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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】水中油型組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240527BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240527BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/06
A61K8/19
A61K8/365
A61K8/37
A61Q17/04
A61K8/39
A61K8/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020062651
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161049
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100147865
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 美和子
(72)【発明者】
【氏名】白岩 由梨
(72)【発明者】
【氏名】大谷 紘平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 阿美
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-064943(JP,A)
【文献】特開2019-064945(JP,A)
【文献】特開2014-080377(JP,A)
【文献】特開2005-272389(JP,A)
【文献】特開2013-136569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~成分(F);
成分(A)(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー
成分(B)シリコーン処理酸化亜鉛、有機チタネート処理剤処理酸化亜鉛、及びアシル化アミノ酸処理剤処理酸化亜鉛から選択される少なくとも一つの疎水化処理酸化亜鉛
成分(C)ポリヒドロキシステアリン酸
成分(D)オキシエチレンの平均付加モル数が10~80モルのポリオキシエチレンヒマシ油
成分(E)25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤
成分(F)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
を含有し
成分(A)の含有量が0.1~5質量%であり、
成分(B)の含有量が5~15質量%であり
成分(C)の含有量が0.01~3質量%であり、
成分(E)の含有量が0.1~10質量%であり、
成分(F)の含有量が0.15~15質量%であり、
成分(B)と成分(C)の含有質量割合(B)/(C)が1.6~150である水中油型組成物。
【請求項2】
前記成分(D)が二種以上である請求項1に記載の水中油型組成物。
【請求項3】
前記成分(A)と前記成分(D)の含有質量割合(A)/(D)は、0.16~20である請求項1または2に記載の水中油型組成物。
【請求項4】
前記成分(D)と前記成分(F)の含有質量割合(D)/(F)は、0.01~15である請求項1~3のいずれかの項に記載の水中油型組成物。
【請求項5】
前記成分(C)及び前記成分(D)以外の界面活性剤の含有量が0.6質量%以下である、請求項1~4のいずれかの項に記載の水中油型組成物。
【請求項6】
成分(G)として、前記成分(F)以外の25℃における液状油を含有する請求項1~5のいずれかの項に記載の水中油型組成物。
【請求項7】
前記成分(G)と前記成分(D)の含有質量割合(G)/(D)は、1~50である請求項6に記載の水中油型組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関し、さらに詳細には、水中油型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な組成物の開発が行われている。水中油型組成物として、例えば、ファンデーションや日焼け止め料ではUVA(波長320~400nmの長波長紫外線)、UVB(波長290~320nmの中波長紫外線)から肌を守るような高い紫外線防御能を有する水中油型組成物等がある。さらに、紫外線防御能を有しつつ、様々な使用シーンを想定し、化粧膜が水や汗等によって流れ落とされないよう、耐水性にも優れる水中油型組成物等がある(特許文献1等)。
【0003】
しかし、25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤を含有し、SPF効果や耐水性には優れるものの、含有する高分子や油剤の種類によっては、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、及びべたつきの無さに優れず、使用性に劣る場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-136569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤を含有しつつ、SPF効果や耐水性に優れ、さらに、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性及びべたつきの無さに優れる水中油型組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは水中油型組成物において、酸化亜鉛を高濃度配合すると、25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤を含有する油相中での粉体分散性不良や、乳化工程で油中水型へと転相し、水中油型組成物を得ることができないという問題に直面した。
かかる実情に鑑み、本発明者らは検討を行ったところ、酸化亜鉛として、疎水化処理酸化亜鉛を特定量含有し、疎水化処理酸化亜鉛に対してポリヒドロキシステアリン酸を特定質量比率で含有し、さらにメトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ポリオキシエチレンヒマシ油及び(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマーを含有することで、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性に優れつつ、べたつきの無さといった使用性、SPF効果、および、耐水性に優れた水中油型組成物を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は以下を提供する。
