(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】農業用ロボット
(51)【国際特許分類】
A01D 46/30 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A01D46/30
(21)【出願番号】P 2020109079
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江戸 俊介
(72)【発明者】
【氏名】宮下 隼輔
(72)【発明者】
【氏名】坂野 倫祥
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134059(JP,A)
【文献】国際公開第2006/013593(WO,A1)
【文献】特開2020-174546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 46/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、前記機体を走行可能に支持する走行装置とを含む走行体と、
前記機体に着脱可能に装着された装着体、前記装着体に取り付けられたアーム及び前記アームの先端側に設けられたロボットハンドを含むマニピュレータと、
前記機体に設けられ、回動可能に装着された第1光学式センサと、
前記アーム及びロボットハンドのいずれかに設けられた第2光学式センサと、
前記第1光学式センサで得られた第1センシングデータと、前記第2光学式センサで得られた第2センシングデータとに基づいて、作物を探索する作物探索部と、を備え、
前記作物探索部は、前記第1光学式センサの回動角度と、前記第1センシングデータと、に基づいて、作物を栽培する施設内における前記作物の栽培位置として、当該栽培位置の向き及び当該栽培位置までの相対距離を示す位置を推定する位置推定部を含んでいる農業用ロボット。
【請求項2】
前記位置推定部は、前記第1センシングデータに含まれる前記作物の大きさと、基準フレームとを比較し、前記相対距離を演算する請求項1に記載の農業用ロボット。
【請求項3】
前記作物探索部は、前記位置推定部で推定した前記栽培位置の周辺に前記走行体を位置させたときの前記第2センシングデータに基づいて作物の位置である作物位置を特定する位置特定部を含んでいる請求項1に記載の農業用ロボット。
【請求項4】
前記位置推定部で推定した前記栽培位置の周囲に前記走行体を移動させる制御装置を備えている請求項3に記載の農業用ロボット。
【請求項5】
前記位置特定部は、前記走行体を前記栽培位置の周囲に移動させて当該走行体を停止させたときの前記第2光学式センサから得られた第2センシングデータから前記作物位置を特定する請求項4に記載の農業用ロボット。
【請求項6】
前記位置特定部は、前記第2センシングデータに基づいて、前記第2光学式センサ及び走行体のいずれかと、前記作物との第1距離を演算し、前記演算した第1距離に基づいて前記作物位置を特定する請求項5に記載の農業用ロボット。
【請求項7】
前記第2光学式センサは、レーザセンサ、撮像装置及び分光分析装置のいずれか2以上を含んでいる請求項1~6のいずれかに記載の農業用ロボット。
【請求項8】
前記作物探索部は、
前記位置推定部で推定した前記栽培位置の周辺に前記走行体を位置させたときの前記第2センシングデータに基づいて作物の位置である作物位置を特定する位置特定部を含み、前記第1センシングデータ及び前記第2センシングデータのいずれかに、作物を識別する識別部材に識別情報が含まれている場合、前記識別部材の位置を前記作物の栽培位置及び前記作物の作物位置のいずれかに設定する請求項1~7のいずれかに記載の農業用ロボット。
【請求項9】
前記作物探索部は、前記位置推定部で推定した前記栽培位置の周辺に前記走行体を位置させたときの前記第2センシングデータに基づいて作物の位置である作物位置を特定する位置特定部を含み、
前記第1センシングデータ及び前記第2センシングデータのいずれかに、作物を識別する識別部材に識別情報が含まれている場合、前記第1センシングデータ、前記第2センシングデータ及び前記識別情報に基づいて、作物位置及び前記識別情報に関連付けられた栽培情報を含む栽培マップを作成するマップ作成部を備えている請求項1~7のいずれかに記載の農業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された農業用ロボットが知られている。
特許文献1に開示された農業用ロボットは、走行体に作物の収穫を行うことが可能なマニピュレータが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、スイカ、メロン、カボチャ等の作物は様々なところで栽培(作付け)されるのが一般的である。ここで、農業用ロボットで作物の収穫などの作業を行う場合、作物を素早く探索することができれば、作業を効率化することができるものの、特許文献1の農業用ロボットでは、作物の探索を行うことが困難であった。
本発明は、作物の探索を効率よく行うことができる農業用ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
農業用ロボットは、機体と、前記機体を走行可能に支持する走行装置とを含む走行体と、前記機体に着脱可能に装着された装着体、前記装着体に取り付けられたアーム及び前記アームの先端側に設けられたロボットハンドを含むマニピュレータと、前記機体に設けられ、回動可能に装着された第1光学式センサと、前記アーム及びロボットハンドのいずれかに設けられた第2光学式センサと、前記第1光学式センサで得られた第1センシングデータと、前記第2光学式センサで得られた第2センシングデータとに基づいて、作物を探索する作物探索部と、を備え、前記作物探索部は、前記第1光学式センサの回動角度と、前記第1センシングデータと、に基づいて、作物を栽培する施設内における前記作物の栽培位置として、当該栽培位置の向き及び当該栽培位置までの相対距離を示す位置を推定する位置推定部を含んでいる。
前記位置推定部は、前記第1センシングデータに含まれる前記作物の大きさと、基準フレームとを比較し、前記相対距離を演算する。
【0006】
前記作物探索部は、前記位置推定部で推定した前記栽培位置の周辺に前記走行体を位置させたときの前記第2センシングデータに基づいて作物の位置である作物位置を特定する位置特定部を含んでいる。
前記位置推定部で推定した前記栽培位置の周囲に前記走行体を移動させる制御装置を備えている。
【0007】
前記位置特定部は、前記走行体を前記栽培位置の周囲に移動させて当該走行体を停止させたときの前記第2光学式センサから得られた第2センシングデータから前記作物位置を特定する。
前記位置特定部は、前記第2センシングデータに基づいて、前記第2光学式センサ及び走行体のいずれかと、前記作物との第1距離を演算し、前記演算した第1距離に基づいて前記作物位置を特定する。
【0008】
前記第2光学式センサは、レーザセンサ、撮像装置及び分光分析装置のいずれか2以上を含んでいる。
前記作物探索部は、前記位置推定部で推定した前記栽培位置の周辺に前記走行体を位置させたときの前記第2センシングデータに基づいて作物の位置である作物位置を特定する位置特定部を含み、前記第1センシングデータ及び前記第2センシングデータのいずれかに、作物を識別する識別部材に識別情報が含まれている場合、前記識別部材の位置を前記作物の栽培位置及び前記作物の作物位置のいずれかに設定する。
【0009】
