(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】端末装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240527BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20240527BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q10/02
(21)【出願番号】P 2020102277
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慶光
(72)【発明者】
【氏名】大河内 健生
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-221254(JP,A)
【文献】特開2019-159738(JP,A)
【文献】特開2013-069105(JP,A)
【文献】先名 健一,QRコードの偽造検出と個人認証を可能にした技術,月刊自動認識,日本,日本工業出版株式会社,2018年10月10日,第31巻 第12号,p.48-52
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元コードを読み取り、読み取った前記2次元コードをデコードし、デコードされた結果のデータを出力する2次元コード読取部と、
前記2次元コード読取部が出力した前記データを基に、旅客用チケットの、(1)購入済区間の情報、(2)列車を特定する情報、(3)列車の座席を特定する情報、の少なくともいずれかを含むチケット情報を取得し、取得したチケット情報に関連する情報を表示する検札機能部と、
を備え
、
前記チケット情報は、前記購入済区間の情報を含むものであり、
前記検札機能部は、現在の運行区間の情報を把握するとともに、取得した前記チケット情報が持つ前記購入済区間の情報と、前記現在の運行区間の情報とが整合するか否かを判定し、その判定結果を、前記チケット情報に関連する情報として表示す
る、
端末装置。
【請求項2】
2次元コードを読み取り、読み取った前記2次元コードをデコードし、デコードされた結果のデータを出力する2次元コード読取部と、
前記2次元コード読取部が出力した前記データを基に、旅客用チケットの、(1)購入済区間の情報、(2)列車を特定する情報、(3)列車の座席を特定する情報、の少なくともいずれかを含むチケット情報を取得し、取得したチケット情報に関連する情報を表示する検札機能部と、
を備え、
前記チケット情報は、前記列車を特定する情報を含むものであり、
前記検札機能部は、現在処理対象とする列車の情報を把握するとともに、取得した前記チケット情報が持つ前記列車を特定する情報と、前記現在処理対象とする列車の情報とが整合するか否かを判定し、その判定結果を、前記チケット情報に関連する情報として表示す
る、
端末装置。
【請求項3】
2次元コードを読み取り、読み取った前記2次元コードをデコードし、デコードされた結果のデータを出力する2次元コード読取部と、
前記2次元コード読取部が出力した前記データを基に、旅客用チケットの、(1)購入済区間の情報、(2)列車を特定する情報、(3)列車の座席を特定する情報、の少なくともいずれかを含むチケット情報を取得し、取得したチケット情報に関連する情報を表示する検札機能部と、
を備え、
前記チケット情報は、前記列車の座席を特定する情報を含むものであり、
前記検札機能部は、現在処理対象とする座席の情報を把握するとともに、取得した前記チケット情報が持つ前記列車の座席を特定する情報と、前記現在処理対象とする座席の情報とが整合するか否かを判定し、その判定結果を、前記チケット情報に関連する情報として表示す
る、
端末装置。
【請求項4】
前記検札機能部は、前記データをサーバー装置に送信し、さらに前記サーバー装置から前記データに基づいた前記チケット情報を取得する、
請求項1から3までのいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項5】
前記2次元コード読取部が出力した前記データを基に、発券しようとするチケットの代金の決済処理を試み、前記決済処理が成功した場合にのみ前記チケットを発券する発券機能
部、
を
さらに備える
請求項1から4までのいずれか一項に端末装置。
【請求項6】
前記データは、旅客が持つアカウントを特定するアカウント識別情報を含み、
前記発券機能部は、前記アカウント識別情報を外部のサーバーに送信することによって前記決済処理を試みる、
請求項
5に記載の端末装置。
【請求項7】
前記発券機能部は、前記外部のサーバーが管理する空席の情報に基づいて、特定の列車の、現時点で空席である特定の座席を前記チケットに割り当てて、前記チケットを発券するものである、
請求項
6に記載の端末装置。
【請求項8】
コンピューターを、
請求項1から
7までのいずれか一項に記載の端末装置、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、端末装置、チケット処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、鉄道の駅のプラットフォームに指定席チケット(特急券等)を自動的に販売するための券売機を設けている。その券売機は、リアルタイムに管理されている列車ダイヤグラムや、列車運行情報や、座席指定状況に基づいて、指定席チケットを販売する。
【0003】
また、従来技術では、旅客が現金でグリーン券を購入した場合にも座席を管理できるようにしている。ここで、グリーン券とは、列車に組み込まれたグリーン車の座席を使用するためのチケットである。また、グリーン車とは、上位の等級の座席を持つ車両のことである。グリーン車の座席は、グリーン席とも呼ばれる。従来技術では、旅客は、駅等に設置された券売機を用いて、ICカードによる決済手段だけではなく、現金によって、グリーン券を購入することができる。現金でグリーン券が購入された場合、券売機は、紙の整理券を発行する。旅客は、発行された整理券を持って、グリーン車に搭乗する。ICカード乗車券でグリーン券を購入した旅客ならばグリーン席に設けられた読取装置にそのICカード乗車券をかざすことによってその座席を使用することができる。一方、現金でグリーン券を購入した旅客は、有効なICカード乗車券を持っていない。そこで、旅客は、乗務員(車掌等)に紙の整理券を提示する。乗務員は、乗務員用端末装置を用いてその旅客の搭乗手続きを行うことができる。
