(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】吐出装置
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
B65D47/34 110
(21)【出願番号】P 2020148380
(22)【出願日】2020-09-03
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083998
【氏名又は名称】渡邉 丈夫
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 明人
(72)【発明者】
【氏名】渡部 早紀
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-267559(JP,A)
【文献】特開2002-355293(JP,A)
【文献】特表2007-511339(JP,A)
【文献】特開平11-091815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、前記シリンダの内面に接触して前記シリンダの内部を前記シリンダの軸線方向に往復動するピストンと、前記軸線方向で前記シリンダ側に押圧されて前記ピストンを押圧する操作部と、前記ピストンを前記軸線方向に貫通して形成された流路と
、前記操作部によって押圧される弁体を有しかつ前記弁体が押圧されることにより前記流路を
開く弁機構
と、前記流路の一方の開口端に連通しているノズル孔と、前記ピストンを元の位置に戻す方向に押圧する復帰機構とを備え、前記シリンダの前記ピストンによって区画された内部のうち、前記流路の他方の開口端が開口している一方の内部を内容物が充填されたボトルの口部に連通させて前記ボトルに取り付けられ、前記ピストンが押されて前記一方の内部の容積が減じられることにより、前記流路を経て前記ノズル孔から前記内容物を吐出させる吐出装
置であって、
前記軸線方向で前記操作部と前記ピストンとの間
には、前記ピストンに対して前記操作部を相対移動させるクリアランス
が設けられ、
前記操作部は、前記操作部の操作量が前記クリアランス未満の場合に、前記弁体を押圧して前記流路を開くとともに前記ピストンに対して相対移動し、前記操作量が前記クリアランス以上の場合に、前記弁体を押圧して前記流路を開いた状態を維持しつつ前記ピストンを押圧して前記一方の内部の容積を減じるように構成されている
ことを特徴とする吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出装
置であって、
前記弁機構は、前記流路の内部に挿入されかつ前記操作部に一方の端部が固定され、前記一方の内部に他方の端部が配置されたロッドと、前記ロッドの他方の端部に形成され
た前記弁体と、前記弁体が押し付けられて前記流路を閉じる前記流路の内部に形成された前記ピストンにある弁座部とを有している
ことを特徴とする吐出装置。
【請求項3】
請求
項2に記載の吐出装
置であって、
前記復帰機構は、ばねを含み、
前記シリンダの下端内周面に、前記ばねの一方の端部が当接する第1ばね受け部が形成され、
前記ロッドの他方の端部に、前記ばねの他方の端部が当接する第2ばね受け部が形成されている
ことを特徴とする吐出装置。
【請求項4】
請求
項3に記載の吐出装
置であって、
前記ばねは、円錐ばねを含み、
前記第2ばね受け部の外径は前記第1ばね受け部の外径より小さい
ことを特徴とする吐出装置。
【請求項5】
請求項1ない
し4のいずれか一項に記載の吐出装
置であって、
前記操作部に前記ノズル孔が設けられ、
前記操作部の中心から外れた箇所に、前記中心から半径方向に延びていて、前記操作部を押圧する力が入力される指掛け部が設けられている
ことを特徴とする吐出装置。
【請求項6】
請求項1ない
し5のいずれか一項に記載の吐出装
置であって、
前記シリンダを内部に有しかつ前記口部の外周に嵌合させられるベースキャップを更に備え、
前記ベースキャップは、前記操作部を移動可能に嵌合させた開口部が形成された上面部を有し、
前記操作部の外周部に、前記操作部が前記シリンダ側に押された場合に前記上面部に引っ掛かるストッパー用突起が形成されている