前記作物探索部は、前記位置推定部で推定した前記栽培位置の周辺に前記走行体を位置させたときの前記第2センシングデータに基づいて作物の位置である作物位置を特定する位置特定部を含み、農業用ロボットは、前記第1センシングデータ及び前記第2センシングデータのいずれかに、作物を識別する識別部材に識別情報が含まれている場合、前記第1センシングデータ、前記第2センシングデータ及び前記識別情報に基づいて、作物位置及び前記識別情報に関連付けられた栽培情報を含む栽培マップを作成するマップ作成部を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作物の探索を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】作業姿勢の状態の農業用ロボットの側面図である。
【
図8】農業用ロボットの支援システムの全体図である。
【
図9】農業用ロボットを施設で走行させたルートを示す図である。
【
図10】農業用ロボットにて作物の作業を行う様子を示す図である。
【
図11】撮像画像H1(第1センシングデータH11)の一例を示す図である。
【
図12】アームブラケットを中立位置MP1から回転させたときの光学式センサの光軸A20と角度θ1との関係を示す図である。
【
図13】作物位置Znを求める方法を説明する説明図である。
【
図14】第2センシングデータH12を示す図である。
【
図19】作物の栽培初期の施設園芸の施設の内部の斜視図である。
【
図20】作物の栽培中期又は後期の施設園芸の施設の内部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1、
図2は、農業用ロボット1を例示している。農業用ロボット1は、
図17~
図20に示すようなハウス等の施設園芸、植物工場等の施設において、栽培される作物2に対して作業(農作業)を行うロボットである。農業用ロボット1は、例えば、スイカ、メロン、カボチャ等の比較的重量のある作物2である重量野菜、果実等に対して作業を行う。
【0013】
まず、施設園芸の施設(施設園芸施設)を例にとり、施設について説明する。
図17~
図20に示すように、施設100は、当該施設100を構成する構造物として、ハウス101と、ハウス101の内部に設置された機器102とを備えている。
ハウス101は、フレーム110と、被覆材111とを含んでいる。フレーム110は、例えば、I形鋼、H形鋼、C形鋼、角形鋼、丸形鋼等の様々な鋼材を組み合わせて、施設100の躯体を構成していて、複数の支柱部材110Aと、複数の連結部材110Bとを含んでいる。
図17~
図19に示すように、複数の支柱部材110Aは、地面等から起立した部材であって、横方向X1に所定の間隔で設置され且つ縦方向Y1に所定の間隔で設置されている。
【0014】
連結部材110Bは、横方向X1に離れた複数の支柱部材110Aの上端を互いに連結する。また、連結部材110Bは、縦方向Y1に離れた複数の支柱部材110Aを互いに連結する。
被覆材111は、少なくとも太陽光を取り入れ可能な透光性を有する部材であって、合成樹脂、ガラス等で構成されている。被覆材111は、例えば、フレーム110の外側から当該フレーム110の全体を覆っている。言い換えれば、被覆材111は、支柱部材110Aの外側、連結部材110Bの外側に配置されている。
【0015】
機器102は、作物2を栽培する際に使用する様々な機器であって、ハウス101内の温度、湿度、空気流動等を調整することができる機器である。詳しくは、機器102は、換気扇102A、循環扇102B、熱交換装置102C等である。
図17、
図18に示すように、換気扇102Aは、ハウス101の出入口130側に設置され、外部の空気をハウス101内の空気を外部に排出したり、外部の空気をハウス101内に取り入れる。
【0016】
循環扇102Bは、ハウス101内に設置されていて、ハウス101内の空気を所定の方向に循環させる。熱交換装置102Cはハウス101の温度を変更可能な装置であり、例えば、ヒートポンプ構成されている。上述した機器102は、一例であり、灌水機器、照明機器、噴霧機器などであってもよいし限定されない。
農業用ロボット1は、施設100内において、栽培場所105で栽培された作物2に対して様々な農作業、例えば、作物2の収穫、肥料散布、農薬散布などの農作業を行う。農業用ロボット1は、自立型のロボットである。
【0017】
図1~
図8は、農業用ロボット1を示している。
図8は、農業用ロボットの支援システムを示している。
以下、農業用ロボット1及び農業用ロボットの支援システムについて詳しく説明する。以下の説明において、
図1、
図2に矢印A1で示す方向を前方、矢印A2で示す方向を後方、矢印A3で示す方向を前後方向として説明する。したがって、
図2に矢印B1で示す方向(
図1の手前側)が左方であり、
図2に矢印B2で示す方向(
図1の奥側)が右方である。また、前後方向A3に直交する水平方向を機体幅方向(
図2の矢印B3方向)として説明する。
【0018】
図1に示すように、農業用ロボット1は、自律走行する走行体3を有している。走行体3は、機体6と、機体6を走行可能に支持する走行装置7とを有している。
図3、
図4に示すように、機体6は、メインフレーム6Aと、原動機フレーム6Bとを有している。メインフレーム6Aは、機体幅方向B3で間隔をあけて配置された一対の第1フレーム6Aaと、各第1フレーム6Aaの下方に間隔をあけて配置された一対の第2フレーム6Abとを有している。第1フレーム6Aaと第2フレーム6Abとは、複数の縦フレーム6Acによって連結されている。縦フレーム6Acは、左の第1フレーム6Aaと左の第2フレーム6Abとの前部間、右の第1フレーム6Aaと右の第2フレーム6Abとの前部間、左の第1フレーム6Aaと左の第2フレーム6Abとの後部間、右の第1フレーム6Aaと右の第2フレーム6Abとの後部間に設けられている。
【0019】
左の第1フレーム6Aaと右の第1フレーム6Aaとは、第1フレーム6Aa間に配置された第1横フレーム6Ad~第5横フレーム6Ahによって連結されている。第1横フレーム6Ad~第5横フレーム6Ahは、第1フレーム6Aaの前端から後端にわたって前後方向A3で間隔をあけて並行状に配置されている。
第2フレーム6Abの前部同士は、第6横フレーム6Ajによって連結され、第2フレーム6Abの後部同士は、第7横フレーム6Akによって連結されている。
【0020】
原動機フレーム6Bは、メインフレーム6Aの下方側に配置されている。原動機フレーム6Bは、前フレーム6Baと、後フレーム6Bbと、複数の連結フレーム6Bcと、複数の取付フレーム6Bdとを有している。前フレーム6Baは、上部が、左及び右の第2フレーム6Abの前部に取り付けられている。後フレーム6Bbは、上部が、左及び右の第2フレーム6Abの前部に取り付けられている。複数の連結フレーム6Bcは、前フレーム6Baと後フレーム6Bbの下部間を連結している。複数の取付フレーム6Bdは、連結フレーム6Bcの前後方向A3中央部に固定されている。
【0021】
図4に示すように、取付フレーム6Bdには、原動機(エンジン)E1が取り付けられている。原動機E1には、油圧ポンプP1が取り付けられている。油圧ポンプP1は、原動機E1で駆動される。また、原動機フレーム6Bには、油圧ポンプP1から吐出する作動油を貯留する作動油タンク(図示省略)が搭載されている。
図5に示すように、メインフレーム6A(機体6)には、走行装置7を制御する複数のコントロールバルブ(第1コントロールバルブCV1~第4コントロールバルブCV4)が搭載されている。
【0022】
図1、
図2、
図5に示すように、走行装置7は、4輪の車輪8を有する車輪型(4輪型)の走行装置7で構成されている。詳しくは、走行装置7は、機体6前部の左側に配置された第1車輪8La(左前輪)と、機体6前部の右側に配置された第2車輪8Ra(右前輪)と、機体6後部の左側に配置された第3車輪8Lb(左後輪)と、機体6後部の右側に配置された第4車輪8Rb(右後輪)とを備えている。なお、走行装置7は、少なくとも3輪の車輪8を有する車輪型走行装置で構成されていてもよい。また、走行装置7は、クローラ型の走行装置であってもよい。
