IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社竹中工務店の特許一覧 ▶ 株式会社アクティオの特許一覧 ▶ 朝日機材株式会社の特許一覧 ▶ アキレス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-養生ユニット 図1
  • 特許-養生ユニット 図2
  • 特許-養生ユニット 図3
  • 特許-養生ユニット 図4
  • 特許-養生ユニット 図5
  • 特許-養生ユニット 図6
  • 特許-養生ユニット 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】養生ユニット
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/02 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
E04G23/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020086405
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021181676
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(73)【特許権者】
【識別番号】000213851
【氏名又は名称】朝日機材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】山添 大樹
(72)【発明者】
【氏名】三舩 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】大塚 寛高
(72)【発明者】
【氏名】成清 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 鉄士
(72)【発明者】
【氏名】與田 有利
(72)【発明者】
【氏名】海江田 孝
(72)【発明者】
【氏名】豊田 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐太
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-234456(JP,A)
【文献】特開2010-203054(JP,A)
【文献】特開2002-038722(JP,A)
【文献】特表2018-532920(JP,A)
【文献】特開2003-148000(JP,A)
【文献】実開平02-025645(JP,U)
【文献】特開2012-255242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/00 -23/08
E04H 15/00 -15/64
E04G 21/24
E02D 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養生対象を養生するための養生ユニットであって、
前記養生対象を養生する養生空間を囲繞するように覆う複数の養生シートと、
前記複数の養生シートを支持するための支持手段であって、当該支持手段に気体を充填することにより形成された支持手段と、
当該養生ユニットの面のうち少なくとも側面に設けられる養生開口であって、当該養生開口を介して前記養生対象を前記養生空間で養生することを可能にする養生開口と、を備え、
前記養生開口を、作業者が前記養生空間に出入りするための出入口として機能可能に構成し、
前記支持手段は、中空状の支持部材を複数組み合わせることにより構成され、
前記複数の支持部材のうち、隣接する支持部材同士を連通して接続し、
前記養生シートは、
第1養生シートと、
前記第1養生シートと接続された第2養生シートと、を備え、
前記養生シートを、前記第1養生シートと前記第2養生シートとの接続部分を折り目として折り畳み可能に構成した、
養生ユニット。
【請求項2】
前記養生開口を、当該養生ユニットの面のうち側面を含む複数の面にそれぞれ設け、
前記養生開口は、当該養生ユニットの第1の側面に設けられる第1養生開口と、当該養生ユニットの前記第1の側面に対向する位置にある第2の側面に設けられる第2養生開口と、当該養生ユニットの前記第1の側面と前記第2の側面とを接続する面に設けられる第3養生開口と、を含み、
前記支持手段を介することなく前記第1養生開口と前記第3養生開口とを接続するように配置すると共に、前記支持手段を介することなく前記第2養生開口と前記第3養生開口とを接続するように配置することにより、前記第1養生開口と前記第2養生開口と前記第3養生開口とを連続状に配置した、
請求項1に記載の養生ユニット。
【請求項3】
前記養生開口の開放量が調整自在となるように、前記養生開口を開閉可能な蓋手段を備える、
請求項1又は2に記載の養生ユニット。
【請求項4】
前記第1養生シート又は前記第2養生シートのいずれか一方を、透明なシート材で形成し、
前記第1養生シート又は前記第2養生シートのいずれか他方を、視認性を有する梨地処理されたシート材で形成した、
請求項1から3のいずれか一項に記載の養生ユニット。
【請求項5】
前記養生空間と前記養生対象との間に隙間が生じるように、当該養生ユニットを配置し、
前記隙間を囲繞可能な少なくとも1つ以上の補助養生シートを備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の養生ユニット。
【請求項6】
前記養生シートに設けられる保持手段であって、前記養生空間の気密性を保持するための保持手段を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の養生ユニット。
【請求項7】
当該養生ユニットと他の養生ユニットとを接続するための接続手段を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の養生ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養生ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の改修工事において、建物にある粉塵が飛散することを防止するための技術の一つとして、建物における粉塵が飛散する飛散部分の近傍に鋼製の足場を設置し、足場よりも外側に塩化ビニール製の側溝を設置し、足場の外側表面に取り付けられた養生シートにより、飛散部分全体を覆う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-247367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術においては、上述したように、鋼製の足場や側溝を設置するので、足場及び側溝の設置や解体に比較的手間を要し、且つ足場が搬送しづらいため、上記飛散部分を覆う作業の如き養生作業を効率的に行うことが難しくなるおそれがあることから、養生作業の効率化の観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、養生作業を効率的に行うことが可能となる、養生ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の養生ユニットは、養生対象を養生するための養生ユニットであって、前記養生対象を養生する養生空間を囲繞するように覆う複数の養生シートと、前記複数の養生シートを支持するための支持手段であって、当該支持手段に気体を充填することにより形成された支持手段と、当該養生ユニットの面のうち少なくとも側面に設けられる養生開口であって、当該養生開口を介して前記養生対象を前記養生空間で養生することを可能にする養生開口と、を備え、前記養生開口を、作業者が前記養生空間に出入りするための出入口として機能可能に構成し、前記支持手段は、中空状の支持部材を複数組み合わせることにより構成され、前記複数の支持部材のうち、隣接する支持部材同士を連通して接続し、前記養生シートは、第1養生シートと、前記第1養生シートと接続された第2養生シートと、を備え、前記養生シートを、前記第1養生シートと前記第2養生シートとの接続部分を折り目として折り畳み可能に構成した。
【0007】
請求項2に記載の養生ユニットは、請求項1に記載の養生ユニットにおいて、前記養生開口を、当該養生ユニットの面のうち側面を含む複数の面にそれぞれ設け、前記養生開口は、当該養生ユニットの第1の側面に設けられる第1養生開口と、当該養生ユニットの前記第1の側面に対向する位置にある第2の側面に設けられる第2養生開口と、当該養生ユニットの前記第1の側面と前記第2の側面とを接続する面に設けられる第3養生開口と、を含み、前記支持手段を介することなく前記第1養生開口と前記第3養生開口とを接続するように配置すると共に、前記支持手段を介することなく前記第2養生開口と前記第3養生開口とを接続するように配置することにより、前記第1養生開口と前記第2養生開口と前記第3養生開口とを連続状に配置した。
