(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20240527BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G03G9/097 375
G03G9/097 374
G03G9/087 331
(21)【出願番号】P 2020053574
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】大山 一成
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
(72)【発明者】
【氏名】菅原 庸好
(72)【発明者】
【氏名】細井 一人
(72)【発明者】
【氏名】北村 伸
(72)【発明者】
【氏名】西村 悠
(72)【発明者】
【氏名】辻本 大祐
(72)【発明者】
【氏名】佐野 仁思
(72)【発明者】
【氏名】石上 恒
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-128128(JP,A)
【文献】特開2004-093735(JP,A)
【文献】特開2002-029730(JP,A)
【文献】特開2019-194683(JP,A)
【文献】特開2015-084095(JP,A)
【文献】特開2018-045233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子と、該トナー粒子の表面に、シリカ粒子を有するトナーであって、
該シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径が50nm以上300nm以下であり、
該シリカ粒子の蛍光X線分析において、検出される元素が全て酸化物であるとみなし、全酸化物の質量総量を1としたときのZrO
2が質量濃度20ppm以上1000ppm以下含有することを特徴とするトナー。
【請求項2】
該シリカ粒子には、蛍光X線分析において、検出される元素が全て酸化物であるとみなし、全酸化物の質量総量を1としたときのFe
2O
3が質量濃度100ppm以上5000ppm以下含有する請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
該シリカ粒子には、蛍光X線分析において、検出される元素が全て酸化物であるとみなし、全酸化物の質量総量を1としたときのAl
2O
3が質量濃度500ppm以上20000ppm以下含有する請求項1または2に記載のトナー。
【請求項4】
該シリカ粒子は、一次シリカ粒子が結合してなるシリカ結合体粒子を有するトナーであって、該シリカ結合体粒子の最大フェレ径の個数平均値が100nm以上500nm以下であり、該シリカ結合体粒子の個数平均稠密度をψSiとしたとき、該ψSiが
0.40≦ψSi≦0.90
である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項5】
該シリカ粒子による該トナー粒子の被覆率が、10%以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項6】
該トナー粒子の表面にはSrTiO
3粒子を有し、該SrTiO
3粒子による、該トナー粒子の被覆率が、5%以上50%以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項7】
該SrTiO
3粒子の固着率が、80%以上である請求
項6に記載のトナー。
【請求項8】
該結着樹脂はポリエステル樹脂が含有されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載のトナー。
【請求項9】
該トナー粒子には結晶性ポリエステルが含有されている請求項1乃至8のいずれか1項に記載のトナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、及び静電記録法などに用いられる静電荷像を現像するためのトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法において、静電潜像を現像する工程は、静電潜像の静電力を利用して、摩擦帯電させたトナーを静電潜像上に付着させ、トナー画像を形成するものである。静電潜像を現像するためのトナーとしては、磁性体を含有しない非磁性トナーと磁性体を樹脂中に分散してなる磁性トナーがある。このうち非磁性トナーは、そのまま現像剤担持体上に担持され、摩擦帯電したものが静電潜像を現像する一成分系と、磁性キャリアと混合され磁性キャリアで現像剤担持体上に形成された磁気ブラシに担持されたものが静電潜像を現像する二成分系がある。特に高画質を要求されるフルカラー複写機又はフルカラープリンタのようなフルカラー画像形成装置には後者が好適に用いられている。
以下では、磁性キャリアを使用する二成分系現像剤について述べる。
近年の高画質化に対応して小粒径トナーを使用することが必要になっている。すなわち、トナーを小粒径にすることで画像における細線再現性やドット再現性の向上によって画質を向上させる必要が生じている。ところが小粒径になるほどトナーがクリーニングブレードをすり抜けやすくなることによってクリーニング不良が発生しやすくなり画質低下を生じやすくなる。そのためトナーの小粒径化による画質向上を目指すにあたっては、こうしたクリーニング不良を防止することが重要視されている。
従来、こうしたクリーニング不良の課題に対し、ブレードエッジ部に外添剤を滞留させて阻止層を形成し、トナー粒子をブロックしてクリーニングを安定化させるといった方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1の方法では、外添剤をトナー粒子から阻止層形成のため移行させる必要がある。そして、この阻止層によってトナーはブロックできるものの、阻止層形成のために移行させた外添剤そのものはブレードをすり抜けて感光体上に残留することがある。
一方、高画質化のためには、低い帯電量をもつトナーによる感光体上の非画像領域への「かぶり」を抑える必要がある。そのためキャリアとの摩擦帯電によってトナーに十分な帯電量を付与できるように設計する必要がある。そこでキャリアに対し帯電系列上ネガ方向にある外添剤をトナー表面に外添する方法が用いられる。特にシリカはよりネガ方向に位置するために外添剤としてシリカ外添剤が用いられることが多い。また、キャリアとシリカ表面が効率的に接触して摩擦帯電できるよう、トナー表面に配置されるシリカ外添剤としては比較的大きな粒径のものが選択されることが多い。
このように設計されたトナーにおいてブレードすり抜けを防止すべく外添剤をブレードエッジ部に移行させて阻止層を形成する際、上述のシリカ外添剤がブレードをすり抜けて感光体表面に残留することで、つぎのような課題が生じることがある。
すなわち、感光体表面に残留したシリカ外添剤が、ブレードをすり抜けた後に帯電工程を経て、シリカ外添剤の強いネガ性のために外添剤が強く負にチャージアップすることがある。このチャージアップは、感光体表面上に残留したシリカ外添剤の最上部で局所的に生じることがある。その際、上述の理由から比較的大粒径のシリカ外添剤を用いる場合、外添剤粒径が大きい分、感光体表面から比較的高い位置に大きな負電位が生じることになる。そしてこの感光体表面から比較的高い位置に生じた局所的に大きな負電位によって、感光体表面近傍で負帯電トナーを感光体表面側に引き込む「引き込み電界」が形成されることがある。そしてこの「引き込み電界」によってゴーストが発生することがある。すなわち、連続で画像形成する際、前の画像形成部において感光体上にシリカ外添剤が付着する。そのシリカ外添剤がブレードをすり抜けて帯電された結果この「引き込み電界」が生じ、つぎの画像形成においてシリカ外添剤が付着した前の画像形成部にトナーが現像されてしまう。このようにしてゴーストが発生することがある、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子の表面に一次粒子の個数平均粒径が50nm以上300nm以下であるシリカ粒子を存在させる。かつ、シリカ粒子に含有されるジルコニウムが、蛍光X線分析において、検出される元素が全て酸化物であるとみなし、全酸化物の質量総量を1としたときのZrO2の質量濃度として20ppm以上1000ppm以下とすることで、かぶり等の画像劣化を抑制しつつ、ゴーストを抑制できることを見出した。
すなわち、本発明のトナーは、結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子と、該トナー粒子の表面に、シリカ粒子を有するトナーであって、
該シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径が50nm以上300nm以下であり、
該シリカ粒子の蛍光X線分析において、検出される元素が全て酸化物であるとみなし、全酸化物の質量総量を1としたときのZrO2が質量濃度20ppm以上1000ppm以下
含有することを特徴とするトナーである。
【発明の効果】
【0006】
かぶり等の画像劣化を抑制しつつ、ゴーストを抑制した画質を出力できるトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】トナー粒子表面処理装置の一例を示す説明図である。
