(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】発光モジュール及び発光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/52 20100101AFI20240527BHJP
【FI】
H01L33/52
(21)【出願番号】P 2020096401
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】大森 祐治
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-085356(JP,A)
【文献】特開2017-162997(JP,A)
【文献】特開2018-120959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0349211(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102148296(CN,A)
【文献】特開2007-005722(JP,A)
【文献】特開2015-026778(JP,A)
【文献】特開2009-176894(JP,A)
【文献】特開2017-085096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に実装された複数のLED素子と、
前記複数のLED素子の周囲に配置されたダム材と、
前記ダム材の内側に前記複数のLED素子を封止するように配置された封止材と、を有し、
前記ダム材は、基部、前記基部の上部に形成された平坦な頂頭部、及び、前記頂頭部と連続して形成された封止材保持部を有し、
前記封止材保持部は、角度θだけ上方に傾いており、前記角度θは、5°以上且つ10°以下であり、
前記角度θは、前記基板の上面と平行に前記平坦な頂頭部の外縁部分から引いた線分と、前記封止材保持部の内側先端部の示す方向に引いた線分との成す角度である、
ことを特徴とする発光モジュール。
【請求項2】
前記封止材保持部の断面は、フィレット形状を有する、請求項1に記載の発光モジュール。
【請求項3】
前記封止材の頂点は、前記平坦な頂頭部より高い、請求項1又は2の何れか一項に記載の発光モジュール。
【請求項4】
前記封止材は、前記複数のLED素子から出射された光を波長変換するための蛍光体を含有する、請求項1~3の何れか一項に記載の発光モジュール。
【請求項5】
前記ダム材は、前記複数のLED素子の周囲に、平面視で、円形又は楕円形に形成されている、請求項1~4の何れか一項に記載の発光モジュール。
【請求項6】
基板上に実装された複数のLED素子を有する発光モジュールの製造方法であって、
前記複数のLED素子の周囲にダム材用樹脂を配置し、
前記ダム材用樹脂の上部を押圧して、平坦な頂頭部、及び、前記頂頭部と連続して形成された封止材保持部を形成し、
前記封止材保持部の内側に前記複数のLED素子を封止するための液状の封止材を充填し、
前記封止材の充填量と連動して前記封止材保持部が前記基板と平行な面に対して上方に傾くように変形させ、
前記液状の封止材を加熱して、硬化済の封止材を形成する、
ことを特徴とする発光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLED(発光ダイオード)素子を有するチップ・オン・ボード(COB)タイプの発光モジュール、及び、その様な発光モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子であるLED素子は、長寿命で優れた駆動特性を有し、さらに小型で発光効率が良く鮮やかな発光色を有することから、近年、照明などに広く利用されている。
【0003】
COBタイプの発光モジュールでは、一般に、基板上に直接、複数のLED素子が実装され、複数のLED素子の周囲にダム材を設け、ダム材の内部に複数のLED素子を封止する様に封止材が充填されている(例えば、特許文献1を参照)。また、封止材は蛍光体粒子を含有しており、蛍光体粒子はLED素子から出射した光を受光してLED素子から出射光と異なる波長の光を出射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発光モジュールからは、LED素子から出射された光と、封止材に含有された蛍光体粒子から出射される光とが混合された光が出射する事となる。したがって、所望の色温度で、所望光量を有する発光モジュールを設計する場合には、所望の封止材を充填する必要がある。しかしながら、従来の断面の頂頭部が円弧状のダム材では、頂頭部を超えて封止材が外部に漏れてしまい、確実に封止材を保持することができない場合があった。