【0008】
請求項3に記載の養生ユニットは、請求項1又は2に記載の養生ユニットにおいて、前記養生開口の開放量が調整自在となるように、前記養生開口を開閉可能な蓋手段を備える。
【0009】
請求項4に記載の養生ユニットは、請求項1から3のいずれか一項に記載の養生ユニットにおいて、前記第1養生シート又は前記第2養生シートのいずれか一方を、透明なシート材で形成し、前記第1養生シート又は前記第2養生シートのいずれか他方を、視認性を有する梨地処理されたシート材で形成した。
【0010】
請求項5に記載の養生ユニットは、請求項1から4のいずれか一項に記載の養生ユニットにおいて、前記養生空間と前記養生対象との間に隙間が生じるように、当該養生ユニットを配置し、前記隙間を囲繞可能な少なくとも1つ以上の補助養生シートを備える。
【0011】
請求項6に記載の養生ユニットは、請求項1から5のいずれか一項に記載の養生ユニットにおいて、前記養生シートに設けられる保持手段であって、前記養生空間の気密性を保持するための保持手段を備える。
【0012】
請求項7に記載の養生ユニットは、請求項1から6のいずれか一項に記載の養生ユニットにおいて、当該養生ユニットと他の養生ユニットとを接続するための接続手段を備える。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の養生ユニットによれば、複数の養生シートを支持するための支持手段であって、当該支持手段に気体を充填することにより形成された支持手段と、当該養生ユニットの面のうち少なくとも側面に設けられる養生開口であって、当該養生開口を介して養生対象を養生空間で養生することを可能にする養生開口と、を備え、養生開口を、作業者が養生空間に出入りするための出入口として機能可能に構成したので、従来技術(鋼製の足場及び側溝を用いて養生対象を覆う技術)に比べて、養生ユニットの組立作業及び解体作業を容易且つ迅速に行うことができ、且つ養生ユニットの搬送性を高めることができ、養生作業の効率化を図ることができる。また、養生開口を、作業者が養生空間に出入りするための出入口として機能でき、養生開口と出入口とを個別に設ける必要がなくなるため、養生ユニットの製造性を高めることができる。
また、養生シートを、第1養生シートと第2養生シートとの接続部分を折り目として折り畳み可能に構成したので、養生シートを簡易に折り畳むことができ、養生ユニットの組立作業や解体作業を簡易に行うことができると共に、養生ユニットの搬送性を高めることができる。
【0015】
請求項2に記載の養生ユニットによれば、複数の面に設けられた養生開口を連続状に配置することにより、これら養生開口を介して養生対象の少なくとも一部を養生空間内に挿通可能としたので、複数の養生開口を介して養生対象の少なくとも一部を養生空間内に挿通させることができ、養生対象の養生範囲を広げることが可能となる。
【0016】
請求項3に記載の養生ユニットによれば、養生開口の開放量が調整自在となるように、養生開口を開閉可能な蓋手段を備えるので、蓋手段によって養生開口を開閉させることができ、且つ養生開口の開放量を調整でき、状況に応じた養生開口の開閉を行うことが可能となる。
【0017】
請求項4に記載の養生ユニットによれば、第1養生シート又は第2養生シートのいずれか一方を、透明なシート材で形成し、第1養生シート又は第2養生シートのいずれか他方を、視認性を有する梨地処理されたシート材で形成したので、第1養生シートだけを用いて構成する場合に比べて、養生シートの一部と他の一部との貼り付きが生じることを回避でき、各養生シートの取り扱いが容易になる。また、養生シートを介して外部から養生ユニットの内部の様子を視認することができ、養生ユニットの内部にいる作業者の作業状況を確認しやすくなる。
【0018】
請求項5に記載の養生ユニットによれば、養生空間と養生対象との間に隙間が生じるように、当該養生ユニットを配置し、隙間を囲繞可能な少なくとも1つ以上の補助養生シートを備えるので、補助隙間の少なくとも一部を囲繞できるため、養生空間を拡張できることから、作業者の作業空間を確保しやすくなる。
【0019】
請求項6に記載の養生ユニットによれば、養生シートに設けられる保持手段であって、養生空間の気密性を保持するための保持手段を備えるので、例えば、養生ユニットと床面との相互間に隙間が形成されることを回避でき、養生空間の気密性を保持することが可能となる。
【0020】
請求項7に記載の養生ユニットによれば、当該養生ユニットと他の養生ユニットとを接続するための接続手段を備えるので、養生ユニットと他の養生ユニットとを接続することができ、養生空間の拡張を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態1に係る養生ユニット及び養生対象を概念的に示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る養生ユニットを示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は平面図である。
図3】養生ユニットの折り畳み状態を示す図(一部図示省略)であり、(a)は半分程度折り畳んだ状態を示す図、(b)は(a)よりもさらに折り畳んだ状態を示す図である。
図4】壁養生方法の配置工程を示す図である。
図5】柱養生方法の配置工程を示す図である。
図6】実施の形態2に係る養生ユニット及び養生対象を概念的に示す斜視図である。
図7】柱養生方法の配置工程の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る養生ユニットの実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、養生対象を養生するための養生ユニットに関する。
【0025】
ここで、「養生対象」とは、養生ユニットによって養生される対象を意味し、例えば、構造物(具体的には、建築構造物、土木構造物)の躯体(一例として、壁、柱、床、梁、天井)又はその周辺空間等が該当する。また、「養生」とは、養生対象又はその周辺に与える影響を抑制又は防止する観点から、養生対象をカバーすることを意味する。また、「養生対象又はその周辺に与える影響」とは、例えば、養生対象から飛散物(例えば、粉塵等)が周辺に飛散すること、養生対象から発生する騒音が周辺に漏れること、外的要因によって養生対象が汚損すること等が該当する。以下、実施の形態では、養生ユニットが、斫り作業が行われる建物の躯体を養生する場合について説明する。
【0026】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0027】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る養生ユニットについて説明する。この実施の形態1は、後述する養生開口を複数備える形態である。
【0028】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る養生ユニット10の構成と、この養生ユニット10が適用される養生対象1の構成とについて説明する。
【0029】
(構成-養生対象)
まず、養生対象1の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る養生ユニット10及び養生対象1を概念的に示す斜視図である。以下の説明では、図1のX方向を養生対象1の左右方向(-X方向を養生対象1の左方向、+X方向を養生対象1の右方向)、図1のY方向を養生対象1の前後方向(+Y方向を養生対象1の前方向、-Y方向を養生対象1の後方向)、図1のZ方向を養生対象1の上下方向(+Z方向を養生対象1の上方向、-Z方向を養生対象1の下方向)と称する。
【0030】
養生対象1は、例えば公知のコンクリート製の床材、壁材、又は柱材等を用いて構成されている。また、養生対象1の設置方法については任意であるが、例えば、養生対象1が床材である場合には、図1に示すように、地表面と当接するように略水平に設けている。また、養生対象1が壁材である場合には、後述の図に示すように、床材に対して立設している。また、養生対象1が柱材である場合には、後述の図に示すように、床材に対して立設している。
【0031】
(構成-養生ユニット)
次に、養生ユニット10の構成について説明する。図2は、実施の形態1に係る養生ユニット10を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は平面図である。図3は、養生ユニット10の折り畳み状態を示す図(一部図示省略)であり、(a)は半分程度折り畳んだ状態を示す図、(b)は(a)よりもさらに折り畳んだ状態を示す図である。