[1]
以下の成分(A)~成分(F);
成分(A)(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー
成分(B)疎水化処理酸化亜鉛
成分(C)ポリヒドロキシステアリン酸
成分(D)ポリオキシエチレンヒマシ油
成分(E)25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤
成分(F)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
を含有し、
成分(B)の含有量が5~15質量%であり、
成分(B)と成分(C)の含有質量割合(B)/(C)が1.6~150である水中油型組成物。
[2]
前記成分(D)のオキシエチレンの平均付加モル数は、10~100モルである[1]に記載の水中油型組成物。
[3]
前記成分(A)と前記成分(D)の含有質量割合(A)/(D)は、0.16~20である[1]または[2]
に記載の水中油型組成物。
[4]
前記成分(D)と前記成分(F)の含有質量割合(D)/(F)は、0.01~15である[1]~[3]のいずれかの項に記載の水中油型組成物。
[5]
前記成分(C)及び前記成分(D)以外の界面活性剤を実質的に含有しない[1]~[4]のいずれかの項に記載の水中油型組成物。
[6]
成分(G)として、前記成分(F)以外の25℃における液状油を含有する[1]~[5]のいずれかの項に記載の水中油型組成物。
[7]
前記成分(G)と前記成分(D)の含有質量割合(G)/(D)は、1~50である[1]~[6]のいずれかの項に記載の水中油型組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性に優れつつ、べたつきの無さといった使用性、SPF効果、および、耐水性に優れた水中油型組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
【0010】
本発明に用いられる成分(A)は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマーである。
【0011】
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマーは、ベヘニルアルコールのポリエチレングリコールエーテルとメタクリル酸とのエステル、およびアクリル酸、メタクリル酸またはそれらの単純エステルの中から選ばれた1種以上のモノマーからなる共重合体である。ベヘニルアルコールのポリエチレングリコールエーテルとしては、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さといった使用性の点で、ベヘネス-25が好ましい。
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマーとして、Novethix L-10(Lubrizol Advanced Materials社製)、ACULYN 28(ダウ・ケミカルグループ社製)等の市販品を用いることができる。
【0012】
本発明において、成分(A)を含有しない場合、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さといった使用性、SPF効果、または、耐水性に優れない場合がある。
【0013】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点から、水中油型組成物中の5質量%(以下単に「%」と略す)以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1.5%以下であることがさらにより好ましく、1.2%以下であることが特に好ましい。
【0014】
本発明における成分(A)の含有量は、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点から、水中油型組成物中の0.1%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、0.3%以上であることが特に好ましい。
【0015】
本発明に用いられる成分(B)は、疎水化処理酸化亜鉛である。
【0016】
疎水化処理酸化亜鉛は、特に限定されないが、白浮きの低減、SPF効果、耐水性の点から、平均粒子径が1nm~1μmであることが好ましく、3nm~100nmであることがより好ましく、5nm~30nmであることがより好ましい。
本発明において平均粒子径は、レーザー散乱式粒度分布計(HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径(D50)として測定する。
【0017】
成分(B)の酸化亜鉛の形状としては、例えば粒状、球状、紡錘状、樹枝状、バルーン状等が挙げられ、白浮きの低減、SPF効果、耐水性の点から、粒状、球状、紡錘状であることが好ましい。
【0018】
本発明において、疎水化処理を施す酸化亜鉛は市販品として入手可能である。酸化亜鉛としては、例えば、FINEXシリーズ(堺化学社製)、MZシリーズ(テイカ社製)等の市販品を用いることができる。
【0019】
酸化亜鉛としては、白浮きの低減、SPF効果、耐水性の点から、鉄、ジルコニウム、マグネシウム等の2価以上の金属を、酸化亜鉛に対して0.5~3.0%含有した粉体を用いてもよい。
【0020】
成分(B)の疎水化処理剤としては、通常化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる疎水化処理剤であれば特に制限はなく、例えば、シリコーン処理剤、フッ素処理剤、有機チタネート処理剤、金属石鹸処理剤、レシチン処理剤、アミノ酸処理剤、アシル化アミノ酸処理剤などが挙げられる。製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、SPF効果、耐水性の点で、シリコーン処理剤、有機チタネート処理、金属石鹸処理剤、アシル化アミノ酸処理が好ましい。
【0021】
具体的には、シリコーン処理剤としては、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン類、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン等の変性シリコーン類、トリメチルシロキシケイ酸やアクリル-シリコーングラフト共重合体等のシリコーン樹脂類、シリコーンゴム類、部分又は全架橋オルガノポリシロキサン類、シリル化剤類、シランカップリング剤類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
