(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】電子駐車券管理システム、センタサーバ、駐車場管理サーバ、および電子駐車券管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240527BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240527BHJP
【FI】
G06Q50/10
G07B15/00 L
(21)【出願番号】P 2020066619
(22)【出願日】2020-04-02
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓倉 陽介
(72)【発明者】
【氏名】中村 順一
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏至
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-209989(JP,A)
【文献】特開2019-020817(JP,A)
【文献】特開2013-073325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場
に設置される路側機と、
前記路側機に通信可能に接続されるセンタサーバと、
ユーザの購買情報を
管理するPOSシステムと、
前記ユーザにサービスを提供するサービス提供サーバとを具備し、
前記路側機は、
前記駐車場を入庫又は出庫する車両を特定する車両IDを検知する検知部と、
前記検知された車両IDを暗号化して暗号化情報を生成する暗号化部と、
前記暗号化情報を前記センタサーバに通知する通知部とを備え、
前記センタサーバは、
前記車両IDとユーザを特定するユーザIDとの対応を登録したデータベースと、
前記通知された前記暗号化情報を復号して前記車両IDを復元する復号部と、
前記データベースを参照して前記復元された車両IDに対応するユーザのユーザIDを特定する特定部と、
前記
特定部で特定されたユーザ
IDのユーザデバイスに
対し、
前記車両IDをコード化した電子駐車券情報を送信する送信部とを備え、
前記POSシステムは、
前記購買情報の取得に際して前記ユーザデバイスから前記
電子駐車券情報を読み取る読み取り部を備え、
前記サービス提供サーバは、
前記POSシステムで読み取られた前記電子駐車券情報と前記購買情報に基づいて、前記ユーザ毎に購買情報を管理する記録管理部と、
前記車両IDと前記ユーザ毎の購買情報から割引対象かを判定し、割引対象となる場合は割引金額を計算し、出庫する車両に対し駐車料金の精算金額を通知するサービス提供部とを備える、
電子駐車券管理システム。
【請求項2】
前記電子駐車券管理システムにおいて、
前記センタサーバは、
前記復号部で復元された車両IDに対応する駐車券管理番号を生成して、前記駐車券管理番号を前記車両IDおよび前記ユーザIDに対応付けて登録する生成部を更に備え、
前記送信部は、前記特定部で特定されたユーザIDのユーザの所持するユーザデバイスに、前記駐車券管理番号をコード化した電子駐車券情報を送信する、
請求項1記載の電子駐車券管理システム。
【請求項3】
前記電子駐車券管理システムは、前記路側機に通信可能に接続される駐車場管理サーバを更に備え、
前記路側機の通知部は、
前記暗号化部で暗号化された前記暗号化情報を、前記駐車場管理サーバに通知し、
前記駐車場管理サーバは、
前記路側機から通知された前記暗号化情報から対応する駐車券管理番号を生成する生成部と、
前記駐車券管理番号と前記暗号化情報とを前記センタサーバに通知する管理情報通知部とを備え、
前記センタサーバの送信部は、
前記特定されたユーザIDのユーザの所持するユーザデバイスに、前記駐車券管理番号をコード化した電子駐車券情報を送信する、
請求項1記載の電子駐車券管理システム。
【請求項4】
駐車場
に設置される路側機と、
前記路側機
と通信可能に接続される
駐車場管理サーバと、
ユーザの購買情報を取得するPOSシステムと、
前記ユーザにサービスを提供するサービス提供サーバとを具備し、
前記路側機は、
前記駐車場を入庫又は出庫する車両を特定する車両IDを検知する検知部と、
暗号化情報をセンタサーバに通知する通知部とを備え、
前記
駐車場管理サーバは、
車両IDとユーザIDとの対応を予め登録したデータベースと、
前記路側機から前記車両IDを取得する取得部と、
前記データベースを参照して、前記取得した車両IDに対応するユーザIDを特定する特定部と、
前記特定されたユーザ
IDのユーザのユーザデバイスに、
電子駐車券情報を送信する送信部とを備え、
前記POSシステムは、
前記購買情報の取得に際して前記ユーザデバイスから前記
電子駐車券情報を読み取る読み取り部を備え、
前記サービス提供サーバは、
前記POSシステムで読み取られた電子駐車券情報と前記購買情報に基づいて、前記ユーザ毎の購買
情報を管理する記録管理部と、
前記車両IDと前記ユーザ毎の購買情報から割引対象かを判定し、割引対象となる場合は割引金額を計算し、出庫する車両に対し駐車料金の精算金額を通知するサービス提供部とを備える、
電子駐車券管理システム。
【請求項5】
前記電子駐車券管理システムにおいて、
前記駐車場管理サーバは、
前記路側機から通知された車両IDから対応する駐車券管理番号を生成して、前記駐車券管理番号を前記車両IDおよび前記ユーザIDに対応付けて登録する生成部を更に備え、
前記送信部は、前記特定部で特定されたユーザIDのユーザの所持するユーザデバイスに、前記駐車券管理番号をコード化した電子駐車券情報を送信する、
請求項4記載の電子駐車券管理システム。
【請求項6】
駐車場に設置される路側機に通信可能に接続されるセンタサーバであって、
車両IDとユーザを特定するユーザIDとの対応を登録したデータベースと、
前記路側機から通知された暗号化情報を復号して前記車両IDを復元する復号部と、
前記データベースを参照して前記復元された車両IDに対応するユーザのユーザIDを特定する特定部と、
前記特定部で特定されたユーザIDのユーザデバイスに対し、前記車両IDをコード化した電子駐車券情報を送信する送信部と
を具備する、センタサーバ。
【請求項7】
前記復号部で復元された車両IDに対応する駐車券管理番号を生成して、前記駐車券管理番号を前記車両IDおよび前記ユーザIDに対応付けて登録する生成部を更に備え、
前記送信部は、前記特定部で特定されたユーザIDのユーザの所持するユーザデバイスに、前記駐車券管理番号をコード化した電子駐車券情報を送信する、
請求項6記載のセンタサーバ。
【請求項8】
駐車場に
設置される路側機とセンタサーバとに通信可能に接続される駐車場管理サーバであって、
前記路側機から通知された車両IDの暗号化情報から、当該車両IDに対応する駐車券管理番号を生成する生成部と、
前記駐車券管理番号と前記暗号化情報とを、前記路側機に通信可能に接続されるセンタサーバに通知する管理情報通知部と
を備える、駐車場管理サーバ。
【請求項9】
駐車場に設置される路側機と、前記路側機に通信可能に接続されるセンタサーバと、ユーザの購買情報を管理するPOSシステムと、前記ユーザにサービスを提供するサービス提供サーバとを具備する電子駐車券管理システムの電子駐車券管理方法であって、
前記路側機が、前記駐車場を入庫又は出庫する車両を特定する車両IDを検知する過程と、