【0006】
従来の断面の頂頭部が円弧状のダム材の例を
図4に示す。
図4に示す様に、基板100の上部に断面の頂頭部が円弧状のダム材102が形成されている。例えば、封止材103の上面104では、ダム材102によって封止材103は保持可能であるが、容量が増えて上面105となると、容易にダム材102の頂上を超えて、外部に漏れだしてしまう。
【0007】
ダム材102と封止材103が、同じシリコーン樹脂を母材としている場合がある。この様な場合、ダム材102と封止材103との親和性が良く、ダム材102の内部に封止材103を充填すると、ダム材102の上部を封止材103が矢印Gの方向に這い上がりながら外部に漏れだすという現象が生じる場合もある。
【0008】
そこで、本発明は、良好に封止材を保持可能なダム材を有する発光モジュール、及び、その様な発光モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
基板と、基板上に実装された複数のLED素子と、複数のLED素子の周囲に配置されたダム材と、複数のLED素子から出射された光を波長変換するための蛍光体を含有し、ダム材の内部に複数のLED素子を封止するように形成された封止材とを有し、ダム材は、基部、基部の上部に配置された平坦な頂頭部、及び、頂頭部と連続して形成された封止材保持部を有する発光モジュールが提供される。
【0010】
前記の発光モジュールでは、封止材保持部の断面は、フィレット形状を有することが好ましい。
【0011】
前記の発光モジュールでは、封止材保持部は、基板と平行な面に対して角度θだけ上方に傾いており、角度θは、5°以上且つ10°以下であることが好ましい。
【0012】
前記の発光モジュールでは、封止材の頂点は、平坦な頂頭部より高い、ことが好ましい。
【0013】
前記の発光モジュールでは、封止材は、複数のLED素子から出射された光を波長変換するための蛍光体を含有することが好ましい。
【0014】
前記の発光モジュールでは、ダム材は、複数のLED素子の周囲に、平面視で、円形又は楕円形に形成されていることが好ましい。
【0015】
基板上に実装された複数のLED素子の周囲にダム材用樹脂を配置し、ダム材用樹脂の上部を押圧して、平坦な頂頭部、及び、前記頂頭部と連続して形成された封止材保持部を形成し、ダム材の内側に複数のLED素子を封止するための液状の封止材を充填し、封止材の充填量と連動して封止材保持部が基板と平行な面に対して上方に傾くように変形させ、液状の封止材を加熱して硬化済の封止材を形成する、発光モジュールの製造方法を提供する。
【0016】
前記の発光モジュールの製造方法では、ダム材用樹脂が硬化された後に液状の封止材がその内部に充填され、前記封止材保持部が液状の封止材の充填量と連動して変形することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、良好に封止材を保持可能なダム材を有する発光モジュール、及び、その様な発光モジュールの製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】発光モジュール1の平面図および断面図である。
【
図3】発光モジュール1の製造方法の概略説明図(a)~(d)である。
【
図4】従来のダム材の形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、発光モジュールについて説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0020】
図1は、発光モジュール1の上方視した平面図、及び、平面図においてAA´及びBB´で示した位置における2つの断面図である。
【0021】
発光モジュール1は、主要な構成要素として、実装基板10、回路基板15、複数のLED素子30、ダム材40および封止材50を有する。発光モジュール1は、例えば、投光器、高天井照明、スタジアムの照明・イルミネーションなどの光源装置のLED光源として使用され、白色光を出射する。ただし、発光モジュール1の発光色は、白色以外であっても良い。
【0022】
なお、
図1の断面図では、断面部分における要素のみを示し、断面部分よりも奥にある要素は、図示を分かり易くするために表示を省略している。また、発光モジュール1の最上層には蛍光体粒子を含有する不透明な封止材50が存在するが、便宜上下層の部分は観察可能であるものとして、