シランカップリング剤の中でも、トリアルコキシアルキルシランが好ましい。トリアルコキシアルキルシランは、ケイ素原子に三つのアルコキシ基と一つのアルキル基が結合した化合物であり、該アルコキシ基が粉体表面の水酸基等と反応することにより、粉体表面を化学的に修飾する化合物である。該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルコキシ基は、炭素数1~3のアルコキシ基であるメトキシ、エトキシ、プロポキシ等が好ましい。また、該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルキル基は、炭素数6~18のアルキル基であるヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が好ましい。このようなトリアルコキシアルキルシランは、例えば、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシオクチルシラン(OTS)、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシラン等が挙げられる。これらの中でも、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、SPF効果、耐水性の点から、トリメトキシオクチルシラン、トリエトキシオクチルシラン(OTS)がより好ましい。
【0023】
具体的には、有機チタネート処理剤としては、長鎖カルボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネート等が挙げられ、炭素数8~24のアルキル基を有するアルキルチタネートが好ましい。前記アルキルチタネートは、具体的には、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートとして、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、ピロリン酸型アルキルチタネートとして、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、亜リン酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ、アミノ酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(N-アミドエチル・アミノエチル)チタネート等が挙げられる。本発明においては、これらアルキルチタネートの中でも、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、SPF効果、耐水性の点から、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートが好ましく、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(ITT)がより好ましい。
【0024】
具体的には、金属石鹸処理剤としては、脂肪酸やその金属塩等が挙げられ、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果の点から、脂肪酸の炭素数が12~18のものが好ましく、またそれらの塩としては、例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム等が挙げられ、特にアルミニウム塩が好ましい。金属石鹸処理剤としては、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性の点から、ステアリン酸アルミニウム、イソステアリン酸アルミニウム、ジステアリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ミリスチン酸アルミニウム及びジミリチン酸アルミニウムからなる群から選択される一種以上が好ましく、ステアリン酸アルミニウム及びイソステアリン酸アルミニウムからなる群から選択される一種以上がより好ましく、高温での経時乳化安定性、耐水性の点から、ステアリン酸アルミニウムがさらにより好ましい。
【0025】
具体的には、アミノ酸処理としては、例えば、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられ、これらの塩が含まれる。
【0026】
具体的には、アシル化アミノ酸処理のアシル基を構成する脂肪酸としては、炭素数1~23の脂肪酸が好ましく、炭素数8~20の脂肪酸がより好ましく、なかでも、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン及びラウロイルリジンからなる群から選択される一種以上がさらに好ましい。これらの塩としては、Na、Ca、Al、Mg、Zn、Zr、Ti塩が挙げられる。アシル化アミノ酸処理としては、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、SPF効果、耐水性の点から、ラウロイルリジンが好ましい。
【0027】
成分(B)における表面処理の方法は特に制限はなく、通常公知の方法で製造できる。例えば、溶媒に疎水化処理剤と処理を施される粉体粒子を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の疎水化処理粉体を得ることができる。また、表面処理剤である数種類の化合物を同時に表面処理することもでき、何れか一つの化合物で予め表面処理をしてから、更に他の化合物を表面処理することもできる。
【0028】
成分(B)における疎水化処理剤の質量は、特に制限はないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点で、処理前の粉体質量に対して40%以下であることが好ましく、35%以下であることがより好ましく、30%以下であることがさらにより好ましい。
【0029】
成分(B)における疎水化処理剤の質量は、特に制限はないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点で、処理前の粉体質量に対して2%以上であることが好ましく、4%以上であることがより好ましく、6%以上であることがさらにより好ましい。
【0030】
本発明において、成分(B)の含有量は、水中油型組成物中、5~15%である。
【0031】
