け取るシートか否か)を判定する。今回のシートが最終シートではない場合、S509で横整合ジョガー58を待機位置に向けて移動を開始させた後、S501に戻って上記の処理を繰り返す。今回のシートが最終シートであった場合、S510に進む。
【0134】
S510では、ステイプラ51によりシート束の綴じ動作を行う。シート束の長辺綴じを行う場合、ステイプラ移動モータM8によってステイプラ51を縦整合方向X1又は束排出方向X2に移動させながら、シート束の長辺に沿った複数個所をステイプラ51によって綴じる。
【0135】
綴じ動作が終了すると、S511で横整合ジョガー58を待機位置に復帰させる戻り動作を開始し、S512で束排出ガイド34を束排出方向X2に移動させる。束排出方向X2におけるシート束SBの先端が離間状態の束排出ローラ36を通過すると、束排出ガイド34を一時停止させ、S513で上ローラ36aを下降させて束排出ローラ36にシート束SBを挟持させる。そして、S514で束排出ローラ36の回転を開始させて、シート束SBを下排出トレイ37に排出させる。
【0136】
S515でシート束SBの排出が完了するまで待機した後、S516で上ローラ36aを上昇させて束排出ローラ36を再び離間させる。また、S517で束排出ガイド34を縦整合方向X1に移動させて待機位置に復帰させる。束排出ガイド34が待機位置に戻ると、動作シーケンスが完了する。
【実施例2】
【0137】
次に、実施例2に係るシート処理装置及び画像形成システムの構成について説明する。本実施例は、シートの整合を行うためにシートの片面に接触して移動させる移動手段として、パドル状の回転部材を使用する点で実施例1と異なっている。その他の実施例1と同様の構成及び作用を有する要素には、実施例1と共通の符号を付して説明を省略する。
【0138】
図17に示すように、実施例1で用いた非円形の縦整合ローラ33に代えて、綴じ処理部4Aには本実施例の移動手段である整合パドル60が設けられている。整合パドル60は、2つのパドル部60a、60a、軸部60b、ギア部60cを備えている。パドル部60a、60aは、軸部60bに対する周方向において対称な位置(互いに180度離れた位置)において、軸部60bから径方向外側に突出している。各パドル部60aは、ゴム等の弾性材料で形成された羽根状部材であり、整合パドル60はパドル部60aにおいてシートに接触する。なお、本実施例における整合パドル60のシート接触位置とは、縦整合方向X1における軸部60bの軸心位置とする。
【0139】
軸部60bは、中間上ガイド31に回転可能に支持される軸部60bに支持されており、ギア部60cを含む駆動伝達装置により、半回転ずつ間欠回転するように駆動される。整合パドル60の駆動源は、実施例1で説明した縦整合モータM6である(
図5)。
【0140】
整合パドル60を備えた綴じ処理部4Aの動作シーケンスは、1回の整合動作における整合パドル60の回転量が半回転であることを除き、
図16を用いて説明した実施例1の動作シーケンスと同様である。従って、実施例1と同様の理由から、本実施例の構成でもシートの整合精度を高めることと綴じ処理部4Aにおけるジャムの低減とを両立可能である。
【0141】
なお、本実施例では1回の整合動作における整合パドル60の回転量が半回転で済むことから、整合パドル60が整合動作を行う間隔を短くして綴じ処理の所要時間を短縮することが期待される。
【実施例3】
【0142】
次に、実施例3に係るシート処理装置及び画像形成システムの構成について説明する。本実施例は、シートの整合を行うためにシートの片面に接触して移動させる移動手段として、昇降可能なローラ部材を使用する点で実施例1、2と異なっている。その他の実施例1と同様の構成及び作用を有する要素には、実施例1と共通の符号を付して説明を省略する。
【0143】
図18に示すように、実施例1、2で用いた非円形の縦整合ローラ33や整合パドル60に代えて、綴じ処理部4Aには本実施例の移動手段である昇降ローラ70が設けられている。昇降ローラ70は、円柱状のローラ本体71と、ローラ本体71を回転可能に支持する昇降アーム72とによって構成される。ローラ本体71を回転させる駆動源は、実施例1で説明した縦整合モータM6である(
図5)。また、昇降アーム72は、例えばプランジャソレノイドに押圧されることで下方に揺動し、ローラ本体71を中間下ガイド32に接触する位置まで移動させ、プランジャソレノイドの押圧から解放されることで上方に揺動するように構成される。この構成では、ローラ本体71を下降させた状態のままで、任意の時間、ローラ本体71を縦整合方向X1に沿った回転方向に回転させることができる。なお、本実施例における昇降ローラ70のシート接触位置とは、昇降ローラ70を下降させた際のローラ本体71の軸心位置とする。
