(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】情報処理方法及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240527BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 353
G06F3/12 350
G06F3/12 304
B41J29/38 202
(21)【出願番号】P 2020088055
(22)【出願日】2020-05-20
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】菊地 洋史
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117539(JP,A)
【文献】特開2007-272781(JP,A)
【文献】特開2010-256958(JP,A)
【文献】特開2011-003139(JP,A)
【文献】特開2013-239204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J3/36;5/00-5/52;29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と通信可能な情報処理装置における情報処理方法であって、
プリントプロセッサによって、印刷設定を取得し、
取得した前記印刷設定をプリンタドライバに出力し、
プリンタドライバによって、ユーザごとの印刷制限情報のうち、前記情報処理装置にログインしたユーザのための印刷制限情報を取得し、
前記プリンタドライバによって、前記印刷制限情報に基づいて前記印刷設定を変更し、
変更された前記印刷設定を前記プリントプロセッサに出力し、前記プリントプロセッサによって、前記変更された印刷設定に基づいて印刷データを編集することを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
前記印刷設定は、両面印刷またはN in 1に変更されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記印刷データに対する、レイアウト処理、拡大処理、縮小処理、またはスタンプ描画の付加処理は、前記変更された印刷設定に基づいて行われることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記プリンタドライバによって、前記ユーザの識別情報を取得し、
前記印刷設定は、前記ユーザの識別情報と、前記ユーザのための印刷制限情報に基づいて変更されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記情報処理装置にユーザごとの印刷制限情報が記憶されていない、または前記情報処理装置に記憶されているユーザごとの印刷制限情報が前記情報処理装置とは異なる他の情報処理装置に記憶されているユーザごとの印刷制限情報より古い場合には、前記他の情報処理装置に記憶されているユーザごとの印刷制限情報に基づいて、前記印刷設定は変更され、
前記情報処理装置にユーザごとの印刷制限情報が記憶されており、かつ前記情報処理装置に記憶されているユーザごとの印刷制限情報が前記情報処理装置とは異なる他の情報処理装置に記憶されているユーザごとの印刷制限情報より古くない場合には、前記情報処理装置に記憶されているユーザごとの印刷制限情報に基づいて、前記印刷設定は変更されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
印刷装置と通信可能な情報処理装置であって、
印刷設定を取得
し、取得した前記印刷設定をプリンタドライバに出力する
プリントプロセッサと、
ユーザごとの印刷制限情報のうち、前記情報処理装置にログインしたユーザのための印刷制限情報を取得する
プリンタドライバと
を有し、
前記プリンタドライバによって、前記印刷制限情報に基づいて前記印刷設定を変更
し、変更された前記印刷設定を前記プリントプロセッサに出力し、
前記プリントプロセッサによって、前記変更された印刷設定に基づいて印刷データを編集することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタを用いて文書を印刷する際に、紙資源の節約を図る目的で、両面印刷を行ったり、複数ページを1枚の物理用紙に縮小印刷するN in 1の設定で印刷を行ったりする技術が知られている。さらに、組織の管理者の視点で考えた場合、ユーザごとにこれらの印刷設定を強制することができれば、より組織の実情に合った方法で節約の効果を見込むことができる。