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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】冷蔵庫用扉
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
F25D23/02 304C
F25D23/02 304A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020067608
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021162284
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】岩元 浩二
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩一
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-004087(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132025(US,A1)
【文献】特開2019-196856(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098614(WO,A1)
【文献】特開2012-207857(JP,A)
【文献】特開2015-052428(JP,A)
【文献】特開2015-031442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉可能に閉じる扉本体と、
前記扉本体の前面に設けられ、上辺または下辺を第一辺とする化粧パネルと、
前記扉本体に設けられ、前記化粧パネルを支持するパネル支持部と、
を備え、
前記パネル支持部は、前記化粧パネルの前記第一辺の側面の少なくとも一部を覆うように配置される端面保護部と、
前記化粧パネルの側面を露出させた状態で支持するフレームレス支持部と、を含み、
前記端面保護部は、幅方向において前記第一辺よりも狭い範囲に設けられる冷蔵庫用扉。
【請求項2】
前記フレームレス支持部の端部が前記化粧パネルの前記第一辺とは異なる第二辺の側面と同面に配置される
請求項1に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項3】
正面視において、前記化粧パネルの前記第一辺とは異なる第二辺の側面が前記フレームレス支持部よりも外方に配置されている
請求項1に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項4】
前記フレームレス支持部は縦枠を含み、
前記縦枠は、前記化粧パネルの後面に向かい合う前壁と、前記前壁から後方に離間する後壁と、前記前壁と前記後壁とを繋ぐ側壁と、を有し、
前記側壁の前端側には、前記前壁の外側端部より幅方向の内側に窪む凹部が形成される
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項5】
前記縦枠の内側で前記側壁に沿って設けられる補強部材を備え、
前記補強部材は、前後に延びる主板と、前記主板から幅方向外側に延びる片部を備える
請求項4に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項6】
前記フレームレス支持部の前記側壁は、前記後壁の端部から前側に延びる部分と、前記前壁に向かって内側に傾斜した傾斜面と、を有し、
前記補強部材の前記片部は、前記主板の後側に設けられる
請求項5に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項7】
前記補強部材の片部は、前記主板から幅方向内側に延びる
請求項5に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項8】
前記主板から幅方向内側に延びる前記片部は、前記縦枠の前記前壁に沿って設けられ、
前記主板から幅方向外側に延びる前記片部は、前記縦枠の前記後壁に沿って設けられる
請求項7に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項9】
前記主板に断熱材充填孔が設けられる
請求項5に記載の冷蔵庫用扉。
【請求項10】
前記パネル支持部は、
前記化粧パネルの上辺と左右の側辺とを支持する部分が一体に形成された上枠と、
