(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】吐出装置及び吐出速度の算出方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240527BHJP
B41J 2/015 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/01 201
B41J2/015 101
(21)【出願番号】P 2020087709
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】清川 佑輔
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-081714(JP,A)
【文献】特開2003-035719(JP,A)
【文献】特開2011-104776(JP,A)
【文献】特開2014-061599(JP,A)
【文献】特開2004-181695(JP,A)
【文献】特開2009-119751(JP,A)
【文献】特開2002-337328(JP,A)
【文献】特開2009-083261(JP,A)
【文献】特開2007-152853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 2/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口面に形成された吐出口から液滴を吐出する吐出ヘッドと、
前記吐出された液滴が所定の位置に到達したことを検知する液滴検出手段と、
前記吐出ヘッドが前記液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段により前記液滴が前記所定の位置に到達したことを検出するまでの時間を検出する時間検出手段と、
前記時間検出手段が検出した時間と、前記吐出口面から前記所定の位置までの距離とに基づいて前記液滴の吐出速度を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した前記液滴の吐出速度に基づいて前記吐出ヘッドを制御する制御手段と、
前記吐出ヘッドの前記吐出口面と前記所定の位置との距離を変化させる変化手段と、
を有し、
前記時間検出手段は、前記吐出ヘッドの前記吐出口面から前記所定の位置までの距離が第1の距離の状態における前記吐出口からの液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段が前記液滴を検出するまでの第1の時間を検出し、前記変化手段によって前記吐出ヘッドの前記吐出口面から前記所定の位置までの距離が前記第1の距離とは異なる第2の距離とした状態における前記吐出口からの液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段が前記液滴を検出するまでの第2の時間を検出し、
前記変化手段によって前記吐出ヘッドの前記吐出口面と前記所定の位置までの距離が前記第1の距離、前記第2の距離とは異なる第3の距離とした状態で前記吐出口から液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段が前記液滴を検出するまでの第3の時間を検出し、前記変化手段によって前記吐出ヘッドの前記吐出口面と前記所定の位置までの距離が前記第1の距離、前記第2の距離、前記第3の距離とは異なる第4の距離とした状態で前記吐出口から液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段が前記液滴を検出するまでの第4の時間を検出し、
前記算出手段は、前記第1の距離、前記第2の距離、
前記第3の距離、前記第4の距離、前記第1の時間、前記第2の時間
、前記第3の時間及び、前記第4の時間に基づいて前記液滴の吐出速度を
表す2次以上の多項式の近似曲線を算出することを特徴とする吐出装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記第1の距離と前記第2の距離の差と、前記第1の時間と前記第2の時間の時間差に基づいて前記液滴の吐出速度を算出することを特徴とする請求項1に記載の吐出装置。
【請求項3】
前記算出手段が算出した吐出速度に基づいて、前記吐出ヘッドが記録媒体に画像を記録する際の液滴の吐出タイミングを決定する決定手段を更に有することを特徴とするタイミング制御手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の吐出装置。
【請求項4】
前記変化手段によって、前記吐出ヘッドの前記吐出口面から前記所定の位置までの距離を前記第1の距離、前記第2の距離とは異なる第3の距離に変化させ、
前記時間検出手段は、前記第3の距離で前記吐出口から液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段が前記液滴を検出するまでの時間である第3の時間を検出し、
前記算出手段は、前記第2の距離、前記第3の距離、前記第2の時間及び前記第3の時間に基づいて吐出速度を算出し、
前記第1の距離と前記第2の距離において前記時間検出手段が検出した時間に基づいて算出した吐出速度と、前記第2の距離と前記第3の距離において前記時間検出手段が検出した時間に基づいて算出した吐出速度と、に基づいて前記第1の距離、前記第2の距離、及び前記第3の距離と異なる第
5の距離のときの吐出速度を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項5】
前記算出手段が算出した吐出速度に基づいて、前記吐出ヘッドが記録媒体に画像を記録
する際の液滴の吐出タイミングを決定する決定手段を更に有し、
前記第4の距離は、前記吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドが前記液滴の吐出を開始して画像を記録する記録媒体との距離であって、
前記決定手段は、前記算出手段が算出した前記第4の距離における吐出速度に基づいて前記記録媒体に記録を行う際の液滴の吐出タイミングを決定することを特徴とする請求項4に記載の吐出装置。
【請求項6】
前記吐出ヘッドと前記記録媒体との距離を測定する測定手段を有することを特徴とする請求項5に記載の吐出装置。
【請求項7】
前記決定手段は、液滴の吐出速度と吐出タイミングとの関係を示すテーブルに従って吐出タイミングを決定することを特徴とする請求項3、5及び6のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項8】
前記吐出ヘッドは、前記吐出タイミングを調整するためのパターンを前記記録媒体に記録し、
前記算出手段は、前記パターンに基づいて決定された吐出タイミングに基づいて液滴の吐出速度を算出し、
前記時間検出手段は、前記パターンを記録したタイミングとは異なる所定のタイミングにおいて前記吐出ヘッドが前記液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段により前記液滴が前記所定の位置に到達したことを検出するまでの時間を検出し、
前記算出手段は、前記時間検出手段が検出した前記時間に基づいて吐出速度を算出し、
前記決定手段は、前記算出手段が前記パターンに基づいて決定された吐出タイミングに基づいて算出した吐出速度と、前記時間検出手段が検出した時間に基づいて算出した吐出速度から吐出タイミングを決定することを特徴とする請求項3、及び請求項5から7のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項9】