【0023】
走行装置7は、車輪8を支持する車輪支持体9を有している。車輪支持体9は、車輪8に対応する数設けられている。つまり、走行装置7は、第1車輪8Laを支持する第1車輪支持体9La、第2車輪8Raを支持する第2車輪支持体9Ra、第3車輪8Lbを支持する第3車輪支持体9Lb及び第4車輪8Rbを支持する第4車輪支持体9Rbを有している。
【0024】
図5、
図6に示すように、車輪支持体9は、走行フレーム10と、操向シリンダC1と、第1昇降シリンダC2と、第2昇降シリンダC3と、走行モータM1とを有している。
走行フレーム10は、主支持体10Aと、揺動フレーム10Bと、車輪フレーム10Cとを有している。主支持体10Aは、機体6に縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに可能に支持されている。詳しくは、主支持体10Aは機体6に固定された支持ブラケット11に上下方向に延伸する軸心を有する第1支軸12Aを介して回動可能に支持されている。
【0025】
図5に示すように、第1車輪支持体9Laを枢支する支持ブラケット11は機体6の前部左側に設けられ、第2車輪支持体9Raを枢支する支持ブラケット11は機体6の前部右側に設けられ、第3車輪支持体9Lbを枢支する支持ブラケット11は機体6の後部左側に設けられ、第4車輪支持体9Rbを枢支する支持ブラケット11は機体6の後部右側に設けられている。
【0026】
揺動フレーム10Bは、主支持体10Aに上下揺動可能に支持されている。詳しくは、揺動フレーム10Bは、上部が主支持体10Aに第2支軸12Bを介して横軸(機体幅方向B3に延伸する軸心)回りに回動可能に支持されている。
第1車輪支持体9La及び第2車輪支持体9Raの揺動フレーム10Bは前上部が主支持体10Aに枢支され、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbの揺動フレーム10Bは後上部が主支持体10Aに枢支されている。
【0027】
車輪フレーム10Cは、揺動フレーム10Bに上下揺動可能に支持されている。詳しくは、車輪フレーム10Cは、揺動フレーム10Bに第3支軸12Cを介して横軸回りに回動可能に支持されている。
第1車輪支持体9La及び第2車輪支持体9Raの車輪フレーム10Cは後部が揺動フレーム10Bの後部に枢支され、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbの車輪フレーム10Cは前部が揺動フレーム10Bの前部に枢支されている。
【0028】
操向シリンダC1、第1昇降シリンダC2及び第2昇降シリンダC3は、油圧シリンダによって構成されている。
操向シリンダC1は、機体6と主支持体10Aとの間に設けられている。詳しくは、操向シリンダC1の一端は、第1フレーム6Aaの前後方向A3中央部に固定されたシリンダブラケット14Aに枢支され、操向シリンダC1の他端は、主支持体10Aに固定されたシリンダブラケット14Bに枢支されている。操向シリンダC1を伸縮することにより走行フレーム10が第1支軸12A回りに揺動し、車輪8(第1車輪8La~第4車輪8Rb)の向きを変更する(操向する)ことができる。本実施形態の走行装置7にあっては、各車輪8を独立して操向可能である。
【0029】
第1昇降シリンダC2は、一端が揺動フレーム10Bに枢支され、他端が第1リンク機構15Aに枢支されている。第1リンク機構15Aは、第1リンク15aと第2リンク15bとを有している。第1リンク15aの一端は、主支持体10Aに枢支され、第2リンク15bの一端は揺動フレーム10Bに枢支されている。第1リンク15aと第2リンク15bとの他端は、第1昇降シリンダC2の他端に枢支されている。第1昇降シリンダC2を伸縮することにより揺動フレーム10Bが第2支軸12B回りに上下揺動する。
【0030】
第2昇降シリンダC3は、一端が揺動フレーム10Bの前部に枢支され、他端が第2リンク機構15Bに枢支されている。第2リンク機構15Bは、第1リンク15cと第2リンク15dとを有している。第1リンク15cの一端は、揺動フレーム10Bに枢支され、第2リンク15dの一端は車輪フレーム10Cに枢支されている。第1リンク15cと第2リンク15dとの他端は、第2昇降シリンダC3の他端に枢支されている。第2昇降シリンダC3を伸縮することにより車輪フレーム10Cが第3支軸12C回りに上下揺動する。
【0031】
第1昇降シリンダC2による揺動フレーム10Bの上下揺動と、第2昇降シリンダC3による車輪フレーム10Cの上下揺動とを組み合わせることによって車輪8を平行状に昇降させることができる。
走行モータM1は、油圧モータによって形成されている。走行モータM1は、各車輪8に対応して設けられている。即ち、走行装置7は、第1車輪8Laを駆動する走行モータM1と、第2車輪8Raを駆動する走行モータM1と、第3車輪8Lbを駆動する走行モータM1と、第4車輪8Rbを駆動する走行モータM1とを有している。走行モータM1は、車輪8の機体幅方向B3の内方に配置され、車輪フレーム10Cに取り付けられている。走行モータM1は、油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動され、正逆転可能である。走行モータM1を正逆転させることにより、車輪8の回転を正転方向と逆転方向とに切り換えることができる。
【0032】
第2車輪支持体9Ra、第3車輪支持体9Lb及び第4車輪支持体9Rbは、第1車輪支持体9Laを構成する構成部品と同様の構成部品を有している。第2車輪支持体9Raは、第1車輪支持体9Laと左右対称に構成されている。第3車輪支持体9Lbは、第2車輪支持体9Raを機体6の中心を通る上下方向のセンタ軸心回りに180°回転させた形態を呈している。第4車輪支持体9Rbは、第1車輪支持体9Laをセンタ軸心回りに180°回転させた形態を呈している。
【0033】
第1車輪支持体9Laに装備された油圧アクチュエータは、第1コントロールバルブCV1によって制御される。第2車輪支持体9Raに装備された油圧アクチュエータは、第2コントロールバルブCV2によって制御される。第3車輪支持体9Lbに装備された油圧アクチュエータは、第3コントロールバルブCV3によって制御される。第4車輪支持体9Rbに装備された油圧アクチュエータは、第4コントロールバルブCV4によって制御される。
【0034】
したがって、第1車輪8La~第4車輪8Rbは、それぞれ独立的に操向可能である。また、第1車輪8La~第4車輪8Rbは、それぞれ独立的に昇降可能である。
上記走行装置7にあっては、第1車輪8La~第4車輪8Rbを操向操作することで走行体3を操向することができる。第1車輪8La~第4車輪8Rbを正転させることで走行体3を前進させることができ、逆転させることにより走行体3を後進させることができる。第1車輪8La~第4車輪8Rbを昇降することにより走行体3を昇降することができる。第1車輪8La及び第2車輪8Raを第3車輪8Lb及び第4車輪8Rbに対して昇降することにより、或いは、第3車輪8Lb及び第4車輪8Rbを第1車輪8La及び第2車輪8Raに対して昇降することにより、機体6を前傾または後傾させることができる。第1車輪8La及び第3車輪8Lbを第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbに対して昇降することにより、或いは、第2車輪8Ra及び第4車輪8Rbを第1車輪8La及び第3車輪8Lbに対して昇降することにより、機体6を、機体幅方向B3の一側が他側よりも高い傾斜状にすることができる。
【0035】
農業用ロボット1は、走行体3に装着されたマニピュレータ(作業部)4を備えている。マニピュレータ(作業部)4は、作業を行う部分であって、例えば、本実施形態では、少なくとも作物2の収穫を行うことが可能な装置である。
