(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】トナー製造用機械式粉砕機及びトナーを製造する粉砕工程システム
(51)【国際特許分類】
G03G 9/08 20060101AFI20240527BHJP
B02C 4/08 20060101ALI20240527BHJP
B02C 4/34 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G03G9/08 381
B02C4/08
B02C4/34
(21)【出願番号】P 2020132810
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】岡村 竜次
(72)【発明者】
【氏名】溝尾 祐一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正治
(72)【発明者】
【氏名】土川 黎
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 光司
(72)【発明者】
【氏名】中江 裕樹
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-092733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08
B02C 4/08
B02C 4/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
中心回転軸に取り付けられ、円柱形の外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子とを有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子の表面と該回転子の表面とが形成する隙間に被粉砕物を通過させて粉砕するトナー製造用機械式粉砕機であって、
前記回転子は、被粉砕物の通過方向の下流側に表面が周方向全面に平坦部の領域があることを特徴とするトナー製造用機械式粉砕機。
【請求項2】
前記下流側の回転子平坦部表面と固定子凸部との距離は、前記上流側の回転子凸部と固定子凸部との距離に対して1.2倍以上5.0倍以下である請求項1に記載のトナー製造用機械式粉砕機。
【請求項3】
前記回転子の平坦部の領域は、回転軸方向の1/8以上1/2以下の範囲である請求項1または2に記載のトナー製造用機械式粉砕機。
【請求項4】
トナーを製造する粉砕工程システムであって、
該システムは、第一の粉砕工程と第二の粉砕工程を有し、第一の粉砕工程で微粉砕品を作製し、該微粉砕品を第二の粉砕工程にて粉砕し、
前記第一または第二の粉砕工程で用いる粉砕機は、どちらか一方を請求項1に記載のトナー製造用機械式粉砕機を用いることを特徴とするトナーを製造する粉砕工程システム。
【請求項5】
トナーを製造する粉砕工程システムであって、
該システムは、第一の粉砕工程と第二の粉砕工程を有し、第一の粉砕工程で微粉砕品を作製し、該微粉砕品を第二の粉砕工程にて粉砕し、
少なくとも前記第二の粉砕工程で用いる粉砕機は、請求項1に記載のトナー製造用機械式粉砕機を用いることを特徴とするトナーを製造する粉砕工程システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナー製造装置及びトナー製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高い生産性が要求されるようになってきている。トナーにおいては、帯電性の安定化、現像性や転写性が安定化に加え、更なる小粒径化を行うことで高画質化を図ることができる。
一般的なトナー粒子の製造方法としては、溶融混練粉砕法が知られている。具体的には、決着樹脂、色材、離型剤などのトナー構成材料を溶融混練し、冷却固化した後、混練物を粉砕手段により微細化しトナー粒子を得る手法であり、その後、必要に応じて所望の粒径分布に分級したり、流動化剤などを添加したりして、トナーを製造する。
混練物の粉砕手段として各種粉砕機が用いられるが、高圧気体で被粉砕物を搬送し、加速管の出口より噴射し、加速管の出口の開口面に対向して設けた衝突部材の衝突面に衝突させて、その衝撃力により被粉砕物を粉砕する衝突式気流粉砕機(特許文献1)や、被粉砕物の投入口および排出口を有するケーシング内に、中心回転軸に支持され、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、この回転子の外側に、この回転子の外周面と所定の間隙を設けて配置され、その内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子とを備え、投入口から排出口を流れる気流にのって回転子と固定子とが対向する処理部を被粉砕物が通過する際に、回転子もしくは固定子の凸部もしくは凹部に衝突することで被粉砕物を粉砕する機械式粉砕装置(特許文献2)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-051496号公報
