(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240527BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20240527BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20240527BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/16 109
G03G15/16
G03G15/20 555
G03G21/00 370
(21)【出願番号】P 2020109097
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】三又 昭範
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-042775(JP,A)
【文献】特開2000-044085(JP,A)
【文献】特開2002-162887(JP,A)
【文献】特開2006-084957(JP,A)
【文献】特開2009-036856(JP,A)
【文献】特開2019-045586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/16
G03G 15/20
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体と、
前記装置本体に設けられ、トナー像を担持する像担持体と、
前記装置本体の内部において、前記像担持体との間で記録材を挟持する転写ニップを形成し、前記トナー像を記録材へ転写する転写ローラと、
前記装置本体の内部を開放する開位置と、閉塞する閉位置と、に移動可能に前記装置本体に設けられた転写ユニットであって、前記閉位置において、前記転写ローラを、前記像担持体との間で前記転写ニップを形成する転写位置と、前記転写ニップを形成しない転写ニップ解除位置と、に移動可能に支持する転写ユニットと、
前記転写ローラを前記転写ニップ解除位置に位置せしめる押圧力を、前記閉位置にある前記転写ユニットに対して付与する押圧位置と、前記押圧力を解除する解除位置と、に移動可能に、前記装置本体に設けられた転写ニップ制御部材と、
記録材を挟持する定着ニップを形成する定着ローラ及び前記定着ローラに対向する対向部材を有し、前記トナー像を記録材に定着させる定着部と、
前記定着ローラと前記対向部材との相対位置を、前記定着ニップが形成される定着位置と、前記定着ニップが形成されない定着ニップ解除位置と、に変化させる定着ニップ制御機構と、
を備える画像形成装置において、
前記定着ニップ制御機構による前記定着ニップの解除動作と連動して、前記転写ニップ制御部材を前記解除位置から前記押圧位置へ移動させる連動機構
と、
前記転写ニップ制御部材を前記解除位置に位置せしめる付勢力を前記転写ニップ制御部材に付与する付勢手段と、
前記転写ユニットが前記閉位置にあり、前記転写ニップ制御部材が前記押圧位置にあるときに、前記付勢手段の前記付勢力に抗して前記転写ニップ制御部材が前記押圧位置に留めるように前記転写ニップ制御部材を規制する規制手段と、を備え、
前記転写ニップ制御部材が前記押圧位置に位置する状態で、前記転写ユニットが前記閉位置から前記開位置に移動すると、前記転写ニップ制御部材は、前記押圧位置から前記解除位置へ移動
し、
前記規制手段は、前記転写ユニットが前記閉位置から前記開位置へ移動すると前記規制を解除することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着ローラと前記対向部材との相対位置が、前記定着位置と前記定着ニップ解除位置のいずれなのかを検知する検知手段と、
前記転写ローラが、前記転写位置と前記転写ニップ解除位置のいずれの位置にあるのかを判別する判別手段と、
をさらに備え、
前記判別手段は、前記相対位置が前記定着ニップ解除位置であることを前記検知手段が検知すると、前記転写ローラが前記転写ニップ解除位置にあると判別することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体は、トナー像を担持するベルトであり、
前記画像形成装置は、前記ベルトの内面側に配置される対向ローラであって、前記ベルトの外面側に位置する前記転写ローラと間で前記ベルトを挟み、前記ベルトと前記転写ローラとの間に前記転写ニップを形成する対向ローラをさらに備え、
前記転写ニップ制御部材は、前記対向ローラと同軸の回転軸周りに回転するカム部材であり、前記押圧位置としての押圧位相と前記解除位置としての解除位相とを有するカム形状を有することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体は、感光体ドラムであり、
