(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20240527BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240527BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240527BHJP
H01F 3/00 20060101ALI20240527BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F17/04 F
H01F37/00 A
H01F37/00 C
H01F27/00 R
H01F3/00
H01F27/24 E
(21)【出願番号】P 2020129857
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】黒田 朋史
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-329851(JP,A)
【文献】国際公開第2019/168158(WO,A1)
【文献】特開2019-212806(JP,A)
【文献】実開平02-123121(JP,U)
【文献】実開昭59-011412(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0307686(US,A1)
【文献】国際公開第2019/168159(WO,A1)
【文献】特開2018-049921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/219647(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 37/00
H01F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1及び2の方向に延在する上面と下面を有し、前記上面から前記下面に亘って、前記第1及び第2の方向と直交す
る第3の方向に貫通する第1乃至第4の貫通孔が設けられた磁性コアと、
前記第1及び第2の貫通孔に挿入された第1のコイル導体と、
前記第3及び第4の貫通孔に挿入された第2のコイル導体と、を備え、
前記第1のコイル導体は、前記第1の貫通孔に挿入され
、一端が前記磁性コアの前記下面から突出する第1の挿入部と、前記第2の貫通孔に挿入され
、一端が前記磁性コアの前記下面から突出する第2の挿入部と、前記磁性コアの前記上面側に位置し、前記第1及び第2の挿入部
の他端同士を接続する第1の接続部とを有し、
前記第2のコイル導体は、前記第3の貫通孔に挿入され
、一端が前記磁性コアの前記下面から突出する第3の挿入部と、前記第4の貫通孔に挿入され
、一端が前記磁性コアの前記下面から突出する第4の挿入部と、前記磁性コアの前記上面側に位置し、前記第3及び第4の挿入部
の他端同士を接続する第2の接続部とを有し、
前記第1の貫通孔には、前記第1のコイル導体の前記第1の挿入部とは異なる別の導体は挿入されておらず、
前記第2の貫通孔には、前記第1のコイル導体の前記第2の挿入部とは異なる別の導体は挿入されておらず、
前記第3の貫通孔には、前記第2のコイル導体の前記第3の挿入部とは異なる別の導体は挿入されておらず、
前記第4の貫通孔には、前記第2のコイル導体の前記第4の挿入部とは異なる別の導体は挿入されておらず、
前記第1、第2、第3及び第4の挿入部の断面はいずれも円形であり、
前記第1の接続部の電流方向に対して垂直な断面は、前記第3の方向における厚みが幅よりも薄い略矩形であり、
前記第2の接続部の電流方向に対して垂直な断面は、前記第3の方向における厚みが幅よりも薄い略矩形であり、
前記第1及び第2のコイル導体は、前記磁性コアの前記下面において交差することなく、前記第1のコイル導体の前記第1の接続部と
前記第2のコイル導体の前記第2の接続部
が前記磁性コアの前記上面において交差することを特徴とするインダクタ部品。
【請求項2】
前記第3の方向から見て、前記第1乃至第4の貫通孔は正方形の角部にそれぞれ位置し、
前記第1及び第2の貫通孔は、前記正方形の一方の対角に位置する角部に位置し、
前記第3及び第4の貫通孔は、前記正方形の他方の対角に位置する角部に位置することを特徴と請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記磁性コアは、前記第1及び2の方向に延在する複数の磁性薄帯が前記第3の方向に積層された構造を有し、