【
図2】ゴーストの評価に用いるテストチャートの説明図である。
【
図3】
図2に示すテストチャート通紙後の領域(a)、(b)の説明図である。
【
図4】
図2に示すテストチャート通紙後のゴーストが発生している場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
【0009】
本発明のトナーは、結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子と、該トナー粒子の表面に、シリカ粒子を有するトナーであって、
該シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径が50nm以上300nm以下であり、
該シリカ粒子の蛍光X線分析において、検出される元素が全て酸化物であるとみなし、全酸化物の質量総量を1としたときのZrO2が質量濃度20ppm以上1000ppm以下
含有することを特徴とするトナーである。
【0010】
本発明のトナーには、一次粒子の個数平均粒径が50nm以上300nm以下のシリカ粒子を、トナー粒子表面に有する。
【0011】
トナー粒子表面上のシリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径を50nm以上とすることで、現像剤中でキャリアとシリカ粒子表面が接触しやすくなり、効率的に摩擦帯電されることで十分な帯電量をトナーに付与することができ、かぶりの発生を防ぐことができる。
【0012】
それとともに、シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径を300nm以下とし、シリカ粒子表面にジルコニウムを含有させることで、シリカ粒子が感光体上に付着したときに生じる「引き込み電界」を抑えてゴーストを抑制することができる。ジルコニウムは酸化されても比較的高い導電性を有するため、時間を経てもシリカ粒子表面の負帯電の局在を抑制することで「引き込み電界」を抑えることができ、ゴースト抑制に寄与しつづけられると考えられる。
【0013】
こうした効果を発現させるためには、ジルコニウムが、蛍光X線分析において検出される元素が全て酸化物であるとみなして全酸化物の質量総量を1としたときのZrO2の質量濃度として20ppm以上含有されることが必要である。
【0014】
他方、ジルコニウムにおける上記含有量を1000ppm以下に抑えることで、導電性が過剰に上がることによるトナーの帯電の漏えいを抑え、かぶりの発生を防ぐことができる。
【0015】
さらに本発明のトナーに含有される上述のシリカ粒子には、鉄が、蛍光X線分析において検出される元素が全て酸化物であるとみなして全酸化物の質量総量を1としたときFe2O3の質量濃度として100ppm以上含有されていることがゴースト抑制に好ましい。
【0016】
鉄は金属のなかでは安価で比較的酸化されにくく、したがってシリカ表面における高い導電性を維持しやすい。そのためジルコニウムと併用することで、より時間を経てもシリカ粒子表面の負帯電の局在を抑制することで「引き込み電界」を抑えることができ、ゴースト抑制に寄与しつづけられると考えられる。
【0017】
また、鉄における上記含有量を5000ppm以下に抑えることで、導電性が過剰に上がることによるトナーの帯電の漏えいを抑え、かぶりの発生を防ぐことができる。
【0018】
また本発明のトナーに含有される上述のシリカ粒子には、アルミニウムが以下のように含有されていることが好ましい。すなわちアルミニウムが、蛍光X線分析における検出元素が全て酸化物であるとみなして全酸化物の質量総量を1としたときAl2O3の質量濃度として500ppm以上20000ppm以下含有されていることがゴースト抑制に好ましい。上記範囲で含有されることによって、導電性付与のほか、酸化されてアルミナとなることでシリカ粒子に適度にポジ帯電性が付与されてシリカ粒子の過剰なネガ帯電を抑え、「引き込み電界」を抑制しゴーストを抑えることが、かぶりを抑えつつできる。
【0019】
さらに、本発明のトナーに含有される上述のシリカ粒子は、一次シリカ粒子が複数結合した、個数平均稠密度(ψSi)が0.90以下かつ0.40以上のシリカ結合体粒子であることが好ましい。
【0020】
ここで稠密度とは、シリカ粒子の形状が有するくびれ部位の特徴を示す指標であり、シリカ粒子がシリカ結合体粒子であると小さい値となる。具体的には、稠密度とは外添剤を2次元画像へ投影した際の投影面積を、包絡線により囲まれた外添剤の面積で除算した値である。すなわち外添剤の投影面積を外添剤の凸面積で除した値である。ここで凸面積とは対象の外添剤の輪郭を基に作成される包絡線で囲われた部分の面積である。稠密度は0より大きく1以下の値をとり、小さいほど、くびれ部位が多い、もしくは大きい、入り組んだ形状をしめす。
【0021】
上記稠密度の個数平均である個数平均稠密度が前述の範囲である場合、トナー粒子表面との接触点が多くなりやすく、トナー粒子表面への固着が強くなり、過剰にドラム表面に移行することを抑えることでゴーストが抑制される。
【0022】
また、このシリカ結合体粒子の最大フェレ径の個数平均値については、100nm以上500nm以下が好ましい。すなわち、感光体表面に移行したとき、「引き込み電界」の抑制をより十分にしてゴーストをより抑制できやすくするためには、500nm以下とすることが好ましい。また、トナーにおいてシリカ結合体粒子の表面を突出させてキャリアと効率的に摩擦帯電させることによってトナー帯電量を十分にしてかぶりを抑制できやすくするためには、シリカ結合体粒子の最大フェレ径の個数平均値が100nm以上であることが好ましい。
【0023】
また本発明のトナーに含有される上述のシリカ粒子による、トナー粒子表面に対する被覆率は、10%以上であることが好ましい。シリカ粒子の被覆率が10%以上であることによって、現像剤中でキャリアとシリカ粒子表面が接触しやすくなり、効率的に摩擦帯電されることで十分な帯電量をトナーに付与することができ、かぶりの発生を防ぐことができる。
【0024】
さらに本発明のトナーには、トナー粒子表面にSrTiO3粒子が外添されていることが好ましい。そしてこのSrTiO3粒子の最大フェレ径の個数平均値としては30nm以上80nm以下であることが好ましい。
【0025】
SrTiO3粒子の最大フェレ径の個数平均値がこの範囲であると、シリカ結合体粒子のくびれ部位あるいは入り組んだ形状にひっかかりやすくなる。それによってシリカ結合体粒子がドラム表面に移行してもSrTiO3が近接した状態で移行しやすくなる。SrTiO3は帯電極性としてポジ性であるため、シリカ結合体粒子のネガ帯電を緩和し、「引き込み電界」を抑制してゴーストを抑えることができる。
【0026】
こうした効果を発現するには、トナー粒子表面を覆うSrTiO3粒子の被覆率として、5%以上であることが好ましい。
【0027】
またトナーの帯電を十分にしてかぶりの発生をより抑えるために、SrTiO3粒子の被覆率は50%以下であることが好ましい。
【0028】
またSrTiO3粒子のトナー粒子からの感光体表面への移行が生じると、感光体表面に残留したシリカ外添剤による上記「引き込み電界」が強化される場合がある。その場合、ゴーストが発生しやすくなる場合がある。そのため、SrTiO3粒子の固着率は80%以上であることが好ましい。
【0029】
また、以下の理由から、本発明のトナー粒子に含有される結着樹脂にはポリエステルが含有されていることが好ましい。
【0030】
すなわち、結着樹脂にはポリエステル樹脂が含まれることで良好な低温定着性を維持することができる。また、個数平均稠密度の低いシリカ結合体粒子を外添する場合、シリカ結合体粒子がくびれ形状を有するためにトナー粒子とシリカ結合体粒子との間に空隙ができやすい。そのため定着時に受ける熱のトナー粒子への伝達効率が不利になりやすいが、ポリエステル樹脂の含有によってその不利の発生を抑制することができる。こうした理由から本発明のトナー粒子に含有される結着樹脂にはポリエステルが含有されていることが好ましい。
【0031】
それに加えて、さらに、より良好な低温定着性を実現させるために、本発明のトナー粒子に結晶性ポリエステルを含有させることが好ましい。
【0032】
次に、好ましい態様などを記載する。
【0033】
<シリカ粒子>
本発明で用いるシリカ粒子は、シリカ(即ちSiO2)を主成分とする粒子であり、水ガラスやアルコキシシラン等のケイ素化合物を原料に製造された粒子であってもよいし、石英を粉砕して得られる粒子であってもよい。
【0034】
具体的には、ゾルゲル法で作製されるシリカ粒子、沈降法で作製される沈降シリカ粒子、水性コロイダルシリカ粒子、気相法により得られるフュームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子等が挙げられる。これらの中でも、前述の個数平均稠密度となる形状に制御するには、沈降法またはゾルゲルシリカが好ましく、とくに沈降法が好ましい。
【0035】
沈降シリカは、以下のように製造される。
【0036】
ケイ酸ナトリウムの水溶液である水ガラスの水溶液を用意し、この用意した水ガラス水溶液と、鉱酸とを接触させる。接触させる鉱酸としては通常は硫酸が用いられる。
【0037】