前記転写ニップ制御部材は、前記感光体ドラムと同軸の回転軸周りに回転するカム部材であり、回転位相として前記押圧位置としての押圧位相と前記解除位置としての解除位相とを有するように構成されたカム形状を有することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記付勢手段は、前記転写ニップ制御部材としての前記カム部材と同軸に配置されるカム受け部材と、前記カム部材と前記カム受け部材との間に回転方向に付勢力を発生させる付勢部材と、を含むことを特徴とする請求項
3または
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記定着ニップ制御機構は、前記定着ローラと前記対向部材との相対位置を、前記定着位置と前記定着ニップ解除位置とに周期的に変化させるカム形状を有する定着カム部材を含み、
前記定着カム部材から前記転写ニップ制御部材としての前記カム部材までの減速比が整数比であることを特徴とする請求項
3~
5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記定着カム部材の回転位相が、前記定着位置を形成する定着位相と前記定着ニップ解除位置を形成する定着ニップ解除位相のいずれなのかを検知する検知手段と、
前記転写ニップ制御部材としての前記カム部材の回転位相が、前記押圧位相と前記解除位相のいずれなのかを判別する判別手段と、
をさらに備え、
前記判別手段は、前記定着カム部材の回転位相が前記定着ニップ解除位相であることを前記検知手段が検知すると、前記カム部材の回転位相が前記解除位相にあると判別することを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記転写ユニットは、前記転写ローラを前記転写位置に位置せしめる付勢力を前記転写ローラに付与する転写付勢部材を有し、
前記定着部は、前記定着ローラと前記対向部材を前記定着位置に位置せしめる付勢力を前記定着ローラ及び/又は前記対向部材を付与する定着付勢部材を有し、
前記連動機構は、前記定着ニップ制御機構が、前記定着付勢部材の付勢力に抗して、前記定着ローラと前記対向部材を前記定着位置から前記定着ニップ解除位置へ移動させる際に、最大の負荷が発生するタイミングと、前記転写ニップ制御部材が、前記転写付勢部材
の付勢力に抗して、前記転写ローラを前記転写位置から前記転写ニップ解除位置へ移動させる際に、最大の負荷が発生するタイミングとが、同時にならないように、前記定着ニップ制御機構と前記転写ニップ制御部材の動作を連動させることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記転写ユニットが前記閉位置で係止されるように前記転写ユニットと係合する係合部を有するロック機構であって、前記転写ユニットが前記開位置から前記閉位置に移動することで、前記転写ユニットが前記係合部によって係合される被係合位置に到達するように構成されたロック機構をさらに備えることを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式或いは静電記録方式を用いた、例えば、複写機、複合機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記の画像形成装置の構成として、画像形成時にトナー像を担持した像担持体としての感光体ドラムに、搬送ベルトや中間転写ベルト等を介して、転写部材としての転写ローラを当接させるものが知られている。その転写ローラを対向する位置に設けられた感光体ドラムや搬送ベルト、中間転写ベルト等に当接させた状態で、長期保管すると、転写圧によって転写ローラや搬送ベルト、中間転写ベルトの形状が局所的に変形することがある。
【0003】
上述の局所的な変形を回避する為に、転写ローラを対向部材である感光体ドラムや搬送ベルト、中間転写ベルト等から離間する、または転写圧を軽圧にする等の構成がある。
【0004】
特許文献1には、装置停止時にカムを回転させる動作によって感光体ドラムと転写ベルトを離間させる構成、及び、ジャム発生時に滞留した記録材を容易に取り出すために転写ユニットを開閉可能な扉に支持される構成が開示されている。また、特許文献1には、扉を開いた際に転写ベルトを離間させる状態でカムが回転を停止してしまうと、扉を閉じる際の負荷が増加してしまうため、これを抑制するための構成が開示されている。より詳細には、扉を開く動作に伴い、扉にかかる負荷を低減するようにカムを移動させる機構を設けることで、扉を閉じる際の負荷を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成においては、扉を閉じる際の負荷を低減するための機構を設けるスペースを別途装置内に設ける必要があることから、装置の小型化・省スペース化を達成することが困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、装置の内部を開放するために開閉可能な転写ユニットを有する画像形成装置において、装置を大型化させることなく、転写ユニットを閉じる際の負荷を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明における画像形成装置は、
画像形成装置の装置本体と、