前記上枠とは別体で前記化粧パネルの下辺を支持する部分が形成された下枠と、を備える
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の冷蔵庫用扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫用扉に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の意匠性およびユーザの利便性のさらなる向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-87099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、意匠性およびユーザの利便性を図ることができる冷蔵庫用扉提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫用扉は、冷蔵庫本体の貯蔵室を開閉可能に閉じる扉本体と、前記扉本体の前面に設けられ、上辺または下辺を第一辺とする化粧パネルと、前記扉本体に設けられ、前記化粧パネルを支持するパネル支持部と、を持ち、前記パネル支持部は、前記化粧パネルの前記第一辺の側面を覆うように配置される端面保護部と、前記化粧パネルの側面を露出させた状態で支持するフレームレス支持部と、を持ち、前記端面保護部は、幅方向において前記第一辺よりも狭い範囲に設けられる構成を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る冷蔵庫の正面図。
図2】実施形態に係る冷蔵庫用扉の側面図。
図3図1のIII-III線における断面図。
図4図1のIV-IV線における断面図。
図5】実施形態の枠部の斜視図。
図6】実施形態の扉の部分断面図。
図7】実施形態の冷蔵庫用扉の一部の側面図。
図8】実施形態の冷蔵庫用扉の断面図。
図9】実施形態の冷蔵庫用扉の断面図。
図10】実施形態の冷蔵庫用扉の一部の斜視図。
図11】実施形態の枠部の斜視図。
図12】実施形態の冷蔵庫用扉の一部の側面図。
図13】実施形態の冷蔵庫用扉の一部の側面図。
図14】変形例の冷蔵庫の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫用扉、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。構成の重複する説明は省略する場合がある。本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「前後方向」とは、上記定義における幅方向に直交し、前と後ろとをつなぐ方向を意味する。本願でいう「AまたはB」とは、AとBのうちいずれか一方の場合に限定されず、AとBの両方の場合を含む。
【0008】
図1は、実施形態に係る冷蔵庫100を示す正面図である。図2は、冷蔵庫100の冷蔵庫用扉1を図1の右側から見た側面図である。図3は、図1のIII-III線における回転扉20の縦断面図である。図4は、図1のIV-IV線における水平断面図である。冷蔵庫100は、冷蔵庫本体と、複数の冷蔵庫用扉1と、を含む。冷蔵庫本体は、筐体105と、図示は省略するが、公知の圧縮機、冷却機構、送風機、温度センサ、制御装置等を備える。
【0009】
筐体105の内部には、複数の貯蔵室が設けられている。複数の貯蔵室は、例えば、第一冷蔵室101、第二冷蔵室102、冷凍室103を含む。実施形態では、最上部に第一冷蔵室101が配置され、第一冷蔵室101の下方に第二冷蔵室102が配置され、第二冷蔵室102の下方に冷凍室103が配置されている。貯蔵室の配置は、上記例に限定されず、例えば第二冷蔵室102と冷凍室103の配置が逆でもよい。貯蔵室には、収納棚や収納容器、製氷用貯水容器等が設けられている。
【0010】
第二冷蔵室102は、野菜室として使用される。第二冷蔵室102は、野菜の貯蔵に適した冷蔵温度帯、例えば、1~5℃で保冷されている。第二冷蔵室102は、野菜に適した貯蔵環境の貯蔵室に限らず、第一冷蔵室101と同等の冷蔵温度帯に設定され、冷蔵機能を備える貯蔵室であってもよい。
【0011】
冷凍室103は、冷凍温度帯、例えば、-10℃以下で保冷されている。第二冷蔵室102、冷凍室103は、冷凍温度帯から冷蔵温度帯まで保冷温度が任意に切り替え可能に構成されている。したがって、第二冷蔵室を冷凍室として使用可能であり、冷凍室103を冷蔵室として使用可能である。
【0012】