接触させる方法は限定されないが、少量ずつ接触させることが好ましい。たとえば一方の溶液を容器に入れておき、他方の溶液をそれに滴下する方法でもよい。
【0038】
また、この接触は両溶液が効率よく混合されるように行うことが好ましく、そのため撹拌下で行うのが好ましい。したがって上記の容器は撹拌できるものであることが好ましい。たとえば撹拌可能な容器に上記水ガラスの水溶液をいれておき撹拌しながらこの中に硫酸を滴下することが好ましい。
【0039】
また水ガラスと硫酸の接触は、比較的高温化で行うことが好ましく、50℃以上80℃以下が好ましい。
【0040】
こうして水ガラスと硫酸とを接触させることによって反応させる。この接触が行われるpH値としては7から10程度が一般的である。そしてこの接触とともにpH値が下がっていき、pH値が7~8以下になるとシリカを生成析出されてくる。
【0041】
滴下の終了点としてはpH値7以下までとし、好ましくはpH値が2以上5以下の範囲となるまで滴下を継続する。
【0042】
こうして生成し粒子成長したシリカ粒子は、成長・凝集することによって沈降する。その後、濾過、遠心分離または他の適切な手段によって水を分離除去し、沈降シリカを回収する。必要に応じて洗浄し、その後、加熱のような方法によって乾燥し、更に粉砕することによってシリカ粒子を得る。
【0043】
また、こうして製造される沈降法シリカは緩やかな凝集により二次粒子を形成するため、粉砕がしやすい特徴がある。さらに、この方法においては、表面積、細孔径、分散粒子径などの物性について反応条件および後処理工程を変えることで、異なる特徴のシリカ粒子を得ることができる。
【0044】
また、他の製造方法で得られるシリカ粒子に比べて比表面積が高く、一次粒子凝集構造も発達しており、細孔容積や高くなる傾向がある。
【0045】
次いで、こうして作製したシリカ粒子にジルコニウム、好ましくはさらに鉄、アルミニウムを含有させる。
【0046】
これら金属をシリカ粒子に含有させる方法としては、蒸着法、スパッタリング法、PVD法等が用いることができるが、簡便性の点でスパッタリング法が好ましい。
【0047】
こうした方法によって、シリカ粒子表面にジルコニウム、好ましくはさらに鉄、アルミニウムを含有させることによって、本発明で用いるシリカ粒子を得ることができる。
【0048】
<チタン酸ストロンチウム粒子>
本発明で用いることが好ましいチタン酸ストロンチウム粒子は、例えば、常圧加熱反応法により製造することができる。このとき、酸化チタン源としてチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用い、チタン以外の金属源としては水溶性酸性金属化合物を用いるとよい。そして、該原料の混合液に60℃以上でアルカリ水溶液を添加しながら反応させ、次いで酸処理する方法で製造することができる。
【0049】
以下、該常圧加熱反応法について説明する。
【0050】
酸化チタン源としてはチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用いる。好ましくは、硫酸法で得られたSO3含有量が1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下のメタチタン酸を塩酸でpHを0.8以上1.5以下に調整して解膠したものを用いる。
【0051】
一方、チタン以外の金属源としては、金属の硝酸塩又は塩酸塩などを使用することができる。
【0052】
硝酸塩としては例えば、硝酸ストロンチウムを使用することができる。塩酸塩としては例えば、塩化ストロンチウムを用いることができる。ここで得られるチタン酸ストロンチウム粒子はペロブスカイト結晶構造を有するため、帯電の環境安定性がさらに向上する点で好ましい。
【0053】
アルカリ水溶液としては、苛性アルカリを使用することができるが、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
【0054】
該製造方法において、得られるチタン酸金属粒子の粒子径に影響を及ぼす因子としては、メタチタン酸を塩酸で解膠する際のpH、酸化チタン源とチタン以外の金属源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、などが挙げられる。さらには、アルカリ水溶液を添加するときの温度、添加速度、反応時間及び撹拌条件などが挙げられる。特に、アルカリ水溶液の添加後に、氷水中に投入するなどして急激に系の温度を低下させて反応を停止させると、結晶成長が飽和する中途で強制的に反応を停止でき、広い粒度分布を得やすい。また、撹拌速度を低下する、撹拌方法を変更する、などして反応系の状態を不均一な状態にすることでも、広い粒度分布を得ることができる。
【0055】
これらの因子は、目的の粒子径及び粒度分布のチタン酸金属粒子を得るため適宜調整することができる。なお、反応過程に於ける炭酸塩の生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応させるなど、炭酸ガスの混入を防ぐことが好ましい。
【0056】
反応時の酸化チタン源とチタン以外の金属源の混合割合は、チタン以外の金属をMで示し、その酸化物をMXOで示したとき、MXO/TiO2のモル比で、0.90以上1.40以下であることが好ましく、1.05以上1.20以下であることがより好ましい。ただし、XはMがアルカリ土類金属であるときは1、Mがアルカリ金属のとき2である。
【0057】
MXO/TiO2(モル比)が1.00以下の場合、反応生成物はチタン酸金属だけでなく未反応の酸化チタンが残存し易くなる。相対的にチタン以外の金属源は水への溶解度が高いのに対し酸化チタン源は水への溶解度が低いため、MXO/TiO2(モル比)が1.00以下の場合、反応生成物はチタン酸金属だけでなく未反応の酸化チタンが残存し易くなる傾向にある。
【0058】
反応初期の酸化チタン源の濃度としては、TiO2として0.050モル/L以上1.300モル/L以下であることが好ましく、0.080モル/L以上1.200モル/L以下であることがより好ましい。
【0059】
反応初期の酸化チタン源の濃度を高くすることで、チタン酸金属粒子の一次粒子の個数平均粒径を小さくすることができる。
【0060】
アルカリ水溶液を添加するときの温度は、100℃以上ではオートクレーブなどの圧力容器が必要であり、実用的には60℃以上100℃以下の範囲が適切である。
【0061】
また、アルカリ水溶液の添加速度は、添加速度が遅いほど大きな粒子径のチタン酸金属粒子が得られ、添加速度が速いほど小さな粒子径のチタン酸金属粒子が得られる。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込み原料に対し0.001当量/h以上1.2当量/h以下であることが好ましく、より好ましくは0.002当量/h以上1.1当量/h以下である。これらは、得ようとする粒子径に応じて適宜調整することができる。
【0062】
該製造方法においては、常圧加熱反応によって得たチタン酸金属粒子をさらに酸処理することが好ましい。常圧加熱反応を行って、チタン酸金属粒子を製造する際に、酸化チタン源とチタン以外の金属源の混合割合がMXO/TiO2(モル比)で、1.00を超える場合、次のことが起こりやすい。すなわち反応終了後に残存した未反応のチタン以外の金属源が空気中の炭酸ガスと反応して、金属炭酸塩などの不純物を生成しやすい。また、表面に金属炭酸塩などの不純物が残存すると、疎水性を付与するための表面処理をする際に、不純物の影響で表面処理剤を均一に被覆しにくくなる。したがって、アルカリ水溶液を添加した後、未反応の金属源を取り除くため酸処理を行うとよい。
【0063】
酸処理では、塩酸を用いてpH2.5以上7.0以下に調整することが好ましく、pH4.5以上6.0以下に調整することがより好ましい。酸としては、塩酸の他に硝酸、酢酸などを酸処理に用いることができる。硫酸を用いると、水への溶解度が低い金属硫酸塩が発生しやすい。
【0064】
本発明で用いることが好ましいチタン酸ストロンチウムは、表面処理が可能であり、立方形状または直方体状に作製可能であれば特に限定されない。また、チタン酸金属粒子の形状を制御する方法として、乾式で機械的処理を施す方法を用いてもよい。
【0065】
表面処理剤は特に限定はされないが、ジシリルアミン化合物、ハロゲン化シラン化合物、シリコーン化合物又はシランカップリング剤が挙げられる。
【0066】
ジシリルアミン化合物は、ジシリルアミン(Si-N-Si)部位を有する化合物である。ジシリルアミン化合物の例としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N-メチル-ヘキサメチルジシラザン又はヘキサメチル-N-プロピルジシラザンが挙げられる。ハロゲン化シラン化合物の例としては、ジメチルジクロロシランが挙げられる。
【0067】
シリコーン化合物の例としては、シリコーンオイル又はシリコーン樹脂(ワニス)が挙げられる。シリコーンオイルの例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル又はフッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。シリコーン樹脂(ワニス)としては、メチルシリコーンワニス、フェニルメチルシリコーンワニスが挙げられる。