本発明において、成分(B)の含有量が、水中油型組成物中の5%未満であると、SPF効果、耐水性に優れない場合がある。本発明において、成分(B)の含有量が、水中油型組成物中の15%を超えると、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性に優れつつ、べたつきの無さに優れない場合がある。
【0032】
本発明における成分(B)の含有量は、水中油型組成物中、5~15%であれば、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点から、水中油型組成物中の14%以下であるであることが好ましく、12%以下であることがより好ましく、11%以下であることがさらにより好ましい。
【0033】
本発明における成分(B)の含有量は、水中油型組成物中、5~15%であれば、特に限定されないが、SPF効果、耐水性の点から、水中油型組成物中の6%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、8%以上であることがさらにより好ましい。
【0034】
本発明に用いられる成分(C)は、ポリヒドロキシステアリン酸である。ポリヒドロキシステアリン酸は、水酸基を有するヒドロキシステアリン酸の重合物である。本発明において、成分(B)の分散性・安定性、耐水性を向上する点で、成分(C)のヒドロキシステアリン酸の水酸基は12位が好ましく、また、ヒドロキシステアリン酸の重合度は3~12が好ましく、重合度4~8が更に好ましい。成分(C)として、サラコスHS-6C(日清オイリオグループ社製)等の市販品を用いることができる。
【0035】
本発明において、成分(C)を含有しない場合、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さといった使用性、SPF効果、または、耐水性に優れない場合がある。
【0036】
本発明における成分(C)の含有量は、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性の点から、水中油型組成物中の3%以下が好ましく、1.5%以下がより好ましく、1.2%以下がさらにより好ましい。
【0037】
(C)の含有量は、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さの点から、水中油型組成物中の0.01%以上が好ましく、0.1%以上がより好ましく、0.5%以上がさらにより好ましい。
【0038】
本発明における成分(B)と成分(C)の含有質量割合(B)/(C)は、1.6~150である。
【0039】
含有質量割合(B)/(C)が1.6未満であると、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、耐水性に優れない場合がある。含有質量割合(B)/(C)が150を超えると、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性に優れない場合がある。
【0040】
含有質量割合(B)/(C)は、1.6~150であれば、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さの点から、5~15であることが好ましく、さらに製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点で、8~12であることがより好ましい。
【0041】
本発明に用いられる成分(D)は、ポリオキシエチレンヒマシ油である。
【0042】
成分(D)は、ヒマシ油または水素添加ヒマシ油(硬化ヒマシ油)に酸化エチレンを付加させたもの、あるいはさらに脂肪酸を付加させた界面活性剤である。製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点から、成分(D)のオキシエチレンの平均付加モル数は、好ましくは10~100モル、より好ましくは10~80モルである。具体的には、ポリオキシエチレン(10~80E.O.)ヒマシ油、ポリオキシエチレン(10~80E.O.)硬化ヒマシ油、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(10~80E.O.)硬化ヒマシ油、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(10~80E.O.)硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(10~80E.O.)硬化ヒマシ油等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。また、市販品としては、例えば、ニッコールCOシリーズ、ニッコールHCOシリーズ(以上、日光ケミカルズ社製)、エマレックスRWLシリーズ、エマレックスRWISシリーズ(以上、日本エマルジョン社製)等が挙げられる。成分(D)としては、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点から、オキシエチレンの平均付加モル数10であるポリオキシエチレンヒマシ油及びオキシエチレンの平均付加モル数80であるポリオキシエチレンヒマシ油の両方を含有することが好ましい。
【0043】
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性の点から、水中油型組成物中の5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1.8%以下であることがさらにより好ましく、1.5%以下であることが特に好ましい。
【0044】
本発明における成分(D)の含有量は、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点から、水中油型組成物中の0.1%以上であることが好ましく、0.3%以上であることがより好ましく、0.4%以上であることがさらにより好ましく、0.5%以上であることが特に好ましい。
【0045】
本発明における成分(E)は、25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤である。
【0046】
25℃で固体の油溶性紫外線吸収剤としては、化粧料、医薬部外品、医薬品等に含有され得るものであれば良く、水に不溶性で油に難溶性の紫外線吸収剤から選択するのが好ましい。ここで、25℃で固体とは、25℃において流動性を有さないものをいい、融点が30℃以上のものであることが好ましく、融点が40℃以上のものであることがより好ましい。
【0047】
