(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】複数の作業ユニットを備えた繊維機械、および複数の作業ユニットを備えた繊維機械を監視するための方法
(51)【国際特許分類】
D01H 13/14 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
D01H13/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020105561
(22)【出願日】2020-06-18
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10 2019 116 627.6
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518264859
【氏名又は名称】ザウラー スピニング ソリューションズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Spinning Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Carlstr. 60, 52531 Uebach-Palenberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアト フアツ
(72)【発明者】
【氏名】ディアク シファース
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ズィーヴェアト
(72)【発明者】
【氏名】タイ マック
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-070302(JP,A)
【文献】特開2011-016630(JP,A)
【文献】特公昭01-015467(JP,B2)
【文献】特開2016-113297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業ユニット
としての紡績ユニットを備えた繊維機械であって、
個々の前記作業ユニットの異なる生産指数を検出し、かつ前記生産指数が設定された限界値を超過するか否かを検査するように構成された繊維機械制御ユニットと、
前記限界値を入力し、かつ検査すべき前記生産指数の集合から、少なくとも1つの検査すべき前記生産指数を選択するための入力ユニットと、
少なくとも1つの選択された検査すべき前記生産指数が対応する設定された前記限界値を超過するか否かの検査結果を、光学式に出力するために、前記繊維機械制御ユニットに接続されている、表示ユニットと
を備えた繊維機械において、
前記表示ユニットは
、それぞれの前記作業ユニット(2)に配置されていて個々の前記作業ユニット(2)に対応配置された複数の信号ユニット(4)を有しており、該信号ユニット(4)は、少なくとも1つの選択された検査すべき前記生産指数が対応する設定された前記限界値を超過するか否かの検査結果が、それぞれ異なる光信号を用いて表示されるように構成されて
おり、
前記信号ユニット(4)が、光学式の検出装置を有しているサービスアセンブリの前記作業ユニット(2)についての自動的な識別のために、かつ前記作業ユニット(2)に対する該サービスアセンブリの方向付けのために使用可能であるように、前記信号ユニット(4)は前記作業ユニット(2)に配置されていて、かつ、前記光信号は前記信号ユニット(4)において生ぜしめられるようになっている
ことを特徴とする、繊維機械。
【請求項2】
前記信号ユニット(4)は、それぞれ異なる明るさおよび/またはそれぞれ異なる色の光信号を用いて、前記検査の結果を表示するように構成されている、
請求項1記載の繊維機械。
【請求項3】
前記信号ユニット(4)は、持続光および点滅光を用いて、前記検査の結果を表示するように構成されている、
請求項1または2記載の繊維機械。
【請求項4】
前記信号ユニット(4)は、LED表示部を有している、
請求項1から
3までのいずれか1項または複数項記載の繊維機械。
【請求項5】
1つまたは複数の作業ユニット
としての紡績ユニットを有している繊維機械を監視するための方法であって、繊維機械制御ユニットを用いて、
個々の前記作業ユニットの異なる生産指数を検出し、
少なくとも1つの選択可能な生産指数が対応する設定された限界値を超過するか否か検査し、かつ
次いで検査の結果を、表示ユニットを介して光学式に表示する、