前記吐出ヘッドは駆動パルスを印加することにより液滴を吐出し、
前記吐出ヘッドは、前記吐出タイミングを調整するためのパターンを記録媒体に記録し、
前記算出手段は、前記パターンに基づいて決定された吐出タイミングに基づいて液滴の吐出速度を算出し、
前記時間検出手段は、前記パターンを記録したタイミングとは異なる所定のタイミングにおいて前記吐出ヘッドが前記液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段により前記液滴が前記所定の位置に到達したことを検出するまでの時間を検出し、
前記算出手段は、前記時間検出手段が検出した前記時間に基づいて吐出速度を算出し、
前記決定手段は、前記算出手段が前記パターンに基づいて決定された吐出タイミングに基づいて算出した吐出速度と、前記時間検出手段が検出した時間に基づいて算出した吐出速度から前記吐出ヘッドに印加する駆動パルスの長さを決定することを特徴とする請求項3、及び請求項5から7のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項10】
前記吐出ヘッドは、前記吐出ヘッドが吐出装置に装着されたときに前記パターンの記録を行うことを特徴とする請求項8または9に記載の吐出装置。
【請求項11】
前記所定のタイミングは、前記算出手段によって吐出速度が算出されてから所定の時間が経過したタイミングであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項12】
前記所定のタイミングは、前記算出手段によって吐出速度が算出されてから所定の数の液滴を吐出したタイミングであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項13】
吐出信号を生成する吐出信号生成手段と、
前記吐出信号の入力に従って前記吐出ヘッドの前記吐出口から前記液滴を吐出するための駆動パルスを生成する駆動パルス生成手段と、を更に有し、
前記吐出ヘッドは前記駆動パルスが印加されることによって前記吐出口から液滴を吐出し、
前記時間検出手段は、前記吐出信号生成手段が前記駆動パルス生成手段に前記吐出信号を入力したタイミングを前記吐出口から前記液滴の吐出を開始したタイミングとして時間を検出することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項14】
光を発光する発光部と前記発光部が発光した光を受光する受光部とを有する検知手段を更に有し、
前記液滴検出手段は、前記受光部の受光量に基づいて、前記吐出ヘッドから吐出された液滴が前記所定の位置である前記発光部が発行する光に到達したことを検出する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項15】
吐出ヘッドの吐出口面に形成された吐出口から吐出された液滴が所定の位置に到達したことを検出し、
前記吐出ヘッドが前記液滴の吐出を開始してから前記液滴が前記所定の位置に到達したことを検出するまでの時間を検出し、
検出した前記時間と、前記吐出口面から前記所定の位置までの距離とに基づいて前記液滴の吐出速度を算出し、
時間の検出において、前記吐出ヘッドの前記吐出口面から前記所定の位置までの距離が第1の距離の状態において、前記吐出口から液滴の吐出を開始してから前記液滴が前記所定の位置に到達したことを検出するまでの第1の時間を検出し、
前記吐出ヘッドから前記所定の位置までの距離を前記第1の距離とは異なる第2の距離に変化させ、
前記吐出ヘッドの前記吐出口面から前記所定の位置までの距離が前記第2の距離の状態において、前記吐出口から液滴の吐出を開始してから前記液滴が前記所定の位置に到達したことを検出するまでの第2の時間を検出し、
前記吐出ヘッドの前記吐出口面から前記所定の位置までの距離を前記第1の距離、前記第2の距離とは異なる第3の距離に変化させ、
前記吐出口から液滴の吐出を開始してから前記液滴が前記所定の位置に到達したことを検出するまでの第3の時間を検出し、
前記吐出ヘッドの前記吐出口面から前記所定の位置までの距離を前記第1の距離、前記第2の距離、前記第3の距離とは異なる第4の距離に変化させ、
前記吐出口から液滴の吐出を開始してから前記液滴が前記所定の位置に到達したことを検出するまでの第4の時間を検出し、
前記第1の距離、前記第2の距離、
前記第3の距離、前記第4の距離、前記第1の時間
、前記第2の時間
、前記第3の時間及び、前記第4の時間に基づいて前記液滴の吐出速度
を表す2次以上の多項式の近似曲線を算出することを特徴とする吐出速度の算出方法。
【請求項16】
前記第1の距離と前記第2の距離の差と、前記第1の時間と前記第2の時間の時間差に基づいて前記液滴の吐出速度を算出することを特徴とする請求項15に記載の吐出速度の算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出装置及び吐出速度の算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の記録装置においては、使用を続けていくと記録装置や記録ヘッドの個体差およびインクの物性、さらにはその使用状況や環境影響によってインク滴の吐出速度が変化することがある。インク滴の吐出速度が変化すると、例えば記録ヘッドの往復走査によって画像を記録するときには、往路方向で吐出したインク滴と復路方向で吐出したインク滴の着弾位置の関係がずれてしまい、画質に影響が生じる。
【0003】
特許文献1は、吐出するインクの吐出速度を計測する光学的検出器を備え、計測結果に基づき記録ヘッドの移動速度と吐出速度とから吐出タイミングを適切に設定するためのレジストレーション調整方法が開示されている。また、この文献にはインクの吐出速度の測定方法として、インクの吐出タイミングから光学的検出器から照射される光束に到達するまでの時間を測定し、その測定結果と記録ヘッドから光束までの距離に基づいて吐出速度を算出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、吐出ヘッドと液滴検出センサの距離を一定に設定して吐出速度を算出する方法では、吐出ヘッドと液滴検出センサの距離に誤差があると高精度に吐出速度を求めることができない。
【0006】
本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、インク滴の吐出速度の算出精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吐出口面に形成された吐出口から液滴を吐出する吐出ヘッドと、前記吐出された液滴が所定の位置に到達したことを検知する液滴検出手段と、前記吐出ヘッドが前記液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段により前記液滴が前記所定の位置に到達したことを検出するまでの時間を検出する時間検出手段と、前記時間検出手段が検出した時間と、前記吐出口面から前記所定の位置までの距離とに基づいて前記液滴の吐出速度を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した前記液滴の吐出速度に基づいて前記吐出ヘッドを制御する制御手段と、前記吐出ヘッドの前記吐出口面と前記所定の位置との距離を変化させる変化手段と、を有し、前記時間検出手段は、前記吐出ヘッドの前記吐出口面から前記所定の位置までの距離が第1の距離の状態における前記吐出口からの液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