前記路側機が、前記検知された車両IDを暗号化して暗号化情報を生成する過程と、
前記路側機が、前記暗号化情報を前記センタサーバに通知する過程と、
前記センタサーバが、前記車両IDとユーザを特定するユーザIDとの対応をデータベースに登録する過程と、
前記センタサーバが、前記通知された前記暗号化情報を復号して前記車両IDを復元する過程と、
前記センタサーバが、前記データベースを参照して前記復元された車両IDに対応するユーザのユーザIDを特定する過程と、
前記センタサーバが、前記特定されたユーザIDのユーザデバイスに対し、前記車両IDをコード化した電子駐車券情報を送信する過程と、
前記POSシステムが、前記購買情報の取得に際して前記ユーザデバイスから前記電子駐車券情報を読み取る過程と、
前記サービス提供サーバが、前記POSシステムで読み取られた前記電子駐車券情報と前記購買情報に基づいて、前記ユーザ毎に購買情報を管理する過程と、
前記サービス提供サーバが、前記車両IDと前記ユーザ毎の購買情報から割引対象かを判定し、割引対象となる場合は割引金額を計算し、出庫する車両に対し駐車料金の精算金額を通知する過程と
を備える、電子駐車券管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子駐車券管理システム、サーバ装置、およびサービス提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーやショッピングモール等で駐車場を利用すると、駐車料金がかかる。ただ、店舗で買い物をしたお客様には、例えば2時間に限って駐車料金を無料にしたり、買い物金額に応じて駐車料金を割り引きしたりするサービスは、良く知られている。この種のサービスを提供するにあたり、駐車場入り口のゲートで駐車券を発行し、出庫前に精算機で清算することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車券には、利用者特定情報としての番号などが磁気的に記録されている。事業者は、精算機等でこれを読み取ることで利用者(ユーザ)を特定し、割引サービスを提供することができる。しかしながらキャッシュレス決済の要請が高まるに伴い、紙媒体での駐車券から、実体のない電子駐車券を取り扱えるようにすることが求められている。
【0005】
電子駐車券は、便利である反面、セキュリティや個人情報の秘匿などに注意する必要がある。例えば、入庫車両とサービス対象のユーザとを確実に、かつ間違いなく関連付けることが求められる。また、既存の技術では、電子駐車券を管理するシステムをサービス事業者ごとに構築する必要があるので、コストの面でも検討の余地がある。さらに、キャッシュレス決済にとどまらない、多様なサービスを提供することのできるシステムが求められる。
【0006】
そこで、目的は、多様なサービスを提供することのできる電子駐車券管理システム、サーバ装置、およびサービス提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、電子駐車券管理システムは、駐車場に設置される路側機と、路側機に通信可能に接続されるセンタサーバと、ユーザの購買情報を管理するPOSシステムと、ユーザにサービスを提供するサービス提供サーバとを具備する。路側機は、検知部と、暗号化部と、通知部とを備える。検知部は、駐車場を入庫又は出庫する車両を特定する車両IDを検知する。暗号化部は、検知された車両IDを暗号化して暗号化情報を生成する。通知部は、暗号化情報をセンタサーバに通知する。センタサーバは、車両IDとユーザを特定するユーザIDとの対応を登録したデータベースと、復号部と、特定部と、送信部とを備える。復号部は、通知された暗号化情報を復号して車両IDを復元する。特定部は、データベースを参照して復元された車両IDに対応するユーザのユーザIDを特定する。送信部は、特定部で特定されたユーザIDのユーザデバイスに対し、車両IDをコード化した電子駐車券情報を送信する。POSシステムは、購買情報の取得に際してユーザデバイスから電子駐車券情報を読み取る読み取り部を備える。サービス提供サーバは、記録管理部と、サービス提供部とを備える。記録管理部は、POSシステムで読み取られた電子駐車券情報と購買情報に基づいて、ユーザ毎に購買情報を管理する。サービス提供部は、車両IDとユーザ毎の購買情報から割引対象かを判定し、割引対象となる場合は割引金額を計算し、出庫する車両に対し駐車料金の精算金額を通知する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示すシステム図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される電子駐車券管理システムの、店舗との連携について説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示されるシステムでの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、
図4に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、
図6に示されるシステムでの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、
図7に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図10】
図10は、
図9に示されるシステムでの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】
図11は、
図10に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係わる電子駐車券管理システムの他の例を示すシステム図である。
【
図13】
図13は、
図12に示される電子駐車券管理システムの、店舗との連携について説明するための図である。
【
図14】
図14は、第4の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図16】
図16は、
図15に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。
【
図17】
図17は、第5の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図19】
図19は、
図18に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。
【
図20】
図20は、路側機40と駐車場管理サーバ30とを直接的に接続したシステムの一例を示す図である。
【
図21】
図21は、駐車場と店舗とが、異なる事業体により運営されているケースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態では、有料駐車場を利用したユーザに、関連する店舗等で買い物をした履歴に応じて料金割引などのサービスを提供するシステムについて説明する。駐車場を利用するのは自家用車に限られない。つまり、複数人で車両を共用する、いわゆるカーシェアリングサービスが近年、知られるようになってきており、実施形態ではそのような形態も想定する。この種のサービスはMaaS(Mobility as a Service)と称され、車両を含む各種の移動手段(4輪車、自動2輪車、自転車、あるいは公共交通機関など)は私有、共有を問わずモビリティと総称される。
