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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】エアカーテン装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 9/00 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
F24F9/00 D
F24F9/00 G
F24F9/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020123153
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019365
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中山 浩
(72)【発明者】
【氏名】青 勇志
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298400(JP,A)
【文献】特開2007-078285(JP,A)
【文献】特開平02-025652(JP,A)
【文献】米国特許第06234892(US,B1)
【文献】特開2007-187415(JP,A)
【文献】特開2007-278577(JP,A)
【文献】特開平09-010528(JP,A)
【文献】米国特許第03350994(US,A)
【文献】特開昭62-033234(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01342959(EP,A1)
【文献】特開2017-003202(JP,A)
【文献】特開2003-214678(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113803841(CN,A)
【文献】西独国特許出願公開第2701845(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 9/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁部に開口する出入口に設けられ、空気を吹き出す吹出部を備えるエアカーテン装置であって、
前記吹出部は、前記出入口における一対の側縁部の少なくとも一方の側縁部における下端側に設けられ、当該側縁部とは反対側の側縁部側に向けて空気を吹き出すように構成されており、
前記吹出部を第1吹出部とするとき、
前記出入口における上縁部側に設けられ、前記建物の内側且つ上側に向けて空気を吹き出す第2吹出部を備える、
エアカーテン装置。
【請求項2】
前記吹出部は、前記一対の側縁部の双方に設けられている、
請求項1に記載のエアカーテン装置。
【請求項3】
前記第2吹出部は、斜め上側に向けて空気を吹き出すように構成されている、
請求項1または請求項2に記載のエアカーテン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁部に開口する出入口に設けられるエアカーテン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のエアカーテン装置としては、例えば特許文献1に記載のエアカーテン装置がある。特許文献1のエアカーテン装置は、建物内に設けられ、送風機を内蔵したファンボックスと、ファンボックスの末端に設けられ、且つ建物の壁部に開口する出入口の上方において下方に向けて開口する吹出口とを備えている。
【0003】
このエアカーテン装置においては、吹出口から空気を下方に吹き出すことでカーテン状の気流であるエアカーテンが形成される。このエアカーテンにより、出入口を通じた建物の内部への外気の流入が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-288384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のエアカーテン装置においては、建物の出入口の上部に設けられた吹出口から空気が下方に吹き出される。そのため、出入口の下端側については、吹出口から吹き出された空気の流れが弱くなりやすく、外気がエアカーテンを破って建物の内部に流入しやすくなる。特に、換気量が多く、内部が負圧となる建物や、常時、出入口から内部に風が吹き込む建物などにおいては、エアカーテンが破られやすい。
【0006】
その結果、冬季においては冷えた外気が出入口の下端側から建物内に流入し、足元が冷えやすいといった問題が生じる。