筐体105は、例えば、内箱と、外箱と、断熱部とを有する。内箱は、筐体105の内面を形成し、外箱は、筐体105の外面を形成している。内箱と外箱との間には、発泡ウレタン等の発泡断熱材を含む断熱部が設けられている。筐体105は、断熱性能を持つ。筐体105は、各貯蔵室の前面側に、各貯蔵室に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。
【0013】
冷蔵庫100は、冷蔵庫用扉1が設けられている。冷蔵庫用扉1は、貯蔵室の開口を開閉可能に塞ぐ部材である。冷蔵庫用扉1は、筐体105の前部に設けられる。冷蔵庫用扉1は、例えば、回転扉20、引出扉30,40である。
【0014】
第一冷蔵室101に回転扉20が設けられている。第二冷蔵室102および冷凍室103には、それぞれ引出し17が設けられている。引出し17は第二冷蔵室102および冷凍室103内を前後方向Dに移動可能に開閉される引出し式の収納部を構成している。回転扉20は最上扉の一例である。引出扉40は、最下扉の一例である。引出扉30,40は下扉の一例である。
【0015】
冷蔵庫用扉1である回転扉20について説明する。回転扉20は、筐体105に回動可能に取り付けられている。筐体105の幅方向Wの端部であり、かつ第一冷蔵室101の上部および下部に軸支部106,107が設けられている。回転扉20の幅方向Wの一端部が軸支部106,107に取り付けられ、軸支部106,107を中心として回動可能に支持されている。図1では、片開きの回転扉20を例示しているが、両開きの回転扉であってもよい。両開きの回転扉の場合、左右の回転扉が同じ大きさであってもよく、幅方向Wの寸法が異なる一対の回転扉であってもよい。
【0016】
回転扉20は、回転扉20が閉じた位置において、冷蔵庫100の正面に立つユーザに対向する前面と、第一冷蔵室101の内部に対向する後面とを有する。前面には、化粧パネル62が取り付けられている。後面には、複数の収納ポケットが設けられている。
【0017】
回転扉20は、扉本体21と、化粧パネル62とを含む。扉本体21は、枠部5に後面材22が取り付けられて構成されている。本例では、一枚の回転扉20で第一冷蔵室101を覆う構成であるため、扉本体21は、第一冷蔵室101の前部開口を塞ぐことが可能な大きさを有する。
【0018】
図2に示すように、扉本体21の裏面の外縁部には、ガスケット16が取り付けられている。ガスケット16は、回転扉20を閉じた状態において、扉本体21と、第一冷蔵室101の内壁との隙間を塞ぐように構成されている。
【0019】
図5は枠部5の斜視図である。枠部5は、正面視矩形を有し、扉本体21の骨格を形成する。枠部5は、主部材50と、主部材50の下部に固定される下枠52とで矩形に形成されている。主部材50は、上枠51と一対の縦枠53と、補強桟54とが一体に形成されている。枠部5は、例えば、樹脂製や鋼板製の型材である。枠部5は、一部材で構成する例や、縦枠、横枠および補強桟の全部または一部を別部材で形成し、組み立てる構成であってもよい。
【0020】
図6に縦枠53の部分の水平断面を示す。縦枠53は、図4から図6に示すように、側壁531と、前壁532と、後壁533とを含む。側壁531は、前後方向Dに延びて配置されている。前壁532は、側壁531の前端から幅方向Wに沿って内側に延びる。後壁533は、側壁531の後端から幅方向Wに沿って内側に延びる。言い換えると、前壁532および後壁533の外側端部間が側壁531により接続されている。図4に示すように、側壁531は、後端が前端よりも幅方向Wの外側に突出している。前壁532の外側端部は、後壁533の外側端部よりも幅方向Wの内側に位置する。側壁531は、後壁533の端部から前側に延びる平面531aと、前後方向Dの中間部から前壁532の外側端部に向かって内側に傾斜した傾斜面531bとが形成されている。側壁531の前端部と、前壁532との接続部分には、幅方向Wの内側に向かって窪む凹部4が形成されている。凹部4は、前壁532の後方において、前壁532の外側端部534よりも幅方向Wの内側に窪んでいる。
【0021】
凹部4は、水平断面形状が円弧状に窪んでいる。凹部4は、前壁532の外側端部534よりも幅方向Wの内側に窪んで形成されていればよい。
【0022】
パネル支持部9は、枠部5に一体に形成されている。パネル支持部9は、枠部5の前端部に形成されている。パネル支持部9は、枠部5の前壁512,522,532の外縁部に形成されている。パネル支持部9は、図6に示すように、縦枠53の前壁532における幅方向Wの外端から前方に僅かに突出して形成されている。パネル支持部9は、上枠51の前壁512の上端および、下枠52の前壁522の下端から前方に僅かに突出して形成されている。
