(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47F 3/00 20060101AFI20240527BHJP
E05F 17/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A47F3/00 F
E05F17/00 A
(21)【出願番号】P 2020059295
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】須賀 政晴
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-102457(JP,A)
【文献】特開昭62-090489(JP,A)
【文献】特開2000-102455(JP,A)
【文献】特開2001-245762(JP,A)
【文献】特開2002-119393(JP,A)
【文献】特開平08-128262(JP,A)
【文献】特開2011-062259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/00
E05F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に開口する第1開口部及び第2開口部を有する筐体と、
前記第1開口部を開放する第1開位置及び前記第1開口部を閉塞する第1閉位置に移動可能な第1パネルと、
前記第2開口部を開放する第2開位置及び前記第2開口部を閉塞する第2閉位置に移動可能な第2パネルと、
前記第1パネル及び前記第2パネルを前記筐体に対して前記第1方向に移動させる開閉機構と、を備え、
前記開閉機構は、
前記第1方向に交差する第2方向に移動可能に、前記筐体に支持された可動部と、
前記第1パネル及び前記可動部間を接続するとともに、前記可動部が第1位置から前記第2方向の一方側に移動する過程で、前記第1閉位置と前記第1
開位置との間の第1連係終了位置まで前記第1パネルを移動させる第1連係部と、
前記第2パネル及び前記可動部間を接続するとともに、前記可動部が前記第1位置よりも前記一方側に位置する第2位置から前記一方側に移動する過程で、前記第2閉位置と前記第2開位置との間の第2連係終了位置まで前記第2パネルを移動させる第2連係部と、を備え
、
前記開閉機構は、前記可動部が前記第2位置に到達する前において、前記第2パネルの移動の開始に先立って前記第1パネルの移動を開始させる什器。
【請求項2】
第1方向に開口する第1開口部及び第2開口部を有する筐体と、
前記第1開口部を開放する第1開位置及び前記第1開口部を閉塞する第1閉位置に移動可能な第1パネルと、
前記第2開口部を開放する第2開位置及び前記第2開口部を閉塞する第2閉位置に移動可能な第2パネルと、
前記第1パネル及び前記第2パネルを前記筐体に対して前記第1方向に移動させる開閉機構と、を備え、
前記開閉機構は、
前記第1方向に交差する第2方向に移動可能に、前記筐体に支持された可動部と、
前記第1パネル及び前記可動部間を接続するとともに、前記可動部が第1位置から前記第2方向の一方側に移動する過程で、前記第1閉位置と前記第1開位置との間の第1連係終了位置まで前記第1パネルを移動させる第1連係部と、
前記第2パネル及び前記可動部間を接続するとともに、前記可動部が前記第1位置よりも前記一方側に位置する第2位置から前記一方側に移動する過程で、前記第2閉位置と前記第2開位置との間の第2連係終了位置まで前記第2パネルを移動させる第2連係部と、を備え、
前記第1連係部及び前記第2連係部は、前記第1方向に移動可能に前記筐体に支持され、
前記開閉機構は、前記可動部に設けられて前記可動部とともに前記第2方向に移動可能な第1従節部及び第2従節部を備え、
前記第1連係部は、前記第2方向に沿って延びる第1空走部、及び前記第1空走部から前記第2方向の前記一方側に向かうに従い前記第1方向で前記第1パネルから離間する側に延びる第1遷移部を有し、前記第1従節部が摺動する第1案内部を備え、
前記第2連係部は、前記第2方向に沿って延びる第2空走部、及び前
記第2空走部から前記第2方向の前記一方側に向かうに従い前記第1方向で前記第2パネルから離間する側に延びる第2遷移部を有し、前記第2従節部が摺動する第2案内部を備え、
前記第2空走部は、前記第2方向に沿う距離が前記第1空走部よりも長
い什器。
【請求項3】
第1方向に開口する第1開口部及び第2開口部を有する筐体と、
前記第1開口部を開放する第1開位置及び前記第1開口部を閉塞する第1閉位置に移動可能な第1パネルと、
前記第2開口部を開放する第2開位置及び前記第2開口部を閉塞する第2閉位置に移動可能な第2パネルと、
前記第1パネル及び前記第2パネルを前記筐体に対して前記第1方向に移動させる開閉機構と、を備え、
前記開閉機構は、
前記第1方向に交差する第2方向に移動可能に、前記筐体に支持された可動部と、
前記第1パネル及び前記可動部間を接続するとともに、前記可動部が第1位置から前記第2方向の一方側に移動する過程で、前記第1閉位置と前記第1開位置との間の第1連係終了位置まで前記第1パネルを移動させる第1連係部と、
前記第2パネル及び前記可動部間を接続するとともに、前記可動部が前記第1位置よりも前記一方側に位置する第2位置から前記一方側に移動する過程で、前記第2閉位置と前記第2開位置との間の第2連係終了位置まで前記第2パネルを移動させる第2連係部と、を備え、
前記可動部が前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置にあるとき、前記第2パネルが前記第2閉位置に留まった状態で、前記第1パネルが前記第1連係終了位置に到達す
る什器。
【請求項4】
前記第1パネルが前記第1閉位置にあり、前記第2パネルが前記第2閉位置にあるとき、前記第1パネルは、前記第2パネルのうち前記第1パネル寄りの端部を、前記第1方向における前記筐体の外側から覆っている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の什器。
【請求項5】
前記第2パネルは、前記第2連係終了位置において、前記第2方向にスライド移動可能に構成されている請求項1から請求項4の何れか1項に記載の什器。
【請求項6】
前記第2開口部内には、前記第2パネルが前記第2閉位置にあるとき前記第2パネルと前記第2方向で隣り合う位置に第3パネルが固定され、
前記第2パネルは、前記第2連係終了位置にあるとき前記第1方向で前記第3パネルとずれた位置に配置されるとともに、前記第2開位置にあるとき前記第1方向から見て前記第3パネルに重なり合う位置までスライドし、
前記第1パネルは、前記第1閉位置にあるとき前記第2パネルの前記第2連係終了位置から前記第2開位置までの移動軌跡上に位置し、前記第1連係終了位置にあるとき前記移動軌跡上から退避する請求項5に記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器に関する。