本発明の目的は、建物内において足元が冷えることを抑制できるエアカーテン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためのエアカーテン装置は、建物の壁部の出入口に設けられ、空気を吹き出す吹出部を備えるエアカーテン装置であって、前記吹出部は、前記出入口における一対の側縁部の少なくとも一方の側縁部における下端側に設けられ、当該側縁部とは反対側の側縁部側に向けて空気を吹き出すように構成されている。
【0008】
上記構成によれば、出入口における一対の側縁部の少なくとも一方の側縁部における下端側に設けられた吹出部から、当該側縁部とは反対側の側縁部側に向けて空気が吹き出される。これにより、建物の出入口の下端側から建物の内部に流入しようとする外気に対して、吹出部から吹き出された直後の流れの強い空気を作用させることができ、外気の流入が抑制される。
【0009】
上記エアカーテン装置において、前記吹出部は、前記一対の側縁部の双方に設けられていることが好ましい。
上記構成によれば、出入口における一対の側縁部の双方に設けられた吹出部から空気が吹き出される。このため、一対の側縁部の一方に設けられた吹出部のみから空気を吹き出す構成と比較して、当該空気の流れが外気によって破られにくくなる。また、上述した外気の流入を抑制する上で、各吹出部から吹き出される空気の流れを弱くすることもできる。
【0010】
上記エアカーテン装置において、前記吹出部を第1吹出部とするとき、前記出入口における上縁部側に設けられ、前記建物の内側且つ上側に向けて空気を吹き出す第2吹出部を備えることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、出入口における上縁部側に設けられた吹出部から、建物の内側且つ上側に向けて空気が吹き出される。これにより、建物の出入口の上端側から建物の内部に流入する外気が上側に向けて案内されるようになる。したがって、建物内の足元を外気が流れにくくなり、建物内において足元が冷えることを一層抑制できる。
【0012】
上記エアカーテン装置において、前記第2吹出部は、斜め上側に向けて空気を吹き出すように構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、出入口における上縁部側に設けられた吹出部から、建物の内側且つ斜め上側に向けて空気が吹き出される。これにより、建物の出入口から建物の内部に流入する外気が斜め上側に向けて案内されるようになる。そして、第2吹出部から吹き出された空気及び上記のように案内される外気によって、建物内の空気が攪拌されることで、建物内において上方に溜まりやすい暖気と下方に溜まりやすい冷気とを混合されるようになる。したがって、足元が冷えることを一層抑制できる。
【0013】
また、上記目的を達成するためのエアカーテン装置は、建物の壁部の出入口に設けられ、空気を吹き出す吹出部を備えるエアカーテン装置であって、前記吹出部は、前記出入口における上縁部側に設けられ、前記建物の内側且つ上側に向けて空気を吹き出すように構成されている。
【0014】
上記構成によれば、出入口における上縁部側に設けられた吹出部から、建物の内側且つ上側に向けて空気が吹き出される。これにより、建物の出入口から建物の内部に流入する外気が上側に案内されるようになる。したがって、建物内の足元を外気が流れにくくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、建物内において足元が冷えることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】エアカーテン装置の一実施形態を示す斜視図。
図2図1の2-2線に沿った断面図。
図3図1の3-3線に沿った断面図。
図4】第1送風機の変更例における図2に対応する断面図。
図5】第2送風機の変更例における図3に対応する断面図。
図6】変更例のエアカーテン装置を示す斜視図。
図7】他の変更例のエアカーテン装置を示す斜視図。
図8】他の変更例のエアカーテン装置を示す斜視図。
図9】他の変更例のエアカーテン装置を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図3を参照して、エアカーテン装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、建物10の床面と天井面との間には、建物10の内部と外部とを仕切る壁部11が設けられている。本実施形態の建物10は、工場である。
【0018】
壁部11には、人や台車などが出入り可能な大きさの出入口12が開口している。本実施形態の出入口12は、正面視長方形状である。
なお、以降において、出入口12の幅方向、奥行き方向、及び高さ方向を、それぞれ単に幅方向X、奥行き方向Y、及び高さ方向Zとして説明する。
【0019】
また、幅方向Xにおいて出入口12の中央部に近づく側及び同中央部から離れる側を、それぞれ幅方向Xの内側及び外側として説明することがある。
