(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240527BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G15/16
(21)【出願番号】P 2020139829
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 真人
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-103365(JP,A)
【文献】特開2021-117435(JP,A)
【文献】特開2010-224284(JP,A)
【文献】特開2011-248051(JP,A)
【文献】特開2008-129115(JP,A)
【文献】特開2019-040017(JP,A)
【文献】特開2003-140517(JP,A)
【文献】特開平05-289489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを除去する除去部と、
長手方向に複数の凸部を有し、第1の方向への回転に応じて前記除去部によって除去された前記トナーを出口へ搬送する搬送部と、
長手方向に分かれた複数の先端部を有し、前記搬送部の前記第1の方向への回転に応じて前記複数の先端部のそれぞれが前記複数の凸部による押圧と前記複数の凸部による押圧からの解放により揺動する揺動部と、
印刷動作の停止中に前記搬送部を回転させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記印刷動作の停止中に、前記搬送部を前記第1の方向へ回転させ、前記複数の先端部のうち前記複数の凸部により押圧をかけられている先端部を前記複数の凸部による押圧から解放した後に、前記搬送部の前記第1の方向への回転を停止させる
、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記印刷動作の停止中に、前記搬送部の前記第1の方向への回転と前記第1の方向への回転の停止を繰り返す、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
トナーを除去する除去部と、
長手方向に複数の凸部を有し、第1の方向への回転に応じて前記除去部によって除去された前記トナーを出口へ搬送する搬送部と、
長手方向に分かれた複数の先端部を有し、前記搬送部の前記第1の方向への回転に応じて前記複数の先端部のそれぞれが前記複数の凸部による押圧と前記複数の凸部による押圧からの解放により揺動する揺動部と、
印刷動作の停止中に前記搬送部を回転させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記印刷動作の停止中に、前記搬送部を前記第1の方向とは反対の第2の方向に回転させ、前記複数の先端部のうち前記複数の凸部により押圧をかけられている先端部を前記複数の凸部による押圧から解放した後に、前記搬送部の前記第2の方向への回転を停止させる
、画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送部は、前記搬送部の前記第2の方向への回転に応じて前記トナーが搬送される方向に沿って前記除去部による除去範囲に対応する範囲から延びる部分の長さが前記印刷動作の停止中における前記搬送部の前記第2の方向への回転に応じて前記トナーが移動する距離よりも長くなるように構成される、請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
トナーを除去する除去部と、
長手方向に複数の凸部を有し、第1の方向への回転に応じて前記除去部によって除去された前記トナーを出口へ搬送する搬送部と、
長手方向に分かれた複数の先端部を有し、前記搬送部の前記第1の方向への回転に応じて前記複数の先端部のそれぞれが前記複数の凸部による押圧と前記複数の凸部による押圧からの解放により揺動する揺動部と、
印刷動作の停止中に前記搬送部を回転させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記搬送部の凸部が前記揺動部の先端部の少なくとも一つを通過するように前記搬送部を回転させる
、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、感光体または転写ベルトのそれぞれの残留トナーを除去するクリーナを備えている。
【0003】
クリーナでは、クリーニングブレードと廃トナーオーガのデッドスペースを起点にして廃トナーが堆積する。廃トナーオーガは、デッドスペースに堆積した廃トナーを搬送することができない。
【0004】
そこで、デッドスペースに廃トナーが堆積するのを防止するために、廃トナーオーガの凹凸を利用して揺動するトナー崩し部材がクリーナに設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、廃トナーオーガの凸部がトナー崩し部材に長期間接すると、トナー崩し部材は変形する恐れがある。トナー崩し部材が変形すると、トナー崩し部材による廃トナーの堆積を防止する効果は低減する。
【0007】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、クリーナ内における廃トナーの堆積を低減することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の画像形成装置は、除去部と、搬送部と、揺動部と、制御部とを備える。除去部は、トナーを除去する。搬送部は、長手方向に複数の凸部を有し、第1の方向への回転に応じて除去部によって除去されたトナーを出口へ搬送する。揺動部は、長手方向に分かれた複数の先端部を有し、搬送部の第1の方向への回転に応じて複数の先端部のそれぞれが複数の凸部による押圧と複数の凸部による押圧からの解放により揺動する。