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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】部品保持部材
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
B41J2/175 169
B41J2/175 175
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020076049
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021171968
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】藤原 英輔
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-522600(JP,A)
【文献】特開2018-148162(JP,A)
【文献】特開2017-140771(JP,A)
【文献】特開2016-068947(JP,A)
【文献】特開2010-105723(JP,A)
【文献】特開2010-006431(JP,A)
【文献】特開2008-162620(JP,A)
【文献】特開2005-015002(JP,A)
【文献】特開2004-255701(JP,A)
【文献】特開2001-261059(JP,A)
【文献】特開平11-348316(JP,A)
【文献】実開平06-012367(JP,U)
【文献】特開平02-127256(JP,A)
【文献】特開昭57-167026(JP,A)
【文献】国際公開第2020/008517(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触領域に部品が配置され、粘着部材が前記部品と前記接触領域とに接着することにより、前記部品を保持する部品保持部材であって、
前記接触領域は、
第1表面領域と、前記第1表面領域よりも低い位置にある第2表面領域と、前記第1表面領域よりも高い位置にある第3表面領域とを有し、前記第2表面領域に前記部品を配置し、少なくとも前記部品と前記第3表面領域とに前記粘着部材を貼付し、前記第3表面領域のうち非端部領域であって、前記粘着部材の端部に対応する位置に高低差部を設けた
ことを特徴とする部品保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保持する部品保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット印刷装置には、インクジェットヘッド(以下、「ヘッド」ともいう。)にインクを供給するためにインクが充填されたインク容器を備えるインクカートリッジが使用されている。
【0003】
この種のインクカートリッジには、装填先となる印刷装置との間で近距離無線通信により通信するためのインクに関する各種情報を記憶するメモリ(記憶手段)を備えた通信タグ(部品)が粘着シートなどにより貼付されて保持されている。
【0004】
印刷装置は、装填されたインクカートリッジの通信タグに記憶される各種情報を読み取り、装填されたインクカートリッジがどのような状態であるかを認識して現在のインクカートリッジの状態に適した制御を行っている。
【0005】
ここで、インクカートリッジにインクを再度充填する場合、対応するインクカートリッジの仕様や状態が変わるため、それに合わせて各種情報を書き換える必要がある。そこで、粘着シートを剥すことにより一旦カートリッジから取り外す必要があるが、この取り外し作業がユーザーにとって煩雑であった。
【0006】
特許文献1には、通信タグが設けられたホルダー面にタグ剥がし孔が設けられたインクカートリッジが開示されている。このインクカートリッジの通信タグの取り外し作業の際、棒状部材をタグ剥がし孔から挿入して通信タグを覆っているシールを剥がし、その剥がして浮き上がったシール部分を摘んで剥がすようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-154482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のインクカートリッジでは、棒状部材をタグ剥がし孔から挿入して通信タグを覆っているシールを剥がし、その剥がして浮き上がったシール部分を摘んで剥がすので、棒状部材を用意する必要がある。また、棒状部材で通信タグを損傷したり、シール部材を棒状部材が貫通しないようにシール強度を強くする必要があり製造コストが増大する場合があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、保持している部品を簡単に取り外すことができる部品保持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る部品保持部材の第1の特徴は、
接触領域に部品が配置され、粘着部材が前記部品と前記接触領域とに接着することにより、前記部品を保持する部品保持部材であって、
前記接触領域は、
第1表面領域と、前記第1表面領域よりも低い位置にある第2表面領域と、前記第1表面領域よりも高い位置にある第3表面領域とを有し、前記第2表面領域に前記部品を配置し、少なくとも前記部品と前記第3表面領域とに前記粘着部材を貼付し、前記第3表面領域のうち前記粘着部材の端部に対応する位置に高低差部を設けた
ことにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る部品保持部材の特徴によれば、保持している部品を簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るインクカートリッジを備えた印刷装置の概要を示す正面図である。
図2】本実施形態に係るインクカートリッジの外観斜視図である。
図3】本実施形態に係るインクカートリッジの係合部材における突当面の断面図である。
図4】本実施形態の変形例に係るインクカートリッジの係合部材における突当面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0014】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
(印刷装置の全体構成)
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るインクカートリッジ(部品保持部材)を備えた印刷装置1の概要を示す正面図である。本実施形態では、印刷装置1は、多数のノズルが形成されたインクジェットヘッドを複数備え、それぞれのヘッドから黒又はカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行い、搬送ベルト上の印刷用紙上に複数の画像を互いに重なり合うように形成するインクジェット方式のラインカラープリンタを例に説明する。
【0016】
本実施形態において、用紙の搬送方向に沿って4つのヘッドが並べて配置され、複数の画像を互いに重なり合うようにしてカラー画像を形成する。印刷装置1内部には、演算処理装置330が備えられており、この演算処理装置330によって、上述したヘッドによる印刷処理や、搬送機構の駆動制御のほか、インクカートリッジ200からのインク供給に関する制御も行う。
【0017】
この演算処理装置330は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、画像データに関する処理や、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行う。また、この演算処理装置330には、操作パネル340が接続されており、この操作パネル340を通じて、ユーザーによる指示や設定操作を受け付けることができる。
【0018】
印刷装置1は、装置本体10の上面にインクカートリッジ200を取付けるカートリッジ取付機構30が設けられており、このカートリッジ取付機構30に対して上記各色のインクカートリッジ200が複数(ここでは、4本)配列されて装填される。このカートリッジ取付機構30にインクカートリッジの着脱機構であるホルダー部が水平方向に向けられて設けられている。
【0019】
また、印刷装置1には、このカートリッジ取付機構30上方を覆うように上面装置350が配設され、インクカートリッジ200の装填は、この上面装置350下面と印刷装置本体10の上面との間に水平方向に挿入することにより行われる。この上面装置350は、例えば、シートフィーダーや操作パネルなどが配設される。
【0020】
(インクカートリッジの全体構成)
図2は、インクカートリッジ200の外観斜視図である。
【0021】
インクカートリッジ200は、印刷装置1に対して前後方向に着脱される細長の筐体であり、外箱である外装体201と、外装体201内に収納され、インクが封入されるインク容器220とから概略構成されている。
【0022】
外装体201は、横断面における内面形状が矩形の筒状体であり、矩形の筒状を呈し一端が開放された箱体202と、箱体202の開放端を塞ぐ係合部材210とを有している。本実施形態において、外装体201は、左右方向の横辺と上下方向の縦辺との比が、約1対2となっている。
【0023】
箱体202の印刷装置1側の端面は開放端とされており、この開放端に、印刷装置1側のカートリッジ取付機構30に係合される係合部材210が嵌め込まれている。この係合部材210は、樹脂又は金属などの硬質材料で形成され、印刷装置1のカートリッジ取付機構30に当接される突当面となっている。
【0024】
この係合部材210は、その中央にインク供給口215が配置されており、このインク供給口215の上下両側の面が突当面210aとなる。この突当面210aは、樹脂や金属で一体成形された部材であり、箱状の外装体201の開放端に嵌め込まれ、粘着面を有した紙製のラベル(図示なし)で外装体201に固定されている。
【0025】
この係合部材210の中央部左右には、印刷装置1側に設けられた把持手段によって把持されるように嵌合される嵌合部212が形成されている。この嵌合部212には、装置本体10側のホルダー部に設けられた把持手段に嵌合可能となっている。
【0026】
さらに、前記係合部材210の突当面210aには、印刷装置1側に設けられた非接触通信インターフェース(I/F)と非接触通信を行う通信タグ216が粘着シート217により貼り付けられている。この通信タグ216は、非接触通信(I/F)から受信される電波により内部電力を発生させ、その電力によりメモリに対するデータの読み出し及び書込みを行うとともに、アンテナを通じて、データの送受信を行う。このメモリには、カートリッジのインクの色や水性・油性の種別、着脱回数などが記憶され、カートリッジ取付機構30に装着が検知されると、非接触通信インターフェースとの通信を開始し、自機が記憶するデータを送信する。
【0027】
この係合部材210において、インク供給口215は後方向に設けられている。
【0028】