【0004】
また、従来技術では、旅客の携帯端末装置からチケットの表示を要求された場合に、サーバー装置は、旅客の携帯端末装置に表示するための表示パターンを決定する。サーバー装置は、決定した表示パターンを含んだ画面のデータを携帯端末装置に送信する。携帯端末装置は、その表示パターンを含んだ画面を表示できる。
【0005】
従来技術では、駅に設置された券売機が、特定の等級のチケット(例えば、グリーン券等)や、特定の座席を指定したチケット(例えば、特急券や指定席券等)を販売することはできたが、列車内でそれらのチケットを販売することができないという問題があった。また、従来技術では、旅客の携帯端末装置に、当該旅客が購入したチケットに固有の表示パターンを表示させることはできたが、その表示パターンを列車内で検証する手段が存在しないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-281572号公報
【文献】特開2009-086996号公報
【文献】特開2019-204547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、発券済みのチケットについての2次元コードを検証することができ、あるいは、列車内でも最新の状況に基づいたチケットを発券することができる端末装置、チケット処理方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の端末装置は、2次元コード読取部と、検札機能部とを持つ。2次元コード読取部は、2次元コードを読み取り、読み取った前記2次元コードをデコードし、デコードされた結果のデータを出力する。検札機能部は、前記2次元コード読取部が出力した前記データを基に、旅客用チケットの、(1)購入済区間の情報、(2)列車を特定する情報、(3)列車の座席を特定する情報、の少なくともいずれかを含むチケット情報を取得し、取得したチケット情報に関連する情報を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の端末装置の概略機能構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態の端末装置を含むシステム全体の概略構成を示すブロック図。
【
図3】実施形態の端末装置が表示するメニュー画面の構成の一例を示す概略図。
【
図4】実施形態の端末装置が表示する検札画面の構成の一例を示す概略図。
【
図5】実施形態の端末装置が表示する座席詳細情報画面の構成の一例を示す概略図。
【
図6】実施形態の端末装置が表示する座席詳細情報画面の構成の一例を示す概略図。
【
図7】実施形態の端末装置が表示する発券・精算メニュー画面の構成の一例を示す概略図。
【
図8】実施形態の端末装置が表示する発券画面(その1)の構成の一例を示す概略図。
【
図9】実施形態の端末装置が表示する発券画面(その2)の構成の一例を示す概略図。
【
図10】実施形態の端末装置による、2次元コードを用いた検札処理に関する処理手順を示すフローチャート。
【
図11】実施形態の端末装置による、2次元コード決済を用いたチケットの発券処理に関する処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の端末装置、チケット処理方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態において、端末装置1は、鉄道等の交通機関の乗務員によって使用される。例えば、列車の車掌等が端末装置1を携帯し、その車掌等が列車内を移動しながら端末装置1を使用することができる。つまり、端末装置1は、車掌用の端末装置である。
【0012】
本実施形態において用いられる2次元コードは、例えば「QRコード」(登録商標)等と呼ばれるものである。2次元コードは、典型的には、光学的に読み取り可能な2色の表示パターンである。この2色は、相対的に明るい領域と、相対的に暗い領域とに対応する。この2色として、例えば、白(明)と黒(暗)が用いられる。2次元コードには、誤り訂正符号を用いてコード化された情報である。
【0013】
また、本実施形態で用いられる2次元コード決済は、例えば「QRコード決済」(「QRコード」は登録商標)等と呼ばれるものである。2次元コード決済自体は、既存技術を利用して実現可能なものである。本実施形態で使用する2次元コード決済の処理は、「利用者提示型」または「ストアスキャン」と呼ばれる方式の処理である。この方式では、旅客等が自身の端末装置に2次元コードを表示させる。そして、乗務員が使用する端末装置が、旅客用端末装置の画面に表示された2次元コードを読み取る。端末装置が読み取った2次元コードは、旅客の決済用アカウントに関連付けられている。これにより、チケットの代金は、旅客の決済用アカウントから支払われる。
【0014】
本実施形態において、検札とは、鉄道等の輸送手段の乗務員が、旅客が持つチケットを確認する業務である。旅客が持つチケットは、紙のチケットである場合もある。本実施形態では、特に、旅客がインターネット取引等で購入したチケットを、旅客用端末装置に表示された2次元コードに基づいて確認するタイプの検札業務を可能とする。旅客用端末装置に表示された2次元コードは、チケットに関する情報を含むもの、あるいはチケットに関する情報に関連付けられたものである。
【0015】
本実施形態において、精算とは、鉄道等の輸送手段の乗務員が、車内等で、未収受の運賃あるいは料金等を、旅客から収受する業務である。精算が行われるのは、旅客が乗車前にチケットを購入しなかった場合(無札)や、旅客が既に購入したチケットと実際に旅客が利用した際のチケットの差額を清算する場合(乗越しや乗車変更等)等である。本実施形態では、特に、精算のために、前述の2次元コード決済を利用することができる。
【0016】
本実施形態において、発券とは、鉄道等の輸送手段の乗務員が使用する端末装置が、チケットを発行することである。端末装置が発券する場合、端末装置と連動するプリンターが紙のチケットを印刷する。上記の精算と、チケットの発券とを関連付けて行う場合もある。例えば、特急券を購入せずに特急列車に乗車した旅客がいる場合、特急券の精算を行うとともに、その特急券を端末装置が発券する場合がある。また、特急券の発券と同時に、列車内の座席を割り当てる場合(指定席)がある。
【0017】