【文献】特開2011-237816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記機械式粉砕機によるトナー溶融混練物の粉砕では、機械式粉砕機の回転子の周速を向上させることで、回転子及び固定子と被粉砕物との衝突エネルギーが増大し、トナー粒子を小粒径化することが可能となる。
また、被粉砕物が通過する回転子と固定子との隙間(ギャップ)を狭くすることでもトナー粒子を小粒径化することが可能となる。
トナーの製造における粉砕工程は、被粉砕物の狙いの粒径によって粉砕機の運転条件は任意に決めればよい。
しかしながら、狙いの粒径が小さくなると、回転子をより高速に運転するなど粉砕機にかかる負担は上昇し、被粉砕物の安定性が低下する場合があった。
トナーの製造の場合、粒径と円形度は、成果物(印刷物の画質)に影響を与えることは知られている。
本発明者らは、粉砕工程後のトナーの円形度に注目し、研究開発を行う過程で、粉砕機にかかる負担が大きい条件下の場合、トナーの円形度のばらつきが大きくなるという課題に直面していた。
また、粉砕機にかかる負担の上昇に伴い、粉砕機内部で発生する衝突エネルギーが被粉砕物に蓄積され温度上昇が加速していくという課題もある。
被粉砕物の温度上昇は、例えばトナー粒子をより細かく粉砕するために回転子の速度を増大させた場合や、生産性向上のために、単位時間当たりのトナー原料の投入量増やした場合に顕著となる。
例えば、粉砕中のトナー温度の上昇が顕著になると、トナー表面が部分的に溶け、トナー同士が結合してしまい、微粉砕品の粒径が安定しない場合がある。更には、トナーが粉砕機内部に付着する場合もあり、(以下、この現象を融着と表記する)安定した粉砕ができなくなる場合があった。
上記製造の安定性及び融着は、溶融混練粉砕法におけるトナー製造、特に小粒径トナー製造においての課題でもあった。
本発明は、上記課題を解決し、溶融混練粉砕法におけるトナー粒子の小粒径化及び生産性の向上を達成するトナー製造用機械式粉砕機及びトナーを製造する粉砕工程システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、上記課題を解決し、トナー粒子の小粒径化と生産性の向上を実現できることを見出した。
すなわち、本発明は、内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
中心回転軸に取り付けられ、円柱形の外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子とを有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とが形成する隙間に被粉砕物を通過させて粉砕するトナー製造用機械式粉砕機であって、
前記回転子は、被粉砕物の通過方向の下流側に表面が周方向全面に平坦部の領域があることを特徴とするトナー製造用機械式粉砕機に関する。
また、本発明は、トナーを製造する粉砕工程システムであって、
該システムは、第一の粉砕工程と第二の粉砕工程を有し、第一の粉砕工程で微粉砕品を作製し、該微粉砕品を第二の粉砕工程にて粉砕し、
前記第一または第二の粉砕工程で用いる粉砕機は、どちらか一方を上記構成のトナー製造用機械式粉砕機を用いることを特徴とするトナーを製造する粉砕工程システムに関する。
さらに、本発明は、トナーを製造する粉砕工程システムであって、
該システムは、第一の粉砕工程と第二の粉砕工程を有し、第一の粉砕工程で微粉砕品を作製し、該微粉砕品を第二の粉砕工程にて粉砕し、
少なくとも前記第二の粉砕工程で用いる粉砕機は、上記構成のトナー製造用機械式粉砕機を用いることを特徴とするトナーを製造する粉砕工程システムに関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によると、溶融混練粉砕法におけるトナー粒子の生産性の向上と小粒径化を両立させることができるトナー製造用機械式粉砕機及びトナーを製造する粉砕工程システムを提供することができる。
上記効果が得られる要因については、明確になっていないが、以下のように想定している。
一般に、粉砕は体積粉砕と表面粉砕に分類されるが、粉砕機内においては体積粉砕と表面粉砕は同時に実施され、其々の粉砕の強度や割合で被粉砕物は任意の粒径と円形度を得ると推測される。
表面粉砕は表面を削りながら粉砕するので、円形度を決定付ける粉砕として支配的であり、表面粉砕の割合が大きくなると円形度は上昇する。
前述の円形度に関する課題に対して、本発明者らは粉砕工程における表面粉砕成分の増加に着目し鋭意研究を行った。その結果、粉砕機の回転子の下流側の複数の凸部と凹部(以下:刃とも表記する)をなくし平坦部を設けることで、粉砕機内での工程において表面粉砕の割合を増加させ円形度のばらつきを抑制することができたものである。
図4は、本発明の構成での粉砕機内での粉砕工程を示したモデル図である。
粉砕機に投入されたトナー原料は、回転子の刃により固定子に飛ばされ、固定子に衝突して粉砕されている。この時の粉砕は体積粉砕の割合が大きく、トナー原料が破壊されて細かくなっていく。
