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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/29 20060101AFI20240527BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/58 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240527BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/34
A61K8/49
A61K8/58
A61K8/42
A61K8/23
A61K8/19
A61K8/891
A61Q5/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020068248
(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公開番号】P2021098683
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019072119
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019234992
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】中岡 志保
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-239626(JP,A)
【文献】特開2001-199850(JP,A)
【文献】特開2007-308393(JP,A)
【文献】特開昭58-124713(JP,A)
【文献】特開昭60-087210(JP,A)
【文献】特開昭61-083111(JP,A)
【文献】特開平11-012135(JP,A)
【文献】特開2017-114815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量が4.0質量%以上12.0質量%以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下であり、
水の含有量が40質量%以下であり、
成分(D)が、揮発性の極性溶媒を含有し、
一時染毛剤である、毛髪化粧料。
【請求項2】
成分(D)が、エタノールを30質量%以上含有する請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が、0.5以上2.0以下である請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が、0.5以上1.4以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量が4.0質量%以上12.0質量%以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下であり、
水の含有量が40質量%以下であり、
成分(D)が、揮発性の極性溶媒を含有する組成物の、一時染毛剤である毛髪化粧料としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
染毛剤は、酸化染料を用いて頭髪中で発色させることで着色する永久染毛剤(ヘアカラー等)、直接染料を頭髪に浸透吸収させることで着色する半永久染毛剤(ヘアマニキュア等)、頭髪上に着色剤(主として顔料)を含む着色皮膜を形成させることで着色する一時染毛剤(ヘアマスカラ等)等に分類される。このうち、一時染毛剤は、頭髪へのダメージが少なく、洗髪により容易に除去でき、簡便に用いることができることから、気軽に毛染めを楽しむことができるものとして好まれている。従来の一時染毛剤としては、着色剤を着色皮膜として頭髪上に固着させるとともに、この着色皮膜に耐水性を付与し、また皮膚や衣類への色移りを防止するため、皮膜形成ポリマーを含有させた一時染毛剤組成物等が知られている。
【0003】
一時染毛剤の中でも、白髪染めを目的とするものと、ファッション性向上を目的として毛髪に鮮やかな色を付与するものとがある。
後者に関し、黒髪に鮮やかな色を付与するための一時染毛剤が検討されている。例えば特許文献1には、毛髪着色後もスタイリング性を損なわず、くし通り性が良く、摩擦時の色落ちや着色皮膜の剥離を伴わず耐摩擦性に優れ、更に黒髪に鮮やかな発色を付与するために十分量塗布した場合でも洗い落ち性に優れる一時染毛剤組成物として、顔料と、所定の比率の2種のオルガノポリシロキサンとを含有する組成物が開示されている。
特許文献2、3には、毛髪着色後もべたつきやごわつきがなく、くし通り性、耐摩擦性、耐水性、洗い落ち性に優れる一時染毛剤組成物として、それぞれ、所定の構成単位を含む非架橋型アニオン性共重合体とポリエーテル変性シリコーンとを所定の比率で含有し、かつ顔料を含有する組成物、及び、所定の構成単位を含む2種の共重合体と、顔料とを含有する組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-114815号公報
【文献】特開2019-6690号公報
【文献】特開2019-6691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一時染毛剤はさまざまな使用形態で用いられるが、ブラシ、櫛あるいはスポンジなどの塗布具を用いて塗布するタイプが好適である。このようなタイプの一時染毛剤では、毛髪への塗布後は速やかに乾燥して、手などに着色剤が付着しないことが求められる。また一時染毛剤としては、染毛後に皮膚や衣類への色移りが少なく、染毛後の毛髪にごわつきが生じないことも重要である。
さらに、ファッション性向上を目的とした一時染毛剤の場合には明るい発色が好まれるが、従来の一時染毛剤の発色は下地の髪色に影響されやすく、同じ組成の一時染毛剤を用いた場合に、黒髪などの暗い色の毛髪と、ブリーチ毛などの明るい色の毛髪のどちらを染めるかによって発色度合いが異なっていた。例えば、暗い色の毛髪を明るい色に染めようとすると色の変化が見えにくく、一方で、暗い色の毛髪において明るい発色が得られるような染毛剤では、明るい色の毛髪を染めた場合に発色が派手すぎてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、一時染毛剤として好適であり、塗布後の乾燥が速く、染毛後の皮膚や衣類への色移りが少なく毛髪の感触も良好で、発色挙動が下地の髪色の影響を受けにくく一定の染毛効果を付与することができる毛髪化粧料に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、干渉パール顔料及びその他の顔料を所定の量及び比率で含有するとともに、皮膜形成性ポリマー及び非水溶媒を含有し、水の含有量が所定量以下である毛髪化粧料が上記要求を満たすことを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、成分(A)及び成分(B)の合計含有量が2.0質量%以上12.0質量%以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下であり、水の含有量が40質量%以下である毛髪化粧料。
[2]下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、成分(A)及び成分(B)の合計含有量が2.0質量%以上12.0質量%以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下であり、水の含有量が40質量%以下である組成物の、毛髪化粧料としての使用。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一時染毛剤として好適であり、塗布後の乾燥が速く、染毛後の皮膚や衣類への色移りが少なく毛髪の感触も良好で、発色挙動が下地の髪色の影響を受けにくく一定の染毛効果を付与し得る毛髪化粧料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[毛髪化粧料]
本発明の毛髪化粧料は、下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、成分(A)及び成分(B)の合計含有量が2.0質量%以上12.0質量%以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下であり、水の含有量が40質量%以下である。
本発明の毛髪化粧料は上記構成を有することにより、塗布後の乾燥が速く、一時染毛剤として使用した場合には染毛後の皮膚や衣類への色移りが少なく毛髪の感触も良好で、発色挙動が下地の髪色の影響を受けにくく一定の染毛効果を付与することができる。ここでいう「発色挙動が下地の髪色の影響を受けにくく一定の染毛効果を付与する」とは、より詳細には、下地の髪色が明るい色であるか暗い色であるかによらず、染毛前後の毛髪の明るさ(明度)を大きく変えずに、塗布色に応じた色変化を生じさせることを意味する。
