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特許7493999熱膨張性材料を有するバルーンガイドカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】熱膨張性材料を有するバルーンガイドカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20240527BHJP
【FI】
A61M25/10 540
A61M25/10 500
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020082480
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2020185385
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】62/845,699
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/601,202
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/845,711
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/845,683
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/845,747
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】カール・キーティング
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ケリー
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/043494(WO,A1)
【文献】特開2004-344627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61F 2/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンカテーテルであって、
近位端、反対側の遠位端、及び外側表面を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記外側表面の一部分の周りに配置された加熱要素と、
前記加熱要素と一致するように前記カテーテルシャフトの前記外側表面の周りに取り付けられたバルーンと、
取り付けられた前記バルーンの内部に配置された熱膨張性材料と、を含
前記熱膨張性材料は、微小球であり、
前記微小球は、加圧ガスを封入する熱可塑性シェルを有する、バルーンカテーテル。
【請求項2】
外側エラストマーシェルが、前記熱可塑性シェルを取り囲む、請求項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記熱可塑性シェルが、エラストマーシェルで形成されている、請求項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記カテーテルシャフトが、膨張ルーメンを有さず、収縮ルーメンを有しない、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
組み立てられたバルーンカテーテルの製造方法であって、
近位端、反対側の遠位端、及び外側表面を有するカテーテルシャフトを提供するステップと、
前記カテーテルシャフトの前記外側表面の一部分の周りに加熱要素を巻き付けるステップと、
前記加熱要素と一致するように前記カテーテルシャフトの周りにバルーンを位置付けるステップと、
熱膨張性材料が圧縮状態にある間に、前記バルーンの内側表面と前記カテーテルシャフトの前記外側表面との間に前記熱膨張性材料充填するステップと、
前記熱膨張性材料が前記圧縮状態にある間に、中に前記熱膨張性材料を収容する前記バルーンを、前記カテーテルシャフトの前記外側表面に取り付けるステップと、を含
前記熱膨張性材料は、微小球であり、