発券されるチケットは、乗車券、グリーン券、特急券、指定席券等を含む。上記の通り、一部のチケットは、座席を指定して発行されるものである。つまり、チケットは、割り当てられた座席の情報を表すものである場合がある。
【0018】
本実施形態で使用する用語のうち、HTTPは、Hypertext Transfer Protocol(ハイパーテキスト転送プロトコル)の略である。また、URLは、Uniform Resource Locator(ユニフォームリソースロケーター)の略である。また、PCは、Personal Computer(パーソナルコンピューター)の略である。
【0019】
図1は、本実施形態による端末装置の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、端末装置1は、検札機能部11と、発券機能部12と、制御部21と、入出力部22と、通信部23と、2次元コード読取部26とを含んで構成される。これらの各機能部は、例えば、電子回路を用いて実現される。また、各機能部は、必要に応じて、半導体メモリーや磁気ハードディスク装置などといった記憶手段を内部に備えてよい。また、各機能を、コンピューターおよびソフトウェアによって実現するようにしてもよい。一例として、端末装置1は、タッチパネル式の表示画面を備えたタブレット型端末装置を用いて実現される。各機能部の機能の概略は、次に説明する通りである。
【0020】
検札機能部11は、交通機関のチケットの検札業務を行うための機能を実行するものである。ここで、チケットとは、乗車券や、特急券や、グリーン券や、指定席券等である。検札機能部11は、車掌等が検札業務を行うための検札画面を表示する。また、検札機能部11は、2次元コード読取部26が読み取った2次元コード情報を取得する。この2次元コードは、旅客が購入したチケット固有の情報を含むものである。この2次元コードは、例えば、旅客が持つ携帯端末装置の画面に表示され、車掌用の端末装置1の2次元コード読取部26によってその画面から読み取られるものである。検札機能部11は、取得した2次元コード情報に基づいて、当該チケットの検札業務において必要な詳細情報を、文字等として画面に表示する。
【0021】
検札機能部11は、2次元コード読取部26が出力したデータを基に、旅客用チケットの、(1)購入済区間の情報、(2)列車を特定する情報、(3)列車の座席を特定する情報、の少なくともいずれかを含むチケット情報を取得し、取得したチケット情報に関連する情報を表示するものであってよい。なお、以下では、検札機能部11が、旅客用チケットの、(1)購入済区間の情報、(2)列車を特定する情報、(3)列車の座席を特定する情報、のすべてを含むチケット情報を取得し、取得したチケット情報に関連する情報を表示する場合を説明する。
【0022】
検札機能部11は、2次元コード読取部26から取得したデータを外部のサーバー装置(例えば、後述するチケットサーバー装置32)に送信することにより、そのデータに基づくそのサーバー装置からの応答として前記のチケット情報を取得する。ただし、検札機能部11が、その他の手段で、2次元コード読取部26から取得したデータを基に、前記のチケット情報を取得するようにしてもよい。例えば、2次元コード読取部26から取得したデータそのものが、(1)購入済区間の情報、(2)列車を特定する情報、(3)列車の座席を特定する情報などといったチケット情報を含んでいてもよい。
【0023】
検札機能部11は、列車の現在の位置(現在の運行区間)の情報を把握していてもよい。検札機能部11は、例えば、列車の車両との間で通信を行うことにより、列車の現在の位置を把握する。この場合、検札機能部11は、取得したチケット情報が持つ購入済区間の情報と、現在の運行区間の情報とが整合するか否かを判定することができる。また、検札機能部11は、その判定結果を、チケット情報に関連する情報として画面に表示することができる。
【0024】
検札機能部11は、現在処理対象とする列車(乗務員が乗務している列車)を特定する情報を把握してもよい。検札機能部11は、例えば、列車の車両との間で通信を行うことにより、あるいは乗務員が乗務開始時に情報を設定することにより、列車を特定する情報を把握できる。この場合、検札機能部11は、取得したチケット情報が持つ列車を特定する情報と、現在処理対象としている列車の情報とが整合するか否かを判定することができる。また、検札機能部11は、その判定結果を、チケット情報に関連する情報として画面に表示することができる。
【0025】
検札機能部11は、現在処理対象とする座席の情報を把握してもよい。検札機能部11は、例えば、後述する座席詳細情報画面(
図5、
図6を参照)を表示しているときには、その座席がそのときに処理対象とする座席である。検札機能部11は、取得したチケット情報が持つ列車の座席を特定する情報と、現在処理対象とする座席の情報とが整合するか否かを判定することができる。また、検札機能部11は、その判定結果を、チケット情報に関連する情報として画面に表示することができる。
【0026】
発券機能部12は、交通機関のチケットの発券業務を行うための機能を実行するものである。発券機能部12は、特定の座席を指定したチケット(特急券や指定席券等)を発券することもできる。発券機能部12は、車掌等が発券業務を行うための発券画面を表示する。発券機能部12は、チケットの発券に伴う精算機能を含む。発券機能部12は、その精算機能において、複数の決済手段の選択肢を提供する。提供される決済手段は、2次元コード決済を含む。2次元コード決済は、旅客が持つ携帯端末装置等の画面に表示される2次元コードを用いてチケット代金の決済を行うものである。2次元コード決済自体は、既存技術を用いて行うことができる。なお、発券機能部12は、2次元コード決済を行う際には、2次元コード読取部26が読み取った2次元コードの情報を用いる。発券機能部12は、決済が正常に行われた場合には、チケットを発券する。つまり、発券機能部12は、2次元コード決済を用いて、指定席券を含むチケットの発券を行うことができる。つまり、車掌等は、列車内においても、発券機能部12の機能を実行させることにより、上記のチケットを発券することができる。このように発券されるチケットの一例は、「車内特急券」と呼ばれるチケットである。
【0027】
発券機能部12は、2次元コード読取部26が出力したデータを基に、発券しようとするチケットの代金の決済処理(2次元コード決済)を試み、その決済処理が成功した場合にのみチケットを発券するようにしてもよい。
【0028】