その後、回転子の刃のない領域を通過するときには、トナーは固定子に衝突することはほとんどなく、固定子の表面をこすりながら下流へと移動する。この領域では体積粉砕は行われず、表面粉砕のみが実施される。
本発明の骨子は、粉砕工程の下流領域において、表面粉砕を選択的に生成させることであり、その結果上記円形度のばらつきを抑えたトナー製造用機械式粉砕機を提供するものである。
更にトナーの小粒径化においては、前述したように粉砕機にかかる負担は上昇し、粉砕機内部の温度上昇は顕著になる。温度上昇に伴い前述したような粒径の安定性低下や生産性の低下の課題があった。
本発明の機械式粉砕機は、回転子の下流側に平坦部を設ける構成である。
回転子の下流側に平坦部を設けると、粉砕工程としては不利であるが、本発明の構成とした機械式粉砕機においては、狙い粒径に粉砕するために回転子の回転速度を上昇させた場合においても、従来の機械式粉砕機と比べて機内の温度上昇を抑えることができることを本発明者らは実験的に確認した。
本発明の機械式粉砕機が従来機に比べて優位となるメカニズムは現在調査中であるが、以下のように推測している。
本発明者らが機械式粉砕機を用いて粉砕する工程は、数100~数10μmの中砕と呼ばれる領域のトナー原料を、微粉砕領域から数μmの超微粉砕に粉砕する粒径領域となる。
機械式粉砕機でのトナー原料の粉砕過程において、中砕から微粉砕への粉砕が実施される機内の上流部分では主として体積粉砕が行われ、微粉砕から超微粉砕が行われる下流側の領域では、体積粉砕に加えて表面粉砕も同時に行われると推測される。
粉砕に必要なエネルギーは体積粉砕が表面粉砕に比べはるかに大きく、発生する熱エネルギーも大きくなる。
従来の粉砕機の場合、主として体積粉砕が行われる上流で発生した熱エネルギーはトナーに蓄積される。下流側においても継続して体積粉砕が実施されるため、トナーに悪影響を及ぼす温度の閾値を超えてしまう場合があると考えられる。
さらには、狙い粒径が小粒径になるほど、表面粉砕に必要なエネルギーの閾値以上のエネルギーがトナーに与えられてしまい、昇温が加速してしまうのではないかと推測している。
一方、本発明の粉砕機の場合、下流側の回転子の平坦部を設け、下流領域での体積粉砕が行われないようにすることで不必要なエネルギーがトナーに与えられにくくなり、適度なエネルギーで表面粉砕が行われると推測している。このことより、上流側でトナーに蓄積されたネルエネルギーが下流領域において悪影響を及ぼす温度の閾値を超えることなく表面粉砕が行われると推測している。
その結果、本発明の粉砕機を用いた場合、従来粉砕機に比べて機内温度の低下効果が得られ、粉砕粒径の安定化、融着リスクの低減の効果が得られ、高い生産性と小粒径化が両立できると考えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例に用いられる機械式粉砕機の概略図である。
【
図2】本発明の実施例に用いられる機械式粉砕機の回転子と固定子の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
【0010】
まず、トナー製造用機械式粉砕機による粉砕方法の概略を、
図3を用いて説明する。
【0011】
図3では、横型の一般的な機械式粉砕機の概略断面図を示しているが、縦型であっても構わない。ケーシング、ケーシング内にあって冷却水を通水できるジャケット、ケーシング内にあって中心回転軸に取り付けられた回転体からなる高速回転する円柱形の外周面に複数の刃が設けられている回転子103、回転子103を内包しその外周に一定間隔を保持して配置されている表面に複数の刃が設けられている固定子104、更に、被処理原料を導入する為の原料投入口101、処理後の粉体を排出する為の原料排出口106とから構成されている。
【0012】
上記構成からなる機械式粉砕機では、定量供給機から機械式粉砕機の原料投入口101へ所定量の粉体原料が投入されると、原料は機械式粉砕機内の前室1021を通過し、回転子103と固定子104の間隙による粉砕処理部を通過し、後室105を通過し、後室105と連通する排出口106より排出される。被粉砕物は該粉砕処理部内で高速回転する回転子の刃と、固定子の刃による往復運動、衝突により粉砕される。被粉砕物及び粉砕後のトナー粒子は、吸引ブロアー(不図示)により引かれるエアー(空気)の気流に乗って装置システムの系外に排出される。
【0013】
このような機械式粉砕機としては、イノマイザー(ホソカワミクロン社製)、クリプトリン(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)、トルネードミル(日機装社製)などを挙げることができる。これらをそのまま、あるいは適宜改造して用いることができる。
【0014】
図3に示した従来の機械式粉砕機は、固定子と回転子が対向する表面全域に刃が構成されている。
【0015】
これに対し、本発明においては、
図1及び
図2により例示されるように、被粉砕物の通過方向の下流側で回転子の刃がなく、周方向全面が平坦部(図中、103-2)となっている。
【0016】
これより、前述した
図4のモデル図に示されるような作用効果を得て粉砕機内部の粉砕の働きを変化させることができ、円形度のばらつき抑制、被粉砕物の降温作用が生じると考えている。