成分(E)として、好ましくは、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン等を挙げることができる。
さらに、耐水性、SFP効果の点から、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン及び4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンからなる群から選択される一種以上がより好ましく、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンの両方を含有することがさらにより好ましい。
【0048】
成分(E)は、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステルとしてユビナールAplus(BASF社製)、2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジンとして、チノソーブS(BASF社製)、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジンとして、ユビナールT-150(BASF社製)、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンとして、パルソール1789(DSM社製)等の市販品を用いることができる。
【0049】
本発明において、成分(E)を含有しない場合、SPF効果、耐水性に優れない場合がある。
【0050】
本発明における成分(E)の含有量は、特に限定されないが、SPF効果、耐水性の点から、水中油型組成物中の10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、7%以下であることがさらにより好ましい。
【0051】
本発明における成分(E)の含有量は、特に限定されないが、SPF効果、耐水性の点から、水中油型組成物中の0.1%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、3%以上であることがさらにより好ましい。
【0052】
本発明における成分(F)は、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルである。メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、オクチルメトキシシンナメートと称され得る。成分(F)としては、パルソールMCX(DSM社製)等の市販品を用いることができる。
【0053】
本発明において、成分(F)を含有しない場合、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性に優れない場合がある。
【0054】
本発明における成分(F)の含有量は、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さといった使用性の点から、水中油型組成物中の15%以下であるであることが好ましく、12%以下であることがより好ましく、11%以下であることがさらにより好ましい。
【0055】
本発明における成分(F)の含有量は、特に限定されないが、SPF効果、耐水性の点から、水中油型組成物中の0.15%以上であることが好ましく、0.5%以上であることがより好ましく、3%以上であることがさらにより好ましい。
【0056】
本発明における成分(A)と成分(D)の含有質量割合(A)/(D)は、特に限定されないが、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、耐水性の点から、20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、10以下であることがさらにより好ましく、3.5以下であることがさらにより好ましく、0.7以下であることが特に好ましい。
【0057】
本発明における成分(A)と成分(D)の含有質量割合(A)/(D)は、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性の点から、0.16以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.22以上であることがさらにより好ましく、0.3以上であることが特に好ましい。
【0058】
本発明における成分(D)と成分(F)の含有質量割合(D)/(F)は、特に限定されないが、SPF効果、耐水性の点から、15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、0.3以下であることがさらにより好ましく、0.2以下であることが特に好ましい。
【0059】
本発明における成分(D)と成分(F)の含有質量割合(D)/(F)は、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さの点から、0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることがより好ましく、0.06以上であることがさらにより好ましく、0.1以上であることが特に好ましい。
【0060】
本発明においては、さらに成分(G)として、成分(F)以外の25℃における液状油を含有することができる。成分(F)以外の25℃における液状油を含有することが必須ではないものの、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さの点から、含有することが好ましい。25℃で液状とは、25℃において流動性を有するものをいう。
【0061】
成分(G)として、成分(F)以外の25℃における液状油は、特に限定されないが、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン(ミネラルオイル)、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン等の炭化水素類;アブラナ種子油、アボカド油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、オリーブ油、キウイ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、セージ油、大豆油、チャ種子油、トウモロコシ油、ナタネ油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ブドウ種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油等の動植物油;