図1の平面図では下層の部分を実線で示している。また、ダム材40も不透明であるが、
図1では透明であるものとして図示している。
【0023】
図1に示す様に、実装基板10は、その上面に複数のLED素子30が実装される平坦なアルミニウム製の基板であり、一例として正方形の形状を有する。また、実装基板10の上面には、不図示の銀メッキ層などの高反射処理層(反射層)が形成されている。反射層は、誘電体多層膜のような増反射膜でも良い。第1端子電極21及び第2端子電極23が設けられている対角線上の2つの頂点とは異なる対角線上の2つの角部付近に、発光モジュール1を固定用するための貫通穴を設けても良い。
【0024】
実装基板10の上面には、円形の開口部16を有する回路基板15が接着剤により付着している。回路基板15は、ガラスエポキシ素材で形成された絶縁性の基板である。回路基板15の上面には、配線パターンが形成されている。配線パターンは、円弧形状の第1電極20、第1電極20と電気的に接続されている第1接続電極21、円弧形状の第2電極22、及び、第2電極22と電気的に接続されている第2接続電極23を含んでいる。配線パターンは、例えば、金メッキ層である。
【0025】
第1端子電極21及び第2端子電極23は、実装基板10の対角線上で向かい合う2つの頂点付近に形成されている。第1端子電極21はカソード(負)電極であり、第2端子電極22はアノード(正)電極であり、これらに外部電源から電圧が印加されることによって、LED素子30に通電されて、発光モジュール1は発光する。なお、第1端子電極21及び第2端子電極23付近の参照符号24及び25は、第1端子電極21及び第2端子電極23の極性を示すパターンであり、配線パターンではないが、配線パターンと同じ金メッキ層で形成されている。
【0026】
回路基板15の上面は、第1端子電極21、第2端子電極23、及び、極性パターン24、25の表面以外は、第1端子電極21及び第2端子電極23間の短絡防止等の為に、不図示のソルダーマスクによって被膜されている。
【0027】
実装基板10上に実装された複数のLED素子30は金線のボンディングワイヤ(以下、単にワイヤという)32で相互に接続され、更にワイヤで第1電極20及び第2電極22とも接続されている。
図1の例では、LED素子30は、8個ずつ4列並列に、第1電極20及び第2電極22間に接続されているが、LED素子の直列の個数、並列の列数は任意であって、他の数であっても良い。
【0028】
LED素子30は、発光素子の一例であり、例えば発光波長帯域が450~460nm程度の青色光を発光する青色LEDである。前述した様に、発光モジュール1では、複数(8×4=32個)のLED素子30が実装基板10上に実装されており、これらは同じ波長の青色光を発光する。ただし、LED素子30は、青色LEDに限らず、例えば紫色LEDまたは近紫外LEDであっても良く、その発光波長帯域は、紫外域を含む200~460nm程度の範囲内であっても良い。
【0029】
LED素子30は上面に一対の素子電極を有する。
図1に示すように、隣接するLED素子30の素子電極は、ワイヤ32により直列に接続され、さらに、両端のLED素子30の素子電極は、第1電極20又は第2電極22にワイヤ32により接続されている。LED素子30の下面は、例えば透明な絶縁性の接着剤(ダイボンド)などにより、回路基板15の開口部16の内側で、実装基板10の上面に直接固定されている。LED素子30は、アルミニウムミ製の実装基板10上に形成された反射層上に直接固着されているため、放熱効果が高く、高出力の発光を行うことが可能である。
【0030】
参照符号31で示す部品は、第1電極20と第2電極22の間に過電圧が印加されたときにLED素子30を保護するツェナーダイオード素子である。
【0031】
ダム材40は、実装基板10上に充填された封止材50の流出を防ぐ円環状の枠体であり、回路基板15上の第1電極20、第2電極22、及び、ツェナーダイオード素子31と重なる位置に、それらを覆い複数のLED素子30を取り囲むように形成されている。ダム材40は、シリコーン樹脂に酸化チタン(又はシリカ)を混合した反射性の白色樹脂で構成されており、複数のLED素子30から側方に出射された光を、発光モジュール1の上方(複数のLED素子30から見て実装基板10とは反対側)に反射させる。発光モジュール1では、複数のLED素子30からの出射光が実装基板10の反射層およびダム材40によって上方に反射するので、出射効率が高くなる。なお、ダム材40は、