ことを特徴とする吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液状の内容物を吐出させる吐出装置に関し、特に、倒立もしくは傾斜させた状態で内容物を吐出させる吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置を容器本体の口部に取り付けた容器の一例が特許文献1に記載されている。その装置は容器本体の口部に蓋体によって固定されるシリンダと、シリンダ内に押し込められるピストンと、ピストンを元の位置に押し戻すように、ピストンに弾性力を付与するばねと有している。シリンダの底面の中央部に、シリンダとピストンとによって区画されたスペースと容器本体とを連通する開口部が形成されている。ピストンの中央部に筒状の軸孔が一体に形成されている。軸孔の先端部は蓋体の中央部に形成されたガイド筒を通って容器の外側に延び出ており、ノズル部を成している。そのノズル部にシリンダ側にピストンを押し込む力が入力される操作アダプタが装着されている。上記の装置はこのように構成されていることにより、当該装置を取り付けた容器を倒立させると、上述した開口部を介してシリンダとピストンとによって区画されたスペース内に容器本体内に貯留されている薬液が入り込む。その状態で操作アダプタを押し込むと、シリンダ側にピストンが押し込まれて容器本体の内容積が減少する。また、ばねが圧縮される。内容積の減少に伴って容器本体の内部圧力が増大し、それにより軸孔を通ってノズル部から薬液が吐出される。ピストンをシリンダ側に押し込む力を解除すると、ばねの弾性力によってピストンが元の位置に押し戻される。シリンダの内容積が増大すると共にシリンダ内の圧力が低下し、ノズル部から容器本体内に空気が吸入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された容器では、シリンダ側にピストンを押し込むと、容器本体内の圧力が直ちに上昇してノズル部から勢いよく薬液が吐出される。つまり、ノズル部から吐出される薬液の方向や位置などを確認できていない状態で、薬液が勢いよく吐出されるため、ノズル部から吐出された薬液を手で受けにくく、また、手で受けることができたとしても、勢いよく吐出された薬液が手で跳ね返って手や容器の周辺に飛散してしまう可能性がある。
【0005】
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであって、吐出される内容物を受け止めやすく、また、吐出される内容物の勢いをコントロールして内容物が飛散しにくい吐出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、シリンダと、前記シリンダの内面に接触して前記シリンダの内部を前記シリンダの軸線方向に往復動するピストンと、前記軸線方向で前記シリンダ側に押圧されて前記ピストンを押圧する操作部と、前記ピストンを前記軸線方向に貫通して形成された流路と、前記操作部によって押圧される弁体を有しかつ前記弁体が押圧されることにより前記流路を開く弁機構と、前記流路の一方の開口端に連通しているノズル孔と、前記ピストンを元の位置に戻す方向に押圧する復帰機構とを備え、前記シリンダの前記ピストンによって区画された内部のうち、前記流路の他方の開口端が開口している一方の内部を内容物が充填されたボトルの口部に連通させて前記ボトルに取り付けられ、前記ピストンが押されて前記一方の内部の容積が減じられることにより、前記流路を経て前記ノズル孔から前記内容物を吐出させる吐出装置であって、前記軸線方向で前記操作部と前記ピストンとの間には、前記ピストンに対して前記操作部を相対移動させるクリアランスが設けられ、前記操作部は、前記操作部の操作量が前記クリアランス未満の場合に、前記弁体を押圧して前記流路を開くとともに前記ピストンに対して相対移動し、前記操作量が前記クリアランス以上の場合に、前記弁体を押圧して前記流路を開いた状態を維持しつつ前記ピストンを押圧して前記一方の内部の容積を減じるように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この発明では、前記弁機構は、前記流路の内部に挿入されかつ前記操作部に一方の端部が固定され、前記一方の内部に他方の端部が配置されたロッドと、前記ロッドの他方の端部に形成された前記弁体と、前記弁体が押し付けられて前記流路を閉じる前記流路の内部に形成された前記ピストンにある弁座部とを有していてよい。
【0009】
この発明では、前記復帰機構は、ばねを含み、前記シリンダの下端内周面に、前記ばねの一方の端部が当接する第1ばね受け部が形成され、前記ロッドの他方の端部に、前記ばねの他方の端部が当接する第2ばね受け部が形成されていてよい。
【0010】
この発明では、前記ばねは、円錐ばねを含み、前記第2ばね受け部の外径は前記第1ばね受け部の外径より小さくてよい。
【0011】
この発明では、前記操作部に前記ノズル孔が設けられ、前記操作部の中心から外れた箇所に、前記中心から半径方向に延びていて、前記操作部を押圧する力が入力される指掛け部が設けられていてよい。
【0012】