図3、
図4に示すように、マニピュレータ4は、走行体3(機体6)に着脱可能に装着された装着体16と、装着体16に取り付けられたアーム17と、アーム17に設けられていて作物(対象物)2を把持可能なロボットハンド18とを備えている。
【0036】
図1に示すように、装着体16は、本実施形態では、走行体3の後部に設けられている。なお、装着体16は、走行体3の前部に設けられていてもよい。つまり、走行体3における前後方向A3の中央部から一方側に偏倚して設けられていればよい。また、本実施形態では、農業用ロボット1は、走行体3を前方に進行させて収穫作業を行うので、装着体16は、進行方向とは反対側の方向である進行逆方向側に偏倚して設けられている。装着体16は、箱型に形成されていて走行体3に対して着脱可能である。
【0037】
装着体16には、回動フレーム21が立設されている。回動フレーム21は、装着体16の内部に設けられた回動モータM2によって回動軸心J1の周囲を回動可能である。回動フレーム21を回動させることにより、ロボットハンド18を回動軸心J1を中心とする円周方向に移動(位置変更)させることができる。
図3、
図4に示すように、アーム17は、回動フレーム21に上下揺動可能に支持されると共に長手方向の中途部で屈伸可能である。アーム17は、メインアーム29とサブアーム30とを有している。
【0038】
メインアーム29は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支され、屈伸可能である。詳しくは、メインアーム29は、回動フレーム21に上下揺動可能に枢支された第1アーム部31と、第1アーム部31に揺動可能に枢支された第2アーム部32とを有し、第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動することで屈伸可能とされている。
第1アーム部31は、基部側31aがアームブラケット26に枢支されている。第1アーム部31は、
図3に示すように、第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rを有している。第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rは、機体幅方向B3で並べて配置され且つ連結パイプ31A等で相互に連結されている。第1アームフレーム31Lと第2アームフレーム31Rとの基部側31a間にアームブラケット26の上部が挿入され、機体幅方向B3に延伸する軸心を有するアーム枢軸33A(第1アーム枢軸という)を介して第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rの基部側31aがアームブラケット26に第1アーム枢軸33Aの軸心回りに回動可能に支持されている。
【0039】
第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rは中空部材で形成されている。第1アーム部31の長さは、走行体3(機体6)の前後方向A3の長さよりも短く形成されている。
図4に示すように、第1アーム部31は、基部側31aであって且つ第1アーム枢軸33Aよりも先端側31c寄りに、シリンダ取付部31bを有している。このシリンダ取付部31bとシリンダブラケット27のシリンダ取付部27aとにわたって第1アームシリンダ(第1油圧シリンダ)C4が設けられている。第1アームシリンダC4は、走行体3に設けた油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動されて伸縮する。第1アームシリンダC4を伸縮させることで第1アーム部31が上下揺動する。第1アーム部31(アーム17)を上下揺動させることにより、ロボットハンド18を昇降させることができる。第1アームシリンダC4には、第1アームシリンダC4のストロークを検出する第1ストロークセンサが設けられている。
【0040】
図4に示すように、第1アーム部31の先端側31cには、枢支部材31Bが固定されている。詳しくは、枢支部材31Bは、基部31Baが第1アームフレーム31Lと第2アームフレーム31Rとの間に挿入されて第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rに固定されている。枢支部材31Bの基部31Baの下面側には、シリンダステー34が取り付けられている。枢支部材31Bの先端側31Bbは、第1アームフレーム31L及び第2アームフレーム31Rから前方に突出している。
【0041】
図3に示すように、第2アーム部32の長さは、第1アーム部31の長さよりも長く形成されている。第2アーム部32は、基部側32aが枢支部材31Bの先端側31Bbに枢支されている。第2アーム部32は、第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rを有している。第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rは、機体幅方向B3で並べて配置され且つ複数の連結プレート35によって相互に連結されている。第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32Rは中空部材で形成されている。第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの基部側32a間に枢支部材31Bの先端側31Bbが挿入されている。第3アームフレーム32L及び第4アームフレーム32R(第2アーム部32)は、機体幅方向B3に延伸する軸心を有するアーム枢軸(第2アーム枢軸という)33Bによって枢支部材31Bに枢支されている。
【0042】
第2アーム部32の基部側32aであって第2アーム枢軸33Bよりも先端側32b寄
りには、シリンダ取付部32cが設けられている。このシリンダ取付部32cとシリンダステー34とにわたって第2アームシリンダ(第2油圧シリンダ)C5が設けられている。第2アームシリンダC5は、走行体3に設けた油圧ポンプP1から吐出される作動油によって駆動されて伸縮する。第2アームシリンダC5を伸縮させることで第1アーム部31に対して第2アーム部32が揺動し、メインアーム29(アーム17)が屈伸(曲げたり伸ばしたりすること)する。なお、本実施形態では、メインアーム29は、最も伸びた状態で直線状となるが、最も伸びた状態で若干曲がっていてもよい。
【0043】
また、第2アームシリンダC5を伸縮させることで走行体3に対してロボットハンド18を遠近方向に移動させることができる。詳しくは、第2アームシリンダC5を伸長させることでロボットハンド18を走行体3から遠ざける方向に移動させることができ、第2アームシリンダC5を収縮させることでロボットハンド18を走行体3に近づける方向に移動させることができる。
【0044】
図4に示すように、第2アームシリンダC5には、第2アームシリンダC5のストロークを検出する第2ストロークセンサが設けられている。
サブアーム30は、第2アーム部32に突出及び後退可能に設けられている。したがって、サブアーム30を突出及び後退させることにより、アーム17の長さが伸縮可能である。サブアーム30は、角パイプによって直線状に形成されている。サブアーム30は、第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの先端側(前部)間に長手方向移動可能に支持されている。また、サブアーム30は、対向する連結プレート35の間に配置されていて連結プレート35にボルト等の固定具によって固定可能とされている。サブアーム30の一側面には、第3アームフレーム32Lに当接する突起30aが設けられ、他側面には、第4アームフレーム32Rに当接する突起30aが設けられている。突起30aによってサブアーム30のがたつきを抑制することができる。