制御部は、印刷動作の停止中に搬送部を回転させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置の構成例の概略を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係るプリンタユニットの構成例の概略を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るクリーニングユニットの構成例の概略を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る廃トナーオーガの構成例の概略を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る廃トナーオーガの構成例の概略を示す正面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係るトナー崩し部材の構成例の概略を示す側面である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係るトナー崩し部材の構成例の概略を示す正面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係るトナー崩し部材の揺動を説明する図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る画像形成装置における廃トナーオーガの回転制御の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る先端部におけるトレース部を説明する図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る凸部の移動量を説明する図である。
【
図12】
図12は、第2の実施形態に係るトナー崩し部材の動作の概略を示す図である。
【
図13】
図13は、第2の実施形態に係る画像形成装置における廃トナーオーガの回転制御の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図14】
図14は、第2の実施形態に係る画像形成装置における廃トナーオーガの構成例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について図面を用いて説明する。
第1の実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式の印刷機能を備えた装置である。画像形成装置は、コピー機能、プリント機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能等を備えたデジタル複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であるものとして説明する。画像形成装置は、非消色性印刷と、消色性印刷の少なくとも何れか一方を行うことが可能である。非消色性印刷は、非消色性トナーを用いる。非消色性トナーは、パーマネントトナー、通常トナー等とも呼ばれる。消色性印刷は、消色性トナーを用いる。消色性トナーは、温度、特定波長の光、圧力等の外的刺激により消色するトナーである。
【0011】
[装置構成]
図1は、画像形成装置1の構成例の概略を示すブロック図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、制御ユニット10と、コントロールパネル30と、スキャナユニット50と、通信回路70と、プリンタユニット100とを備える。
【0012】
制御ユニット10は、画像形成装置1の各部の動作を制御する。制御ユニット10は、制御回路12と、メモリ14と、ストレージ16と、ページメモリ18とを含む。
【0013】
制御回路12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを含む。制御回路12は、CPUに加えて、又はCPUに代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はGPU(Graphics Processing Unit)等を含んでもよい。制御回路12は、制御部の一例である。
【0014】
メモリ14は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含み得る。ROMは、例えば起動プログラム等を記録している。RAMは、例えばCPUの主記憶装置として機能する。
【0015】
ストレージ16は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)を含む。ストレージ16は、HDDに加えて、又はHDDに代えて、SSD(Solid State Drive)等の半導体記憶媒体等を含んでもよい。ストレージ16は、CPUで用いられる制御プログラム、パラメータ等各種情報を記録している。また、ストレージ16は、印刷対象の画像データを記録し得る。
【0016】
ページメモリ18は、少なくとも1ページ分の画像データを展開する記憶領域を有するメモリである。画像データは、ページメモリ18からストレージ16へ転送される。
【0017】
コントロールパネル30は、表示素子32、タッチパネル34、入力ボタン36を含み得る。表示素子32は、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイといった表示素子である。表示素子32は、画像形成装置1の状態、各種設定等の情報を表示する。また、表示素子32は、画像形成装置1の設定等を変更するための選択肢等を表示する。タッチパネル34は、表示素子32の上に設けられている。タッチパネル34は、表示素子32と共にタッチスクリーンを形成する。タッチパネル34は、ユーザの指示を取得する。入力ボタン36は、例えば印刷開始ボタン等を含む。入力ボタン36は、ユーザの指示を取得する。
【0018】
スキャナユニット50は、所定の位置に置かれた記録媒体に描かれている文字、図形、写真等の画像を読み取る。このため、スキャナユニット50は、ラインセンサ51を含む。ラインセンサ51は、CCD(Charge Coupled Device)方式を採用してもよいし、CIS(Contact Image Sensor)方式を採用してもよいし、その他の方式を採用してもよい。スキャナユニット50は、ラインセンサ51を用いて読み取った画像に基づく画像データを生成する。スキャナユニット50は、生成した画像データを制御ユニット10に送信する。
【0019】
通信回路70は、画像形成装置1の外部の機器と通信するための回路である。画像形成装置1は、例えば通信回路70及び通信回路70に接続されたネットワークを介して、パーソナルコンピュータ(PC)等に接続されている。また、画像形成装置1は、通信回路70を介して電話回線に接続されている。
【0020】
プリンタユニット100は、記録媒体に画像を形成する。プリンタユニット100は、例えば、スキャナユニット50によって生成された画像データに基づいて、記録媒体の表面に画像を形成する。また、プリンタユニット100は、ネットワークを介して他の情報処理装置によって送信された画像データに基づいて、記録媒体の表面に画像を形成してもよい。
【0021】