【0023】
図4および図6に示すように、縦枠53の内側には、補強部材7が設けられている。補強部材7は、枠部5の強度を補強する部材である。回転扉20は、第一冷蔵室101を覆うため面積が大きい。回転扉20は、開閉時回動し、かつ、収納棚に冷蔵品が収納されるため荷重が掛かる。したがって、回転扉20を軽量化しつつ、枠部5の強度を補強するために補強部材7が設けられている。
【0024】
補強部材7は、例えば、鋼板等、金属製の長尺な部材である。図4に示すように、補強部材7は、主板74と、前片71と、後片72とで構成されている。図4および図6に示すように、補強部材7は、水平断面形状が略Z形状を有する。前片71および後片72は、主板74に対して直交し、互いに異なる方向に延びている。主板74の前後方向Dの寸法は、縦枠53の前壁532と後壁533との離間距離に略等しい。補強部材7は、縦枠53の前片71および後片72に接触する。
【0025】
補強部材7と、縦枠53との間の隙間に断熱材充填部58が形成されている。図6に示すように、主板74には、断熱材充填孔73が形成されている。断熱材充填孔73は、上下方向Vに間隔を空けて複数形成されている。断熱材充填孔73から、断熱材充填部58内に断熱材が充填される。断熱材は、例えば、ウレタン等からなる発泡断熱材を断熱材充填孔73から断熱材充填部58内に充填し、固化させる。発泡断熱材が断熱材充填部58内に充填されることにより、断熱材が縦枠53および補強部材7に接着して、枠部5を補強する。補強部材7が鋼板製であっても、断熱材が充填されることにより、回転扉20の断熱性能を高めることができる。
【0026】
図5に示すように、上枠51の幅方向Wの端部には、上軸受け部55を備える。右開きの場合と左開きの場合とで枠部5の部品を共通化する場合、上軸受け部55は上枠の幅方向Wの両端部に備える。図4および図5に示すように、下枠52には、下軸受け部56および把手57が形成されている。下軸受け部56は、下枠52の幅方向Wの一端部であって、軸支部106,107に対応する位置に形成されている。把手57は、下軸受け部56と反対側の端部に上方に窪む溝状に形成されている。把手57は、回転扉20の開閉時、ユーザが溝内に指を挿入して回転扉20を把持可能な大きさを有する。補強部材7は、上軸受け部55および下軸受け部56よりも幅方向Wの外側に配置されている。
【0027】
図2から図4に示すように、後面材22は、枠部5の後部の略全域に取り付けられる部材である。後面材22は、補強部材7の後端部より幅方向Wの内側に取り付けられる。後面材22は、断熱性を有する樹脂製の立体成型部材である。図2に示すように、後面材22は、枠部5から後方に突出している部分を有する。後面材22は、回転扉20が閉じたときに第一冷蔵室101内に挿入される。後面材22には、収納棚や、着脱可能な収納棚を係合する棚係合部23が形成されている。
【0028】
パネル支持部9に化粧パネル6が取り付けられることにより、扉本体の前面が覆われている。化粧パネル6は、略平板状の化粧材からなる。化粧パネル6は、例えば、ガラス製、繊維強化樹脂製、セラミック製、人造大理石等の薄板である。化粧パネル6は、冷蔵庫の意匠性を考慮し、色、柄、表面加工が施されている。一例として、ガラス製の化粧パネルの例を示す。
【0029】
化粧パネル62は、枠部5の前面に接着剤により固定されている。化粧パネル62の後面の外縁部がパネル支持部9に当接し、化粧パネル62の後面と前壁532との間に接着剤が配置されて固定されている。接着剤は、塗布タイプの接着剤、接着テープ等、化粧パネル6を枠部5の前面に固定可能な接着材であれば特に限定されない。
【0030】
枠部5と後面材22と、化粧パネル62との間の空間に発泡断熱材が充填される。発泡断熱材は、化粧パネル62の後面にも接触する。発泡断熱材により、化粧パネル62と枠部5との固定状態が安定的に保持される。
【0031】
化粧パネル62の側面は、枠部5の前端部の外周端と同面に配置される。図4および図6に示すように、幅方向Wにおいて、化粧パネル62の横側面80と、前壁532の外側端部534とが同じ位置に配置されている。したがって、枠部5の側壁531は、化粧パネル62の幅方向Wの端部よりも外側に突出しない。枠部5の側壁531は、化粧パネル62の横側面80と同面または幅方向Wの内側に配置されている。化粧パネル62の横側面80は、パネル支持部9を構成する前壁532の外側端部534と同面または幅方向Wの外方に配置される。図3に示すように、化粧パネル62の上部側面83は、上枠51の上面と略等しい高さに配置される。上部側面83は、上枠51の上面と略同面に配置される。