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル(デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10)、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット、炭酸ジアルキル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、安息香酸アルキル(C12-15)等のエステル類;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類;オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール、2-デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール等の高級アルコール類;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン等のシリコーン油類;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類;酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;サリチル酸エチルヘキシル等の液状の紫外線吸収剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0062】
成分(G)としては、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さの点から、成分(F)以外の25℃における液状エステル類であることが好ましい。さらに、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さの点から、成分(G)は、ジカプリン酸プロピレングリコール、イソノナン酸イソトリデシル、2-エチルヘキサン酸セチル及び安息香酸アルキル(C12-15)からなる群から選択される一種以上であることがより好ましい。
【0063】
成分(G)として、成分(F)以外の25℃における液状油の粘度は、特に限定されないが、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さの点から、25℃において7000mPa・s以下であることが好ましく、5000mPa・s以下であることがより好ましい。ここで粘度は、25℃においてB型粘度計でローターNo.2を用いて測定した値である。
【0064】
本発明における成分(G)と成分(D)の含有質量割合(G)/(D)は、特に限定されないが、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さの点から、50以下であることが好ましく、17以下であることがより好ましく、12以下であることがさらにより好ましく、5以下であることがさらにより好ましい。
【0065】
本発明における成分(G)と成分(D)の含有質量割合(G)/(D)は、特に限定されないが、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さの点から、1以上であることが好ましく1.6以上であることがより好ましく、2.5以上であることがさらにより好ましく、3以上であることがさらにより好ましい。
【0066】
本発明の水中油型組成物には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料、医薬部外品、医薬品等の使用される成分、すなわち上記成分以外である、水、界面活性剤、油剤、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、溶接化合物、保湿剤、抗菌剤、香料、消臭剤、塩類、キレート剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、清涼剤、植物抽出物、ビタミン類、上記以外のアミノ酸当の美容成分等を含有できる。
【0067】
本発明における水中油型組成物は、水を含有し得るが、化粧料、医薬部外品、医薬品等に含有され得るものであれば良く、特に制限されない。水としては、精製水、温泉水、深層水、あるいは植物の水蒸気蒸留水でもよく、必要に応じて1種以上を適宜選択して用いることができる。また含有量は、特に限定されず、適宜、他の成分量に応じて含有することができるが、水中油型組成物中の概ね50~70%で含有することができる。
【0068】
本発明における水中油型組成物は、成分(C)及び成分(D)以外の界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、アニオン性界面活性剤として、ポリオキシレンラウリルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸等、両性界面活性剤として、酢酸ベタイン型界面活性剤、イミダゾリン型界面活性剤等、カチオン性界面活性剤として、アルキルアミン塩等、ノニオン性界面活性剤として、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0069】
本発明における水中油型組成物は、成分(C)及び成分(D)以外の界面活性剤は、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性の点から、水中油型組成物中に実質的に含有しないことが好ましい。すなわち、成分(C)及び成分(D)の両方を除いた界面活性剤を実質的に含有しないことが好ましい。成分(C)及び成分(D)以外の界面活性剤は、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性の点から、水中油型組成物中に0.6%以下であることがより好ましく、0.3%以下であることがさらにより好ましく、0%であることが特に好ましい。
【0070】
本発明の水中油型組成物は、例えば液状、乳液状、クリーム状、固形状、ゲル状、ペースト状等、種々な形態にて実施することができる。乳液、クリーム、美容液、リップクリーム、日焼け止め料などのスキンケア化粧料、ファンデーション、メイクアップ下地、ほほ紅、アイシャドウ、口紅、リップグロス等のメイクアップ化粧料、ヘアリンス、ヘアクリーム、整髪料等の頭皮又は毛髪用の化粧料等、種々の化粧料にて実施することができる。この中でも、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性の点から、日焼け止め料であることが好ましい。また、その使用方法は、手や指、コットンで使用する方法、不織布等に含浸させて使用する方法、噴霧剤、エアゾール剤として使用する方法等が挙げられる。