ここでは、タンデム方式のトナー像転写ユニットを用いたプリンタユニット100の例について説明する。プリンタユニット100は、収容部110と、搬送部120と、画像形成部130と、定着器140とを備える。収容部110は、紙、布、プラスチックフィルム等の記録媒体を収容する。記録媒体は、搬送部120によって、収容部110から画像形成部130、定着器140へと順に搬送される。画像形成部130は、記録媒体に、文字、図形、写真等の画像を形成する。定着器140は、記録媒体に形成された画像を定着させる。このようにして、プリンタユニット100は、記録媒体に画像を印刷する。
【0022】
図2は、プリンタユニット100の構成例の概略を示す図である。
図2を参照してプリンタユニット100について説明する。
【0023】
収容部110は、複数の給紙カセットを備える。
図2に示す例では、収容部110は、第1の給紙カセット111、第2の給紙カセット112、及び第3の給紙カセット113を備える。各給紙カセットは、それぞれに所定のサイズ及び種類の記録媒体200を収納する。すなわち、第1の給紙カセット111は、第1の記録媒体201を収容する。第2の給紙カセット112は、第2の記録媒体202を収容する。第3の給紙カセット113は、第3の記録媒体203を収容する。ここでは、3つの給紙カセットの例を示したが、給紙カセットの数は1つでもよいし、いくつであってもよい。
【0024】
各給紙カセットは、ピックアップローラを備える。すなわち、第1の給紙カセット111は、第1のピックアップローラ114を備える。第2の給紙カセット112は、第2のピックアップローラ115を備える。第3の給紙カセット113は、第3のピックアップローラ116を備える。各ピックアップローラは、各給紙カセットから記録媒体200を1枚ずつ取り出す。各ピックアップローラは、取り出した記録媒体200を搬送部120へ供給する。
【0025】
搬送部120は、プリンタユニット100において、記録媒体200を搬送する。搬送部120は、搬送ローラ121~124と、レジストローラ125と、搬送ローラ126とを備える。搬送ローラ121は、第1のピックアップローラ114によって供給された第1の記録媒体201を搬送ローラ124へと搬送する。搬送ローラ122は、第2のピックアップローラ115によって供給された第2の記録媒体202を搬送ローラ124へと搬送する。搬送ローラ123は、第3のピックアップローラ116によって供給された第3の記録媒体203を搬送ローラ124へと搬送する。搬送ローラ124は、記録媒体200をさらにレジストローラ125へと搬送する。レジストローラ125は、後述する画像形成部130の転写部138がトナー像を記録媒体200に転写するタイミングに応じて、記録媒体200を転写部138へ搬送する。搬送ローラ126は、定着器140の下流側に設けられ、記録媒体200を排紙部180へ排出する。排紙部180は、用紙受け面181を備える開口部又はトレイであってよい。搬送部120は、記録媒体200の両面への画像形成時に記録媒体200を反転させる反転部127を備え得る。
【0026】
画像形成部130は、記録媒体200の表面に、トナー像を形成する。画像形成部130は、複数の現像部131~135と、露光器136と、中間転写ベルト137と、転写部138と、図示しない補給部と、転写ベルトクリーナ139とを備える。複数の現像部131~135は、トナーの種類数だけ設けられている。
【0027】
図2に示す例では、画像形成部130は、非消色性印刷の白黒及びカラー印刷と単色の消色性印刷とを行えるように構成されている。すなわち、画像形成部130は、ブラック用現像部131と、シアン用現像部132と、マゼンタ用現像部133と、イエロー用現像部134と、消色性用現像部135とを備える。ブラック用現像部131は、ブラック(K)のトナーに対応する現像部である。シアン用現像部132は、シアン(C)のトナーに対応する現像部である。マゼンタ用現像部133は、マゼンタ(M)のトナーに対応する現像部である。イエロー用現像部134は、イエロー(Y)のトナーに対応する現像部である。消色性用現像部135は、消色性トナーに対応する現像部である。各現像部は、同様の構成を有する。なお、画像形成装置1が非消色性印刷のみを行う場合、消色性用現像部135は省略され得る。画像形成装置1が消色性印刷のみを行う場合、ブラック用現像部131、シアン用現像部132、マゼンタ用現像部133及びイエロー用現像部134は省略され得る。
【0028】
各現像部は、像担持体として機能する感光体ドラム151を備える。各現像部は、感光体ドラム151の周囲に、帯電器152と、現像装置153と、一次転写ローラ154と、クリーニングユニット155と、除電器156とを備える。
【0029】
中間転写ベルト137は、無端ベルトである。中間転写ベルト137は、各現像部の感光体ドラム151と一次転写ローラ154との間を通されている。さらに中間転写ベルト137は、転写部138の支持ローラ1381と、支持ローラ1301とに掛けまわされている。中間転写ベルト137は、
図2において反時計回りに回転する。
【0030】
感光体ドラム151は、表面に感光体層を持つ。感光体ドラム151は、軸周りに、
図2における時計回りに回転する。帯電器152は、感光体ドラム151の表面の感光体層を一様に帯電させる。例えば、帯電器152は、感光体ドラム151の表面を負極性に帯電させる。感光体ドラム151は、像担持体の一例である。
【0031】
露光器136は、各現像部の感光体ドラム151と対向する位置に設けられる。露光器136は、半導体レーザ光源を備える。露光器136は、レーザ光を、ポリゴンミラーなどの光学系を介して、各現像部の感光体ドラム151の表面に照射する。露光器136は、制御ユニット10の制御下で、画像データに基づいて発光を含む動作が制御される。感光体ドラム151の表面では、レーザ光が照射された位置に静電気のパターンが静電潜像として形成される。なお、露光器136は、レーザ光源の代わりに、LED(Light Emitting Diode)を用いてもよい。
【0032】
現像装置153は、感光体ドラム151の表面上の静電潜像をトナーによって現像する。すなわち、感光体ドラム151の静電潜像にトナーが付着する。これによって、感光体ドラム151の表面には、トナー像が形成される。
【0033】
一次転写ローラ154は、感光体ドラム151と対向して、中間転写ベルト137を挟む。一次転写ローラ154は、バイアスローラとして機能する。一次転写ローラ154は、感光体ドラム151の表面のトナー像を中間転写ベルト137上に転写する。この転写を一次転写と称する。ブラック用現像部131と、シアン用現像部132と、マゼンタ用現像部133と、イエロー用現像部134とは、中間転写ベルト137上に各色のトナー像を多重転写し得る。
