(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】カップホルダ
(51)【国際特許分類】
A47G 23/02 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
A47G23/02 A
(21)【出願番号】P 2020129048
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】398016865
【氏名又は名称】株式会社ユニマットライフ
(73)【特許権者】
【識別番号】391049448
【氏名又は名称】天馬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】勝俣 貞治
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-160790(JP,U)
【文献】実開昭59-060983(JP,U)
【文献】実開昭61-019370(JP,U)
【文献】実開昭63-075276(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる筒状の本体と、前記本体の内周面から突出して前記本体の
上下方向かつ径方向外側に弾性的に撓み変形可能なバネ部と、を備え、
前記バネ部は、前記
上下方向において前記本体の上端部から離れて位置
し、
前記バネ部は、前記本体の周方向に間隔をあけて複数並んでおり、
前記本体の上端部において前記本体の内周面から突出するリブをさらに備え、
前記リブは、前記周方向に間隔をあけて複数並んでおり、
前記バネ部と前記リブとが前記周方向において交互に並んでいるカップホルダ。
【請求項2】
前記バネ部から前記
上下方向に離れて位置する前記本体の下端部に設けられて前記本体の下端部側の開口
の少なくとも一部を覆う底板部をさらに備え
、
前記底板部は、前記本体に挿入されたカップの底部を保持する請求項1に記載のカップホルダ。
【請求項3】
前記底板部には、当該底板部の板厚方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記貫通孔は、前記上下方向において前記バネ部と重なるように位置する請求項2に記載のカップホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、形状が大きく異なる紙コップ及びインサートカップを保持するカップホルダが開示されている。特許文献1のカップホルダは、紙コップの底部開口の内周が嵌合されることで紙コップの底部を保持する第1保持部、及び、インサートカップの底部外周が嵌合されることでインサートカップの底部を保持する第2保持部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙コップのように筒状壁の径寸法が底部に向けて小さくなるテーパ状に形成されたカップには、同じ形状でありながら、筒状壁の傾斜角度が異なっていたり、軸方向の寸法が異なっていたりすることで、サイズが互いに異なるものがある。しかしながら、特許文献1のカップホルダでは、同じ形状でありながらサイズが互いに異なる複数種類のカップを安定に保持することが難しい、すなわちカップホルダの汎用性が低いという問題がある。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、同じ形状でありながらサイズが異なる複数種類のカップを安定に保持することができるカップホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上下方向に延びる筒状の本体と、前記本体の内周面から突出して前記本体の上下方向かつ径方向外側に弾性的に撓み変形可能なバネ部と、前記本体の上端部において前記本体の内周面から突出するリブと、を備えるカップホルダである。
バネ部は、本体の軸方向において本体の上端部から離れて位置する。
バネ部は、本体の周方向に間隔をあけて複数並んでいる。
リブは、本体の周方向に間隔をあけて複数並んでいる。
バネ部とリブとが本体の周方向において交互に並んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のカップホルダによれば、同じ形状でありながらサイズが異なる複数種類のカップを安定に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカップホルダを上方から見た上面図である。