【0010】
本発明において上記効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
一時染毛剤等の染毛剤には、着色剤として一般に顔料が使用される。しかしながら、例えば着色剤として有機顔料のみを用いた一時染毛剤では、黒髪などの暗い色の毛髪を染めると色の変化が見えにくいため、十分な発色を得るためには有機顔料を多く配合する必要があった。一方で、有機顔料を多く配合した一時染毛剤は、ブリーチ毛などの明るい色の毛髪に適用すると発色が派手すぎてしまい実用的ではなかった。
上記のように一時染毛剤の発色度合いが下地の髪色に影響されやすいという課題に対し、本発明者らが鋭意検討した結果、顔料成分として、成分(A)である干渉パール顔料と、成分(A)以外の顔料(成分(B))とを所定の量及び比率で用いることで上記課題を解決できることを見出した。
成分(A)である干渉パール顔料は、光の反射干渉作用によりパール状の光沢を呈する顔料であって、コア粒子の表面にコーティング層を有しており、該コーティング層は反射干渉層を含み且つ透光性を有するものをいう。コア粒子は通常、半透明の板状粒子であり、反射干渉層は二酸化チタン等の無色金属酸化物、又は無色金属から構成されている。またコーティング層に含まれる反射干渉層の厚さによってその反射光由来の波長色を呈することはあるが、コーティング層自体は透光性を有している。
よって成分(A)を単独で明るい色の毛髪に適用しても色の変化は見えにくいが、暗い色の毛髪に適用すると、光の反射干渉作用によりキラキラした光沢が付されると共に色の変化が見えやすくなる。そのため成分(A)を用いると、成分(B)である有機顔料等の着色剤を多量に配合しなくても、暗い色の毛髪に適用した場合に十分な発色を呈する毛髪化粧料が得られると考えられる。また当該毛髪化粧料を明るい色の毛髪に適用した場合には、毛髪の明るさを大きく変えずに所望の発色を付与できると考えられる。
【0011】
本発明の毛髪化粧料においては、成分(A)及び成分(B)の合計含有量は2.0質量%以上12.0質量%以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下である。この範囲とすることで、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に発色挙動が下地の髪色の影響を受けにくくなり、一定の染毛効果を付与することができると考えられる。
また本発明の毛髪化粧料は、成分(C)を含有することで、耐摩耗性、耐水性、洗髪除去性、柔軟性、高発色性等を付与でき、一時染毛剤として用いた際に染毛後の皮膚や衣類への色移りが少なく、毛髪の感触も良好になる。さらに、成分(D)として非水溶媒を含有し、かつ水の含有量が40質量%以下であることで、毛髪への塗布後の乾燥が速く、使用時の取り扱い性が良好になる。
【0012】
毛髪化粧料としては、シャンプー、リンス、コンディショニング剤、トリートメント剤(洗い流さないタイプを含む)、スタイリング剤、染毛剤、育毛剤等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果の有効性の観点から、本発明の毛髪化粧料は好ましくは染毛剤であり、より好ましくは一時染毛剤である。
【0013】
<成分(A):干渉パール顔料>
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)として、干渉パール顔料を含有する。本発明の毛髪化粧料は成分(A)を含有することで、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に、前述の作用機構により発色挙動が下地の髪色の影響を受けにくくなり、一定の染毛効果を付与することができる。
干渉パール顔料は前記の通り、光の反射干渉作用によりパール状の光沢を呈する顔料であって、コア粒子の表面にコーティング層を有しており、該コーティング層は反射干渉層を含み且つ透光性を有するものである。本発明においては、干渉パール顔料におけるコーティング層は有色金属酸化物及び有色金属を実質的に含有しない。なお、「実質的に含有しない」とは、コーティング層自体の透光性がなくなる範囲の有色金属酸化物及び有色金属をいずれもコーティング層内に含有していないという意味であり、コーティング層中の有色金属酸化物及び有色金属の含有量は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。有色金属酸化物としては、酸化鉄、酸化銅、酸化コバルト、酸化クロム、酸化ニッケル等が挙げられ、有色金属としては、金、銅等が挙げられる。
本発明において干渉パール顔料は、着色パール顔料とは区別される。着色パール顔料は光の反射干渉作用によりパール状の光沢を呈する顔料であって、コア粒子の表面にコーティング層を有しており、該コーティング層は上記有色金属酸化物又は有色金属により着色されており透光性を有さない。従って干渉パール顔料とは異なり、着色パール顔料は隠蔽性を有している。
なお、コア粒子の表面にコーティング層を有しており、該コーティング層が無色金属酸化物又は無色金属から構成される反射干渉層と、該反射干渉層の表面に形成された、有機顔料から構成される着色層とを含むものは一般に複合パール顔料と称されることがある。しかしながら、コーティング層が全体として透光性を有するものである限り、本発明においては干渉パール顔料に含まれる。
【0014】
成分(A)を構成するコア粒子の材質としては、雲母(マイカ)、セリサイト、タルク、カオリン、スメクタイト属粘土鉱物、オキシ塩化ビスマス、合成マイカ、合成セリサイト、板状シリカ、板状アルミナ等が挙げられ、これらの中でも雲母が好ましい。
成分(A)のコーティング層に含まれる反射干渉層は、好ましくは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等の無色金属酸化物や、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、ケイ素、アルミニウム等の無色金属を主成分とする薄膜からなる層であり、単層構造でも多層構造でもよい。反射干渉層を構成する無色金属酸化物又は無色金属として、より好ましくはチタン及び二酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上であり、さらに好ましくは二酸化チタンである。
成分(A)である干渉パール顔料は、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に下地の髪色の影響によらず一定の染毛効果を付与する観点から、二酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)であることがより好ましい。
【0015】
成分(A)を構成するコア粒子と反射干渉層との比率には特に制限はないが、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に下地の髪色の影響によらず一定の染毛効果を付与する観点から、コア粒子と、反射干渉層を構成する無色金属酸化物及び無色金属との質量比(コア粒子/反射干渉層を構成する無色金属酸化物及び無色金属)は、好ましくは25/75~80/20、より好ましくは30/70~70/30、さらに好ましくは50/50~65/35である。
【0016】
成分(A)の平均粒径は、体積中位粒径(D50)として、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。成分(A)の体積中位粒径(D50)の具体的範囲は、好ましくは2~40μm、より好ましくは5~35μm、さらに好ましくは10~30μmである。成分(A)のD50が上記範囲であれば、毛髪化粧料を一時染毛剤として用いた際に下地の髪色の影響によらず一定の染毛効果を付与できる。
成分(A)のD50は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定される値である。
【0017】
成分(A)として用いることができる市販の干渉パール顔料としては、メルク社製の「Timiron Super Blue」(雲母チタン、マイカ:51質量%、二酸化チタン:49質量%、D50:18~25μm)、「Timiron Super Gold」(雲母チタン、マイカ:60質量%、二酸化チタン:40質量%、D50:18~25μm)、「Timiron Super Green」(雲母チタン、マイカ:55質量%、二酸化チタン:45質量%、D50:18~25μm)、「Timiron Super Red」(雲母チタン、マイカ:52質量%、二酸化チタン:48質量%、D50:18~25μm)等が挙げられる。
【0018】