【0034】
クリーニングユニット155は、感光体ドラム151の表面のトナー像が中間転写ベルト137上に転写される位置の後段に設けられる。クリーニングユニット155は、感光体ドラム151の表面の未転写のトナー等を掻き取って除去する。クリーニングユニット155が除去したトナーは、廃トナータンクに収集され、廃棄される。クリーニングユニット155の構成例については後述する。
【0035】
除電器156は、クリーニングユニット155を通過した感光体ドラム151と対向する。除電器156は、感光体ドラム151の表面に光を照射する。この光照射によって、感光体層は除電され、感光体層の電荷は均一化される。
【0036】
転写部138は、支持ローラ1381と二次転写ローラ1382とを備える。支持ローラ1381と二次転写ローラ1382とは、中間転写ベルト137と記録媒体200とを厚さ方向の両側から挟み込むように構成されている。支持ローラ1381は、中間転写ベルト137の駆動ローラである。二次転写ローラ1382は、中間転写ベルト137を挟んで支持ローラ1381と対向している。転写部138は、中間転写ベルト137の表面上の帯電しているトナー像を記録媒体200の表面に転写する。この転写を二次転写と称する。
【0037】
転写ベルトクリーナ139は、中間転写ベルト137の移動方向において転写部138と現像部との間に配置されている。転写ベルトクリーナ139は、中間転写ベルト137から記録媒体200にトナー像が転写された後に、中間転写ベルト137の表面上の転写されなかったトナーを除去する。
【0038】
定着器140は、記録媒体200に熱と圧力とを与える。定着器140は、この熱と圧力とによって記録媒体200に転写されたトナー像を定着させる。例えば、定着器140は、記録媒体200に消色性トナーで形成された画像を定着させる。定着器140は、消色性トナーを用いて印刷された記録媒体200を、画像を消色する温度以上で加熱することで、当該記録媒体200に印刷された画像を消色させることもできる。すなわち、画像形成装置1は、画像形成と画像消去との両方を行うことができる画像形成兼画像消去装置として機能し得る。
【0039】
[クリーニングユニット構成]
図3は、クリーニングユニット155の構成例の概略を示す図である。
クリーニングユニット155は、クリーニング部材160と、廃トナーオーガ161と、トナー崩し部材162とを備える。
【0040】
クリーニング部材160は、感光体ドラム151の表面の未転写のトナーを除去する部材である。例えば、クリーニング部材160は、感光体ドラム151の長手方向(
図3の手前から奥へ向かう方向)の現像エリア以上の長さを有するブレードである。現像エリアは、感光体ドラム151においてトナーが付着する最大の領域である。クリーニング部材160は、感光体ドラム151の表面と接し、感光体ドラム151の表面からトナーを除去する。クリーニング部材160によって感光体ドラム151から除去されたトナーは、クリーニングユニット155の内部に入る。クリーニング部材160は、除去部の一例である。
【0041】
廃トナーオーガ161は、方向Aまたは方向Aとは反対の方向Bへ回転可能である。方向Aは、第1の方向ともいう。方向Bは、第2の方向ともいう。なお、第1の実施形態では、廃トナーオーガ161は、方向Aへ回転可能であればよく、方向Bへ回転可能でなくてもよい。廃トナーオーガ161は、長手方向(
図3の手前から奥へ向かう方向)に複数の凸部及び複数の凹部を有する凹凸形状で構成される。廃トナーオーガ161は、複数の凸部及び複数の凹部により、方向Aへの回転に応じてクリーニング部材160によって除去されたトナーをクリーニング部材160の出口へ搬送する。ここでは、廃トナーオーガ161は、方向Aへの回転に応じてトナーを
図3の手前から奥へ搬送するものとする。クリーニング部材160の出口は、
図3の奥側のクリーニング部材160の端部に設けられている。クリーニング部材160の出口は、廃トナータンクへつながる。廃トナーオーガ161の構成例については後述する。なお、廃トナーオーガ161は、図示しないギアを介して感光体ドラム151の回転に従動して回転してもいいし、感光体ドラム151とは独立して回転してもよい。廃トナーオーガ161は、搬送部の一例である。
【0042】
トナー崩し部材162は、長手方向(
図3の手前から奥へ向かう方向)に分かれた複数の先端部を有する。例えば、トナー崩し部材162は、感光体ドラム151と廃トナーオーガ161との間のデッドスペースに位置する。複数の先端部のそれぞれは、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じて廃トナーオーガ161の複数の凸部による押し下げと複数の凸部による押し下げからの解放により揺動する。押し下げは、トナー崩し部材162の先端部を第1の状態にする押圧の一例である。押し下げることは、第1の状態にするように押圧をかけることの一例である。
感光体ドラム151から除去されたトナーは、トナー崩し部材162の揺動により、デッドスペースに留まることなく、廃トナーオーガ161のもとへ移動する。トナー崩し部材162の構成例については後述する。トナー崩し部材162は、揺動部の一例である。
【0043】
[廃トナーオーガ構成]
廃トナーオーガ161の構成例について説明する。
図4は、廃トナーオーガ161の構成例の概略を示す斜視図である。
例えば、廃トナーオーガ161は、線径φが1mmの線材を巻いたコイル(またはバネ)で構成されている。
【0044】
図5は、廃トナーオーガ161の構成例の概略を示す正面図である。
図5に示す左側は、
図3の手前側に対応し、
図5に示す右側は、
図3の奥側に対応する。
例えば、廃トナーオーガ161は、線材の長手方向の間隔X1が5.5mmとなるように構成されている。廃トナーオーガ161は、回転中心から見て複数の凸部1611及び複数の凹部1612を有する凹凸形状で構成されている。線材部分が複数の凸部1611となり、線材間が複数の凹部1612となる。間隔X1は、廃トナーオーガ161の長手方向に隣り合う2つの凸部1611間の間隔である。廃トナーオーガ161は、感光体ドラム151の長手方向の現像エリア以上の長さを有する。廃トナーオーガ161は螺旋状に構成されているので、廃トナーオーガ161は、トナーを搬送し易く構成されている。廃トナーオーガ161が方向Aに回転することで、廃トナーオーガ161は、