【0032】
図7は、回転扉20の下端部の前部の側面図である。下枠52のパネル支持部9には、前方に突出する係止爪92が形成されている。係止爪92の前方への突出量は、化粧パネル62の厚さより短い。化粧パネル62の下部側面84の後端82が係止爪92上に当接して支持されている。下部側面84の前端81は係止爪92よりも前方に位置する。下部側面84は、後端部が係止爪92に覆われ、その他前側の部分は外部に露出している。下部側面84の露出する部分は、前端81から前後方向Dの中間部よりも後方まで露出している。幅方向Wにおいて、係止爪92は、化粧パネル62の下部側面84よりも狭い範囲に設けられる。したがって、化粧パネル62の下端の幅方向Wの前端の角部が露出している。大人のユーザが冷蔵庫100の前方に立った場合に、下部側面84はユーザの目よりも低い。そのため、係止爪92はユーザに視認され難い。この結果、化粧パネル62の下部側面の全域が露出しているフレームレス構造のように見える。
【0033】
化粧パネル62の幅方向Wの両側の横側面80、上部側面83、および下部側面84は、少なくとも前端81が露出して枠部5に支持されている。すなわち、枠部5は、化粧パネル62の横側面80および上部側面83と同面または内側に配置され、係止爪92は化粧パネル62の下部側面84の後端82を覆っている。したがって、冷蔵室101の前方に立つユーザから枠部5が見え難く、化粧パネル62のみが露出したフレームレスの外観が得られる。この結果、冷蔵庫用扉1の意匠性に優れる。このように、化粧パネルの側面が露出し、枠部5の端部が正面視において化粧パネルの端部と同面または内側に配置されて化粧パネルを支持する部位をフレームレス支持部と称する。化粧パネル62の上端および左右端は、化粧パネル6の第二辺の一例である。係止爪92は端面保護部の一例である。
【0034】
枠部5の側壁531に凹部4が形成されているため、外観上、化粧パネル62が、側壁531から離れているように見える。この結果、化粧パネル62が枠部5から浮いているような外観が得られる。したがって、化粧パネル62を支持する支持体が視認し難く、フレームレスの外観が得られる。回転扉20は、外観上、化粧パネル62が扉から浮遊しているような視覚効果が得られる。
【0035】
次に、冷蔵庫用扉1である引出扉30,40について説明する。引出扉30,40は、引出し17の前部に設けられた扉本体21と、化粧パネル63,64とを含む。第二冷蔵室102および冷凍室103の引出扉30,40は同様の構成を有するため、第二冷蔵室102の引出扉30で説明し、共通する部分には同一の符号を付す。図8は、引出扉30の前後方向Dの縦断面図である。
【0036】
図8および図10に示すように、上枠51には、把手511が形成されている。把手511は、上枠51の前後方向Dの中間部と前端との間に下方に窪む溝形状を有する。把手511は、引出扉30の幅方向Wの全域に形成されており、側壁531に開口している。このため、ユーザが引出扉30を掴む部分へのアクセス性がよい。把手511の両端部が側壁531側に開口していることにより、把手511の内部に入った塵を除去し易く、清掃性に優れる。
【0037】
冷蔵庫用扉1は、化粧パネル63の支持部が外観上視認され難い。加えて、引出扉30の上端部分では、把手511と縦面と化粧パネル63との間の支持部が、化粧パネル63の厚さと同等レベルの厚さである。したがって、把手511の側面視形状が略U字形状であることにより、引出扉30の化粧パネル63が直線的な外観を呈する。図10に示すように、化粧パネル63と把手511との一体感が得られる。加えて、把手511が引出扉30の幅方向Wの両端部に開口しているため、ユーザが把手を視認し易い。
【0038】
枠部5は、図11に示すように、正面視略矩形の枠が一体に形成されている。図9に示すように、枠部5の側壁531は、回転扉20の側壁531と略等しい水平断面形状を有する。枠部5の側壁531の内側には、回転扉20と同様に補強部材7が取り付けられている。補強部材7と側壁531との間に断熱材充填部58が形成されている。引出扉30は、枠部5の後部に引出し用の後面材24が設けられている。後面材24は第二冷蔵室102の開口に挿入可能である。扉本体21の後面の外縁部には、ガスケット16が取り付けられている。ガスケット16は、引出扉30を閉じた状態において、扉本体21と第二冷蔵室102の内壁との隙間を塞ぐように構成されている。
【0039】