【0144】
昇降ローラ70を備えた綴じ処理部4Aの動作シーケンスは、昇降ローラ70が整合動作を行う期間の長さを変更することでバッファシートに対応することを除き、
図16を用いて説明した実施例1の動作シーケンスと同様である。つまり、この場合は、
図16のS504で昇降ローラ70で動作させる際に、バッファ部4Bによって重ねられたバッファシートの枚数に応じて、ローラ本体71を下降させた状態で回転駆動する時間の長さを変更すればよい。従って、実施例1と同様の理由から、本実施例の構成でもシートの整合動作精度を高めることと綴じ処理部4Aにおけるジャムの低減とを両立可能である。
【0145】
なお、縦整合モータM6とは別に昇降ローラ70を昇降させる駆動源を設ける構成に代えて、縦整合モータM6が所定量回転する毎に昇降ローラ70を昇降させるカム機構を設けてもよい。この場合の綴じ処理部4Aの動作シーケンスは、実施例1、2と同様に昇降ローラ70による整合動作の回数を変更することでバッファシートに対応するものとなる。
【0146】
(変形例1)
上記実施例1~3において、
図20で示す変形例1の構成を採用してもよい。変形例1は、束排出ローラ36を設けず入口上ガイド40を固定ガイドとして、入口上ガイド40と中間下ガイド32によってシートの排出部Dを形成する構成である。束排出ガイド34がシートを下排出トレイ37上に排出可能な位置まで移動可能であり、束排出ガイド34によって排出部Dから下排出トレイ37にシートを排出可能である。排出部Dは、中間下ガイド32に溜められる最大のシート束の厚みよりもわずかに広い隙間である。この隙間により遮蔽手段を構成している。ここで排出部Dは、束排出方向X2に関して、ステイプラ51の移動領域に対して、十分に離れた位置に設けられている。
【0147】
(変形例2)
また、
図21で示す変形例2の構成を採用してもよい。変形例2は、排出部Dの近傍に、遮蔽手段として排出フラグ144を備えた構成である。排出フラグ144は、回転軸144aと、フラグ面144bで構成されている。排出フラグ144は回転軸144aを回転中心として回転可能であり、フラグの自重または弾性部材により図中反時計方向に付勢されつつ、図中に実線で示した第1の位置に不図示のストッパにより位置決めされている。さらに、排出フラグ144は、破線で示した第2の位置まで時計方向に回転可能に構成されている。中間積載部からシートを排出する際には、シートの先端に押され、排出フラグ144は第1の位置から第2の位置へと回動し、搬送路が作られる。一方、排出部Dの外側からは、排出フラグ144によって、整合中のシートやステイプラ51へのアクセスを防ぐことが可能である。
【0148】
(変形例3)
また、
図22で示す変形例3の構成を採用してもよい。変形例3は、排出部Dの近傍に、遮蔽手段として開閉部材であるシャッタ141a(141b)を設けた構成である。シャッタ141a(141b)は不図示のアクチュエータにより、整合動作中や綴じ処理動作中は排出部Dを塞ぐ位置(
図22のシャッタ141aの位置)にある。また、束排出を行う際にのみアクチュエータにより排出部Dを開放する位置(
図22のシャッタ141bの位置)へと退避する。このようにシャッタ141を設けることで、整合中のシートやステイプラ51へのアクセスを防ぐことが可能である。
【実施例4】
【0149】
次に、実施例4に係るシート処理装置及び画像形成システムの構成について説明する。本実施例は、シートの整合を行うためにシート搬送方向後端を整合基準とする点で実施例1~3と異なっている。その他の実施例1~3と同様の構成及び作用を有する要素には、実施例1~3と共通の符号を付して説明を省略する。
【0150】
図23は、本実施例のシート処理装置及び画像形成システムの構成について説明するための概略断面図である。
【0151】
画像形成装置1の水平搬送部14から排出されるシートは、入口ローラ21によって受け取られる。入口ローラ21によってシートを受け入れる搬送路が本実施例の第1搬送路に対応する。入口ローラ21の下流には搬送路を切り替えるフラップガイド143が設けられている。フラップガイド143は不図示のアクチュエータにより
図23に示した位置と、そこから時計方向に回転した位置とに切り替え可能であり、シートの搬送経路を切り替えることができる。上排出トレイ25にシートを搬送する際には、フラップガイド143を
図23に示した位置から時計方向に回転した位置に切り替える。入口センサ27の後端通過時間をもとに搬送速度を制御し、上排出トレイ25に排出する。