このとき、2次元コード読取部26が出力するデータは、例えば、旅客が持つアカウントを特定するアカウント識別情報を含むものである。発券機能部12は、上記のアカウント識別情報を外部のサーバー装置(例えば、決済用サーバー装置(不図示)や、後述するチケットサーバー装置32)に送信することによって上記の決済処理を試みる。
【0029】
発券機能部12は、例えば後述するチケットサーバー装置32が管理する空席の情報に基づいて、特定の列車の、現時点で空席である特定の座席をチケットに割り当てて、チケットを発券するものとしてよい。この場合、発券されるチケットは指定席券の役割を持つ。
【0030】
制御部21は、端末装置1の全体を制御するものである。
【0031】
入出力部22は、端末装置1と外部装置等との間でのデータの入出力を行う。
【0032】
入出力部22が取得する信号の一つは、画像の信号である。端末装置1はカメラ(不図示)の機能を備える。カメラは、光学系と撮像素子とを備えており、外部から画像を取得する。入出力部22は、不図示のカメラから画像の信号を取得する。入出力部22が取得した画像の信号は、端末装置1内の各部で使用できる。入出力部22が取得した画像の信号は、制御部21等を経由して、2次元コード読取部26にも渡される。
【0033】
通信部23は、端末装置1が外部装置との間で通信を行うための機能を提供する。通信部23を用いて、端末装置1内の各部は、外部装置にデータを送信したり、外部装置からデータを受信したりすることができる。通信部23は、例えば、インターネットプロトコルを用いた通信を行う。通信部23の機能により、端末装置1は、例えば、後述するウェブサーバー装置31や、チケットサーバー装置32や、ウェブアプリサーバー装置33等との間で通信を行う。
【0034】
2次元コード読取部26は、2次元コード(QRコード(登録商標)等)を読み取る機能を持つ。2次元コード読取部26は、端末装置1が持つカメラ(不図示)が撮影した画像内に含まれる2次元コードを読み取る。2次元コード読取部26は、読み取った2次元コードをデコードし、デコード結果であるデータを出力する。
【0035】
図2は、端末装置1を含むシステム全体の概略構成を示すブロック図である。図示するように、このシステムは、端末装置1と、ウェブサーバー装置31と、チケットサーバー装置32と、ウェブアプリサーバー装置33と、旅客用端末装置34と、インターネット61と、ローカルネットワーク62とを含む。なお、
図2において、端末装置1や、ウェブサーバー装置31や、チケットサーバー装置32や、ウェブアプリサーバー装置33や、旅客用端末装置34といった各装置それぞれの台数は、複数であってもよい。例えば、端末装置1を、各車掌が1台(または複数台)ずつ携帯して使用してもよい。また、旅客用端末装置34を、各旅客が1台(または複数台)ずつ携帯して使用してもよい。
【0036】
ウェブサーバー装置31は、端末装置1や旅客用端末装置34が、インターネット経由で、チケットサーバー装置32やウェブアプリサーバー装置33に接続するための処理を行うサーバー装置である。ウェブサーバー装置31は、端末装置1や旅客用端末装置34から通信要求(例えば、HTTPのPOST(ポスト))が送信された場合に、URLやユーザーエージェントに応じて、ローカルネットワーク62に接続されている複数のサーバー装置のうちの適切なサーバー装置に、処理を振り分ける。ユーザーエージェントは、HTTPの制御情報に含まれる情報であり、通信要求を行っている元の装置のタイプを判別するための情報である。ユーザーエージェントの情報は、通信要求を行っている元の装置が、例えば、スマートフォンであるかPCであるかを判別する。また、ユーザーエージェントの情報は、通信キャリアを判別するための情報をも含んでいる。
【0037】
チケットサーバー装置32は、チケットに関する情報や、会員として登録している旅客の会員登録情報を記憶している。チケットに関する情報は、列車ごとの、各座席の予約状況の情報を含む。つまり、チケットに関する情報は、列車の各座席が、空席であるか、発券済のチケットに割り当てられているかを区別するための情報を含む。
【0038】
チケットサーバー装置32は、旅客用端末装置34からの、座席の予約の要求に応じて、予約を受け付け、座席のステータスを更新する。また、チケットサーバー装置32は、旅客用端末装置34からの、発券の要求に応じて、チケットを発券する。旅客用端末装置34から発券を要求された場合、紙のチケットが発券されることは必要ではない。旅客用端末装置34からの要求に基づいてチケットが発券されると、チケットサーバー装置32は、そのチケットに関する情報を、いつでも旅客用端末装置34の画面に表示させることができる。旅客用端末装置34の画面に表示させる情報としては、チケットに固有の2次元コードが含まれる。旅客用端末装置34の画面に表示された2次元コードは、乗務員用の端末装置1等で光学的に読み取ることができる。また、チケットに関する情報は、そのチケットに割り当てられた座席を特定する情報を含む。
【0039】
チケットサーバー装置32は、乗務員用の端末装置1からの要求に応じて、列車の車両内の座席ごとの予約状況の情報を乗務員用の端末装置1に送る機能を持つ。チケットサーバー装置32が送信した座席ごとの予約状況の情報は、例えば、後述する検札画面(
図6を参照)等の表示に反映される。
【0040】
チケットサーバー装置32は、乗務員用の端末装置1からの要求に応じて、運賃あるいは料金等の精算の処理や、チケットの発券の処理等を行うこともできる。乗務員用の端末装置1から発券を要求された場合、紙のチケットを発券することができる。紙のチケットは、チケットサーバー装置32から乗務員用の端末装置1に送信される情報に基づいて、端末装置1側のプリンターで印刷される。この場合にも、チケットサーバー装置32は、発券されるチケットに特定の座席を割り当てることができる。割り当てられた座席を特定する情報は、チケットサーバー装置32から端末装置1に送信される。端末装置1は、チケットの情報の一部として、割り当てられた座席を特定する情報をチケットに印刷してもよい。
【0041】
なお、チケットサーバー装置32が、列車等の座席が既に割り当てられているか空席であるかを表す情報を管理して、座席の予約および発券等を行う処理自体は、既存技術を用いて実現可能である。
【0042】