本発明の毛髪化粧料中の成分(A)の含有量は、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に下地の髪色の影響によらず一定の染毛効果を付与する観点から、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上、よりさらに好ましくは3.5質量%以上、よりさらに好ましくは4.0質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9.5質量%以下、さらに好ましくは9.0質量%以下、よりさらに好ましくは8.5質量%以下である。本発明の毛髪化粧料中の成分(A)の含有量の具体的範囲は、好ましくは1.5~10質量%、より好ましくは2.5~10質量%、さらに好ましくは3.0~9.5質量%、よりさらに好ましくは3.5~9.0質量%、よりさらに好ましくは4.0~8.5質量%である。
【0019】
<成分(B):成分(A)以外の顔料>
本発明の毛髪化粧料は、成分(B)として、成分(A)以外の顔料を含有する。本発明の毛髪化粧料は成分(B)を含有することで、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に所望の色合いを付与することができ、さらに成分(A)と併用することで、発色挙動が下地の髪色の影響を受けにくくなり、一定の染毛効果を付与することができる。
成分(B)としては、形状(球状、針状、板状等)や粒子径、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができ、成分(A)以外の無機顔料、有機顔料が挙げられる。
【0020】
成分(A)以外の無機顔料としては、カーボンブラック、黒酸化鉄、黒酸化チタン等の無機黒色系顔料;酸化鉄(べんがら)、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の無機白色系顔料;金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、真鍮粉等の金属粉末顔料;酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆雲母、黒酸化鉄被覆雲母チタン、黄酸化鉄被覆雲母、酸化鉄・黒酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄・紺青被覆雲母チタン、酸化鉄被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆オキシ塩化ビスマス雲母等の着色パール顔料等が挙げられる。
【0021】
有機顔料としては、赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色219号、赤色220号、赤色221号、赤色226号、赤色228号、赤色404号、赤色405号、だいだい色203号、だいだい色204号、だいだい色401号、黄色205号、黄色401号、青色404号等が挙げられる。
【0022】
上記以外の成分(B)として、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層体、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム体等の光輝性粉体を用いることもできる。
上記顔料は所望の色合いに応じて、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明の毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に、下地の髪色の影響によらず一定の染毛効果を付与する観点から、本発明の毛髪化粧料において、下記方法(I)で測定される色相差ΔH°の絶対値が、好ましくは30以下であり、より好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下である。色相差ΔH°の絶対値が上記範囲となるよう選択することで、下地の髪色の影響によらず一定の染毛効果を付与する効果が高くなる。
方法(I):毛髪化粧料について、顔料として成分(A)のみを含有する試料A(毛髪化粧料に成分(B)を配合せず、成分(B)と同量のエタノールに置換した試料)と、顔料として成分(B)のみを含有する試料B(毛髪化粧料に成分(A)を配合せず、成分(A)と同量のエタノールに置換した試料)とを調製する。試料A 2gを2cm×2cmの黒地の板上、試料B 2gを2cm×2cmの白地の板上に均一に塗布し、25℃で1時間静置して自然乾燥させる。それぞれの板の試料塗布面の色相を色差計を用いて測定し、その差分から色相差ΔH°の絶対値を求める。
上記色相差ΔH°の絶対値は、例えば色差計(CR-400、コニカミノルタジャパン(株)製)を用いて実施例に記載の方法により測定できる。
【0024】
本発明の毛髪化粧料中の成分(B)の含有量は、後述する成分(A)及び成分(B)の合計含有量、並びに成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が所定の範囲となる限り特に制限されないが、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に所望の色合いを付与する観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。また、一時染毛剤として用いた際に下地の髪色の影響によらず一定の染毛効果を付与する観点から、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、さらに好ましくは6.0質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下、よりさらに好ましくは4.0質量%以下である。本発明の毛髪化粧料中の成分(B)の含有量の具体的範囲は、好ましくは0.5~8.0質量%、より好ましくは0.5~7.0質量%、さらに好ましくは0.8~6.0質量%、よりさらに好ましくは0.8~5.0質量%、よりさらに好ましくは1.0~4.0質量%である。
【0025】
本発明の毛髪化粧料中、成分(A)及び成分(B)の合計含有量は、一時染毛剤として用いた際に黒髪などの暗い色の毛髪に対する染毛効果を向上させる観点から、2.0質量%以上であり、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは3.5質量%以上、さらに好ましくは4.0質量%以上、よりさらに好ましくは5.0質量%以上、よりさらに好ましくは6.0質量%以上である。また、当該合計含有量は12.0質量%以下であり、好ましくは11.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、さらに好ましくは9.5質量%以下である。本発明の毛髪化粧料中の成分(A)及び成分(B)の合計含有量の具体的範囲は、2.0~12.0質量%であり、好ましくは3.0~11.0質量%、より好ましくは3.5~11.0質量%、さらに好ましくは4.0~10.0質量%、よりさらに好ましくは5.0~10.0質量%、よりさらに好ましくは6.0~9.5質量%である。
【0026】
また本発明の毛髪化粧料は、一時染毛剤として用いた際に所望の色合いを付与することができ、ブリーチ毛などの明るい色の毛髪に対する明度変化を小さくする観点から、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が、0.30以上、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.50以上、さらに好ましくは0.60以上であり、0.96以下、好ましくは0.94以下、より好ましくは0.92以下、さらに好ましくは0.90以下である。当該質量比[(A)/{(A)+(B)}]の具体的範囲は、0.30~0.96であり、好ましくは0.40~0.94、より好ましくは0.50~0.92であり、さらに好ましくは0.60~0.90である。
【0027】
<成分(C):皮膜形成性ポリマー>
本発明の毛髪化粧料は、成分(C)として皮膜形成性ポリマーを含有する。本発明の毛髪化粧料は成分(C)を含有することで、耐摩耗性、耐水性、洗髪除去性、柔軟性、高発色性等を付与でき、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合には、染毛後の皮膚や衣類への色移りが少なく、毛髪の感触も良好にすることができる。
成分(C)としては、毛髪表面に皮膜を形成し得るポリマーであって、毛髪化粧料において通常用いられるものであれば特に制限されないが、耐摩耗性、耐水性、洗髪除去性、柔軟性、高発色性等を付与し、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合には、染毛後の色移りを少なくし、毛髪の感触を良好にする観点から、シリコーン構造を有する皮膜形成性ポリマーが好ましい。シリコーン構造を有する皮膜形成性ポリマー(以下「シリコーン構造含有皮膜形成性ポリマー」ともいう)とは、少なくとも一部にシリコーン構造を有しかつ皮膜形成能を有するポリマーをいい、「シリコーン構造」とは、下記一般式(I)で表される構造をいう。