【0010】
<第1の構成>
第1の構成では、店舗内の販売管理システムと、店舗とは独立したセンタシステムとが連携するシステムについて説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示すシステム図である。このシステムは、駐車場のゲートに設置される路側機40と、この路側機40と通信可能に接続される駐車場管理サーバ30とを備える。さらに、
図1のシステムは、駐車場管理サーバ30を介して路側機40と通信可能に接続されるセンタサーバ200を備える。
【0012】
センタサーバ200は、クラウド100に形成される物理的、あるいは仮想的なサーバであり、データベース300にアクセス可能である。クラウド100は移動通信網400に接続される。センタサーバ200は、クラウド100から例えば移動通信網400の基地局50を経由して、ユーザの所持するユーザデバイス10と通信することができる。あるいは、センタサーバ200は、Wi-Fi(登録商標)に代表される無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントを経由して、ユーザデバイス10と相互に通信することも可能である。アクセスポイントは、店舗の内外に設置されている既存のインフラを利用することができる。
【0013】
ユーザの搭乗するモビリティ20は、車載器21を備える。車載器21は、モビリティ20を識別するための、固有の車載器ID(IDentification:識別子)を予め記憶する。路側機40は、モビリティ20が駐車場のゲートを通って入庫する際に車載器21と通信し、車載器IDを検知してその内容を読み取る。ここで、路側機40は、例えばDSRC(dedicated short-range communications)機能を搭載したETC(electronic toll collection)用の装置であって良い。
【0014】
車載器IDは、例えばWCN(wireless call number)、または車載器管理番号などである。実施形態では、車載器IDを、モビリティ20を識別するための車両IDと称して説明する。このほか、ナンバープレートに記載された車両番号、あるいは、自動車登録番号などの識別情報も、車両IDとして利用可能である。
【0015】
路側機40は、検知した車両IDを鍵情報を用いて暗号化し、センタサーバ200に送信する。センタサーバ200もこの鍵情報に対応する鍵情報を有しており、センタサーバ200は、暗号化された車両IDを復号する。これにより、駐車場管理サーバ30や中間の経路上で車両IDが読み取られたり、データを中抜きされたりすることを防止できる。
【0016】
図2は、
図1に示される電子駐車券管理システムの、店舗との連携について説明するための図である。店舗は、駐車場管理サーバ30、サービス提供サーバ60、POSサーバ70、およびPOS端末75を備える。これらは、LAN(Local Area Network)等の店舗内ネットワーク15に接続される。路側機40も店舗内ネットワーク15に接続されることができ、駐車場管理サーバ30は店舗内ネットワーク15を介して路側機40と通信することができる。
【0017】
図2において、クラウド100のセンターに、センタサーバ200が設けられる。モビリティ20が路側機40に接近すると、車両IDが車載器21から読み取られる。この車両IDは、店舗内ネットワーク15および駐車場管理サーバ30を介して、センタサーバ200に渡される。
【0018】
センタサーバ200からアクセス可能なデータベース300に、車両IDと、ユーザ個人のユーザIDとを予め関連付けたテーブルが、予め登録される。ユーザIDは、例えばユーザの所持するユーザデバイス10(スマートフォンに代表される携帯端末など)のメールアドレスである。このほか、電話番号、SNSアカウント、電子マネーアプリのアカウント、個別アプリケーションのアカウントIDなど、要するにユーザを一意に特定可能な情報をユーザIDとして用いることができる。さらに、タブレットやウォッチ型デバイスなども、ユーザデバイス10として利用可能である。センタサーバ200はデータベース300を参照し、車両IDに対応するメールアドレスを取得する。そしてセンタサーバ200は、車両IDから電子駐車券を生成し、取得したメールアドレスに宛てて電子駐車券を発行する。電子駐車券は、例えばバーコードやQRコード(登録商標)などの形態とすることができる。店舗での購買の際に、この電子駐車券をユーザデバイス10から読み取らせることでモビリティ20とユーザ(ユーザデバイス10)とを一意に対応付けることができ、各種のサービスの提供に役立てることができる。次に、上記構成を基礎とする実施形態について説明する。
【0019】
[第1の実施形態]
図3は、第1の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
図3において、POSサーバ70はPOS端末75とともに、ユーザの購買情報を取得するPOSシステムを形成する。POS端末75は、ユーザデバイス10のバーコードを読み取り、車両IDを取得するコードリーダ76を備える。
サービス提供サーバ60は、例えばサービスの事業者ごとに設置され、ユーザにサービスを提供する。駐車場管理サーバ30は、路側機40と、センタサーバ200に接続される。ここで、POSサーバ70、POS端末75、ユーザデバイス10、サービス提供サーバ60、駐車場管理サーバ30、および路側機40のいずれも、メモリおよびプロセッサを備えるコンピュータである。
【0020】
路側機40は、ROM等の不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリ、EPROM(Programmable Read-Only Memory)、消去型EPROM、HDD(hard disk drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶デバイス、各種インタフェースに加えて、プロセッサ41を備える。プロセッサ41は、CPU(Central Processing Unit)、あるいはMPU(Micro Processing Unit)に代表される演算チップである。
【0021】
プロセッサ41は、実施形態に係わる処理機能として検知部41a、暗号化部41b、および通知部41cを備える。これらは、路側機40の記憶デバイスに予め記憶されたプログラムに実装された処理機能として理解される。
【0022】
検知部41aは、駐車場のゲートから入庫するモビリティ20と通信して、当該モビリティを特定する車両IDを検知する。
暗号化部41bは、検知された車両IDを鍵情報(秘密鍵)で暗号化して、暗号化情報を生成する。
通知部41cは、暗号化情報をセンタサーバ200に通知する。ここで、センタサーバ200は上記鍵情報と対をなす復号鍵、あるいは公開鍵を有しており、暗号化情報から車両IDを復元することができる。
【0023】
センタサーバ200は、データベース300にアクセスしてテーブル300aを参照することができる。テーブル300aは、車両IDと、当該車両に対応付けられたユーザのメールアドレス(ユーザID)との対応関係を予め登録したテーブルである。このメールアドレスは、典型的には、ユーザデバイス10のメールアドレスである。
【0024】