段が前記液滴を検出するまでの第1の時間を検出し、前記変化手段によって前記吐出ヘッドの前記吐出口面から前記所定の位置までの距離が前記第1の距離とは異なる第2の距離とした状態における前記吐出口からの液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段が前記液滴を検出するまでの第2の時間を検出し、前記変化手段によって前記吐出ヘッドの前記吐出口面と前記所定の位置までの距離が前記第1の距離、前記第2の距離とは異なる第3の距離とした状態で前記吐出口から液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段が前記液滴を検出するまでの第3の時間を検出し、前記変化手段によって前記吐出ヘッドの前記吐出口面と前記所定の位置までの距離が前記第1の距離、前記第2の距離、前記第3の距離とは異なる第4の距離とした状態で前記吐出口から液滴の吐出を開始してから前記液滴検出手段が前記液滴を検出するまでの第4の時間を検出し、前記算出手段は、前記第1の距離、前記第2の距離、前記第3の距離、前記第4の距離、前記第1の時間、前記第2の時間、前記第3の時間及び、前記第4の時間に基づいて前記液滴の吐出速度を表す2次以上の多項式の近似曲線を算出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吐出ヘッドからインク滴を吐出してから、インク滴を液滴検出センサで検出するまでの時間を、吐出ヘッドと液滴検出センサまでの距離を変化させて複数回測定することで、インク滴の吐出速度の算出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る記録装置の外観を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る記録装置の内部構成を示す斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係る記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】インク滴の吐出速度と着弾位置の相関関係を示す模式図である。
【
図5】第1の実施形態におけるインク滴の吐出速度の算出方法について説明するための図である。
【
図6】第1の実施形態における検出時間および吐出速度を示す図である。
【
図7】第1の実施形態における吐出速度を算出する処理のフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態における距離検出センサの内部構成と検出の例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態における検出時間および吐出速度を示す図である。
【
図10】第3の実施形態における吐出速度を算出する処理のフローチャートである。
【
図11】第3の実施形態における記録位置ずれを調整するためのパターンを示す図である。
【
図12】第3の実施形態における検出時間および吐出速度を示す図である。
【
図13】第3の実施形態における吐出タイミングの補正処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
<記録装置の全体概要>
図1は、実施形態に係る液滴吐出装置の一例としてのインクジェット記録装置(以下、記録装置)100の外観を示す図である。
【0011】
図1に示す記録装置100は、出力された記録媒体を積載する排紙ガイド101、種々の記録情報や設定結果などを表示するための表示パネル103と、記録モードや記録紙などの設定をするための操作ボタン102などを備える。さらに記録装置100には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの色のインクを貯留するインクタンクを収容し、液滴吐出ヘッドの一例として記録ヘッド201(
図2)にインクを供給するインクタンクユニット104を備える。
図1の記録装置は60インチサイズの記録媒体までの複数の幅の記録媒体に記録可能な記録装置である。記録媒体203はロール紙やカット紙を使用することができる。また、記録媒体203は紙に限られるものではなく、例えば布やビニールであってもよい。
【0012】
図2は、記録装置100の内部構成を示す斜視図である。プラテン212は記録ヘッド201と対向する位置に位置する記録媒体203を支持する部材である。記録媒体203は、プラテン212によって支持されながら、用紙搬送ローラ213によって搬送方向(Y方向)に搬送される。記録ヘッド201は、吐出口が形成された吐出口面201a(
図5)を有している。吐出口面201aには、複数の吐出口がY方向に配列された吐出口列が各インク色毎に形成され、吐出口列はX方向に配列されている。記録ヘッド201はキャリッジ202に搭載される。また、記録ヘッド201は、プラテン212上の記録媒体203と記録ヘッド201との距離を検出するための距離検出センサ204を備える。距離検出センサ204は記録媒体203上に光を照射する発光素子(
図8)、記録媒体203から反射する光を受光する受光素子(
図8)を有し、受光素子の受光量の出力の変化から、距離を計測する光学センサである。詳しくは
図8にて説明する。液滴検出センサ205は記録ヘッドから吐出される液滴、ここではインク滴を検出するセンサである。液滴検出センサ205は発光素子401(
図5)、受光素子402(
図5)、制御回路基板403(
図5)を備える光学センサである。詳しくは
図5にて説明する。メインレール206はキャリッジ202を支持するものであり、キャリッジ202はメインレール206に沿ってX方向(記録媒体の搬送方向に対して直交方向)に往復走査する。キャリッジ202の走査は、キャリッジ搬送ベルト207を介してキャリッジモーター208が駆動することにより行われる。リニアスケール209は走査方向に配設され、リニアスケール209をキャリッジ202に搭載されたエンコーダセンサ210が検出することで位置情報を取得する。さらに、記録装置100はキャリッジ202を支持するメインレール206の高さを段階的に可変するためのリフトカム(不図示)およびそのリフトカムを駆動するリフトモーター211を備える。リフトカムをリフトモーター211で駆動することで、記録ヘッド201を昇降させ、記録ヘッド201と記録媒体203の間の距離を接近させたり離間させたりすることができる。リフトカムの停止位置に基づき所定の精度で多段階に高さを可変することが可能で、その高さの可変量は所定段階の高さに対して相対的に駆動するため、高精度に段階間の変動距離を設定することができる。
【0013】
図3は、記録装置100の制御構成を示すブロック図である。記録装置100は、装置全体を制御するCPU301、各センサやモータを制御するセンサ・モーター制御部302、および吐出速度や記録媒体の厚さなどの各種情報を記憶するメモリ303を備える。CPU301、センサ・モーター制御部302、メモリ303は、互いに通信可能に接続される。センサ・モーター制御部302は、距離検出センサ204、液滴検出センサ205、及びキャリッジ202を走査するキャリッジモーター208を制御する。また、センサ・モーター制御部302は、エンコーダセンサ210で検出した位置情報に基づきヘッド制御回路305を制御し、記録ヘッド201からインクを吐出する。
【0014】