【化1】

一般式(I)中、Rはそれぞれ独立に炭素数1以上12以下の炭化水素基であり、pは1以上の整数である。Rは、好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基であり、より好ましくは炭素数1以上12以下のアルキル基又はフェニル基、さらに好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基、よりさらに好ましくはメチル基である。
当該シリコーン構造はポリマー中、主鎖、側鎖のいずれに存在していてもよいが、主鎖に存在していることが好ましい。シリコーン構造がポリマー主鎖に存在する場合、その結合形態には特に制限はなく、例えば、シリコーン構造がポリマー主鎖の末端に存在していてもよいし、ポリマー主鎖中にシリコーン構造がブロック状又はランダム状に結合した共重合ポリマーであってもよい。また、シリコーン構造を有する化合物によりグラフト変性されたポリマーも用いることができる。
【0028】
シリコーン構造含有皮膜形成性ポリマーとしては、耐摩耗性、耐水性、洗髪除去性、柔軟性、高発色性等を付与し、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合には、染毛後の色移りを少なくし、毛髪の感触を良好にする観点から、ポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンが好ましい。具体的には、主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサンである。
【化2】

〔式中、R1は水素原子、炭素数1以上22以下のアルキル基、炭素数7以上22以下のアラルキル基、又は炭素数6以上22以下のアリール基を示し、nは2又は3を示す。〕
【0029】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントは、オルガノポリシロキサンセグメントを構成する任意のケイ素原子に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して少なくとも2つ結合することが可能であるが、両末端を除く1以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることが好ましく、両末端を除く2以上のケイ素原子に上記アルキレン基を介して結合していることがより好ましい。
オルガノポリシロキサンセグメントとポリ(N-アシルアルキレンイミン)との結合において介在するヘテロ原子を含むアルキレン基としては、窒素原子、酸素原子及び/又はイオウ原子を1~3個含む、炭素数2以上20以下のアルキレン基が挙げられる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。
【化3】
【0030】
ポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントを構成するN-アシルアルキレンイミン単位は前記一般式(1)で表されるものである。
前記一般式(1)のR1における、炭素数1以上22以下のアルキル基としては、例えば、炭素数1以上22以下の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が例示され、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基等が例示される。これらの中でも、好ましくは炭素数1以上10以下、より好ましくは炭素数1以上6以下、さらに好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基である。
【0031】
前記一般式(1)のR1における、炭素数7以上22以下のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基等が例示される。これらの中でも、好ましくは炭素数7以上14以下、より好ましくは炭素数7以上10以下のアラルキル基である。
【0032】
前記一般式(1)のR1における、炭素数6以上22以下のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が例示される。これらの中でも、好ましくは炭素数6以上12以下、より好ましくは炭素数6以上9以下のアリール基である。
【0033】
1は、好ましくは炭素数1以上22以下、より好ましくは炭素数1以上10以下、さらに好ましくは炭素数1以上6以下、よりさらに好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基である。
【0034】
好ましいポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサンしては、例えば、ポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を用いることができる。
上記の中でも、耐摩耗性、耐水性、洗髪除去性、柔軟性、高発色性等を付与し、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合には、染毛後の色移りを少なくし、毛髪の感触を良好にする観点から、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサンが好ましく、ポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)メチルシロキサン(N-プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体;ポリシリコーン-9)がより好ましい。
【0035】
成分(C)として、上記以外の、シリコーン構造を有さない皮膜形成性ポリマーも用いることができ、その分類として、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、及び両性ポリマーが挙げられる。
【0036】
上記カチオン性ポリマーとしては、例えば、ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩(H・CポリマーIS(M)、H・Cポリマー2等(大阪有機化学工業(株)製)、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体(スタイラーゼW-20(アシュランド社製))、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(マーコート100(ルブリゾル社製))、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(マーコート550(ルブリゾル社製))、ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩(ガフカット734(アシュランド社製))、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(ガフカット440(アシュランド社製))、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体(ソフケア KG-101W-E、ソフケア KG-301P等(花王(株)製))、アンモニウム変性ヒドロキシエチルセルロース(ソフトキャット SL-30 ポリマー(ダウケミカル社製))、アクリルアミド/アクリル酸DMAPA/メタクリル酸メトキシPEGコポリマー、等が挙げられる。
【0037】
上記アニオン性ポリマーとしては、例えば、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体(プラスサイズL-9540B、プラスサイズL-53P、プラスサイズL-9909B等(互応化学工業(株)製))、アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド共重合体(Dermacryl 79(アクゾノーベル社製))、酢酸ビニル・クロトン酸・ネオデカン酸ビニル共重合体(RESYN 28-2930(アクゾノーベル社製))、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体(ウルトラホールド8、ウルトラホールドStrong(BASF社製))、アクリル酸アルキル共重合体(アニセットNF-1000、アニセットHS-300等(大阪有機化学工業(株)製))、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール-25・ジメチコン・アクリレーツ共重合体(ルビフレックスSILK(BASF社製))、イソホロンジイソシアネート・ジメチロールプロピオン酸・(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)4,4’-イソプロピリデンジフェノール共重合体(DynamX(アクゾノーベル社製))等が挙げられる。