センタサーバ200は、プロセッサ201を備える。プロセッサ201は、実施形態に係わる処理機能として特定部201a、復号部201b、および送信部201cを備える。これらは、センタサーバ200の記憶デバイスに予め記憶されたプログラムに実装された処理機能として理解される。
【0025】
先ず、復号部201bは、路側機40から通知された暗号化情報を復号し、車両IDを復元する。
特定部201aは、データベース300のテーブル300aを参照して、上記復元された車両IDに対応するメールアドレス(ユーザID)を特定する。例えば、復元された車両IDが”車両1”であれば、この車両1のユーザに対応するメールアドレスは、”aaa@aaa.jp”である。
【0026】
送信部201cは、上記特定されたメールアドレスに宛てて駐車券情報を送信する。これにより、ユーザデバイス10に駐車券情報が届けられる。第1の実施形態では、駐車券情報として車両IDそのもの、あるいは、車両IDをコード化したバーコードもしくはQRコード(登録商標)などのコード情報を採りあげる。
【0027】
POSサーバ70は、プロセッサ71を備える。プロセッサ71は、実施形態に係わる処理機能として読み取り部71aを備える。読み取り部71aは、POSサーバ70の記憶デバイスに予め記憶されたプログラムに実装された処理機能として理解される。読み取り部71aは、店舗におけるユーザの買い物の精算時に、購買情報を取得する。その際、読み取り部71aは、コードリーダ76によりユーザデバイス10から駐車券情報を読み取る。
【0028】
サービス提供サーバ60は、プロセッサ61を備える。プロセッサ61は、実施形態に係わる処理機能として記録管理部61a、およびサービス提供部61bを備える。これらは、サービス提供サーバ60の記憶デバイスに予め記憶されたプログラムに実装された処理機能として理解される。
【0029】
記録管理部61aは、POSサーバ70からユーザごとの購買情報を取得し、この購買情報に基づいて、各ユーザの購買記録を管理する。
サービス提供部61bは、センタサーバ200から送信された駐車券情報(車両IDのコード情報)を精算時に提示したユーザに、このユーザの購買記録に応じた駐車料金の割引サービスを提供する。次に、上記構成における作用を説明する。
【0030】
図4は、
図3に示されるシステムでの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
先ず、モビリティ20が駐車場のゲートから入庫する際、車載器21から路側機40に車両IDが渡される。そして路側機40は、車両IDを暗号化し(ステップS1)、暗号化情報を(駐車場管理サーバ30経由で)センタサーバ200に送る。
【0031】
センタサーバ200はこの暗号化情報を受信し、復号して車両IDを復元する(ステップS2)。
そしてセンタサーバ200は、車両IDからバーコードあるいはQRコード(登録商標)を生成し、コードの画像データを含むメッセージ(コード情報)をユーザデバイス10に電子メール形式で送信する(ステップS3)。
【0032】
ユーザが店舗でショッピングを行う際は、ユーザは、ユーザデバイス10に表示されるバーコード(QRコード(登録商標))を買い物のたびに提示し、コードリーダ76に読み取らせる。コードリーダ76はバーコードの画像から車両IDを読み取り、POSサーバ70に通知する。POSサーバ70は、通知された車両IDとともにユーザの購買情報をサービス提供サーバ60に渡す。
【0033】
サービス提供サーバ60は、POSサーバ70から取得したユーザごとの購買情報に基づいて、当該ユーザに対する割り引きの適用の有無を判定する(ステップS4)。そして、割り引き有りが判定されると、サービス提供サーバ60は、購買金額、および駐車時間などに基づいて割引金額を計算し記憶する(ステップS5)。そして、モビリティの出庫を待ち受ける。
【0034】
ユーザの店舗でのショッピングが終わり、ユーザのモビリティが出庫する際に、車載器21は再び路側機40にアクセスする。すると路側機40は、車両IDを取得し、この車両IDを暗号化して(ステップS9)、得られた暗号化情報を再びセンタサーバ200に送る。
センタサーバ200はこの暗号化情報を受信すると、復号して車両IDを復元する(ステップS12)。そして、センタサーバ200は、この車両IDを、駐車場管理サーバ30経由でサービス提供サーバ60に通知される。
【0035】
サービス提供サーバ60は、特定されたユーザIDのユーザへの割引サービスに基づき清算金額を計算
する(ステップS6)
。そして、
駐車場管理サーバ30と路側機40
を経由
して車載器21に通知する。
車載器21は、通知された清算金額をカード決済などで支払い
を行う(ステップS7)。
なお、ユーザの任意により精算機90(図2)で支払いを行えるようにしても良い。支払いが完了すると、車載器21から路側機40経由で駐車場管理サーバ30に
支払金額が通知される。このようにして、決済が完了する。
これを受けて駐車場管理サーバ30は、メッセージ送信依頼をセンタサーバ200に送信する。この依頼を受けたセンタサーバ200は、例えば「ありがとうございました」などのメッセージをユーザデバイス10に送信し、決済が完了したことをユーザに通知する(ステップS8)。
【0036】
図5は、
図4に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。図中最下段において、モビリティから読み取られた車両IDは、暗号化され、駐車場管理サーバ30経由でセンタサーバ200に通知される。暗号化は、時間をシード(seed)にするなどの手法で、暗号化された情報が一定化しないようにするのが好ましい。
【0037】
暗号化された車両IDを受けたセンタサーバ200は、車両IDを復号し、予めデータベース300に紐づけ管理されている車両IDとユーザIDとから、入庫した車両とユーザとを一意に特定する。車両IDとユーザIDとの対応を示すテーブルは、例えばWeb登録システムからの登録情報として、あるいはカーシェアリング運営会社と連携するインタフェースから取得することができる。
【0038】
センタサーバ200は、車両IDに基づくバーコードをメールで当該ユーザに送信する。このとき、バーコードが悪用されることを防ぐために、一定時間ごとにバーコードを更新し、配信し直すようにしても良い。
【0039】
ユーザデバイス10に表示されたバーコードは買い物のたびに読み取られ、車両IDとともに精算情報がPOSサーバ70、およびサービス提供サーバ60に送られる。サービス提供サーバ60は割引判定を行い、その結果をユーザごとに更新しつつ記憶する。
【0040】
買い物を終えたユーザが出庫する際、路側機40により車両IDが再度読み込まれる。この車両IDは再び暗号化され、駐車場管理サーバ30経由でセンタサーバ200に通知される。ここでも、時間をシードにするなどで、暗号化された情報が一定化しないようにするのが好ましい。車両IDを復号したセンタサーバ200は、駐車場管理サーバ30経由でサービス提供サーバ60に車両IDを送信する。サービス提供サーバ60は、割引金額、または請求金額を駐車場管理サーバ30に通知する。この情報は路側機40経由で車載器21に渡され、無線決済により支払いが行われる。
【0041】