ウェブアプリサーバー装置33は、端末装置1や旅客用端末装置34からの要求を仲介し、チケットサーバー装置32に渡す。また、ウェブアプリサーバー装置33は、チケットサーバー装置32から送信される情報を仲介し、端末装置1や旅客用端末装置34に渡す。つまり、旅客用端末装置34は、ウェブアプリサーバー装置33を介してチケットサーバー装置32との間での通信を行うことによって、会員登録を行ったり、座席を予約したり、発券したりする。また、端末装置1は、ウェブアプリサーバー装置33を介してチケットサーバー装置32との間での通信を行うことによって、座席の予約状況(個々の座席が、既に割り当てられているか、あるいは空席であるか、を示す情報)を受信したり、運賃や料金等の精算の処理をしたり、チケットの発券をしたりする。
【0043】
旅客用端末装置34は、旅客が使用する端末装置である。旅客用端末装置34は、例えば、旅客がチケットを購入する際に使用される。旅客用端末装置34は、また、旅客が購入したチケットの情報を表示する。旅客用端末装置34が表示するチケットの情報は、そのチケットに関する2次元コードの情報を含む。旅客用端末装置34が表示するチケットの2次元コードは、端末装置1によって光学的に読み取られる。旅客用端末装置34は、また、旅客が2次元コード決済を行う際に、決済用の2次元コードを表示する。旅客用端末装置34が表示する決済用の2次元コードは、端末装置1によって光学的に読み取られる。これにより、旅客用端末装置34を用いて、チケットの代金の決済を行うことが可能である。旅客用端末装置34は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)や、タブレット端末装置や、スマートフォンや、ウエアラブルコンピューター等を用いて実現される。
【0044】
インターネット61は、通信ネットワークであり、端末装置1や旅客用端末装置34がウェブサーバー装置31と通信することを可能とする。
【0045】
ローカルネットワーク62は、通信ネットワークであり、ウェブサーバー装置31とチケットサーバー装置32とウェブアプリサーバー装置33とが相互に通信することを可能とする。ローカルネットワーク62は、例えば、運輸事業を営む会社(例えば、鉄道会社)の社内ネットワークである。
【0046】
図3は、端末装置1が表示するメニュー画面の構成の一例を示す概略図である。図示するように、メニュー画面は、選択可能なメニューボタンを表示している。この画面のメニュー項目は、「全号車取得」、「検札」、「座席割当」、「発券・精算」、「廃札」、「業務メニュー」を含む。
「全号車取得」は、1つの列車の全車両(全号車)の座席情報の情報を通信によりサーバーから取得する処理のための項目である。「検札」は、乗務員が検札業務を行うための項目である。「座席割当」は、旅客に座席を割り当てる処理を行うための項目である。「発券・精算」は、チケットを発券して、運賃等を収受する処理を行うための項目である。「廃札」は、チケットの廃札処理を行うための項目である。「業務メニュー」は、業務処理のための別のメニュー画面に飛ぶための項目である。
なお、この画面の上部の「5月5日 特急さいたま61号」という表示は、処理対象とする列車の名称と、その運行日とを特定するための情報である。乗務員は、自身が乗務する列車を処理対象として端末装置1を操作する。
【0047】
なお、
図3の画面で「検札」が選択された場合に関連する画面は、
図4、
図5、
図6に示す画面である。また、「発券・精算」が選択された場合に関連する画面は、
図7、
図8、
図9に示す画面である。
【0048】
図4は、端末装置1が表示する検札画面の構成の一例を示す概略図である。
図3に示したメニュー画面で「検札」が選択された場合に、この検札画面の処理に至る。図示するように、検札画面は、車両内の座席の状態をグラフィカルに表示する。
この画面の上部の「5月5日 特急さいたま61号」という表示は、処理対象とする列車の名称と、その運行日の情報である。
「1号車」という表示は、現在表示している号車を特定する情報である。この画面では、プルダウンメニューにより、当該列車の他の号車を選択できるようになっている。
「池袋-熊谷」という表示は、運行区間を特定する情報である。この画面では、プルダウンメニューにより、当該列車の他の運行区間を選択できるようになっている。
「1A」から「8D」までのそれぞれの箱は、各座席の状態を表す。各座席の状態は、「空席」、「発売済」、「ネット指定券」のいずれかである。各座席の状態は、画面上において、例えば箱の色等で区別可能に表示される。「空席」は、その席が旅客に割り当てられていない状態である。「発売済」は、その席が、ネット指定券以外の手段で既に発売され、旅客に割り当てられている状態である。「ネット指定券」は、その席が、ネット指定券の手段で既に発売され、旅客に割り当てられている状態である。なお、例えば画面をスクロールすることにより、当該号車の中の、他の座席(1Aから8D以外)を表示できるようにしてもよい。
また、この画面は、「反転」、「号車取得」、「戻る」といったボタンを備えている。「反転」は、座席配置の向きを上下反転して表示させるためのボタンである。「号車取得」は、当該号車の座席情報の情報を通信によりサーバーから取得する処理のためのボタンである。「戻る」は、メニュー画面(
図3)に戻るためのボタンである。
【0049】
なお、
図4の画面において、画面上をタッチするなどの操作によって特定の座席を選択した場合には、端末装置1は、選択された座席に関する詳細情報を表示する。座席詳細情報の画面については、
図5、
図6を参照しながら後で説明する。
【0050】
図5は、端末装置1が表示する座席詳細情報画面の構成の一例を示す概略図である。図示するように、座席詳細情報画面は、特定の座席についての詳細な情報を表示する。また、座席詳細情報画面から、座席のチケットについての追加の処理を行えるようになっている。
この画面の上部の「5月5日 特急さいたま61号」という表示は、処理対象とする列車の名称と、その運行日の情報である。
また、「1号車 5A 発売済 大人」という表示は、特定の座席の状況を表している。つまり、1号車の座席5Aは、発売済の特急券等で割り当てられた座席である。また、当該座席は、大人用のチケットとして発売されていることを表している。
「会員番号」、「電話番号」、「購入番号」、「購入済」、「割当済」の項目は、当該座席の購入者に関する情報等を表示するためのものである。例えば、会員である旅客が特定の手段(「ネット指定券」等)で当該座席の割当を受けている場合には、これらの情報が表示される場合がある。
図5に示す例では、当該座席に関するチケットは、別の手段で購入されているため、これら会員番号等の情報は表示されていない。