【0038】
上記ノニオン性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(BASF社製))、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA73E、ルビスコール37E(BASF社製))、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体(ガントレッツA-425、ガントレッツES-225等(アシュランド社製)、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体(ルビセットクリア(BASF社製)、ポリビニルカプロラクタム(ルビスコールプラス(BASF社製))、ポリシリコーン-28等が挙げられる。
【0039】
上記両性ポリマーとしては、例えば、アクリレーツ・アクリル酸ラウリル・アクリル酸ステアリル・メタクリル酸エチルアミンオキシド共重合体(ダイヤフォーマーZ651(三菱ケミカル(株)製))、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(ユカフォーマーM75、ユカフォーマーR205 等(三菱ケミカル(株)製))、オクチルアクリルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(アンフォーマー28-4910(アクゾノーベル社製))、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(アンフォーマーSH30(アクゾノーベル社製))等が挙げられる。
【0040】
本発明の毛髪化粧料中の成分(C)の含有量は、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合の染毛後の色移りの少なさの観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、よりさらに好ましくは4質量%以上である。また、毛髪化粧料中の成分(C)の含有量は、染毛後の毛髪の感触向上の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは12質量%以下である。毛髪化粧料中の成分(C)の含有量の具体的範囲は、好ましくは1~30質量%、より好ましくは2~20質量%、さらに好ましくは3~15質量%、よりさらに好ましくは4~12質量%である。
【0041】
本発明の毛髪化粧料中、成分(A)に対する成分(C)の質量比[(C)/(A)]は、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合の、染毛後の色移りの少なさの観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上、よりさらに好ましくは1.0以上であり、ブリーチ毛などの明るい色の毛髪に対する明度変化を小さくする観点から、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、よりさらに好ましくは2以下である。質量比[(C)/(A)]の具体的範囲は、好ましくは0.1~10、より好ましくは0.5~5、さらに好ましくは0.8~3、よりさらに好ましくは1.0~2である。
【0042】
本発明の毛髪化粧料中、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]は、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合の、染毛後の色移りの少なさの観点から、0.5以上であって、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上であり、染毛後の毛髪の感触向上の観点から、2.4以下であって、より好ましくは2.2以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.4以下、よりさらに好ましくは1.2以下である。質量比[(C)/{(A)+(B)}]の具体的範囲は、0.5~2.4であって、好ましくは0.5~2.2、より好ましくは0.5~2.0であり、さらに好ましくは0.5~1.4、よりさらに好ましくは0.6~1.4、よりさらに好ましくは0.7~1.4、よりさらに好ましくは0.7~1.2、よりさらに好ましくは0.8~1.2である。
【0043】
<成分(D):非水溶媒>
本発明の毛髪化粧料は、成分(A)~(C)、並びにその他の成分を分散又は溶解する目的で、成分(D)として非水溶媒を含有する。非水溶媒は水以外の溶媒であり、毛髪化粧料中の各成分を分散又は溶解する観点、塗布性及び塗布後の乾燥速度の向上の観点から、揮発性の極性溶媒を含有することが好ましい。
揮発性の極性溶媒としては、前記の観点から、好ましくは炭素数6以下、より好ましくは炭素数4以下の、アルコール、エステル及びケトンからなる群から選ばれる1種以上が挙げられ、炭素数4以下のアルコールを含有することが好ましい。炭素数4以下のアルコールとしては、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等が挙げられる。当該アルコールの中でも、エタノール及び2-プロパノールからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、塗布後の乾燥速度の向上の観点から、エタノールがさらに好ましい。
成分(D)中のエタノール及び2-プロパノールからなる群から選ばれる1種以上の含有量は、塗布性及び塗布後の乾燥速度の向上の観点、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に、黒髪などの暗い色の毛髪、及びブリーチ毛などの明るい色の毛髪に対しても明度変化を小さくする観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは85質量%以上であり、上限は100質量%である。また、成分(D)中のエタノールの含有量は、塗布性及び塗布後の乾燥速度の向上の観点、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に、黒髪などの暗い色の毛髪、及びブリーチ毛などの明るい色の毛髪に対しても明度変化を小さくする観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、上限は100質量%である。
【0044】
本発明の毛髪化粧料中の成分(D)の含有量は、毛髪化粧料中の各成分を分散又は溶解する観点、塗布性及び塗布後の乾燥速度の向上の観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは95質量%以下である。
【0045】
また本発明の毛髪化粧料は、塗布後の乾燥が速く、使用時の取り扱い性が良好になる観点、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合に、ブリーチ毛などの明るい色の毛髪に対する明度変化を小さくする観点から、水の含有量が40質量%以下であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下であり、よりさらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは2質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下であり、下限は0質量%である。
【0046】
<シリコーン油>
本発明の毛髪化粧料は、成分(C)の分散性向上の観点、及び、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合の、染毛後の毛髪の感触向上の観点から、さらにシリコーン油を含有することができる。
シリコーン油としては、25℃における動粘度が200mm/s以下の、フェニル変性シリコーン及びジメチルシリコーンが好ましいものとして挙げられる。
フェニル変性シリコーンとしては、メチルフェニルポリシロキサン(ジフェニルジメチコン)、フェニルメチコン、フェニルトリメチコン等が挙げられる。具体的には、KF-50-100cs(25℃の動粘度100mm/s)、KF-53(同175mm/s)、KF-56(同14mm/s)(以上、信越化学工業(株)製)、SH 556 FLUID(同14mm/s)(東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