【0032】
養生ユニット10は、養生対象1を養生するためのユニットである。この養生ユニット10は、図1、後述する図4、及び後述する図5に示すように、養生対象1の近傍に設けられており、図1図2に示すように、養生シート20、支持部30、養生開口40、蓋部50、接続部60、及び取手部70を備えている。
【0033】
(構成-養生ユニット-養生シート)
図1に戻り、養生シート20は、養生対象1を養生する養生空間11(具体的には、養生ユニット10の略直方体状の内部空間)を囲繞するように覆うためのシートである。この養生シート20は、例えば公知の樹脂製のシート材(一例として、矩形状の帯電防止シート材)等を用いて構成されており、養生空間11を囲繞するように複数設けられている。具体的には、図1図2に示すように、養生空間11の左面全体、右面全体、前面全体、後面全体、並びに上面全体及びその近傍部分を略覆うように配置され(つまり、養生ユニット10の下面のみが開放状となる)、隣接する養生シート20同士が相互にそれぞれ接続されている。
【0034】
ここで、養生空間11の具体的な大きさについては任意であるが、実施の形態1では、図1に示すように、少なくとも1人以上の作業者Mが養生空間11内で斫り作業を実施できる程度の大きさに設定している。例えば、養生空間11の左右方向の長さ、前後方向の長さ、及び上下方向の長さについては、2000mmから3000mm程度にそれぞれ設定している。また、養生シート20の構成の詳細については、後述する。
【0035】
また、以下では、必要に応じて、図1に示す養生シート20のうち、養生空間11の左面側に位置する養生シート21を「左側養生シート21」と称し、養生空間11の右面側に位置する養生シート22を「右側養生シート22」と称し、養生空間11の前面側に位置する養生シート23を「前側養生シート23」と称し、養生空間11の後面側に位置する養生シート24を「後側養生シート24」と称し、養生空間11の上面及びその近傍側に位置する養生シート25を「上側養生シート25」と称する。
【0036】
また、図1図2に示すように、左側養生シート21及び右側養生シート22の各々には、給気口26及び排出口27がそれぞれ設けられている。
【0037】
このうち、給気口26は、外部に設けられた図示しない空調機(又は送風機)からの冷気(又は暖気)を養生空間11に給気するための開口であり、左側養生シート21及び右側養生シート22の各々の上側部分に設けられている。
【0038】
また、排出口27は、外部に設けられた図示しない集塵機(又は送風機)によって養生空間11内にある飛散物を排出するための開口であり、左側養生シート21及び右側養生シート22の各々の下側部分に設けられている。
【0039】
また、これら給気口26及び排出口27の設置方法については任意であるが、例えば、図2(c)に示すように、左側養生シート21の後側部分に給気口26及び排出口27を設置し、且つ右側養生シート22の前側部分に給気口26及び排出口27を設置することにより、冷気等の給気や飛散物の排出を効率的に行うことができる。
【0040】
(構成-養生ユニット-支持部)
図1に戻り、支持部30は、複数の養生シート20を支持するための支持手段である。この支持部30は、気体(例えば、空気等)を充填することにより形成される公知の中空状の支持部材31(一例として、樹脂製の長尺な中空円柱状の支持部材31)を複数組み合わせることにより構成されており、図1図2に示すように、養生シート20よりも養生ユニット10の内側に設けられており、養生シート20に対して接続されている。
【0041】
なお、以下では、必要に応じて、図1に示す支持部材31のうち、養生空間11の左面側に位置する支持部材32を「左側支持部材32」と称し、養生空間11の右面側に位置する支持部材33を「右側支持部材33」と称し、養生空間11の前面及びその近傍部分側に位置する支持部材34を「前側支持部材34」と称し、養生空間11の後面及びその近傍部分側に位置する支持部材35を「後側支持部材35」と称し、養生空間11の上面側に位置する支持部材36を「上側支持部材36」と称する。また、支持部30の構成の詳細については、後述する。
【0042】
(構成-養生ユニット-養生開口)
図1に戻り、養生開口40は、当該養生開口40を介して養生対象1を養生空間11で養生することを可能にする開口である。この養生開口40は、養生ユニット10の面のうち少なくとも側面(上面及び下面以外の面)に設けられている。具体的には、図1図2に示すように、養生ユニット10の前面(具体的には、前側養生シート23)と、養生ユニット10の後面(具体的には、後側養生シート24)と、養生ユニット10の下面とに設けられている(すなわち、養生ユニット10の複数の面に設けられている)。
【0043】
なお、以下では、必要に応じて、図1に示す養生開口40のうち、養生ユニット10の前面側に位置する養生開口41を「第1養生開口41」と称し、養生ユニット10の後面側に位置する養生開口42を「第2養生開口42」と称し、養生ユニット10の下面側に位置する養生開口43を「第3養生開口43」と称する。また、養生開口40の構成の詳細については、後述する。
【0044】
(構成-養生ユニット-蓋部)
図1に戻り、蓋部50は、養生開口40の開放量が調整自在となるように、養生開口40を開閉可能な蓋手段である。この蓋部50は、例えば公知の蓋部材等を用いて構成されており、前側養生シート23及び後側養生シート24にそれぞれ設けられている。
【0045】
なお、以下では、必要に応じて、図1に示す蓋部50のうち、前側養生シート23側の蓋部51を「第1蓋部51」と称し、後側養生シート24側の蓋部52を「第2蓋部52」と称する。また、第1蓋部51の構成及び第2蓋部52の構成がそれぞれ略同一であるので、以下では、第1蓋部51の構成のみについて説明することとする。
【0046】
第1蓋部51は、図1図2(a)に示すように、蓋部本体53及び開閉部54を備えている。
【0047】
(構成-養生ユニット-蓋部-蓋部本体)
蓋部本体53は、蓋部50の基本構造体である。この蓋部本体53は、公知の樹脂製のシート材(一例として、帯電防止シート材)等を用いて構成されており(具体的には、第1養生開口41と同一の形状及び大きさで構成されており)、第1養生開口41全体を覆うように設けられている。
【0048】
(構成-養生ユニット-蓋部-開閉部)
開閉部54は、第1養生開口41の開閉量を調整するための開閉手段である。この開閉部54は、例えば公知の開閉部材(一例として、樹脂製のファスナー部材)を用いて構成されており、前側養生シート23にそれぞれ設けられている。具体的には、図1図2(a)に示すように、前側養生シート23における第1養生開口41の左端部全体及び右端部全体にわたってそれぞれ設けられ、前側養生シート23に対して固定具等によってそれぞれ接続されている。
【0049】
このような第1蓋部51及び第2蓋部52により、蓋部本体53の少なくとも一部を巻上げ又は巻下げることにより、第1養生開口41(又は第2養生開口42)を開閉させることができ、且つ第1養生開口41(又は第2養生開口42)の開放量を調整でき、状況に応じた第1養生開口41(又は第2養生開口42)の開閉を行うことが可能となる。
【0050】
(構成-養生ユニット-接続部)
図1に戻り、接続部60は、養生ユニット10と他の養生ユニット10とを接続するための接続手段である。この接続部60は、例えば公知の接続部材(一例として、樹脂製のファスナー部材)等を用いて構成されており、前側養生シート23及び後側養生シート24にそれぞれ設けられている。
【0051】
具体的には、図1図2に示すように、前側養生シート23(又は後側養生シート24)における第1養生開口41(又は第2養生開口42)よりも端部側に配置され(より具体的には、略逆U字状の接続部60が第1養生開口41(又は第2養生開口42)の周縁を覆うように配置され)、前側養生シート23(又は後側養生シート24)に対して固定具等によって接続されている。
【0052】
このような接続部60により、養生ユニット10と他の養生ユニット10とを接続することができ、養生空間11の拡張を図ることが可能となる。
【0053】
(構成-養生ユニット-取手部)
図1に戻り、取手部70は、養生ユニット10をつかむための取手手段である。この取手部70は、例えば公知の取手部材(一例として、樹脂製の取手部材)を用いて構成されており、前側養生シート23及び後側養生シート24に複数設けられている。具体的には、図2(d)に示すように、前側養生シート23及び後側養生シート24の各々の左端部及び右端部の各々の下端にそれぞれ配置されており、前側養生シート23又は後側養生シート24に対して接続されている。
【0054】