「車内特急券」、「特急精算券(自動)」、「特急精算券(手動)」、「座席割当のみ」は、座席の割当に関する処理を行うためのボタンである。「車内特急券」は、端末装置1を用いて車内特急券を発見する処理を行うためのボタンである。「特急精算券(自動)」および「特急精算券(手動)」は、料金を精算する処理を行うためのボタンである。「座席割当のみ」は、例えば料金が既に支払われている場合等に、座席の割当のみの処理を行うためのボタンである。
「戻る」のボタンは、この座席詳細情報画面が呼び出される前の画面(例えば、
図4の検札画面)に戻るためのボタンである。
【0051】
図6は、端末装置1が表示する座席詳細情報画面の構成の一例を示す概略図である。
図5の場合と異なり、
図6の表示例では、ネット指定券に割り当てられている座席の情報を表している。
図6に示す例では、座席詳細情報画面は、「1号車 3A ネット指定券 大人」の情報を表示している。また、この座席は、会員である旅客が特定の手段(ネット指定券)を用いて割り当てたものであるため、「会員番号」、「電話番号」、「購入番号」、「購入済」の情報も表示されている。図示する例では、会員番号は「12345678」、電話番号は「XXXXXX5453」、購入番号は「00000073」、購入済の区間は「池袋-北鴻巣」である。なお、購入番号は、旅客がこの座席の指定を受けるために行った取引を特定するための情報である。購入済の区間は、その取引によって発売された運行区間である。
【0052】
図6に表示する座席詳細情報は、ネット指定券に関連付けられた情報である。よって、
図6の座席詳細情報画面は、「2次元コード読取」ボタンを持っている。乗務員は、この「2次元コード読取」ボタンを押すことにより、旅客が持つ旅客用端末装置34に表示される2次元コードを、端末装置1に読み取らせることができる。この検札時の「2次元コード読取」の機能については、さらに後で説明する。
【0053】
なお、
図6の画面のその他の点は、
図5の場合と同様である。
【0054】
図4、
図5、
図6の画面を表示させることにより、端末装置1を使用する乗務員は、列車内の座席が、発売済であるか空席であるか、といった情報を把握することができる。また、乗務員は、座席の詳細情報を把握することができる。つまり、端末装置1を使用する乗務員は、検察業務を行える。
【0055】
図7は、端末装置1が表示する発券・精算メニュー画面の構成の一例を示す概略図である。この発券・精算メニューの画面は、
図3の画面で「発券・精算」が選択された場合に表示される。図示するように、発券・精算メニュー画面は、選択可能なメニューボタンを表示している。この画面のメニュー項目は、「発券」、「精算(自動精算)」、「精算(手動精算)」、「検札メニュー」を含む。「発券」は、チケットの発券の処理のための項目である。「精算(自動精算)」および「精算(手動精算)」は、精算の処理のための項目である。「検札メニュー」は、検札業務用のメニュー画面に遷移するための項目である。
なお、
図7に示す画面で「発券」が選択された場合には、端末装置1は、
図8の画面を表示する。
【0056】
図8は、端末装置1が表示する発券画面(その1)の構成の一例を示す概略図である。図示するように、発券画面は、発券のための条件を設定できるようにした画面である。画面の上部に表示されている「5月5日 特急さいたま61号」という表示は、発券対象とする列車名および運行日を特定するものである。この発券画面では、「座席割当」、「区間」、「大人」、「小児」、「号車」、「座席位置指定」、「車内料金」の各項目の設定を行えるようになっている。
【0057】
「座席割当」は、座席割当の有無を指定するための項目である。座席割当に関しては、例えば、「座席割当あり」または「座席割当なし」のいずれかを、プルダウンメニューによって選択することができるようになっている。「座席割当あり」は、この発券を行う際に座席の割当を行うことを意味する。「座席割当なし」は、この発券を行う際に座席の割当を行わないことを意味する。
「区間」は、発券対象の運行区間を指定するための項目である。運行区間を指定するために、例えば、発駅および着駅のそれぞれをプルダウンメニューによって選択することができるようになっている。
「大人」および「小児」は、それぞれ、大人と小児のチケットの発券枚数を指定するための項目である。大人と小児のそれぞれについて、プルダウンメニューによって発券枚数を指定することができるようになっている。
「号車」は、当該列車内の特定の号車を指定するための項目である。号車が指定された場合には、その号車の座席が割り当てられる。プルダウンメニューによって、特定の号車を選択したり、あるいは号車を指定しないことを選択したり、できるようになっている。
「座席位置指定」は、発券する座席の位置を指定するための項目である。座席位置が指定された場合には、その位置の座席が割り当てられる。プルダウンメニューによって、座席位置を指定したり、あるいは指定しないことを選択したり、できるようになっている。
「車内料金」は、車内料金を適用するか否かを指定するための項目である。車内料金とは、例えば駅等でチケットを発券する場合と車内(列車内)でチケットを発券する場合とで料金が異なる場合の、車内で発券する場合の料金である。この画面では、ラジオボタンによって、車内料金のありまたはなしを選択できるようになっている。
【0058】
図8に示す発券画面は、さらに、「確認」ボタンと「戻る」ボタンとを備えている。「確認」ボタンは、発券内容の確認を行えるようにするためのボタンである。具体的には、「確認」ボタンが押されると、
図9の画面に遷移する。「戻る」は、この発券画面が呼び出される前の画面(例えば、
図7の発券・精算メニュー画面)に戻るためのボタンである。
【0059】
図9は、端末装置1が表示する発券画面(その2)の構成の一例を示す概略図である。例えば、
図8の画面において条件の設定(プルダウンメニューを用いての選択等)が行われた後に、「確認」ボタンが押されると、この
図9の画面が表示される。図示するように、この発券画面は、設定された条件にしたがって発券しようとしているチケットの詳細な情報を表示している。
【0060】
画面上部の「5月5日 特急さいたま61号」という表示は、列車名とその運行日とを特定する情報である。
次の「座席割当 座席割当あり」は、座席を割り当てたチケット(座席を指定したチケット)を発券しようとしていることを表す。
次の「区間 池袋-北鴻巣」は、発券するチケットが対象とする区間を表す。区間は2つの駅名によって特定される。