方法において、
前記表示ユニットは、個々の前記作業ユニット(2)に対応配置された複数の信号ユニット(4)を有しており、該信号ユニット(4)は
、前記作業ユニット(2)に配置されていて、かつ前記信号ユニット(4)において、少なくとも1つの選択された検査すべき前記生産指数が対応する設定された前記限界値を超過するか否かの検査の結果を、それぞれ異なる光信号を用いて表示
し、
前記信号ユニット(4)が、光学式の検出装置を有しているサービスアセンブリの前記作業ユニット(2)についての自動的な識別のために、かつ前記作業ユニット(2)に対する該サービスアセンブリの方向付けのために使用可能であるように、前記信号ユニット(4)は前記作業ユニット(2)に配置されていて、かつ、前記光信号は前記信号ユニット(4)において生ぜしめられるようになっている
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記検査の結果を、それぞれ異なる明るさおよび/またはそれぞれ異なる色の光信号を用いて表示する、
請求項
5記載の、監視するための方法。
【請求項7】
前記光信号を用いて、等しい製品グループを備えた作業ユニット(2)を特徴付ける、
請求項
5または
6記載の、監視するための方法。
【請求項8】
検査すべき前記生産指数を、選択可能な時間にわたって選択可能なインターバルにおいて求められた複数の生産指数の平均値から求め、前記平均値は、特に算術平均値、幾何平均値、調和平均値、またはこれらの平均値のうちの少なくとも2つの平均値から組み合わせられた平均値である、
請求項
5から
7までのいずれか1項または複数項記載の、監視するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の作業ユニット、特に紡績ユニットを備えた繊維機械であって、
個々の作業ユニットの異なる生産指数を検出し、かつ設定された限界値の超過に関して生産指数を検査するように形成された繊維機械制御ユニット、
限界値を入力し、かつ検査すべき生産指数を選択するための入力ユニット、および
検査の結果を光学式に出力するために、繊維機械制御ユニットに接続されている、表示ユニット
を備えた繊維機械と、
複数の作業ユニット、特に紡績ユニットを有している繊維機械を監視するための方法であって、繊維機械制御ユニットを用いて、
個々の作業ユニットの異なる生産指数を検出し、
設定された限界値の超過に関して、選択可能な生産指数を検査し、かつ
次いで検査の結果を、表示ユニットを介して光学式に表示する
方法と、に関する。
【0002】
繊維機械の個々の作業ユニット、例えば紡績ユニットの生産指数の連続的な監視および評価は、繊維機械の生産的な作動のための前提条件である。糸継ぎ確実性、糸切れの数、クリアラ切断の数、能率、またはこれに類したもののような、適宜なセンサを用いて検知された生産指数を、現時点の作動を含む確定可能な時間にわたって観察することによって、問題のある作業ユニットを早期に認識することが、機械操作員に可能になり、これによって相応の対応処置を導入することができ、このような対応処置は、例えば、繊維機械において作業ユニットに沿って走行可能でありかつ作業ユニットにおける保守工程を自動的に実施する、いわゆるサービスアセンブリによって実施される。
【0003】
欧州特許第0365901号明細書に基づいて、特有な生産指数を、変化するインターバルにわたって連続的に検出し、かつ統計的に評価することが公知であり、これによって常に更新された平均値が、それぞれの生産を評価するために得られる。これらの平均値は、基準値からのその偏差に関して検査されることができる。偏差が設定された限界値を超過すると、このことが信号によって警告され、これによって相応の保守作業を実施することができる。
【0004】
そのために重要なことは、問題のある作業ユニットの明確な特徴付けであり、これによってこのような作業ユニットを迅速に識別することができ、かつ直ちに対応処置を導入することができる。中央の制御ユニットのディスプレイにおける公知の表示は、場合によっては存在する信号による警告(Signalisierung)を検出するために、機械操作員による表示の恒常的な監視を必要とする。機械操作員が不在の場合に制御ユニットによって表示された信号による警告は、機械操作員が戻るまで認識されないままとなり、これによって、該当する作業ユニットの生産不具合が長時間放置されることになる。
【0005】