前記装置本体に設けられ、トナー像を担持する像担持体と、
前記装置本体の内部において、前記像担持体との間で記録材を挟持する転写ニップを形成し、前記トナー像を記録材へ転写する転写ローラと、
前記装置本体の内部を開放する開位置と、閉塞する閉位置と、に移動可能に前記装置本体に設けられた転写ユニットであって、前記閉位置において、前記転写ローラを、前記像担持体との間で前記転写ニップを形成する転写位置と、前記転写ニップを形成しない転写ニップ解除位置と、に移動可能に支持する転写ユニットと、
前記転写ローラを前記転写ニップ解除位置に位置せしめる押圧力を、前記閉位置にある前記転写ユニットに対して付与する押圧位置と、前記押圧力を解除する解除位置と、に移動可能に、前記装置本体に設けられた転写ニップ制御部材と、
記録材を挟持する定着ニップを形成する定着ローラ及び前記定着ローラに対向する対向部材を有し、前記トナー像を記録材に定着させる定着部と、
前記定着ローラと前記対向部材との相対位置を、前記定着ニップが形成される定着位置と、前記定着ニップが形成されない定着ニップ解除位置と、に変化させる定着ニップ制御機構と、
を備える画像形成装置において、
前記定着ニップ制御機構による前記定着ニップの解除動作と連動して、前記転写ニップ制御部材を前記解除位置から前記押圧位置へ移動させる連動機構と、
前記転写ニップ制御部材を前記解除位置に位置せしめる付勢力を前記転写ニップ制御部材に付与する付勢手段と、
前記転写ユニットが前記閉位置にあり、前記転写ニップ制御部材が前記押圧位置にあるときに、前記付勢手段の前記付勢力に抗して前記転写ニップ制御部材が前記押圧位置に留めるように前記転写ニップ制御部材を規制する規制手段と、を備え、
前記転写ニップ制御部材が前記押圧位置に位置する状態で、前記転写ユニットが前記閉位置から前記開位置に移動すると、前記転写ニップ制御部材は、前記押圧位置から前記解除位置へ移動し、
前記規制手段は、前記転写ユニットが前記閉位置から前記開位置へ移動すると前記規制を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、装置の内部を開放するために開閉可能な転写ユニットを有する画像形成装置において、装置を大型化させることなく、転写ユニットを閉じる際の負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1における二次転写ローラ付近の説明図
【
図3】実施例1における二次転写ローラの当接・離間を示す概略図
【
図4】実施例1における離間カムの駆動構成を示す図
【
図5】実施例1における二次転写ユニット側から見た駆動構成の概略図
【
図6】実施例2における転写ローラ91付近の説明図
【
図7】実施例2における離間カムの駆動構成を示す図
【
図8】実施例における画像形成装置の構成を示す概略図
【
図9】実施例1における二次転写ユニットのロック機構の図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0012】
(実施例1)
図8は、本発明に係る画像形成装置100の概略構成を示す概略図である。尚、
図8に示す画像形成装置は、電子写真方式のタンデム型4色カラーのレーザービームプリンタであり、中間転写ベルト10を利用している。以下、画像形成装置100の構成を簡単に説明する。
【0013】
図8に示す画像形成装置100は、装置本体に各色ごとに第1の像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下「感光体ドラム」という)1a~1dを備えている。感光体ドラム1a~1dは、画像形成装置100によって回転自在に支持されており、駆動手段(不図示)によって矢印R1方向に回転駆動される。感光体ドラム1a~1dの周囲には、その回転方向に沿って、感光体ドラム1a~1d表面の均一に帯電する接触方式の帯電ローラ2a~2d、現像ローラ6a~6dを用いて静電潜像にトナーを付着させてトナー像
として現像する現像装置4a~4dが配置されている。また、各感光体ドラム1a~1dの上部には、画像情報に応じて感光体ドラム1a~1d表面にレーザー光La~Ldを照射して静電潜像を形成する露光装置30が配置されている。さらに、感光体ドラム1a~1d上のトナー像が一次転写される第2の像担持体としての中間転写ベルト(中間転写体)10が感光体ドラム1a~1dと接するように配置されている。そして、感光体ドラム1a~1d表面の一次転写残トナーを除去する感光体ドラムクリーニング装置5a~5dも配置されている。さらに、画像形成装置100の動作を制御する手段として制御部7が設けられており、各種の電気的情報信号の授受をする。なお、以下の説明において、a~dの符号が付されているものについて機能構成が共通な場合には、a~dの符号を省略して説明する。
【0014】