以上述べたように第1の実施形態では、路側機40が、車載器21から車両IDを取得し、暗号化して駐車場管理サーバ30に送信する。駐車場管理サーバ30は、暗号化された車両IDをセンタサーバ200に送信するとともに、ユーザの購買実績を管理するサービス提供サーバに、割引額を問い合わせる。センタサーバ200は、駐車場管理サーバ30とユーザデバイス10に、復号された車両IDを送信する。ユーザデバイス10は、センタサーバ200から取得した車両IDをコードで表示する。そして、予めデータベース300に紐づけ管理されている車両IDとユーザIDとから、入庫した車両とユーザとを一意に特定することができる。すなわち、ユーザごとの購買実績と車両IDとを対応付けて管理することができ、出庫の際にサービスを提供するか否かの判定と、サービス金額(割引金額)の計算とを間違いなく実施することが可能にある。
【0042】
つまり、車載器21から車両IDが取得されると、ユーザデバイス10に固有のコードが送られる。店舗での決済のたびにコードを提示することで、店舗において購買実績の履歴が蓄積されてゆく。出庫の際に路側機40により再び車両IDが読み込まれ、対応する清算金額が車載器21に通知される。そして、路側機40と車載器21との間で無線で決済が実行される。
【0043】
このように出庫に際して精算が自動的に行われ、ユーザが現金での決済を望まない限り、全ての過程をキャッシュレスにすることができる。また、一連の過程において紙媒体での駐車券を必要とせず、ユーザが駐車場を利用していることは、ユーザデバイス10に表示されたバーコードなどで証明される。これにより、電子的な駐車券による決済サービスを実現することができる。
【0044】
しかも、車両IDとユーザIDとの紐づけ管理はセンタサーバ200側で実施される。すなわち、電子駐車券管理機能がSaaS(Software as a Service)化されるので、店舗側から見れば、クラウドからのサービスとして利用可能である。これにより電子駐車券を実現するための機能が複数のサービス事業者、店舗事業者にとって共通化され、集約的に活用できるようになる。しかも、車両IDは路側機40とセンタサーバ200との間で暗号化されて授受されるので、他事業者によるデータの中抜きのおそれもない。さらには、車両IDとユーザIDとの対応がセンタサーバ200において一元管理されるので、ユーザの来店履歴をセンタサーバ200側で管理し、統計的に解析したりすることができる。
【0045】
これらのことから第1の実施形態によれば、キャッシュレス決済でユーザごとにサービスを提供することが可能になる。しかも、車両IDが暗号化されるので、セキュリティも確保できる。さらに、クラウドによるサービスの形で電子駐車券管理機能を実現できるので、社会全体での観点から、システム構築費・運用費を最適化することが可能になる。すなわち、店舗事業者にとっては、ユーザと電子駐車券とを対応付けてサービスを提供するシステムを自前で持たなくても良くなるので、ユーザサービス向上のためのコストを低減することができる。決済サービス事業者にとっては、店舗事業者からシステム利用料をサブスクリプション形式などで受け取ることができるので、定期的な利益をもたらす。つまり、店舗を運営する側の事業者、および、決済サービスを提供する側の事業者の双方にとって、ともに有利なシステムを構築することができる。以上から第1の実施形態によれば、多様なサービスを提供することのできる電子駐車券管理システム、サーバ装置、およびサービス提供システムを提供することができる。
【0046】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、ユーザの購買実績を車両IDに対応付けて管理した。第2の実施形態ではこれに代えて、利用者特定情報としての駐車券管理番号を発行し、駐車券管理番号にユーザの購買実績を対応付ける技術について説明する。
【0047】
図6は、第2の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。センタサーバ200のプロセッサ201は、生成部201dを備える。生成部201dは、復号部201bにより復元された車両IDに対応する管理情報を生成する。この管理情報を、実施形態では駐車券管理番号と称する。駐車券管理番号は、データベース300のテーブル300bに、車両IDおよびユーザIDに対応付けられて登録される。さらに送信部201cは、駐車券管理番号をユーザデバイス10に送信する。
【0048】
図7は、
図6に示されるシステムでの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図7において、
先ず、モビリティ20が駐車場のゲートから入庫する際、車載器21から路側機40に車両IDが渡される。そして路側機40は、車両IDを暗号化し(ステップS1)て、暗号化された車両IDを
センタサーバ200に送信する。センタサーバ200は、車両IDを復号
(ステップS2)し、復元された車両IDに対応する駐車券管理番号を生成する(ステップS10)。生成された駐車券管理番号は、上記復元された車両IDに対応付けてテーブル300b(
図6)に登録される。
次に、センタサーバ200はこの駐車券管理番号をコード化し、バーコードなどの形態でユーザデバイス10に送信する(ステップS11)。
【0049】
ユーザが店舗でショッピングを行う際は、ユーザは、ユーザデバイス10に表示されるバーコード(QRコード(登録商標))を買い物のたびに提示し、コードリーダ76に読み取らせる。コードリーダ76は、ユーザデバイス10から駐車券管理番号を読み出し、POSサーバ70に通知する。POSサーバ70は、通知された駐車券管理番号とともにユーザの購買情報をサービス提供サーバ60に渡す。
サービス提供サーバ60は、駐車券管理番号に基づいて割引判定(ステップS4)を実施し、更に割引金額計算(ステップS5)を実施する。そして、モビリティの出庫を待ち受ける。
【0050】
ユーザの店舗でのショッピングが終わり、ユーザのモビリティの出庫時に
、車載器21は再び路側機40にアクセスする。すると路側機40は、車両IDを取得する。路側機40で読み取られた車両IDは、路側機40において暗号化され(ステップS9)、暗号化情報が再びセンタサーバ200に送信される。
センタサーバ200は
、この暗号化情報を受信
すると、復号して車両IDを復元する(ステップS12)。さらにセンタサーバ200は、復元された車両IDに対応する駐車券管理番号をテーブル300b(
図6)から読み出
す(ステップS13)
。そして、この駐車券管理番号を
、駐車場管理サーバ30を介してサービス提供サーバ60に通知する。
【0051】
サービス提供サーバ60は、特定されたユーザへの清算金額を計算し(ステップS6)、駐車場管理サーバ30と路側機40とを経由して車載器21に通知する。
その後、第1の実施形態と同様の手順(ステップS7)により、キャッシュレスでの決済が完了すると、支払金額が路側機40経由で駐車場管理サーバ30に通知される。
すると駐車場管理サーバ30は、メッセージ送信依頼をセンタサーバ200に送信する。この依頼を受けたセンタサーバ200は、例えば「ありがとうございました」などのメッセージをユーザデバイス10に送信し、決済が完了したことをユーザに通知する(ステップS8)。
【0052】
図8は、
図7に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。