【
図4】
図1~3のカップホルダに第一カップを取り付けた状態を示す断面図である。
【
図5】
図1~3のカップホルダに第二カップを取り付けた状態を示す断面図である。
【
図7】
図1~3のカップホルダに第三カップを取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~7を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1~3に示すように、本実施形態に係るカップホルダ1は、筒状の本体2と、本体2の内周面2aから突出するバネ部3と、を備える。
【0010】
本体2は、合成樹脂からなり、上下方向(
図1~3においてZ軸方向)に延びる円筒状に形成されている。本体2の内周面2aや外周面2bは、径寸法が一定の単純な形状に形成されてもよいし、本体2の下端部22から上端部21に向けて径寸法が大きくなるテーパ状に形成されてもよい。
【0011】
本体2の外周面2bには、外周面2bの周方向に延びる環状に形成され、軸方向(上下方向)に間隔をあけて並ぶ複数の環状凸部23が形成されている。各環状凸部23は、周方向に直交する断面で半円形状に形成されている。本体2の外周面2bは、例えば凹凸の無い面に形成されてもよい。
【0012】
バネ部3は、合成樹脂によって本体2と一体に形成されている。バネ部3は、本体2の内周面2aから本体2の径方向内側に延びており、本体2に対してその軸方向に弾性的に撓み変形可能となっている。具体的に、バネ部3は、本体2の径方向内側に向かうにしたがって、本体2の下端部22に向かうように傾斜して延びている。このため、バネ部3は、本体2の下方側(Z軸負方向側)に弾性的に撓み変形しやすい。
【0013】
バネ部3は、軸方向において本体2の上端部21から離れて位置している。具体的に、バネ部3は、軸方向において本体2の下端部22からも離れて位置しているが、本体2の上端部21よりも下端部22の近くに位置している。
上記したバネ部3は、本体2の周方向に間隔をあけて複数並んでいる。本実施形態において、複数のバネ部3は本体2の周方向に等間隔で並んでいる。また、バネ部3の数は四つである。
【0014】
本実施形態のカップホルダ1は、本体2の上端部21において本体2の内周面2aから突出するリブ4をさらに備える。リブ4は、バネ部3と同様に合成樹脂によって本体2と一体に形成されている。リブ4は、本体2の軸方向に延びる細長い形状に形成されている。本体2の径方向におけるリブ4の突出高さは、本体2の軸方向におけるリブ4の両端からリブ4の中間に向かうにしたがって高くなっている。本実施形態のリブ4は、周方向から見て円弧状に形成されている(特に
図3参照)。また、本体2の径方向におけるリブ4の突出高さは、バネ部3の突出高さと比較して十分に小さい(特に
図1,3参照)。
【0015】
リブ4は、本体2の周方向に間隔をあけて複数並んでいる。本実施形態において、複数のリブ4は本体2の周方向に等間隔で並んでいる。リブ4の数は、例えばバネ部3の数と異なってもよいが、本実施形態ではバネ部3の数と同じ四つである。
周方向におけるリブ4の位置は、例えばバネ部3の位置と一致してもよい。本実施形態では、リブ4がバネ部3に対して周方向にずれて位置している。すなわち、バネ部3とリブ4とが周方向において交互に並んでいる。
【0016】
本実施形態のカップホルダ1は、底板部5をさらに備える。底板部5は、合成樹脂によって本体2と一体に形成されている。底板部5は、本体2の下端部22に設けられ、バネ部3に対して下方に離れて位置する。底板部5は、本体2の下端部22側の開口を覆う。底板部5は、その板厚方向が本体2の軸方向に一致するように配置されている。
図1,2に示すように、底板部5には、その板厚方向(Z軸方向)に貫通する四つの貫通孔51が形成されている。このため、底板部5は本体2の下端部22側の開口を完全には塞がない。四つの貫通孔51は、底板部5の外周領域において本体2の周方向に等間隔で並んでいる。四つの貫通孔51は、それぞれ本体2の軸方向においてバネ部3と重なるように位置している。
【0017】
図2,3に示すように、本実施形態のカップホルダ1は、脚部6をさらに備える。脚部6は、合成樹脂によって本体2と一体に形成されている。脚部6は、本体2の下端部22から下方(Z軸負方向)に延びる筒状に形成されている。脚部6は、その径寸法が本体2から下方に向けて大きくなるテーパ状に形成されている。脚部6の下端における脚部6の径寸法は、本体2の径寸法よりも大きい。これにより、カップホルダ1を机などの面においてもカップホルダ1が倒れることを抑制又は防止することができる。脚部6は、例えば本体2の周方向に複数に分割されていてもよい。