次の「大人 2枚」および「小児 2枚」は、大人および小児のそれぞれのチケットの枚数を表している。
次の「合計 2,260円」は、それら合計4枚のチケットの料金の合計金額を表している。
その下には、4個の座席の詳細な情報が表示されている。例えば、「座席 1号車 4A」は、座席の番号である。その座席は、大人のチケットに対して割り当てられている。チケットの番号は、「002-00004」である。この番号は、チケットごとに割り振られる通し番号である。そして、このチケットの料金は、720円である。料金の内訳は、特急料金が620円、そして車内料金が100円である。他の3枚のチケット(座席番号が、4B、5A、5B)についても同様である。ただし、座席番号4Bは、大人のチケットに割り当てられており、座席番号5Aと5Bとは小児のチケットに割り当てられている。
【0061】
図9の発券画面は、さらに、「発券」、「取消」、「戻る」、「2次元コード決済」のボタンを持っている。「発券」ボタンは、チケットを発券するためのボタンである。端末装置1と連動するプリンターが、チケットを印刷する。「取消」ボタンは、表示されているチケットの発券を取り消すためのボタンである。チケットの発券が取り消されると、例えば、
図8の画面に戻るようにする。「戻る」ボタンは、元の画面(例えば、
図7の発券・精算メニュー画面に戻るためのボタンである。「2次元コード決済」のボタンは、発見しようとしているチケットの代金を、2次元コード決済によって決済する処理のためのボタンである。例えば、乗務員が現金によってチケット代金を収受した場合には、乗務員が「発券」ボタンを押すことによって、端末装置1が直ちにチケットを発券する。また、2次元コード決済によってチケット代金を収受する場合には、乗務員が「2次元コード決済」を押して決済が完了した後に、端末装置1が直ちにチケットを発券する。
なお、2次元コード決済については、さらに後で説明する。
【0062】
図10は、2次元コードを用いた検札処理に関する処理手順を示すフローチャートである。
図6に示した「2次元コード読取」のボタンが押されると、検札機能部11は、このフローチャートの処理を開始する。以下、このフローチャートに沿って手順を説明する。
【0063】
ステップS11において、検札機能部11は、端末装置1が持つカメラの機能をonにする。これにより、端末装置1はカメラが撮影した画像を取得することができる。検札機能部11は、2次元コード読取部26に、カメラからの画像の信号を読み込ませる。なおこのとき、乗務員は、端末装置1のカメラが、旅客の提示する旅客用端末装置34の画面を撮影するように、カメラの位置や向きを調節する。
【0064】
ステップS12において、検札機能部11は、2次元コード読取部26に、2次元コードを読み取らせる。2次元コード読取部26は、2次元コードに含まれる位置検出パターン(ファインダーパターン)を検出する。そして、2次元コード読取部26は、2次元コードを読み込む。
【0065】
ステップS13において、2次元コード読取部26は、ステップS12の処理に続いて、読み取った2次元コードをデコードする。デコードした結果は、例えば、文字列のデータとして表される。2次元コード読取部26は、デコードされた結果を、検札機能部11に渡す。
【0066】
ステップS14において、検札機能部11は、ステップS13においてデコードされた結果を取得する。デコードされたデータは、チケットに関する情報を含んでいる。検札機能部11は、デコードされたデータを用いて、チケットサーバー装置32に対する問い合わせを行う。
【0067】
ステップS15において、検札機能部11は、チケットサーバー装置32からの応答を受信する。この応答は、問い合わせ時に送信されたデータ(2次元コードからデコードされたデータ)が正当なチケットのデータであったか否かを表す情報を含む。データが正当であるか否かは、特定の座席の情報(例えば、
図6の座席詳細情報画面で表示していた座席の情報)と、2次元コードからデコードされたデータとが、整合しているか否かによって決まる。つまり、チケットサーバー装置32からの応答は、端末装置1が読み取った2次元コードが、正当なチケットの2次元コードであったか否かを表す。検札機能部11は、受信した応答内容に応じた処理を行う。その処理とは、典型的な場合には、次の通りである。検札機能部11は、応答内容が正当なチケットであったことを表している場合には、画面に、「正常なチケット」である旨を表示する。検札機能部11は、応答内容が正当なチケットではなかったことを表している場合には、画面に、「異常」(正常なチケットではない)である旨を表示する。異常となり得るのは、例えば、旅客が提示したチケットに関連付けられた列車名が異なる場合や、チケットに関連付けられた列車の運行日が異なる場合や、チケットに関連付けられた座席が異なる場合や、チケットの購入済区間が列車の現在走行地と整合しない場合や、そもそも正当なチケットの2次元コードではない場合等である。
【0068】
なお、検札処理の手順として、ステップS14およびS15に示した方法を代替する方法をとってもよい。2次元コード読取部26によってデコードされたデータ自体がチケット情報を含む場合には、検札機能部11は、チケットサーバー装置32への問い合わせを行わずに、端末装置1内の情報のみに基づいて、検札の判定を行うことができる。例えば、2次元コード読取部26によってデコードされたデータがチケットに割り当てられた座席を特定する情報を持つ場合、検札機能部11は、現在処理対象としている座席と、チケット情報が持つ座席の情報とが、整合しているか否かを判定することができる。例えば、2次元コード読取部26によってデコードされたデータが列車を特定する情報を持つ場合、且つ、検札機能部11が現在処理対象としている列車を特定する情報を持つ場合、検札機能部11は、現在処理対象としている列車と、チケット情報が持つ列車の情報とが、整合しているか否かを判定することができる。例えば、2次元コード読取部26によってデコードされたデータが購入区間を特定する情報を持つ場合、且つ、検札機能部11が列車の現在の位置(現在の区間)の情報を把握している場合、検札機能部11は、列車の現在の位置と、チケット情報が持つ購入区間とが、整合しているか否かを判定することができる。
【0069】
上記の手順で説明した通り、検札機能部11は、旅客が提示する画面から読み取った2次元コードに基づいて検察業務を行うための機能を持つ。
【0070】