【0068】
シランカップリング剤の例としては、アルキル基とアルコキシ基とを有するシランカップリング剤、又はアミノ基とアルコキシ基とを有するシランカップリング剤、又は含フッ素シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としてより具体的には、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルジエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルジメトキメチルシラン又はγ-アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルジエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、1,1.1-トリフルオロヘキシルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0069】
特にトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシランなどのフッ素系のシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。
【0070】
また、好ましい処理剤の量としては、チタン酸ストロンチウム粒子100質量部に対し、0.5質量部以上20.0質量部以下の量で処理されていることが好ましい。
【0071】
上述の表面処理剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0072】
<結着樹脂>
本発明におけるトナー粒子は、結着樹脂として、ポリエステル樹脂を含有していることが、低温定着性の観点から必要である。また、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応したハイブリッド樹脂であってもよい。
【0073】
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、「歪み硬化性」を発現させるため、分岐ポリマーを作製するためには、非晶性樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
【0074】
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
【0075】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0076】
【化1】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
【0077】
式(B)で示されるジオール類;
【0078】
【0079】
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
【0080】
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
【0081】
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n-ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
【0082】
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
【0083】
本発明のポリエステルユニットの製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のアルコールモノマー及びカルボン酸モノマーを同時に仕込み、エステル化反応またはエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステルユニットの重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。特に、本発明の結着樹脂は、スズ系触媒を使用して重合されたポリエステルユニットがより好ましい。
【0084】
また、ポリエステル樹脂の酸価は5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下、水酸基価は20mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における水分吸着量が抑え、非静電付着力を低く抑えることができる。そのためカブリ抑性の観点から好ましい。
【0085】
また、結着樹脂には、ポリエステル樹脂を主成分として、下記を含有していてもよい。それには例えば、ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;スチレン系共重合樹脂、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
【0086】
また、結着樹脂は、低分子量の樹脂と高分子量の樹脂を混ぜ合わせて使用しても良い。高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の含有比率は質量基準で40/60以上85/15以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
【0087】
本発明におけるトナー粒子は、必要に応じて結晶性ポリエステルを含んでいてもよい。結晶性ポリエステルは、特に限定されず、公知のものを使用できるが、飽和ポリエステルであることが好ましい。結晶性樹脂とは、示差走査熱量分析において明確な融点を示す樹脂をいう。
【0088】
さらに、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、及び脂肪族モノカルボン酸の縮合物であることが好ましい。結晶性ポリエステルの構成成分として脂肪族モノカルボン酸を含有させることは、結晶性ポリエステルの分子量や水酸基価の調整がし易くなることに加えて、ワックスとの親和性を制御できるため好ましい。
【0089】
結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
【0090】
<着色剤>
本発明におけるトナー粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
【0091】
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
【0092】
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
【0093】
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
【0094】
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
【0095】
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
【0096】
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
【0097】
これらの着色剤は、単独または混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナーへの分散性の点から選択される。
【0098】
着色剤の含有量は、樹脂成分の総量100質量部に対して0.1質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
【0099】
<現像剤>
本発明におけるトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、トナー表面の電荷局在化を抑制するために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることもできる。
【0100】
該磁性キャリアとしては、例えば、酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);など、一般に公知のものを使用できる。
【0101】
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際の磁性キャリアの混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4.0質量%以上13.0質量%以下である。
【0102】
<トナーの製造方法>
トナー粒子を製造する方法としては、特に限定されないが、顔料などのトナー材料の分散の観点から粉砕法が好ましい。
【0103】
以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
【0104】
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、離型剤、着色剤、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
【0105】
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に顔料などを分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