ホスト装置1から送信された画像データは、CPU301にて吐出信号に変換され、吐出信号に従って記録ヘッド201からインクが吐出されて記録媒体203への印刷が行なわれる。CPU301は、ドライバ部306、シーケンス制御部307、画像処理部308、タイミング制御部309、およびヘッド制御部310を含んで構成される。シーケンス制御部307は、記録制御全般を制御し、具体的には、各機能ブロックである画像処理部308、タイミング制御部309及びヘッド制御部310の起動および停止、記録媒体の搬送制御、キャリッジ202の走査制御等を行なう。各機能ブロックの制御は、シーケンス制御部307が各種プログラムをメモリ303から読み出して実行することにより実行される。ドライバ部306は、シーケンス制御部307からの指令に基づき、センサ・モーター制御部302、メモリ303、ヘッド制御回路305等への制御信号を生成し、また各ブロックからの入力信号をシーケンス制御部307へ伝達する。
【0015】
画像処理部308は、ホスト装置1からの入力画像データを色分解・変換し、記録ヘッド201で記録可能な記録データに変換する画像処理を行なう。タイミング制御部309は、キャリッジ202の位置と連動して、画像処理部308で変換・生成された記録データをヘッド制御部310に転送する。また、タイミング制御部309は、記録データの吐出のタイミングの制御も行なう。タイミング制御は、後述する吐出速度の算出処理において算出される吐出速度に基づいて決定された吐出タイミングに従って行う。ヘッド制御部310は、吐出信号生成手段として機能し、タイミング制御部309から入力された記録データを吐出信号に変換して出力する。また、シーケンス制御部307の指令に基づいてインクを吐出しない程度の制御信号を出力することによって記録ヘッド201の温度制御を行なう。ヘッド制御回路305は駆動パルス生成手段として機能し、ヘッド制御部310から入力された吐出信号に従って駆動パルスを生成し、記録ヘッド201に印加する。
【0016】
次に、
図4を用いて吐出タイミングの調整について説明する。
図4(a)は、インク滴の吐出速度と着弾位置の関係を示す模式図である。記録ヘッド201の吐出口面201aと記録媒体203のZ方向の距離をHとする。記録ヘッド201はX方向に速度Vcrで往復走査しながらインクを吐出して記録媒体203に画像の記録を行う。記録ヘッド201から吐出されたインク滴の吐出速度をVaとする。
図4(a)に示すように、往路方向の走査と復路方向の走査では走査方向が異なるために、インク滴を吐出した位置に対するインクの着弾位置が異なる。記録ヘッド201が吐出したインク滴の着弾位置を合わせるために、インク滴の吐出タイミングを調整する。まず、往路方向の走査においてインク滴を吐出した位置から記録媒体203上にインク滴が着弾する位置までの距離Xaは以下の計算式で記述される。
【0017】
Xa = (H / Va)× Vcr
さらに、復路方向の走査においてインク滴を吐出した位置から記録媒体203上にインク滴が着弾する位置までの距離Xbは以下の計算式で記述される。
【0018】
Xb =(H / Va)×(―Vcr)
= ―Xa
上記により、記録ヘッド201と記録媒体203の距離と、液滴検出センサ205により検出されたインク滴の吐出速度に基づき、エンコーダセンサ210が検出する記録ヘッド201の位置に対する適切な吐出タイミングが求められる。本実施形態では、予めデフォルトの吐出速度と、デフォルトの吐出速度に対する吐出タイミングが定められてメモリ303に保存されている。このデフォルトの吐出速度に対する吐出タイミングの調整値を0として、吐出速度に応じて調整値が-4から+4までの値で調整される。調整は1200dpi単位で行われる。この吐出速度と吐出タイミングの調整値が対応づけられたテーブルは予めメモリ303に保存しておく。そして、後述する
図7の吐出速度の算出処理によって取得した速度に応じた吐出タイミングの調整値をテーブルから取得し、吐出タイミングの調整を行う。
【0019】
また、
図4(b)は、液滴検出センサ205により検出されたインク滴の吐出速度が上記
図4(a)で示すインク滴の吐出速度から下がった場合を示している。このとき、往路方向の走査においてインク滴を吐出した位置から記録媒体203上にインク滴が着弾する位置までの距離Xa’は以下の計算式で記述される。
【0020】
Xa’ = (H / Va’)× Vcr
仮に、記録ヘッド201に吐出したインク滴が記録媒体203に着弾するまでのインク滴の吐出速度が10%減衰していたと仮定すると、以下のように吐出位置から着弾位置までの距離を求めることができる。
【0021】
Xa’= (H / Va’)× Vcr
= (H / (Va×0.9))× Vcr
= 1.11×Xa
以上のように、吐出速度が遅くなると、着弾位置は記録ヘッド201が走査する方向にずれる。吐出位置から着弾位置までの距離が求められると、
図4(a)と同様に、吐出速度に基づいて適切な吐出タイミングの調整値を求めることができる。尚、第1の実施形態では、記録媒体203は十分薄いとし、記録ヘッド201の吐出口面201aと記録媒体203の距離は、吐出口面201aとプラテン212の距離と同じ距離であると見なすことができるとする。
【0022】
次に、
図5を用いて本実施形態における、記録ヘッド201から吐出されるインク滴の吐出速度の算出方法を説明する。
図5は記録装置100をY-Z断面で切断した時の記録ヘッド201と液滴検出センサ205の模式図を示す。また、記録ヘッド201に駆動パルスを印加するための吐出信号と、液滴検出センサ205がインク滴の通過を検知したときの検出信号のタイミングチャートを示す。
【0023】
図5(a)に示すように記録ヘッド201は吐出口面201aを有している。液滴検出センサ205は発光素子401、受光素子402、制御回路基板403などから構成されている。発光素子401は光404を発し、受光素子402は発光素子401が発光した光404を受光する。受光素子402が受光した受光量を制御回路基板403が検出する。光404をインク滴が通過すると受光量が少なくなるため、インク滴の通過を検出することができる。液滴検出センサ205は、光404の光軸がプラテン212の記録媒体203を支持する側の表面とZ方向に同じ位置になるように設置されている。発光素子401および受光素子402の近傍にはそれぞれスリットが設けられ、入射する光404を絞り込んでS/N比を向上させる。光404の中をインク滴が通過するようにインク滴を吐出できるX方向の記録ヘッド201の位置を検出可能位置とする。インク滴の吐出速度を算出するためにインク滴を検出する際には、シーケンス制御部307によってセンサ・モーター制御部302はキャリッジモーター208が制御され、記録ヘッド201は検出可能位置に移動する。本実施形態における光404の光束の断面積は1(mm^2)程度とする。そして、インク滴が光404を通過した場合のインク滴の平行光射影面積は2^-3(mm^2)程度とする。
【0024】
図5(a)は、記録ヘッド201の吐出口面201aと発光素子401が発光する光404との高さ方向(Z方向)の距離がH1であるときの様子を示している。吐出口面201aと光404との距離がH1でない場合にはセンサ・モーター制御部302はリフトモーター211を駆動してリフトカムによって記録ヘッド201の高さを移動させる。
図5(a)に示す状態になると、CPU301内のヘッド制御部310からの吐出信号がドライバ部306を介してヘッド制御回路305に送信される。ドライバ部306は吐出信号を送信したタイミングをシーケンス制御部307へ伝達する。ヘッド制御回路305は吐出信号に従って駆動パルスを発生させ、記録ヘッド201に印加することで吐出口からインクを吐出させる。発光素子401が発光する光404をインク滴が通過して受光素子402が受光する受光量が変化すると、受光量が変化したタイミングが制御回路基板403にて検出信号として出力される。出力した検出信号はセンサ・モーター制御部302を介してシーケンス制御部307に送られる。そしてシーケンス制御部307は、吐出信号が発せられてから検出信号が出力されるまでの検出時間T1を検出する。以上のように、シーケンス制御部307はインクの吐出開始から吐出したインク滴が検出されるまでの時間を検出する時間検出手段として機能し、吐出速度を算出するための検出時間を検出する。