図1に示す様に、平面視で、円形に配置されているが、楕円形に配置されていても良い。また、ダム材40の内側を、発光モジュール1の発光エリアと称し、回路基板15の開口部16の内側をLED素子の実装エリアと称する場合がある。ダム材40の断面形状については後述する。
【0032】
封止材50は、回路基板15上に配置されたダム材40で囲まれる部分に注入(充填)されて略円板状に硬化され、複数のLED素子30を一体に被覆し保護(封止)する。封止材50としてシリコーン樹脂が用いられるが、無色かつ透明で、250℃程度の耐熱性がある他の樹脂を利用することができる。
【0033】
封止材50には、各LED素子30からの出射光の波長を変換する蛍光体が混入されている。封止材50は、こうした蛍光体として、YAG(yttrium aluminum garnet)などの黄色蛍光体を含有する。発光モジュール1は、青色LEDであるLED素子30からの青色光と、それによって黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。
【0034】
前述した黄色蛍光体は一例であって、封止材50は、他の蛍光体を含有することもできる。例えば、封止材50は、緑色蛍光体と赤色蛍光体の2種類を含有してもよい。この場合、発光モジュール1は、青色LEDであるLED素子30からの青色光と、それによって緑色蛍光体および赤色蛍光体を励起させて得られる緑色光および赤色光とを混合させることで得られる白色光を出射する。緑色蛍光体としては、LED素子30が出射した青色光を吸収して緑色光に波長変換する、(BaSr)2SiO4:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料を用いることができる。赤色蛍光体としては、LED素子30が出射した青色光を吸収して赤色光に波長変換する、CaAlSiN3:Eu2+などの粒子状の蛍光体材料を用いることができる。
【0035】
前述した緑色蛍光体及び赤色蛍光体は一例であって、封止材50は、前述した黄色蛍光体に少量の緑色蛍光体や少量の赤色蛍光体を添加しても良い。この場合、発光モジュール1は、青色LEDであるLED素子30からの青色光と、それによって黄色蛍光体を励起させて得られる黄色光とを混合させることで得られる白色光を基本とし、同じく励起された緑色光や赤色光も混合されることで、前述の組み合わせほどではないが、演色性を高めた白色光を出射することができる。
【0036】
発光モジュール1では、LED素子30の充填率が高いため、発光エリアの単位面積当たりの発熱量も多い。LED素子同士の間隔が狭くなって光の密度が高まると、封止材50が含有する蛍光体に当たる光の密度も高くなり、蛍光体自体も発熱する。そこで、発光モジュール1では、封止材50内の蛍光体を沈降させて実装基板10に近付けることにより、蛍光体自体の放熱性も向上させて、熱を発散させやすくしている。
【0037】
図2は、
図1の領域Cの拡大図であり、ダム材40の断面形状を説明するための図である。
【0038】
ダム材40の断面は、略台形の基部41、基部41の上部に配置される平坦な頂頭部42、頂頭部42から連続してダム材40の内側方向に庇の様に突き出した封止材保持部43を含んでいる。封止材保持部43は、断面で見ると、図中の上部が平坦で、基部41に向かって曲線を描くようなフィレット形状となっている。なお、平坦な頂頭部42は、円弧状ではない平坦な領域を含んでいれば良く、平坦な領域は実装基板10に対して平行である必要はなく、傾斜していても良い。また、ダム材40の上部全てが平坦な領域である必要はなく、一部であっても良い。
【0039】
図2に示す様に、基板10の上面と平行に、平坦な頂頭部42の外縁部分44から引いた線分60と、封止材保持部43の内側先端部の指す方向に引いた線分61との成す角度をθとする。例えば、封止材保持部43が存在しない場合、ダム材40の最上部付近まで、液状の封止材50´(後述する)が充填されると、液状の封止材50´は容易に封止材保持部43の先端部を超えて外側に漏れ出す。しかしながら、角度θは0°であっても、封止材保持部43が存在すれば、庇状に張り出す事になるので、液状の封止材50´を外部に漏らすことなく保持することができる。
【0040】
しかしながら、角度θが、5°以上の場合、ダム材40は、更に良好に封止材50を外部に漏らすことなく保持することができる。一方、あまり角度θが大きいと、保持部43が変形しきれずに封止材50´があふれてしまうので、角度θは、10°以下であることが好ましい。以上より、角度θは0°以上であれば良いが、5°以上且つ10°以下であることがより好ましい。
【0041】