以下では、必要に応じて、図2(d)に示す取手部70のうち、前方左側に位置する取手部71を「前方左側取手部71」と称し、前方右側に位置する取手部72を「前方右側取手部72」と称し、後方左側に位置する取手部73を「後方左側取手部73」と称し、後方右側に位置する取手部74を「後方右側取手部74」と称する。
【0055】
(養生シートの構成の詳細)
図1に戻り、次に、養生シート20の構成の詳細について説明する。ただし、養生シート20は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0056】
(養生シートの構成の詳細-左側養生シート、右側養生シート、前側養生シート、及び後側養生シートの構成について)
最初に、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24の具体的な構成については、実施の形態1では、第1養生シート28aと、第1養生シート28aと接続された第2養生シート28bとを備えており、第1養生シート28aと第2養生シート28bとの接続部分28c(以下、「シート接続部分28c」と称する)を折り目として折り畳み可能に構成されている。
【0057】
具体的には、図1図2に示すように、第1養生シート28aは、透明なシート材(具体的には、矩形状の遮熱シート材)で形成され、第2養生シート28bは、視認性を有する梨地処理されたシート材(具体的には、矩形状のシート材)で形成されている。また、第1養生シート28aは、第2養生シート28bよりも上方に設けられており、第1養生シート28aの下端部と第2養生シート28bの上端部とが接続されることにより、シート接続部分28cが形成されている。
【0058】
この場合において、シート接続部分28cの具体的な構成については任意であるが、実施の形態1では、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24の各々のシート接続部分28cが略同一の高さに位置するように配置されている。そして、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24の各々が養生ユニット10の内側(又は養生ユニット10の外側)に向けて折り畳まれるように、各シート接続部分28cに公知の折り加工(例えば、谷折り加工等)が施されている。ただし、これに限らず、例えば、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24の各々のシート接続部分28cが異なる高さに位置するように配置されてもよい。
【0059】
このような左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24の構成により、図3に示すように、これら養生シート20を簡易に折り畳むことができ、養生ユニット10の組立作業や解体作業を簡易に行うことができると共に、養生ユニット10の搬送性を高めることができる。また、第1養生シート28aだけを用いて構成する場合に比べて、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、又は後側養生シート24の一部と他の一部との貼り付きが生じることを回避でき、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24の取り扱いが容易になる。また、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、又は後側養生シート24を介して外部から養生ユニット10の内部の様子を視認することができ、養生ユニット10の内部にいる作業者Mの作業状況を確認しやすくなる。
【0060】
また、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24のその他の構成については、実施の形態1では、図1図2に示すように、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24の各々に、保持シート29が設けられている。
【0061】
保持シート29は、養生空間11の気密性を保持するための保持手段である。この保持シート29は、例えば公知のシート材(一例として、第2養生シート28bと同一のシート材)等を用いて構成されており、図1図2に示すように、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24の各々の下端部から下方に向けて張り出すように設けられている。
【0062】
ここで、保持シート29の上記張り出し長さについては任意であるが、実施の形態1では、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24が折り畳まれる際に保持シート29によって阻害されない程度の長さに設定しており、例えば、300mm程度に設定してもよい。
【0063】
また、保持シート29の形成方法については任意であるが、実施の形態1では、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24の各々の後述する第2養生シート28bと一体形成している。ただし、これに限らず、例えば、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、又は後側養生シート24とは別体に形成し、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、又は後側養生シート24に対して接続してもよい。
【0064】
このような保持シート29により、例えば、養生ユニット10と床面との相互間に隙間が形成されることを回避でき、養生空間11の気密性を保持することが可能となる。
【0065】
(養生シートの構成の詳細-上側養生シートの構成について)
また、上側養生シート25の具体的な構成については、実施の形態1では、折り目を有しない遮光シート材で形成されている。
【0066】
このような上側養生シート25の構成により、養生ユニット10の内部にいる作業者Mが直接日差しを受けることを回避でき、当該作業者Mの作業性を確保しやすくなる。
【0067】
(養生シートの構成の詳細-前側養生シート及び後側養生シートの構成について)
また、前側養生シート23及び後側養生シート24の具体的な構成については、実施の形態1では、前側養生シート23と第1蓋部51の蓋部本体53とは、一体に形成されており、具体的には、図1図2に示すように、前側養生シート23の第1養生開口41に対応する部分(ただし、第1養生開口41の上端を除く)を切り欠くことにより、形成されている。また、後側養生シート24と第2蓋部52の蓋部本体53とは、一体に形成されており、具体的には、図1図2に示すように、後側養生シート24の第2養生開口42に対応する部分(ただし、第2養生開口42の上端を除く)を切り欠くことにより、形成されている。
【0068】
このような前側養生シート23及び後側養生シート24の構成により、前側養生シート23(又は後側養生シート24)として機能させることが可能な蓋部50を簡易に構成することができ、蓋部50の製造性を高めることができる。
【0069】
(支持部の構成の詳細)
次に、支持部30の構成の詳細について説明する。ただし、支持部30は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0070】
(支持部の構成の詳細-前側支持部材及び後側支持部材の構成について)
最初に、前側支持部材34及び後側支持部材35の具体的な構成については、実施の形態1では、以下に示す通りに構成されている。
【0071】
まず、前側支持部材34及び後側支持部材35の各々の正面形状については、図2(a)、(b)に示すように、略逆U字状に設定している。
【0072】
また、前側支持部材34及び後側支持部材35の各々の左右方向の長さについては、養生空間11の左右方向の長さと略同一に設定しており、前側支持部材34及び後側支持部材35の各々の上下方向の長さについては、養生空間11の上下方向の長さと略同一に設定している。
【0073】
また、前側支持部材34及び後側支持部材35の設置方法については、図1に示すように、前側支持部材34が前側養生シート23及び上側養生シート25の他の一部と当接し、且つ後側支持部材35が後側養生シート24及び上側養生シート25の一部と当接するように、前側支持部材34と後側支持部材35とを相互に間隔を隔てて略鉛直に設置している。
【0074】
また、前側支持部材34及び後側支持部材35の形成方法については、樹脂製の中空状の支持部材31の一部(具体的には、当該支持部材31におけるシート接続部分28cに対応する部分)に公知の折り加工を施すことにより、形成している。これにより、図3に示すように、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24が折り畳まれることに伴って前側支持部材34及び後側支持部材35を折り畳むことが可能となることから、養生ユニット10の組立作業や解体作業を一層簡易に行うことができると共に、養生ユニット10の搬送性を高めやすくなる。