上に述べたことを出発点として、本発明の根底を成す課題は、生産指数が設定された限界値を超過している作業ユニットの迅速な検出および識別を可能にする、複数の作業ユニットを備えた繊維機械を監視するための方法、および複数の作業ユニットを備えた繊維機械を提供することである。
【0006】
本発明はこの課題を、請求項1記載の特徴を備えた繊維機械、および請求項6記載の特徴を備えた繊維機械を監視するための方法によって解決している。繊維機械の好適な発展形態は、従属請求項である請求項2~5に記載され、かつ方法の好適な発展形態は、従属請求項である請求項7~9に記載されている。
【0007】
本発明に係る繊維機械は、表示ユニットが、繊維機械制御ユニットおよび/またはそれぞれの作業ユニットに配置されていて個々の作業ユニットに対応配置された複数の信号ユニットを有しており、該信号ユニットは、対応する設定された限界値の超過に関する、少なくとも1つの選択された検査すべき生産指数の検査の結果が、それぞれ異なる光信号を用いて表示されるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の意味において、生産指数(Produktionskennzahl)というのは、少なくとも2つ以上の、特に互いに異なる確定された値の、設定可能なまたは設定された結合から生じる、値であると理解すべきである。
【0009】
本発明の好適な変化形態によれば、それぞれの作業ユニットに、検査の結果を作業ユニットにおいて直接表示する信号ユニットが配置されている。このとき信号ユニットは、遠方からも明瞭に認識できるように、機械操作員にとって良好に目視可能な領域に配置されており、これによって欠陥のある作業ユニット、つまりその生産指数が設定された限界値を超過している作業ユニットを、表示ユニットのディスプレイが機械操作員の視野に入っていない場合でも、遠方から識別することができる。これによって必要な保守作業を認識し、かつ保守作業を導入することができる。
【0010】
保守が必要な作業ユニットの良好な検出に基づいて、必要な保守作業を早急に開始することができ、これによって保守すべき作業ユニットに対して、十分に高い生産性を保証することができる。これにより、作動状態が劣悪な、もしくは整然と機能していない作業ユニットを早急に適合させることができるので、全体として繊維機械の高い生産性を維持することができる。
【0011】
さらに本発明に係る繊維機械は、そこから紡績機にスライバが連続的に供給される、紡績機のためのスライバを有していて空になりそうなケンスを、十分な予備警告時間をもって、信号により警告することもできる。新しいケンスの要求および準備のような相応の処置を、機械操作員によって手動でまたは自動化して適時に導入することができる。ケンスの交換は、好適に確認する(quittieren)ことができ、このとき次いで、例えば作業ユニットの検出可能な生産量によって、ケンスの空状態を監視することができる。ケンスの監視すべき生産指数は、例えばケンスのスライバの長さ(単位メートル)、スライバの重量、または巻取りボビン(Auflaufspule)の直径であってよく、これらは、ケンスの必要な交換の適時の信号による警告を、特に確実に可能にする。
【0012】
さらに作業ユニットに配置された信号ユニットは、一致する製品グループ、例えば等しい糸が処理される作業ユニット、および製品グループに対応配置されていない作業ユニットの、特徴付けおよび識別を可能にする。
【0013】
監視に基づく検査の結果を信号によって警告するための信号ユニットの構成は、基本的には任意の形式で、信号ユニットによって行うことができる。しかしながら本発明の好適な構成によれば、信号ユニットは、異なる明るさおよび/または異なる色の光信号を用いて、検査の結果を表示するように構成されている。
【0014】
異なる明るさの光信号を用いて結果が表示される場合には、例えば、決定された生産指数の枠内において作業する作業ユニットは、スイッチオフされた信号ユニットによって、または低い強度で光る信号ユニットによって特徴付けられることが、これに対して問題のある作業ユニットは、高い強度で光る信号ユニットによって特徴付けられることが提案されている。本発明のこの構成は、特に好適な形式では、機械操作員による問題のある作業ユニットの迅速な識別を可能にする。これによって必要な保守作業を、早急に機械操作員によって開始することができる。
【0015】