【0045】
サブアーム30は、最も後退させた位置(最後退位置)では、第3アームフレーム32Lと第4アームフレーム32Rとの間に没入する。なお、サブアーム30は、最後退位置で第2アーム部32から若干突出していてもよい。
図4に示すように、サブアーム30の先端側には、吊りプレート37が固定されている。吊りプレート37にロボットハンド18が枢支され、吊り下げられる(
図1参照)。つまり、ロボットハンド18は、サブアーム30の先端側に揺動可能に取り付けられる。第2アーム部32の先端側には、サブアーム30の第2アーム部32からの突出量を測定(検出)する第3ストロークセンサが設けられている。
【0046】
図1、
図2に示すように、ロボットハンド18は、ベース部材18Aと、複数の把持ツメ18Bとを有している。ベース部材18Aの上面側には連結片63が設けられている。連結片63は吊りプレート37に枢支されている。つまり、ロボットハンド18はアーム17に吊り下げられている。複数の把持ツメ18Bは、ベース部材18Aの下面側に揺動可能に取り付けられている。ロボットハンド18は、複数の把持ツメ18Bが揺動することにより、把持ツメ18Bと把持ツメ18Bとの間で作物2を把持することが可能(
図2参照)であると共に、把持した作物2を解放することが可能である。
【0047】
図1、
図2に示すように、農業用ロボット1は、光学式センサ5A、5Bを備えている。光学式センサ5A、5Bは、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)イメージセンサを搭載したCCDカメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサを搭載したCMOSカメラ、赤外線カメラである。この実施形態では、光学式センサ5A、5Bは、撮像装置(CCDカメラ、CMOSカメラ、赤外線カメラ)である。光学式センサ5A、5Bは、レーザセンサ、即ち、ライダー(LiDAR: Light Detection And Ranging)であってもよい。レーザセンサ(ライダー)は、1秒間に何百万回ものパルス状の赤外線等を照射し、跳ね返って戻ってくるまでの時間を測定することで、走行体3周辺の3Dマップを構築することができるセンサである。この実施形態では、光学式センサ5A、5Bは、撮像装置(CCDカメラ、CMOSカメラ、赤外線カメラ)である。
【0048】
光学式センサ5Aは、回動フレーム21に取り付けられている。詳しくは、アームブラ
ケット26の上部に支柱40を介して取り付けられている。これに限定されることはなく、光学式センサ5Aは、走行体3等に取り付けてもよい。また、光学式センサ5Aは複数箇所に設けられていてもよい。つまり、農業用ロボット1は、光学式センサ5Aを複数有していてもよい。光学式センサ5Aは、走行体3の周囲を撮影可能であって、走行体3の周囲の情報を撮影によって取得する。
【0049】
光学式センサ5Bは、第2アーム部32の先端側に取り付けられている。光学式センサ5Bは、作物2を撮像することによって、例えば、作物2の大きさ、形、色、模様(スイカにあっては縞模様)、傷などの品質情報を取得することができる。
図1、
図2に示すように、農業用ロボット1は、打音センサ50Cを備えている。打音センサ50Cは、作物2に打撃を与えた(作物2を叩いた)ときの打音を取得するセンサである。
図7に示すように、打音センサ50Cは、ロボットハンド18(ベース部材18A)に設けられている。
【0050】
打音センサ50Cは、打撃機構51と、録音機構52とを有している。打撃機構51は、把持ツメ18Bで把持された作物2に対して進退可能な打撃部材51Aを有している。打撃部材51Aは、当該打撃部材51Aを軸方向に移動させるアクチュエータ51Bに連結されている。アクチュエータ51Bは、例えば、電動であって、制御信号に応じて打撃部材51Aを軸方向に移動させることで、作物2に打撃を与えて打音を発生させる。録音機構52は、マイク(高指向性マイク)を有し、打撃部材51Aで作物2を打撃することによって発生した打音を録音(記録)する。
【0051】
図8に示すように、農業用ロボット1は、制御装置41を有している。制御装置41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを備えたマイクロコンピュータ等である。
制御装置41には、光学式センサ5A、5B、打音センサ50C、走行モータM1、回動モータM2が接続されている。また、制御装置41には、複数の制御弁42が接続されている。制御弁42は、第1制御弁42A、第2制御弁42B、第3制御弁42C、第4制御弁42D、第5制御弁42Eを含んでいる。
【0052】
第1制御弁42Aは、操向シリンダC1を制御する弁、第2制御弁42Bは、第1昇降シリンダC2を制御する弁、第3制御弁42Cは、第2昇降シリンダC3を制御する弁、第4制御弁42Dは、第1アームシリンダC4を制御する弁、第5制御弁42Eは、第2アームシリンダC5を制御する弁である。
第1制御弁42A、第2制御弁42B、第3制御弁42C、第4制御弁42D及び第5制御弁42Eは、例えば、制御装置41からの制御信号に基づいて作動する電磁弁である。より詳しくは、第1制御弁42A、第2制御弁42B、第3制御弁42C、第4制御弁42D及び第5制御弁42Eは、制御信号によって複数の位置に切り換わる電磁弁(3位置切換電磁弁)である。
【0053】
制御装置41が第1制御弁42Aに制御信号を出力すると、制御信号に応じて第1制御弁42Aが所定位置に切り換わる。制御装置41が第2制御弁42Bに制御信号を出力すると、制御信号に応じて第2制御弁42Bが所定位置に切り換わる。
また、制御装置41が第3制御弁42Cに制御信号を出力すると、制御信号に応じて第3制御弁42Cが所定位置に切り換わる。制御装置41が第4制御弁42Dに制御信号を出力すると、制御信号に応じて第4制御弁42Dが所定位置に切り換わる。制御装置41が第5制御弁42Eに制御信号を出力すると、制御信号に応じて第5制御弁42Eが所定位置に切り換わる。
【0054】
第1制御弁42A、第2制御弁42B、第3制御弁42C、第4制御弁42D及び第5制御弁42Eには、油路46が接続され、当該油路46には、作動油を吐出する油圧ポンプP1が接続されている。
以上によれば、第1制御弁42Aの切り換わりによって、操向シリンダC1のボトム側又はロッド側への作動油の供給が切り換わり、操向シリンダC1が伸縮する。第2制御弁42Bの切り換わりによって、第1昇降シリンダC2のボトム側又はロッド側への作動油の供給が切り換わり、第1昇降シリンダC2が伸縮する。第3制御弁42Cの切り換わり
によって、第2昇降シリンダC3のボトム側又はロッド側への作動油の供給が切り換わり、第2昇降シリンダC3が伸縮する。
【0055】
また、第4制御弁42Dの切り換わりによって、第1アームシリンダC4のボトム側又はロッド側への作動油の供給が切り換わり、第1アームシリンダC4が伸縮する。第5制御弁42Eの切り換わりによって、第2アームシリンダC5のボトム側又はロッド側への作動油の供給が切り換わり、第2アームシリンダC5が伸縮する。
農業用ロボット1は、走行制御部41Aを有している。走行制御部41Aは、制御装置41に設けられた電気電子回路、当該制御装置41に格納されたプログラム等である。
【0056】
走行制御部41Aは、走行装置7を制御する。即ち、走行制御部41Aは、操向シリンダC1(第1制御弁42A)、走行モータM1を制御する。走行制御部41Aは、第1制御弁42Aに制御信号を出力して、操向シリンダC1を伸縮させることによって、走行装置7(機体6)の操舵方向の変更を行う。走行制御部41Aは、走行モータM1に制御信号を出力して、走行モータM1の回転数又は回転方向を変更することにより、走行装置7(機体6)の速度の変更、走行装置7(機体6)の進行方向の変更を行う。