【0075】
(支持部の構成の詳細-左側支持部材、右側支持部材、及び上側支持部材の構成について)
また、左側支持部材32、右側支持部材33、及び上側支持部材36の具体的な構成については、実施の形態1では以下に示す通りに構成されている。
【0076】
まず、左側支持部材32、右側支持部材33、及び上側支持部材36の各々の側面形状については、図2(c)、(d)に示すように、略直線状に設定している。
【0077】
また、左側支持部材32、右側支持部材33、及び上側支持部材36の各々の前後方向の長さについては、養生空間11の前後方向の長さと略同一に設定している。
【0078】
また、左側支持部材32、右側支持部材33、及び上側支持部材36の設置方法については、図1に示すように、前側支持部材34及び後側支持部材35との相互間において、左側支持部材32が左側養生シート21の上端部又はその近傍部分と当接し、右側支持部材33が右側養生シート22の上端部又はその近傍部分と当接し、且つ上側支持部材36が上側養生シート25の上端部と当接するように、略水平に設置している。
【0079】
また、前側支持部材34、後側支持部材35、左側支持部材32、右側支持部材33、及び上側支持部材36の接続方法については、隣接する支持部材31同士の相互間で気体が流入出可能となるように、隣接する支持部材31同士を連通して接続している。これにより、例えば、前側支持部材34及び後側支持部材35に設けられた図2の気体流入出部37(例えば、公知の逆止弁付きのバルブ及び安全弁からなる気体流入出部37)を介して気体を流入出させることにより、前側支持部材34、後側支持部材35、左側支持部材32、右側支持部材33、及び上側支持部材36に気体を充填し且つ排出することが可能となる。
【0080】
以上のような支持部30の構成により、これら支持部30への気体の充填又は排出により支持部30を自在に組み立てることができ、養生ユニット10の組立作業や解体作業を一層簡易に行うことができると共に、養生ユニット10の搬送性を高めやすくなる。
【0081】
(養生開口の構成の詳細)
図1に戻り、次に、養生開口40の構成の詳細について説明する。ただし、養生開口40は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。
【0082】
(養生開口の構成の詳細-第1養生開口の構成について)
最初に、第1養生開口41の具体的な構成については、実施の形態1では、作業者Mが養生空間11に出入りするための出入口として機能可能に構成されている。
【0083】
具体的には、まず、第1養生開口41の形状については、略矩形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略矩形状以外の略多角形状(一例として、略六角形状)、略半円状、略円状、又は略楕円状に設定してもよい。
【0084】
また、第1養生開口41の左右方向の長さについては、養生空間11の左右方向の長さよりも短く設定しており、例えば、養生空間11の左右方向の長さの半分以上の長さに設定することが好ましい。また、第1養生開口41の上下方向の長さについては、養生空間11の上下方向の長さよりも短く設定しており、例えば、養生空間11の上下方向の長さの半分以上の長さに設定することが好ましい。
【0085】
(養生開口の構成の詳細-第2養生開口の構成について)
また、第2養生開口42の具体的な構成については、実施の形態1では、作業者Mが養生空間11に出入りするための出入口として機能可能に構成されており、具体的には、後述する図4に示すように、第1養生開口41の構成と略同一に構成されている。
【0086】
(養生開口の構成の詳細-第3養生開口の構成について)
また、第3養生開口43の具体的な構成については、実施の形態1では、作業者Mが養生空間11に出入りするための出入口として機能可能に構成されている。
【0087】
具体的には、まず、第3養生開口43の形状については、図1に示すように、略矩形状に設定している。ただし、これに限らず、例えば、略矩形状以外の略多角形状(一例として、略六角形状)、略半円状、略円状、又は略楕円状に設定してもよい。
【0088】
また、第3養生開口43の左右方向の長さについては、養生空間11の左右方向の長さと略同一に設定しており、第3養生開口43の前後方向の長さについては、養生空間11の前後方向の長さと略同一に設定している。
【0089】
(養生開口の構成の詳細-その他の構成について)
また、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43の設置方法については、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43を連続状に配置することにより、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43を介して養生対象1の少なくとも一部を養生空間11内に挿通可能としている。
【0090】
具体的には、後述する図5に示すように、第1養生開口41の下端が養生空間11の下端に位置するように第1養生開口41を設置すると共に、第2養生開口42の下端が養生空間11の下端に位置するように第2養生開口42を設置することにより、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43を連続状に配置している。これにより、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43を介して養生対象1の少なくとも一部を養生空間11内に挿通させることができ、養生対象1の養生範囲を広げることが可能となる。
【0091】
以上のような養生ユニット10により、従来技術(鋼製の足場及び側溝を用いて養生対象を覆う技術)に比べて、養生ユニット10の組立作業及び解体作業を容易且つ迅速に行うことができ、且つ養生ユニット10の搬送性を高めることができ、養生作業の効率化を図ることができる。また、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43を、作業者Mが養生空間11に出入りするための出入口として機能でき、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43と出入口とを個別に設ける必要がなくなるため、養生ユニット10の製造性を高めることができる。
【0092】
(養生方法)
続いて、上記養生ユニット10を用いた養生方法について説明する。
【0093】
この養生方法は、上記養生ユニット10で養生対象1を養生する方法であり、実施の形態1では、養生対象1が床材である床養生方法と、養生対象1が壁材を養生する壁養生方法と、養生対象1が柱材を養生する柱養生方法とに大別される。以下では、床養生方法、壁養生方法、及び柱養生方法のそれぞれについて説明する。
【0094】
(養生方法-床養生方法)
最初に、床養生方法について説明する。この床養生方法は、組立工程、配置工程、及び解体工程を含んでいる。
【0095】
(養生方法-床養生方法-組立工程)
まず、組立工程について説明する。組立工程は、養生ユニット10を組み立てる工程である。
【0096】
具体的には、養生対象1がある現場(以下、「現場」と称する)において、図3(b)に示す折り畳まれた状態である養生ユニット10の支持部30に気体を充填することにより、養生ユニット10を組み立てる。
【0097】
より具体的には、複数の作業者M(例えば、2人の作業者M)によって複数の取手部70が把持された状態(例えば、前方左側取手部71及び後方右側取手部74(又は前方右側取手部72及び後方左側取手部73)が把持された状態(すなわち、対角線上に位置する2つの取手部70が把持された状態))で、公知のポンプ装置を用いて、前側支持部材34又は後側支持部材35の気体流入出部37を介して気体を流入させることにより、組み立てる。
【0098】
(養生方法-床養生方法-配置工程)
次に、配置工程について説明する。配置工程は、組立工程の後に、養生ユニット10によって養生対象1が養生されるように、養生ユニット10を配置する工程である。
【0099】
具体的には、図1に示すように、養生ユニット10の姿勢状態が、第1養生開口41及び第2養生開口42が鉛直方向に沿い、且つ第3養生開口43が水平方向に沿った状態(以下、「第1姿勢状態」と称する)となるように配置すると共に、養生対象1である床材の少なくとも一部が第3養生開口43を介して養生空間11に面するように配置する。この場合において、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、又は後側養生シート24と養生対象1との相互間で隙間が生じている場合でも、保持シート29によって養生ユニット10と床面との相互間に隙間が形成されることが回避され、養生空間11の気密性を保持できる。