ジメチルシリコーンとしては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)が挙げられる。具体的には、KF-96A-200cs(25℃の動粘度200mm/s)、KF-96A-100cs(同100mm/s)、KF-96A-50cs(同50mm/s)、KF-96A-30cs(同30mm/s)、KF-96A-20cs(同20mm/s)、KF-96A-10cs(同10mm/s)、KF-96A-6cs(同6mm/s)、KF-96A-5cs(同5mm/s)、KF-96L-2cs(同2mm/s)、KF-96L-1.5cs(同1.5mm/s)、KF-96L-1cs(同1mm/s)(以上、信越化学工業(株)製)、SH200 C Fluid 200cs(同200mm/s)、SH200 C Fluid 100cs(同100mm/s)、SH200 C Fluid 50cs(同50mm/s)、SH200 C Fluid 30cs(同30mm/s)、SH200 C Fluid 20cs(同20mm/s)、SH200 C Fluid 10cs(同10mm/s)、SH200 C Fluid 6cs(同6mm/s)、SH200 C Fluid 5cs(同5mm/s)、SH200 C Fluid 2CS(同2mm/s)、SH200 C Fluid 1.5cs(同1.5mm/s)、SH200 C Fluid 1cs(同1mm/s)(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)等が挙げられる。
【0047】
シリコーン油は、成分(C)の分散性向上の観点、及び、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合の、染毛後の毛髪の感触向上の観点から、25℃における動粘度が、好ましくは200mm/s以下、より好ましくは150mm/s以下、さらに好ましくは100mm/s以下である。上記動粘度は、JIS Z8803:2011「液体の粘度測定方法」に基づき、ウベローデ粘度計を用いて25℃で測定できる。
【0048】
上記シリコーン油は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
毛髪化粧料中のシリコーン油の含有量は、成分(C)の分散性向上の観点、及び、毛髪化粧料が一時染毛剤である場合の、染毛後の毛髪の感触向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。毛髪化粧料中のシリコーン油の含有量の具体的範囲は、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.5~15質量%、さらに好ましくは1~10質量%である。
【0049】
<その他の成分>
本発明の毛髪化粧料には、前記成分以外に、通常毛髪化粧料に用いられる成分を添加することができる。当該成分としては、界面活性剤;油脂、難揮発性炭化水素類等の油剤;増粘剤;LPG(液化石油ガス)、ペンタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等の噴射剤;その他、香料、防腐剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、植物抽出物等を例示することができる。
【0050】
本発明の毛髪化粧料の製造方法は特に制限されず、前記各成分を公知の装置で撹拌、混合することにより製造できる。
【0051】
<剤型、製品形態>
本発明の毛髪化粧料の剤型は特に制限されず、例えば一時染毛剤である場合、その剤型としてはフォーム、ジェル、スプレー、クリーム、ワックス等の形態とすることができる。ブラシ、櫛あるいはスポンジなどの塗布具を用いて、頭髪の目的の部位に一時染毛剤を塗布する観点からは、一時染毛剤は後述する粘度範囲の液状であることが好ましい。
また、一時染毛剤の製品形態としては、マスカラタイプであることが好ましい。マスカラタイプの製品形態であると、ブラシあるいはスポンジなどの塗布具を用いて、頭髪の目的の部位に容易に一時染毛剤を塗布できる。また、比重の高い成分(A)及び成分(B)が一時染毛剤の液中で沈降しやすいため、塗布前にマスカラ容器を手で振盪させて再分散させてから使用でき、取り扱い性に優れ、携帯性の点でも好適である。
【0052】
毛髪化粧料が一時染毛剤である場合、25℃における粘度は、塗布操作中の液垂れを少なくする観点から、0mPa・s超であればよく、塗布操作中の液垂れや液の飛び散りを抑制する観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、さらに好ましくは10mPa・s以上であり、塗布体への保持量を多くして、液切れを起こさずに毛髪の根元から毛先まで一度の操作でムラなく塗布する観点から、好ましくは3,000mPa・s以下、より好ましくは2,000mPa・s以下、さらに好ましくは1,500mPa・s以下、よりさらに好ましくは1,000mPa・s以下、よりさらに好ましくは800mPa・s以下、よりさらに好ましくは500mPa・s以下、よりさらに好ましくは300mPa・s以下、よりさらに好ましくは150mPa・s以下である。
なお、上記粘度は、測定適応範囲に応じたローターを用いたB型粘度計により、所定の回転速度、温度25±1℃で1分間測定したときの値である。具体的には、毛髪化粧料70~80gを容量100~200mLのスクリュー管に入れ、均一になるよう手で約30cmの幅で100回、30秒間振盪し、さらに、1回/秒の速さで30回倒立させた直後に、B型粘度計(TV-10M、東機産業(株)製)を用い、粘度が100mPa・s以下ではローターNo.M1を用い、回転速度100rpm、100~500mPa・sの範囲ではローターNo.M2を用い、回転速度60rpm、500~2,000mPa・sの範囲ではローターNo.M3を用い、回転速度60rpm、2,000~10,000mPa・sの範囲ではローターNo.M4を用い、回転速度60rpmの条件で粘度が測定される。
【0053】
[使用]
本発明はまた、下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、成分(A)及び成分(B)の合計含有量が2.0質量%以上12.0質量%以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下であり、水の含有量が40質量%以下である組成物の、毛髪化粧料としての使用を提供する。該毛髪化粧料は、一時染毛剤であることが好ましい。
上記組成物に含有される成分、及びその好ましい形態は、前記毛髪化粧料と同じである。
例えば上記組成物及び毛髪化粧料が一時染毛剤である場合、その使用方法としては、毛髪に塗布するなどして適用した後、洗い流さずに放置して使用される。
【0054】
上述の実施形態に関し、本発明は以下の毛髪化粧料、組成物の使用及び染毛方法を開示する。
<1>
下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量が2.0質量%以上12.0質量%以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下であり、
水の含有量が40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは2質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下である毛髪化粧料。
<2>
成分(D)が、エタノールを30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、100質量%以下含有する<1>に記載の毛髪化粧料。
<3>
成分(A)及び成分(B)の合計含有量が好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは3.5質量%以上、さらに好ましくは4.0質量%以上、よりさらに好ましくは5.0質量%以上、よりさらに好ましくは6.0質量%以上であり、好ましくは11.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下、さらに好ましくは9.5質量%以下である<1>又は<2>に記載の毛髪化粧料。
<4>
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは3.5質量%以上、さらに好ましくは4.0質量%以上、よりさらに好ましくは5.0質量%以上、よりさらに好ましくは6.0質量%以上であり、好ましくは11.0質量%以下であり、より好ましくは10.0質量%以下であり、さらに好ましくは9.5質量%以下である<1>~<3>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<5>
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上であり、好ましくは2.2以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.4以下、よりさらに好ましくは1.2以下である<1>~<4>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<6>