上記形態では、枠部5にパネル支持部9が一体に形成されている例を示したが、パネル支持部の構成はこの例に限定されない。パネル支持部は、扉本体に設けられていればよく、例えば、枠部とパネル支持部とが別部材で構成され、枠部にパネル支持部が固定される構成であってもよい。
【0040】
化粧パネル63は、回転扉20の化粧パネル62と同一の部材からなる平板状のパネルである。引出扉30のパネル支持部9は、把手511の前部に設けられている。図12は、引出扉30のパネル支持部9の上部を拡大した側面図である。図8および図12に示すように、パネル支持部9の上部には、把手511の前壁512から前方に僅かに突出する係止爪93が形成されている。係止爪93の前方への突出量は、化粧パネル63の厚さより短い。化粧パネル63の上部側面83の後端82が係止爪93の下部に当接している。上部側面83の前端81は係止爪93よりも前方に位置する。上部側面83は、後端82が係止爪93に覆われ、その他前側の部分は外部に露出している。上部側面83の露出する部分は、前端81から前後方向Dの中間部よりも後方まで露出している。幅方向Wにおいて、係止爪93は、化粧パネル63の上部側面83よりも狭い範囲に設けられる。したがって、化粧パネル63の上端の幅方向Wの前端の角部が露出している。係止爪93は、化粧パネル63の後部に僅かに露出するのみであるため、化粧パネル63の上部側面83の全域が露出しているような視覚効果が得られる。係止爪93は、端面保護部の一例である。
【0041】
引出扉30を開けるとき、ユーザは、把手511の溝内に手を挿入して手前側に引く。化粧パネル63の上部側面83の後端82が係止爪93により覆われるため、ユーザが引出扉30を開けるときに、化粧パネル63の上部側面83の後端82に直接触れない。そのため、ユーザの手触りがよい。加えて、ユーザが触れる頻度が高い部分が係止爪93で覆われるため、化粧パネル63が保護可能である。
【0042】
図13は、引出扉30のパネル支持部9の下部を拡大した側面図である。図8および図13に示すように、下枠52の下端から前方に突出する端面保護部94が形成されている。化粧パネル63の下部側面84が端面保護部94に覆われている。図18では、製造上の寸法公差を考慮して隙間が空いているが、係止爪94は、化粧パネル63の後端82を係止する機能を果たす。端面保護部94は下部側面84の下方に離間している。下部側面84の少なくとも前端81は、係止爪94と離間して露出している。大人のユーザが冷蔵庫100の前方に立った場合に、化粧パネル63の下部側面84はユーザの目より十分に低く、視線に入り難い。そのため、係止爪94が回転扉20の係止爪92よりも前方に突出していても係止爪94が視認され難い。そのため、端面保護部94が化粧パネル63の前端81近傍まで突出していても、化粧パネル63がフレームレスである外観上の統一感を図ることができる。加えて、引出扉30の移動時や、下側の冷凍室103の開閉時、収納物の出し入れ時等に、化粧パネル63の下部にユーザの手や収納物が接触することを防ぐことができる。
【0043】
引出扉30の化粧パネル63は、下部側面84が端面保護部94により保護され、上部側面83の後端82が係止爪93により保護される。図9に示すように、化粧パネル63の幅方向Wの両端の横側面80は露出している。化粧パネル63の幅方向Wの両端の横側面80はパネル支持部9である前壁532の外側端部534と同面に配置されている。引出扉30において、下部側面84および上部側面83は第一辺の一例であり、横側面80は、第二辺の一例である。
【0044】
上述の通り、化粧パネル63が接着剤によりパネル支持部9に固定されるため、化粧パネル63の自重により、パネル支持部9に対して化粧パネル63が僅かに下がる場合がある。加えて、パネル支持部9である枠部5の製造上の僅かな寸法誤差が生じ得る。これらの製造上生じ得る僅かな寸法誤差に起因して、化粧パネル63の外縁部とパネル支持部9の縁部との位置ずれが目立つ場合がある。化粧パネルの外縁部をフレームで覆う従来の冷蔵庫用扉では、このような位置ずれはフレームにより覆われるため、視認されることがない。一方、化粧パネル63はフレームレス構造であるため、化粧パネル63の端部がユーザに視認可能な状態でパネル支持部9に支持されている。これに対し、引出扉30は、化粧パネル63の上部側面83は、係止爪93によりパネル支持部9の上端と位置合わせし、下部側面84と端面保護部94との間が離間しているため、上記寸法誤差を下部側面84と端面保護部94との間の隙間で補う。下部側面84と端面保護部94の部分は、冷蔵庫100の前方に立つユーザから視認され難い部位であるため、位置ずれが認識され難い。
【0045】