【0100】
この配置工程が行われた後に、作業者Mが第1養生開口41又は第2養生開口42を介して養生ユニット10内に入り、第1蓋部51及び第2蓋部52で第1養生開口41及び第2養生開口42を閉鎖した状態で、当該作業者Mによって養生対象1に対する斫り作業が行われる(なお、壁養生方法及び柱養生方法についても略同様とする)。
【0101】
この斫り作業中においては、例えば、左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24を介して作業者Mの作業状況を外部から確認することができる。また、上記作業で生じた斫りガラを、第1養生開口41又は第2養生開口42を介して養生ユニット10の外部に搬出できる(なお、壁養生方法及び柱養生方法についても略同様とする)。
【0102】
また、上記斫り作業が行われた後に、床材の他の一部又は別の床材を養生するために、養生ユニット10を所定位置まで搬送してもよい。この場合には、例えば、複数の作業者M(一例として、2人作業者M)が養生ユニット10内に入った状態で、左側支持部材32及び右側支持部材33を担ぐことにより(具体的には、左側支持部材32及び右側支持部材33の各々の前端部又は後端部を対角にして担ぐことにより)、搬送してもよい(なお、壁養生方法及び柱養生方法についても同様とする)。
【0103】
(養生方法-床養生方法-解体工程)
次に、解体工程について説明する。解体工程は、配置工程及び斫り作業が行われた後に、養生ユニット10を解体する工程である。
【0104】
具体的には、現場において、図3に示すように、養生ユニット10の支持部30内の気体を抜き、且つ左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24を折り畳むことにより、養生ユニット10を解体する。
【0105】
より具体的には、複数の作業者M(例えば、2人の作業者M)によって少なくとも前方左側取手部71及び後方右側取手部74(又は前方右側取手部72及び後方左側取手部73)が把持された状態で、前側支持部材34又は後側支持部材35の気体流入出部37を介して流出させ、その後左側養生シート21、右側養生シート22、前側養生シート23、及び後側養生シート24を折り畳むことにより、解体する。
【0106】
このような床養生方法により、床材の養生作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0107】
(養生方法-壁養生方法)
次に、壁養生方法について説明する。図4は、壁養生方法の配置工程を示す図である。
【0108】
この壁養生方法は、組立工程、配置工程、及び解体工程を含んでいる。なお、これら組立工程及び解体工程は、床養生方法の組立工程及び解体工程と略同一の方法で行われるので、その説明を省略する。
【0109】
(養生方法-壁養生方法-配置工程)
配置工程については、具体的には、図4に示すように、養生ユニット10の姿勢状態が第1姿勢状態となるように、養生ユニット10を配置すると共に、養生対象1である壁材の少なくとも一部が第2養生開口42(又は第1養生開口41)を介して養生空間11に面するように、養生ユニット10を配置する。
【0110】
より具体的には、第1蓋部51(又は第2蓋部52)の蓋部本体53を巻上げた状態で、前側養生シート23(又は後側養生シート24)と養生対象1とを当接させることにより、配置する。
【0111】
このような壁養生方法により、壁材の養生作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0112】
(養生方法-柱養生方法)
次に、柱養生方法について説明する。図5は、柱養生方法の配置工程を示す図である。
【0113】
この柱養生方法は、組立工程、配置工程、及び解体工程を含んでいる。
【0114】
(養生方法-柱養生方法-組立工程)
組立工程については、具体的には、床養生方法の組立工程と略同一の方法を用いて、2つの養生ユニット10を組み立てる。
【0115】
(養生方法-柱養生方法-配置工程)
配置工程については、具体的には、図5に示すように、2つの養生ユニット10の姿勢状態が、第1養生開口41及び第2養生開口42が水平方向に沿い、且つ第3養生開口43が鉛直方向に沿った状態(以下、「第2姿勢状態」と称する)となるように、2つの養生ユニット10を配置すると共に、養生対象1である柱材の少なくとも一部が2つの養生ユニット10の各々の第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43を介して2つの養生ユニット10の養生空間11内に挿通されるように、2つの養生ユニット10を配置する。
【0116】
より具体的には、2つの養生ユニット10における第1蓋部51及び第2蓋部52の各々の蓋部本体53を巻上げた状態で、側面方向から見て2つの養生ユニット10の第3養生開口43同士が重なるように、2つの養生ユニット10によって養生対象1を挟み込むことにより、配置する。
【0117】
この場合において、例えば、2つの養生ユニット10の各々の上側の養生開口40(図5では、第1養生開口41)を開放した状態にしてもよく、又は、第1蓋部51によって上記上側の養生開口40の一部を閉鎖した状態にすることにより、飛散物が周辺に飛散することを回避してもよい。
【0118】
なお、養生ユニット10の姿勢状態が第2姿勢状態である場合には、第3養生開口43が養生ユニット10の側面に位置することになるため、作業者Mが第3養生開口43を介して養生ユニット10に出入りできる。
【0119】
(養生方法-柱養生方法-解体工程)
解体工程については、具体的には、床養生方法の解体工程と略同一の方法を用いて、2つの養生ユニット10を解体する。
【0120】
このような柱養生方法により、柱材の養生作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0121】
(実施の形態1の効果)
このように実施の形態1によれば、複数の養生シート20を支持するための支持部30であって、当該支持部30に気体を充填することにより形成された支持部30と、養生ユニット10の面のうち少なくとも側面に設けられる養生開口40であって、当該養生開口40を介して養生対象1を養生空間11で養生することを可能にする養生開口40と、を備え、養生開口40を、作業者Mが養生空間11に出入りするための出入口として機能可能に構成したので、従来技術(鋼製の足場及び側溝を用いて養生対象1を覆う技術)に比べて、養生ユニット10の組立作業及び解体作業を容易且つ迅速に行うことができ、且つ養生ユニット10の搬送性を高めることができ、養生作業の効率化を図ることができる。また、養生開口40を、作業者Mが養生空間11に出入りするための出入口として機能でき、養生開口40と出入口とを個別に設ける必要がなくなるため、養生ユニット10の製造性を高めることができる。
【0122】
また、複数の面に設けられた養生開口40を連続状に配置することにより、これら養生開口40を介して養生対象1の少なくとも一部を養生空間11内に挿通可能としたので、複数の養生開口40を介して養生対象1の少なくとも一部を養生空間11内に挿通させることができ、養生対象1の養生範囲を広げることが可能となる。
【0123】
また、養生開口40の開放量が調整自在となるように、養生開口40を開閉可能な蓋部50を備えるので、蓋部50によって養生開口40を開閉させることができ、且つ養生開口40の開放量を調整でき、状況に応じた養生開口40の開閉を行うことが可能となる。
【0124】
また、養生シート20を、第1養生シート28aと第2養生シート28bとの接続部分を折り目として折り畳み可能に構成したので、養生シート20を簡易に折り畳むことができ、養生ユニット10の組立作業や解体作業を簡易に行うことができると共に、養生ユニット10の搬送性を高めることができる。
【0125】
また、第1養生シート28a又は第2養生シート28bのいずれか一方を、透明なシート材で形成し、第1養生シート28a又は第2養生シート28bのいずれか他方を、視認性を有する梨地処理されたシート材で形成したので、第1養生シート28aだけを用いて構成する場合に比べて、養生シート20の一部と他の一部との貼り付きが生じることを回避でき、養生シート20の取り扱いが容易になる。また、養生シート20を介して外部から養生ユニット10の内部の様子を視認することができ、養生ユニット10の内部にいる作業者Mの作業状況を確認しやすくなる。
【0126】