下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量が2.0質量%以上12.0質量%以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上1.4以下であり、
成分(D)が、エタノールを30質量%以上含有し、
水の含有量が10質量%以下である毛髪化粧料。
<7>
下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量が4.0質量%以上10.0質量%以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上1.4以下であり、
成分(D)が、エタノールを30質量%以上含有し、
水の含有量が10質量%以下である毛髪化粧料。
<8>
下記方法(I)で測定される色相差ΔH°の絶対値が好ましくは30以下であり、より好ましくは15以下であり、さらに好ましくは10以下である<1>~<7>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
方法(I):毛髪化粧料について、顔料として成分(A)のみを含有する試料A(毛髪化粧料に成分(B)を配合せず、成分(B)と同量のエタノールに置換した試料)と、顔料として成分(B)のみを含有する試料B(毛髪化粧料に成分(A)を配合せず、成分(A)と同量のエタノールに置換した試料)とを調製する。試料A 2gを2cm×2cmの黒地の板上、試料B 2gを2cm×2cmの白地の板上に均一に塗布し、25℃で1時間静置して自然乾燥させる。それぞれの板の試料塗布面の色相を色差計を用いて測定し、その差分から色相差ΔH°の絶対値を求める。
<9>
成分(C)がシリコーン構造を有する皮膜形成性ポリマー、好ましくはポリ(N-アシルアルキレンイミン)変性オルガノポリシロキサン、より好ましくは主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントのケイ素原子の少なくとも2つに、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ(N-アシルアルキレンイミン)セグメントが結合してなるオルガノポリシロキサン、さらに好ましくはポリ(N-ホルミルエチレンイミン)オルガノシロキサン、ポリ(N-アセチルエチレンイミン)オルガノシロキサン、及びポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサンからなる群から選ばれる1種又は2種以上、よりさらに好ましくはポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)オルガノシロキサン、よりさらに好ましくはポリ(N-プロピオニルエチレンイミン)メチルシロキサンである<1>~<8>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
【化4】

〔式中、R1は水素原子、炭素数1以上22以下のアルキル基、炭素数7以上22以下のアラルキル基、又は炭素数6以上22以下のアリール基を示し、nは2又は3を示す。〕
<10>
成分(A)に対する成分(C)の質量比[(C)/(A)]が好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上、よりさらに好ましくは1.0以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、よりさらに好ましくは2以下である<1>~<9>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
【0055】
<11>
成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上であり、好ましくは1.2以下である<6>~<10>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<12>
成分(A)が光の反射干渉作用によりパール状の光沢を呈する顔料であって、コア粒子の表面にコーティング層を有しており、該コーティング層は反射干渉層を含み且つ透光性を有するものであって、該コーティング層中の有色金属酸化物及び有色金属の含有量が、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である<1>~<11>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<13>
前記有色金属酸化物が酸化鉄、酸化銅、酸化コバルト、酸化クロム、及び酸化ニッケルからなる群から選ばれる1種以上であり、有色金属が金及び銅からなる群から選ばれる1種以上である<12>に記載の毛髪化粧料。
<14>
成分(A)を構成するコア粒子の材質が、雲母(マイカ)、セリサイト、タルク、カオリン、スメクタイト属粘土鉱物、オキシ塩化ビスマス、合成マイカ、合成セリサイト、板状シリカ、及び板状アルミナからなる群から選ばれる1種以上、好ましくは雲母である<1>~<13>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<15>
成分(A)のコーティング層に含まれる反射干渉層が、無色金属酸化物又は無色金属を主成分とする薄膜からなる層であり、好ましくは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛、スズ、ケイ素、及びアルミニウムからなる群から選ばれる1種以上を主成分とする薄膜からなる層であり、より好ましくはチタン及び二酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上を主成分とする薄膜からなる層であり、さらに好ましくは二酸化チタンを主成分とする薄膜からなる層である<12>~<14>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<16>
成分(A)が二酸化チタン被覆雲母(雲母チタン)である<1>~<15>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<17>
成分(A)を構成するコア粒子と反射干渉層との比率が、コア粒子と、反射干渉層を構成する無色金属酸化物及び無色金属との質量比(コア粒子/反射干渉層を構成する無色金属酸化物及び無色金属)として、好ましくは25/75~80/20、より好ましくは30/70~70/30、さらに好ましくは50/50~65/35である<12>~<16>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
【0056】
<18>
成分(A)の含有量が好ましくは1.5~10質量%、より好ましくは2.5~10質量%、さらに好ましくは3.0~9.5質量%、よりさらに好ましくは3.5~9.0質量%、よりさらに好ましくは4.0~8.5質量%である<1>~<17>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<19>
成分(B)の含有量が好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下、さらに好ましくは6.0質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下、よりさらに好ましくは4.0質量%以下である<1>~<18>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<20>
成分(C)の含有量が好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、よりさらに好ましくは4質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは12質量%以下である<1>~<19>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<21>
成分(D)の含有量が好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは95質量%以下である<1>~<20>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<22>
さらにシリコーン油を、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下含有する<1>~<21>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<23>
一時染毛剤、好ましくは製品形態がマスカラタイプの一時染毛剤である<1>~<22>のいずれか1に記載の毛髪化粧料。
<24>