特許文献1には、ユーザごとの印刷設定を制限するために印刷設定画面上で禁則をかけることで、所望の印刷設定に強制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、印刷設定画面を表示したタイミングでのUI禁則における印刷設定が適用されるため、印刷実行時にユーザごとの制限情報が変わっていた場合に、最新の情報に基づいた強制処理を行うことができないという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、プリントプロセッサによって、印刷設定を取得し、取得した印刷設定をプリンタドライバに出力し、プリンタドライバによって、ユーザごとの印刷制限情報のうち、情報処理装置にログインしたユーザのための印刷制限情報を取得し、プリンタドライバによって、印刷制限情報に基づいて印刷設定を変更し、変更された印刷設定をプリントプロセッサに出力し、プリントプロセッサによって、変更された印刷設定に基づいて印刷データを編集することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理方法は、印刷装置と通信可能な情報処理装置における情報処理方法であって、プリントプロセッサによって、印刷設定を取得し、取得した前記印刷設定をプリンタドライバに出力し、プリンタドライバによって、ユーザごとの印刷制限情報のうち、前記情報処理装置にログインしたユーザのための印刷制限情報を取得し、前記プリンタドライバによって、前記印刷制限情報に基づいて前記印刷設定を変更し、変更された前記印刷設定を前記プリントプロセッサに出力し、前記プリントプロセッサによって、前記変更された印刷設定に基づいて印刷データを編集する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プリントプロセッサによって、印刷設定を取得し、取得した印刷設定をプリンタドライバに出力し、プリンタドライバによって、ユーザごとの印刷制限情報のうち、情報処理装置にログインしたユーザのための印刷制限情報を取得し、プリンタドライバによって、印刷制限情報に基づいて印刷設定を変更し、変更された印刷設定をプリントプロセッサに出力し、プリントプロセッサによって、変更された印刷設定に基づいて印刷データを編集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】プリンタのハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】印刷処理に関するコンピュータのソフトウェア構成例を示す図である。
【
図7】プリントプロセッサの処理を示すフローチャートである。
【
図8】UI処理部の処理を示すフローチャートである。
【
図11】UI処理部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による印刷システムの構成例を示す図である。印刷システムは、コンピュータ1000と、プリンタ2000とを有する。コンピュータ1000とプリンタ2000は、USBもしくはネットワーク等で接続されており、それぞれ通信可能となっている。コンピュータ1000は、情報処理装置である。プリンタ2000は、画像形成装置である。
【0010】
図2は、
図1のコンピュータ1000のハードウェア構成例を示すブロック図である。コンピュータ1000は、表示部1010と、操作部1020と、記憶部1030と、制御部1040と、ネットワーク通信部1050と、USB通信部1060とを有する。
【0011】
制御部1040は、CPU1041と、メモリ1042とを有し、コンピュータ1000の全体を制御する。表示部1010は、ディスプレイなどの表示装置である。操作部1020は、マウスやキーボードなどの入力装置である。記憶部1030は、ハードディスクやSSDなどの記憶媒体であり、コンピュータ1000が動作する際に必要な各種プログラム(ソフトウェア)を記憶する。CPU1041は、記憶部1030に記憶されているソフトウェアを必要に応じてメモリ1042にロードし、メモリ1042にロードされたプログラムを実行する。
【0012】
ネットワーク通信部1050は、ネットワークに接続され、プリンタ2000等の外部装置とのデータの入出力を行う。USB通信部1060は、プリンタ2000等の外部装置とUSB接続によるデータの入出力を行う。
【0013】
CPU1041は、記憶部1030に記憶されたプログラムをメモリ1042にロードし、メモリ1042にロードされたプログラムを実行することにより、コンピュータの処理を実現する。なお、CPUは、Central Processing Unitの略である。
【0014】
図3は、
図1のプリンタ2000のハードウェア構成例を示すブロック図である。プリンタ2000は、表示部2010と、操作部2020と、記憶部2030と、制御部2040と、ネットワーク通信部2050と、USB通信部2060と、印刷部2070とを有する。
【0015】
制御部2040は、CPU2041と、メモリ2042とを有し、プリンタ2000の全体を制御する。表示部2010は、液晶パネルなどの表示装置である。操作部2020は、タッチパネルや各種ボタンによる入力装置である。記憶部2030は、ハードディスクやSSDなどの記憶媒体であり、プリンタ2000が動作する際に必要な各種プログラムを記憶する。CPU2041は、記憶部2030に記憶されているプログラムを必要に応じてメモリ2042にロードし、メモリ2042にロードされたプログラムを実行する。