【0017】
被粉砕物の降温作用に関しては、本発明において、回転子の平坦部と固定子とが形成する隙間を広げることがさらに有効である。
【0018】
本発明において、下流側の回転子平坦部表面と固定子凸部との隙間(距離)は、上流側の刃のある回転子の領域の隙間に対して1.2倍以上5.0倍以下であることが本発明では好ましい。
【0019】
上記隙間の比が1.2倍より小さい場合は、被粉砕物の降温効果が小さく、効果が得られにくくなる場合がある。
【0020】
上記隙間の比が5.0倍よりも大きい場合は、下流側での表面粉砕に要するエネルギーが低下しすぎてしまい、円形度ばらつき抑制効果が得られにくくなる場合がある。
【0021】
本発明において、回転子の平坦部の領域は、回転子全体の長さを1とした場合、回転子の下流側端部を起点に回転軸上流方向へ1/8以上1/2以下の範囲が好ましい。
【0022】
上記領域の回転軸方向の範囲が1/8よりも小さいと、本発明の効果である被粉砕物の降温効果が小さくなり、効果が得られにくくなる場合がある。
【0023】
上記領域の回転軸方向の範囲が1/2よりも大きいと、目標粒径を得るために、より高速で回転子を回転させなければならなくなってしまい、製造条件に制限が発生してしまう場合がある。
【0024】
(粉砕工程システム)
粉砕法によるトナーの製造方法においては、粒径2mm程度にする粗粉砕工程と、所望の粒径にする微粉砕工程との間に中粉砕工程を入れても良く、本発明の粉砕プロセスはこの中粉砕工程であってもいいし、微粉砕工程であっても良い。また本発明の粉砕プロセスを直列に2段以上連結して粉砕しても良い。
【0025】
本発明においては、特に重量平均粒径が4μm台の小粒径トナー粉砕工程においては、本発明構成の粉砕機を直列に連結し、二段階で粉砕することも有効である。また、二段階で粉砕処理する場合、第一の粉砕工程、第二の粉砕工程共に本発明構成の粉砕機としてもよいし、いずれかを本発明構成の粉砕機としてもよい。
【0026】
(トナー製造手順)
次に、本発明の粉砕機で、トナー粒子を製造する手順について説明する。
【0027】
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも結着樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。必要に応じて、トナーの加熱定着時にホットオフセットの発生を抑制する離型剤、該離型剤を分散させる分散剤、帯電制御剤などを混合してもよい。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
【0028】
更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。該溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続製造できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0029】
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕される。更に、本発明に係わる機械式粉砕機および粉砕工程システムにて微粉砕される。粉砕工程では、このように段階的に所定のトナー粒径まで粉砕される。
【0030】
次に、トナー粒子の重量平均粒径(D4)及び円形度の測定方法について説明する。
【0031】
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、50μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒径分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
【0032】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
【0033】
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
【0034】
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
【0035】
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を1μm以上30μm以下に設定する。
【0036】
具体的な測定法は以下の通りである。
【0037】
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
【0038】
<トナー粒子の円形度の測定方法>
トナー粒子の円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
【0039】
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
【0040】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、トナー粒子の円形度を求める。