図8において、暗号化された車両IDを受けたセンタサーバ200は、車両IDを復号し、データベース300を参照して対応するユーザIDを特定する。さらに、センタサーバ200は、駐車券管理番号を生成し、テーブル300bに登録する。センタサーバ200は、駐車券管理番号に基づくバーコードをメールで当該ユーザに送信する。
【0053】
ユーザデバイス10に表示されたバーコードは買い物のたびに読み取られ、駐車券管理番号とともに精算情報がPOSサーバ70、およびサービス提供サーバ60に送られる。サービス提供サーバ60は割引判定を行い、その結果をユーザごとに更新しつつ記憶する。モビリティの出庫に際して、路側機40により車両IDが再度読み込まれ、暗号化されてセンタサーバ200に通知される。センタサーバ200は、駐車場管理サーバ30経由でサービス提供サーバ60に駐車場管理番号を送信する。サービス提供サーバ60は、割引金額、または請求金額を駐車場管理サーバ30に通知する。以上の手順を経て、無線決済による支払いがなされると、サービス込みの決済が完了する。
【0054】
第2の実施形態では、車両IDそのものではなく、電子的な駐車券である駐車券管理番号を新たに発行する。そして、店舗内における決済、およびサービスの提供を駐車券管理番号に対応付けて実施するようにした。これらのことから第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、車両IDが不用意に漏洩し、悪用されることを防止することができる。さらには、車両IDと駐車場管理番号との対応がセンタサーバ200において一元管理されるので、ユーザの来店履歴をセンタサーバ200側で管理し、統計的に解析したりすることができる。
【0055】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、駐車券管理番号を店舗側で発行/管理する技術について説明する。
図9は、第3の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
図9において、駐車場管理サーバ30は、プロセッサ31を備える。プロセッサ31は、実施形態に係わる処理機能として生成部31a、および管理情報通知部31bを備える。これらは、駐車場管理サーバ30の記憶デバイスに予め記憶されたプログラムに実装された処理機能として理解される。
【0056】
生成部31aは、路側機40から渡された車両IDに対応する駐車券管理番号を生成する。管理情報通知部31bは、駐車券管理番号と、暗号化された車両IDとをセンタサーバ200に通知する。
【0057】
センタサーバ200は、駐車場管理サーバ30から通知された駐車券管理番号を、車両IDおよびユーザIDと対応付けてテーブル300bに登録する。さらに、センタサーバ200の送信部201cは、駐車券管理番号をユーザデバイス10に送信する。
【0058】
図10は、
図9に示されるシステムでの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図10において、
先ず、モビリティ20が駐車場のゲートから入庫する際、車載器21から路側機40に車両IDが渡される。そして路側機40は、車両IDを暗号化し(ステップS1)て、駐車場管理サーバ30に送信する。駐車場管理サーバ30は、路側機40から
転送された暗号化された車両IDにより
車券管理番号を生成
し(ステップS20)、
暗号化情報と管理番号(駐車券管理番号)をセンタサーバ200に送
る。
センタサーバ200は、車両IDを復号する
(ステップS2)とともに、駐車券管理番号をデータベース300に登録する。そしてセンタサーバ200は、駐車券管理番号をバーコードにしてユーザデバイス10に送信する。
その後、
ユーザが店舗でショッピングを行う際は、第2の実施形態と同様の手順により
、ユーザは、ユーザデバイス10に表示されるバーコード(QRコード(登録商標))を買い物のたびに提示し、コードリーダ76に読み取らせる。コードリーダ76は、ユーザデバイス10から駐車券管理番号を読み出し、POSサーバ70に通知する。POSサーバ70は、通知された駐車券管理番号とともにユーザの購買情報をサービス提供サーバ60に渡す。
サービス提供サーバ60は、駐車券管理番号に基づいて割引判定(ステップS4)を実施し、更に割引金額計算(ステップS5)を実施する。そして、モビリティの出庫を待ち受ける。
さらに、ユーザの店舗でのショッピングが終わり、ユーザのモビリティの出庫時には、第2の実施形態と同様の手順により、車載器21は再び路側機40にアクセスする。すると路側機40は、車両IDを取得する。路側機40で読み取られた車両IDは、路側機40において暗号化され(ステップS9)、暗号化情報が再びセンタサーバ200に送信される。
センタサーバ200は、暗号化情報を受信すると、復号して車両IDを復元する(ステップS12)。さらにセンタサーバ200は、復元された車両IDに対応する駐車券管理番号をテーブル300b(図6)から読み出す(ステップS13)。そして、センタサーバ200は、この駐車券管理番号を、駐車場管理サーバ30を介してサービス提供サーバ60に通知する。
サービス提供サーバ60は、特定されたユーザへの清算金額を計算し(ステップS6)、駐車場管理サーバ30と路側機40を経由して車載器21に通知する。
その後、第1の実施形態や第2の実施形態と同様の手順により、キャッシュレスでの決済
(ステップS7)が完了
すると、
路側機40経由で駐車場管理サーバ30に支払金額が通知される。そして、駐車場管理サーバ30は、メッセージ送信依頼をセンタサーバ200に送信する。この依頼を受けたセンタサーバ200は、完了メッセージ
をユーザデバイス10に送信
する。
【0059】
図11は、
図10に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。
図11において、暗号化された車両IDを受けた駐車場管理サーバ30は、駐車券管理番号を生成し、車両IDとともにセンタサーバ200に送る。センタサーバ200は、駐車券管理番号に基づくバーコードをメールで当該ユーザに送信する。そののち、第2の実施形態と同様の手順を経て無線決済による支払いがなされると、サービス込みの決済が完了する。
【0060】
第3の実施形態では、駐車券管理番号を店舗側で生成した。これによりセンタサーバ200の負荷を低減することが可能になる。これらのことから第3の実施形態によっても、キャッシュレス決済でユーザごとにサービスを提供することが可能になる。ひいては、多様なサービスを提供することが可能になる。
【0061】
[補足説明]
ここで、センタサーバ200に対してリクエストを送信する際の手法について補足的に説明する。例えば
図4、
図7、
図10において、決済完了時に精算結果(メッセージ)がユーザデバイス10に送信されることについて述べた。これは、駐車場管理サーバ30から、精算メッセージの送信をリクエストすることにより実現される。技術的には、例えばWeb APIを利用したHTTPリクエストなどの形式で、駐車場管理サーバ30からセンタサーバ200に精算メッセージの送信をリクエストすることができる。
【0062】
同様に、モビリティの入場時における駐車券管理番号の発行、出庫時における車両IDの認証、確認なども、駐車場管理サーバ30からセンタサーバ200にリクエストを送ることで、実現することが可能である。このほか、予め定めされたリクエストメッセージを送ることで駐車場管理サーバ30から送信することで、センタサーバ200から様々なサービスの提供を受けることができる。