【0016】
ネットワーク通信部2050は、ネットワークに接続され、コンピュータ1000等の外部装置とのデータの入出力を行う。USB通信部2060は、コンピュータ1000等の外部装置とUSB接続によるデータの入出力を行う。印刷部2070は、制御部2040の指示に従って、メモリ2042内のデジタルデータを物理用紙に印刷する。印刷の方法は、インク方式、トナー方式、またはその他の方式を用いることができる。
【0017】
図4は、コンピュータ1000の印刷処理に関するソフトウェアの構成例を示すブロック図である。コンピュータ1000は、アプリケーション1100と、プリントプロセッサ1200と、プリンタドライバ1300と、OS1400とを有する。
【0018】
アプリケーション1100は、文書作成ソフトや表計算ソフトなどのソフトウェアを指しており、印刷機能を有する。ユーザは、アプリケーション1100の用意する印刷機能を実行することで、現在、コンピュータ1000の表示部1010に表示されている情報等をプリンタ2000に対して印刷することができる。プリントプロセッサ1200は、アプリケーション1100から発行された印刷ジョブを処理するモジュールであり、印刷時のレイアウト変更やスタンプ等の付加描画を行うことができる。
【0019】
プリンタドライバ1300は、プリンタ2000を使用して実現可能な印刷設定(両面、ステイプルなど)をUI表示し、印刷時にはプリンタ2000が解釈可能な描画データ(PDL:Page Description Language)を生成する。プリンタドライバ1300は、描画処理部1310と、UI処理部1320とを有する。描画処理部1310は、描画データ(PDL)を生成する。UI処理部1320は、印刷設定の表示や変更を行う際のUI表示を行う。
【0020】
プリントプロセッサ1200とプリンタドライバ1300は、独立したモジュールである。プリントプロセッサ1200は、プリンタドライバ1300のインストール時に同時にインストールすることができる。しかし、プリントプロセッサ1200とプリンタドライバ1300のそれぞれは、独立しているため、ユーザは、プリンタドライバ1300のインストール後に、異なるプリントプロセッサ1200へ変更することができる。
【0021】
OS1400は、Operating Systemの略であり、コンピュータ1000の基本動作をつかさどるソフトウェアである。アプリケーション1100とプリントプロセッサ1200とプリンタドライバ1300は、いずれもOS1400によって管理されており、いずれもOS1400に対してインストールされることで使用可能となる。
【0022】
図5は、コンピュータ1000の印刷処理の流れを説明するための図である。コンピュータ1000は、アプリケーション1100と、プリントプロセッサ1200と、描画処理部1310と、UI処理部1320との他に、GDI1410と、スプーラ1420と、スプールファイル(EMF)1430とを有する。
【0023】
GDI1410とスプーラ1420は、
図4のOS1400内部の印刷に関するコンポーネントである。GDI1410は、アプリケーション1100に対して、ディスプレイ表示や印刷などの描画に関するインタフェースを提供する。スプーラ1420は、スプールファイル(EMF)1430の作成や、印刷データのプリンタ2000への送信に関する処理を行う。EMFとは、Enhanced Metafileの略称であり、OS1400がプリンタドライバ1300での利用を考慮して作成および利用する画像ファイル形式である。
【0024】
まず、アプリケーションプロセス1510の処理を説明する。アプリケーション1100は、必要に応じて、プリンタドライバ1300のUI処理部1320を呼び出し、印刷設定を作成する。その後、アプリケーション1100は、GDI1410のAPIを呼び出すことで、印刷設定や描画データをGDI1410に渡す。GDI1410は、アプリケーション1100から渡された印刷設定や描画データを、スプーラ1420経由で、スプールファイル(EMF)1430の形式で格納する。ここまでの処理は、全てアプリケーションプロセス1510の中で行われる。
【0025】
次に、スプーラサービス1520の処理を説明する。プリントプロセッサ1200は、アプリケーションプロセス1510とは別のスプーラサービス1520上にロードされる。プリントプロセッサ1200は、アプリケーション1100からの印刷処理が終了すると、スプールファイル(EMF)1430に記述された内容でGDI1410のAPIを呼び出すことで、GDI1410に対して描画指示を発行する。この際、プリントプロセッサ1200は、指定されたレイアウト処理やスタンプ描画の付与なども行う。GDI1410は、プリントプロセッサ1200からのこのAPIの呼び出しを、プリンタドライバ1300の描画処理部1310のためのAPIに置き換えて、描画処理部1310を呼び出す。描画処理部1310は、上記で受け取ったプリントプロセッサ1200からの描画指示を、対象のプリンタ2000で解釈可能な形式の印刷データ(PDL)に変換する。描画処理部1310は、この変換された印刷データをスプーラ1420に渡す。スプーラ1420は、描画処理部1310から渡された印刷データをプリンタ2000に送信することで、プリンタ2000に印刷処理を実行させる。プリンタ2000は、上記で受け取ったPDLを画像化して物理用紙に印刷する。