【0025】
図5(b)は、
図5(a)にてインク滴を検出した後に、リフトモーター211を駆動し、記録ヘッド201の吐出口面201aと発光素子401が発光する光404との高さ方向(Z方向)の距離をH2としたときの様子を示している。
図5(a)と同様に、インク滴が液滴検出センサ205の光404を通過したときの受光素子402の受光量が変化したタイミングが検出信号として出力される。そして、記録ヘッド201にインク滴を吐出させる吐出信号が発せられてから検出信号が出力されるまでの検出時間T2がシーケンス制御部307にて検出される。
【0026】
図5(a)および
図5(b)の状態で検出時間T1、T2を検出すると、シーケンス制御部307は検出時間T1と検出時間T2の時間差と、距離H1と距離H2の距離差と、に基づき、距離H2から距離H1の間を通過するインク滴の吐出速度V1を算出する。算出式は以下のようになる。
【0027】
V1=(H2-H1)/(T2-T1)
吐出速度V1を算出すると、リフトモーター211を駆動し、吐出口面201aと光404との高さ方向の距離を距離H2よりも更に離間させたH3にする。このときの状態を
図5(c)に示す。
図5(a)および
図5(b)と同様に、記録ヘッド201の吐出口からインク滴を吐出し、吐出したインク滴が液滴検出センサ205の光404を通過したときの光量が変化したタイミングを制御回路基板403にて検出信号として検出する。そして、記録ヘッド201にインク滴を吐出させる吐出信号が発せられてから検出信号が出力されるまでの検出時間T3がシーケンス制御部307にて検出される。
図5(a)、
図5(b)で説明した時と同じように、距離H2と距離H3においてそれぞれ検出した検出時間T2と検出時間T3の差と、距離H2と距離H3の距離差とに基づき、距離H3から距離H2の間を通過するインク滴の吐出速度V2を算出する。算出式は以下のようになる。
【0028】
V2=(H3-H2)/(T3-T2)
吐出速度V2を算出すると、さらにリフトモーター211を駆動し、吐出口面201aと光404との高さ方向の距離を距離H3よりも更に離間させたH4にする。このときの状態を
図5(d)に示す。
図5(a)、
図5(b)および
図5(c)と同様に、記録ヘッド201の吐出口からインク滴を吐出し、吐出したインク滴が液滴検出センサ205の光404を通過したときの光量が変化したタイミングを制御回路基板403によって検出し、検出信号を出力する。そして、記録ヘッド201にインク滴を吐出させる吐出信号が発せられてから検出信号が出力されるまでの検出時間T4がシーケンス制御部307にて検出される。
図5(a)~
図5(c)で説明した時と同じように、距離H3と距離H4においてそれぞれ検出した検出時間T3と検出時間T4との差と、距離H3と距離H4の距離差とに基づき、距離H4から距離H3の間を通過するインク滴の吐出速度V3を算出する。算出式は以下のようになる。
【0029】
V3=(H4-H3)/(T4-T3)
以上のように、記録ヘッド201と液滴検出センサ205との距離を変化させ、それぞれの距離における検出時間を検出することによってインク滴の吐出速度Vを算出する。以上では、短い距離から順に検出時間を検出していったが、検出順はこれに限られない。例えば距離が長い方から順に検出しても良い。本実施形態において、離間させる距離Hは1.2mm-2.2mmの間の距離である。
【0030】
また、記録ヘッド201と液滴検出センサ205の距離について、更に多くの距離での検出時間を測り、吐出速度を算出してもよい。多くの距離に対応する吐出速度が算出できるため、吐出速度の減衰影響(吐出速度が距離によって一定か、もしくは変化しているかどうか)をより詳細に取得することができる。その結果、より高精度にインク滴の吐出速度と減衰影響を取得することが可能である。
【0031】
図6(a)、(c)は、
図5で説明した、吐出口面201aと液滴検出センサ205の光404の距離と、それぞれの距離における検出時間の出力結果を示す図である。
図6(b)、(d)はそれぞれ
図6(a)、(c)に示す距離と検出時間から算出した吐出速度と、各距離の差との関係を示す図である。
【0032】
図6(a)に示すグラフにおいて、縦軸はシーケンス制御部307で検出される検出時間を示し、横軸を記録ヘッド201の吐出口面201aと液滴検出センサ205の光404の距離を示す。
図6(a)において斜線付き丸で示す箇所が実際に測定した箇所である。ここでは距離H1~H5のときに検出を行っている。距離H5は距離H4よりも更に離れた距離である。
【0033】
図6(b)に示すグラフにおいて、縦軸は吐出速度を示し、横軸は離間させた各距離の差を示す。このとき、算出した吐出速度のデータは、種々の影響から非線形に推移するデータが得られることがある。そのため、距離の差ごとに示す吐出速度のデータについてより精度よく算出するために、取得した吐出速度のデータから、2次以上の多項式の近似曲線を求め、求めた近似曲線の多項式を吐出速度を表す式とする。近似曲線を求めるためには、3つ以上吐出速度を用いる。3つ以上の吐出速度を算出するためには、4つ以上の距離における検出時間を検出する必要がある。吐出速度の求め方は上述した通りである。
【0034】
また、記録ヘッドの個体差およびインク色ごとの物性の差、さらにはその使用状況や環境影響によっては線形的に推移するデータが得られる可能性もあることが、発明者の実験により判明している。このような線形的に推移する場合のデータを
図6(c)に示す。この場合も、上記と同様に、各距離における検出時間と、吐出口面201aと光404との距離の差から吐出速度を算出することができる。算出した吐出速度と距離の差との関係を示す図を
図6(d)に示す。
図6(d)に示すように、各距離の差において算出した吐出速度はどの距離の差においても一定の吐出速度を示す。線形に移行するデータが得られることが分かっている場合には、距離に関わらず一定の吐出速度のため、1つの吐出速度を求めればよい。1つの吐出速度を算出するためには2つの距離における検出時間を検出すればよい。
【0035】
また、吐出速度の推移が非線形であっても、吐出口面201aと記録媒体203との距離が一定の距離の場合にのみ記録を行う場合には近似曲線の算出を必ずしも行う必要はない。その場合には、記録を行う際の距離が間に含まれる2つの距離における検出時間を検出すればよい。
【0036】
図7は、
図5および
図6に対応し、吐出速度を算出する処理のフローチャートを示す。
【0037】
図7の吐出速度の算出処理は、記録装置100のユーザーが記録装置100を初めて動作させる初期設置の動作時や、記録ヘッド201を新しいものに交換して装着されたときなどに行う処理である。また、メンテナンスとして定期的に行われたり、ユーザーの指示に従って行われたりしてもよい。
図7の処理は、例えばメモリ303に格納されたプログラムに従ってCPU301のシーケンス制御部307が行う処理である。
【0038】
まず、ステップS601では、シーケンス制御部307はリフトモーター211を駆動させ、記録ヘッド201と液滴検出センサ205を所定距離だけ離間させる。離間させる距離は、予めメモリ303に設定してあり、本実施形態では