【背景技術】
【0002】
博物館や美術館、展示場等の施設には、展示物を収容する展示ケースが設置されている。展示ケースは、開口部を有する筐体と、開口部を開閉するパネルと、を備えている。開口部は、例えば展示物が収容される展示空間に連通する展示開口部と、照明等が収容されたメンテナンス空間に連通するメンテナンス開口部と、を有している。パネルは、展示開口部を閉塞する透過パネルと、メンテナンス開口部を閉塞するメンテナンスパネルと、を有している。
【0003】
ところで、メンテナンス開口部が展示開口部よりも上方に位置している場合には、メンテナンス時等において、脚立等を用いてメンテナンスパネルにアクセスした状態で、メンテナンスパネルの開閉作業を行う必要がある。そのため、メンテナンス性の向上について未だ改善の余地があった。
【0004】
そこで、下記特許文献1には、透過パネルの開動作に同期して、メンテナンスパネルを開方向(前方)に移動させる構成が開示されている。具体的に、下記特許文献1の構成では、開口部の開口方向(展示ケースの前後方向)に沿って延びるねじ軸が回転することで、ねじ軸に支持された移動ブロックが前方に移動する。これにより、透過パネルが移動ブロックによって前方に押し出される。また、透過パネルが前方に押し出されることで、透過パネルに設けられた押圧杆によってメンテナンスパネルを前方に押し出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の構成にあっては、ねじ軸が前後方向に延在している。この場合には、ねじ軸等を含む駆動機構の前後方向の長さを各パネルの移動量よりも大きく確保する必要がある。そのため、展示ケースの前後方向での大型化に繋がり易い。
また、特許文献1の構成にあっては、透過パネルとメンテナンスパネルとが同時に移動を開始するため、特に初動時に駆動機構にかかる負荷が大きいという課題があった。
【0007】
本発明は、メンテナンス性向上や小型化を低負荷で実現できる什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係る什器は、第1方向に開口する第1開口部及び第2開口部を有する筐体と、前記第1開口部を開放する第1開位置及び前記第1開口部を閉塞する第1閉位置に移動可能な第1パネルと、前記第2開口部を開放する第2開位置及び前記第2開口部を閉塞する第2閉位置に移動可能な第2パネルと、前記第1パネル及び前記第2パネルを前記筐体に対して前記第1方向に移動させる開閉機構と、を備え、前記開閉機構は、前記第1方向に交差する第2方向に移動可能に、前記筐体に支持された可動部と、前記第1パネル及び前記可動部間を接続するとともに、前記可動部が第1位置から前記第2方向の一方側に移動する過程で、前記第1閉位置と前記第1閉位置との間の第1連係終了位置まで前記第1パネルを移動させる第1連係部と、前記第2パネル及び前記可動部間を接続するとともに、前記可動部が前記第1位置よりも前記一方側に位置する第2位置から前記一方側に移動する過程で、前記第2閉位置と前記第2開位置との間の第2連係終了位置まで前記第2パネルを移動させる第2連係部と、を備えている。
【0009】
本態様によれば、第1パネル及び第2パネルの開操作時において、第1パネル及び第2パネルに直接アクセスすることなく、第1パネル及び第2パネルを連係終了位置まで移動させることができる。これにより、各パネルの開操作を行い易くなり、メンテナンス性を向上させることができる。
特に、本態様では、可動部が第2方向の一方側に移動する過程において、第1パネルが第2パネルに先立って連係終了位置への移動を開始する。これにより、第1パネル及び第2パネルの移動を同時に開始する場合に比べ、特に初動時に開閉機構に掛かる負荷を低減できる。
しかも、本態様では、可動部の第2方向の移動に伴い、第1パネル及び第2パネルが第1方向に移動する構成とした。この構成によれば、可動部の移動方向を第1パネル及び第2パネルの移動方向と同一の第1方向にする場合に比べ、開閉機構の第1方向の寸法を小さくできる。これにより、什器の小型化や什器内でのレイアウト性向上を図ることができる。
【0010】
上記態様の什器において、前記第1連係部及び前記第2連係部は、前記第1方向に移動可能に前記筐体に支持され、前記開閉機構は、前記可動部に設けられて前記可動部とともに前記第2方向に移動可能な第1従節部及び第2従節部を備え、前記第1連係部は、前記第2方向に沿って延びる第1空走部、及び前記第1空走部から前記第2方向の前記一方側に向かうに従い前記第1方向で前記第1パネルから離間する側に延びる第1遷移部を有し、前記第1従節部が摺動する第1案内部を備え、前記第2連係部は、前記第2方向に沿って延びる第2空走部、及び前記前記第2空走部から前記第2方向の前記一方側に向かうに従い前記第1方向で前記第2パネルから離間する側に延びる第2遷移部を有し、前記第2従節部が摺動する第2案内部を備え、前記第2空走部は、前記第2方向に沿う距離が前記第1空走部よりも長いことが好ましい。
本態様によれば、従節部が各遷移部上を摺動することで、各連係部が第1方向における筐体から離間する側に移動する。これにより、連係部を介して各パネルを連係終了位置に移動させることができる。これにより、動作信頼性や耐久性に優れた安価な開閉機構を提供できる。
【0011】
上記態様の什器において、前記可動部が前記第1位置と前記第2位置との間の第3位置にあるとき、前記第2パネルが前記第2閉位置に留まった状態で、前記第1パネルが前記第1連係終了位置に到達することが好ましい。
本態様によれば、各パネルを別々のタイミングで動作させることで、上述した初動時に加え定常時(移動開始してから連携終了位置まで移動する間)においても、開閉機構に掛かる負荷をより確実に軽減できる。これにより、開閉機構の低コスト化や小型化等を図ることができる。
【0012】
上記態様の什器において、前記第1パネルが前記第1閉位置にあり、前記第2パネルが前記第2閉位置にあるとき、前記第1パネルは、前記第2パネルのうち前記第1パネル寄りの端部を、前記第1方向における前記筐体の外側から覆っていることが好ましい。
本態様によれば、閉位置において各パネル間の境界部分に隙間等が生じるのを抑制できる。しかも、各パネルの重なり部分に開閉機構を配置した場合には、開閉機構が什器の外部から視認し難くなる。
【0013】
上記態様の什器において、前記第2パネルは、前記第2連係終了位置において、前記第2方向にスライド移動可能に構成されていることが好ましい。
本態様によれば、第2パネルを開位置まで移動させるにあたって、例えば前後方向に回動させる構成等に比べ、第2パネルの移動量に対する第2開口部の開口量を確保し易い。そのため、例えば展示ケース等の比較的大きなパネルであっても、開閉作業時の作業スペースを確保し易くなる。
【0014】