前記複数の磁性薄帯のそれぞれは、網目状のクラックによって複数の小片に分割されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記磁性薄帯がアモルファス合金又はナノ結晶合金からなることを特徴とする請求項3に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインダクタ部品に関し、特に、磁性コアに設けられた貫通孔に2つのコイル導体を挿入した構成を有するインダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性コアに設けられた貫通孔に2つのコイル導体を挿入した構成を有するインダクタ部品としては、特許文献1に記載されたインダクタ部品が知られている。特許文献1に記載されたインダクタ部品は、貫通孔の周囲が周方向に分断されるよう磁性コアにスリットを設けることによって、2つのコイル導体の結合係数を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、磁性コアにスリットを設けても結合係数をほぼゼロにすることは困難であるとともに、磁性コアにスリットを設けるとインダクタンス値が低下するという問題があった。しかも、インダクタンス値はスリットの幅によって大きく変化する一方、スリットの幅を精度良く加工することは容易ではないため、インダクタンス値にばらつきが生じやすいという問題もあった。
【0005】
したがって、本発明は、磁性コアに設けられた貫通孔に2つのコイル導体を挿入した構成を有するインダクタ部品において、インダクタンス値を確保しつつ、結合係数をほぼゼロとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるインダクタ部品は、互いに直交する第1及び2の方向に延在する上面と下面を有し、上面から下面に亘って、第1及び第2の方向と直交する第3の方向に貫通する第1乃至第4の貫通孔が設けられた磁性コアと、第1及び第2の貫通孔に挿入された第1のコイル導体と、第3及び第4の貫通孔に挿入された第2のコイル導体とを備え、第1のコイル導体は、第1の貫通孔に挿入された第1の挿入部と、第2の貫通孔に挿入された第2の挿入部と、磁性コアの上面側に位置し第1及び第2の挿入部を接続する第1の接続部とを有し、第2のコイル導体は、第3の貫通孔に挿入された第3の挿入部と、第4の貫通孔に挿入された第4の挿入部と、磁性コアの上面側に位置し第3及び第4の挿入部を接続する第2の接続部とを有し、第1の接続部と第2の接続部は、磁性コアの上面において交差することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1のコイル導体によって生じる磁束と第2のコイル導体によって生じる磁束が交差することから、磁性コアにスリットなどを設けることなく、第1のコイル導体と第2のコイル導体の結合係数をほぼゼロとすることが可能となる。
【0008】
本発明において、第1乃至第4の貫通孔は第3の方向から見て正方形の角部にそれぞれ位置し、第1及び第2の貫通孔は正方形の一方の対角に位置する角部に位置し、第3及び第4の貫通孔は正方形の他方の対角に位置する角部に位置しても構わない。これによれば、第1のコイル導体によって生じる磁束と第2のコイル導体によって生じる磁束が直交することから、第1のコイル導体と第2のコイル導体の結合係数が実質的にゼロとなる。
【0009】
本発明において、磁性コアは、第1及び2の方向に延在する複数の磁性薄帯が第3の方向に積層された構造を有し、複数の磁性薄帯のそれぞれは、網目状のクラックによって複数の小片に分割されていても構わない。これによれば、第3の方向に流れる磁束がほとんど生じないことから、渦電流の発生を防止することが可能となる。
【0010】
本発明において、磁性薄帯はアモルファス合金又はナノ結晶合金からなるものであっても構わない。これによれば、より大きなインダクタンス値を得ることが可能となる。
【0011】
本発明において、クラックの平均間隔は15μm以上、1mm以下であっても構わない。これによれば、高いインダクタンス値を確保しつつ、磁気飽和を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、磁性コアに設けられた貫通孔に2つのコイル導体を挿入した構成を有するインダクタ部品において、インダクタンス値を確保しつつ、結合係数をほぼゼロとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるインダクタ部品1の外観を示す略斜視図である。