図5で説明した距離H1~H4である。離間する距離の順番は
図5で説明した通り、距離H1、H2、H3、H4の順番とする。
【0039】
次にステップS602に進み、吐出速度を検出するために必要な前処理を実行する。詳しくは、吐出速度を検出するために最適な吐出制御の事前設定や、インク滴の安定吐出のための予備吐出動作、さらには記録装置内部の気流制御の安定化のための吸引ファン停止動作、などが挙げられる。
【0040】
次にステップS603に進み、液滴検出センサ205の発光素子401が発光する光404に対し、記録ヘッド201から検査用のインク滴を吐出する吐出動作を実行する。詳しくは、ステップS601で離間した距離において、記録ヘッド201の所定のノズルからインク滴の吐出を開始してから液滴検出センサ205の受光素子402が、光404をインク滴が通過したことを検出するまでの時間である検出時間を検出する。このとき、検出時間は、記録ヘッド201の複数のノズルを用いて複数の検出時間を検出する。検出時間の測定を行う対象のノズルは、吐出速度を精度よく検出するために両端および中心を含む広範のノズルが選択されることが望ましい。
【0041】
次にステップS604に進み、ステップS603で取得した検出時間のデータ処理を実行し、ステップS601で離間させた距離に対する検出時間を算出する。詳しくは、検出時間の測定の安定化のために必要な取得サンプル数に基づき平均化処理やデータの異常値混入を防ぐための上下誤差範囲外データの削除などのデータ処理を実行する。
【0042】
次にS605に進み、メモリ303に設定されている全ての距離に対して検出時間を検出したか否かを判定する。本実施形態では、現在の吐出口面201aと液滴検出センサ205の光404との距離が、最後に離間させる距離である距離H4であるか否かを判定する。距離が距離H4でない場合にはステップS601に戻り、次に設定されている距離だけ離間させ、以降のデータ取得と処理を実行する。ステップS605において、現在の距離が距離H4であると判定された場合には、全ての距離での検出時間の取得が完了しているとしてS606に進む。
【0043】
ステップS606では、吐出速度の算出を実行する。詳しくは、
図5、
図6を用いて説明したように、各距離の差と、各距離における検出時間に基づいて吐出速度を算出する。吐出速度を算出するとステップS607に進み、ステップS606で算出した吐出速度の情報をメモリ303に保存する。ここで保存した吐出速度情報は、以降、必要な処理に応じてデータ処理および記録ヘッド201の駆動制御に使用される。
【0044】
次にステップS608に進み、終了処理を行う。詳しくは、吐出速度の算出が完了したため、記録ヘッド201を所定位置に退避させたり、次回記録動作処理のための待機状態に移行したり、さらには取得した吐出速度情報に基づき、記録ヘッド201のクリーニング処理、などに移行し、その後本処理は終了する。
【0045】
図7の吐出速度が終了すると、メモリ303に予め保存された吐出速度と吐出タイミングの調整値が対応づいたテーブルと、
図7の処理によって取得した吐出速度に基づいて吐出タイミングの調整値をテーブルから取得し、吐出タイミングの調整を行う。画像の印刷を行う際には、タイミング制御部309によって記録データに従ってインクを吐出するタイミングの制御を行う。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、記録ヘッド201と液滴検出センサ205の距離を変化させ、複数の距離ごとにインク滴の吐出から検知までの時間を検出した。そして、各距離の差と、検出時間の差とに基づいて吐出速度を算出する。これにより、高精度に組み立てた状態でなくとも、高精度にインク滴の吐出速度を算出することができる。また、さらに4つ以上の距離の検出時間を検出することにより、記録装置や記録ヘッドの個体差およびインク色ごとの物性、さらにはその使用状況や環境影響と、離間した距離ごとにおける吐出速度の減衰影響についてもより精度よく取得することができる。さらに、その吐出速度に基づいて吐出タイミングを調整することによって着弾位置ずれによる画質の低下を抑制することができる。
【0047】
なお、上述の実施形態においては、液滴検出センサ205に対して、記録ヘッド201が移動して距離を変化させる構成としたが、液滴検出センサ205と記録ヘッド201とのZ方向の距離が相対的に変化すればよい。そのため、例えば液滴検出センサ205をZ方向に移動させて距離を変化させるようにしてもよい。
【0048】
上述の実施形態では、液滴検出センサ205による吐出速度の算出に関して、各距離の差と検出時間の差から吐出速度を算出する方法を示した。しかし、複数の距離において検出時間を取得し、各距離とそれに対応する検出時間に基づいて吐出速度を算出する方法でもよい。
【0049】
また、吐出速度の検出時間を計測する対象ノズルをより広範に設定することを示した。しかしながら、ユーザーの使用状況に応じて、印刷においてより使用される割合の高いノズルを対象に吐出速度の測定を行なう構成としてもよい。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、記録媒体203の厚さについては考慮しなかったが、実際には記録媒体203には厚さがあるため、吐出口面201aとプラテン212の距離と、吐出口面201aと記録媒体203との距離は異なる。特に厚い記録媒体を用いて記録を行う場合には、吐出口面201aとプラテン212の距離に基づいて決定した調整値では、吐出口面201aと記録媒体203の距離とが異なることにより吐出位置がずれる虞がある。本実施形態は、吐出口面201aと記録媒体203の距離に基づいた吐出タイミングの調整を行う。
【0051】
吐出口面201aと記録媒体203の距離は、距離検出センサ204によって測定する。そして、吐出タイミング制御は、距離検出センサ204で検出した記録ヘッド201と記録媒体203間の距離と、吐出速度の算出処理において算出される吐出速度情報に基づいて行う。
【0052】
図8は、距離検出センサ204の内部構成と、記録媒体203の照射面との距離に応じて変化する照射領域と受光領域の光量(出力)変化を示した図である。
図8(a)に示すように、距離検出センサ204内部には記録媒体203が搬送される位置に光源の点灯および消灯処理を行う制御基板701とその光を照射するための発光部702と、その反射光を受光する受光部703、受光部704を搭載している。本実施形態において、距離検出センサ204の記録媒体203と対向する面は記録ヘッド201の吐出口面201aとZ方向に同じ位置にある。そのため、距離検出センサ204によって測定した記録媒体203までの距離は、記録ヘッド201の吐出口面201aと記録媒体203との距離と対応する。さらに、受光部703、704で得られた反射光の強度を電流値もしくは電圧値の出力信号に変換し、その出力信号に対して所定の演算処理を行い、その結果をメモリ303に格納する。例えば、受光部703、704で得られた出力信号の比率値と、記録ヘッド201から記録媒体203までの距離との関係を示す距離情報データとして記憶する。
図8(b)に距離と、出力信号と距離情報データの関係について示す。