【0063】
<第2の構成>
第1の構成では、モビリティとユーザとの対応付けを、店舗とは別のセンターで実施する構成について説明した。第2の構成では、モビリティとユーザとの対応付けを店舗側で実施するシステムについて説明する。
【0064】
図12は、実施形態に係わる電子駐車券管理システムの他の例を示すシステム図である。このシステムは、駐車場のゲートに設置される路側機40と、この路側機40と通信可能に接続される駐車場管理サーバ30とを備える。
図12においては、駐車場管理サーバ30が移動通信網400に接続され、基地局50を経由してユーザデバイス10と通信することができる。駐車場管理サーバ30は、データベース80に通信可能に接続される。また、路側機40は、検知した車両IDを平文のまま、駐車場管理サーバ30に送信する。
【0065】
図13は、
図12に示される電子駐車券管理システムの、店舗との連携について説明するための図である。駐車場管理サーバ30からアクセス可能なデータベース80に、車両IDと、ユーザ個人のユーザIDとを予め関連付けたテーブルが、予め登録される。駐車場管理サーバ30はデータベース80を参照し、車両IDに対応するメールアドレスを取得する。そして駐車場管理サーバ30は、車両IDから、バーコードやQRコード(登録商標)などの電子駐車券を生成し、取得したメールアドレスに宛てて発行する。次に、上記構成を基礎とする実施形態について説明する。
【0066】
[第4の実施形態]
図14は、第4の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
図14において、駐車場管理サーバ30は、車両IDとユーザIDを対応付けたテーブル80aを、データベース80に記憶する。
駐車場管理サーバ30のプロセッサ31は、取得部31c、特定部31d、および送信部31eを備える。
取得部31cは、路側機40を介して車両IDを取得する。特定部31dは、取得された車両IDに対応するユーザID、データベース80のテーブル80aを参照して特定する。送信部31eは、特定されたユーザIDのユーザが所持するユーザデバイス10に、駐車券情報としての車両IDを送信する。
【0067】
図15は、
図14に示されるシステムでの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図15において、
先ず、モビリティ20が駐車場のゲートから入庫する際、車載器21から路側機40に車両IDが渡される。そして路側機40は、車両IDを駐車場管理サーバ30に送信する。駐車場管理サーバ30は、車両IDからユーザIDを特定し、コード化した車両IDをユーザデバイス10に送信する
(ステップS3)。
ユーザが店舗でショッピングを行う際は、ユーザは、ユーザデバイス10に表示されるバーコード(QRコード(登録商標))を買い物のたびに提示し、コードリーダ76に読み取らせる。コードリーダ76は、ユーザデバイス10から車両IDを読み出し、POSサーバ70に通知する。POSサーバ70は、コードリーダ76で取得された車両ID、およびユーザの購買情報をサービス提供サーバ60に渡す。
サービス提供サーバ60は、車両IDに基づいて割引判定(ステップS4)、割引金額計算(ステップS5)を実施し、モビリティの出庫を待ち受ける。
【0068】
ユーザの店舗でのショッピングが終わり、ユーザのモビリティの出庫時には、車載器21は再び路側機40にアクセスする。すると路側機40は、車両IDを取得する。路側機40で読み取られた車両IDは、駐車場管理サーバ30を経由してサービス提供サーバ60に通知される。
サービス提供サーバ60は、ユーザへの清算金額を計算し(ステップS6)、駐車場管理サーバ30と路側機40とを経由して車載器21に通知する。その後、第1の実施形態と同様の手順によりキャッシュレスでの決済(ステップS7)が完了すると、支払金額が路側機40経由で駐車場管理サーバ30に通知される。そして、駐車場管理サーバ30は、ユーザデバイス10に完了メッセージを送信する。
【0069】
図16は、
図15に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。
図16において、車両IDを受けた駐車場管理サーバ30は、テーブル80aからユーザIDを特定し、車両IDのバーコードを当該ユーザにメール送信する。
【0070】
ユーザデバイス10に表示されたバーコードは買い物のたびに読み取られ、車両IDとともに精算情報がPOSサーバ70、およびサービス提供サーバ60に送られる。サービス提供サーバ60は割引判定を行い、その結果をユーザごとに更新しつつ記憶する。モビリティの出庫に際して、路側機40により車両IDが再度読み込まれ、駐車場管理サーバ30に通知される。駐車場管理サーバ30は、車両IDをキーに割引情報をサービス提供サーバ60に問い合わせる。
【0071】
サービス提供サーバ60は、割引金額を駐車場管理サーバ30経由で路側機40、車載器21に通知する。以上の手順を経て、無線決済による支払いがなされると、サービス込みの決済が完了する。
【0072】
第4の実施形態では、車両IDとユーザIDとの対応付け、電子駐車券(バーコード)の発行、および販売管理等の処理が、センタサーバ200を経由することなく店舗内で実行される。車両IDがユーザIDに予め対応付けられているので、入庫とともにユーザデバイス10に車両IDをメールすることができ、購入履歴を店舗内で管理することができる。従って、第4の実施形態によっても、キャッシュレス決済でユーザごとにサービスを提供することが可能になる。ひいては、多様なサービスを提供することが可能になる。
【0073】
[第5の実施形態]
図17は、第5の実施形態に係わる電子駐車券管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
図17において、駐車場管理サーバ30のプロセッサ31は、生成部31fを備える。生成部31fは、路側機40から通知された車両IDに対応する駐車券管理番号を生成する。駐車券管理番号は、データベース80のテーブル80bに、車両IDおよびユーザIDに対応付けられて登録される。さらに、送信部31eは、駐車券管理番号をユーザデバイス10に送信する。
【0074】
図18は、
図17に示されるシステムでの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図18において、
先ず、モビリティ20が駐車場のゲートから入庫する際、車載器21から路側機40に車両IDが渡される。路側機40は、駐車場管理サーバ30車両IDを送信する。駐車場管理サーバ30は、通知された車両IDから駐車券管理番号を生成し(ステップS20)、テーブル80bに登録するとともに
、バーコード
(QRコード(登録商標))でユーザデバイス10に送信する
(ステップS3)。
【0075】
ユーザが店舗でショッピングを行う際は、ユーザは、ユーザデバイス10に表示されるバーコード(QRコード(登録商標))を買い物のたびに提示し、コードリーダ76に読み取らせる。コードリーダ76は、ユーザデバイス10から車両IDを読み出し、POSサーバ70に通知する。POSサーバ70は、コードリーダ76から取得した駐車券管理番号とともにユーザの購買情報をサービス提供サーバ60に渡す。
サービス提供サーバ60は、駐車券管理番号に基づいて割引判定(ステップS4)、割引金額計算(ステップS5)を実施し、モビリティの出庫を待ち受ける。