【
図2】
図2は、インダクタ部品1の略分解斜視図である。
【
図3】
図3は、磁性コア2の内部に生じる磁束の向きについて説明するための模式図である。
【
図4】
図4は、磁性コア2を構成する磁性薄帯Mの構造を説明するための図である。
【
図5】
図5は、磁性コア2の作製方法を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、インダクタ部品1を用いた第1の例によるDCDCコンバータ41の回路図である。
【
図7】
図7は、インダクタ部品1を用いた第2の例によるDCDCコンバータ42の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態によるインダクタ部品1の外観を示す略斜視図である。また、
図2は、インダクタ部品1の略分解斜視図である。
【0016】
図1及び
図2に示すように、本実施形態によるインダクタ部品1は、4つの貫通孔31~34を有する磁性コア2と、貫通孔31,32に挿入されたコイル導体10と、貫通孔33,34に挿入されたコイル導体20とを備えている。磁性コア2の外形は略直方体形状である。貫通孔31~34のxy断面は円形であり、磁性コア2をz方向に貫通して設けられている。磁性コア2は、xy方向に延在する複数の磁性薄帯が樹脂などの非磁性材料を介してz方向に積層された構成を有している。コイル導体10,20は、銅(Cu)などの良導体からなる。
【0017】
コイル導体10は、貫通孔31に挿入された挿入部11と、貫通孔32に挿入された挿入部12と、磁性コア2の上面2a側に位置し、挿入部11,12を接続する接続部13からなり、これらが一体化された構造を有している。挿入部11,12のxy断面は円形であり、電流方向に対して垂直な接続部13の断面は略矩形であることが好ましいが、それぞれ楕円形、矩形などであってもよい。接続部13は、z方向における厚みが薄い平板状であることが好ましい。また、挿入部11,12と接続部13の断面積は互いに一致することが好ましい。磁性コア2の下面2b側に位置する挿入部11,12の先端11a,12aは、磁性コア2の下面2bから突出し、一方が入力端子、他方が出力端子として用いられる。
【0018】
コイル導体20は、貫通孔33に挿入された挿入部21と、貫通孔34に挿入された挿入部22と、磁性コア2の上面2a側に位置し、挿入部21,22を接続する接続部23からなり、これらが一体化された構造を有している。挿入部21,22のxy断面は円形であり、電流方向に対して垂直な接続部23の断面は略矩形であることが好ましいが、それぞれ楕円形、矩形などであってもよい。接続部23は、z方向における厚みが薄い平板状であることが好ましい。また、挿入部21,22と接続部23の断面積は互いに一致することが好ましい。磁性コア2の下面2b側に位置する挿入部21,22の先端21a,22aは、磁性コア2の下面2bから突出し、一方が入力端子、他方が出力端子として用いられる。
【0019】
図2に示すように、貫通孔31,33はy方向に配列されており、そのx方向位置は互いに一致している。同様に、貫通孔32,34はy方向に配列されており、そのx方向位置は互いに一致している。また、貫通孔31,34はx方向に配列されており、そのy方向位置は互いに一致している。同様に、貫通孔33,34はx方向に配列されており、そのy方向位置は互いに一致している。
【0020】
ここで、磁性コア2のy方向における中心位置をx方向に延在する中心線X0を想定した場合、貫通孔31,33は中心線X0を対称軸として互いに線対称に配置され、貫通孔32,34は中心線X0を対称軸として互いに線対称に配置されている。一方、磁性コア2のx方向における中心位置をy方向に延在する中心線Y0を想定した場合、貫通孔31,34は中心線Y0を対称軸として互いに線対称に配置され、貫通孔32,33は中心線Y0を対称軸として互いに線対称に配置されている。
【0021】
さらに、z方向から見た貫通孔31~34の中心点は、それぞれ正方形Aの角部に位置する。そして、貫通孔31,32は正方形Aの一方の対角に位置する角部に位置し、貫通孔33,34は正方形Aの他方の対角に位置する角部に位置する。これにより、コイル導体10の接続部13とコイル導体20の接続部23は、磁性コア2の上面2aにおいて交差することになる。但し、コイル導体10とコイル導体20の絶縁を確保する必要があることから、交差部分において短絡しないよう、コイル導体10,20の表面に絶縁被覆を設けるか、或いは、接続部13と接続部23の間に絶縁材料を介在させることが好ましい。