図11は、2次元コード決済を用いたチケットの発券処理に関する処理手順を示すフローチャートである。
図9に示した「2次元コード決済」のボタンが押されると、発券機能部12は、このフローチャートの処理を開始する。以下、このフローチャートに沿って手順を説明する。
【0071】
ステップS21において、発券機能部12は、2次元コード決済機能を起動する。この2次元コード決済機能は、発券機能部12に組み込まれている物であってもよいし、例えば決済事業者が提供する独立の決済用アプリケーションプログラムであってもよい。発券機能部12が、上記の独立の決済用アプリケーションプログラムの機能を含むものと捉えてもよい。
【0072】
ステップS22において、発券機能部12は、端末装置1が持つカメラの機能をonにする。これにより、端末装置1はカメラが撮影した画像を取得することができる。発券機能部12は、2次元コード読取部26に、カメラからの画像の信号を読み込ませる。なおこのとき、乗務員は、端末装置1のカメラが、旅客の提示する旅客用端末装置34の画面を撮影するように、カメラの位置や向きを調節する。
【0073】
ステップS23において、発券機能部12は、2次元コード読取部26に、2次元コードを読み取らせる。2次元コード読取部26は、2次元コードに含まれる位置検出パターンを検出する。そして、2次元コード読取部26は、2次元コードを読み込む。
【0074】
ステップS24において、2次元コード読取部26は、読み取った2次元コードをデコードする。デコードした結果は、例えば、文字列のデータとして表される。2次元コード読取部26は、デコードされた結果を、発券機能部12に渡す。
【0075】
ステップS25において、発券機能部12は、デコードされたデータを受け取る。デコードされたデータは、例えば、当該旅客の決済用のアカウントを識別する情報を含んでいる。発券機能部12は、デコードされたデータを用いて、チケットサーバー装置32または不図示の決済用サーバー装置に対する問い合わせを行う。
【0076】
ステップS26において、発券機能部12は、ステップS25において問い合わせを行ったサーバー装置からの応答を受信する。この応答は、決済可否の情報を含んでいる。
【0077】
ステップS27において、発券機能部12は、ステップS26において受信した応答に基づいて、決済が成功したか否かを判定する。決済が成功した場合(ステップS27:YES)には、次のステップS28に移る。決済が成功しなかった場合(ステップS27:NO)には、ステップS28の処理をスキップして、本フローチャート全体の処理を終了する。
【0078】
ステップS28において、発券機能部12は、チケットを発券する。具体的には、発券機能部12は、プリンターにチケットを印刷させる。
【0079】
上記のように、端末装置1は、2次元コード決済を用いて、チケットを発券することができる。
【0080】
以上、説明したように、本実施形態によれば、端末装置1は、チケットが持つ2次元コードを読み取り、その2次元コードに基づいて、チケットの、(1)購入済区間の情報、(2)列車を特定する情報、(3)列車の座席を特定する情報、の少なくともいずれかを含むチケット情報を表示することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、読み取られた上記の2次元コードに基づいて、チケット情報を外部のサーバー装置に照会することができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、読み取られた上記の2次元コードに基づいて、(1)購入済区間の情報が列車の現在位置と整合するか否か、(2)列車を特定する情報が現在処理対象とする列車と整合するか否か、(3)列車の座席を特定する情報が現在処理対象とする座席と整合するか否か(旅客が、指定された席に正しく座っているか否か)、の少なくともいずれかを判定することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、端末装置1は、旅客の端末装置等から読み取った2次元コードに基づいて、発券しようとするチケットの代金の決済処理を試み、その決済処理が成功した場合にのみチケットを発券することができる。
【0084】
また、本実施形態によれば、端末装置1は、外部のサーバー装置が管理する空席の情報に基づいて、特定の列車の、現時点で空席である特定の座席をチケットに割り当てて、チケットを発券することができる。
【0085】
これらにより、利用者(旅客等)の利便性が向上する。また、輸送事業者(鉄道事業者等)の業務の効率が向上する。
【0086】
なお、次に説明する変形例を実施するようにしてもよい。
上記実施形態では、端末装置1は、検札機能部11と発券機能部12の両方を備えていた。つまり、端末装置1は、検察業務に対応する機能と、発券業務に対応する機能の両方を備えていた。変形例として、端末装置1が、検札機能部11と発券機能部12のいずれか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0087】
以上説明した実施形態によれば、2次元コード読取部が出力したデータを基に、旅客用チケットの、(1)購入済区間の情報、(2)列車を特定する情報、(3)列車の座席を特定する情報、の少なくともいずれかを含むチケット情報を取得し、取得したチケット情報に関連する情報を表示する検札機能部を持つことにより、チケットが持つ2次元コードを基に、検札業務を行うことができるようになる。
【0088】
また、以上説明した実施形態によれば、2次元コード読取部が出力したデータを基に、発券しようとするチケットの代金の決済処理を試み、決済処理が成功した場合にのみチケットを発券する発券機能部を持つことにより、例えば列車内においても、2次元コード決済による発券を行うことが可能となる。
【0089】
上述した実施形態における、端末装置1や、ウェブサーバー装置31や、チケットサーバー装置32や、ウェブアプリサーバー装置33や、旅客用端末装置34といった各装置の、少なくとも一部の機能をコンピューターで実現するようにしても良い。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
1…端末装置、11…検札機能部、12…発券機能部、21…制御部、22…入出力部、23…通信部、26…2次元コード読取部、31…ウェブサーバー装置、32…チケットサーバー装置、33…ウェブアプリサーバー装置、34…旅客用端末装置、61…インターネット、62…ローカルネットワーク