図8(b)に示すように、記録媒体203の照射面からの距離がM1の時は受光部704への反射光量が最大となり、受光部703への反射光量が最小となる。そのため距離検出センサ204の出力信号の比率値、すなわち距離情報データにおいても最小を示す。また、記録媒体の照射面がM3時は受光部703、704への反射光量がそれぞれピーク時の約半分となる。そのため距離検出センサの出力分布としては受光部703と受光部704が等しくなるため、距離検出センサ204の出力信号の比率値、すなわち距離情報データにおいても1となる。さらに、記録媒体の照射面がM5時は受光部704への反射光量が最小となり、受光部703への反射光量が最大となる。そのため距離検出センサの出力分布としては受光部704が最小、受光部703が最大を示し、距離検出センサ204の出力信号の比率値、すなわち距離情報データにおいても最大を示す。ここで、基準となる照射面の位置と距離検出センサ204の出力信号の比例値の関係に関して、予め求めておき、メモリ303に格納しておいてもよい。例えば、所定の厚さの記録媒体に対して検知される値を基準値として保持しておくことができる。さらに、記録ヘッド201から記録媒体203までの距離がM1~M5となるときの記録ヘッド201の位置と、その時の記録ヘッド201から液滴検出センサ205との距離を記憶しておくことも可能である。
【0053】
図9(a)は、液滴検出センサ205と記録ヘッド201を離間させた距離H1~H5と、液滴検出センサ205によって各距離において検出した検出時間の出力結果を示す図である。
図9(b)は、
図9(a)に示す
図9に示す距離と検出時間から算出した吐出速度の関係を示す図である。検出時間及び吐出速度は第1の実施形態の
図6で説明した方法と同様の方法で取得する。
図9では、距離H1~H5の距離のときの検出速度を取得し、それぞれに対応する吐出速度V1~V5を算出している。吐出速度を取得した後、第1の実施形態と同様に、取得した吐出速度から吐出速度を表す近似曲線を求める。
【0054】
吐出タイミングの調整値を決定するために、まず、記録媒体203をプラテン212上に搬送し、距離検出センサ204によって搬送した記録媒体203と吐出口面201aとの距離を測定する。そして、測定した吐出口面201aと記録媒体203との距離に対応する速度を吐出速度の近似曲線から求める。このように、実際に測定した吐出口面201aと記録媒体203との距離からインク滴の吐出速度を算出することで、より正確な吐出速度を算出することができる。
【0055】
図9(a)において、測定点を斜線付き丸で示している。
図9(a)では、記録ヘッド201と液滴検出センサ205の距離を距離H1~距離H5までそれぞれ離間させたときのインク滴の検出時間を示している。
図9(b)では、
図9(a)に基づいて算出された吐出速度と、各距離の差との関係を示している。このとき、距離H1~H5で測定された検出時間の出力結果から近似曲線上で補完することで、測定した距離H1~H5以外の距離(H0、H6など)について、検出時間、吐出速度を予測することができる。また、距離H0、H6のように距離H1~H5の区間から離れた距離以外にも、H1とH2の間の距離のときの速度なども求めることができる。
【0056】
例えば、吐出口面201aと液滴検出センサ205との距離が1.0mm、1.5mmのときの吐出速度が算出されているとする。この場合に、距離検出センサ204が測定した吐出口面201aと記録媒体203との距離が1.1mmの場合には、算出した吐出速度を線形補完することによって距離が1.1mmの場合の吐出速度を算出することができる。
【0057】
以上では、吐出口面201aと記録媒体203との距離は距離検出センサ204によって測定したが、他の方法でもよい。例えば、対象となる種々の記録媒体の厚さをそれぞれメモリ303に記憶し、記録装置100上の操作パネルからユーザーが対象の記録媒体を選択することで、該当の距離を設定する構成でもよい。そのような構成の場合には、距離検出センサを搭載しなくともよい。
【0058】
吐出口面201aと記録媒体203の距離における吐出速度が算出されると、第1の実施形態と同様にメモリ303に保持されたテーブルと、算出された吐出速度とに基づいて、吐出タイミングの調整値を取得する。
【0059】
以上のように、記録ヘッド201の吐出口面201aと記録媒体203の距離に基づくインク滴の吐出速度を算出することにより、より精度の高い吐出速度を算出することができる。このような制度の高い吐出速度に基づいて吐出タイミングの調整を行うことで、着弾位置ずれをより抑制することができる。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。インク滴の吐出速度は、記録ヘッドを長期間に亘り使用すると徐々に低下する。吐出タイミングの調整値を設定したときから吐出速度が低下すると、設定した調整値ではインク滴の着弾位置にずれが生じる虞がある。そのため、本実施形態では一度吐出タイミングの調整値を設定した後の所定のタイミングにおいて吐出タイミングの調整値を設定し直す形態について説明する。本実施形態では、上述の実施形態と同様の部分については省略する。
【0061】
図10は調整用のパターンから吐出タイミングの調整値を決定し、決定した調整値から吐出速度を算出する処理を示すフローチャートである。
図10の処理は、例えばメモリ303に格納されたプログラムに従ってCPU301のシーケンス制御部307が行う処理である。本処理は、記録装置の初期設置時や記録ヘッドを新品に交換したときに開始する処理である。また、ユーザーが記録装置100の操作パネルから調整用のパターンを印刷して吐出タイミングを調整することを指示することにより処理を開始してもよい。
図10の処理によって算出したインク滴の吐出速度を基準吐出速度とする。
【0062】
まず、ステップS1101にて吐出タイミングの調整パターン検査を行う。具体的には吐出タイミングの調整値を取得する調整用のパターンの印刷を行い、調整用のパターンから調整値を決定する。
【0063】
図11に本実施形態の、往方向と復方向の記録位置ずれを調整するためのパターンを示す。縦罫線901は往方向の走査で各ノズル列の64個のノズルにより記録される罫線パターンであり、縦罫線902は復方向の走査で各ノズル列の64個のノズルにより記録される罫線パターンである。これらパターン記録にあたっては、その記録条件がキャリッジ速度25インチ/秒、駆動周波数30KHzである。パターンは、縦罫線901を基準として、縦罫線902の記録位置を1/1200inch単位で「-2」から「+2」まで5段階に変化させるように復方向の走査のときの吐出タイミングを変えた5個のパターンである。なお、-方向は基準に対して記録タイミングを早め、+方向は記録タイミングを遅らせていることを示す。このような調整用のパターンの中から2本の罫線のずれが最も小さいパターンを選択し、選択した調整値がメモリ303に保存される。選択した調整値に基づいて非基準側の罫線を記録した走査方向の吐出タイミングが決定される。なお、キャリッジ上に光学センサを設けた記録装置であれば、2本の縦罫線のずれが最も少ないパターンの検出を自動で行っても良い。また、ユーザーが調整用のパターンの記録された記録用紙を見て、2本の縦罫線のずれが最も少ないパターンの値を操作部から入力するようにしてもよい。
【0064】
次にステップS1102に進み、S1101で取得した調整値から、調整用のパターンを印刷した時点の吐出速度の算出を行なう。以下、調整用のパターンを印刷したときの吐出速度を基準吐出速度と称する。基準吐出速度の算出方法について
図4を用いて説明する。
【0065】
まず、調整値が決定すると、基準の吐出タイミングの調整値(ここでは「0」)からの着弾位置ずれの量を決定することができる。ずれ量は
図4にて説明したように、ずれ量=Xa’-Xaである。例えば調整値が「-1」に決定された場合には、基準よりも1/1200inchずらすことでずれが小さくなっている。これは往復方向のずれを合わせたずれ量であるので、片方向の走査によるずれ量Xa’-Xaは1/2400inchである。尚、基準の吐出速度にて吐出する位置と着弾位置との距離Xaは予めメモリ303に保存されている。以上のように、ずれ量とXaが分かるので現在の基準吐出速度における吐出位置との距離Xa’を算出することができる。