また、奥行き方向Yにおいて建物10の中央部に近づく側及び同中央部から離れる側を、それぞれ単に奥行き方向Yの内側及び外側として説明することがある。
【0020】
出入口12の縁部は、下縁部13と、下縁部13の幅方向Xの両端から高さ方向Zに沿って延びる一対の側縁部14と、側縁部14の上端同士を連結する上縁部15とを有している。下縁部13は、建物10の床面と同一平面上に位置している。上縁部15は、建物の天井面よりも下方に位置している。
【0021】
エアカーテン装置20は、一対の第1送風機30及び一対の第2送風機40を備えている。
まず、第1送風機30について説明する。
【0022】
図1及び図2に示すように、一対の第1送風機30は、出入口12の一対の側縁部14の双方の下端側に設けられ、空気を吹き出す第1吹出部33を備えている。第1吹出部33は、当該第1吹出部33が設けられる側縁部14とは反対側の側縁部14側に向けて空気を吹き出すように構成されている。
【0023】
第1送風機30は、高さ方向Zに対して長い長尺状の第1ケーシング31を備えている。第1ケーシング31は、空気を吸い込む第1吸込部32と、空気を吹き出す第1吹出部33とを有している。
【0024】
第1吸込部32は、奥行き方向Yの内側に向かって開口するとともに、高さ方向Zに沿って延在している。
第1吹出部33は、幅方向Xの内側に向かって開口するとともに、高さ方向Zに沿って延在している。
【0025】
第1ケーシング31の内部には、電動の第1ファン34が設けられている。第1ファン34は、高さ方向Zに沿って延在する軸線C1を中心に回転する横流ファンである。
第1ケーシング31の内部には、第1吹出部33からの空気の吹き出し方向を規制する第1ルーバ35が設けられている。
【0026】
各第1送風機30は、壁部11のうち出入口12よりも幅方向Xの外側の部分に対し、奥行き方向Yの内側に隣り合って配置されている。
次に、第2送風機40について説明する。
【0027】
図1及び図3に示すように、一対の第2送風機40は、出入口12の上縁部15側に設けられ、空気を吹き出す第2吹出部43を備えている。一対の第2送風機40は、幅方向Xにおいて並んで配置されている。第2吹出部43は、奥行き方向Yの内側、すなわち建物10の内側、且つ斜め上側に向けて空気を吹き出すように構成されている。
【0028】
第2送風機40は、幅方向Xに対して長い長尺状の第2ケーシング41を備えている。第2ケーシング41は、空気を吸い込む第2吸込部42と、空気を吹き出す第2吹出部43とを有している。
【0029】
第2吸込部42は、下側に向かって開口するとともに、幅方向Xに沿って延在している。
第2吹出部43は、奥行き方向Yの内側に向かって開口するとともに、幅方向Xに沿って延在している。
【0030】
第2ケーシング41の内部には、電動の第2ファン44が設けられている。第2ファン44は、幅方向Xに沿って延在する軸線C2を中心に回転する横流ファンである。
第2ケーシング41の内部には、第2吹出部43からの空気の吹き出し方向を規制する第2ルーバ45が設けられている。第2ルーバ45は、幅方向Xに沿って延在する長尺の板状である。第2ルーバ45は、奥行き方向Yの内側ほど上側に位置するように傾斜して配置されている。
【0031】
各第2送風機40は、壁部11のうち出入口12よりも上側の部分に対し、奥行き方向Yの内側に隣り合って配置されている。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0032】
(1)出入口12における一対の側縁部14の少なくとも一方の側縁部14における下端側に設けられた第1吹出部33から、当該側縁部14とは反対側の側縁部14側に向けて空気が吹き出される。これにより、建物10の出入口12の下端側から建物10の内部に流入しようとする外気に対して、第1吹出部33から吹き出された直後の流れの強い空気を作用させることができ、外気の流入が抑制される。したがって、建物10内において足元が冷えることを抑制できる。
【0033】
(2)出入口12における一対の側縁部14の双方に設けられた第1吹出部33から空気が吹き出される。このため、一対の側縁部14の一方に設けられた第1吹出部33のみから空気を吹き出す構成と比較して、当該空気の流れが外気によって破られにくくなる。また、上述した外気の流入を抑制する上で、各第1吹出部33から吹き出される空気の流れを弱くすることもできる。
【0034】
(3)出入口12における上縁部15側に設けられた第2吹出部43から、建物10の内側且つ上側に向けて空気が吹き出される。これにより、建物10の出入口12の上端側から建物10の内部に流入する外気が上側に向けて案内されるようになる。したがって、建物10内の足元を外気が流れにくくなり、建物10内において足元が冷えることを一層抑制できる。
【0035】