上記態様の什器において、前記第2開口部内には、前記第2パネルが前記第2閉位置にあるとき前記第2パネルと前記第2方向で隣り合う位置に第3パネルが固定され、前記第2パネルは、前記第2連係終了位置にあるとき前記第1方向で前記第3パネルとずれた位置に配置されるとともに、前記第2開位置にあるとき前記第1方向から見て前記第3パネルに重なり合う位置までスライドし、前記第1パネルは、前記第1閉位置にあるとき前記第2パネルの前記第2連係終了位置から前記第2開位置までの移動軌跡上に位置し、前記第1連係終了位置にあるとき前記移動軌跡上から退避することが好ましい。
本態様によれば、第2パネルが連係終了位置に移動することで、第2パネルを第3パネルと重なり合う位置まで移動させることができる。これにより、第2パネルが開位置での第2開口部の開口面積を確保できる。
【0015】
上記態様の什器において、前記第1パネルは、前記第1閉位置において前記筐体内を視認不能とし、前記第2パネルは、光透過性を有する材料により形成され、前記第2閉位置において前記筐体内を視認可能とすることが好ましい。
本態様によれば、例えば第1開口部に通じた空間に照明等を収容しつつ、第2開口部を通じた空間に展示物等を収容できる。これにより、使い勝手に優れた什器を提供できる。
【発明の効果】
【0016】
上記各態様によれば、メンテナンス性向上や小型化を低負荷で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】透過パネルが閉位置にある状態を示す展示ケースの斜視図である。
【
図2】透過パネルが開位置にある状態を示す展示ケースの斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿う断面図である。
【
図6】
図4のVI-VI線に相当する断面図である。
【
図7】
図3のVII-VII線に相当する断面図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0019】
[展示ケース1]
図1は、可動パネル51が閉位置にある状態を示す展示ケース1の斜視図である。
図2は、可動パネル51が開位置にある状態を示す展示ケース1の斜視図である。
図1、
図2に示す展示ケース(什器)1は、例えば博物館や美術館、展示場等の施設に設置される。展示ケース1は、内部に収容された展示物を、施設の来場者が視認可能に構成されている。なお、展示物は、例えば文書や出土品、装飾品、美術品、文化財、商品等が挙げられる。以下の説明において、展示ケース1が設置された床面Fの法線方向を上下方向(矢印UPが上方)とし、上下方向に直交する方向をそれぞれ前後方向(矢印FRが前方)及び左右方向(矢印LHが左側)とする。
【0020】
展示ケース1は、筐体10と、透過パネル11と、下側パネル12と、上側パネル13と、開閉機構14(
図3参照)と、を備えている。
【0021】
<筐体10>
図3は、
図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4は、
図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図2~
図4に示すように、筐体10は、前方に開口する箱型に形成されている。具体的に、筐体10は、骨格部材20と、内装材21(
図2参照)と、外装材22と、を備えている。
図3、
図4に示すように、骨格部材20は、筐体10の骨格を形成する。具体的に、骨格部材20は、縦フレーム25と、横フレーム26,27と、中間フレーム28(
図3参照)と、を備えている。
縦フレーム25は、左右方向に開口する枠状に形成されている。縦フレーム25は、左右方向に間隔をあけて複数(図示の例では、一対)設けられている。縦フレーム25の下端部は、床面Fに接地している。
【0022】
横フレーム26,27は、上下方向に開口する枠状に形成されている。横フレーム26,27は、隣り合う縦フレーム25同士の間を連結している。具体的に、横フレーム26,27は、縦フレーム25の上端部同士の間を連結する上側横フレーム26、及び縦フレーム25の下部同士を連結する下側横フレーム27である。
図4に示すように、下側横フレーム27は、前後方向に延びる複数の第1杆材23や左右方向に延びる複数の第2杆材24が、床面Fから離間した状態で互いに組み合わされて構成されている。各第2杆材24のうち、下側横フレーム27の前端部を構成する前側第2杆材24aは、他の第2杆材24に対して下方に位置している。下側横フレーム27には、床面Fに接地する脚フレーム29(
図4参照)が左右方向及び前後方向に間隔をあけて複数設けられている。なお、各横フレーム26,27の後端部同士は、上下方向に沿って延びる連結フレーム30によって架け渡されている。
【0023】
図3に示すように、中間フレーム28は、隣り合う縦フレーム25の前端部のうち、上側横フレーム26の下方に位置する部分にそれぞれ連結されている。なお、骨格部材20は、板状のフレームが互いに組み合わされていてもよい。
【0024】
図3、
図4に示すように、骨格部材20は、前方に向けて開口するとともに、上下方向に並んだ複数の開口部31~33を画成する。開口部31~33は、下側開口部31、展示開口部(第2開口部)32及び上側開口部(第1開口部)33である。下側開口部31は、隣り合う縦フレーム25間において、前側第2杆材24aと床面Fとによって区画されている。展示開口部32は、隣り合う縦フレーム25間において、中間フレーム28と前側第2杆材24aとによって区画されている。上側開口部33は、隣り合う縦フレーム25間において、中間フレーム28と上側横フレーム26とによって区画されている。
【0025】
内装材21は、骨格部材20のうち展示開口部32を通じて露呈する部分を覆っている。具体的に、内装材21は、縦フレーム25における左右方向の内側(縦フレーム25同士が向かい合う側)や下側横フレーム27の上方、中間フレーム28の下方、上側横フレーム26の下方、連結フレーム30の前方に配され、展示開口部32を通じて骨格部材20が露出するのを抑制する。
図1、
図2に示すように、外装材22は、上述した各開口部31~33を開放した状態で骨格部材20の周囲を囲んでいる。
【0026】
筐体10において、内装材21によって囲まれた部分は、展示開口部32を通じて外部に連通する展示空間40を形成している。筐体10において、内装材21よりも下方に位置する部分は、下側開口部31を通じて外部に連通する下側空間41を形成している。筐体10において、内装材21よりも上方に位置する部分は、上側開口部33を通じて外部に連通する上側空間42を形成している。展示空間40には、例えば展示物が収容される。上述した内装材21のうち、展示空間40と上側空間42とを仕切る少なくとも一部は、光透過性を有する材料により形成されている。これにより、上側空間42に収容された照明等によって、例えば展示空間40が照らされる。
【0027】
<透過パネル11>
図1、
図2に示すように、透過パネル11は、展示開口部32内に配置されている。透過パネル11は、固定パネル50と、可動パネル51と、を備えている。