【0022】
図3は、磁性コア2の内部に生じる磁束の向きについて説明するための模式図である。
【0023】
図3に示すように、コイル導体10,20に電流が流れると、貫通孔31~34の周囲にはそれぞれ磁束φ1~φ4が生じる。ここで、コイル導体10の挿入部11,12には互いに逆方向の電流が流れるため、磁束φ1の周回方向と磁束φ2の周回方向は互いに逆となる。同様に、コイル導体20の挿入部21,22には互いに逆方向の電流が流れるため、磁束φ3の周回方向と磁束φ4の周回方向は互いに逆となる。このため、貫通孔31と貫通孔32の間に生じる磁束φ1,φ2の合成磁束φ12は、貫通孔31,32の配列方向に対して直交する。つまり、貫通孔33,34の配列方向と一致する。同様に、貫通孔33と貫通孔34の間に生じる磁束φ3,φ4の合成磁束φ34は、貫通孔33,34の配列方向に対して直交する。つまり、貫通孔31,32の配列方向と一致する。このように、合成磁束φ12の向きと合成磁束φ34の向きは互いに直交することになる。
【0024】
このため、合成磁束φ12と合成磁束φ34の干渉は生じず、その結果、コイル導体10とコイル導体20の結合係数は実質的にゼロとなる。但し、本発明において、貫通孔31~34の中心点が正方形の角部に位置することは必須ではなく、接続部13と接続部23が交差するよう貫通孔31~34が配置されていれば足りる。しかしながら、コイル導体10とコイル導体20の結合係数をほぼゼロとするためには、合成磁束φ12の向きと合成磁束φ34の向きが直交するよう貫通孔31~34を配置することが好ましい。
【0025】
図4は、磁性コア2を構成する磁性薄帯Mの構造を説明するための図である。
【0026】
磁性コア2を構成する磁性薄帯Mは、アモルファス合金やナノ結晶合金などの高透磁率金属材料からなり、
図4に示すように、網目状のクラックCLによって複数の小片Pに分割されている。クラックCLは、磁性薄帯Mのxy平面方向における透磁率を低下させる役割を果たし、これによりインダクタ部品1の磁気飽和が防止される。インダクタ部品1をDCDCコンバータに用いる場合、クラックCLの平均間隔を15μm以上、1mm以下とすることにより、磁性薄帯Mの透磁率を最適な値に調整することができる。
【0027】
図5は、磁性コア2の作製方法を説明するための模式図である。
【0028】
磁性コア2の作製においては、まず、樹脂などの非磁性材料Rを介して複数(例えば4枚)の磁性薄帯Mを積層し、プレスすることにより一体化された磁性シート3Aを作製する。磁性薄帯Mの厚みは例えば20μm程度であり、透磁率は例えば20000程度である。次に、磁性シート3Aをローラー6で押圧することにより、磁性シート3Aを構成する磁性薄帯MにクラックCLを形成する。クラックCLの平均間隔や、クラックCLによって分割される小片Pのサイズについては、ローラー6の径、押圧力、押圧速度などによって調整可能である。これにより、クラックCLによって磁性薄帯Mが小片化された磁性シート3Bが得られる。磁性薄帯MがクラックCLによって小片化されると、その透磁率は、100~200程度に低下し、DCDCコンバータに用いた場合に最適な値となる。
【0029】
次に、カッター7を用いて磁性シート3Bを磁性コア2と同じ平面サイズに切断することによって、複数の単位磁性コア3を取り出す。そして、樹脂などの非磁性材料4を介して複数の単位磁性コア3を積層し、プレスすることにより、ブロック状の磁性コア2Aが得られる。磁性コア2Aの上面及び下面は、PET樹脂などからなるカバーフィルム5で覆っても構わない。そして、ドリル加工によって磁性コア2Aに貫通孔31~34を形成すれば、
図1及び
図2に示す磁性コア2が完成する。最後に、貫通孔31~34にコイル導体10,20を挿入すれば、本実施形態によるインダクタ部品1が完成する。
【0030】
このように、磁性コア2は、クラックCLによって小片化された磁性薄帯Mを積層した後、貫通孔31~34を挿入することによって作製することができる。つまり、ブロック状の磁性コア2Aに対する機械加工は、貫通孔31~34を形成するための加工だけであり、磁路を分断するためのスリットなどを形成する必要がない。これにより、貫通孔31~34の周囲は、クラックCLよりも大きなスリットによって周方向に分断されることなく複数の小片Pによって全周が取り囲まれることから、スリットに起因するインダクタンス値の低下やインダクタンス値のばらつきが生じることがない。また、z方向に隣接する磁性薄帯M間には非磁性材料R又は4が介在することから、z方向に流れる磁束はほとんど発生しない。このため、z方向の磁束に起因する渦電流がほとんど生じない。