この発明では、前記シリンダを内部に有しかつ前記口部の外周に嵌合させられるベースキャップを更に備え、前記ベースキャップは、前記操作部を移動可能に嵌合させた開口部が形成された上面部を有し、前記操作部の外周部に、前記操作部が前記シリンダ側に押された場合に前記上面部に引っ掛かるストッパー用突起が形成されていてよい。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ボトルを倒立させもしくは傾けると、シリンダのピストンによって区画された内部のうち、流路の他方の開口端が開口している一方の内部に液状の内容物が流入する。その状態で操作部をシリンダ側に押し込むと、流路を開閉する弁機構が作動し、流路が開かれる。一方、軸線方向で操作部とピストンとの間にはクリアランスが設定されているので、ピストンに対して操作部が相対移動する。つまり、ピストンは動かない。また、この状態では、流路が開いているので、ボトルの内部とノズル孔とが流路を介して連通され、内容物は重力によって流路を流動してノズル孔から流出し始める。その流出量は、内容物の自由落下による程度の少ない量である。したがって、使用者は自由落下によって流出した少ない量の内容物によってノズル孔から吐出される内容物の方向や位置などを確認あるいは推定できる。
【0014】
シリンダ側に操作部を更に押し込むと、上述したクリアランスが詰まって操作部と一体となってシリンダ側にピストンが押圧される。これにより、シリンダとピストンとによって区画された空間のうち、流路の他方の開口端が開口している一方の内部の容積が減少してボトル内の圧力が増大する。流路は既に開いているため、内容物はボトル内の圧力によって流路を経てノズル孔から吐出される。その吐出量は、ボトルあるいはシリンダの内容積の減少分、もしくはピストンのストローク量に応じた一定量になる。また、上述したように、ボトルの使用者はノズル孔から吐出する内容物の方向や位置などを既に確認あるいは推定できているため、狙った位置に向けて内容物を吐出させて内容物を確実にあるいは容易に受け止めることができる。すなわち、この発明によれば、操作部を押し込むのと同時に勢いよく内容物が吐出されてしまい、例えば手で受け止めることができなかったり、手で受けたとしても、内容物が手から跳ね返ったりして手やこの発明に係る装置の周辺に内容物が飛散する事態を未然に回避もしくは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の第1実施形態に係る吐出装置を取り付けたボトルの一例の一部を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す吐出装置の一部を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図1に示す吐出装置の他の一部を拡大して示す断面図である。
【
図5】この発明の第1実施形態に係る吐出装置の動作状態を順を追って示す図であって、
図5の(A)は弁機構が閉じている状態を示し、
図5の(B)は弁機構が開いた状態を示し、
図5の(C)は弁機構が開きかつボトルの内部が加圧されて内容物が吐出されている状態を示している。
【
図6】この発明の第2実施形態に係る吐出装置の一例の断面図である。
【
図7】この発明の第3実施形態に係る吐出装置の一例の断面図である。
【
図8】この発明に係る吐出装置の他の例の一部を示す断面図である。
【
図9】この発明に係る吐出装置の更に他の例の一部を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示す吐出装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係る吐出装置は、ボトルの口部に液密状態を維持して装着され、ボトルごと吐出装置を倒立もしくは傾けた状態で、液状の内容物を段階的に吐出するように構成されている。すなわち、吐出装置を倒立もしくは傾けた状態で操作部をボトル側に押し込むと、先ず、弁機構が開いてボトルの内部とノズルとが連通され、ボトルの内部に充填された液状の内容物が重力によってノズルから流出するように構成されている。操作部を更に押し込むと、シリンダ側にピストンが押し込められてボトルの内部が加圧され、ノズルから内容物が吐出されるように構成されている。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態に係る吐出装置を取り付けたボトルの一例の一部を示す断面図である。
図1に示す吐出装置1はボトル2の口部に液密状態を維持して取り付けられる。そのボトル2は一例としてプラスチックボトルであって円筒状の胴部と、胴部の下端部を閉じている底部とが一体に形成されている。吐出装置1は、ここに示す例では、全体として円筒状に形成されており、吐出装置1の外径はボトル2の外径とほぼ同じに設定されている。つまり、ボトル2の半径方向でボトル2の外側に吐出装置1が突出しないように構成されている。こうすることにより、吐出装置1が取り付けられたボトル2の外観を滑らかにし、あるいは、凹凸を少なくしていわゆる見栄えを向上するようになっている。
【0018】