固定パネル50は、ガラスやアクリル等、光透過性を有する材料により形成されている。固定パネル50は、展示開口部32内における左右方向の一方側(図示の例では右側)に嵌め込まれている。具体的に、固定パネル50の右側端部は、縦フレーム25の前端部に固定されている。固定パネル50のうち、下端部は下側横フレーム27の前端部(前側第2杆材24a)に固定され、上端部は中間フレーム28に固定されている。固定パネル50は、展示開口部32内の右半分において、展示空間40の内外を仕切っている。
【0028】
可動パネル51は、閉位置において、展示開口部32内における左右方向の他方側(図示の例では左側)に配置されている。
図3、
図4に示すように、可動パネル51は、パネル本体60と、上枠部61と、上ローラ62と、下枠部63と、下ローラ64と、を備えている。
【0029】
パネル本体60は、ガラスやアクリル等、光透過性を有する材料により形成されている。
上枠部61は、パネル本体60の上端縁に、左右方向に沿って取り付けられている。
上ローラ62は、上枠部61から上方に突出して設けられている。上ローラ62は、上下方向に沿う軸線回りに回転可能に上枠部61に支持されている。本実施形態において、上ローラ62は、左右方向に間隔をあけて複数(例えば2つ)設けられている。
下枠部63は、パネル本体60の下端縁に、左右方向に沿って取り付けられている。
下ローラ64は、下枠部63において、前後方向に沿う軸線回りに回転可能に支持されている。本実施形態において、下ローラ64は、左右方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0030】
可動パネル51は、ガイドレール55,56を介して前後方向及び左右方向にスライド移動可能に骨格部材20に支持されている。
ガイドレール55は、中間フレーム28の下面に取り付けられている。ガイドレール55は、下方に開口するU字状に形成されている。ガイドレール55は、上ローラ62を収容して、上ローラ62を介して可動パネル51の移動を案内する。
【0031】
図5は、
図3のV-V線に沿う断面図である。
図5に示すように、ガイドレール55は、左右方向に沿って延びる左右案内部55aと、前後方向に延びる前後案内部55bと、を備えている。
左右案内部55aは、中間フレーム28に沿って左右方向に延在している。本実施形態において、左右案内部55aは、固定パネル50の前方を含む中間フレーム28の全域に亘って形成されている。
前後案内部55bは、左右案内部55aのうち固定パネル50に対して左側に位置する部分から後方に分岐している。前後案内部55bは、上ローラ62に対応して左右方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0032】
上述した上ローラ62は、前後案内部55bによって前後方向への走行が案内されるとともに、左右案内部55aによって左右方向への走行が案内される。すなわち、可動パネル51は、上ローラ62が前後案内部55bの最後部に位置しているとき、固定パネル50と左右方向に並んだ閉位置(第2閉位置)に配置される。固定パネル50及び可動パネル51は、可動パネル51の閉位置において、同一平面上に配置される。この場合、各パネル50,51同士は、固定パネル50に設けられたパッキン(不図示)を介在させた状態で、展示空間40を密閉している。
また、可動パネル51は、上ローラ62が前後案内部55bに沿って左右案内部55aまで移動したとき、連係終了位置(第2連係終了位置:
図14参照)に配置される。可動パネル51は、
図14に示す連係終了位置において固定パネル50の前面よりも前方に配置される。
さらに、可動パネル51は、上ローラ62が左右案内部55aに位置しているとき、左右案内部55aに沿って右側にスライド移動可能に構成されている。なお、
図15に示すように、可動パネル51の少なくとも一部は、開位置(第2開位置)において、前方から見て固定パネル50と重なり合う。
【0033】
図6は、
図3のVI-VI線に相当する断面図である。
図3、
図6に示すように、ガイドレール56は、展示開口部32の下端開口縁に沿って延在している。具体的に、ガイドレール56は、固定レール56a及び可動レール56bを備えている。固定レール56aは、下側横フレーム27の前端部(前側第2杆材24a)において、固定パネル50の前方に位置する部分に固定されている。固定レール56aは、下ローラ64の左右方向への走行を案内する。
【0034】
可動レール56bは、下側横フレーム27の前端部(前側第2杆材24a)において、固定パネル50に対して左側に位置する部分に、前後方向に移動可能に支持されている。具体的に、可動レール56bは、下ローラ64を介して可動パネル51を下方から支持している。可動レール56bは、可動パネル51の閉位置及び連係終了位置間の移動に伴い、可動パネル51とともに前後方向に移動する。
【0035】
可動レール56bは、可動パネル51が
図16に示す連係終了位置にあるとき、固定レール56aに接続される。すなわち、可動パネル51が連係終了位置にあるとき、固定レール56a及び可動レール56bは左右方向に沿って直線状に配置されるとともに、左右方向で互いに近接又は当接する。
図4に示すように、可動レール56bは、下ローラ64の左右方向への走行を案内する。したがって、可動レール56bは、可動パネル51が連係終了位置にあるとき、可動パネル51の左右方向へのスライド移動に伴い、下ローラ64を固定レール56aに案内する。
【0036】
なお、
図2に示すように、可動レール56bには、下側横フレーム27(前側第2杆材24a)に係合可能な係合装置59が設けられている。係合装置59は、可動パネル51が閉位置にあるとき、又は連係終了位置にあるときに、前側第2杆材24aに係合させることで、前側第2杆材24aに対する可動レール56bの前後方向の移動を規制する。なお、可動パネル51が閉位置にある状態で、係合装置59が前側第2杆材24aに係合することで、可動パネル51がパッキンに密着して、展示空間40が密閉される。
【0037】
<下側パネル12>
図2、
図4に示すように、下側パネル12は、下側開口部31を開閉することで、下側空間41の内外の連通及び遮断を切り替える。下側パネル12は、隣り合う縦フレーム25間に複数(例えば3枚)並んで配置されている。本実施形態では、各下側パネル12のうち、中央部に位置する下側パネル12は、左右方向において、固定パネル50と可動パネル51との境界部分を跨っている。但し、下側パネル12の数等は、適宜変更が可能である。
【0038】
本実施形態において、下側パネル12は、下端部が縦フレーム25又は脚フレーム29に、左右方向に沿う軸線回りに回動可能に連結されている。この場合、下側パネル12の上端部は、下側パネル12が閉位置にあるとき、ガイドレール56よりも上方に位置している。したがって、下側パネル12は、透過パネル11の下端部やガイドレール56、下側横フレーム27等を前方から覆っている。