化粧パネル62,63,64の側面80,83,84の少なくとも前端81が露出しているため、回転扉20および引出扉30,40は、化粧パネル63を支持する枠が外観上視認され難く、フレームレスの外観を呈する。この結果、冷蔵庫100の外観上、支持枠が見えない特徴的な外観が得られる。
【0046】
次に、複数の冷蔵庫用扉20,30,40におけるパネル支持部9に対する化粧パネル62,63,64の配置について説明する。上述の通り、化粧パネル62,63,64は、少なくとも前端81が露出して支持されるフレームレス構造を有するため、化粧パネル62,63,64の縁部からパネル支持部9の縁部が見えない、あるいは、化粧パネル62,63,64の縁部とパネル支持部9の縁部との位置を揃えることが外観上、より好ましい。冷蔵庫100では、化粧パネル62,63,64の外縁部の一部がパネル支持部9の支持基準位置P20,P30,P40に位置合わせされた状態で支持されている。
【0047】
回転扉20の場合、軸支部107側とは反対側の端部が支持基準位置P20である。具体的には、化粧パネル62の下辺の幅方向Wの端部を下枠52の把手57が設けられている側の端部の下端と位置合わせして、化粧パネル62をパネル支持部9に固定する。回転扉20の把手57側の端部は、ユーザが見る頻度が高い部位である。化粧パネル62とパネル支持部9との位置が揃っていると、意匠上より好ましい。化粧パネル62の上部側面83は係止爪が設けられておらず、化粧パネル62が製造上の誤差の範囲でパネル支持部9に対して上方にずれても目立たない。
【0048】
図1に示すように、引出扉30,40の場合、化粧パネル63,64の上辺の幅方向Wのいずれか一方の端部が支持基準位置P30,P40である。引出扉30,40の場合、化粧パネル63,64の上辺の幅方向Wのいずれか一方の端部を、パネル支持部9の上部の幅方向Wの端部に位置合わせする。上述の通り、化粧パネル63,64の上辺は、引出扉30,40は把手511の係止爪93に位置決めされる。化粧パネル63,64とパネル支持部9との位置ずれは、図13に示すように、端面保護部94の上方の隙間で補われる。図1では、引出扉30,40の支持基準位置を図1の左側の端部で示したが、右側の端部であってもよい。一つの引出扉30,40が筐体105の幅方向Wの全幅に設けられる場合、幅方向Wのいずれか一方の端部を支持基準位置として位置合わせすればよい。
【0049】
実施形態では、第一冷蔵室101、第二冷蔵室102、および冷凍室103用の3つの冷蔵庫用扉20,30,40を設けた例を示したが、冷蔵庫の態様はこれに限定されない。例えば、図14に示すように、6つの冷蔵庫用扉1Aを備える冷蔵庫100A等、冷蔵庫の貯蔵室の数や大きさに応じて任意の数の冷蔵庫用扉を設ければよい。図14に示す変形例の冷蔵庫100Aでは、第一冷蔵室101に両開き式の回転扉201,202が設けられている。回転扉201,202は、幅方向Wの中央部に把手57が設けられ、幅方向Wの両端部で軸支されている。第二冷蔵室102と冷凍室103との間に、小冷凍室109、氷貯蔵室108が設けられている。小冷凍室109および氷貯蔵室108は、引出扉30と同様の引出扉302が設けられている。
【0050】
このような冷蔵庫100Aも、上記実施形態と同様の冷蔵庫用扉1Aを備えることにより、化粧パネル6の支持体が外観上目立たず、各扉201,202,30,302,40の化粧パネル6がフレームレスの外観を呈する。
【0051】
両開きの回転扉201,202の場合、軸支部106,107が筐体105の幅方向Wの両端部に設けられている。回転扉201,202の場合、軸支部107とは反対側の端部が支持基準位置P201、P202である。具体的には、化粧パネル6の下辺の幅方向Wの端部のうち、筐体105の幅方向Wの中央側に配置される端部の下端と、パネル支持部9の下端とを位置合わせして、化粧パネル6をパネル支持部9に固定する。
【0052】
筐体105の幅方向Wに並んで設けられる小冷凍室109および氷貯蔵室108の一対の引出扉302の場合、筐体105の幅方向Wの中央側に配置される端部である支持基準位置P302において、支持パネルの上端と、化粧パネル6の上辺の端部とを位置合わせする。軸支部107とは反対側の端部が支持基準位置P201、P202である。具体的には、化粧パネル6の下辺の幅方向Wの端部のうち、筐体105の幅方向Wの中央側に配置される側の端部の下端と位置合わせして、化粧パネル6をパネル支持部9に固定する。
【0053】
実施形態によれば、枠部5に凹部4が形成されているため、冷蔵庫用扉1Aを前方から見た場合に、枠部5が目立たず、化粧パネル6が、枠部5から離間して浮いているような視覚効果が得られる。この結果、化粧パネル6がフレームレスの外観を呈し、特徴的な外観の冷蔵庫用扉1が得られる。