前記微小球は、加圧ガスを封入する熱可塑性シェルを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、以下:2019年5月9日に出願された米国特許仮出願第62/845,683号、2019年5月9日に出願された米国仮特許出願第62/845,699号、2019年5月9日に出願された米国仮特許出願第62/845,711号、及び2019年5月9日に出願された米国仮特許出願第62/845,747号の利益を主張するものであり、これら仮特許出願の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、血管内医療システムに関する。特に、本発明は、それぞれバルーンを膨張/収縮させるために分配/排出されなければならない加圧液体膨張媒体ではなく、熱膨張性材料で充填された、改善されたバルーンガイドカテーテルを対象とする。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、様々な血管内医療手技又は治療に関連して、今日広く使用されている。血管内カテーテルの1つのこのような広く採用されている使用又は用途は、シースガイドカテーテル(非バルーンガイドカテーテル)又はバルーンガイドカテーテルが内部頸動脈内に導入されて、ガイドワイヤ(複数可)、マイクロカテーテル(複数可)、ステントレトリーバ(複数可)、及び中間カテーテル(複数可)などの補助装置の導管として機能する、急性虚血性脳卒中(acute ischemic stroke、AIS)後の血栓切除医療手技にある。シースガイドカテーテル(非バルーンガイドカテーテル)は、血管内の意図される治療位置へのアクセスを維持し、補助装置を用いた治療位置への複数の通過を容易にすることによって、手技時間を短縮する。バルーンガイドカテーテルの使用は、一旦膨張状態に膨張された後、血流を停止し、かつ血管の完全な付着を達成する、追加の利点を提供する。ステントレトリーバ及び/又は直接吸引カテーテルが、捕捉された血塊と共にバルーンガイドカテーテル内に後退するとき、血流停止は、血塊に及ぼされる血圧を制限する際に、並びに吸引段階中の吸引性能を最大化する際に、追加の安全性を提供する。そのような利点は容易に明らかであり、臨床的に証明されているが、バルーンガイドカテーテルの使用には、いくらかの努力を要する準備処置ステップが必要であり、その後、加圧液体膨張媒体と交換される残留空気の膨張ルーメン及びバルーンを乗せることが必要となる。バルーンガイドカテーテルを身体内に導入する前に実行されるこれらの準備処置は、そのような準備処置ステップを必要としないシースガイドカテーテル(非バルーンガイドカテーテル)を使用することを選択する代わりに、そのような利点にもかかわらず、一部の医師又は介在医が、完全ステップにバルーンガイドカテーテルを使用することを阻止する。
【0004】
身体の標的血管内に導入される前に、従来のバルーンガイドカテーテルは、その中に捕捉された残留空気を適切にパージするために、多段階プロセスに続いて、医師又は介入医によって準備処置される。この準備手技は、典型的には、残留空気を除去するために、膨張ポートにおいて真空又は負圧を印加し、その後直ちに、加圧液体膨張媒体をカテーテル内に再び分配すること必要とする。このステップは、膨張したバルーン内に空気が見えなくなるまで、複数回繰り返される。パージステップに正確に従わないか、又はパージステップが完全には省かれない場合、バルーンガイドカテーテル内の残留空気は、可能なバルーン破損の場合、血管内に排気されて、患者に危険かつ有害な影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、加圧液体膨張媒体が残留空気のバルーンガイドカテーテルをパージする必要性を排除することが望ましいため、時間効率を最適化し、かつ安全リスクを低減しつつ、装置の望ましさ及び使いやすさを増大させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、それぞれバルーンを膨張/収縮させるために分配/排出される加圧液体膨張媒体の必要性を排除する、改善されたバルーンカテーテルを対象とする。
【0007】
本発明の別の態様は、バルーンを膨張及び収縮させるために、加圧液体膨張媒体の代わりに熱膨張性材料を用いる、改善されたバルーンカテーテルに関する。
【0008】
本発明の更に別の態様は、膨張/収縮ルーメンの必要性を排除し、それによってカテーテルの内径を最大化する、改善されたバルーンカテーテルに関する。
【0009】
本発明の更に別の態様は、カテーテルシャフトの外側表面の一部分の周りに配置された加熱要素を含むバルーンカテーテルを対象とする。バルーンは、加熱要素と一致するようにカテーテルシャフトの外側表面の周りに取り付けられる。熱膨張性材料は、取り付けられたバルーンの内部に配置される。
【0010】
本発明の更に別の態様は、医療手技において、先行する段落に記載されたバルーンカテーテルを血管内で使用するための方法に関する。本方法は、熱膨張性材料が、バルーンが減少した外径が有している状態で、熱圧縮状態にある間に、血管を通して、バルーンカテーテルを標的部位に前進させるステップを含む。その後、熱を発生させる加熱要素に電気信号を印加して、熱膨張性材料に、バルーンの外径を自動的に膨張かつ拡大させ、拡大されたバルーンを越えて遠位方向への血流を閉塞する。