【0076】
ユーザの店舗でのショッピングが終わり、ユーザのモビリティの出庫時に
は、車載器21は再び路側機40にアクセスする。すると路側機40は、車両IDを取得する。路側機40で読み取られた車両IDは、駐車場管理サーバ30に通知される。
駐車場管理サーバ30は、テーブル80b(
図17)を参照して、この車両IDを駐車券管理番号に変換する(ステップS21)。
そして、この駐車券管理番号は、サービス提供サーバ60に通知される。
サービス提供サーバ60は、駐車券管理番号に基づいて特定されたユーザへの清算金額を計算
すると(ステップS6)、
駐車場管理サーバ200と路側機40経由で車載器21に通知する。その後、キャッシュレスでの決済
(ステップS7)が完了すると、
支払金額が路側機40経由で駐車場管理サーバ30に通知される。そして、駐車場管理サーバ30から完了メッセージがユーザデバイス10に送信される。
【0077】
図19は、
図18に示されるシーケンス図における作用について説明するための図である。
図19において、車両IDを受けた駐車場管理サーバ30は、駐車券管理番号を生成し、テーブル80bに登録する。また、駐車場管理サーバ30は、駐車券管理番号のバーコードをユーザにメール送信する。
【0078】
ユーザデバイス10に表示されたバーコードは買い物のたびに読み取られ、駐車券管理番号とともに精算情報がPOSサーバ70、サービス提供サーバ60に送られる。サービス提供サーバ60は割引判定を行い、その結果を記憶する。モビリティが出庫するとき、車両IDが駐車場管理サーバ30に通知され、サービス提供サーバ60に割引金額、請求金額などが問い合わせられ、結果が駐車場管理サーバ30に応答される。以上の手順を経て、無線決済による支払いがなされると、サービス込みの決済が完了する。
【0079】
第5の実施形態では、車両IDに基づく駐車券管理番号が発行される。そして、店舗内における決済、およびサービスの提供を駐車券管理番号に対応付けて実施するようにした。しかも、一連の処理がセンタサーバ200を介することなく、店舗内で完了する。これらのことから第5の実施形態によっても、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0080】
以上説明したように上記各実施形態によれば、キャッシュレス決済でユーザごとにサービスを提供することが可能になる。ひいては、多様なサービスを提供することが可能になる。
【0081】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、
図20に示されるように、路側機40と駐車場管理サーバ30とを直接的に接続しても良い。また、路側機40は、モビリティ20に設置されたナンバープレート24から車両番号等を読み取るカメラであっても良い。また、サービス提供サーバ60とPOSサーバ70とを、同一のサーバで構成しても良い。
【0082】
実施形態の電子駐車券管理システムは、電子メールアドレスに代えて、SNS(social networking service)などのIDなどを用いても良い。この場合、実施形態の電子駐車券管理システムは、電子メールに代えて当該SNSなどを用いたメッセージなどを送信しても良い。さらに、専用のアプリにより、電子駐車券をプッシュ型で通知しても良い。その際、協調フィルタリングなどの手法によりユーザの嗜好を分析し、その結果に応じた広告やクーポン情報を、バーコード情報とともに通知するようにしてもよい。
【0083】
また、実施形態では、車両IDからバーコード、あるいはQRコード(登録商標)を生成してユーザデバイス10に送信した。これに代えて、車両IDに対応する番号等をユーザデバイス10に送信しても良い。このケースでは、コードリーダ76にテキスト読み取り機能(OCR(Optical Character Recognition)を実装し、テキストベースでの認証を行う。あるいは、ユーザデバイス10に表示されたキャラクタ(文字や数値)を手入力で打ち込むようにしても良い。
【0084】
また、実施形態では、車両IDから生成した駐車券管理番号をテーブル300bに登録することについて説明した。これに代えて、例えばハッシュ関数などを用いて、車両IDから駐車券管理番号を一意に生成することができれば、必ずしも登録しなくても良い。
【0085】
さらに、上記各実施形態では、駐車場事業者と店舗事業者とを区別することなく説明した。このような形態がある一方で、例えば地域の商店街などにおいては、駐車場事業者と店舗事業者とが異なるケースもある。本発明は、もちろん、このような形態にも対応することが可能である。
【0086】
図21は、駐車場と店舗とが、異なる事業体により運営されているケースの一例を示す図である。
図21は、第2の実施形態で説明したシステムに、この種のサービス運営形態を適用したケースを示す。もちろん、第1、または第3~5の実施形態のシステムにおいても、駐車場と店舗とが異なる事業体により運営されるケースを適用することができる。
【0087】
図21において、駐車場管理サーバ30およびサービス提供サーバ60は、駐車場事業者に属する。店舗事業者は、サービス提供サーバ60と通信可能なPOSサーバ70を備える。そして、駐車場管理サーバ30がセンタサーバ200と通信し、車両IDと個人IDとの紐づけ管理や、キャッシュレス決済、個人情報の中抜き防止などのサービスを提供することができる。このような形態のシステムによっても、多様なサービスを提供することが可能になる。
【0088】
上記実施形態における各装置は、例えば、上記の処理を実行するためのプログラムがROM又は補助記憶デバイスなどに記憶された状態で、各装置の管理者などへと譲渡されることができる。しかしながら、当該装置は、当該プログラムがROM又は補助記憶デバイスなどに記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。また、当該装置は、当該プログラムとは別のプログラムがROM又は補助記憶デバイスなどに記憶された状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下にROM又は補助記憶デバイスなどへと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはインターネット又はLANなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
10…ユーザデバイス、15…店舗内ネットワーク、20…モビリティ、21…車載器、24…ナンバープレート、30…駐車場管理サーバ、31…プロセッサ、31a…生成部、31b…管理情報通知部、31c…取得部、31d…特定部、31e…送信部、31f…生成部、40…路側機、41…プロセッサ、41a…検知部、41b…暗号化部、41c…通知部、50…基地局、60…サービス提供サーバ、61…プロセッサ、61a…記録管理部、61b…サービス提供部、70…POSサーバ、71…プロセッサ、71a…読み取り部、75…POS端末、76…コードリーダ、80…データベース、80a…テーブル、80b…テーブル、90…精算機、100…クラウド、200…センタサーバ、201…プロセッサ、201a…特定部、201b…復号部、201c…送信部、201d…生成部、300…データベース、300a…テーブル、300b…テーブル、400…移動通信網。