【0018】
以上のように構成される本実施形態に係るカップホルダ1は、
図4,5,7に示すカップ100を保持する。当該カップ100は、紙コップのように、底部に向けて径寸法が小さくなるテーパ状に形成された筒状壁101と、筒状壁101の底部側の開口を塞ぐ底板102と、を有する。底板102は、筒状壁101の底部側の端部よりも上方に位置する。
【0019】
カップ100は、その底部(カップ100の底板102側の部分)を下方に向けた状態で本体2の上端部21側の開口から挿入することで、カップホルダ1によって保持される。具体的には、カップ100の底部がバネ部3によって保持され、カップ100の上部(カップ100の開口側の部分)が本体2の上端部21によって保持される。すなわち、カップホルダ1は、カップ100を上下2か所で保持する。
カップホルダ1は、サイズが異なる複数種類のカップ100を保持することができる。以下、サイズが異なる三種類のカップ100についてそれぞれ説明する。
【0020】
三種類のカップ100のうち
図4に示す第一カップ100Aは、後述する第二、第三カップ100B,100Cと比較して、軸方向に対する筒状壁101の傾斜角度が大きい。
この第一カップ100Aを本体2の上端部21側の開口から挿入すると、第一カップ100Aの底部が撓み変形していないバネ部3に対して本体2の軸方向から接触した状態で、第一カップ100Aの上部が本体2の上端部21(又は複数のリブ4)に対して内側から接触する。この状態では、第一カップ100Aの底部が弾性的に撓み変形していないバネ部3によって本体2の下端部22側から保持される。また、第一カップ100Aの上部が本体2の上端部21(又は複数のリブ4)によって保持される。これにより、カップホルダ1では第一カップ100Aを上下2か所で保持することができる。
【0021】
三種類のカップ100のうち
図5に示す第二カップ100Bは、第一カップ100Aよりも軸方向に対する筒状壁101の傾斜角度が小さく、また第一カップ100Aよりも容量が小さい。
この第二カップ100Bを本体2の上端部21側の開口から挿入すると、第二カップ100Bの底部を撓み変形していないバネ部3に対して本体2の軸方向から接触させた後、
図5,6に示すように第二カップ100Bをさらに本体2の内側に挿入してバネ部3を弾性的に撓み変形させることで、第二カップ100Bの上部が本体2の上端部21(又は複数のリブ4)に対して内側から接触する。
図6においては、二点鎖線の部分が撓み変形する前のバネ部3を示している。また、バネ部3を弾性的に撓み変形させた第二カップ100Bの底部が、底板部5に対して本体2の軸方向から接触する。この状態では、第二カップ100Bの底部が、弾性的に撓み変形されたバネ部3の弾性力によって本体2の径方向から保持され、さらに、底板部5によって本体2の下端部22側から保持される。また、第二カップ100Bの上部が本体2の上端部21(又は複数のリブ4)によって保持される。これにより、カップホルダ1では第二カップ100Bも上下2か所で保持することができる。
【0022】
三種類のカップ100のうち
図7に示す第三カップ100Cは、軸方向に対する筒状壁101の傾斜角度が第二カップ100Bと同じであり、軸方向の寸法が第二カップ100Bよりも長い。第三カップ100Cの容量は、第一、第二カップ100A,100Bの容量よりも大きい。
この第三カップ100Cを本体2の上端部21側の開口から挿入した状態では、第二カップ100Bの場合と同様に、第三カップ100Cの底部が、弾性的に撓み変形されたバネ部3の弾性力によって本体2の径方向から保持され、さらに、底板部5によって本体2の下端部22側から保持される。また、第三カップ100Cの上部が本体2の上端部21(又は複数のリブ4)によって保持される。これにより、カップホルダ1では第三カップ100Cも上下2か所で保持することができる。なお、第三カップ100Cをカップホルダ1に保持した状態では、第三カップ100Cのうちカップホルダ1の上端部21から上方に飛び出す部分が、第二カップ100Bの同部分よりも大きい。
【0023】