図5の左側から右側へトナーを出口に向けて搬送する。線径φ及び間隔X1は上述の例に限定されない。線径φ及び間隔X1は適宜変更可能である。
【0045】
なお、廃トナーオーガ161は、回転中心から見て長手方向に複数の凸部1611及び複数の凹部1612を有する凹凸形状で構成されていればよい。廃トナーオーガ161は、コイルによる構成に限定されない。廃トナーオーガ161は、回転中心となる軸に複数の羽根を一定間隔で設けてもよい。この例では、複数の羽根が凸部となり、複数の羽根における羽根間が凹部となる。複数の羽根は、軸に対して直交しないように傾けて設けられる。これは、廃トナーオーガ161の回転により、複数の羽根がトナーを搬送し易くするためである。
【0046】
[トナー崩し部材構成]
トナー崩し部材162の構成例について説明する。
図6は、トナー崩し部材162の構成例の概略を示す側面である。
【0047】
例えば、トナー崩し部材162は、厚さ0.05mmのPET材を長手方向に沿って折り曲げて構成されている。トナー崩し部材162は、長手方向と直交する方向の断面がV字状で構成されている。トナー崩し部材162は、折り目部分を境界に第1部分1621と第2部分1622を備える。トナー崩し部材162は、折り目部分が上方を向くようにクリーニングユニット155内に配置されている。クリーニングユニット155内において、第1部分1621と第2部分1622との間の角度は、上向きに形成されている。第1部分1621と第2部分1622とで形成される角度をθとする。θは、予めθ1となるように設定される。例えば、θ1は、60度である。
【0048】
図7は、トナー崩し部材162の構成例の概略を示す正面図である。
図7に示す左側は、
図3の手前側に対応し、
図7に示す右側は、
図3の奥側に対応する。
例えば、トナー崩し部材162の第2部分1622は、長手方向に複数の先端部1623及び複数の切込部1624を有する凹凸形状で構成されている。複数の先端部1623は、矩形でもいいし、その他の任意の形でもよい。複数の先端部1623の形は限定されない。複数の切込部1624は、第1部分1621と第2部分1622との折り目部分まで形成されていてもいいし、折り目部分と距離をあけて形成されていてもよい。複数の先端部1623は凸部となり、複数の切込部1624は凹部となる。複数の先端部1623及び複数の切込部1624は、感光体ドラム151とクリーニング部材160との接触ニップに沿って第2部分1622に形成されている。トナー崩し部材162の長手方向に隣り合う2つの先端部1623間の間隔X2は、凸部1611間の間隔X1と同じであっても異なっていてもよい。ここでは、先端部1623間の間隔X2は、凸部1611間の間隔X1と異なっているものとする。例えば、先端部1623間の間隔X2は、7.5mmである。
【0049】
なお、トナー崩し部材162の材料は上述の例に限定されない。トナー崩し部材162の材料は適宜選択可能である。トナー崩し部材162の厚さは上述の例に限定されない。トナー崩し部材162の厚さは適宜変更可能である。θ1は上述の例に限定されない。θ1は適宜設定可能である。間隔X2は上述の例に限定されない。間隔X2は適宜変更可能である。なお、複数の先端部1623は互いに独立して可変するように構成されていればよい。そのため、複数の先端部1623は互いに接するように構成されていてもよい。
【0050】
[トナー崩し部材の揺動例]
トナー崩し部材162の揺動例について説明する。
図8は、トナー崩し部材162の揺動を説明する図である。
図8は、トナー崩し部材162の先端部1623が廃トナーオーガ161の凸部1611によって押し下げられた状態を示している。
【0051】
先端部1623は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じて、凸部1611によって押し下げられた状態から凸部1611による押し下げから解放された状態へ遷移する。または、先端部1623は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じて、凸部1611による押し下げから解放された状態から凸部1611によって押し下げられた状態へ遷移する。これは、廃トナーオーガ161が螺旋状の凹凸形状で構成されているからである。先端部1623は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じて、凸部1611と接したり、接しなかったりする。
【0052】
凸部1611によって押し下げられた状態は、凸部1611の位置が先端部1623と被っており、凸部1611が先端部1623の上面と接している状態である。以下では、凸部1611によって押し下げられた状態は、押下げ状態ともいう。押下げ状態では、先端部1623は、凸部1611によって先端部1623の上面に力を加えられているので、凸部1611によって押し下げられる。押下げ状態では、第1部分1621と先端部1623を含む仮想平面とで形成される角度は、θ1よりも小さいθ2である。
【0053】
凸部1611による押し下げから解放された状態は、凸部1611の位置が先端部1623と被っておらず、凸部1611が先端部1623と接していない状態である。以下では、凸部1611による押し下げから解放された状態は、解放状態ともいう。解放状態では、先端部1623は、凸部1611によって力を加えられていないので、凸部1611によって押し下げられない。解放状態では、第1部分1621と先端部1623を含む仮想平面とで形成される角度は、θ1である。
【0054】
先端部1623が押下げ状態から解放状態へ遷移することで、先端部1623の位置は遷移する。第1部分1621と先端部1623を含む仮想平面とで形成される角度は、θ2からθ1へ遷移する。先端部1623が解放状態から押下げ状態へ遷移することで、先端部1623の位置は遷移する。第1部分1621と先端部1623を含む仮想平面とで形成される角度は、θ1からθ2へ遷移する。
【0055】
このように、各先端部1623は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じて、押下げ状態と解放状態を繰り返す。各先端部1623の位置は押下げ状態または解放状態に応じて変わるので、各先端部1623は、押下げ状態と解放状態の繰り返しにより揺動する。トナー崩し部材162は、各先端部1623の揺動により、クリーニングユニット155の内部のデッドスペースの廃トナーを崩すことができる。
【0056】