また、養生シート20に設けられる保持シート29であって、養生空間11の気密性を保持するための保持シート29を備えるので、例えば、養生ユニット10と床面との相互間に隙間が形成されることを回避でき、養生空間11の気密性を保持することが可能となる。
【0127】
また、養生ユニット10と他の養生ユニット10とを接続するための接続部60を備えるので、養生ユニット10と他の養生ユニット10とを接続することができ、養生空間11の拡張を図ることが可能となる。
【0128】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係る養生ユニットについて説明する。この実施の形態2は、後述する補助養生シートを備える形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0129】
(構成)
最初に、実施の形態2に係る養生ユニット110の構成と、この養生ユニット110が適用される養生対象101の構成とについて説明する。
【0130】
(構成-養生対象)
まず、養生対象101の構成について説明する。実施の形態2に係る養生対象101は、実施の形態1に係る養生対象1の構成と略同一に構成されている。
【0131】
(構成-養生ユニット)
次に、養生ユニット110の構成について説明する。図6は、実施の形態2に係る養生ユニット110及び養生対象101を概念的に示す斜視図である。
【0132】
実施の形態2に係る養生ユニット110は、実施の形態1に係る養生ユニット10と略同一に構成されていることに加えて、図6に示すように、養生空間11と養生対象101との間に隙間111(以下、「補助隙間111」と称する)が生じるように配置されていると共に、補助養生シート120を備えている。
【0133】
ここで、補助隙間111を設ける理由については、斫り作業によって生じた斫りガラが増えることに伴って、養生空間11内において作業者Mの作業空間を狭くなるおそれがあることから、補助隙間111を設けることにより、養生空間11を拡張して作業空間を確保するためである。
【0134】
(構成-養生ユニット-補助養生シート)
補助養生シート120は、補助隙間111を囲繞可能なシートである。この補助養生シート120は、例えば公知の樹脂製のシート材(一例として、矩形状の帯電防止シート材)等を用いて構成されており、補助隙間111を囲繞するように少なくとも1つ以上設けられている。具体的には、図6に示すように、後側養生シート24における第2養生開口42の周縁部(ただし、下側周縁部を除く)に複数配置されると共に(図6では、3つ配置される)、後側養生シート24から後方に向けて張り出し可能に配置され、後側養生シート24に対して固定具又は接着テープ等によって接続されている。
【0135】
このような補助養生シート120により、補助隙間111の一部を囲繞できるため、養生空間11を拡張できることから、作業者Mの作業空間を確保しやすくなる。
【0136】
(養生方法)
続いて、上記養生ユニット110を用いた養生方法について説明する。
【0137】
実施の形態2に係る養生方法は、実施の形態1に係る養生方法と略同様に行われる。ただし、壁養生方法については、以下の工夫が施されている。
【0138】
(養生方法-壁養生方法)
次に、壁養生方法について説明する。
【0139】
壁養生方法は、組立工程、配置工程、及び解体工程を含んでいる。なお、これら組立工程及び解体工程は、実施の形態1に係る壁養生方法の組立工程及び解体工程と略同一の方法で行われるので、その説明を省略する。
【0140】
(養生方法-壁養生方法-配置工程)
配置工程については、具体的には、図6に示すように、養生空間11と養生対象101との間に補助隙間111が生じるように、養生ユニット110を配置する。そして、複数の補助養生シート120によって補助隙間111が覆われるように、複数の補助養生シート120を後方に向けて張り出した状態で、これら補助養生シート120を養生対象101に対して固定具又は接着テープ等で取り付ける。
【0141】
これにより、複数の補助養生シート120及び養生対象101によって補助隙間111を囲繞でき、養生空間11を拡張することが可能となる。
【0142】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、養生空間11と養生対象101との間に隙間が生じるように、養生ユニット110を配置し、隙間を囲繞可能な少なくとも1つ以上の補助養生シート120を備えるので、補助隙間111の少なくとも一部を囲繞できるため、養生空間11を拡張できることから、作業者Mの作業空間を確保しやすくなる。
【0143】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0144】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0145】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0146】
(養生空間について)
上記実施の形態1、2では、養生空間11が略直方体状であると説明したが、これに限らず、例えば、略直方体状以外の形状(一例として、略円柱状の如き他の柱状、略球状、略円錐状の如き錘状)であってもよい。この場合には、養生ユニットは、養生空間11に応じた形状に形成される。
【0147】
(養生ユニットについて)
上記実施の形態1、2では、養生ユニットが、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、第1養生開口41、第2養生開口42、又は第3養生開口43のいずれか1つ、又はいずれか2つのみを省略してもよい。この場合には、出入口が養生シート20のいずれかに設けられてもよい。また、第3養生開口43のみが設けられる場合には、第3養生開口43を養生ユニットの側面に位置させるために、養生ユニットの姿勢状態が第2姿勢状態となるように、養生ユニットを設置することになる。
【0148】
あるいは、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43に加えて、さらに養生開口40が設けられてもよく、一例として、左側養生シート21又は右側養生シート22に設けられてもよい。この場合には、新たに設けられる養生開口40を開閉する蓋部50も設けられてもよい。
【0149】
また、上記実施の形態1、2では、養生ユニットが、接続部60、取手部70、及び保持シート29を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、接続部60、取手部70、又は保持シート29を省略してもよい。
【0150】
また、上記実施の形態1、2では、養生ユニットが、第1蓋部51及び第2蓋部52を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、第1蓋部51又は第2蓋部52を省略してもよい。
【0151】
(支持部について)
上記実施の形態1、2では、支持部30の各種の支持部材31が養生シート20に対して接続されていると説明したが、これに限らない。例えば、各種の支持部材31の端部が養生シート20に設けられた取付穴に嵌合されることにより、各種の支持部材31が養生シート20に対して着脱自在に取り付けられてもよい。また、この場合には、取付穴を塞ぐためのカバー部も設けられてもよい。
【0152】
(養生シートについて)
上記実施の形態1、2では、養生シート20が、シート接続部分28cを折り目として折り畳み可能に構成されていると説明したが、これに限らない。例えば、養生シート20が、第1養生シート28a又は第2養生シート28bのいずれか1つのみを用いて折り畳み不能に構成されてもよい。
【0153】
また、上記実施の形態1、2では、第1養生シート28aが透明なシート材で形成され、第2養生シート28bが視認性を有する梨地処理されたシート材で形成されていると説明したが、これに限らない。例えば、第1養生シート28aは上記梨地処理されたシート材で形成され、第2養生シート28bは透明なシート材で形成されてもよい。あるいは、第1養生シート28a及び第2養生シート28bは透明なシート材で形成され、又は上記梨地処理されたシート材で形成されてもよい。
【0154】
また、上記実施の形態1、2では、上側養生シート25が、遮光シート材で形成されていると説明したが、これに限らず、例えば、遮光シート材以外のシート材(遮熱シート材、梨地処理されたシート材)等で形成されてもよい。
【0155】
(補助養生シートについて)
上記実施の形態2では、補助養生シート120の設置数が3つであると説明したが、これに限らない。例えば、補助隙間111を囲繞できるのであれば、3つ未満であってもよく、あるいは、4つ以上であってもよい。
【0156】
(養生開口について)