中間転写ベルト10の内周面には、一次転写ローラ11が配置されており、中間転写ベルト10を感光体ドラム1表面に押圧して、感光体ドラム1と中間転写ベルト10との間に被転写材Pを挟持する一次転写ニップ部N1を形成している。一次転写ローラ11には電源(不図示)によって一次転写バイアスが印加される。また、中間転写ベルト10の外面側、すなわち、中間転写ベルト10の内面側の駆動ローラ13(対向ローラ)に対向する位置には、二次転写ローラ12が配置されており、中間転写ベルト10との間に二次転写ニップ部N2を形成している。二次転写ローラ12には、電源(不図示)によって二次転写バイアスが印加される。また、本実施例の画像形成装置は、後述の各画像形成プロセスにおける電流値を測定できるように構成されている。そして、前述の制御部7は、測定した電流値を利用して、例えば二次転写ローラ12の位置を判別する判別手段としても機能する。
【0015】
更に、二次転写ニップ部N2の下流側で、かつ一次転写ニップ部N1の上流側において、中間転写ベルト10外周面に対向するようにして静電式中間転写ベルトクリーニング装置52のクリーニングローラ(ローラ帯電器)51が配設されている。
【0016】
被転写材供給装置40は、感光体ドラム1、帯電ローラ2、現像ローラ6、露光装置30、感光体ドラムクリーニング装置5などから構成される画像形成部へ被転写材Pを給送するものである。被転写材供給装置40は、複数枚の被転写材P(記録材)を収納した被転写材カセット41、供給ローラ42、レジストローラ43等を備えて構成されている。
【0017】
そして、被転写材Pの搬送方向(矢印K方向)についての二次転写ニップ部N2の下流側には、被転写材P上に転写されたトナー像を加熱、加圧して定着させる定着器20が配設されている。
【0018】
上述構成の画像形成装置100について、以下に詳述する。上述した感光体ドラム1は、アルミニウムシリンダの外周面にOPC(有機光半導体)等の光導電層を設けて構成したものである。帯電ローラ2は、芯金とその周囲を囲繞する導電性の弾性部材によって構成されており、感光体ドラム1の表面に接触配置されて従動回転するとともに、電源(不図示)によって帯電バイアスが印加される。
【0019】
露光装置30は、画像情報に応じてレーザー光Lを発光するレーザー発振器(不図示)と、ポリゴンミラー31と、ミラー32等を有し、画像情報に応じて、帯電済の感光体ドラム1表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置4は、感光体ドラム1上の静電潜像の現像に供するべく、感光体ドラム1表面に対向する現像位置に配置される。そして感光体ドラム1に現像し、トナー画像を形成する。これを各色ごとに行う。
【0020】
中間転写ベルト10は、無端状に形成されており、相互に平行に配置された3本の支持ローラ、駆動ローラ13とテンションローラ14、補助ローラ15に掛け渡されている。
テンションローラ14は従動回転し、中間転写ベルト10を張架している。中間転写ベルト10は、駆動ローラ13が駆動手段(不図示)によって回転することにより、矢印R10方向に駆動(走行)される。
【0021】
次に、上述構成の画像形成装置の動作について説明する。矢印R1方向に回転駆動された感光体ドラム1aは、帯電ローラ2aに直流電圧と交流電圧とが重畳された帯電バイアスが印加されることにより、表面が均一に帯電される。レーザー発振器(不図示)にイエローの画像信号が入力されると、レーザー光Laが、帯電済の感光体ドラム1a表面に照射され、静電潜像が形成される。感光体ドラム1aがさらに矢印R1方向に回転すると、感光体ドラム1a上の静電潜像は、イエロー現像器4aによってイエローのトナーが付着され、トナー像として現像される。感光体ドラム1a上のイエローのトナー像は、一次転写ローラ11aに印加された一次転写バイアスによって一次転写ニップ部N1aを介して中間転写ベルト10上に一次転写される。イエロートナー像転写後の感光体ドラム1aは、表面の一次転写残トナーが感光体ドラムクリーニング装置5aによって除去され次の画像形成に供される。
【0022】
以上の、帯電、露光、現像、一次転写、クリーニングの一連の各画像形成プロセスを、各一次転写ニップ部N1a~dの間隔を考慮して、他の3色、すなわちマゼンタ、シアン、ブラックについても繰り返し行う。そして、中間転写ベルト10上に計4色のトナー像が形成される。
【0023】
この中間転写ベルト10上の4色のトナー像は、電源によって二次転写ローラ12に印加された二次転写バイアスにより、二次転写ニップ部N2を介して、矢印K方向に搬送されてきた被転写材Pに二次転写される。
【0024】
二次転写ニップ部N2によってトナー像転写後の被転写材Pは、定着器20に搬送され、ここで加熱、加圧を受けて溶融固着(定着)され、これにより被転写材P上に4色フルカラーの画像が得られる。その後、被転写材Pは、排紙反転ローラ61によって排出される。
【0025】
両面プリント時には、被転写材Pの後端付近が排紙反転ローラ61に到達した後、フラッパ62を不図示の駆動手段によって両面搬送位置に移動させる。そして、排紙反転ローラ61を不図示の駆動手段によって逆回転させて、被転写材Pを両面ユニット80に送る。次に、上ローラ81や下ローラ82で被転写材Pをレジストローラ43まで搬送する。その後は、1面目プリントと同様に2面目(両面)をプリントして排出する。