【0152】
シートの排出先が下排出トレイ37である場合には、フラップガイド143を
図23に示した位置に保持する。搬送されたシートは第2搬送路に搬送される。シートは第2搬送路内の中間搬送ローラ28を経て蹴り出しローラ29(搬送ローラ対)に送られ中間上ガイド31と中間下ガイド32からなる中間積載部142に搬送される。中間積載部142の最上流部には規制部である縦整合基準板39が配置され、これに搬送方向のシート後端部を突き当てることによりシート束の整合を行う。
【0153】
また、蹴り出しローラ29を抜けたシートを縦整合基準板39に押し込むための縦整合ローラ33が第1の中間積載上ガイド131aに回転自在に支持される。シート後端が中間積載前センサ38を通過後、縦整合ローラ33は所定のタイミングで縦整合基準板39に向けてシートを搬送する。
【0154】
また蹴り出しローラ29の下流にはシート後端が第2の中間積載上ガイド131bの下方に確実に導入されるようにシート後端を叩き落とすための束押さえフラグ30が回転自在に支持されている。
【0155】
シートが縦整合基準板39に到達したのち、不図示の横整合ジョガーが不図示の横整合基準板に対して整合動作を実施してシート束を整列する。所定の枚数の整列が終了したのちステイプラ51により綴じ動作を行う。ステイプラ51は不図示のアクチュエータと移動機構によって、シート搬送方向に沿って移動可能な構成となっている。ステイプラ51は
図23において実線で示した位置51aから、破線で示した位置51bの間を移動可能である。
【0156】
綴じ処理が完了した後のシート束は、束排出ローラ36により、排出部Dを介して後処理装置4の外部に排出され、下排出トレイ37に積載される。実施例1~3と同様に、ステイプラ51の移動領域は、後処理装置4の束排出ローラ36に対して、シート束の排出方向における上流側に配置されている。この構成により、下排出トレイ37の上方空間にステイプラ51や、ステイプラ51の駆動機構などの構造物が存在しないため、下排出トレイ37上に積載されたシートの取り出し性が良い。また、ユーザやユーザが受け取ったシートが整合中のシートやステイプラ51に誤接触することを防ぐことができる。
【0157】
なお、
図23に図示した例では、束排出ローラ36が後処理装置4の外部から内部への物体の侵入を妨げるための遮蔽手段を兼ねているが、上記変形例1~3として例示した他の遮蔽手段を設けてもよい。その他、下排出トレイ37の動作等は実施例1~3と同様である。なお、実施例4では、排出方向と蹴り出しローラ29の搬送方向が同方向である。
【0158】
以上に述べたような、シート搬送方向後端を整合基準とする実施例4の構成においても、実施例1~3及び変形例1~3で述べた利点と同等の利点が得られる。
【0159】
(その他の実施形態)
上記実施例1~4では、シート処理装置の例として、画像形成装置1に直接連結される後処理装置4について説明した。しかしながら、本技術は、画像形成装置1から中間のユニット(例えば、胴内排出型の画像形成装置において排出空間に装着される中継搬送ユニット)を介してシートを受け取るシート処理装置にも適用可能である。また、シート処理装置及び画像形成装置を備えた画像形成システムとは、画像形成装置1及び後処理装置4の機能を有するモジュールが単一の筐体内に搭載されているものを含む。
【0160】
また、ステイプラ51はシートを処理する処理手段の一例であり、例えば中間積載部において整合したシート束を綴じない状態で下排出トレイ37に排出するようにしてもよい。また、上記実施例における後処理装置4はシートを搬送するシート搬送装置の例示であり、画像形成装置において画像を形成されたシート(記録材)の処理を行うシート処理装置以外のシート搬送装置にも本技術は適用可能である。
【0161】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0162】
1…画像形成装置/1S…画像形成システム/4…シート処理装置、シート搬送装置(後処理装置)/4B…バッファ部/24…反転ローラ対(反転ローラ)/26…中間ローラ対(内排出ローラ)/29…搬送ローラ対(蹴り出しローラ)/32…積載部(中間下ガイド)/33…移動手段(縦整合ローラ、整合パドル、昇降ローラ)/34…押出手段(束排出ガイド)/36…排出手段(束排出ローラ)/39a…規制部(基準壁)/51…処理手段、綴じ手段(ステイプラ)/81…第1搬送路(受入パス)/82…第2搬送路(内排出パス)/84…第3搬送路(第2排出パス)/D…排出部/k…ずらし量