また、吐出装置1はボトル2の口部に取り付けられるベースキャップ3と、ベースキャップ3に着脱自在に嵌合される図示しないオーバーキャップとを備えている。オーバーキャップは後述するノズルを覆うものであって、吐出装置1の使用時には、つまり、ノズルから内容物を吐出するときには、ベースキャップ3から取り外してノズルを露出させる。これに対して吐出装置1の非使用時には、つまり、ノズルから内容物を吐出しないときには、ベースキャップ3に取り付けてノズルを覆うようになっている。そのため、ベースキャップ3にオーバーキャップを取り付けた状態では、上述したように、ノズルが覆われるため、誤操作を抑制できる。
【0019】
ボトル2の口部4は、
図1に示すように、胴部の上端側に形成した円筒状の開口部である。口部4の外周面に雄ねじが形成されており、その雄ねじに嵌まり合う雌ねじがベースキャップ3に形成されている。つまり、ベースキャップ3に口部4をねじ込むようになっている。
【0020】
ベースキャップ3の構成について説明する。ベースキャップ3は、
図1に示すように、口部4の外径より大きい外径の外円筒部5と、外円筒部5の上端部側であってかつ外円筒部5の内側に外円筒部5と同一軸線上に設けられた内円筒部6とを備えている。内円筒部6は口部4の内径より小さい外径であってかつ軸線方向における長さが外円筒部5より短く設定されている。それらの外円筒部5の上端部と内円筒部6の上端部とは半径方向に延びる上面部7によって連結されている。すなわち、外円筒部5と内円筒部6と上面部7とは一体に形成されている。また、外円筒部5の内周面に上述した雌ねじが形成されている。
【0021】
上面部7の中心部には、内円筒部6の内径より小さい内径の開口部が形成されており、その開口部にこの発明の実施形態における操作部に相当するノズルキャップ8が軸線方向(
図1では上下方向)に摺動可能に嵌合されている。ノズルキャップ8の輪郭形状すなわち、開口部に嵌合している部分の輪郭形状は、開口部の形状とほぼ同一であって、開口部の内周縁をガイドとしてノズルキャップ8が軸線方向に移動するように構成されている。なお、開口部とノズルキャップ8との間は空気が流通できるように僅かな隙間が設けられている。
【0022】
ノズルキャップ8における開口部に嵌合している部分は、ボトル2側(
図1での下側)に開口した筒状になっており、これに対してボトル2とは反対側(
図1での上側)の部分は、天面部9によって閉じられている。その天面部9の中心部に、外側(
図1での上側)に向けて突出したノズル12が形成されており、そのノズル12は、ノズルキャップ8の板厚方向に貫通したノズル孔11を有している。そのノズル孔11の開口端側は、開口径が先端側ほど大きくなるロート状(テーパー状)になっており、これに対して、ノズル孔11の基端部側(天面部9の内側)の部分は細い小孔になっている。
【0023】
天面部9の一部はノズル12の中心軸線を中心とした半径方向で外側に延び出ており、その延び出た部分の上面に滑り止めのための凹部や細溝が形成されていてこの部分が指掛け部13となっている。この指掛け部13の先端部(外周側の端部)のノズル12の中心からの半径は上面部7の半径より小さく、オーバーキャップの内部に収まるようになっている。
【0024】
ノズルキャップ8の外周面に、つまり、前述した円筒状の部分に、ストッパー用突起14が形成されている。このストッパー用突起14はノズルキャップ8の下限位置、具体的には、ボトル2側へのノズルキャップ8の押し込み限界位置を規定するためのものであって、ベースキャップ3の上面部7に形成されている開口部より外側に突出している。そのため、ストッパー用突起14が上面部7に引っかかることによってノズルキャップ8をそれ以上はボトル2側に押し込めないようになっている。また、天面部9の内面(
図1での下面)の中心部には、ノズル12の外径より小さい内径の円筒状のボス部15が形成されている。このボス部15の内部に後述するロッドがノズルキャップ8と一体となって軸線方向に移動可能に連結される。また、ボス部15に、当該ボス部15の下端部あるいは先端部(
図1でボス部15の下側の端部)からボトル2とは反対側(
図1での上側)に延びる凹部16が形成されている。その凹部16に後述する円筒部の先端部が摺動するように嵌まり合うようになっている。
【0025】
上述したベースキャップ3の内部にシリンダ17が配置されている。シリンダ17は
図1に示すように、内円筒部6の外周側に嵌合してベースキャップ3に一体化されており、内円筒部6に嵌合している嵌合部に対してその下側の部分の内径が僅かに小さくなっている。また、シリンダ17の上端部には、半径方向に延びる鍔18が形成されている。その鍔18の外径は口部4の先端部の外径(口部4の開口部の外径)程度もしくはそれより僅かに大きい程度の外径である。そして、口部4の先端部(開口端)と鍔18の下面(