ダム材40は、発光モジュール1の発光エリア全体の周囲に形成される。したがって、ダム材40の封止材保持部43は、発光エリア全体(360°)に渡って、適切な角度θの範囲内で形成されることが好ましい。角度θは、発光エリア全体(360°)に渡って、同じ角度でなくとも良く、5°以上且つ10°以下の範囲内に入っていれば良い。
【0042】
図3(a)~
図3(d)は、発光モジュール1の製造方法の概略説明図である。以下、
図3を用いて、発光モジュール1の製造方法について説明する。
【0043】
最初に、実装基板10と各種配線パターンが形成された回路基板15が用意され、実装基板10と回路基板15が接着材により接着される。
図3(a)は、実装基板10と回路基板15が接着された状態を示す図である。その後、回路基板15の開口部16の内側で、実装基板10の上面に複数のLED素子30を実装し、LED素子30相互間、及び、LED素子30と第1電極20、第2電極20間をワイヤで接続する(不図示)。
【0044】
次に、第1電極20、第2電極20を覆う様に、複数のLED素子30の周囲に円を描く様に、未硬化のダム材用樹脂40´を所定の供給ノズル(不図示)から吐出する。
図3(b)は、未硬化のダム材用樹脂40´を第1電極20の上に配置した時の断面のイメージ図である。
図3(b)に示す様に、未硬化のダム材用樹脂40´を配置した際には、未硬化のダム材用樹脂40´の頂頭部の断面は、円弧を描く様な形状である。
【0045】
次に、略円形(円形又は楕円形)に基板10上に形成された未硬化のダム材用樹脂40´の上部を、平たい形状の押圧面を有し一度に未硬化のダム材用樹脂40´全体を押圧可能な治具70で、上方から矢印Dの方向に押圧する。なお、治具70は、一度に未硬化のダム材用樹脂40´の一部のみを押圧し、徐々に移動しながら全ての箇所を押圧する様な物であっても良い。
【0046】
次に、
図3(c)に示す様に、治具70を押し当てた状態で、低温で加熱を行い、未硬化のダム材用樹脂40´をダム材用樹脂40´´に変化させる。その後、治具70を、ダム材用樹脂40´´から外すと、その上部に、薄膜状の封止材保持部43が形成される。
【0047】
次に、ダム材用樹脂40´´の内側に、液状の封止材50´を所定の供給ノズル(不図示)から充填する。充填された液状の封止材50´は徐々にダム材用樹脂40´´の内側に溜まってゆき、最後には、ダム材用樹脂40´´の内側の封止材保持部43に接触し、さらにはそれを矢印Eの方向(上方)に押し上げる(
図3(d)参照)。すなわち、液状の封止材50´の充填量と連動して、
図3(d)の矢印の方向による押上げが発生し、前述したような角度θを有する封止材保持部43が形成される。所定の角度θは、庇の長さ、ダム材用樹脂の粘度、充填する液状の封止材等によって、制御することが可能である。
【0048】
図3(d)のような状態まで液状の封止材50´が充填されたら、充填を終了する。その後、製造過程の発光モジュールに対して、所定の加熱を行い、硬化済の封止材50を形成し(本硬化)、
図1に示す発光モジュール1が完成する。なお、
図1に示す様に、封止材ダム材50の頂点は、平坦な頂頭部42より基板10を基準として高い位置にある。
【0049】
前述した様に、ダム材40の封止材保持部43が、発光エリア全体(360°)に渡って、適切な角度θの範囲内で形成され、封止材50を周囲から押さえるので、封止材50がダム材40の外側に漏れることがなく、発光モジュールの製造過程での合格品の収率を高めることが可能となる。
【0050】
上述した発光モジュール1では、
図1に示す様に、アルミニウム製の実装基板10の上に配線パターンを設けた回路基板15を付着させた基材を利用している。しかしながら、発光モジュール1おいて、セラミック製の実装基板10の上に、回路基板15を設けずに、直接配線パターンを配置した基材を利用しても良い。
【0051】
上述した発光モジュール1の製造方法の説明では、ダム材用樹脂40´を半硬化させて形状を整えた後に、液状の封止材50´を充填して封止材保持部43の角度θが形成された。しかしながら、ダム材用樹脂40´を本硬化させた後に、液状の封止材50´を充填して封止材保持部43の角度θが形成されるようにしても良い。封止材保持部43は薄いので、本硬化した後でも、液状の封止材50´の充填に応じて、角度θが変化する。
【符号の説明】
【0052】
1 発光モジュール
10 実装基板
15 回路基板
20 第1端子電極
21 第1電極
22 第2端子電極
23 第2電極
30 LED素子
32 ボンディングワイヤ
40 ダム材
43 封止材保持部
50 封止材