【0057】
また、走行制御部41Aは、機体6の昇降、傾き等の制御を行ってもよい。例えば、走行制御部41Aは、第2制御弁42Bに制御信号を出力して、第1昇降シリンダC2を伸縮することによって、機体6の昇降、傾きの変更を行う。また、走行制御部41Aは、第3制御弁42Cに制御信号を出力して、第2昇降シリンダC3を伸縮することによって、機体6の昇降、傾きの変更を行う。
【0058】
以上のように、走行制御部41Aの制御によって、農業用ロボット1は、施設100など自立走行することができる。
農業用ロボット1は、作業制御部41Bを有している。作業制御部41Bは、制御装置41に設けられた電気電子回路、当該制御装置41に格納されたプログラム等である。
作業制御部41Bは、マニピュレータ(作業部)4を制御する。即ち、作業制御部41Bは、第1アームシリンダC4、第2アームシリンダC5、回動モータM2を制御する。作業制御部41Bは、第4制御弁42Dに制御信号を出力して、第1アームシリンダC4を伸縮させることによって、第1アーム部31の揺動を行う。作業制御部41Bは、第5制御弁42Eに制御信号を出力して、第2アームシリンダC5を伸縮させることによって、第2アーム部32の揺動を行う。また、作業制御部41Bは、回動モータM2に制御信号を出力することによって、回動モータM2の回転方向を変更することにより、マニピュレータ(作業部)4の回動を行う。
【0059】
以上のように、作業制御部41Bは、ロボットハンド18を任意(所望)の位置に移動させることができる。詳しくは、回動フレーム21の回動による回動軸心J1を中心とする円周方向のロボットハンド18の移動、第1アーム部31の上下揺動によるロボットハンド18の昇降、第2アーム部32の揺動によるロボットハンド18の走行体3に対する遠近方向の移動によって、ロボットハンド18を目的の位置に移動させることができる。
【0060】
作業制御部41Bは、アクチュエータ51B(打撃部材51A)を制御する。例えば、アクチュエータ51Bに制御信号を出力することで、アクチュエータ51Bを作動させ、打撃部材51Aによって作物2に対して打撃を与える制御(打撃制御)を行う。
農業用ロボット1は、作物探索部41Gを備えている。作物探索部41Gは、制御装置41に設けられた電気電子回路、当該制御装置41に格納されたプログラム等である。
【0061】
作物探索部41Gは、第1光学式センサ5Aで得られた第1センシングデータと、第2光学式センサ5Bで得られた第2センシングデータとに基づいて、作物2を探索する。光学式センサ5Aが撮像装置である場合、第1センシングデータは、撮像した撮像画像(画像データ)である。光学式センサ5Aがレーザセンサ(ライダー)である場合、第1センシングデータは、光学式センサ5Aからセンシングした対象物(物体)までの距離、方向を含むスキャンデータである。
【0062】
光学式センサ5Bが撮像装置である場合、第2センシングデータは、撮像した撮像画像(画像データ)である。光学式センサ5Bがレーザセンサ(ライダー)である場合、第2センシングデータは、光学式センサ5Bからセンシングした対象物(物体)までの距離、
方向を含むスキャンデータである。
さて、
図9に示すように、農業用ロボット1によって作業を行う場合、施設100内において、農業用ロボット1を栽培場所105の間の通路106を走行させる。例えば、作業時において、農業用ロボット1を作業開始点P11から作業終了点P12まで栽培場所105(通路106)に沿って農業用ロボット1を走行させる。
【0063】
農業用ロボット1を走行させる際、作物探索部41Gは、第1センシングデータ(撮像画像、スキャンデータ)H10と、第2センシングデータ(撮像画像、スキャンデータ)K10と、に基づいて、作物2を探索する。
以下、作物探索部41Gについて詳しく説明する。
作物探索部41Gは、
図8に示すように、位置推定部81と、位置特定部82とを有している。位置推定部81は、第1センシングデータH11に基づいて作物2を栽培する施設100内における作物2の栽培位置Dnを推定する。位置特定部82は、位置推定部81で推定した栽培位置Dnの周辺に農業用ロボット1(走行体3)を位置させたときの第2センシングデータH12に基づいて作物の位置である作物位置Znを特定する。
【0064】
図10に示すように、栽培場所105で栽培している作物2に対して作業を行うために、農業用ロボット1を進行方向に向けて自立走行をさせると、位置推定部81は、第1センシングデータH11を参照する。
図11に示すように、位置推定部81は、参照した第1センシングデータH11に作物2のプロファイリングが含まれているか否かを判断する。具体的には、第1センシングデータH11が撮像画像である場合、撮像画像の特徴量のマッチング、パターンマッチング等により、撮像画像内に作物2が含まれているか否かを判断する。例えば、位置推定部81は、撮像画像から得られた特徴量と予め用意された作物の画像における特徴量とを比較し、両者の特徴量が一致すれば、撮像画像内に作物2があると判断し、両者の特徴量が一致しない場合は、撮像画像内に作物2があると判断しない。
【0065】
或いは、位置推定部81は、予め用意された作物2の表面の模様、輪郭、凸凹などを示す基準プロファイリングと、撮像画像から得られた画像プロファイリングとを比較し、基準プロファイリングと画像プロファイリングとが一致した場合は、撮像画像内に作物2等が含まれている判断し、基準プロファイリングとデータプロファイリングとが一致しなかった場合は、撮像画像内に作物2が含まれていないと判断する。
【0066】
なお、第1センシングデータH11がスキャンデータである場合、位置推定部81は、スキャンデータで描写した描写体が、作物2であるか否かを判断する。この場合、位置推定部81は、描写体のデータプロファイリングと、基準プロファイリングとを比較し、基準プロファイリングとデータプロファイリングとが一致した場合は、スキャンデータ内に作物2が含まれていると判断し、基準プロファイリングとデータプロファイリングとが一致しなかった場合は、スキャンデータ内に作物2が含まれていないと判断する。
【0067】
図10に示すように、位置推定部81は、第1センシングデータH11に作物2が含まれていると判断した場合、作物2と農業用ロボット1(走行体3)との相対距離L10を演算する。
図11に示すように、例えば、第1センシングデータH11が撮像画像H1である場合、位置推定部81は、撮像画像H1に含まれる被写体である作物2の画像(縦ピクセル、横ピクセル)H2の大きさと、基準フレーム(縦ピクセル、横ピクセル)F10の大きさとを比較する。作物2の画像H2が、基準フレームF10のよりも小さい場合、位置推定部81は、相対距離L10は、基準フレームF10に対応して定められた基準距離L11よりも長いと判断する。即ち、位置推定部81は、作物2は、農業用ロボット1(走行体3)から基準距離L11までの位置よりも遠い所にあると推定する。一方、作物2の画像H2の大きさが、基準フレームF10よりも大きい場合、位置推定部81は、相対距離L10は、基準距離L11よりも短いと判断する。即ち、位置推定部81は、作物2は、農業用ロボット1(走行体3)から基準距離L11までの位置よりも近い所にあると推定する。
【0068】
つまり、位置推定部81は、作物2の画像H2の大きさと基準フレームF10との大きさを比較し、作物2の画像H2の大きさと基準フレームF10との大きさとの比率と基準
距離L11に基づいて、現在の農業用ロボット1と作物2との相対距離L10を求める。