【0039】
本実施形態において、下側パネル12は、上端部から後方に張り出す下側規制部12aを備えている。下側規制部12aは、下側パネル12が閉位置にあるとき、下側横フレーム27の上方であって、可動パネル51の移動軌跡(第1移動軌跡、第2移動軌跡)上に配置される。具体的に、下側規制部12aは、固定レール56a及び固定レール56aの延長線の上方に配置される。下側規制部12aは、透過パネル11に前方から近接又は当接している。なお、下側パネル12は、下側開口部31を開閉する構成であれば、回動に限らず、スライド可能や着脱可能に構成されていてもよい。
【0040】
<上側パネル13>
図2、
図3に示すように、上側パネル13は、上側開口部33を開閉することで、上側空間43の内外の連通及び遮断を切り替える。上側パネル13は、隣り合う縦フレーム25間に複数(例えば3枚)並んで配置されている。本実施形態では、各上側パネル13のうち、中央部に位置する上側パネル13は、左右方向において、固定パネル50と可動パネル51との境界部分を跨っている。但し、上側パネル13の数等は、適宜変更が可能である。
【0041】
本実施形態において、上側パネル13は、上端部が上側横フレーム26に左右方向に沿う軸線回りに回動可能に連結されている。この場合、上側パネル13の下端部は、上側パネル13が閉位置にあるとき、ガイドレール55よりも下方に位置している。したがって、上側パネル13は、透過パネル11の上端部や中間フレーム28、ガイドレール55等を前方から覆っている。
【0042】
本実施形態において、上側パネル13は、下端部から後方に張り出す上側規制部13aを備えている。上側規制部13aは、上側パネル13が閉位置にあるとき、中間フレーム28の下方であって、可動パネル51の移動軌跡上に配置される。具体的に、上側規制部13aは、左右案内部55aの下方に配置されるとともに、透過パネル11に前方から近接又は当接している。
【0043】
<開閉機構14>
図7は、
図3のVII-VII線に相当する断面図である。
図7に示すように、開閉機構14は、可動パネル51及び上側パネル13を、それぞれの閉位置から連係終了位置まで連動させるものである。開閉機構14は、アクチュエータ100と、カム機構101と、ロッド103と、を備えている。
アクチュエータ100は、例えばリニアアクチュエータである。アクチュエータ100は、中間フレーム28上の左側端部に固定されている。
【0044】
ロッド103は、中間フレーム28上において左右方向に延在している。ロッド103は、直動ガイド103aを介して左右方向に移動可能に、中間フレーム28に支持されている。ロッド103の左側端部は、アクチュエータ100に連結されている。すなわち、ロッド103は、アクチュエータ100の伸縮に伴い、中間フレーム28上を左右方向に移動可能に構成されている。
【0045】
カム機構101は、連係部(第1連係部110及び第2連係部111)と、従節部(第1従節部130及び第2従節部131)と、を備えている。
第1連係部110は、第1従節部130を介してロッド103と上側パネル13とを接続している。第1連係部110は、各上側パネル13に対応して左右方向に間隔をあけて複数設けられている。そのため、以下の説明では、一の上側パネル13に対応する第1連係部110を例にして説明する。なお、本実施形態において、「接続」とは、単に接触している場合も含み、また常時接触している場合に限らず、間欠的に接触している場合を含み、さらに直接的に接触している場合に限らず、何らかの部材を介して間接的に接触している場合も含む。
【0046】
図8は、
図7のVIII-VIII線に相当する断面図である。
図7、
図8に示すように、第1連係部110は、第1カムプレート113と、第1押込部114と、を備えている。
第1カムプレート113は、中間フレーム28上のうち、一の上側パネル13における左右方向の中央部に位置する部分に、前後方向に移動可能に支持されている。第1カムプレート113には、第1カムプレート113を上下方向に貫通する第1カム溝(第1案内部)116が形成されている。
【0047】
第1カム溝116は、第1前段空走部(第1空送部)117と、第1遷移部118と、第1後段空走部119と、を備えている。
第1前段空走部117は、左右方向に沿って直線状に延在している。
第1遷移部118は、第1前段空走部117に対して右側に連なっている。第1遷移部118は、右側に向かうに従い後方(筐体10に接近する側)に向けて傾斜して延在している。
第1後段空走部119は、第1遷移部118に対して右側に連なっている。第1後段空走部119は、左右方向に沿って直線状に延在している。第1後段空走部119における左右方向の長さは、第1前段空走部117に比べて長くなっている。
【0048】
第1押込部114は、第1カムプレート113の前方にステー128を介して設けられている。第1押込部114は、左右方向に沿う軸線回りに回転可能に構成されたローラである。第1押込部114は、上側パネル13の下端部に後方から当接している。すなわち、第1押込部114は、第1連係部110の前方移動に伴い、上側パネル13を前方(開方向)に向けて押し込む。本実施形態において、第1連係部110が最前端位置まで上側パネル13を押し込んだ状態で、
図12に示す上側パネル13の連係終了位置となる。上側パネル13は、連係終了位置において、可動パネル51に対して前方に離間している。なお、第1押込部114と上側パネル13との接触位置は、適宜変更が可能である。また、第1押込部114は、第1連係部110の前方移動の過程で、上側パネル13を押し込む構成であれば、第1連係部110が最後端位置にある状態で上側パネル13から離間していてもよい。第1押込部114は、回転可能な構成でなくてもよい。
【0049】
図3、
図7に示すように、第2連係部111は、第2従節部131を介してロッド103と可動パネル51とを接続している。なお、第2連係部111は、可動パネル51における左右方向の両端部に対応する位置にそれぞれ設けられている。以下の説明では、一の第2連係部111を例にして説明する。但し、第2連係部111の位置や個数は適宜変更が可能である。
【0050】
第2連係部111は、第2カムプレート120と、第2押込部121と、を備えている。
第2カムプレート120は、中間フレーム28上に前後方向に移動可能に支持されている。第2カムプレート120には、第2カムプレート120を上下方向に貫通する第2カム溝(第2案内部)122が形成されている。
【0051】
第2カム溝122における左右方向の全体長さは、第1カム溝116の全体長さと同等に形成されている。具体的に、第2カム溝122は、第2前段空走部(第2空走部)123と、第2遷移部124と、第2後段空走部125と、を備えている。