【0026】
図6は、コンピュータ1000の印刷処理フローを示すブロック図である。全体的な印刷処理の流れは、
図5で説明したものと同じであるが、
図6では、簡単のためOS1400内部のコンポーネント(GDI1410とスプーラ1420)についての記載を省略している。
【0027】
プリンタドライバ1300は、印刷を行うユーザごとに印刷制限をかけることを特徴としている。具体的に例示すると、プリンタドライバ1300は、ユーザAに対してはすべての印刷設定の指定を可能にするが、ユーザBに対しては片面印刷を許可せず、必ず両面印刷となるように強制するといった処理を行う。さらに、プリンタドライバ1300は、ユーザCに対しては、1枚の物理用紙の1面に対して必ず2ページ以上の論理ページを配置するように強制する。このように、1枚の物理用紙の1面に対してNページの論理ページを配置することを、「N in 1」と呼ぶ。コンピュータ1000は、N in 1処理を行うには、各ページの描画内容を縮小したり、縮小した各ページを配置順の設定に従って配置したりする必要がある。コンピュータ1000では、これらのレイアウト処理をプリントプロセッサ1200が行う。プリンタドライバ1300ではなく、プリントプロセッサ1200がレイアウト処理を行うことで、一つのプリントプロセッサ1200が複数のプリンタドライバ1300に対して共通のレイアウト処理を提供できるというメリットがある。
【0028】
上記で説明したユーザAからユーザCの印刷制限情報は、すべて記憶部1030の中にユーザごとの制限情報1330として格納されている。ユーザごとの制限情報1330は、管理者のみが編集可能であり、それ以外のユーザは編集することができない。管理者による設定方法については、既存の方法が使えるため、ここでは説明を省略する。ユーザごとの制限情報1330は、UI処理部1320が管理しており、UI処理部1320は、必要に応じて、ユーザごとの制限情報1330を参照することができる。さらに、UI処理部1320は、印刷制限情報を反映させた印刷設定を外部から取得するための「制限付き印刷設定取得インタフェース1321」を備えている。プリントプロセッサ1200は、制限付き印刷設定取得インタフェース1321を呼び出すことで、印刷設定を取得し、その印刷設定の内容に応じて、レイアウト処理を行う。そして、プリントプロセッサ1200は、そのレイアウト処理を行った状態でGDI1410のAPIを呼び出すことで、描画処理部1310に対して印刷制限情報を反映させたPDLを生成させる。
【0029】
図7は、コンピュータ1000のプリントプロセッサ1200の処理方法をより詳細に説明したフローチャートである。このフローチャートの処理は、プリントプロセッサ1200の処理として説明するが、CPU1041が記憶部1030に記憶されたプリントプロセッサ1200をメモリ1042にロードして実行することによって実現される。
【0030】
ステップS701では、プリントプロセッサ1200は、プリンタドライバ1300のUI処理部1320が提供する制限付き印刷設定取得インタフェース1321が存在するか否かを判定する。プリントプロセッサ1200は、制限付き印刷設定取得インタフェース1321が存在する場合には、ステップS702に進み、制限付き印刷設定取得インタフェース1321が存在しない場合には、ステップS703に進む。
【0031】
ステップS702では、プリントプロセッサ1200は、制限付き印刷設定取得インタフェース1321を呼んで、ユーザの印刷設定を取得する。具体的には、プリントプロセッサ1200は、スプールファイル(EMF)1430に格納された印刷設定を制限付き印刷設定取得インタフェース1321の引数として送信して、返却されたユーザの印刷設定を取得する。制限付き印刷設定取得インタフェース1321の内部の処理は、
図8を用いて後述する。その後、処理は、ステップS704に進む。
【0032】
ステップS703では、プリントプロセッサ1200は、取得部として機能し、OS1400のAPIを呼んで、ユーザの印刷設定を取得し、ステップS704に進む。
【0033】
ステップS704では、プリントプロセッサ1200は、ステップS702またはS703で取得したユーザの印刷設定を今回の印刷処理で使用する印刷設定として適用する。
【0034】
次に、ステップS705では、プリントプロセッサ1200は、適用した印刷設定の内容を確認し、プリントプロセッサ1200でのレイアウト処理が必要であるか否かを判定する。プリントプロセッサ1200は、レイアウト処理が必要である場合には、ステップS706に進み、レイアウト処理が必要でない場合には、
図7のフローチャートの処理を終了する。
【0035】