【0011】
本発明の更に別の態様は、組み立てられたバルーンカテーテルの製造方法を対象とする。近位端と、反対側の遠位端と、外側表面と、を有する、カテーテルシャフトが提供される。カテーテルの外側表面の一部分の周りに、加熱要素が巻き付けられる。次いで、バルーンは、加熱要素と一致するようにカテーテルシャフトの周りに位置付けられる。次いで、バルーンの内側表面とカテーテルシャフトの外側表面との間に画定された容積は、熱膨張性材料で充填される。最後に、バルーンは、圧縮状態にある間に、中に熱膨張性材料を封入するカテーテルシャフトの外側表面に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の上記及び他の特徴は、本発明を例示する以下の発明を実施するための形態及び図面からより容易に明らかになるものであり、いくつかの図面全体にわたり類似の参照番号は類似の要素を示す。
図1】バルーンが熱膨張性微小球で充填されている本発明のバルーンカテーテルを描写し、ここでは、微小球は、バルーン(膨張状態)の外径を拡大した熱膨張状態で示されている。
図2A】単一の例示的な熱膨張性微小球の断面図である。
図2B】別の例示的な熱膨張性微小球の断面図である。
図3】バルーンが熱膨張性液体又はゲルで充填されている本発明のバルーンカテーテルを描写し、ここでは、液体又はゲルは、バルーン(膨張状態)の外径を拡大する熱膨張状態で示されている。
図4】熱膨張性伝導性構造体(例えば、伝導性ステント)がバルーン内に配置されている本発明のバルーンカテーテルを描写し、ここでは、熱膨張性伝導性構造体は、バルーン(膨張状態)の外径を拡大する熱膨張状態で示されている。
図5】バルーンと一致する加熱コイルが形状記憶金属(例えば、ニチノール)から形成されている本発明のバルーンカテーテルを描写し、ここでは、コイルによって発生された熱によって、加熱コイル材料は、圧縮されたバルーンよりも大きな直径を有する予め設定された形状に戻り、その圧縮されたバルーンは、示された膨張状態にバルーンの外径を膨張又は増大させる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
「遠位」又は「近位」という用語は、以下の説明において、治療医師若しくは医療介在医に対する位置又は方向に関して使用される。「遠位」又は「遠位に」は、医師若しくは介在医から離れた位置又は離れる方向である。「近位」又は「近位に」又は「近接した」は、医師若しくは医療介在医に近い位置又は向かう方向である。「閉塞」、「凝塊」、又は「閉鎖」という用語は、区別なく使用される。
【0014】
本発明のバルーンカテーテルは、それぞれバルーンを膨張/収縮させるために、加圧液体膨張媒体(典型的には、50%対照生食塩水)が分配/排出される必要性を完全に排除する。代わりに、製造時に、バルーンは、その後、カテーテルから排気/除去/排出される必要がない熱圧縮(非膨張)状態にある間、熱膨張性材料(例えば、熱膨張性液体(複数可)、熱膨張性固体(複数可)、又はこれらの任意の組み合わせ)で充填(filed)される。図1Aを参照すると、本発明によるバルーンカテーテルは、近位端105及び反対側の遠位端110を有するカテーテルシャフト又は本体100を含む。加熱要素120は、カテーテルシャフト100の遠位端110に近接して取り付けられたバルーン115と一致するカテーテルシャフト又は本体100の外側表面の一部分の周りに配置される。図1Aの加熱要素120は、タングステン、白金、ニッケル、チタン、ニチノール、又はステンレス鋼などの電気伝導性材料のワイヤ、コイル、ストリップ、又はリボンである。電気ワイヤ又はリード線は、加熱要素120を電源150に電気的に接続し、加熱ワイヤを励起する電気エネルギーを提供し、それによって熱を生成又は発生させる。図1Aに描写される例示的な実施形態では、加熱コイル120は交差しているが、カテーテルシャフトの外側表面の周りの加熱コイルの巻き付けの他の構成が想到され、本発明の意図される範囲内である。加熱コイルが交差している場合、コイルは、絶縁されて、電気的短絡が発生することを防止する。
【0015】
身体内への導入の前のカテーテルの準備処置の間、膨張/収縮ルーメンを介して後に排出又はパージされなければならない加圧液体膨張媒体で膨張又は充填されるのではなく、製造中の本発明のカテーテルのバルーン115は、熱膨張性液体、熱膨張性固体、又はこれらの任意の組み合わせなどの熱膨張性材料で充填される。熱膨張性材料が圧縮(非膨張)状態にある間、バルーン内に導入されると、その後、バルーンを再びその圧縮/縮小/非膨張状態に移行させるために、熱膨張性材料は、カテーテルから除去、分配、又はパージされる必要はない。むしろ、熱膨張性材料は、熱の除去又は抜去時に、その元の圧縮状態(非膨張状態)に自動的に戻る。典型的には、熱膨張性材料は、熱膨張性粒子又は微小球である。更に、熱膨張性固体は、加熱コイル及び膨張可能材料の二重目的を果たし得、より詳細に後述するように、ステント(例えば、正弦波パターンのようなステント形状)を用いて、より大きな膨張を促進する。