25℃における粘度が0mPa・s超、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、さらに好ましくは10mPa・s以上であり、好ましくは3,000mPa・s以下、より好ましくは2,000mPa・s以下、さらに好ましくは1,500mPa・s以下、よりさらに好ましくは1,000mPa・s以下、よりさらに好ましくは800mPa・s以下、よりさらに好ましくは500mPa・s以下、よりさらに好ましくは300mPa・s以下、よりさらに好ましくは150mPa・s以下である<23>に記載の毛髪化粧料。
<25>
下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、成分(A)及び成分(B)の合計含有量が2.0質量%以上12.0質量%以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下であり、水の含有量が40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは2質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下である組成物の、毛髪化粧料としての使用。
<26>
下記成分(A)~(D):
(A)干渉パール顔料
(B)成分(A)以外の顔料
(C)皮膜形成性ポリマー
(D)非水溶媒
を含有し、成分(A)及び成分(B)の合計含有量が2.0質量%以上12.0質量%以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(A)の質量比[(A)/{(A)+(B)}]が0.30以上0.96以下であり、成分(A)及び成分(B)の合計含有量に対する成分(C)の質量比[(C)/{(A)+(B)}]が0.5以上2.4以下であり、水の含有量が40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、よりさらに好ましくは2質量%以下、よりさらに好ましくは1質量%以下である組成物を毛髪に塗布する、染毛方法。
【実施例
【0057】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。
【0058】
実施例1~10、比較例1~7(一時染毛剤の調製及び評価)
表1に示す成分(A)及び成分(B)の混合物、又は成分(A)を、成分(D)又は水に添加し、ディスパー分散機を用いて1000rpmで5分撹拌した。ここに成分(C)並びに残りの成分を添加し、ディスパー分散機を用いて1000rpmで5分撹拌して、各例の一時染毛剤を得た。得られた一時染毛剤を用いて、後述する方法により各種評価を行った。
【0059】
なお、実施例1,2の一時染毛剤において、顔料として成分(A)のみを含有する試料A(一時染毛剤に成分(B)を配合せず、成分(B)と同量のエタノールに置換した試料)と、顔料として成分(B)のみを含有する試料B(一時染毛剤に成分(A)を配合せず、成分(A)と同量のエタノールに置換した試料)とを調製し、その色相差ΔH°の絶対値を以下の方法で測定した。
試料A 2gを2cm×2cmの黒地の板上、試料B 2gを2cm×2cmの白地の板上に均一に塗布し、25℃で1時間静置して自然乾燥させた。それぞれの板の試料塗布面の色相を色差計(CR-400、コニカミノルタジャパン(株)製)を用いて測定し、その差分から色相差ΔH°を求めた。
実施例1の一時染毛剤における試料Aの色相h1は280.25、試料Bの色相h2は270.52であり、その色相差ΔH°の絶対値は9.73であった。また、実施例2の一時染毛剤における試料Aの色相h1は25.02、試料Bの色相h2は20.90であり、その色相差ΔH°の絶対値は4.12であった。
【0060】
<染毛性>
長さ10cm、質量1gの黒髪トレス(BS-B-A、(株)ビューラックス製)と、該黒髪トレスを9トーン(明度Lが26.9~30.4、彩度Cが18.0~20.6の範囲)に脱色したブリーチトレスの2種類を用意した。各トレスを、それぞれ下記組成のプレーンシャンプーで1回洗浄し、風乾した後、各例で得られた一時染毛剤0.2gを均一に塗布して染毛し、25℃で30分静置して自然乾燥させた。
黒髪トレス及びブリーチトレスそれぞれについて、染毛前、及び、上記染毛後のトレスを色差計(CR-400、コニカミノルタジャパン(株)製)を用いてCIE表色系(L,a,b)で計測し、下記式から色差ΔE及び明度差ΔLを算出した。L,a,bの計測は、トレス上の異なる3点(トレスを長さ方向に3等分した各領域の中央部1点ずつ)において行い、平均値を算出した。
黒髪トレスではΔEが5以上で且つΔLが±5以内、好ましくはΔEが6以上で且つΔLが±5以内であり、ブリーチトレスではΔEが10以上で且つΔLが±10以内、好ましくはΔEが10以上で且つΔLが±5以内であれば、染毛後の色変化を実感することができると共に、色味が派手すぎず、染毛性が良好である。
【数1】

、a 、b :染毛前のトレスの計測値
、a 、b :染毛後のトレスの計測値
【数2】

:染毛前のトレスの明度
:染毛後のトレスの明度
【0061】
〔プレーンシャンプーの組成〕
成分 (質 量%)
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(*1) 15.5
ラウリン酸ジエタノールアミド(*2) 1.5
エデト酸4ナトリウム塩 0.3
安息香酸ナトリウム 1.43
精製水 残 量
計 100.0
*1:エマール227(花王(株)製、有効成分27質量%)として42.0質量%
*2:アミノーンL-02(花王(株)製)
【0062】
<乾燥速度>
長さ10cm、質量1gの黒髪トレス(BS-B-A、(株)ビューラックス製)に各例で得られた一時染毛剤を0.2g塗布し、25℃で静置し、1分毎に、100gの錘を用いてキムワイプに押し当てることで、一時染毛剤のキムワイプへの染み込みが確認されなくなるまでの時間を評価した。
【0063】
<染毛後の色移りの少なさ>
長さ10cm、質量1gの黒髪トレス(BS-B-A、(株)ビューラックス製)に各例で得られた一時染毛剤を0.2g塗布し、25℃で30分静置して自然乾燥させた。上記トレスをキムワイプで挟み、200gの錘を用いて荷重をかけながらトレスを引き抜き、キムワイプへの色移りの度合いを目視観察して、色移りの少なさを下記評価基準により評価した。5名の専門パネラーによる評価スコアの平均値(小数点以下1位を四捨五入)を表1に示した。
〔評価基準及びスコア〕
1 色移りなし
2 わずかに色移りがあるが許容範囲
3 色移りが多い
【0064】
<染毛後の毛髪の感触>
5名の専門パネラーの毛髪に、各例で得られた一時染毛剤0.2gを塗布し、25℃で30分静置して自然乾燥させた。その後、毛髪の感触(ごわつきのなさ)を下記評価基準により評価した。5名の専門パネラーによる評価スコアの平均値(小数点以下1位を四捨五入)を表1に示した。
〔評価基準及びスコア〕
1 感触が良好
2 感触がやや良好
3 感触が悪い
【0065】
【表1】
【0066】
表1に記載の成分は下記である。また、表1に示す成分の配合量は有効量(質量%)である。
*1:Timiron Super Blue(メルク社製)
*2:Timiron Super Red(メルク社製)
*3:70%黄色401号硫酸バリウム(癸巳化成(株)製)
*4:D&C RED No.30(大東化成工業(株)製)
*5:青色 404号(法色規)(癸巳化成(株)製)
*6:OS-88E-E(花王(株)製)
*7:シリコーン SH 556 FLUID(東レ・ダウコーニング(株)製)
【0067】
本明細書において、以下の処方例を開示する。
<処方例1>
成分 (質 量%)
雲母チタンA(*1) 6.5
黄色401号/硫酸バリウム(*2) 0.6
赤色226号(*3) 1.0
青色404号(*4) 1.0
トリメチルシロキシケイ酸(*5) 0.5
ポリシリコーン-9(*6) 7.0
メチルフェニルポリシロキサン(*7) 5.0
エタノール バランス
計 100.0
【0068】
<処方例2>
成分 (質 量%)
雲母チタンB(*8) 4.5
黄色401号/硫酸バリウム(*2) 1.0
赤色226号(*3) 1.5
青色404号(*4) 1.5
トリメチルシロキシケイ酸(*5) 2.0
ポリシリコーン-9(*6) 8.0
メチルフェニルポリシロキサン(*7) 5.0
エタノール バランス
計 100.0
【0069】
処方例に記載の成分は下記である。
*1:Timiron Super Blue(メルク社製)
*2:70%黄色401号硫酸バリウム(癸巳化成(株)製)
*3:D&C RED No.30(大東化成工業(株)製)
*4:青色 404号(法色規)(癸巳化成(株)製)
*5:X-21-5595(信越化学工業(株)製)
*6:OS-88E-E(花王(株)製)
*7:シリコーン SH 556 FLUID(東レ・ダウコーニング(株)製)
*8:Timiron Super Red(メルク社製)
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、一時染毛剤として好適であり、塗布後の乾燥が速く、染毛後の皮膚や衣類への色移りが少なく毛髪の感触も良好で、発色挙動が下地の髪色の影響を受けにくく一定の染毛効果を付与し得る毛髪化粧料を提供できる。