【0026】
一方、トナー像転写後の中間転写ベルト10上には、被転写材Pに転写されない二次転写残トナーが残存する。中間転写ベルト10上の残存トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置52によって感光体ドラム1a~dを介して感光体ドラムクリーニング装置5a~dに回収される。つまり、残存トナーは中間転写ベルトクリーニング手段によって、逆極性即ちプラスの電荷が付与されることにより、一次転写ニップ部N1a~dを介して、感光体ドラム1a~d上に逆転写される。逆転写された二次転写残トナーは、感光体ドラム1a~d上の一次転写残トナーとともに感光体ドラムクリーニング装置5a~dによって除去される。
【0027】
次に、本実施例特有の構成について
図1から
図8を用いて説明する。
図1は、本実施例に係る画像形成装置100における、二次転写ローラ12付近の説明図である。駆動ローラ13と同軸上の中間転写ベルト10の両端部近傍に、二次転写ローラ12を離間する為の離間カム53が設けられている。
【0028】
二次転写ユニット70には、二次転写ローラ12と、二次転写ローラ12の両端部に後述する離間カム53と当接する面を持つ軸受け71が設けられている。二次転写ローラ12の両端部のうち、一方の軸受け71には、二次転写ローラ12にバイアスを印加する為の導電部材(不図示)が設けられている為、他方の軸受け71とは同部品ではない。二次転写ローラ12は、軸受け71や導電部材(不図示)を介して、転写付勢部材としての二次転写バネ72によって押圧されており、二次転写バネ72の反力は、二次転写ユニット70が受けている。二次転写ユニット70は、画像形成装置100の装置本体に対して開閉することができるように回動可能(装置本体内部を閉塞する閉位置と開放する開位置と移動可能)に構成されている。用紙詰り等が発生した際には、二次転写ユニット70を開位置へ移動させることで、装置本体内部を開放し、ユーザが用紙詰りの処理をできるようになっている。
【0029】
二次転写ユニット70が閉じた状態で、転写ニップ制御部材としての離間カム53を回動することにより、離間カム53から受ける押圧力によって軸受け71が二次転写バネ72の付勢力に抗して進退する。これにより、二次転写ローラ12が当接位置(転写位置)と離間位置(転写ニップ解除位置)に移動することができる。
【0030】
離間カム53の構成について、
図2を用いて説明する。離間カム53は、離間カム53と離間カム受け54、カムバネ55から構成される(
図2(a))。互いに同軸に一体的に組み付けられた、回転軸周りに回転するカム部材としての離間カム53と、カム受け部材としての離間カム受け54との間には、回転方向に所定の隙間が設けられている。そしてこの隙間には、付勢部材としてのカムバネ55が組み付けられており、離間カム53の回転方向に付勢力が発生するように構成されている(
図2(b))。離間カム53と離間カム受け54の隙間が最も詰まる状態(カムバネ55の付勢圧が最も高い状態)は
図2(c)である。
【0031】
より詳細には、カムバネ55は、離間カム53に設けられた円弧状のバネ収容孔530内に配置される。カムバネ55は、その一端が、離間カム53のバネ受け533に、他端が、バネ収容孔530内に挿入された離間カム受け54のバネ受け突起543に、それぞれ組み付けられている。離間カム53と離間カム受け54が相対回転することで、バネ収容孔530内のバネ受け突起543の位置が変化し、カムバネ55は、バネ受け533とバネ受け突起543による圧縮状態が変化する。これにより、カムバネ55が離間カム53と離間カム受け54との間に発生させる付勢力が変化する。すなわち、離間カム受け54と、離間カム53と離間カム受け54との間に付勢力を発生させるカムバネ55を含む構成が、本実施例において離間カム53に対する付勢手段に相当する。
【0032】
また、離間カム53と離間カム受け54には、互いの相対回転の回転量を所定の範囲で規制するための構成が設けられている。すなわち、離間カム53は、第1規制面531と第2規制面532を備え、離間カム受け54は、第1規制突起541と第2規制突起542を備える。第1規制面531と第1規制突起541は、離間カム53と離間カム受け54の相対回転方向の一方の方向に互いに当接可能となっている。また、第2規制面532と第2規制突起542が、上記相対回転方向の他方の方向に互いに当接可能となっている。例えば、離間カム53の視点で見ると、離間カム53の離間カム受け54に対する回転において、
図2(b)の時計回りの回転は、第1規制面531が第1規制突起541に突き当たることで規制される。また、反時計回りの回転は、第2規制面532が第2規制突起542に突き当たることで規制されることになる。
【0033】
次に、二次転写ローラ12の当接や離間について
図3を用いて説明する。上述の離間カム受け54には、
図3に示すように離間ギア58が係合しており、離間カム受け54の回転を支持し、また、離間ギア58の回転と共に離間カム受け54を回転させることで、離