第2前段空走部123は、左右方向に沿って直線状に延在している。第2前段空走部123における左右方向の長さは、第1前段空走部117よりも長くなっている。
第2遷移部124は、第2前段空走部123に対して右側に連なっている。第2遷移部124は、右側に向かうに従い後方に向けて傾斜して延在している。第2遷移部124の第2前段空走部123に対する傾斜角度は、第1遷移部118の第1前段空走部117に対する傾斜角度と同等になっている。また、各遷移部118,124の前後方向及び左右方向の距離は、それぞれ同等になっている。
第2後段空走部125は、第2遷移部124に対して右側に連なっている。第2後段空走部125は、左右方向に沿って直線状に延在している。第2後段空走部125における左右方向の長さは、第2前段空走部123及び第1後段空走部119に比べて長くなっている。
【0052】
図3に示すように、第2押込部121は、第2カムプレート120から下方に突出している。第2押込部121は、中間フレーム28を貫通して、前後案内部55b内を臨んでいる。第2押込部121のうち、前後案内部55b内に位置する部分は、上ローラ62を保持する保持部127を構成している。保持部127は、下方に向けて開口するU字状に形成され、上ローラ62を前後両側から取り囲んでいる。すなわち、第2押込部121は、第2連係部111の前方移動に伴い、上ローラ62を介して可動パネル51を前方(開方向)に向けて押し込む。本実施形態において、第2連係部111が最前端位置まで可動パネル51を押し込んだ状態で、上述した可動パネル51の連係終了位置となる。
【0053】
図7に示すように、第1従節部130は、ロッド103から下方に突出している。第1従節部130は、上述した第1連係部110に対応して左右方向に間隔をあけて設けられている。各第1従節部130は、対応する第1カムプレート113の第1カム溝116内で係合されている。第1従節部130は、上側パネル13が閉位置にあるとき、第1前段空走部117内に位置している。第1従節部130は、ロッド103の左右方向の移動に伴い、第1カム溝116内を移動することで、第1カム溝116に案内されながら左右方向に移動する。
【0054】
第2従節部131は、ロッド103から下方に突出している。第2従節部131は、上述した第2連係部111に対応して左右方向に間隔をあけて設けられている。各第2従節部131は、対応する第2カムプレート120の第2カム溝122内に係合されている。第2従節部131は、可動パネル51が閉位置にあるとき、第2前段空走部123内に位置している。第2従節部131は、ロッド103の左右方向の移動に伴い、第2カム溝122内を移動することで、第2カム溝122に案内されながら左右方向に移動する。
【0055】
[作用]
次に、上述した展示ケース1の作用として、パネル11~13の開閉方法について説明する。以下の説明では、各パネル11~13が全て閉位置にある状態(各空間40~42が閉塞された状態)を初期状態とする。初期状態においては、係合装置59が下側横フレーム27(前側第2杆材24a)と係合しており、第2押込部121がアクチュエータ100の自己保持機能を有するため、可動パネル51の連係終了位置への移動(前方移動)が規制されている。
まず、
図1、
図2に示すように、各下側パネル12を開位置に移動させる。具体的には、下側パネル12を前方に引っ張る等することで、下側パネル12が下端部を支点にして前方に回動する。これにより、各下側パネル12が開位置となる。下側パネル12が開位置になると、下側横フレーム27やガイドレール56等が前方に露出するとともに、下側規制部12aが可動パネル51の移動軌跡から前方に退避する。
【0056】
続いて、係合装置59を操作して、可動パネル51と下側横フレーム27(前側第2杆材24a)との係合を解除する。
【0057】
図9~
図17は、開閉機構14の動作説明図である。
次に、
図9、
図12に示すように、開閉機構14を動作させる。まずアクチュエータ100を駆動させると、ロッド103が右側に移動する。これに伴い、第1従節部130が第1カム溝116内を移動し、第2従節部131が第2カム溝122内を移動する。具体的に、
図9~
図11に示すように、第1従節部130は、第1前段空走部117を通過した後、第1遷移部118を経て第1後段空走部119に到達する。第1従節部130は、第1遷移部118を通過する過程で、第1遷移部118の内面上を摺動することで、右側に向かうに従い第1カムプレート113を前方に向けて押し込む。これにより、第1カムプレート113を介して上側パネル13が前方に押し込まれる。すると、上側パネル13が上端部を支点に前方に向けて回動する。
【0058】
一方、
図10に示すように、第2従節部131は、第2前段空走部123を通過した後、第2遷移部124を経て第2後段空走部125に到達する。第2従節部131は、第2遷移部124を通過する過程で、第2遷移部124の内面上を摺動することで、右側に向かうに従い第2カムプレート120を前方に向けて押し込む。これにより、
図10、
図13、
図14に示すように、保持部127を介して上ローラ62が前後案内部55b内を前方に押し込まれることで、可動パネル51全体が前方に移動する。その後、上ローラ62が左右案内部55a内に進入することで、可動パネル51が停止する(連係終了位置)。なお、上ローラ62が左右案内部55a内に進入した時点で、可動レール56bは固定レール56aに接続される。
【0059】
ここで、本実施形態では、上側パネル13が閉位置から連係終了位置に移動した後、可動パネル51が移動を開始するように設定されている。具体的に、第1前段空走部117の距離が第2前段空走部123の距離よりも短くなっている。そのため、
図9に示すように、第1従節部130は、第2従節部131が第2遷移部124に進入するよりも早く第1遷移部118内に進入する。したがって、上側パネル13は、可動パネル51の移動に先立って前方への移動を開始する。なお、第2従節部131が第2前段空走部123内を移動する際、第2カムプレート120の前後方向の位置が変化しない。そのため、上側パネル13の移動中、可動パネル51は閉位置で維持される。
【0060】
上側パネル13の回動は、第1従節部130が第1後段空走部119に到達した時点で停止する。この際、上側パネル13は、少なくとも上側規制部13aが可動パネル51の移動軌跡から退避することで、筐体10に対する可動パネル51の前後方向の移動の規制が解除される。なお、本実施形態では、上側パネル13は、第1従節部130が第1後段空走部119に到達した時点で第1押込部114による前方への押し込みが終了し、上述した連係終了位置に到達する。
【0061】
図10に示すように、第1従節部130が第1後段空走部119内に進入した時点以降に第2従節部131が第2遷移部124内に進入する。第1従節部130が第1後段空走部119内を移動する際、第1カムプレート113の前後方向の位置が変化しないため、上側パネル13は連係終了位置で保持される。そのため、第2従節部131が第2遷移部124内を移動する過程では、上側パネル13が停止した状態で、可動パネル51のみが連係終了位置に向けて移動する。