【0106】
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕する。更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット、遠心力分級方式のターボプレックス、TSPセパレータ、ファカルティの如き分級機や篩分機を用いて分級する。エルボージェットとしては日鉄鉱業社製のものがあり、ターボプレックス、TSPセパレータ、ファカルティとしてはホソカワミクロン社製のものがある。その後、加熱によるトナー粒子の表面処理を行い、トナー粒子に外添剤を固着させる。
【0107】
例えば、
図1で表される表面処理装置を用いて、熱風により表面処理を行うこともできる。原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
【0108】
供給された混合物を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃乃至300℃であることが好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。
【0109】
更に熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は-20℃乃至30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であることが好ましい。
【0110】
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
【0111】
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給されるトナーの旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、トナーに強力な遠心力がかかり、トナーの分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナーを得ることができる。
【0112】
その後、微粉側の粗粉側に二分する。例えば、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)を用いて二分する。二分された熱処理トナー粒子それぞれの表面に、所望量の外添剤を外添処理する。外添処理する方法としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する。あるいはメカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合するといった方法が挙げられる。その際、必要に応じて、さらに流動化剤等の外添剤を外添処理しても良い。
【0113】
トナー及び原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
【0114】
<水洗処理方法>
本発明では水洗処理を次のように行った。イオン交換水10.3gにショ糖20.7g(キシダ化学社製)を溶解させたショ糖水溶液に、界面活性剤であるコンタミノンN6ccを30ccのガラスバイアルに入れて十分混合し、分散液を作製する。ここでコンタミノンNとしては、たとえば非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤を使用することができる。またガラスバイアルとしては、例えば、日電理化硝子株式会社製、VCV-30、外径:35mm、高さ:70mmを使用することができる。このバイアルにトナー1.0gを添加し、トナーが自然に沈降するまで静置して処理前分散液を作製する。この分散液を、振とう機(YS-8D型:(株)ヤヨイ製)にて、振とう速度:200rpmで5分間振とうし、無機微粒子をトナー粒子表面から離脱させた。無機微粒子が残存したトナーと脱離した無機微粒子の分離は遠心分離機を用いて行う。遠心分離工程は3700rpmで30min行った。無機微粒子が残存したトナーを吸引濾過することで採取し、乾燥させ水洗後のトナーを得る。
【0115】
<固着率の測定方法>
固着率の測定は以下の様にする。まず上記水洗処理前のトナーに含まれるチタン酸ストロンチウム粒子の定量を行う。これは波長分散型蛍光X線分析装置Axios advanced(PANalytical社製)を用いて、トナー中のSr元素強度を測定する。次に同様に上記水洗処理後のトナーのSr元素強度を測定する。固着率は(水洗後のトナーのSr元素強度/トナー中のSr元素強度)×100(%)で求められる。
【0116】
<チタン酸ストロンチウムの被覆率およびシリカ粒子の被覆率の測定方法>
日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影されたトナー表面画像を20個無作為にサンプリングする。
【0117】
その画像情報を、画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)によって、トナー粒子表面部分と外添剤部分との明度が異なることを利用して、2値化する。この2値化によって、外添剤部分の面積とトナー粒子部分の面積(外添剤部分の面積も含む)STonerに分ける。
【0118】
外添剤部分の面積は、シリカ結合体粒子とチタン酸ストロンチウムからなっているが、以下のように形状によって区別することができる。すなわちシリカ粒子の形状は、不定形や球状であるのに対し、チタン酸ストロンチウム粒子は、角がとれた直方体や立方体形状をしている。
【0119】
この形状による区別によって、外添剤部分の面積のうち、チタン酸ストロンチウムの占める面積SSrTiO3を割り出す。
【0120】
そしてSrTiO3粒子によるトナー粒子の被覆率(%)σSrTiO3は、下式によって算出される。
σSrTiO3(%)=SSrTiO3/SToner×100
【0121】
同様に、上記形状による区別によって、外添剤部分の面積のうち、シリカ粒子の占める面積SSiを割り出す。そして、シリカ粒子によるトナー粒子の被覆率(%)σSiは、下式によって算出される。
σSi(%)=SSi/SToner×100
【0122】
<シリカ粒子をなす一次粒子の個数平均粒径RSi、および、シリカ結合体粒子の最大フェレ径の個数平均値RCSi>
測定サンプルの調整を行う。外添剤約5mgに対し、イソプロパノール1mlを加え、超音波分散機(超音波洗浄機)で5分間分散させる。次に、TEM用の支持膜付きマイクログリッド(150メッシュ)に上記分散液を1滴たらし、乾燥させることで測定サンプルを準備した。
【0123】
次に、透過型電子顕微鏡(TEM)により、加速電圧200kVの条件のもと、視野中のシリカ粒子が十分に測長できる倍率(例えば200k~1M倍)にて画像を取得し、ランダムに100個のシリカ粒子をなす一次粒子の粒径の測定から個数平均粒径を求める。さらに、シリカ粒子がシリカ結合体粒子である場合は、上記100個のシリカ粒子の最大フェレ径の測定から最大フェレ径の個数平均値を求める。これら各シリカ粒子の一次粒子の粒径および最大フェレ径の測定は手動でもよいし、計測ツールを用いてもよい。
【0124】
<シリカ粒子の個数平均稠密度ψSiの測定方法>
上述した透過型電子顕微鏡(TEM)によって得られたシリカ粒子の画像において、シリカ粒子領域とそうでない領域とを、明度の違いから2値化によって区分する。
【0125】
二値化の条件は観察装置により適切に選択することができる。二値化には画像解析ソフトウェアImage Jを用いる。
【0126】
得られた二値化画像から、画像解析ソフトウェアImage Jで粒子解析することで、以下のようにシリカ粒子の個数平均稠密度を算出する。すなわち画像解析ソフトウェアImage Jにて稠密度はSolidityという名称で数値範囲の規定を行う。
【0127】
上記を二値化画像100枚について行い、その平均値をシリカ粒子の個数平均稠密度とする。
【0128】
<樹脂の軟化点の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメーター「流動特性評価装置フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
【0129】
本発明においては、「流動特性評価装置フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
【0130】
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用い、約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
【0131】
CFT-500Dの測定条件は、以下のとおりである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/分
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
【0132】
<シリカ粒子中のジルコニウム、鉄、アルミニウムの含有量の測定方法>