間カム受け54の回転位相を制御している。二次転写ローラ12が閉じたプリントできる状態(
図3(a))から、離間ギア58を矢印方向に回転させることで、離間カム受け54と離間カム53を約180度回転させる。離間ギア58と係合する離間カム受け54が回転することにより、先に説明したように、カムバネ55が圧縮され、そしてカムバネ55が圧縮された後に離間カム受け54の回転に伴って離間カム53も回転し、
図3(c)に示される位置で回転を停止する。
この時、離間カム53は、二次転写バネ72に付勢された軸受け71からの付勢力によって、図示時計回り方向に回転することを規制され、
図3(c)の状態で位置決めされる。これにより、軸受け71が離間カム53に押され退避し、二次転写ローラ12が中間転写ベルト10から離間する離間位置に移動する。ここで、
図3(c)に示す状態、即ち、離間カム53と軸受け71とが付勢しあって二次転写ローラ12が離間位置に位置する状態においては、二次転写バネ72からの付勢力を受けた軸受け71は、離間カム53の回転を規制する規制手段として機能する。二次転写ローラ12が中間転写ベルト10から離間すると、離間した分、二次転写バネ72が縮む為、二次転写ユニット70が受けるバネの反力は大きくなる。この際、離間カム53と離間カム受け54は、離間カム53の回転方向に対して隙間が最も詰まる側(
図2(c))で接している。この位置は、工場からの出荷時やユーザ使用時の長期保管、用紙詰り等の際に使用される。
【0034】
用紙詰り等を処理する際に、二次転写ユニット70を開くことにより、離間カム53と軸受け71が離間し、離間カム53に対する軸受け71からの付勢力が解除される。すると、圧縮された状態のカムバネ55の付勢力により、離間ギア58と係合していることで位置決めされている離間カム受け54に対して離間カム53が回転する(
図3(d))。離間カム53の回転後の位置は、二次転写ユニット70を閉じた際に、二次転写ローラ12が中間転写ベルト10と当接する略当接位置であり、カムバネ55が伸びた状態となるまで離間カム53は回転している。それに対し、離間カム受け54は、離間ギア58と係合しているため離間カム53と共には回転せず、位置が固定されている。
【0035】
用紙詰りを処理した後に、二次転写ユニット70を閉じる際(
図3(e))、上述のように離間カム53の位相(位置)は、二次転写ローラ12が中間転写ベルト10との当接を可能とする当接位置にある。別の言い方をすると、離間カム53は、カム形状を有しており、軸受け71に押圧力を付与して二次転写ローラ12を転写ニップ解除位置に位置せしめる押圧位相(押圧位置)から、該押圧力が解除される解除位相(解除位置)に移動する。そのため、二次転写ユニット70を閉じる際には、軸受け71が離間カム53に当接せず、離間カム53は軸受け71を介した二次転写バネ72からの押圧力を受けない。例えば、二次転写ユニット70を開けても離間カム53が押圧位相に留まったままとなる構成においては、二次転写ユニット70を閉じる際に、二次転写バネ72からの付勢力を受けている軸受け71と離間カム53とが付勢しあう。この場合、二次転写ユニット70を閉じる際の操作力が本実施例の構成と比べて大きくなってしまう。これに対し、本実施例の構成においては、二次転写ユニット70を閉じる際に、軸受け71が離間カム53から付与される押圧力によって生じる反力の分の増加がなくなる。そのため、上記比較構成と比較すると、二次転写ユニット70を閉じる際の操作力は小さい力で済むことになる。そして、再度離間ギア58を回転させると、離間ギア58と係合している離間カム受け54が回転して伸びた状態にあったカムバネ55が再度圧縮される。すると、離間カム受け54の回転に伴い離間カム53も回転して、
図3(c)に示す位置で回転を停止し、二次転写ローラ12を再び中間転写ベルト10から離間させることができる。
【0036】
また、ここで、本実施例における二次転写ユニット70を前述の閉位置で係止可能とするロック機構について、
図9で説明する。二次転写ユニット70には、係合部としてのラッチ70aが、装置本体側のロックユニット70b(被係合部)に対応する場所にそれぞれ1か所ずつ合計2か所設けられている。二次転写ユニット70を開位置から閉位置へ移
動させた際に、ラッチ70aが対応するロックユニット70bにそれぞれ係合し、被係合位置に到達することで、二次転写ユニット70は、閉位置で係止される。このように、二次転写ユニット70を閉じた状態で保持するロック機構が、二次転写ユニット70の両端付近に配置されているが、反力の増加が無い為、ロックの性能も変わらない。
【0037】
次に離間カム53の駆動構成について、
図4を用いて説明する。定着ユニット60(定着部)は、定着ローラ63と対向する対向部材としての加熱部材64で被転写材Pを挟持する定着ニップを形成し、定着付勢部材としての定着バネ65で加圧板66を押すことにより加熱部材64を加圧する。そして加熱することで、トナー像を溶融固着(定着)する。用紙詰りや長期保管の際は、定着ニップ制御機構として、定着カム部材としての定着カム67を約180度回転させ、加圧板66を回動させる。このようにすることで、定着ローラ63と加熱部材64との相対位置を、定着ニップを形成する定着位置から定着ニップ解除位置に周期的に変化させ、定着ニップ圧を解除(または減圧)する。