先端部1623間の間隔X2が凸部1611間の間隔X1と異なる例では、あるタイミングでは、全ての先端部1623のうちの一部(第1の先端部ともいう)が解放状態である。全ての先端部1623のうちの残り(第2の先端部ともいう)は押下げ状態である。廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じて第1の先端部が解放状態から押下げ状態へ遷移すると、第2の先端部が押下げ状態から解放状態へ遷移する。つまり、制御回路12は、廃トナーオーガ161の凸部1611がトナー崩し部材162の先端部1623の少なくとも一つを通過するように廃トナーオーガ161を回転させる。このように、全ての先端部1623が同じタイミングで押下げ状態から解放状態へ遷移しないので、クリーニングユニット155内で発生する振動は低減する。比較例として、先端部1623間の間隔X2が凸部1611間の間隔X1と同じである場合について説明する。全ての先端部1623は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じて、同時に押下げ状態になり、同時に解放状態になる。全ての先端部1623が同じタイミングで押下げ状態から解放状態へ遷移するので、クリーニングユニット155内に激し振動が発生する。
【0057】
[回転制御]
図11は、画像形成装置1における廃トナーオーガ161の回転制御の処理手順を例示するフローチャートである。
なお、以下で説明する処理手順は一例にすぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、処理手順は、実施形態に応じて各処理の省略または置換が可能であり、新たな処理の追加も可能である。
【0058】
制御回路12は、印刷動作の停止中に廃トナーオーガ161を方向Aへ回転させる(ACT1)。ACT1では、例えば、制御回路12は、印刷動作の停止から一定期間経過後に廃トナーオーガ161を方向Aへ回転させる。一定期間の長さは適宜設定可能である。印刷動作は、プリンタユニット100による記録媒体200に対する画像の印刷動作である。例えば、印刷動作の停止中は、少なくともプリンタユニット100による記録媒体200に対するトナー像の形成を停止している間である。
【0059】
制御回路12は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転を停止させる(ACT2)。ACT2では、例えば、制御回路12は、第1の条件を満たした後に廃トナーオーガ161の方向Aへの回転を停止させる。第1の条件は、複数の先端部1623のうち複数の凸部1611により押し下げられている先端部1623を複数の凸部1611による押し下げから解放したことである。第1の条件は、複数の先端部1623のうち複数の凸部1611により押し下げられている先端部1623を複数の凸部1611による押し下げから解放し、さらに、複数の先端部1623のうち複数の凸部1611により押し下げられていない先端部1623を複数の凸部1611により押し下げたことであってもよい。これにより、全ての先端部1623のうちの一部の先端部1623は、押下げ状態から解放状態へ遷移する。解放状態へ遷移した先端部1623は、廃トナーオーガ161が方向Aへの回転を停止している間、解放状態のままである。全ての先端部1623のうちの残りの先端部1623は、解放状態から押下げ状態へ遷移する。押下げ状態へ遷移した先端部1623は、廃トナーオーガ161が方向Aへの回転を停止している間、押下げ状態のままである。ACT2における廃トナーオーガ161の方向Aへの回転量は、第1の条件を満たすように設定される。ACT2における廃トナーオーガ161の方向Aへの回転量の設定例については後述する。
【0060】
制御回路12は、印刷動作を開始するか否かを判断する(ACT3)。ACT3では、例えば、制御回路12は、ユーザによるコピーまたは印刷要求の有無に応じて、印刷動作を開始するか否かを判断する。
【0061】
制御回路12が印刷動作を開始すると判断した場合(ACT3、YES)、処理は、ACT3からACT4へ遷移する。制御回路12は、廃トナーオーガ161を方向Aへ回転させる(ACT4)。ACT4では、例えば、制御回路12は、印刷動作中に、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転を継続する。これにより、廃トナーオーガ161は、方向Aへの回転に応じてクリーニング部材160によって除去されたトナーをクリーニング部材160の出口へ搬送する。
【0062】
制御回路12が印刷動作を開始しないと判断した場合(ACT3、NO)、処理は、ACT3からACT5へ遷移する。制御回路12は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転の停止から一定期間経過したか否かを判断する(ACT5)。ACT5では、例えば、制御回路12は、図示しないタイマーなどを用いて一定期間を計測する。制御回路12が一定期間経過していないと判断した場合(ACT5、NO)、処理は、ACT5からACT3へ遷移する。
【0063】
制御回路12が一定期間経過したと判断した場合(ACT5、YES)、処理は、ACT5からACT1へ遷移する。つまり、制御回路12は、印刷動作の停止中に、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転と、第1の条件を満たした後の方向Aへの回転の停止を繰り返す。全ての先端部1623のうちの押下げ状態となる先端部は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転と方向Aへの回転の停止が繰り返される毎に変わる。同様に、全ての先端部1623のうちの解放状態となる先端部は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転と方向Aへの回転の停止が繰り返される毎に変わる。
【0064】
なお、先端部1623間の間隔X2が凸部1611間の間隔X1と同じ場合、制御回路12は、以下のように廃トナーオーガ161の方向Aへの回転を制御する。ACT2では、例えば、制御回路12は、全ての先端部1623を複数の凸部1611による押し下げから解放した後に廃トナーオーガ161の方向Aへの回転を停止させる。これにより、トナー崩し部材162に形成されている全ての先端部1623は押下げ状態から解放状態へ遷移する。この例では、制御回路12は、印刷動作の停止中に、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転を1回行えばよい。そのため、ACT5の処理は省略される。
【0065】