【0041】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
【0042】
尚、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の効果を具体的に説明するための実施例を示す。
【0044】
〔実施例1〕
本実施例においては、粉砕機に
図1に示したものを用いる。
【0045】
図1に示す粉砕機の構成は、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250-CRS-ローター形状RS型)を、本発明の構成に改造したものである。
【0046】
図2は、回転子と固定子の構成を模式的に示した図である。
【0047】
図2において、L1は回転子103の刃がある部分103-1の領域を示している。L2は回転子の刃のない部分(平坦部)103-2の領域を示している。
【0048】
D1及びD2は回転子と固定子の隙間を示しており、D1は前記L1の領域での回転子と固定子の隙間を示し、D2は前記L2の領域の回転子と固定子の隙間を示している。
【0049】
なお、ここでいう隙間とは、L1の領域は対向する刃の先端と先端(凸部と凸部)との距離をいう。L2の領域は固定子の刃の先端と回転子の平坦部との距離をいう。
【0050】
上記機械式粉砕機を用い、以下に示す条件にて粉砕品を製造した。粉砕に用いる原料は、一般的に市販されている結着樹脂、色材、離型剤等を上述の原料混合、溶融混練、粗粉砕により平均粒径100μm程度にして用いた。
【0051】
<条件1>Feed=30kg/h
図1に示す粉砕機を用い供給口からトナー原料を30kg/h、冷風を風量4m
3/min流入させ、冷風温度-10℃、の条件でトナー原料の粉砕を行った。
【0052】
なお、本条件での粉砕機の構成は、
図2において、D1=1.0mm、D2=1.0mmとし、L1=240mm、L2=80mm(回転子下流端から1/4の領域)とした。
【0053】
条件1では、まず粉砕品の重量平均粒径が6.8~7.0μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約30kgの粉砕品を得た。
【0054】
<条件2>Feed=40kg/h
本条件では、条件1と同様の粉砕機の構成にて、供給口からトナー原料を40kg/hとし、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃、の条件でトナー原料の粉砕を行った。
【0055】
条件2においても、粉砕品の重量平均粒径が6.8~7.0μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約40kgの粉砕品を得た。
【0056】
〔比較例1〕
本比較例においては、粉砕機に
図3に示したものを用いる。
【0057】
図3に示す粉砕機は、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250-CRS-ローター形状RS型)であり、回転子は固定子と対向する全領域において刃がある。また、固定子と回転子の隙間の距離は1.0mmとした。
【0058】
本比較例において、実施例1と同じトナー原料を用い、実施例1と同様に、供給口からトナー原料を条件1で30kg/h、条件2で40kg/hとし、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃、の条件でトナー原料の粉砕を行った。
【0059】
本比較例においても、粉砕品の重量平均粒径が各条件で6.8~7.0μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い、条件1にて約30kg、条件2にて約40kgの粉砕品を得た。
【0060】
実施例1及び比較例1では、製造した微粉砕品の円形度の測定を行った。評価は、円形度の分布から±3σの円形度分布幅を求め、以下のランク付けを行った。
【0061】
円形度分布(ばらつき)の評価ランク:
A・・・分布幅0.04未満であり分布幅は小さい。
B・・・分布幅0.04以上0.05未満。
C・・・分布幅0.05以上であり分布幅は大きい。
【0062】
実施例1及び比較例1での各条件での評価結果を表1に示す。
【0063】
表1に示されるように、本構成での粉砕機にて製造した粉砕品は円形度の分布幅が小さく、ばらつきが少ないトナーを得ることができる。
【0064】
また、比較例に比べて、処理量を増加させてより厳しい条件においては2ランク上昇しており、効果はより顕著に表れている。
【0065】
【0066】
〔実施例2〕
本実施例においても、粉砕機に
図1に示したものを用いる。
【0067】
本実施例では、
図2に示す回転子103と固定子104の隙間D1及びD2を変化させて粉砕品の製造を行った。
【0068】
具体的には、D1及びD2を各条件で表2に示す値とし、上流側の回転子と固定子の隙間D1に対する下流側の隙間D2の比(D2/D1)を1.0~5.2の範囲で変化させた。
【0069】
なお、本実施例での下流側の隙間を広げた領域は、