【実施例
【0071】
以下、実施例等を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制限されるものではない。
【0072】
[実施例1~25及び比較例1~23:日焼け止め料]
表1~4に示す組成および下記製造方法にて日焼け止め料を調製した。得られた日焼け止め料について、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性を下記の方法により評価し、結果と併せて表1~4に示した。
【0073】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0074】
(製造方法)
A:成分34~37の内の20%及び成分6~24を混合し、ローラーをかける。
B:Aを成分34~37の残量及び成分31~33に、70℃で均一に分散する。
C:成分1~5、成分25~30及び成分36を70℃で均一に分散する。
D:CにBを入れ、均一に分散する。
E:Eを室温に冷却して、日焼け止め料を得た。
【0075】
(評価方法:(a)製造直後の乳化状態
各試料の製造直後の分離状態を観察し、下記(a)4段階評価基準にて4段階評価し、製造直後の乳化状態を判定した。
(a)4段階評価基準
(評価) :(判定)
分離が無くキメがかなり良い : ◎
分離がほとんどなく、キメが良い: ○
少し分離し、キメが少し悪い : △
はっきりと分離し、キメが悪い : ×
【0076】
(評価方法:(b)高温での経時乳化安定性)
各試料を、ガラス製の規格びんに入れ、50℃の恒温槽に1ヶ月間保管し、1ヵ月後の状態を、下記(b)4段階評価基準にて4段階評価し、高温での経時乳化安定性を判定した。
(b)4段階評価基準
(評価) :(判定)
外観の変化は全くみられない :◎
外観の変化はほとんどみられない :○
若干の分離、キメが悪く、ブツがみられる :△
分離、キメが非常に悪く、ブツがみられる :×
【0077】
(評価方法:(c)べたつきの無さ)
各試料を、専門評価パネル20名に、前腕に塗布してもらい、使用時のべたつきの無さについて、下記(c1)4段階評価基準にて4段階評価し、以下の(c2)判定基準に基づいてべたつきの無さを判定した。
(c1)4段階評価基準
(評価) :(評点)
べたつきが全く無い :4点
べたつきがほとんど無い :3点
べたつきがある :2点
べたつきが非常にある :1点
(c2)判定基準
[評点の平均点] :[判定]
3.25以上 : ◎
2.5以上3.25未満 : ○
1.75以上2.5未満 : △
1.75未満 : ×
【0078】
(評価方法:(d)SPF効果)
各試料を、PMMA板(Labsphere社製 HELIOPLATE HD6)に2mg/cm塗布後、20分静置したサンプルについて、SPFアナライザー(Labsphere社製 UV-2000S)を用いたSPF測定を行い、前期プレート上を10点測定し、得た平均値を下記(d)4段階評価基準にて4段階評価し、SPF効果を判定した。
(d)4段階評価基準
<判定基準>:
[評点の平均点] :[判定]
25以上 : ◎
20以上25未満 : ○
10以上20未満 : △
10未満 : ×
【0079】
(評価方法:(e)耐水性)
各試料を、PMMA板(Labsphere社製 HELIOPLATE HD6)に2mg/cm塗布後、20分静置したサンプルについて、SPFアナライザー(Labsphere社製 UV-2000S)を用いたSPF測定を行い、水浴前SPF値を測定した。次に水浴を行った。水浴条件は、35℃、2Lの水を貯めた容器側面にサンプルを貼り付け、容器中の水をパドルミキサを用いて300rpmで5分間、攪拌する条件で行った。水浴完了後、20分間の静置乾燥させた後に、前記SPFアナライザーを用いて、水浴後SPF値を測定した。得られた水浴前後でのSPF値の割合(水浴後SPF測定値)/(水浴前SPF測定値)を元に、耐水性を下記(e)4段階評価基準にて4段階評価し判定した。
(e)4段階評価基準
[割合(水浴後SPF測定値)/(水浴前SPF測定値)] :[判定]
0.7以上 : ◎
0.5以上0.7未満 : ○
0.3以上0.5未満 : △
0.3未満 : ×
【0080】
表1~4の結果からも明らかなように、実施例1~25の日焼け止め料は、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性に優れていた。
一方、成分(A)を含有しない比較例1は、高温での経時乳化安定性、SPF効果、耐水性に劣る場合があった。
成分(A)を含有しない比較例2は、高温での経時乳化安定性、SPF効果、耐水性に劣る場合があった。
成分(A)を含有しない比較例3は、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性に劣る場合があった。
成分(A)を含有しない比較例4は、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、SPF効果、耐水性に劣る場合があった。
成分(A)を含有しない比較例5は、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、SPF効果、耐水性に劣る場合があった。
成分(B)の含有量が5%未満である比較例6は、耐水性に劣る場合があった。
成分(B)の含有量が15%を超える比較例7は、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さに劣る場合があった。
成分(C)を含有しない比較例8~16は、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性に劣る場合があった。
成分(D)を含有しない比較例17は、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さに劣る場合があり、成分(D)を含有しない比較例18、19は、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性に劣る場合があった。
成分(E)を含有しない比較例20は、耐水性に劣る場合があった。
成分(F)を含有しない比較例21は、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、耐水性に劣る場合があった。
含有質量割合(B)/(C)が1.6未満である比較例22は、べたつきの無さ、SPF効果に劣る場合があった。
含有質量割合(B)/(C)が150を超える比較例23は、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さ、SPF効果、耐水性に劣る場合があった。