(4)出入口12における上縁部15側に設けられた第2吹出部43から、建物10の内側且つ斜め上側に向けて空気が吹き出される。これにより、建物10の出入口12の上端側から建物10の内部に流入する外気が斜め上側に向けて案内されるようになる。そして、第2吹出部43から吹き出された空気及び上記のように案内される外気によって、建物10内の空気が攪拌されることで、建物10内において上方に溜まりやすい暖気と下方に溜まりやすい冷気とが混合されるようになる。したがって、足元が冷えることを一層抑制できる。
【0036】
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0037】
・第1送風機30の第1ファン34は、横流ファンに限定されず、軸流ファンや遠心ファンなどであってもよい。
図4に示すように、一対の第1吸込部32が幅方向Xの外側に向かって開口するものであってもよい。また、一方の第1吸込部32のみが幅方向Xの外側に向かって開口するものであってもよい。
【0038】
・第1吹出部33の一方と他方とを奥行き方向Yや高さ方向Zにおいて互いにずらして配置するようにしてもよい。
・第2吹出部43は、建物10の内側且つ上側に向けて空気を吹き出すように構成されているものであればよい。例えば、図5に示すように、一方または双方の第2吹出部43が高さ方向Zに沿って上側に向けて空気を吹き出すように構成されていてもよい。
【0039】
図6に示すように、第1吹出部33は、一対の側縁部14の一方のみに設けられるものであってもよい。なお、この場合、外気の流入を抑制する上で、第1吹出部33から吹き出される空気の流れの強さを、上記実施形態よりも強く設定することが望ましい。またこの場合、図8に示すように、一対の側縁部14のうち第1吹出部33が設けられていない側縁部14における下端側に衝立50を設けることもできる。衝立50は、奥行き方向Y及び高さ方向Zの双方に沿う長方形板状であり、側縁部14から奥行き方向Yの内側に向かって延在している。衝立50は、高さ方向Zにおいて第1吹出部33の全体が含まれる範囲に設けることが好ましい。
【0040】
こうした構成によれば、第1吹出部33から吹き出された空気の流れが衝立50により遮られる。このため、第1吹出部33から吹き出される空気の流れが強い場合に、当該空気が建物10内に流れ込むことを抑制できる。
【0041】
・第1送風機30を、奥行き方向Yにおいて壁部11の外側に隣り合って配置することもできる。この場合、例えば図9に示すように、一対の第1送風機30を、壁部11のうち出入口12よりも幅方向Xの外側の部分に対し、奥行き方向Yの内側及び外側にそれぞれ隣り合って配置することもできる。
【0042】
・第2送風機40を、奥行き方向Yにおいて壁部11の外側に隣り合って配置することもできる。この場合、第2吹出部43については、出入口12の上縁部15よりも下方に配置すればよい。
【0043】
・上記実施形態及び変更例において、一対の第2送風機40の一方または双方を省略することもできる。
・少なくとも第1吹出部33が出入口12の側縁部14の下端側に設けられるものであればよく、第1送風機30全体が側縁部14の下端側に設けられる必要はない。
【0044】
・少なくとも第2吹出部43が出入口12の上縁部15側に設けられるものであればよく、第2送風機40全体が上縁部15側に設けられる必要はない。
図7に示すように、第1送風機30を省略し、第2送風機40のみによってエアカーテン装置20を構成することもできる。この場合であっても、出入口12における上縁部15側に設けられた第2吹出部43から、建物10の内側且つ上側に向けて空気が吹き出されることにより、建物10の出入口12から建物10の内部に流入する外気が上側に案内されるようになる。したがって、建物10内の足元を外気が流れにくくなり、建物10内において足元が冷えることを抑制できる。
【0045】
この場合、特に、上記実施形態と同様にして、第2吹出部43から、建物10の内側且つ斜め上側に向けて空気が吹き出されるように構成されていれば、第2吹出部43から吹き出された空気及び上記のように案内される外気によって、建物10内の空気が攪拌されるようになることで、建物10内において上方に溜まりやすい暖気と下方に溜まりやすい冷気とを混合されるようになる。したがって、足元が冷えることを一層抑制できる。
【符号の説明】
【0046】
10…建物
11…壁部
12…出入口
13…下縁部
14…側縁部
15…上縁部
20…エアカーテン装置
30…第1送風機
31…第1ケーシング
32…第1吸込部
33…第1吹出部
34…第1ファン
35…第1ルーバ
40…第2送風機
41…第2ケーシング
42…第2吸込部
43…第2吹出部
44…第2ファン
45…第2ルーバ
50…衝立
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9