ステップS706では、プリントプロセッサ1200は、編集部として機能し、適用された印刷設定を基に、印刷データに対して、印刷設定の中で指定されたレイアウト処理等の編集を行う。ここでは、簡単のため、プリントプロセッサ1200の処理をレイアウト処理に絞って説明したが、実際には、プリントプロセッサ1200は、拡大縮小処理やスタンプ描画の付加処理なども行う。例えば、プリントプロセッサ1200は、印刷データに対して、レイアウト処理、拡大処理、縮小処理、またはスタンプ描画の付加処理を行う。
【0036】
このようにして、プリントプロセッサ1200は、処理の初めで、プリンタドライバ1300から制限情報が反映された印刷設定を取得して使用することで、最新の制限情報に従った印刷処理を、プリンタ2000に対して指示することができる。
【0037】
図8は、
図7のステップS702のUI処理部1320が提供する制限付き印刷設定取得インタフェース1321の内部処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、UI処理部1320の処理として説明するが、CPU1041が記憶部1030に記憶されたUI処理部1320をメモリ1042にロードして実行することによって実現される。
【0038】
ステップS801では、UI処理部1320は、取得部として機能し、制限付き印刷設定取得インタフェース1321の引数として、プリントプロセッサ1200から渡されるユーザの印刷設定を取得する。このユーザの印刷設定は、アプリケーション1100が発行した印刷設定であり、スプールファイル(EMF)1430に格納された印刷設定である。
【0039】
次に、ステップS802では、UI処理部1320は、その印刷設定がユーザごとの制限をかける設定になっているか否かを判定する。この設定は、印刷設定とは別に、プリンタドライバ1300が保持する設定であり、UI処理部1320が表示する不図示のUIを使用して管理者が事前に設定しているものである。UI処理部1320は、その印刷設定がユーザごとの制限をかける設定になっている場合には、ステップS803に進み、その印刷設定がユーザごとの制限をかける設定になっていない場合には、ステップS806に進む。
【0040】
ステップS806では、UI処理部1320は、その印刷設定を呼び出し元にそのまま返却し、
図8のフローチャートの処理を終了する。
【0041】
ステップS803では、UI処理部1320は、取得部として機能し、今回印刷を指示したユーザのユーザ識別情報をOS1400から取得する。ユーザは、あらかじめOS1400によって管理されており、OS1400は、コンピュータ1000へのログイン時に、ユーザ名とパスワードなどの認証情報を入力させることで、現在のユーザ識別情報を特定できる。
【0042】
次に、ステップS804では、UI処理部1320は、記憶部1030に記憶されているユーザごとの制限情報1330を取得する。ユーザごとの制限情報1330は、ユーザごとの印刷制限情報である。
【0043】
次に、ステップS805では、UI処理部1320は、変更部として機能し、ステップS803で取得したユーザ識別情報と、ステップS804で取得したユーザごとの制限情報1330とを基に、ステップS801で取得したユーザの印刷設定を変更する。例えば、そのユーザに対する制限情報が両面印刷となるように強制するというものであった場合、UI処理部1320は、印刷設定を両面印刷に変更する。また、例えば、そのユーザの制限情報が、Nが2以上のN in 1となるように強制するというものであった場合、UI処理部1320は、印刷設定を2 in 1に変更する。例えば、UI処理部1320は、ユーザの印刷設定を両面印刷またはN in 1に変更する。なお、ステップS801で取得した印刷設定がすでに4 in 1などの制限情報を満たすものであった場合、UI処理部1320は、N in 1設定については変更を行わない。その後、処理は、ステップS806に進む。
【0044】
ステップS806では、UI処理部1320は、ステップS805で変更した印刷設定を呼び出し元に返却し、
図8のフローチャートの処理を終了する。
【0045】
以上の処理を実施することで、コンピュータ1000は、ユーザごとの制限情報を、リアルタイムに反映した印刷設定を使用して、プリントプロセッサ1200に処理を行わせることが可能となる。なお、プリントプロセッサ1200に処理を行わせる印刷設定として、主にレイアウト処理を例に説明したが、その他にもスタンプ付与やヘッダフッター付与などの処理についても、同様に実施することが可能である。さらに、コンピュータ1000にインストールされたプリンタドライバ1300とプリントプロセッサ1200を対象に例示したが、OS1400が提供する仕組みである共有プリンタ環境においても、同様に実施することが可能である。共有プリンタのサーバサイドレンダリングにおいては、アプリケーションプロセス1510がクライアント上で実行され、スプーラサービス1520がサーバ上で実行されるが、本実施形態の処理が同様に使用可能である。