図2において、L1=240mm、L2=80mm(回転子下流端から1/4の領域)とした。
【0070】
粉砕品の製造条件は、供給口から実施例1と同じトナー原料を40kg/h、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃、の条件で粉砕を行った。
【0071】
なお、本実施例では、粉砕品の重量平均粒径が6.8~7.0μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400kgの粉砕品を得るものとする。
【0072】
〔比較例2〕
本比較例では、比較例1と同様の粉砕機の構成、条件にて連続10時間製造を行い約400kgの粉砕品を得るものとする。
【0073】
実施例2及び比較例2では、実施例1及び比較例1の評価で実施した円形度評価に加え、製造した微粉砕品を1時間毎にサンプリングし、重量平均粒径(D4)を測定し、微粉砕品の粒径安定性の評価を行った。
【0074】
評価は、サンプリングした粒径の最大値と最小値の差を算出し、以下のランク付けを行った。
【0075】
粒径安定性の評価ランク:
A・・・0.2μm未満であり良好。
B・・・0.2μm以上0.4μm未満であり、実用上問題のないレベル。
C・・・0.4μm以上であり実用上問題レベル。
【0076】
さらに、連続10時間の製造後装置を停止し、回転子及び固定子のトナーの付着度合い(汚れ)を目視で確認した。
【0077】
評価ランクは以下とする。
トナー付着の評価ランク:
A・・・付着はほとんどなく非常に優れている。
B・・・若干付着は認められるが実用上問題のないレベルである。
C・・・付着が認められ実用上問題がある。
【0078】
総合評価:
A・・・各評価項目においてすべてAランクであった。
B・・・各評価項目において、最低ランクにBランクが1項目でもあった。
C・・・各評価項目において、最低ランクにCランクが1項目でもあった。
【0079】
以上の評価結果を表2にまとめて示す。
【0080】
表2に示すように、本発明の構成である実施例においては、良好な結果が得られている。特に、回転子の刃がある領域D1と刃のない領域のD2の比率D2/D1が1.2~5.0の範囲においては全項目において良好な結果が得られている。
【0081】
【0082】
〔実施例3〕
本実施例においても、粉砕機に
図1に示したものを用いる。
【0083】
本実施例では
図2に示す回転子103の刃のない部分(平坦部)の領域L2を変化させて粉砕品の製造を行った。
【0084】
具体的には、表3に示す各条件でL1及びL2を変化させ、回転子の下流端からの領域を1/9から3/5まで変化させた。
【0085】
なお、本実施例での他の粉砕機の構成は、
図2において、D1=1.0mm、D2=1.5mmとした。
【0086】
粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料を40kg/h、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃、の条件でトナー原料の粉砕を行った。
【0087】
なお、本実施例では、粉砕品の重量平均粒径が6.8~7.0μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400kgの粉砕品を得るものとする。
【0088】
実施例3においても、実施例1、2及び比較例1、2と同様の評価を実施し、結果を合わせて表3に示した。
【0089】
なお、本実施例において、回転子の下流端からの平坦部の領域が3/5の条件においては、粉砕機の回転速度の上限でも設定の粒径には達せず、供給口からのトナー原料の供給量を30kg/hに下げて粉砕品を作製した。
【0090】
ゆえに、処理量のランク付けを追加した。
【0091】
処理量の評価:
A・・・設定粒径に対し40kg/h以上の処理量が得られた。
B・・・設定粒径に対し30kg/hの処理量が得られたが、40Kkg/hの処理量は得られなかった。
C・・・設定粒径に対し20kg/hの処理量が得られたが、30kg/hの処理量は得られなかった。
【0092】
表3に示すように、本発明の構成である実施例においては、良好な結果が得られている。特に、下流側の回転子の平坦部の領域が回転子下流端から1/8~1/2である場合、全項目において良好な結果が得られている。
【0093】
【0094】
〔実施例4〕
(二段階の粉砕処理:第二工程のみ本発明構成の粉砕機)
本実施例では、第一の粉砕工程として比較例1で用いた従来構成の粉砕機を用い、第二の粉砕工程として実施例1で用いた構成の本発明の粉砕機を用いて粉砕品を作製した。
【0095】
本実施例では、重量平均粒径が4.0~4.2μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径6.8~7.0μmとし、粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料を40kg/h、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃、の条件でトナー原料の粉砕を行った。