上記実施の形態1、2では、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43が、出入口として機能可能に構成されていると説明したが、これに限らず、例えば、第1養生開口41、第2養生開口42、又は第3養生開口43のいずれか1つ、又はいずれか2つが出入口として機能できないように構成されてもよい。
【0157】
また、上記実施の形態1、2では、第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43が連続状に設けられていると説明したが、これに限らず、例えば、第1養生開口41、第2養生開口42、又は第3養生開口43が非連続状に設けられてもよい。
【0158】
(養生方法について)
実施の形態1、2では、柱養生方法において、2つの養生ユニットを用いて養生対象を養生すると説明したが、これに限らず、例えば、1つの養生ユニットを用いて養生対象を養生してもよい。図7は、柱養生方法の配置工程の変形例を示す図である。
【0159】
一例として、実施の形態1に係る柱養生方法の配置工程において、図7に示すように、養生ユニット10の姿勢状態が第2姿勢状態となるように、1つの養生ユニット10を配置すると共に、養生対象1である柱材の少なくとも一部が1つの養生ユニット10の第1養生開口41、第2養生開口42、及び第3養生開口43を介して養生空間11内に挿通されるように、養生ユニット10を配置してもよい。そしてさらに、養生ユニット10の第3養生開口43側の面に設けられた第3蓋部130(例えば、第1蓋部51の構成と略同一である第3蓋部130)で第3養生開口43を開閉自在としてもよい。
【0160】
また、上記実施の形態1、2では、壁養生方法において、養生ユニットの姿勢状態が第1姿勢状態になるように、養生ユニットを配置すると説明したが、これに限らず、例えば、養生ユニットの姿勢状態が第2姿勢状態になるように、養生ユニットを配置してもよい。
【0161】
(付記)
付記1の養生ユニットは、養生対象を養生するための養生ユニットであって、前記養生対象を養生する養生空間を囲繞するように覆う複数の養生シートと、前記複数の養生シートを支持するための支持手段であって、当該支持手段に気体を充填することにより形成された支持手段と、当該養生ユニットの面のうち少なくとも側面に設けられる養生開口であって、当該養生開口を介して前記養生対象を前記養生空間で養生することを可能にする養生開口と、を備え、前記養生開口を、作業者が前記養生空間に出入りするための出入口として機能可能に構成した。
【0162】
付記2の養生ユニットは、付記1に記載の養生ユニットにおいて、前記養生開口を、当該養生ユニットの面のうち側面を含む複数の面にそれぞれ設け、前記複数の面に設けられた前記養生開口を連続状に配置することにより、これら養生開口を介して前記養生対象の少なくとも一部を前記養生空間内に挿通可能とした。
【0163】
付記3の養生ユニットは、付記1又は2に記載の養生ユニットにおいて、前記養生開口の開放量が調整自在となるように、前記養生開口を開閉可能な蓋手段を備える。
【0164】
付記4の養生ユニットは、付記1から3のいずれか一項に記載の養生ユニットにおいて、前記養生シートは、第1養生シートと、前記第1養生シートと接続された第2養生シートと、を備え、前記養生シートを、前記第1養生シートと前記第2養生シートとの接続部分を折り目として折り畳み可能に構成した。
【0165】
付記5の養生ユニットは、付記4に記載の養生ユニットにおいて、前記第1養生シート又は前記第2養生シートのいずれか一方を、透明なシート材で形成し、前記第1養生シート又は前記第2養生シートのいずれか他方を、視認性を有する梨地処理されたシート材で形成した。
【0166】
付記6の養生ユニットは、付記1から5のいずれか一項に記載の養生ユニットにおいて、前記養生空間と前記養生対象との間に隙間が生じるように、当該養生ユニットを配置し、前記隙間を囲繞可能な少なくとも1つ以上の補助養生シートを備える。
【0167】
付記7の養生ユニットは、付記1から6のいずれか一項に記載の養生ユニットにおいて、前記養生シートに設けられる保持手段であって、前記養生空間の気密性を保持するための保持手段を備える。
【0168】
付記8の養生ユニットは、付記1から7のいずれか一項に記載の養生ユニットにおいて、当該養生ユニットと他の養生ユニットとを接続するための接続手段を備える。
【0169】
(付記の効果)
付記1に記載の養生ユニットによれば、複数の養生シートを支持するための支持手段であって、当該支持手段に気体を充填することにより形成された支持手段と、当該養生ユニットの面のうち少なくとも側面に設けられる養生開口であって、当該養生開口を介して養生対象を養生空間で養生することを可能にする養生開口と、を備え、養生開口を、作業者が養生空間に出入りするための出入口として機能可能に構成したので、従来技術(鋼製の足場及び側溝を用いて養生対象を覆う技術)に比べて、養生ユニットの組立作業及び解体作業を容易且つ迅速に行うことができ、且つ養生ユニットの搬送性を高めることができ、養生作業の効率化を図ることができる。また、養生開口を、作業者が養生空間に出入りするための出入口として機能でき、養生開口と出入口とを個別に設ける必要がなくなるため、養生ユニットの製造性を高めることができる。
【0170】
付記2に記載の養生ユニットによれば、複数の面に設けられた養生開口を連続状に配置することにより、これら養生開口を介して養生対象の少なくとも一部を養生空間内に挿通可能としたので、複数の養生開口を介して養生対象の少なくとも一部を養生空間内に挿通させることができ、養生対象の養生範囲を広げることが可能となる。
【0171】
付記3に記載の養生ユニットによれば、養生開口の開放量が調整自在となるように、養生開口を開閉可能な蓋手段を備えるので、蓋手段によって養生開口を開閉させることができ、且つ養生開口の開放量を調整でき、状況に応じた養生開口の開閉を行うことが可能となる。
【0172】
付記4に記載の養生ユニットによれば、養生シートを、第1養生シートと第2養生シートとの接続部分を折り目として折り畳み可能に構成したので、養生シートを簡易に折り畳むことができ、養生ユニットの組立作業や解体作業を簡易に行うことができると共に、養生ユニットの搬送性を高めることができる。
【0173】
付記5に記載の養生ユニットによれば、第1養生シート又は第2養生シートのいずれか一方を、透明なシート材で形成し、第1養生シート又は第2養生シートのいずれか他方を、視認性を有する梨地処理されたシート材で形成したので、第1養生シートだけを用いて構成する場合に比べて、養生シートの一部と他の一部との貼り付きが生じることを回避でき、各養生シートの取り扱いが容易になる。また、養生シートを介して外部から養生ユニットの内部の様子を視認することができ、養生ユニットの内部にいる作業者の作業状況を確認しやすくなる。
【0174】
付記6に記載の養生ユニットによれば、養生空間と養生対象との間に隙間が生じるように、当該養生ユニットを配置し、隙間を囲繞可能な少なくとも1つ以上の補助養生シートを備えるので、補助隙間の少なくとも一部を囲繞できるため、養生空間を拡張できることから、作業者の作業空間を確保しやすくなる。
【0175】
付記7に記載の養生ユニットによれば、養生シートに設けられる保持手段であって、養生空間の気密性を保持するための保持手段を備えるので、例えば、養生ユニットと床面との相互間に隙間が形成されることを回避でき、養生空間の気密性を保持することが可能となる。
【0176】
付記8に記載の養生ユニットによれば、当該養生ユニットと他の養生ユニットとを接続するための接続手段を備えるので、養生ユニットと他の養生ユニットとを接続することができ、養生空間の拡張を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0177】
1 養生対象
10 養生ユニット
11 養生空間
20 養生シート
21 左側養生シート
22 右側養生シート
23 前側養生シート
24 後側養生シート
25 上側養生シート
26 給気口
27 排出口
28a 第1養生シート
28b 第2養生シート
28c シート接続部分
29 保持シート
30 支持部
31 支持部材
32 左側支持部材
33 右側支持部材
34 前側支持部材
35 後側支持部材
36 上側支持部材
37 気体流入出部
40 養生開口
41 第1養生開口
42 第2養生開口
43 第3養生開口
50 蓋部
51 第1蓋部
52 第2蓋部
53 蓋部本体
54 開閉部
60 接続部
70 取手部
71 前方左側取手部
72 前方右側取手部
73 後方左側取手部
74 後方右側取手部
101 養生対象
110 養生ユニット
111 補助隙間
120 補助養生シート
130 第3蓋部
M 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7