【0046】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、1台のコンピュータ1000と1台のプリンタ2000の印刷システムで実施する例について説明したが、第2の実施形態では、さらにユーザごとの制限情報をサーバで管理した印刷システムにて実施する例を説明する。印刷システムは、ユーザごとの制限情報をサーバで管理することで、複数のコンピュータが存在する環境においても、統一してユーザごとの制限情報を管理することができる。第2の実施形態では、第1の実施形態と同じ構成や処理については省略し、異なる点について説明を行う。
【0047】
図9は、第2の実施形態による印刷システムの構成例を示すブロック図である。印刷システムは、コンピュータ1000と、プリンタ2000と、サーバ3000とを有する。コンピュータ1000とサーバ3000は、ネットワーク等で接続されており、それぞれ通信可能となっている。サーバ3000は、コンピュータ1000とは異なる他の情報処理装置である。なお、複数のコンピュータや複数のプリンタが印刷システム内に存在してもよい。サーバ3000の内部構成については、
図2に示すコンピュータ1000の内部構成と同等であるため、説明は省略する。
【0048】
図10は、印刷システムの印刷処理の流れを説明するための図である。コンピュータ1000内部のフローは、
図6で説明したものとほぼと同等であるが、第2の実施形態では、ユーザごとの制限情報1330の元となるユーザごとのマスタ制限情報3010がサーバ3000内部に存在する。ユーザごとのマスタ制限情報3010は、ユーザごとのマスタ印刷制限情報である。これにより、ユーザがコンピュータ1000とは別のコンピュータ(不図示)で印刷を実行する際にも、印刷システムは、ユーザごとの制限情報1330を反映させることができるようになる。管理者は、ユーザごとのマスタ制限情報3010をサーバ3000上で編集可能である。コンピュータ1000の内部のユーザごとの制限情報1330は、ユーザごとのマスタ制限情報3010と同期されている。コンピュータ1000内部にあるユーザごとの制限情報1330は、管理者でも個別に編集することはできない。
【0049】
図11は、UI処理部1320が提供する制限付き印刷設定取得インタフェース1321の内部処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、UI処理部1320の処理として説明するが、CPU1041が記憶部1030に記憶されたUI処理部1320をメモリ1042にロードして実行することによって実現される。
図11のフローチャートは、
図8のフローチャートに対して、ステップS1101~S1103を追加したものである。
【0050】
ステップS801からS806については、
図8で説明を行ったステップS801からS806と同等であるため、説明を割愛する。UI処理部1320は、ステップS801~S804の処理を行い、その後、ステップS1101に進む。
【0051】
ステップS1101では、UI処理部1320は、ステップS804でユーザごとの制限情報1330を取得できなかった、またはユーザごとの制限情報1330がユーザごとのマスタ制限情報3010より古いか否かを判定する。UI処理部1320は、ユーザごとの制限情報1330が記憶部1030に記憶されていない、または記憶部1030に記憶されているユーザごとの制限情報1330がユーザごとのマスタ制限情報3010より古い場合には、ステップS1102に進む。ユーザごとのマスタ制限情報3010は、サーバ3000に記憶されている。また、UI処理部1320は、ユーザごとの制限情報1330が記憶部1030記憶されており、かつ記憶部1030に記憶されているユーザごとの制限情報1330がユーザごとのマスタ制限情報3010より古くない場合には、ステップS805に進む。
【0052】
ステップS1102では、UI処理部1320は、サーバ3000からユーザごとのマスタ制限情報3010を取得する。
【0053】
次に、ステップS1103では、UI処理部1320は、ステップS1102で取得したユーザごとのマスタ制限情報3010を、ユーザごとの制限情報1330として上書きする。そして、その後、UI処理部1320は、ステップS805に進み、上書きしたユーザごとの制限情報1330を用いて処理を行う。
【0054】
第2の実施形態によれば、コンピュータ1000は、印刷時に、コンピュータ1000の内部のユーザごとの制限情報1330が古かった場合でも、最新のユーザごとのマスタ制限情報3010をサーバ3000から取得して、印刷設定に反映させることができる。
【0055】
第1および第2の実施形態によれば、コンピュータ1000は、印刷設定画面を表示した時から印刷実行時までに、ユーザごとの制限情報1330が変わっていた場合でも、最新のユーザごとの制限情報1330に基づいた印刷設定の変更を行うことができる。
【0056】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0057】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1200 プリントプロセッサ、1300 プリンタドライバ、1310 描画処理部、1320 UI処理部、1321 制限付き印刷設定取得インタフェース、1330 ユーザごとの制限情報