【0016】
図2Aは、その中に封入された比較的低いガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)及びガス発泡剤(加圧ガス内側コア)210を有する熱可塑性樹脂205などの外側ポリマーシェルを含む、単一の例示的な熱膨張性微小球125の断面図である。比較的低いガラス転移温度は、約45℃~約100℃の範囲、好ましくは約45℃~約65℃の範囲、より好ましくは約45℃~約55℃の範囲であり得る。ガス発泡剤210は、炭化水素、ペンタン1、又は他のガスを含み得る。外側ポリマーシェル205が、そのガラス転移温度(Tg)を上回って加熱されるとき、加圧ガス内側コア210は、外側ポリマーシェル205を無理に膨張させる。外側ポリマーシェル205自体はまた、外側エラストマーシェル215(例えば、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane、TPU)で封入され得、これにより、外側エラストマーシェル215は、熱可塑性シェル205を圧縮して、加熱要素又は供給源からの熱の除去時に、収容された加圧ガス210を再圧縮し得る。熱可塑性シェル205は、その温度がその軟化点を下回る点まで低下されるときに、その元のより小さい/縮小されたサイズに戻る記憶を有する。代替的な構成が図2Bに描写されており、外側ポリマーシェルは、単一のエラストマーシェル205’(例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(styrene-ethylene-butylene-styrene、SEBS)、又は他のエラストマー)で形成され、これによって、軟化点を上回って加熱されるとき、圧縮ガス内側コア210は、エラストマーシェル205’を膨張させて、バルーンを膨張させる。多数の微小球に収容される熱膨張性加圧ガスを供給して、ガスが単一のより大きな球体又はバルーンに供給された場合に、破損の場合にガス漏出にさらされることを制限することが有利である。微小球の各々は、約0.01μm~約0.1μm、好ましくは約0.01μm~約0.05μm、より好ましくは約0.01μm~約0.025μmの範囲であり得る。
【0017】
製造中、加熱コイル120は、カテーテルシャフト100の外側表面の一部分の周りに巻き付けられ、それは、その後にカテーテルシャフトの外側表面に取り付けられることになるバルーン115の位置付けに一致する。図1Aに示される例示的な実施形態では、加熱コイル120は、交差構成で巻き付けられているが、他の構成又は設計が想到され、本発明の意図される範囲内である。バルーンが製造中にカテーテルシャフトの外側表面に取り付けられているとき、バルーン115とカテーテルシャフト100との間の容積は、熱膨張性材料が圧縮(非膨張)状態にある間に、熱膨張性材料125で充填される。熱膨張性材料125で充填(filed)された後、次いで、バルーン115は、従来の技術を用いてカテーテルシャフト100の外側表面に取り付けられ、接合され、溶接されるか、又は別の方法で固定される。組み立てられると、バルーンカテーテルは、カテーテルシャフト100の外側表面とバルーン115の内側表面との間に配置された加熱コイル120を備える。取り付けられたバルーンは、プロファイル送達を最小限にするためにカテーテルシャフトの外側表面の周りに緊密に巻き付けられ得るか、又は代替的に、柔軟性のかつ/又は緩やかなバルーンが利用され得、そのため、熱膨張性材料がその圧縮(非膨張状態)状態にあるときに、バルーンは、曲がりくねった脈管構造を通って前進しているとき、非外傷性様式で自由にねじ曲がり、かつ熱膨張性材料が膨張状態にあるとき、バルーンは、血管及び停止血流と完全に対向するように教示される。更に、製造中又は組み立て中にバルーンの内部に配置された熱膨張性材料は、その内部に収容され、その後バルーンから除去されることもなく、バルーンに添加されることもない。すなわち、身体内のカテーテルの準備処置又はその後の導入の間のどの時間でも、何も、バルーン内に導入されず、又はバルーンの内部からパージされない。組み立てられたバルーンカテーテルは、熱膨張性材料が圧縮(非膨張)状態にある間に血管内に導入され、その結果、バルーンは、血管を通して身体内の標的部位へと前進可能な最小外径を有する。
【0018】