【0096】
なお、本実施例においても、粉砕品の重量平均粒径が6.8~7.0μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約40kgの粉砕品を得るものとする。
【0097】
次いで、第一粉砕工程で得られた粉砕品を第二粉砕工程として、粉砕品の重量平均粒径が4.0~4.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約40kgの粉砕品を得るものとする。
【0098】
〔実施例5〕
(二段階の粉砕処理:第一、第二工程ともに本発明の粉砕機)
本実施例では、第一の粉砕工程及び第二の粉砕工程ともに実施例1で用いた構成の粉砕機を用いて粉砕品を作製した。
【0099】
本実施例においても、実施例4と同様に、重量平均粒径が4.0~4.2μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径6.8~7.0μmとし、粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料を40kg/h、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃、の条件でトナー原料の粉砕を行った。
【0100】
なお、本実施例においても、粉砕品の重量平均粒径が6.8~7.0μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約40kgの粉砕品を得るものとする。
【0101】
次いで、第一粉砕工程で得られた粉砕品を第二粉砕工程として、粉砕品の重量平均粒径が4.0~4.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約40kgの粉砕品を得るものとする。
【0102】
〔実施例6〕
(二段階の粉砕処理:第一工程のみ本発明の粉砕機)
本実施例では、第一の粉砕工程として実施例1で用いた本発明の構成の粉砕機を用い、第二の粉砕工程として比較例1で用いた構成の従来構成の粉砕機を用いて粉砕品を作製した。
【0103】
本実施例においても、実施例4と同様に重量平均粒径が4.0~4.2μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径6.8~7.0μmとし、粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料を40kg/h、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃、の条件でトナー原料の粉砕を行った。
【0104】
なお、本実施例においても、粉砕品の重量平均粒径が6.8~7.0μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約40kgの粉砕品を得るものとする。
【0105】
次いで、第一粉砕工程で得られた粉砕品を第二粉砕工程として、粉砕品の重量平均粒径が4.0~4.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約40kgの粉砕品を得るものとする。
【0106】
〔比較例3〕
(二段階の粉砕処理:第一、第二工程ともに従来の粉砕機)
本比較例では、第一の粉砕工程及び第二の粉砕工程ともに比較例1で用いた従来構成の粉砕機を用いて粉砕品を作製した。
【0107】
本比較例においても実施例4と同様に、重量平均粒径が4.0~4.2μmの粉砕品を得るために、第一の粉砕工程の設定粒径を重量平均粒径6.8~7.0μmとし、粉砕品の製造条件は、供給口からトナー原料を40kg/h、冷風を風量4m3/min流入させ、冷風温度-10℃、の条件でトナー原料の粉砕を行った。
【0108】
なお、比較例においても、粉砕品の重量平均粒径が6.8~7.0μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約40kgの粉砕品を得るものとする。
【0109】
次いで、第一粉砕工程で得られた粉砕品を第二粉砕工程として、粉砕品の重量平均粒径が4.2~4.4μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続1時間製造を行い約40kgの粉砕品を得るものとする。
【0110】
実施例4~6及び、比較例3において、第二工程を終えたトナーを実施例1と同様の評価を行い、表4に合わせて示した。
【0111】
表4に示すように、第一の粉砕工程と第二の粉砕工程を用いる粉砕システムにおいて、少なくともどちらか一方に本発明の構成の粉砕機を用いることで、良好な結果が得られた。
【0112】
更に、少なくとも第二の粉砕工程に本発明の構成である粉砕機を用いることで、さらに良好な結果が得られている。
【0113】
【符号の説明】
【0114】
101:供給口、1021:前室、1022:前室出口部、103:回転子、103-1:複数の凸部と凹部がある部分、103-2:平坦部、104:固定子、105:後室、106:排出口、107:回転軸、108:冷風発生装置、109:冷水供給口、110:冷水排出口