異なる明るさの信号ユニットを介した作業ユニットの生産性の表示とは択一的に、またはこのような表示に加えて、信号ユニットは、検査の結果をカラー表示するように形成されていてもよい。この構成は、機械操作員が、特に好適な形式で、保守が必要な作業ユニットを直ちに把握することを可能にする。このようにして、設定された枠内において作業する作業ユニットを、例えば緑の光信号を表示する信号ユニットによって特徴付けることができる。保守が必要な、もしくはエラーを含んで作業する作業ユニットは、異なる色によって、例えば赤によって特徴付けることができる。信号ユニットのこのコントラストは、機械操作員が、設定された限界値から外れた生産指数を有する作業ユニットを、特に遠方から把握することを容易にする。
【0016】
異なる明るさおよび/または異なる色の信号ユニットを介した作業ユニットの生産性の表示とは択一的に、またはこのような表示に加えて、本発明の1つの発展形態によれば、信号ユニットは、持続光および点滅光を用いて、検査の結果を表示するように形成されていることが提案されている。本発明のこの構成は、保守が必要な作業ユニットの、遠方からの認識可能性を、補足的に改善する。このとき点滅光の頻度は、保守必要性に適合されていてよい。このとき優先的に保守すべき作業ユニットは、高い頻度で点滅する信号光によって特徴付けることができ、このとき二次的に保守すべき作業ユニットは、低い頻度を有する点滅光によって特徴付けられる。これによって機械操作員に、特に好適な形式で、個々の作業ユニットの保守必要性が表示される。
【0017】
作業ユニットにおける信号ユニットの配置は、信号ユニットが保守作業員によって遠方からも容易に認識することができるように行われる。本発明の特に好適な構成によれば、信号ユニットが、光学式の検出装置を有しているサービスアセンブリの自動的な識別のために、かつ/または作業ユニットに対する該サービスアセンブリの方向付けのために使用可能であるように、信号ユニットは作業ユニットに配置されていて、かつそのように、光信号は信号ユニットにおいて生ぜしめられることが提案されている。
【0018】
本発明のこの構成によれば、信号ユニットは、サービスアセンブリに、保守が必要な作業ユニットの自動的な検出を可能にする。信号ユニットは、さらにまたは択一的に、保守作業を自動化して実施するサービスアセンブリが、信号ユニットを介して作業ユニットに対して方向付けられるように構成されている。信号ユニット、例えば照明バンドは、そのために特殊な、もしくは比較的明るい信号ポイントを有しており、これらの信号ポイントは、サービスアセンブリに作業ユニットに対する最適な方向付けを可能にする。これによって作業ユニットに対するサービスアセンブリの位置決めのための追加的な方向付け要素を、省くことができる。
【0019】
信号ユニットの構成は、基本的に自由に選択可能である。本発明の発展形態によれば、信号ユニットが、LED表示部を有していることが提案されている。LED表示部の使用は、遠方からの該LED表示部の良好な認識可能性によって傑出している。さらにLED表示部は、特に保守が容易であり、かつエネルギ効率が良い。
【0020】
本発明に係る方法は、表示ユニットが、個々の作業ユニットに対応配置された複数の信号ユニットを有しており、該信号ユニットは、繊維機械制御ユニットおよび/または作業ユニットに配置されていて、かつ信号ユニットにおいて、検査の結果を、それぞれ異なる光信号を用いて表示することを特徴とする。本発明によれば、それぞれの作業ユニットおよび/または繊維機械制御ユニットには、検査の結果をそれぞれの作業ユニットのために直接表示する信号ユニットが配置されている。このとき信号ユニットは、機械操作員が、いくつかの作業ユニットにおいて保守が必要であることを遠方からも明瞭に認識することができるように、機械操作員のために良好に目視可能な領域に配置されている。作業ユニットに信号ユニットが配置されていると、エラーのある作業ユニット、つまりその生産指数が設定された限界値を超過している作業ユニットを、遠方からも特に簡単に識別することができ、かつ必要な保守作業を導入することができる。
【0021】
保守が必要な作業ユニットの良好な把握に基づいて、必要な保守作業を早急に開始することができ、これによって保守すべき作業ユニットのために、高い生産性を保証することができる。これにより、作動状態が劣悪な、もしくは整然と機能していない作業ユニットを、早急に適合させることができるので、全体として繊維機械の高い生産性を維持することができる。
【0022】