【0081】
実施例26:クリーム
(成分) (%)
1. アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体 0.5
2. OTS処理酸化亜鉛・・・※9 10
3. ポリヒドロキシステアリン酸 1
4. トリラウレス-4リン酸 0.1
5. N-ステアロイル-N-メチルタウリンNa 0.5
6. TEA(トリエタノールアミン) 0.1
7. ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル 2
8. 2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}
-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン 3
9. メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 10
10. エチルヘキシルトリアゾン・・・※38 2
11. エチルヘキサン酸セチル 5
12. 精製水 残量
13. エタノール 7
14. ヒアルロン酸 0.15
15. トレハロース 0.05
16. カワラヨモギエキス 0.01
※38 UVINUL T150(日光ケミカルズ社製)
【0082】
(製造方法)
A:成分2~3および成分10を混合し、ローラーをかける。
B:Aを成分7~11に70℃で均一に分散する。
C:成分1、4、5、12および成分14~16を70℃で均一に分散する。
D:Cに成分6を加えて中和する。
E:DにBを入れ、均一に分散する。
F:Eを室温に冷却し、成分13を入れて、均一に分散することでクリームを得た。
【0083】
実施例26のクリームは、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さといった使用性、SPF効果、耐水性に優れた。
【0084】
実施例27:クリーム
(成分) (%)
1. (アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー 0.5
2. ステアリン酸・AL処理酸化亜鉛 10
3. ポリヒドロキシステアリン酸 1
4. (ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー・・・※39
0.5
5. メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール・・・※40
0.2
6. トリエチルヘキサノイン 1.2
7. トリラウレス-4リン酸 0.1
8. N-ステアロイル-N-メチルタウリンNa 0.5
9. TEA(トリエタノールアミン) 0.1
10. ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル

11. 2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}
-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン 3
12. メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 10
13. エチルヘキサン酸セチル 5
14. 精製水 残量
15. BG 0.5
16. エタノール 7
17. ヒアルロン酸 0.15
18. トレハロース 0.05
19. カワラヨモギエキス 0.01
※39 KSG-43(信越化学工業社製)
※40 K22-M40(大日本化成社製)
【0085】
(製造方法)
A:成分2~4および成分13を混合し、ローラーをかける。
B:Aを成分5、6、10~12に70℃で均一に分散する。
C:成分1、7、8、14、15および成分17~19を70℃で均一に分散する。
D:Cに9を加えて中和する。
E:DにBを入れ、均一に分散する。
F:Eを室温に冷却し、成分16を入れて、均一に分散することで乳化化粧料を得た。
【0086】
実施例27のクリームは、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さといった使用性、SPF効果、耐水性に優れた。
【0087】
実施例28:ジェル
(成分) (%)
1. アクリル酸・アクリル酸アルキル共重合体 0.5
2. ラウロイルリジン処理酸化亜鉛・・・※41 10
3. ポリヒドロキシステアリン酸 1
4. (ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー 0.5
5. メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール 0.2
6. トリエチルヘキサノイン 1.2
7. トリラウレス-4リン酸 0.1
8. N-ステアロイル-N-メチルタウリンNa 0.5
9. TEA(トリエタノールアミン) 0.1
10. ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルエステル

11. 2,4-ビス{[4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}
-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン 3
12. メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 10
13. エチルヘキサン酸セチル 5
14. イソヘキサデカン 3
15. 精製水 残量
16. グリセリン・・・※42 0.5
17. DPG・・・※43 3
18. エタノール 7
19. ヒアルロン酸 0.15
20. ナイアシンアミド 0.05
※41 酸化亜鉛はMZ-500(テイカ社製)を用い、ラウロイルリジン処理量は、酸化亜鉛の質量に対して20%とした。
※42 ECOCEROL(ECOGREEN OLEOCHEMICALS社製)
※43 DPG-RF(ADEKA社製)
【0088】
(製造方法)
A:成分2~4および成分13を混合し、ローラーをかける。
B:Aを成分5、6、10~12、14に70℃で均一に分散する。
C:成分1、7、8および成分15~20を70℃で均一に分散する。
D:Cに9を加えて中和する。
E:DにBを入れ、均一に分散する。
F:Eを室温に冷却し、成分18を入れて、均一に分散することでジェルを得た。
【0089】
実施例28のジェルは、製造直後の乳化状態、高温での経時乳化安定性、べたつきの無さといった使用性、SPF効果、耐水性に優れた。