【0031】
図6は、インダクタ部品1を用いた第1の例によるDCDCコンバータ41の回路図である。
【0032】
図6に示すDCDCコンバータ41は、一対の入力端子51,52と、一対の出力端子53,54と、入力端子51と出力端子53の間に直列にこの順に接続されたスイッチングトランジスタSW1及びインダクタL1と、入力端子51と出力端子53の間に直列にこの順に接続されたスイッチングトランジスタSW2及びインダクタL2と、出力端子53,54間に接続されたキャパシタC1とを備えている。スイッチングトランジスタSW1とインダクタL1からなる回路と、スイッチングトランジスタSW2とインダクタL2からなる回路は、入力端子51と出力端子53の間に並列に接続される。入力端子52と出力端子54はグランドラインを構成する。スイッチングトランジスタSW1及びインダクタL1の接続点とグランドラインの間にはダイオードD1が逆方向に接続され、スイッチングトランジスタSW2及びインダクタL2の接続点とグランドラインの間にはダイオードD2が逆方向に接続される。
【0033】
スイッチングトランジスタSW1,SW2は、図示しない制御回路によって交互にオンオフし、これにより、入力電圧Vinを降圧した出力電圧Voutが生成される。スイッチングトランジスタSW1,SW2は、出力電圧Voutが入力電圧Vinの20%以下となるよう制御することができる。
【0034】
このような構成を有するDCDCコンバータ41において、本実施形態によるインダクタ部品1がインダクタL1,L2として用いられる。例えば、コイル導体10が一方のインダクタL1を構成し、コイル導体20が他方のインダクタL2を構成する。これにより、DCDCコンバータ41を構成する部品点数を削減することが可能となる。
【0035】
図7は、インダクタ部品1を用いた第2の例によるDCDCコンバータ42の回路図である。
【0036】
図7に示すDCDCコンバータ42は、一対の入力端子51,52と、一対の出力端子53,54と、入力端子51と中間端子55の間に接続されたスイッチングトランジスタSW1と、中間端子55と出力端子53の間に直列にこの順に接続されたキャパシタC2及びインダクタL1と、中間端子55と出力端子53の間に直列にこの順に接続されたスイッチングトランジスタSW2及びインダクタL2と、出力端子53,54間に接続されたキャパシタC1とを備えている。キャパシタC2とインダクタL1からなる回路と、スイッチングトランジスタSW2とインダクタL2からなる回路は、中間端子55と出力端子53の間に並列に接続される。入力端子52と出力端子54はグランドラインを構成する。キャパシタC2及びインダクタL1の接続点とグランドラインの間にはダイオードD1が逆方向に接続され、スイッチングトランジスタSW2及びインダクタL2の接続点とグランドラインの間にはダイオードD2が逆方向に接続される。
【0037】
スイッチングトランジスタSW1,SW2は、図示しない制御回路によって交互にオンオフし、これにより、入力電圧Vinを降圧した出力電圧Voutが生成される。スイッチングトランジスタSW1,SW2は、出力電圧Voutが入力電圧Vinの20%以下となるよう制御することができる。
【0038】
このような構成を有するDCDCコンバータ42において、本実施形態によるインダクタ部品1がインダクタL1,L2として用いられる。例えば、コイル導体10が一方のインダクタL1を構成し、コイル導体20が他方のインダクタL2を構成する。これにより、DCDCコンバータ42を構成する部品点数を削減することが可能となる。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 インダクタ部品
2,2A 磁性コア
2a 磁性コアの上面
2b 磁性コアの下面
3 単位磁性コア
3A,3B 磁性シート
4 非磁性材料
5 カバーフィルム
6 ローラー
7 カッター
10,20 コイル導体
11,12,21,22 挿入部
11a,12a,21a,22a 挿入部の先端
13,23 接続部
31~34 貫通孔
41,42 DCDCコンバータ
51,52 入力端子
53,54 出力端子
55 中間端子
A 正方形
C1,C2 キャパシタ
CL クラック
D1,D2 ダイオード
L1,L2 インダクタ
M 磁性薄帯
P 小片
R 非磁性材料
SW1,SW2 スイッチングトランジスタ
φ1~φ4 磁束
φ12,φ34 合成磁束