以上説明したように、本実施形態のカップホルダ1によれば、筒状の本体2のうち上端部21から軸方向(Z軸負方向)に離れた位置に、軸方向に弾性的に撓み変形可能なバネ部3が設けられている。これにより、カップ100のサイズが異なっていても、カップ100の上部を本体2の上端部21によって保持し、カップ100の底部をバネ部3によって保持することができる。したがって、サイズが互いに異なる複数種類のカップ100(第一~第三カップ100A,100B,100C)を安定に保持することができる。
【0024】
また、本実施形態のカップホルダ1によれば、複数のバネ部3が本体2の周方向に間隔をあけて並んでいる。これにより、カップ100の底部が複数のバネ部3によって保持されるため、カップ100の底部を一つのバネ部3によって保持する場合と比較して、カップ100の底部をより安定に保持することができる。
【0025】
また、本実施形態のカップホルダ1によれば、本体2の上端部21には本体2の内周面2aから突出するリブ4が設けられている。これにより、カップ100の底部がバネ部3や底板部5によって保持された状態で、カップ100の上部が本体2の上端部21の内側に接触しない程度に上部の径寸法が小さいカップ100であっても、カップ100の上部をリブ4に接触させることができる。すなわち、カップ100の上部をリブ4によって保持することができる。したがって、より多くの種類のカップ100を安定に保持することができる。
【0026】
また、本実施形態のカップホルダ1によれば、複数のリブ4が本体2の周方向に間隔をあけて並んでいる。これにより、カップ100の上部が複数のリブ4によって保持されるため、カップ100の上部を一つのリブ4によって保持する場合と比較して、カップ100の上部をより安定に保持することができる。
【0027】
また、本実施形態のカップホルダ1によれば、バネ部3とリブ4とが周方向において交互に並んでいる。これにより、バネ部3とリブ4とが周方向において同じ位置に配置される場合と比較して、カップ100をその周方向においてより多くの位置で保持することができる。すなわち、カップ100をより安定に保持することができる。
【0028】
また、本実施形態のカップホルダ1によれば、本体2の下端部22には当該下端部22の開口を覆う底板部5が設けられている。このため、バネ部3を弾性的に撓み変形させるように挿入されたカップ100の底部を底板部5に対して本体2の軸方向から接触させることで、カップ100の底部を底板部5によって保持することができる。これにより、カップ100の底部をより安定に保持することができる。
【0029】
また、本実施形態のカップホルダ1によれば、本体2の外周面2bには複数の環状凸部23が設けられている。これにより、カップホルダ1を掴む手指の一部が隣り合う環状凸部23の間に入り込む等して、カップホルダ1を掴む手指が環状凸部23に引っ掛かるため、カップホルダ1が手から滑り落ちることを効果的に抑制できる。また、複数の環状凸部23によって本体2の外周面2bに凹凸が形成されることで、カップホルダ1を掴む手指が接触する面積を小さく抑えることができる。これにより、カップホルダ1から手指への熱の伝わりを抑制することができる。
【0030】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0031】
本発明のカップホルダにおいて、本体2の周方向に並ぶバネ部3の数は、任意であってよい。すなわち、バネ部3の数は、例えば一つであってもよい。ただし、カップ100の底部をバネ部3によって安定に保持するためには、バネ部3の数は複数である方が好ましく、三つ以上であることがより好ましい。
【0032】
本発明のカップホルダにおいて、本体2の周方向に並ぶリブ4の数は、任意であってよい。すなわち、リブ4の数は、例えば一つであってもよい。ただし、カップ100の上部をリブ4によって安定に保持するためには、リブ4の数は複数である方が好ましく、三つ以上であることがより好ましい。
【0033】
本発明のカップホルダにおいて、バネ部3やリブ4は、例えば本体2と別個に形成された上で本体2に固定されてもよい。すなわち、バネ部3やリブ4は本体2と異なる材料(例えば金属材料)によって構成されてもよい。
【0034】
本発明のカップホルダにおいて、本体2は、例えば多角形の筒状に形成されてもよい。
【0035】
本発明のカップホルダは、少なくとも本体2及びバネ部3を備えていればよく、例えばリブ4や底板部5、脚部6を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 カップホルダ
2 本体
2a 内周面
2b 外周面
3 バネ部
4 リブ
5 底板部
21 上端部
22 下端部
100 カップ
101 筒状壁
102 底板