本発明に係る方法を用いて、短時間の内に1つのケンスが空になることを適時に表示することがさらに可能であり、これによって新しいフルのケンスの調達もしくは準備を、適時に導入することができる。このとき信号ユニットにおける予備警告のための時間窓は、機械操作員によって繊維機械制御ユニットにおいて調節することができる。ケンスの交換後に、このことが確認されるので、相応のカウンタが新たにスタートさせられる。ケンスが空の状態は、例えば作業ユニットの検出可能な生産量(単位メートルまたはキログラム)を介して、または繰出しボビン(Ablaufspule)の直径を介して監視することができる。ケンス監視のために例えば、信号ユニットは、十分なケンス内容量の場合に、連続的に発光し、決定された限界値に達した場合に点滅に移行することが提案されていてよい。
【0023】
信号ユニットによる検査の結果の光学式の出力は、基本的に任意の形式で、例えば持続光、および異なる点滅頻度を有する点滅光によって行うことができる。本発明の好適な発展形態によれば、検査の結果を、それぞれ異なる明るさおよび/またはそれぞれ異なる色の光信号を用いて表示することが提案されている。このときカラー表示は、機械操作員による、特に良好な認識可能性によって傑出している。このようにして、例えば問題のある作業ユニットを赤い光によって、かつ整然と作業している作業ユニットを緑の光によって特徴付けることができ、このことは、機械操作員によって遠方からも特に良好に認識することができる。特に重度の障害は、補足的に赤い点滅光によって表示することができる。
【0024】
本発明の発展形態によれば、光信号を用いて、等しい製品グループを備えた作業ユニットを特徴付けることがさらに提案されている。好適な形式において行われる、カラーの光信号の使用時には、等しい製品グループを処理する作業ユニットを、互いに一致するカラーの光信号によって特徴付けることができる。このことは、製品グループに割り当てられていない作業ユニットの迅速な検出をも可能にする。
【0025】
作業ユニットにおいて求められた生産指数の処理、およびこれらの生産指数と設定された基準値との比較は、基本的には任意の形式で行うことができる。しかしながら本発明の別の構成によれば、検査すべき生産指数を、選択可能な時間にわたって、特に選択可能なインターバルにおいて、または選択可能な時点において、求められた少なくとも2つ以上の個々の生産指数の平均値から求めることが提案されている。例えばクリアラ切断または糸切れの数、または効率、すなわち可能な機械作動時間の何パーセントが達成されるか、または糸継ぎ確実性、つまり糸継ぎ試行の数に対する成功した糸継ぎの数の比のような、個々の生産指数の平均値は、決定された時間にわたって常に更新される。平均値が決定可能な限界値を超過すると、このことは信号ユニットにおいて表示される。平均値は、好適な形式において、算術平均値、幾何平均値、または調和平均値から、またはこれらの平均値のうちの少なくとも2つの平均値から成る組合せから求められる。これによって本発明のこの構成は、作業ユニットにおいて低下する生産プロセスの早期の認識を可能にする。
【0026】
次に本発明の1実施例を、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】複数の紡績ユニットを備えた紡績機を概略的に示す側面図である。
【0028】
図1には、繊維機械の個々の作業ユニットを形成していて互いに隣接して配置された多数の紡績ユニット2を備えた、紡績機1として形成された繊維機械の1実施例が、概略的な図で示されている。紡績ユニット2の制御および監視は、中央の繊維機械制御ユニット3を介して行われる。繊維機械制御ユニット3における入力ユニット(ここには図示せず)が、機械操作員に対して、特にプロセスパラメータの入力および生産指数の応答を可能にする。保守が必要な紡績ユニット2を信号によって警告するために、それぞれの紡績ユニット2には、繊維機械制御ユニット3に接続された信号ユニット4が配置されており、この信号ユニット4は、カラーの光信号を介して紡績ユニット2の作動状態を特徴付ける。決定された限界値の枠内で作業している紡績ユニット2は、緑の光信号によって特徴付けられる。保守すべき紡績ユニット2は、赤の持続光によって特徴付けられる。このとき信号ユニット4は、保守が必要な紡績ユニット2が、遠方から機械操作員によって良好に把握可能であるように、かつ紡績ユニット2に沿って走行可能な自動作業式のサービスアセンブリ(ここには図示せず)によっても検知可能であるように配置されている。
【0029】
保守が必要な紡績ユニット2の表示は、繊維機械制御ユニット3において行われる調節に応じて行われる。設定された集合から1つまたは複数の生産指数、例えば効率を選択した後、観察時間が決定される。