図12に示すように、位置推定部81は、アームブラケット26を中立位置MP1から第1アーム枢軸33A周りに回転させている場合、光学式センサ5Aの光軸A20も中立位置MP1に対して、所定の角度θ1だけ回動していることになる。ここで、撮像画像H1において、光軸A20に対応するY軸方向のラインL20とした場合、位置推定部81は、作物2の画像H2の中心をラインL20に一致させたときの中立位置MP1に対する光学式センサ5Aの所定の角度θ1を演算し、演算した所定の角度θ1の方向であってラインL20上で且つ光学式センサ5Aの中心位置O2(回動軸心J1)から相対距離L10だけ離れた位置を、栽培位置Dnと推定する。
【0069】
走行制御部41Aは、位置推定部81が推定した相対距離L10(栽培位置Dn)が現在の農業用ロボット1(走行体3)の位置から遠く、マニピュレータ(作業部)4の先端側(ロボットハンド18)が作物2に届かないと判断した場合には、農業用ロボット1(走行体3)を制御し、栽培位置Dnに近づくように、当該農業用ロボット1(走行体3)を栽培位置Dnへ向けて移動させる。走行制御部41Aは、マニピュレータ(作業部)4の先端側(ロボットハンド18)が作物2に届く位置、即ち、栽培位置Dnの周囲に近づくと、農業用ロボット1(走行体3)を停止させる。
【0070】
農業用ロボット1(走行体3)が栽培位置Dnの周囲に移動し、当該農業用ロボット1(走行体3)を停止させた場合、
図13、
図14に示すように、位置特定部82は、第2センシングデータH12を参照し、参照した第2センシングデータH12から、作物2の位置(作物位置)Znを特定する。位置特定部82は、第2センシングデータH12に基づいて、第2光学式センサ5Bと、作物2との第1距離(相対距離L15)を演算し、演算した第1距離(相対距離L15)に基づいて作物位置Znを特定する。
【0071】
図14に示すように、例えば、第2センシングデータH12が撮像画像H1である場合、位置特定部82は、撮像画像H1に含まれる作物2の画像H2の中心(X軸方向の中心)が撮像画像H1の中心に位置するように、即ち、第2光学式センサ5Bの光軸に対応するY軸方向のラインL21が作物2の画像H2の中心(X軸方向の中心)と一致するように、走行体3に対するアーム部(第1アーム部31及び第2アーム部32)の角度θ2を調整する。
【0072】
位置特定部82は、作物2の画像H2の中心(X軸方向の中心)が撮像画像H1の中心に位置している状態で、作物2の画像H2の大きさと、基準フレームF11の大きさとを比較する。作物2の画像H2が、基準フレームF11のよりも小さい場合、位置特定部82は、相対距離L15は、基準フレームF11に対応して定められた基準距離L11よりも長いと判断する。即ち、位置特定部82は、作物2は、農業用ロボット1(走行体3)から基準距離L11までの位置よりも遠い所にあると推定する。一方、作物2の画像H2の大きさが、基準フレームF11よりも大きい場合、位置特定部82は、相対距離L15は、基準距離L11よりも短いと判断する。即ち、位置特定部82は、作物2は、農業用ロボット1(走行体3)から基準距離L11までの位置よりも近い所にあると推定する。
【0073】
位置特定部82は、作物2の画像H2の大きさと基準フレームF11との大きさを比較し、作物2の画像H2の大きさと基準フレームF11との大きさとの比率と基準距離L11に基づいて、第2光学式センサ5Bと、作物2との相対距離L15を求める。
位置特定部82は、回動軸心J1と第2光学式センサ5Bとの可動距離L16と、相対距離L15とを合計することにより、農業用ロボット1(走行体3)から作物2までの相対距離L10を演算する。また、位置特定部82は、相対距離L10(相対距離L15+可動距離L16)と走行体3に対するアーム部の角度θ2により、回動軸心J1を原点としたときの作物2の位置(作物位置)Zn(X座標:Zxn、Yxn、n=1,2,3・・・)を演算する。
【0074】
なお、可動距離L16は、回動フレーム21に対する第1アーム部31の角度θ3、第1アーム部31と第2アーム部32との角度θ4、第1アーム部31の長さ、第2アーム部32の長さ(第2アーム部32のストローク)により演算することが可能である。例えば、角度θ3は、第1アーム枢軸33Aの回動を検出するセンサ又は第1アームシリンダ
C4のストロークを検出するセンサにより求めることができる。角度θ4は、第2アーム枢軸33Bの回動を検出するセンサ又は第2アームシリンダC5のストロークを検出するセンサにより求めることができる。
【0075】
上述した実施形態では、第1センシングデータH11及び第2センシングデータH12が撮像画像H1であることを例にあげて説明をしたが、これに代えて、第1センシングデータH11及び第2センシングデータH12はスキャナデータであってもよい。位置推定部81は、スキャナデータに基づいて相対距離L10を演算することができ、位置特定部82もスキャナデータに基づいて相対距離L15を演算することができる。
【0076】
なお、第2光学式センサ5Bは、レーザセンサ、撮像装置の他に、作物に照射した光の反射波を分光分析することで、作物2の成分等を検出することができる分光分析装置であってもよい。また、第2光学式センサ5Bは、レーザセンサ、撮像装置及び分光分析装置のいずれかを2以上を含むものであってもよい。
図15に示すように、作物2の近傍に作物2を識別する識別部材85を設置する場合がある。識別部材85は、作物2の二次元バーコード、数字、色等で示された識別情報(識別データ)を示すコード部85aと、コード部85aを支持する支柱、棒等の支持部材85bとを含んでいる。
【0077】
作物探索部41Gは、第1センシングデータH11及び第2センシングデータH12のいずれかに、識別部材85のコード部85aが含まれている場合、識別部材85と走行体3との第2距離に基づいて、栽培位置Dn及び作物位置Znの推定を行ってもよい。識別情報には、作物2の苗を植え付けた植付日、作物2の収穫予定日などの栽培に関する情報(栽培情報)が関連付けられていて、識別情報を光学式センサ(第1光学式センサ5A、第2光学式センサ5B)により検出することにより、識別情報に対応する作物2の植付日、収穫予定日などが把握すること可能である。なお、例えば、栽培情報と識別情報とは互いに関連づけられて、サーバ、携帯端末等の外部機器に記憶されている。光学式センサ(第1光学式センサ5A、第2光学式センサ5B)が識別情報を検出したときに、農業用ロボット1の通信装置等が外部機器に接続することにより、農業用ロボット1は、外部機器から栽培情報を取得することができる。上述した実施形態では、栽培情報と識別情報とが関連付けられて、外部機器に記憶されていたが、制御装置41に記憶されていてもよい。
【0078】
図15に示すように、作物2が葉などに覆われている場合、第1センシングデータH11及び第2センシングデータH12から作物2の形状(プロファイリング)を検出し難い場合がある。作物探索部41Gは、第1センシングデータH11及び第2センシングデータH12のいずれかを参照し、参照したセンシングデータに識別部材85が含まれている場合、作物2の代わりに、識別部材85の位置を、栽培位置Dn及び作物位置Znのいずれかとして推定する。
【0079】
具体的には、位置推定部81は、第1センシングデータH11に識別部材85が含まれていると判断した場合、識別部材85と農業用ロボット1(走行体3)との相対距離を演算する。位置推定部81は、作物2と農業用ロボット1(走行体3)との相対距離L10の代わりに、識別部材85と農業用ロボット1(走行体3)との相対距離を演算し、当該相対距離に基づいて、栽培位置Dnを求める。栽培位置Dnの求め方は、位置推定部81の説明において、作物2を「識別部材」に読み替え、作物2の画像を「識別部材85の画像」に読み替えればよく、作物2と同じである。
【0080】