上述のACT2における廃トナーオーガ161の方向Aへの回転量について説明する。
図10は、先端部1623におけるトレース部を説明する図である。
トレース部は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じて、凸部1611が先端部1623において接しながら通過する部分である。トレース部は、
図10では破線で示される。例えば、トレース部の幅X3は、2.5mmであるが、これに限定されない。
【0066】
図11は、廃トナーオーガ161の長手方向に沿った凸部1611の移動量を説明する図である。
凸部1611は、トレース部の幅X3に凸部1611の線径φの2倍を加えた距離を移動すると、押下げている先端部1623を確実に解放する。例えば、凸部1611の移動距離は、トレース部の幅X3の2.5mmに凸部1611の線径φ1mmの2倍を加えた4.5mmである。制御回路12は、凸部1611が廃トナーオーガ161の長手方向に4.5mmの距離移動するように廃トナーオーガ161を方向Aに回転させる。つまり、ACT2における廃トナーオーガ161の方向Aへの回転量は、トレース部の幅X3と凸部1611の径に基づいて求めることができる。
【0067】
第1の実施形態によれば、制御回路12は、印刷動作の停止中に、廃トナーオーガ161を方向Aへ回転させ、第1の条件を満たした後に方向Aへの回転を停止させる。
これにより、制御回路12は、特定の先端部1623だけが押下げ状態で長期間放置されることを防ぐことができる。仮に先端部1623が押下げ状態で長期間放置されると、先端部1623は押下げ状態から解放状態に遷移した後であっても、歪くせがつく。そのため、第1部分1621と先端部1623を含む仮想平面とで形成される角度はθ1よりも小さくなり、この先端部1623の廃トナーを崩す機能は劣化する。第1の実施形態によれば、制御回路12は、各先端部1623の廃トナーを崩す機能の劣化を防ぐことができる。その結果、クリーニングユニット155内に廃トナーが堆積することを低減することが可能となる。クリーニングユニット155から廃トナーがあふれることもないので、品質を確保することができる。
【0068】
第1の実施形態によれば、制御回路12は、印刷動作の停止中に、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転と、第1の条件を満たした後の方向Aへの回転の停止を繰り返す。
これにより、各先端部1623は、歪くせがつく前に、押下げ状態から解放状態への遷移を繰り返すことができる。各先端部1623は、歪くせがつきにくくなる。
【0069】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、印刷動作の停止中に、廃トナーオーガ161を方向Aではなく方向Bへ回転させる点で第1の実施形態と異なる。
第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。第2の実施形態では、主として、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0070】
[トナー崩し部材の動作例]
トナー崩し部材の動作例について説明する。
図12は、トナー崩し部材162の動作の概略を示す図である。
図12は、トナー崩し部材162の先端部1623が廃トナーオーガ161の凸部1611によって押し上げられた状態を示している。
先端部1623は、廃トナーオーガ161の方向Bへの回転に応じて、解放状態から凸部1611によって押し上げられた状態へ遷移する。押し上げは、トナー崩し部材162の先端部1623を第1の状態とは異なる第2の状態にする押圧の一例である。押し上げることは、第2の状態にするように押圧をかけることの一例である。
【0071】
凸部1611によって押し上げられた状態は、凸部1611の位置が先端部1623と被っており、凸部1611が先端部1623の下面と接している状態である。以下では、凸部1611によって押し上げられた状態は、押上げ状態ともいう。押上げ状態では、先端部1623は、凸部1611によって先端部1623の下面に力を加えられているので、凸部1611によって押し下げられる。押上げ状態の第1部分1621の位置は、押下げ状態の第1部分1621の位置とは異なる位置である。押上げ状態では、第1部分1621と先端部1623を含む仮想平面とで形成される角度は、θ1よりも大きいθ3である。
【0072】
[回転制御]
図13は、画像形成装置1における廃トナーオーガ161の回転制御の処理手順を例示するフローチャートである。
なお、以下で説明する処理手順は一例にすぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、処理手順は、実施形態に応じて各処理の省略または置換が可能であり、新たな処理の追加も可能である。
【0073】
制御回路12は、印刷動作の停止中に廃トナーオーガ161を方向Bへ回転させる(ACT11)。ACT11では、例えば、制御回路12は、印刷動作の停止直後、印刷動作の停止から一定期間経過後に廃トナーオーガ161を方向Bへ回転させる。なお、廃トナーオーガ161が感光体ドラム151の回転に従動して回転する場合、感光体ドラム151の逆回転により、クリーニング部材160がめくれることも起こり得る。そのため、感光体ドラム151と従動して廃トナーオーガ161を方向Bへ回転させてもよいが、制御回路12は、感光体ドラム151を回転させることなく、廃トナーオーガ161を方向Bへ回転させることが好ましい。
【0074】
制御回路12は、廃トナーオーガ161の方向Bへの回転を停止させる(ACT12)。ACT12では、例えば、制御回路12は、第2の条件を満たした後に廃トナーオーガ161の方向Bへの回転を停止させる。第2の条件は、複数の先端部1623のうち複数の凸部1611により押し下げられている先端部1623を複数の凸部1611による押し下げから解放したことである。第2の条件は、複数の先端部1623のうち複数の凸部1611により押し下げられている先端部1623を複数の凸部1611による押し下げから解放し、さらに、複数の先端部1623のうち複数の凸部1611により押し下げられていない先端部1623を複数の凸部1611により押し上げたことであってもよい。これにより、全ての先端部1623のうちの一部の先端部1623は、押下げ状態から解放状態へ遷移する。解放状態へ遷移した先端部1623は、廃トナーオーガ161が回転を停止している間、解放状態のままである。全ての先端部1623のうちの残りの先端部1623は、解放状態から押上げ状態へ遷移する。押上げ状態へ遷移した先端部1623は、廃トナーオーガ161が回転を停止している間、押上げ状態のままである。ACT12における廃トナーオーガ161の方向Bへの回転量は、第2の条件を満たすように設定される。廃トナーオーガ161の方向Bへの回転量は、第1の実施形態で説明したようにトレース部の幅X3と凸部1611の径に基づいて求めることができる。