【0066】
図4で説明したように現在の基準吐出速度における吐出位置から着弾位置までの距離Xa’は、Xa’ = (H / Va’)× Vcrである。この式より、現在の基準吐出速度Va’は以下の式で算出される。
【0067】
Va’=(H×Vcr)/Xa’
吐出口面201aと記録媒体203の距離Hは距離検出センサ204によって測定される。また、記録ヘッド201の走査速度Vcrは予めメモリ303に記憶されている。そして、上述したように距離Xaと、パターンから決定した調整値から取得したずれ量から、現在の基準吐出速度における吐出位置から着弾位置までの距離Xa’が算出される。式にそれぞれの値を代入することにより、現在の基準吐出速度Va’を算出することができる。算出した現在の基準吐出速度Va’はメモリ303に記憶する。本実施形態では、吐出口面201aと記録媒体203の距離が距離M1、距離M3、距離M5のときのパターンを印刷し、それぞれの吐出速度を算出する。以上の処理によって調整値が決定し、調整用パターンから基準吐出速度が算出される。
【0068】
記録ヘッド201を使っていくと、経時的に吐出速度が低下していく。吐出速度が低下すると、調整用のパターンによって決定した調整値で印刷を行ったときに着弾位置にずれが生じる。そのため、調整用のパターンを印刷した後の所定のタイミングにおいて第1及び第2の実施形態で説明した液滴検出センサ205を用いた吐出速度の算出を行い、前回吐出速度を算出してからの吐出速度の減衰率を求める。この減衰率に基づいて吐出タイミングの調整値を設定する。詳細は
図13を用いて説明する。
【0069】
図12は、基準吐出速度と、液滴検出センサ205で検出した検出時間に基づいて算出した吐出速度について説明するための図である。ここで、液滴検出センサ205による検出時間の検出は、基準吐出速度を算出するための調整用のパターンを印刷したタイミングよりも後のタイミングで行っている。
【0070】
図12(a)は吐出口面201aと、プラテン212或いは記録媒体203との距離と、それぞれの距離における検出時間の出力結果を示す図である。横軸は、記録ヘッド201の吐出口面201aと液滴検出センサ205の光404との距離(H1~H5など)或いは吐出口面201aと記録媒体203の距離(M1~M5)を示している。縦軸は液滴検出センサ205で検出される検出時間を示している。
図12(b)は
図12(a)の検出時間と距離に対応する吐出速度を示している。
【0071】
図12(b)において白丸で示す値が
図10の処理において算出した吐出口面201aと記録媒体203の距離がそれぞれM1、M3、M5のときの基準吐出速度である。実際には算出しないが、
図12(b)に対応する基準吐出速度が得られるときの検出時間を
図12(a)において白丸で示す。
図12(b)の白丸で示す速度から、速度の近似曲線を求めることにより、距離H1~H5に対応する吐出速度を算出することができる。このときの検出時間と吐出速度をそれぞれ点線で囲った斜線付き丸で示す。
【0072】
次に、所定のタイミングにおいて、第一の実施形態と同様に、距離H1~H5のときの検出時間を液滴検出センサ205によって検出した検出時間を検出時間T1’~T5’として
図12(a)にて実線で囲った斜線付き丸で示す。検出時間T1’~T5’から算出した吐出速度V1’~V4’を
図12(b)において実線で囲った斜線付き丸で示す。吐出速度V1’~V4’から吐出速度の近似曲線を求めることができる。
【0073】
図13は、吐出タイミングの補正処理である。この処理は、上述したように、検出時間の検出基準吐出速度を算出するための調整用のパターンを印刷したタイミングよりも後のタイミングで行う。例えば、前回吐出速度を算出してから所定時間経過した時や、所定数のインク滴を吐出した時、所定枚数印刷した時である。本実施形態では、
図13の処理を開始する前には
図10の処理は完了しているものとする。
図13の処理は、例えばメモリ303に格納されたプログラムに従ってCPU301のシーケンス制御部307が行う処理である。
【0074】
まず、ステップS1201では、第一の実施形態の
図7の吐出速度の検出処理と同様の処理により、記録ヘッド201から吐出されるインク滴の吐出速度の算出を行なう。算出する速度は
図12(b)に示す吐出速度V1’~V4’である。
【0075】
次にステップS1202にて、ステップS1201で算出した吐出速度と、
図10の処理で取得した基準吐出速度とを比較し、吐出速度が変化したか否かを判定する。判定は、基準吐出速度とステップS1201で算出した速度との差がメモリ303に予め保存している閾値以上か否かによって判定する。差が閾値以上であった場合にはステップS1203に進む。差が閾値以上でなかった場合にはステップS1205に進む。
【0076】
ステップS1203に進んだ場合には、基準吐出速度に対するステップS1201で取得したインク滴の吐出速度の低下率を算出する。
【0077】
次にステップS1204に進み、ステップS1203にて算出した基準吐出速度に対する低下率から吐出タイミングの調整値の補正処理を実行する。減衰率に基づいて、インク滴の吐出速度が基準吐出速度であった場合の調整値からいくつ調整値をずらすかを算出することで調整値を補正することができる。
【0078】
次にステップS1205に進み、算出した吐出速度および補正処理の結果をメモリ303に記憶する。そして、ステップS1206にて終了処理を行う。終了処理は、第1の実施形態の
図7のステップS608と同様の処理である。
【0079】
以上のように、吐出タイミングの調整値を補正することで、現在のインク滴の吐出速度に対して適切な吐出タイミングの調整値を設定することができ、画質の低下を抑制することができる。
【0080】
また、
図13の処理が終了して更に所定の時間が経過したり、所定の枚数を印刷したりするタイミングで液滴検出センサ205を用いて吐出速度を算出してもよい。その場合には、
図13のステップS1201で算出した吐出速度を基準速度として、
図13の処理を行うことで適切な吐出タイミングの調整値を設定することができる。
【0081】
図13の処理ではステップS1204において、吐出タイミングの調整値を補正することでインクの着弾位置ずれを補正したが、他の方法でも良い。例えば、インクを吐出するために記録ヘッド201に印加する駆動パルスのパルス幅を長くしてもよい。吐出速度の減衰率に応じてパルス幅を長くすることで吐出速度を速くすることができ、吐出速度を補正することができる。
【0082】
上記では、最初の基準吐出速度は調整用のパターンから算出したが、調整用のパターンを印刷したタイミングで液滴検出センサ205を用いて吐出速度を算出してもよい。また、初めに液滴検出センサ205を用いて算出した吐出速度に基づいて調整値を決定し、その後にパターンを印刷することによって調整値を更新するようにしてもよい。
【0083】
また、最初の調整値を液滴検出センサ205を用いて算出した吐出速度に基づいて設定するような構成であれば、吐出タイミングの調整値を取得するための調整用のパターンを印刷する機能を有していない構成においても本実施形態は適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
100 記録装置
201 記録ヘッド
203 記録媒体
204 距離検出センサ
205 液滴検出センサ
301 CPU
302 センサ・モーター制御部
303 メモリ