血管内の標的部位に到達すると、電源150によって発生された電気信号が加熱コイル120に印加されて、外向きに放射する熱を発生させる。加熱要素120によって生成される熱により、熱膨張性微小球125の熱可塑性外側シェル205などの熱膨張性材料が、内側コア210の圧力下で軟化かつ膨張し、それによって熱膨張性微小球の外径を膨張させ、次いで、バルーン115の外径を拡大又は増大させる。代替的に、加熱コイル320によって生成された熱は、熱膨張性液体又はゲル325の容積を膨張させ、次いで、図3に示されるようにバルーン315の外径を膨張又は増大させる。図4に示される別の実施形態では、加熱コイル420によって生成された熱は、バルーン内に配置された金属製ステント状フレーム425を膨張させ、次いで、バルーン415の外径を膨張又は増大させる。更に別の実施形態では、加熱コイル520自体は、ニチノールなどの高インピーダンスを有する形状記憶金属から形成され、加熱コイルから発生された熱は、加熱コイルを従来の形状設定技術によって以前に設定された形状に戻らせ、その予め設定された形状は、バルーン515の外径を膨張又は増大させる圧縮バルーンよりも大きい直径を有する。教示された弾性バルーンがカテーテル内に組み込まれる場合、膨張可能材料によって及ぼされる力は、付勢された閉鎖バルーンを膨張状態に伸張するために必要とされる力よりも大きい。膨張状態では、バルーンの外壁は、膨張したバルーンを越えて遠位に血流を閉塞する血管の内壁に物理的に接触する。身体からバルーンカテーテルを抜去する前に、電源によって加熱要素に提供される電気信号は切断され、熱膨張性材料の温度を冷却/低減/低下させ、熱膨張性材料を自動的に圧縮(外径を低減)させ、次いで、バルーンの外径を同様に低減させることを可能にする。バルーンがその圧縮(非膨張)状態に戻ると、バルーンは、身体から近位方向に容易に除去され得る。
【0019】
バルーンカテーテルの現在の構成により、多くの利点が提供され、そのうちのいくつかは、以下で詳細に考察される。熱膨張性材料(複数可)は、カテーテルの製造/組み立て時にバルーン内に分配され、その後、その後のすべての時点でバルーン内に留まる。
【0020】
したがって、加圧液体膨張媒体を使用してバルーンを膨張させ、その後、身体から除去する前にバルーンを収縮させるために加圧液体膨張媒体を排気するために、従来のバルーンカテーテルのカテーテルシャフト内に画定された膨張ルーメン及び/又は排気ルーメンの両方の必要性が排除されている。膨張/収縮ルーメンの必要性が排除されているため、内径は、より大きな直径を有する補助装置を収容するために最大化され得る。更に別の利点は、残留空気がバルーン自体からパージされる必要がなく、それによって、装置をより簡単かつより望ましく使用する準備処置時間を短縮することである。更に別の利点は、伝導性加熱ワイヤが、カテーテルシャフトを補強する二重機能を果たし得ることである。編組、コイル、又は長手方向のブレースパターンの一部内に、又はその一部として伝導性加熱ワイヤを配設することは、カテーテルシャフトの耐キンク性、押し出し性、及びトルク性を増強し、カテーテルに沿って近位端からその遠位端まで軸方向の任意の最適化された剛性及び変動した剛性を提供する。
【0021】
以上、本発明の好ましい実施形態に適用されるような本発明の基本的な新規特徴を示し、記載し、かつ指摘してきたが、当業者であれば、例示されたシステム/デバイスの形態及び詳細、並びにそれらの操作における様々な省略、置換、及び変更を、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施し得ることが理解されよう。例えば、同じ結果を達成するために、実質的に同じ機能を実質的に同じ方法で実行して同じ結果を達成する要素及び/又はステップの組み合わせはすべて、本発明の範囲内に包含されるように明らかに意図される。また、上述のある実施形態から別の実施形態への要素の置き換えも、完全に意図及び想定の範囲内である。また、図面は必ずしも一定の比例尺で描かれておらず、あくまでも概念的なものにすぎない点も理解されるべきである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に示される内容によってのみ限定されるものとする。
【0022】
本明細書に引用されたすべての発行済み特許、係属中の特許出願、刊行物、論文、書籍、又は他の参照文献はいずれも、その全体が本明細書に援用によって組み込まれる。
【0023】
〔実施の態様〕
(1) バルーンカテーテルであって、
近位端、反対側の遠位端、及び外側表面を有するカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの前記外側表面の一部分の周りに配置された加熱要素と、