そして、このインク供給口215は、印刷装置1側のカートリッジ取付機構30に嵌合される供給口側ジョイント部215aを有している。この供給口側ジョイント部215aは、開閉弁(図示せず)を内蔵している。そして、開閉弁は、インクカートリッジ200の係合部材210を印刷装置1側のカートリッジ取付機構30に嵌合することで開弁され、インクカートリッジ200をカートリッジ取付機構30から外すことで閉弁される。
【0029】
箱体202は、紙や木質材など係合部材210よりも軟質な材料で形成され、切り出し及び折り曲げが可能となっている。
【0030】
この箱体202の内部には、インクが封入される袋体であるインク容器220を有している。
【0031】
インク容器220は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム又は箔の単層材やラミネート材等の可撓性の素材によって形成されており、例えば、2枚の可撓性フィルムの外周縁を熱溶着により接合させた構成としてもよく、4枚の可撓性フィルムを熱溶着により接合させ、襠を設けた構成としてもよい。
【0032】
図3は、インクカートリッジ200の係合部材210における突当面210aの断面図である。なお、図3では、図2に示したインクカートリッジ200のインク供給口215が上方を向くように描かれている。すなわち、図2の後方向が、図3の上方向となる。図3の説明では、図2の後方向を上方向とし、図2の前方向を下方向として説明する。
【0033】
係合部材210の突当面210aには、通信タグ216が粘着シート217により貼り付けられており、これにより、通信タグ216が保持されている。
【0034】
突当面210aは、それぞれ上下方向に位置が異なる第1表面領域301と、第2表面領域302と、第3表面領域303とを有している。
【0035】
第1表面領域301の高さL1とすると、第2表面領域302の高さL2は高さL1より低い位置となっている。また、第3表面領域303の高さL3は高さL1より高い位置となっている。
【0036】
第2表面領域302には、通信タグ216が配置されている。
【0037】
粘着シート217の下面には接着剤が塗布されており、粘着シート217は、通信タグ216を上方から覆うように、第1表面領域301と、通信タグ216の上部と、第3表面領域303と接着する。
【0038】
第3表面領域303には、下方向に凹形状を有する高低差部304が設けられている。なお、この凹形状は、図3に示すように、下方まで貫通していない。
【0039】
高低差部304は、粘着シート217の先端部217aと重なる位置に設けられている。そのため、先端部217aは、高低差部304に接着されておらず浮いた状態となる。
【0040】
これにより、通信タグ216を取り外す際、ユーザーは、先端部217aを摘まみ上げることにより、簡単に粘着シート217を剥すことができ、粘着シート217に接着された通信タグ216を簡単に取り外すことができる。
【0041】
<変形例>
図4は、インクカートリッジ200の変形例を示した断面図である。なお、図3と同様、図4の説明では、図2の後方向を上方向とし、図2の前方向を下方向として説明する。
【0042】
図3に示した突当面210aと同様に、変形例に係るインクカートリッジ200が備える突当面210aにも、高さL1の第1表面領域301と、高さL2の第2表面領域302と、高さL3の第3表面領域303とを有する。
【0043】
変形例では、第3表面領域303に、上方向に凸形状を有する高低差部304Aが設けられている。高低差部304Aは、粘着シート217の先端部217aと重なる位置に設けられている。そのため、先端部217aは、高低差部304に接着されておらず上方に沿って浮いた状態となる。
【0044】
これにより、通信タグ216を取り外す際、ユーザーは、先端部217aを摘まみ上げることにより、簡単に粘着シート217を剥すことができ、粘着シート217に接着された通信タグ216を簡単に取り外すことができる。
【0045】
なお、本実施形態では、部品として通信タグ216とし、部品保持部材としてインクカートリッジを備えた印刷装置1を例に挙げて説明したが、部品は通信タグ216に限らず、部品保持部材はインクカートリッジに限らない。
【0046】
粘着シートで覆って貼付する部品であればどのような部品でもよいし、部品保持部材は、その部品を保持する部材であればよい。
【0047】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0048】
(付記1)
接触領域に部品が配置され、粘着部材が前記部品と前記接触領域とに接着することにより、前記部品を保持する部品保持部材であって、
前記接触領域は、
第1表面領域と、前記第1表面領域よりも低い位置にある第2表面領域と、前記第1表面領域よりも高い位置にある第3表面領域とを有し、前記第2表面領域に前記部品を配置し、少なくとも前記部品と前記第3表面領域とに前記粘着部材を貼付し、前記第3表面領域のうち前記粘着部材の端部に対応する位置に高低差部を設けた
ことを特徴とする部品保持部材。
【0049】
これにより、部品を取り外す際、ユーザーは、粘着部材の端部を摘まみ上げることにより、簡単に粘着部材を剥すことができ、粘着部材に接着された部品を簡単に取り外すことができる。
【符号の説明】
【0050】
1 印刷装置
10 印刷装置本体
30 カートリッジ取付機構
200 インクカートリッジ
201 外装体
202 箱体
210 係合部材
210a 突当面
212 嵌合部
215 インク供給口
215a 供給口側ジョイント部
216 通信タグ
217 粘着シート
217a 先端部
220 インク容器
301 第1表面領域
302 第2表面領域
303 第3表面領域
304,304A 高低差部
330 演算処理装置
340 操作パネル
350 上面装置
図1
図2
図3
図4