本発明に用いられるシリカ粒子中のジルコニウム、鉄、アルミニウムの含有量の測定は、蛍光X線分析装置で求めることができる。例えば、波長分散型蛍光X線分析装置Axios advanced(PANalytical社製)を用いる。そして、PANalytical社で推奨する粉末測定専用のカップに専用のPP(ポリプロピレン)フィルムを底面に貼ったものにサンプル2gを秤量し、底面に均一厚に層を形成させて、ふたをする。ついで大気圧He雰囲気下においてFP法にてシリカ粒子におけるNaからUまでの元素を測定する。その際、検出された元素全てが酸化物であると仮定し、それらの総質量を100%として、ソフトウェアSpectraEvaluation(version 5.0L)にて総質量に対するZrO2およびFe2O3、Al2O3の含有量(質量%)を酸化物換算値として求める。
【実施例】
【0133】
以下、本発明を実施例と比較例を用いて更に詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。なお、実施例及び比較例の部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
【0134】
<チタン酸ストロンチウム粒子の製造例>
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加えTiO2として1.85モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.4とし解膠処理を行った。
【0135】
脱硫・解膠を行ったメタチタン酸をTiO2として1.88モルを採取し、3Lの反応容器に投入した。
【0136】
該解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を2.16モル添加し、SrO/TiO2モル比が1.15となるようにした。TiO2濃度を1.039モル/Lに調整した。
【0137】
次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、12モル/L水酸化ナトリウム水溶液440mLを40分間かけて添加した。温度95℃で45分撹拌を続け反応を終了した。
【0138】
当該反応スラリーを40℃まで冷却し、pH4.9となるまで塩酸を加え20分間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ過・分離後、120℃の大気中で8時間乾燥した。
【0139】
続いて乾燥品300gを、乾式粒子複合化装置(ホソカワミクロン(株)製 ノビルタNOB-130)に投入した。処理温度30℃、回転式処理ブレード95m/秒で10分間処理を行った。さらに乾燥品にpH0.1となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄した。当該沈殿を含むスラリーを40℃に調整し、塩酸を加えpH2.5に調整した。
【0140】
次に、固形分に対して4.6質量%のイソブチルトリメトキシシランと4.6質量%のトリフロロプロピルトリメトキシシランを1時間撹拌混合した後に添加し、10時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.2に調整し1時間撹拌を続けた。ろ過・洗浄を行い得られたケーキを130℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウムの粒子を得た。
【0141】
こうして得られたチタン酸ストロンチウムの個数平均粒径は40nm程度であった。
【0142】
<シリカ粒子1の製造例>
シリカ粒子1はいわゆる沈降法によって以下のように製造した。
金属製撹拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、加熱装置、及び、温度計を有した容積3Lの沈降容器に、撹拌下で水12.6リットルを入れて、80℃に加熱した。
【0143】
そしてpH値が8.5になるよう、水ガラス溶液(質量比3.4:1=SiO2 26.8%及びNa2O 7.85%;密度1.352g/ml)を加えた。
【0144】
次いで溶液温度を80℃に維持しつつ、水ガラス(上記の組成)56.7ml/分及びpH値が常時8.5に維持される量の硫酸(50%)を同時に加えることにより230分間シリカを沈降させた。引き続き硫酸(50%)のみを滴下をつづけることでpH値3.5まで酸性にして、このpH値をもって終了点とした。そして沈降したシリカを、懸濁液から分離し水で洗浄した後、105℃~110℃に乾燥し、次いで実験用ピンミルで粉砕することで、シリカ粉砕体を得た。
【0145】
次いで得られたシリカ粉砕体に対しマグネトロンスパッタリング法により、ジルコニウム、アルミニウム、鉄を微量コーティングすることで、シリカ結合体としてシリカ粒子1を得た。
【0146】
シリカ粒子1の一次粒子の個数平均粒径と、シリカ粒子1の最大フェレ径の個数平均値および個数平均稠密度を表1に示した。またシリカ粒子1に含有される、蛍光X線分析において検出される元素が全て酸化物であるとみなして全酸化物の質量総量を1としたときのZrO2、Al2O3、Fe2O3の質量濃度を表1に示した。
【0147】
<シリカ粒子2~6の製造例>
シリカ粒子1の製造例において、個数平均稠密度および一次粒子の個数平均粒径を変化させた。また、このときマグネトロンスパッタリング法による、ジルコニウム、アルミニウム、鉄の微量コーティング量を、変化させた。こうしてシリカ結合体粒子としてシリカ粒子2~6を得た。シリカ粒子2~6の一次粒子の個数平均粒径と、シリカ粒子2~6の最大フェレ径の個数平均値および個数平均稠密度を表1に示した。またシリカ粒子2~6に含有される、蛍光X線分析において検出される元素が全て酸化物であるとみなして全酸化物の質量総量を1としたときの含有されるZrO2、Al2O3、Fe2O3の質量濃度を表1に示した。
【0148】
<シリカ粒子7の製造例>
シリカ粒子7はいわゆるゾルゲル法によって以下のように製造した。
【0149】
・アルカリ触媒溶液(1)の調製
金属製撹拌棒、滴下ノズル(テフロン(登録商標)製マイクロチューブポンプ)、及び、温度計を有した容積3Lのガラス製反応容器にメタノール640部、10%アンモニア水87部を入れ、撹拌混合して、アルカリ触媒溶液(1)を得た。こときのアルカリ触媒溶液(1)のアンモニア触媒量:NH3量(NH3〔mol〕/(アンモニア水+メタノール)〔L〕)は、0.61mol/Lであった。
【0150】
・シリカ微粒子懸濁液(1)の調製
アルカリ触媒溶液(1)を窒素置換した。その後、アルカリ触媒溶液(1)を撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)125部と、触媒(NH3)濃度が4.4%のアンモニア水80部とを、下記供給量で、同時に滴下を開始し、シリカ微粒子の懸濁液(シリカ微粒子懸濁液(1))を得た。
【0151】
ここで、テトラメトキシシラン(TMOS)の供給量は、アルカリ触媒溶液(1)中のメタノール総mol数に対して、13g/min、すなわち、0.0046mol/(mol・min)とした。
【0152】
また、4.4%アンモニア水の供給量は、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量(0.0855mol/min)に対して、4g/minとした。これは、テトラアルコキシシランの1分間当たりに供給される総供給量の1molに対して0.29mol/minに相当する。
【0153】
・シリカ微粒子の疎水化処理
シリカ微粒子懸濁液(1)200部(固形分13.985%)に、トリメチルシラン5.59部を添加して疎水化処理を行なった。その後、ホットプレートを用いて、65℃で加熱し、乾燥させることで、シリカ結合体粒子を生成した。
【0154】
ついで、マグネトロンスパッタリング法により、ジルコニウム、アルミニウム、鉄を微量コーティングすることで、これら金属がコーティングされたシリカ結合体粒子としてシリカ粒子7を得た。
【0155】
こうして得られたシリカ粒子7の個数平均稠密度および一次粒子の個数平均粒径と最大フェレ径の個数平均値を表1に示した。またシリカ粒子7に含有される、蛍光X線分析において検出される元素が全て酸化物であるとみなして全酸化物の質量総量を1としたときの含有されるZrO2、Al2O3、Fe2O3の質量濃度を表1に示した。
【0156】
<シリカ粒子8~12の製造例>
シリカ粒子7の製造例において、個数平均稠密度および一次粒子の個数平均粒子径を変化させた。また、このときマグネトロンスパッタリング法による、ジルコニウム、アルミニウム、鉄の微量コーティング量を、変化させた。こうしてシリカ結合体粒子としてシリカ粒子8~12を得た。シリカ粒子8~12の一次粒子の個数平均粒径と、シリカ粒子8~12の最大フェレ径の個数平均値および個数平均稠密度を表1に示した。またシリカ粒子8~12に含有される、蛍光X線分析において検出される元素が全て酸化物であるとみなして全酸化物の質量総量を1としたときの含有されるZrO2、Al2O3、Fe2O3の質量濃度を表1に示した。
【0157】
<シリカ粒子13の製造例>
シリカ粒子13はいわゆるゾルゲル法によって以下のように製造した。
【0158】
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルのガラス製反応器に、メタノール589.8g、水42.0g、26質量%アンモニア水47.2gを加えて混合した。