【0062】
可動パネル51は、第2従節部131が第2後段空走部125に到達した時点で第2押込部121による前方への押し込みが終了し、上述した連係終了位置に到達する。
図11に示すように、可動パネル51が連係終了位置まで移動した後、各従節部130,131が対応するカム溝116,122の後段空走部119,125内を移動する。この際、上側パネル13及び可動パネル51は、それぞれ連係終了位置に維持される。その後、係合装置59を操作して、係合装置59と下側横フレーム27(前側第2杆材24a)とを係合させることで、可動レール56の前後方向の移動が規制される。
【0063】
なお、本実施形態では、第1従節部130が第1遷移部118に進入した位置し、かつ第2従節部131が第2前段空走部123内に位置している状態のロッド103の位置が第1位置の例である。また、第1従節部130が第1後段空走部119内に位置し、かつ第2従節部131が第2遷移部124に進入した状態のロッド103の位置が第2位置の例である。第1従節部130が第1後段空走部119に進入した状態(第1遷移部118を通過した状態)のロッド103の位置が第3位置の例である。
【0064】
続いて、可動パネル51を開位置に向けて移動させる。この際、例えば吸盤ハンドル等の工具をパネル本体60に取り付け、パネル本体60を右側に向けて引っ張る。すると、
図14、
図16に示すように、上ローラ62が第2押込部121(保持部127)から離脱し、左右案内部55a内を右側に移動するとともに、下ローラ64が可動レール56bを経て固定レール56a上を走行する。その結果、可動パネル51が固定パネル50に重なる位置まで移動し、展示開口部32が開放される。
【0065】
各パネル11~13を閉位置に戻す場合は、上述した開動作と逆の動作を行う。まずは、可動パネル51を連係終了位置まで戻し、上ローラ62を保持部127内に位置させる。その後、係合装置59を操作して、可動パネル51と下側横フレーム27(前側第2杆材24a)との係合を解除する。この状態で、アクチュエータ100を駆動させ、各従節部130,131を後段空走部119,125内から前段空走部117,123内まで移動させる。本実施形態では、第2後段空走部125の距離が第1後段空走部119よりも短くなっている。そのため、第2従節部131は、第1従節部130が第1遷移部118内に進入するよりも早く第2遷移部124内に進入する。そして、第2従節部131が第2遷移部124内を移動する過程で、第2カムプレート120の後方への移動に伴い、可動パネル51が連係終了位置から閉位置に移動する。なお、可動パネル51を閉位置に移動させた後、係合装置59を操作して、係合装置59と下側横フレーム27(前側第2杆材24a)とを係合させる。
【0066】
可動パネル51が閉位置に移動した後(第2従節部131が第2前段空走部123に到達した以降)、第1従節部130が第1遷移部118内に進入する。この際、上側パネル13は、第1カムプレート113から離間した状態にあるため、第1従節部130が第1遷移部118を移動する過程で、第1カムプレート113が上側パネル13と独立して後方に移動する。その後、上側パネル13や下側パネル12を閉位置に移動させる。これにより、各パネル11~13が閉位置に復帰する。
【0067】
なお、照明の調整やメンテナンス等のため上側パネル13を開位置に移動させてもよい。具体的には、上側パネル13が連係終了位置にある状態で、上側パネル13と可動パネル51との間に手等を差し入れ、上側パネル13を引き上げる。すると、上側パネル13が第1押込部114から離間し、上側パネル13が上端部を支点にして前方に回動する。これにより、上側空間42が開放される。
【0068】
このように、本実施形態では、ロッド103の左右方向の移動に伴い、上側パネル13及び可動パネル51を閉位置から連係終了位置に向けて前方に移動させる構成とした。
この構成によれば、上側パネル13及び可動パネル51の開操作時において、上側パネル13に直接アクセスすることなく、上側パネル13及び可動パネル51を連係終了位置まで移動させることができる。これにより、各パネル13,51の開操作を行い易くなり、メンテナンス性を向上させることができる。
特に、本実施形態では、ロッド103が左右方向に移動する過程において、可動パネル51の移動開始に先立って上側パネル13の連係終了位置への移動を開始させることができる。これにより、上側パネル13及び可動パネル51の移動を同時に開始する場合に比べ、特に初動時に開閉機構14に掛かる負荷を低減できる。
【0069】
しかも、本実施形態では、ロッド103の左右方向の移動に伴い、上側パネル13及び可動パネル51を前後方向に移動させる構成とした。
この構成によれば、ロッド103の移動方向を各パネル13,51の移動方向と同一の前後方向にする場合に比べ、開閉機構14の前後方向の寸法を小さくできる。これにより、展示ケース1の小型化や展示ケース1内でのレイアウト性向上を図ることができる。
【0070】
本実施形態では、各従節部130,131が対応するカム溝116,122の内面を摺動するのに伴い、上側パネル13及び可動パネル51を前方に移動させる構成とした。
この構成によれば、各従節部130,131がカム溝116,122の内面を摺動するだけでパネル13,51を移動させることができるので、動作信頼性や耐久性に優れた安価な開閉機構14を提供できる。
【0071】
本実施形態では、上側パネル13が連係終了位置に到達した後に可動パネル51が移動を開始する構成とした。
この構成によれば、上側パネル13と可動パネル51とを別々のタイミングで動作させることで、上述した初動時に加え定常時(移動開始してから連携終了位置まで移動する間)においても、開閉機構14に掛かる負荷をより確実に軽減できる。これにより、開閉機構14の低コスト化や小型化等を図ることができる。
【0072】
本実施形態では、上側パネル13及び可動パネル51が閉位置にあるとき、上側パネル13の下端部が可動パネル51の上端部を前方から覆う構成とした。
この構成によれば、上側パネル13と可動パネル51との境界部分に隙間等が生じるのを抑制できる。しかも、上側パネル13と可動パネル51との重なり部分に開閉機構14を配置することで、開閉機構14が展示ケース1の外部から視認されるのを抑制できる。
【0073】
本実施形態では、可動パネル51が連係終了位置にあるとき左右方向にスライド可能な構成とした。
この構成によれば、可動パネル51を開位置まで移動させるにあたって、例えば前後方向に回動させる構成等に比べ、可動パネル51の移動量に対する展示開口部32の開口量を確保し易い。そのため、例えば展示ケース1等の比較的大きな可動パネル51であっても、開閉作業時の作業スペースを確保し易くなる。
【0074】