【0075】
制御回路12は、印刷動作を開始するか否かを判断する(ACT13)。ACT13では、例えば、制御回路12は、ユーザによるコピーまたは印刷要求の有無に応じて、印刷動作を開始するか否かを判断する。
【0076】
制御回路12が印刷動作を開始しないと判断した場合(ACT13、NO)、制御回路12は、印刷動作の開始を待つ。制御回路12が印刷動作を開始すると判断した場合(ACT13、YES)、処理は、ACT13からACT14へ遷移する。制御回路12は、廃トナーオーガ161を方向Aへ回転させる(ACT14)。ACT14では、例えば、制御回路12は、印刷動作中に、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転を継続する。これにより、廃トナーオーガ161は、方向Aへの回転に応じてクリーニング部材160によって除去されたトナーをクリーニング部材160の出口へ搬送する。
【0077】
なお、先端部1623間の間隔X2が凸部1611間の間隔X1と同じ場合、制御回路12は、以下のように廃トナーオーガ161の方向Bへの回転を制御する。ACT12では、例えば、制御回路12は、全ての先端部1623を複数の凸部1611による押し下げから解放した後に廃トナーオーガ161の方向Bへの回転を停止させる。これにより、トナー崩し部材162に形成されている全ての先端部1623は押下げ状態から解放状態へ遷移する。
【0078】
上述のように、制御回路12は、印刷動作の停止中に、廃トナーオーガ161の方向Bへの回転と、方向Bへの回転の停止を1回のみ行う。つまり、制御回路12は、印刷動作の停止中に、第2の条件を満たした後に方向Bへの回転を停止した後、再び廃トナーオーガ161を方向Bへ回転させることはない。これは、押下げ状態の先端部1623が存在しないからである。解放状態または押上げ状態の先端部1623には、廃トナーを崩す機能を劣化させるような歪みくせはつかない。
【0079】
次に、廃トナーオーガ161の好ましい構成例について説明する。
図14は、廃トナーオーガ161の構成例を示す正面図である。
廃トナーオーガ161の長手方向の中心部分は、クリーニング部材160による清掃範囲に対応する。清掃範囲は、感光体ドラム151においてクリーニング部材160によってトナーを除去される範囲である。清掃範囲は、上述の現像エリアに対応する。清掃範囲は、クリーニング部材160によるトナーの除去範囲の一例である。廃トナーオーガ161における清掃範囲に対応する範囲は、クリーニング部材160によって除去されたトナーが降りてくる範囲である。
【0080】
廃トナーオーガ161のうち、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じてトナーが搬送される方向に沿って清掃範囲に対応する範囲から延びる部分を第1の端部という。廃トナーオーガ161のうち、廃トナーオーガ161の方向Bへの回転に応じてトナーが搬送される方向に沿って清掃範囲に対応する範囲から延びる部分を第2の端部という。廃トナーオーガ161の方向Bへの回転に応じてトナーが搬送される方向は、廃トナーオーガ161の方向Aへの回転に応じてトナーが出口へ搬送される方向とは反対である。第1の端部及び第2の端部は、廃トナーオーガ161のうち、何れも清掃範囲に対応する範囲外の部分である。第2の端部は、第1の端部よりもトナーの出口から遠い端部である。廃トナーオーガ161は、清掃範囲に対応する範囲だけでなく、第1の端部及び第2の端部においても複数の凸部1611及び複数の凹部1612を有する凹凸形状で構成されている。第2の端部の長さをX4とする。印刷動作の停止中における廃トナーオーガ161の方向Bへの回転に応じてトナーが移動する距離をYとする。トナーの移動距離Yは、印刷動作の停止中における廃トナーオーガ161の方向Bへの回転量によって決まる。
【0081】
廃トナーオーガ161は、第2の端部の長さX4がトナーの移動距離Yよりも長くなるように構成される。
廃トナーオーガ161の上記構成により、印刷動作の停止中にトナーが出口とは反対方向へ搬送されても、トナーは廃トナーオーガ161の第2の端部内で収まる。つまり、トナーが廃トナーオーガ161の長手方向の先端を超える位置まで搬送されることはない。そのため、トナーが廃トナーオーガ161の長手方向の先端を超える位置まで搬送され、廃トナーオーガ161がここに蓄積したトナーによって固着する可能性を低減できる。廃トナーオーガ161は、印刷動作の停止中に第2の端部の位置まで搬送されたトナーを、方向Aへの回転に応じて出口へ搬送することができる。
【0082】
第2の実施形態によれば、制御回路12は、印刷動作の停止中に、廃トナーオーガ161を方向Bへ回転させ、第2の条件を満たした後に方向Bへの回転を停止させる。
これにより、制御回路12は、印刷動作の停止中に押下げ状態の先端部1623が存在することを防ぐので、各先端部1623の廃トナーを崩す機能の劣化を防げる。その結果、クリーニングユニット155内に廃トナーが堆積することを低減することが可能となる。クリーニングユニット155から廃トナーがあふれることもないので、品質を確保することができる。
【0083】
第2の実施形態によれば、制御回路12は、印刷動作の停止中に、廃トナーオーガ161の方向Bへの回転と、方向Bへの回転の停止を1回のみ行う。
これにより、制御回路12は、印刷動作の停止中に廃トナーオーガ161の回転と停止を繰り返す必要がないので、処理負荷を減らすことができる。
【0084】
第1の実施形態及び第2の実施形態は、クリーニングユニット155を例にして説明したが、クリーニングユニット155に限定されない。転写ベルトクリーナ139もクリーニングユニット155と同様に構成することができる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…画像形成装置、10…制御ユニット、12…制御回路、100…プリンタユニット、130…画像形成部、139…転写ベルトクリーナ、151…感光体ドラム、155…クリーニングユニット、160…クリーニング部材、161…廃トナーオーガ、162…トナー崩し部材、1611…凸部、1612…凹部、1621…第1部分、1622…第2部分、1623…先端部、1624…切込部。