【0038】
本実施例に係る画像形成装置100は、上記定着ニップ制御機構による定着ニップの解除動作と連動して、離間カム53を上記解除位置から上記押圧位置へ移動させる連動機構を備える。定着カム67を駆動する軸上に駆動伝達部68を設け、本体に設けたギアを持つ被駆動伝達部69で係合する。被駆動伝達部69からギア列57を介して中間転写ユニット50近傍の離間カム係合部56へ駆動伝達する。離間カム係合部56から中間転写ユニット50内のギアへ駆動伝達され、駆動ローラ13軸上に駆動伝達される前に、中間転写ベルト10のもう一端部付近へ軸を通して駆動分岐される。その後、駆動ローラ13軸上の両端の
図3に示された離間ギア58を介して離間カム受け54と離間カム53へ駆動力が伝達される。離間カム53の構成は、
図2で詳述した構成である。
【0039】
定着カム67から離間カム53までの減速比は1:1である。つまり、定着ニップ圧が印刷可能な状態では、二次転写ローラ12は当接(
図4(a))、定着ニップ圧が解除(または減圧)される状態では、二次転写ローラ12は離間(
図4(b))となり、定着ユニット60にて定着ローラ63と加熱部材64で定着ニップが形成されているときと、定着ニップが形成されていないときで、二次転写ローラ12の当接・離間のパターンが決まっている。その為、定着ユニット60に設けられている定着ニップ圧の位相検知手段95によって、定着ニップが形成されているときの電流値と、定着ニップが形成されていないときの電流値を測定し、前述の定着位置を形成する定着位相と、定着ニップ解除位置を形成する定着ニップ解除位相とを比較する。比較した結果から、画像形成装置の制御部7は、二次転写ローラ12の位置を判別する判別手段として、二次転写ローラ12の当接・離間を判断できる。その結果、検知手段を新たに(二次転写ローラ12用の検知手段を別途)設ける必要がない。
【0040】
図5は、本体背面側(二次転写ユニット70側)から見た駆動構成の概略図である。上述したように、本実施例の画像形成装置100は、二次転写ローラ12を当接・離間する離間カム53、離間カム受け54及び定着ニップ圧を解除(または減圧)する構成が設けられている。さらに、定着カム67から離間カム53まで駆動を伝達し、動作を連動させることにより、二次転写ローラ12の離間を操作力(ユーザビリティ)の悪化や、ロック性能を悪化させることなく実現できる。また、二次転写ユニット70を開くことで離間カム53が回転する構成とすることで、画像形成装置100を大型化させることなく二次転写ユニット70を閉じる際の負荷を低減することができる。また、上述のように新たに二次転写ローラ12の当接・離間の検知手段を設ける必要もない。
【0041】
これにより、長期保管による、二次転写ローラ12や中間転写ベルト10の局所変形から発生する画像不良を抑制することができる。また、工場出荷時の二次転写ローラ12の離間も兼用することができる。用紙無しや用紙遅れ等により発生する中間転写ベルト10
のクリーニング時には、二次転写ローラ12を中間転写ベルト10から離間させることにより、二次転写ローラ12へのトナー付着を、より確実に回避することができる。
【0042】
尚、本実施例では、定着カム67から離間カム53までの減速比は1:1であるが、1:1でなくとも整数比であれば、定着ローラ63と加熱部材64の動作に対して、二次転写ローラ12が、何回に1回駆動ローラ13に張架された中間転写ベルト10と当接し、離間するといったパターンが決まる。そのため、定着ニップが形成されているときと、形成されていないときの電流値や、電流値の変化の間隔から、二次転写ローラ12の当接・離間を判断することで、検知手段を新たに設けることなく構成することができる。また、離間カム53は、駆動ローラ13軸上に配置されているが、駆動ローラ13近傍でもよい。
【0043】
また、一般的にカムの最大径になる直前が最大負荷(トルクピーク)となることが知られている。例えば、定着ニップ圧を解除する際の定着カム67の最大負荷(最大トルク)が2kgfcm、二次転写ローラ12の離間時の離間カム53の最大負荷(最大トルク)が1kgfcmだとする。このような場合、離間カム53と定着カム67の形状が同じだと、一般的にカムの最大径になる直前がトルクピークとなり、離間カム53と定着カム67のトルクピークが重なる(同時になる)と、最大負荷が3kgfcmとなってしまう。
【0044】
しかしながら、本実施例では、離間カム53と定着カム67の形状を工夫し、
図3(b)に示すように、定着カム67が最大外径になる直前の最大負荷になる位相(
図3(a)から約126度回転)において、離間カム53の位相は最大外径になる前であり、最大負荷にはならないように構成されている。尚、定着カム67は反時計回りに回転する。一方、離間カム53は時計回りに回転する。定着カム67の最大負荷を過ぎた後に、離間カム53の最大負荷がくる構成になっている。
【0045】