前記加熱要素と一致するように前記カテーテルシャフトの前記外側表面の周りに取り付けられたバルーンと、
取り付けられた前記バルーンの内部に配置された熱膨張性材料と、を含む、バルーンカテーテル。
(2) 前記熱膨張性材料が、熱膨張性固体、熱膨張性液体、又はこれらの組み合わせである、実施態様1に記載のバルーンカテーテル。
(3) 前記熱膨張性材料が、微小球又は粒子である、実施態様2に記載のバルーンカテーテル。
(4) 前記熱膨張性材料が、熱膨張性液体、熱膨張性ゲル、又はこれらの組み合わせである、実施態様2に記載のバルーンカテーテル。
(5) 前記熱膨張性材料が、伝導性ステントである、実施態様2に記載のバルーンカテーテル。
【0024】
(6) 前記加熱要素自体が、前記熱膨張性材料である、実施態様2に記載のバルーンカテーテル。
(7) 前記微小球が、加圧発泡剤を封入する熱可塑性シェルを有する、実施態様3に記載のバルーンカテーテル。
(8) 外側エラストマーシェルが、前記熱可塑性シェルを取り囲む、実施態様7に記載のバルーンカテーテル。
(9) 前記微小球が、加圧発泡剤を封入するエラストマーシェルを有する、実施態様3に記載のバルーンカテーテル。
(10) 前記カテーテルシャフトが、膨張ルーメンを有さず、収縮ルーメンを有しない、実施態様1に記載のバルーンカテーテル。
【0025】
(11) 血管内の医療手技においてバルーンカテーテルを使用するための方法であって、前記バルーンカテーテルが、近位端、反対側の遠位端、及び外側表面を有する、カテーテルシャフトと、前記カテーテルシャフトの前記外側表面の一部分の周りに配置された加熱要素と、前記遠位端に近接して前記カテーテルシャフトの前記外側表面の周りに取り付けられたバルーンと、前記加熱要素と一致するように前記カテーテルシャフトに沿って配設された前記バルーンと、取り付けられた前記バルーンの内部に配置された熱膨張性材料と、を備え、前記方法が、
前記熱膨張性材料が、前記バルーンが減少した外径を有している状態で、熱圧縮状態にある間に、前記血管を通して前記バルーンカテーテルを標的部位に前進させるステップと、
熱を発生させる前記加熱要素に電気信号を印加して、前記熱膨張性材料に、前記バルーンの前記外径を自動的に膨張かつ拡大させ、拡大された前記バルーンを越えて遠位方向への血流を閉塞するステップと、を含む、方法。
(12) 熱膨張性固体、熱膨張性液体、又はこれらの組み合わせである、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記熱膨張性材料が、微小球又は粒子であり、前記電気信号を印加すると、外側シェルが、その中に封入された加圧発泡剤の圧力下で軟化かつ膨張し、前記微小球又は粒子のサイズを拡大して、前記バルーンを拡大させる、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記熱膨張性材料が、熱膨張性液体、熱膨張性ゲル、又はこれらの組み合わせである、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記熱膨張性材料が、伝導性ステントである、実施態様12に記載の方法。
【0026】
(16) 前記加熱要素自体が、前記熱膨張性材料である、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記加熱要素への前記電気信号を切断し、前記熱膨張性材料を圧縮状態に冷却し、前記バルーンの前記外径を減少させるステップと、
前記バルーンの前記外径が減少している間に、前記血管から前記バルーンカテーテルを近位方向に抜去するステップと、を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(18) 前記バルーンカテーテルの使用中に、前記熱膨張性材料が、前記バルーンのサイズを縮小させるために、前記カテーテルから分配されない、実施態様11に記載の方法。
(19) 組み立てられたバルーンカテーテルの製造方法であって、
近位端、反対側の遠位端、及び外側表面を有するカテーテルシャフトを提供するステップと、
前記カテーテルシャフトの前記外側表面の一部分の周りに加熱要素を巻き付けるステップと、
前記加熱要素と一致するように前記カテーテルシャフトの周りにバルーンを位置付けるステップと、
熱膨張性材料が前記圧縮状態にある間に、前記バルーンの内側表面と前記カテーテルシャフトの前記外側表面との間に画定された容積を前記熱膨張性材料で充填するステップと、
前記熱膨張性材料が前記圧縮状態にある間に、前記バルーンを、中に前記熱膨張性材料を収容する前記カテーテルシャフトの前記外側表面に取り付けるステップと、を含む、方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5