本実施形態では、上側パネル13が連係終了位置にあるとき、可動パネル51が連係終了位置から開位置までの移動軌跡上から退避する構成とした。
この構成によれば、上側パネル13が連係終了位置に移動することで、可動パネル51を固定パネル50と重なり合う位置まで移動させることができる。これにより、可動パネル51が開位置での展示開口部32の開口面積を確保できる。
【0075】
本実施形態では、上側パネル13が閉位置において上側空間42を視認不能とし、可動パネル51が閉位置において展示空間40を視認可能とする構成とした。
この構成によれば、例えば上側空間42に照明等を収容しつつ、展示空間40に展示物を収容できる。これにより、使い勝手に優れた展示ケース1を提供できる。
【0076】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
上述した実施形態では、開閉機構14がアクチュエータ100によって駆動する構成について説明したが、この構成に限られない。開閉機構14(ロッド103)は、手動で動作させてもよい。
上述した実施形態では、ロッド103が左右方向に移動する構成について説明したが、ロッド103に替えてベルトやチェーン等を左右方向に走行させる構成であってもよい。
【0077】
上述した実施形態では、上側パネル13及び可動パネル51の別々に動作させる構成について説明したが、この構成に限られない。上側パネル13及び可動パネル51は、少なくとも移動開始のタイミングさえずれていればよい。この場合、可動パネル51の移動終了のタイミングが上側パネル13の移動終了のタイミングより早くても遅くてもよい。
上述した実施形態では、上側パネル13及び可動パネル51の双方を連係終了位置まで移動させる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、上側パネル13が連係終了位置になったタイミングでロッド103の移動を停止させてもよい。この場合、可動パネル51を閉位置に維持した状態で、上側パネル13のみを連係終了位置から開位置まで移動させてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、上側パネル13が回動可能に構成され、可動パネル51がスライド可能に構成された場合を例にして説明したが、この構成に限られない。各パネル13,51の開閉方法は適宜変更が可能である。
また、上述した実施形態では、閉位置と開位置との間のうち、開位置以外の位置に連係終了位置を設定した場合について説明したが、連係終了位置が開位置と一致していてもよい。すなわち、上側パネル13及び可動パネル51が、開閉機構14によって閉位置から連係終了位置まで移動した後、さらに開位置まで移動させる構成について説明したが、この構成に限られない。上側パネル13及び可動パネル51は、開閉機構14によって閉位置から開位置まで移動する構成であってもよい。
上述した実施形態では、上側パネル13及び可動パネル51の一部同士が重なり合う構成について説明したが、この構成に限られない。上側パネル13及び可動パネル51は、互いに離間していてもよい。
【0079】
上述した実施形態では、カムプレート113,120の前後方向の移動量や移動速度が同一である構成について説明したが、この構成に限られない。カムプレート113,120の移動量や移動速度は、遷移部118,124の傾斜角度や距離等を変更させることで、任意に異ならせることができる。
上述した実施形態では、遷移部118,124を直線状に形成した場合について説明したが、遷移部118,124は円弧状等に形成してもよい。また、遷移部118,124の傾斜角度は、各空走部117,119間で一様な構成に限らず、各空走部117,119間で変化していてもよい。
上述した実施形態では、開閉機構14としてカム機構を例にして説明したが、この構成に限られない。開閉機構14は、例えばラックピニオン機構等を採用してもよい。
【0080】
上述した実施形態では、上側パネル13と可動パネル51とを開閉機構14を用いて動作させる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、下側パネル12と可動パネル51とを開閉機構14を用いて動作させてもよい。また、第1パネル(上側パネル13)及び第2パネル(可動パネル51)が上下方向に並んだ構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、第1パネル及び第2パネルは、前後方向や左右方向に並んで配置されていてもよい。
上述した実施形態では、透過パネル11が2枚のパネル50,51からなる構成について説明したが、この構成に限られない。例えば透過パネル11は、3枚以上のパネルにより構成されていてもよい。この場合、可動パネル51は、透過パネル11の配列方向の端部を構成していてもよく、中央部を構成していてもよい。例えば可動パネル51が透過パネル11の中央部を構成している場合には、連係終了位置にある状態から左右方向の何れの方向にスライドできるようにしてもよい。また、透過パネル11が4枚以上の場合等は、配列方向の両端部を固定パネル50により構成し、配列方向の中央部を複数の可動パネル51により構成する等、パネルのレイアウトは適宜変更が可能である。
上述した実施形態では、連係部110,111が左右方向に並んだ構成について説明したが、この構成に限られない。連係部110,111は、上下方向に並んでいてもよい。
上述した実施形態では、第1パネル及び第2パネルが平板状である構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、第1パネルや第2パネルは、第1方向に並ぶとともに、第1方向から見て第1方向に交差する方向に凸の円弧状に形成されていてもよい。この場合、第1パネル及び第2パネルの周方向が第2方向となる。
上述した実施形態では、本発明に係る什器を展示ケース1に採用した場合について説明したが、この構成に限られない。例えば棚や抽斗、ロッカー等の他の什器に本発明に係る構成を採用してもよい。
上述した実施形態では、可動パネル51の直状に上側パネル13が配置された構成について説明したが、この構成に限られない。上側パネル13は、可動パネル51に対して左右方向にずれて配置されていてもよい。
【0081】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…展示ケース(什器)
10…筐体
13…上側パネル(第1パネル)
14…開閉機構
32…展示開口部(第2開口部)
33…上側開口部(第1開口部)
50…固定パネル(第3パネル)
51…可動パネル(第2パネル)
110…第1連係部
111…第2連係部
116…第1カム溝(第1案内部)
117…第1前段空走部(第1空送部)
118…第1遷移部
122…第2カム溝(第2案内部)
123…第2前段空走部(第2空走部)
124…第2遷移部
130…第1従節部
131…第2従節部