【0030】
効率は、本発明の意味では好ましくは、実際に生産された時間である実際生産時間と、本来生産することができる時間である目標生産時間との比に対応している。本好適な実施例では、「実際に生産された」というのは、さらに好ましくは、相応の紡績ユニット2が糸を紡績したことを意味しており、これに対して「本来生産することができる」というのは、紡績ユニットが糸を紡績していなくても生産可能な状態にあることを意味している。後者は例えば、紡績ユニットが待機状態にあるような場合であり、この待機状態において紡績ユニット2は、何かを、例えば新しい紡績ケンスの供給を、完成した巻取りボビンの交換を、操作員によるロックの解除を、またはこれに類した作業を待っている。効率の計算のために、さらに好ましくは、実際生産時間のためと目標生産時間のためとに、共通の時点を基準時点として決定することができ、この基準時点としては、例えば観察時間の開始やシフト開始の時点が挙げられる。単に例としてあげると、1つの紡績ユニット2がシフト開始以来60分、生産可能な状態にあり、しかしながらシフト開始以来そのうちの53分しか生産しなかった場合には、考察された時間に対する紡績ユニット2の効率は、約88.3%である。
【0031】
別の好適な実施例によれば、設定可能な数の紡績ユニット2から成る確定可能な生産グループ、またはすべての紡績ユニット2を含む紡績機を、例えば効率のような選択された生産指数に関して考察することができる。この好適な実施例では、平均的な効率と現時点の効率とが区別される。1つの生産グループ(これは紡績機であってもよい)にまとめられた紡績ユニット2の数の平均的な効率は、好ましくは、これらの紡績ユニット2の実際生産時間の総数を、これらの紡績ユニット2の目標生産時間の総数によって割った値として得られる。これに対して現時点の効率は、これらの紡績ユニット2の数に関する瞬間値、つまりどれだけ多くの紡績ユニット2が現時点で生産している、もしくは糸を紡績しているかという瞬間値を確定する。例えば生産グループは、600の紡績ユニット2を含むことができ、これらの紡績ユニット2のうちの578の紡績ユニット2が、現時点において生産している、もしくは糸を紡績している。これによって現時点の効率は約96.3%になる。平均的な効率は、特に生産品質の評価および判定のために適しており、これに対して現時点の効率は、傾向の分析のため、および場合によっては発生する問題の早期の認識ために利用することができる。
【0032】
択一的な好適な実施例によれば、時間の代わりに、生産された量、長さ、重量、または他の適宜なパラメータを、計算の基礎として使用することができる。特に、量、長さ、または重量を使用する(Abstellung)ことは、生産時間と生産量との間に直線的な関係が存在しない場合に、好適であることが判明している。
【0033】
好適な実施例では、繊維機械制御ユニット3は、観察時間の決定後に、予め確定された間隔をおいて、例えば2分毎に、すべての紡績ユニット2の効率を検出し、かつ検出された効率を、繊維機械制御ユニット3のメモリ内に記憶する。例えば4時間の、決定された観察時間の経過後には、120の測定値が存在している。繊維機械制御ユニット3は、このとき初めて、観察時間にわたる効率の平均値を確定する。そこから平均値は、その都度新しい測定値によって、つまり2分毎に、直近の4時間にわたって確定される。すなわち平均値は常に更新され、これによってそれぞれの紡績ユニット2のための効率が、直近の4時間にわたって持続的に存在している。
【0034】
1つの紡績ユニット2の平均的な効率が、以前に決定された下側の限界値を下回ると、この紡績ユニット2は、信号ユニット4における相応の光信号によって、保守が必要であると特徴付けられる。この紡績ユニット2は、遠方から、機械操作員によって迅速に識別することができるので、直ちに相応の対応処置を導入することができる。障害の除去後に、平均的な効率は再び上昇し、かつ決定された下側の限界値の超過後に、この紡績ユニット2は再び適正に作業していると、繊維機械制御ユニット3によって特徴付けられる。効率の検出の代わりにまたは効率の検出に加えて、他の生産指数を監視のために利用することができる。これに対しては、例えばクリアラ切断または糸切れの数、および糸継ぎ確実性(Anspinnsicherheit)を挙げることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 繊維機械/紡績機
2 作業ユニット/紡績ユニット
3 繊維機械制御ユニット
4 信号ユニット