【0159】
得られた溶液を35℃となるように調整し、撹拌しながら、テトラメトキシシラン1100.0g(7.23mol)及び5.3質量%アンモニア水395.4gを同時に添加し始めた。
【0160】
テトラメトキシシランは6時間かけて、アンモニア水は5時間かけて、それぞれを滴下した。滴下が終了した後、さらに0.5時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール-水分散液を得た。
【0161】
次いで、ガラス製反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前記分散液を80℃、減圧下で十分乾燥させた。上記工程を数十回実施し、得られたシリカ粒子を、パルベライザー(ホソカワミクロン社製)にて解砕処理を行なった。
【0162】
その後、シリカ粒子500gを内容積1000mlのポリテトラフルオロエチレン内筒式ステンレスオートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、オートクレーブ付属の撹拌羽を400rpmで回転させながら、0.5gのHMDS(ヘキサメチルジシラザン)及び0.1gの水を二流体ノズルにて霧状にしてシリカ粉末に均一になるように吹き付けた。30分間撹拌した後、オートクレーブを密閉し、200℃で2時間加熱した。続いて、加熱したまま系中を減圧して脱アンモニアを行った。
【0163】
こうして作製したシリカ粒子は、ほとんど一次粒子同士が結合せず、ほぼ単粒子として存在していた。ついで、得られたシリカ単粒子に対し、マグネトロンスパッタリング法により、ジルコニウム、アルミニウム、鉄を微量コーティングすることで、これら金属がコーティングされたシリカ単粒子としてシリカ粒子13を得た。
【0164】
シリカ粒子13の個数平均稠密度および一次粒子の個数平均粒径を表1に示した。またシリカ粒子13に含有される、蛍光X線分析において検出される元素が全て酸化物であるとみなして全酸化物の質量総量を1としたときの含有されるZrO2、Al2O3、Fe2O3の質量濃度を表1に示した。
【0165】
<シリカ粒子14~24の製造例>
シリカ粒子13の製造例において、一次粒子の個数平均粒径を変化させた。また、このときマグネトロンスパッタリング法による、ジルコニウム、アルミニウム、鉄の微量コーティング量を、変化させた。シリカ単粒子としてシリカ粒子14~24を得た。
【0166】
このとき、シリカ粒子17~24はアルミニウムをコーティングせず、またシリカ粒子19~24は鉄をコーティングせず、さらにシリカ粒子23と24はジルコニウムをコーティングしなかった。各シリカ粒子の個数平均稠密度および一次粒子の個数平均粒径を表1に示した。またシリカ粒子17~24に含有される、蛍光X線分析において検出される元素が全て酸化物であるとみなして全酸化物の質量総量を1としたときの含有されるZrO2、Al2O3、Fe2O3の質量濃度を表1に示した。
【0167】
【0168】
<非晶性ポリエステル樹脂の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:73.3部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:22.4部(0.13モル;多価カルボン酸総モル数に対して82.0mol%)
・アジピン酸:4.3部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して18.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.51部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、202℃の温度で撹拌しつつ、4.5時間反応させ、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂を得た。得られた非晶性ポリエステル樹脂の軟化点は90℃であった。
【0169】
<スチレンアクリル樹脂の製造例>
温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した2リットルのガラス製の四つ口フラスコにキシレン850gを入れ、窒素置換後150℃に昇温した。
【0170】
・スチレン 1700部
・n-ブチルアクリレート 250部
・ポリオキシプロピレン(2,2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン 50部
・ジクミルパーオキサイド 80部
その後、上記の材料の混合物を滴下ロートより、4時間かけて滴下し、150℃のまま4時間熟成させた。その後、200℃まで昇温し、減圧下でキシレンを留去して、結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を得た。得られたスチレンアクリル樹脂の軟化点は108℃であった。
【0171】
<結晶性ポリエステル樹脂の合成例>
・ドデカンジオール:34.5部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・セバシン酸:65.5部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
【0172】
・2-エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた後、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻し、結晶性ポリエステル樹脂を得た。軟化点は82℃だった。
【0173】
(トナーの製造例)
<トナー1の製造例>
結着樹脂の種類を、非晶性ポリエステル樹脂とし、
・結着樹脂 100部
・結晶性ポリエステル樹脂 5部
・フィッシャートロプシュワックス(融点:90℃) 6部
・C.I.ピグメントブルー 15:3 4部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)で予備混合した後、二軸混練押し出し機(PCM-30型、株式会社池貝製)によって、160℃で溶融混練した。
【0174】
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで1mm以下に粗粉砕した後、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。
【0175】
得られた微粉砕物を、ファカルティ(F-300、ホソカワミクロン社製)を用いて分級した。運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmとした。こうしてトナー粒子1を得た。
【0176】
ついで、
・トナー粒子1 100部
・シリカ粒子1 7.7部
・チタン酸ストロンチウム粒子 3.1部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM-10C型、日本コークス(株)製)を用いて、回転数67s-1(4000rpm)、回転時間2minで混合した後、目開き54μmの超音波振動篩を通過させ、トナー1を得た。
【0177】
<トナー2~24の製造例>
トナー1の製造例において、結着樹脂の種類、結晶性ポリエステルの添加有無、チタン酸ストロンチウムの添加量およびシリカ粒子の種類と添加量を、表2となるように変更した以外はトナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー2~24を得た。
【0178】
また、トナー1~24におけるチタン酸ストロンチウムの被覆率と固着率、ならびにシリカの被覆率を表2に記す。
【0179】
【0180】
<磁性コア粒子の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7部
MnCO3 29.5部
Mg(OH)2 6.8部
SrCO3 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
【0181】
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
【0182】
・工程3(粉砕工程):
得られた仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。得られたスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
【0183】
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
【0184】
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
【0185】
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子を得た。
【0186】
<被覆樹脂の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを下記装置にいれる。すなわち還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れる。そして窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