このように、離間カム53や定着カム67の形状を工夫することにより、定着ニップ圧を解除する最大負荷のタイミングと、二次転写ローラ12の離間の最大負荷のタイミングに差を付ける。その結果、駆動源であるモータ96の最大負荷を下げることができ、モータ選定を最適化できる。また、2つの離間カム53の形状に差を付けることで、最大負荷を下げることができる。さらに、本実施例の離間カム53のように、回転してもカムの回転中心から軸受け71との当接部までの半径が緩やかに変化するような形状にすることで、二次転写ローラ12の中間転写ベルト10への当接時の音を緩和することもできる。
【0046】
(実施例2)
次に、本実施例特有の構成について
図6を用いて説明する。
図6は、本発明に係る画像形成装置における転写ローラ91付近の説明図である。
【0047】
本実施例における画像形成装置は、単色のモノクロプリンタであり、転写ローラ91の対向位置には、感光体ドラム1が配置され、転写ローラ91とニップを形成している。感光体ドラム1の両端部近傍に転写ローラ91を離間する離間カム53が設けられている。
【0048】
転写ユニット90には、転写ローラ91と、転写ローラ91の両端部には実施例1と同様に離間カム53と当接する面を持つ軸受け93が設けられている。転写ローラ91の両端部のうち、一方の軸受け93には、転写ローラ91にバイアスを印加する為の導電部材(不図示)が設けられている為、他方の軸受け93とは同部品ではない。
【0049】
転写ローラ91は、軸受け93や導電部材(不図示)を介して、転写付勢部材としての転写バネ92によって押圧されており、転写バネ92の反力は、転写ユニット90が受けている。転写ユニット90は、画像形成装置の装置本体に対して開閉することができるよ
うに回動可能(装置本体内部を閉塞する閉位置と開放する開位置と移動可能)に構成されている。用紙詰り等が発生した際には、転写ユニット90を開位置へ移動させることで、装置本体内部を開放し、ユーザが用紙詰りの処理をできるようになっている。転写ユニット90が閉じた状態で、転写ニップ制御部材としての離間カム53を回動することにより、実施例1のように、離間カム53から受ける押圧力によって軸受け93が転写バネ92の付勢力に抗して進退する。これにより、転写ローラ91が当接位置(転写位置)と離間位置(転写ニップ解除位置)に移動することができる。離間カム53の構成は、
図2で詳述した実施例1の構成と同様である。
【0050】
転写ユニット90の用紙搬送方向の上流には、給紙装置(不図示)、下流には定着器20が配置されている。給紙された用紙は、感光体ドラム1と転写ローラ91のニップ部に搬送され、トナー像を転写し、定着器20へ搬送され、トナー像を用紙に定着した後に排出される。
【0051】
離間カム53部の動作や駆動構成は、実施例1と同様に定着カム67から駆動力を得て、離間カム53を駆動させる。駆動構成も、
図5と同様に配置されているが、
図7のように両端の定着カム67からそれぞれ離間カム53に駆動伝達してもよい。
【0052】
転写ローラ91の当接や離間については、実施例1の
図3の二次転写ローラ12の動作と同様である。
【0053】
上述したように、本実施例の画像形成装置も、転写ローラ91を当接・離間する離間カム53、離間カム受け54及び定着ニップ圧を解除(または減圧)する構成が設けられている。さらに、定着カム67から離間カム53まで駆動を伝達し、動作を連動させることにより、転写ローラ91の離間を操作力(ユーザビリティ)の悪化や、ロック性能を悪化させることなく実現できる。また、転写ユニット90を開くことで離間カム53が回転する構成とすることで、画像形成装置を大型化させることなく転写ユニット90を閉じる際の負荷を低減することができる。新たに転写ローラ91の当接・離間の検知手段を設ける必要もない。
【0054】
これにより、長期保管による、転写ローラ91の局所変形から発生する画像不良を抑制することができる。また、工場出荷時の転写ローラ91の離間も兼用することができる。用紙無しや用紙遅れ等により発生する感光体ドラム1のクリーニング時には、転写ローラ91を感光体ドラム1から離間させることにより、転写ローラ91へのトナー付着を、より確実に回避することもできる。
【0055】
尚、本実施例では、定着カム67から離間カム53までの減速比は1:1であるが、1:1でなくとも整数比であれば、実施例1と同様に、定着器20の動作に対して、転写ローラ91が、何回に1回当接し、離間するといったパターンが決まる。そのため、定着ニップが形成されているときと、形成されていないときの電流値や、電流値の変化の間隔から、転写ローラ91の当接・離間を判断することで、検知手段を新たに設けることなく構成することができる。また、離間カム53は、感光体ドラム1軸上に配置されているが、感光体ドラム1近傍でもよい。
【符号の説明】
【0056】
1‥‥感光体ドラム(電子写真感光体)、12‥‥二次転写ローラ、53‥‥離間カム、57‥‥ギア列、60‥‥定着ユニット、63‥‥定着ローラ、64‥‥加熱部材、67‥‥定着カム、70‥‥二次転写ユニット、90‥‥転写ユニット