位置特定部82は、第2センシングデータH12に識別部材85が含まれていると判断した場合、識別部材85と第2光学式センサ5Bとの相対距離を演算する。位置特定部82は、作物2と第2光学式センサ5Bとの相対距離L15の代わりに、識別部材85と第2光学式センサ5Bとの相対距離を演算し、当該相対距離に基づいて、作物位置Znを求める。作物位置Znの求め方は、位置特定部82の説明において、作物2を「識別部材」に読み替え、作物2の画像を「識別部材85の画像」に読み替えればよく、作物2と同じである。
【0081】
図8に示すように、農業用ロボット1は、マップ作成部41Hを備えていてもよい。マップ作成部41Hは、制御装置41に設けられた電気電子回路、当該制御装置41に格納されたプログラム等である。
マップ作成部41Hは、第1センシングデータH11及び第2センシングデータH12のいずれかに、識別部材85bの識別情報が含まれている場合、
図16に示すように、第1センシングデータH11、第2センシングデータH12及び識別部材85のコード部85a(識別部材85bの識別情報)に基づいて、作物位置Zn及び栽培情報を含む栽培マップF2を作成する。
【0082】
具体的には、マップ作成部41Hは、上述したように、作業開始点P11から作業終了点P12まで栽培場所105に沿って農業用ロボット1を走行させた際に、作物探索部41Gが求めた作物位置Znを参照する。
次に、マップ作成部41Hは、
図13に示すように、農業用ロボット1(走行体3)の位置、例えば、回動軸心J1の位置を車体位置Ri(i=1、2、3・・・)とし、車体位置Riに対して、参照した作物位置Zn(X座標:Zxn、Yxn、n=1,2,3・・・)を加算したり、除算することにより、施設100における作物位置Znaを求める。
【0083】
ここで、車体位置Riは、例えば、出入口130からの現在の農業用ロボット1までの縦方向Y1における距離、或いは、出入口130から現在の農業用ロボット1までの横方向X1における距離にて求めることができる。或いは、車体位置Riは、作業開始点P11を施設100における原点として、作業開始点P11から現在の農業用ロボット1までの縦方向Y1における距離、或いは、作業開始点P11から現在の農業用ロボット1までの横方向X1における距離にて求めることができる。
【0084】
なお、車体位置Riを求めるにあたって、出入口130及び作業開始点P11のいずれかを基準にする場合であっても、例えば、走行体3に進んだ距離を計測する距離計を設けることにより、現在の農業用ロボット1の位置を求めることが可能である。
また、マップ作成部41Hは、上述したように、作業開始点P11から作業終了点P12まで栽培場所105に沿って農業用ロボット1を走行させた際に、光学式センサ(第1光学式センサ5A、第2光学式センサ5B)が検出した識別情報を外部機器又は制御装置41から取得し、取得した識別情報から栽培情報を割り出し、
図16に示すように、割り出した栽培情報と作物位置Znaとを対応付けた栽培マップF2を作成する。
図16に示すように、栽培マップF2を表示する際には、作物位置Znaに作物2を示す図形を示す。
【0085】
農業用ロボット1は、機体6と、機体6を走行可能に支持する走行装置7とを含む走行体3と、機体6に着脱可能に装着された装着体16、装着体16に取り付けられたアーム17及びアーム17の先端側に設けられたロボットハンド18を含むマニピュレータ4と、機体6に設けられた第1光学式センサ5Aと、アーム17及びロボットハンド18のいずれかに設けられた第2光学式センサ5Bと、第1光学式センサ5Aで得られた第1センシングデータH11と、第2光学式センサ5Bで得られた第2センシングデータH12とに基づいて、作物2を探索する作物探索部41Gと、を備えている。これによれば、第1光学式センサ5Aによって機体6からセンシングした第1センシングデータH11と、アーム17及びロボットハンド18のいずれかからからセンシングした第2センシングデータH12との両方のセンシングによって、より作物2の探索を効率よく行うことができる。例えば、第1センシングデータH11では、作物2の大雑把な位置を把握し、第2センシングデータH12では、作物2の正確な位置を把握することができる。このように分けることで、走行体3とマニピュレータ4とをそれぞれ素早く作物2の位置まで移動させることが可能となる。
【0086】
作物探索部41Gは、第1センシングデータH11に基づいて作物2を栽培する施設100内における作物の栽培位置Dnを推定する位置推定部81と、位置推定部81で推定した栽培位置Dnの周辺に走行体3を位置させたときの第2センシングデータH12に基づいて作物の位置である作物位置Znを特定する位置特定部82とを含んでいる。これによれば、施設100内において、おおよその作物の位置である栽培位置Dnを把握することができ、正確な作物2の位置である作物位置Znを把握することができる。
【0087】
農業用ロボット1は、位置推定部81で推定した栽培位置Dnの周囲に走行体3を移動させる制御装置41を備えている。これによれば、施設100内において、おおよその作物の位置である栽培位置Dnに農業用ロボット1を効率よく移動させることができる。
位置特定部82は、走行体3を栽培位置Dnの周囲に移動させて当該走行体3を停止させたときの第2光学式センサ5Bから得られた第2センシングデータH12から作物位置Znを特定する。これによれば、作業時などに走行体3を移動後に停止させた場合、正確な作物2の位置である作物位置Znを簡単に求めることができ、走行体3を停止させた状態でマニピュレータ4の先端部側を求めた作物位置Znに位置させて、作物位置Znの作物2の作業を効率よく行うことができる。
【0088】
位置特定部82は、第2センシングデータH12に基づいて、第2光学式センサ5B及び走行体3のいずれかと、作物2との第1距離(相対距離)L15を演算し、演算した第1距離(相対距離)L15に基づいて作物位置Znを特定する。これによれば、実際の作物2の位置と、誤差が少ない作物位置Znを求めることができる。
第2光学式センサ5Bは、レーザセンサ、撮像装置及び分光分析装置のいずれか2以上を含んでいる。これによれば、作物2の作物位置Znを正確に求めるだけでなく、品質などの作物2の状態を把握することができる。
【0089】
作物探索部41Gは、第1センシングデータH11及び第2センシングデータH12のいずれかに、作物を識別する識別部材85bの識別情報が含まれている場合、識別部材85と走行体3との第2距離に基づいて、栽培位置Dn及び作物位置Znの推定を行う。これによれば、作物2を直接、センシングしなくても、識別部材85の有無をセンシングするだけで、簡単に作物2の位置(栽培位置Dn、作物位置Zn)を求めることができる。
【0090】
農業用ロボット1は、第1センシングデータH11及び第2センシングデータH12のいずれかに、作物を識別する識別部材85bの識別情報が含まれている場合、第1センシングデータH11、第2センシングデータH12及び識別データに基づいて、作物位置Zn及び栽培情報を含む栽培マップF2を作成するマップ作成部41Hを備えている。これによれば、栽培マップF2によって、作物位置Znと栽培情報とを簡単に確認することができる。例えば、農業用ロボット1で作業を行う場合に、作物位置Znにて栽培情報に応じた作業を行うことができる。
【0091】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
1 :農業用ロボット
2 :作物
3 :走行体
4 :マニピュレータ
5A :第1光学式センサ
5A :光学式センサ
5B :光学式センサ
5B :第2光学式センサ
6 :機体
7 :走行装置
16 :装着体
17 :アーム
18 :ロボットハンド
41 :制御装置
41G :作物探索部
41H :マップ作成部
81 :位置推定部
82 :位置特定部
85 :識別部材
85b :識別部材
100 :施設
Dn :栽培位置
F2 :栽培マップ
H11 :第1センシングデータ
H12 :第2センシングデータ
Zn :作物位置