【0054】
上記実施形態によれば、扉本体21と、枠部5と、化粧パネル6と、補強部材7とを備えるため、補強部材7により枠部5の強度を高めることができる。補強部材7は、パネル支持体の前部および後部に接触した状態で配置される。この結果、補強効果の高い補強部材7を枠部5に設けられ、耐荷重性に優れた冷蔵庫用扉1を提供できる。
【0055】
上記実施形態によれば、補強部材7は、主板74と、前片71と、後片72とを備え、前片71と後片72とが主板74から互いに異なる向きに延びる部材であるため、枠部5を効果的に補強できる。具体的には、主板74を前後方向Dに沿って配置し、前片71を主板74の前端から幅方向Wに沿って配置し、後片72を主板74の後端から前片71とは反対側に幅方向Wに沿って配置する。この構成により、冷蔵庫用扉1の開閉時に枠部5に掛かる負荷に対する耐荷重性を高めることができる。例えば、回転扉20の場合、回転扉20の後面材22に設けられた棚に、収納物が収納されるため回転扉20の後面材22側に荷重が掛かる。加えて、回転扉20の回動時、第一の縦枠53は軸支部106,107に軸支され、軸支された第一の縦枠53とは反対側の第二の縦枠53は軸支部106,107から離れた位置で回動する。回動時、第二の縦枠53の下端部側に下方への力が掛かる結果、第一の縦枠53には、ねじれ方向の荷重が掛かる。これに対し、主板74が縦枠53の前端および後端に接触するように設けられているため、縦枠53が撓むことを防止できる。加えて、前片71が幅方向Wの内側に延出して配置され、後片72が幅方向Wの外側に延出して配置されることにより、主板74が回転扉20の幅方向Wに撓み難い。したがって、回転扉2の枠部5の変形を防止できる。この結果、回転扉20の円滑な開閉動作が可能となる。
【0056】
引出扉30,40の枠部5にも補強部材7が設けられているため、回転扉20と同様に縦枠53が撓むことを防止できる。引出扉30,40の場合、引出し17内に収納物が収納された状態で前後方向Dに移動する。引出扉30,40の開閉時、引出扉30,40の下部中央に下方への力が掛かる結果、引出扉30,40の枠部5に荷重が掛かる。これに対し、枠部5内に上記補強部材7が設けられていることにより、縦枠53が撓み難く、引出扉30,40の形状が安定的に保持される。この結果、引出扉30,40の円滑な開閉動作が可能となる。
【0057】
実施形態によれば、パネル支持部9は、化粧パネル62の下部側面84の少なくとも一部を覆うように配置される端面保護部94と、横側面80を露出させた状態で支持するフレームレス支持部である前壁532の外側端部534と、を含む。この結果、パネル支持部9により化粧パネル62の前端81が露出した状態のフレームレス構造で支持しながら、外部接触により傷が発生しやすい部位は端面保護部94により保護される。したがって、フレームレスの外観を呈しながら、化粧パネル6の傷を防ぎ、耐久性と意匠性に優れた冷蔵庫用扉1を提供できる。
【0058】
実施形態によれば、化粧パネル62の横側面80と前壁532の外側端部534とを同面に配置するため化粧パネル6がフレームレスの外観を呈する。
【0059】
実施形態に係る冷蔵庫100、100Aは、化粧パネル62の横側面80または上部側面83がフレームレス支持部である縦枠53または上枠51よりも外方に配置されていてもよい。この結果、化粧パネル6がフレームレスの外観を呈する。加えて、製造上の寸法誤差が生じても、冷蔵庫100の前方からパネル支持部9が視認されない。
【0060】
実施形態によれば、化粧パネル62の下辺に位置する下部側面84の下方または引出扉30,40の下方に端面保護部94が設けられているため、外部接触により傷が発生しやすい化粧パネル62の下部が保護可能である。
【0061】
実施形態によれば、化粧パネル62,63,64の端部がパネル支持部9の支持基準位置P20,P30,P40に設けられているため、製造上の誤差に起因する化粧パネルとパネル支持部との位置ずれが外観上目立たない冷蔵庫用扉1を提供できる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1,1A…冷蔵庫用扉、6,62,63,64…化粧パネル、9…パネル支持部、20,30,40,201,202,302…冷蔵庫用扉、21…扉本体、92,94…端面保護部、100,100A…冷蔵庫
図1
図2
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