【0187】
次いで、30部の被覆樹脂1を、トルエン40部及びメチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液(固形分30質量%)を得た。
【0188】
<被覆樹脂溶液の調製>
重合体溶液(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラックRegal330(キャボット製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75mL/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液を得た。
【0189】
<磁性キャリアの製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、磁性コア粒子及び被覆樹脂溶液を投入した(被覆樹脂溶液の投入量は、100部の磁性コア粒子に対して樹脂成分として2.5部になる量)。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリアを得た。
【0190】
<現像剤1の製造例>
92.0部の磁性キャリアと8.0部のトナー1をV型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、現像剤1を得た。
【0191】
<現像剤2~24の製造例>
現像剤1の製造例において、表3のように変更する以外は同様の操作を行い、現像剤2~24を得た。
【0192】
【0193】
〔実施例1〕
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800又はその改造機を用い、以下の評価を実施した。
【0194】
該画像形成装置は、像坦持体として静電潜像を形成させる感光体を有し、感光体の静電潜像を二成分現像剤によりトナー像として現像する現像工程を有する。
【0195】
さらに、現像されたトナー像を中間転写体に転写し、その後に中間転写体のトナー像を紙に転写する転写工程を有し、紙上のトナー像を熱により定着する定着工程を有する。
【0196】
この画像形成装置のシアンステーションの現像器に、現像剤1を投入し、下記評価を行った。
【0197】
<ゴーストの評価>
以下のようにゴーストの評価を行った。
【0198】
上記画像形成装置の改造機を用いた。改造点は、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する機構を取り外したことである。
【0199】
FFH画像(ベタ画像)におけるトナーの紙上への載り量が0.45mg/cm2となるように、調整した。FFHとは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hが256階調の1階調目(白地部)であり、FFHが256階調の256階調目(ベタ部)である。
【0200】
ついで、
図2に示すようなベタ黒の縦帯と、縦帯以外はベタ白であるテストチャートを999枚連続で通紙した後に1000枚目を同じジョブ内で、全面ハーフトーン画像を流した。通紙方向を
図2に示す。ハーフトーン画像上において、
図3におけるベタ黒の縦帯を通紙していた領域(a)とベタ白を通紙していた領域(b)の画像濃度を測定し、その濃淡差によりゴーストを評価した。ゴーストが発生している場合を
図4に示す。
【0201】
画像濃度は、X-Riteカラー反射濃度計(X-rite社製、X-rite 500Series)を用いて測定した。
【0202】
測定は、常温常湿(NN)環境下(温度23℃、相対湿度50%以上60%以下)、常温低湿(NL)環境下(温度23℃、相対湿度5%)、高温高湿(HH)環境下(温度30℃、相対湿度80%)で行う。そのうち、もっとも濃度差の高い値を、濃度差とし、以下のようにランク付けした。
【0203】
(評価基準:ゴースト)
A:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.02未満(優れている)
B:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.02以上0.04未満(少し優れている)
C:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.04以上0.06未満(本発明において許容レベル)
D:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.06以上0.10未満(本発明では許容できないレベル)
【0204】
<低温定着性(定着可能下限温度)>
キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800改造機のシアンステーションに二成分系現像剤1を入れた現像器を搭載し、定着器を取り外した状態で画像形成できるように改造を行った。そして評価紙上に定着されていないトナー像(以下、未定着画像)を形成した。評価には、カラー複写機・プリンター用普通紙 GF-C157(A4、157g/cm2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
【0205】
実際には、FFH画像(以下、ベタ部)のトナーの紙上への載り量が1.2mg/cm2となるように現像条件を適宜調整し、A4縦評価紙先端から3cm、評価紙の中心の位置に2cm×10cmの未定着画像を形成した。未定着画像は低湿低温環境下(15℃/10%Rh)に24時間調湿した。
【0206】
続いて、キヤノン製フルカラー複写機imagePRESS C800から定着器を取り出し、プロセススピード、上下の定着部材温度を独立に制御できるよう定着試験用治具を準備した。定着性評価は、低温低湿環境下(15℃/10%Rh)で実施し、プロセススピードを400mm/secとなるように調整した前記定着試験用治具を用いた。
【0207】
実際の評価では、前記定着試験用治具の上ベルト温度を100℃乃至200℃の範囲で5℃おきに調整しながら未定着画像を通紙し、その間、下ベルト温度は100℃に固定した状態で評価を行った。
【0208】
定着器を通過させた定着画像を4.9kPaの荷重をかけたレンズクリーニングワイパー(ダスパー 小津産業株式会社製)で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる点を定着温度とした。
【0209】
10%を超えて濃度低下がおこると定着できていないとの判定基準のもと、画像濃度低下率10%を超えない最も低い上ベルト設定温度を低温定着温度とし、下記の評価基準に従って評価した。
【0210】
(評価基準:低温定着性)
A:130℃未満(優れている)
B:130℃以上150℃未満(少し優れている)
C:150℃以上160℃未満(本発明において許容レベル)
D:160℃以上(本発明では許容できないレベル)
【0211】
<かぶり>
かぶり濃度(%)の測定は、以下のようにおこなった。カラー複写機・プリンター用普通紙 GF-C157(A4、157g/cm2)(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)にて20,000枚目の画像出力を行った直後に、べた白を通紙した。ついで、「REFLECTMETER MODEL TC-6DS」(東京電色社製)を用い、測定した画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、かぶり濃度(%)を算出することにより行った。フィルターは、アンバーフィルターを用いた。数値が小さいほどかぶりレベルが良いことを示す。
【0212】
(評価基準)
A:かぶり濃度0.5%未満(優れている)
B:かぶり濃度0.5%以上1.0%未満(少し優れている)
C:かぶり濃度1.0%以上2.0%未満(本発明において許容レベル)
D:かぶり濃度2.0%以上(本発明では許容できないレベル)
【0213】
結果を表4に示す。
【0214】
〔実施例2~20、比較例1~4〕
現像剤1に代えて、現像剤2~24を用いるほかは実施例1と同様に評価を実施した。結果を表4に示す。
【0215】
【0216】
以上の結果から、以下のことが示された。すなわち、トナー粒子の表面に外添するシリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径が50nm以上300nm以下であること。かつ、このシリカ粒子が、蛍光X線分析において検出される元素が全て酸化物であるとみなし、全酸化物の質量総量を1としたときのZrO2が質量濃度20ppm以上1000ppm以下含有すること。これらを満たすシリカ粒子を外添することで、かぶりの発生を抑制しつつ、ゴーストを抑えることができ、したがって高画質の画像を提供することができる。
【符号の説明】
【0217】
1.原料定量供給手段、2.圧縮気体流量調整手段、3.導入管、4.突起状部材、5.供給管、6.処理室、7.熱風供給手段、8.冷風供給手段、9.規制手段、10.回収手段、11.熱風供給手段出口、12.分配部材、13.旋回部材、14.粉体粒子供給口