図1での下面)との間に、液密性を担保するためにシール材19が挟み込まれている。これら鍔18とシール材19とは、ベースキャップ3を口部4にネジによって取り付けることにより、ベースキャップ3における上面部7と口部4の先端部との間に挟み付けられて口部4を封止するようになっている。
【0026】
シリンダ17の内周面に摺動可能に接触し、シリンダ17の軸線方向に往復動するピストン20がシリンダ17の内部に配置されている。ピストン20はシリンダ17の内部を
図1での上下に区画するディスク部21と、ディスク部21と一体となっていてシリンダ17の内周面に摺動可能に接触する摺動部22とを有している。摺動部22は
図1に示す例では、円筒状に形成され、その円筒状部分の上下二箇所でシリンダ17の内周面に摺動可能に接触するように構成されている。軸線方向でピストン20によって区画されたシリンダ17の内部のうち、ボトル2側の内部Sがこの発明における一方の内部に相当している。なお、ピストン20に、上記の内部Sの圧力がボトル2の外部の圧力すなわち大気圧より低い場合に開き、これとは反対に、内部Sの圧力がボトル2の外部の圧力より高い場合に閉じる図示しないチェック弁が設けられていてよい。そして、後述するように、ピストン20を元の位置に復帰移動することによって、内部Sの圧力がいわゆる負圧になる場合に、そのチェック弁を介して内部Sに空気を流入するようになっていてよい。この発明の実施形態に係る吐出装置1では、上述したチェック弁は特には設けられておらず、内部Sの圧力がいわゆる負圧になる場合には、シリンダ17とピストン20との間の隙間や、鍔18とシール材19との間の隙間、シール材19と口部4の先端部との間の隙間などを介して内部Sに空気が流入するようになっている。
【0027】
ディスク部21の中心部にボトル2とは反対側(
図1での上側)に延びている円筒部23が一体に形成されている。円筒部23の先端部23Aはその下側の部分の板厚より薄く形成されており、その先端部23Aがノズルキャップ8のボス部15に形成された凹部16に摺動するように嵌まり合うようになっている。
図2は、
図1に示す吐出装置1の一部を拡大して示す断面図であり、
図2に示すように、軸線方向で円筒部23の先端部23Aと凹部16の底部16Aとの間にクリアランスCが設定されている。そのクリアランスCはノズルキャップ8をボトル2側に押し込んだときに、ピストン20に対してノズルキャップ8を相対移動させるものである。そのため、例えば、ノズルキャップ8における指掛け部13に指を載せてノズルキャップ8をボトル2側に押し下げると、ノズルキャップ8とピストン20との相対移動が生じ、その相対移動は、ここに示す例では、凹部16の底部16Aに円筒部23の先端部23Aが接触するまで生じるように構成されている。なお、ボス部15の下端部あるいは先端部に対して、円筒部23の下側の厚肉の部分が接触することによって上述した相対移動を阻止するように構成されていてもよい。凹部16の底部16Aに円筒部23の先端部23Aが接触すると、ノズルキャップ8によってピストン20がボトル2側に押され、すなわちノズルキャップ8と一体となってボトル2側にピストン20が移動する。そして、シリンダ17におけるボトル2側の容積あるいはボトル2の実質的な内容積が減少してボトル2の内部が加圧される。
【0028】
上述したクリアランスCはここに示す例では、0.5mm以上であってかつ5.0mm以下に設定されている。これは、クリアランスCが0.5mmより小さい場合には、ノズルキャップ8を押したときに、クリアランスCが直ちに詰まってボトル2側にピストン20が押されてボトル2の内圧が上昇し、それに伴って内容物が吐出されてしまう。すなわち、上述した相対移動が生じている時間が短いために、ノズルキャップ8を押圧してからボトル2内の圧力の上昇によって内容物が吐出されるよりも前に、ノズル12から流出する内容物の方向や位置を把握あるいは確認することが困難になる可能性があるので、これを避けるために、0.5mm以上とした。また、クリアランスCが5.0mmより大きい場合には、ピストン20に対して相対移動するノズルキャップ8の押し込み量が大きくなり、それに伴って装置の全体として大型化する可能性があり、また、ピストン20によってボトル2の内部を加圧するまでに要する時間が長くなる可能性があるので、これらを避けるために5.0mm以下とした。
【0029】
上述したボス部15と円筒部23との内部はボトル2とノズル12とを連通する流路24となっている。その流路24を開閉する弁機構について説明すると、シリンダ17の中心軸線に沿ってロッド25が配置されている。ロッド25の外径はボス部15や円筒部23の内径より小さく設定されている。したがって、具体的には、ロッド25の外周面とボス部15や円筒部23の内周面との間の部分が流路24となっている。そのロッド25の一端部25Aつまり
図2の上下方向でロッド25の上端部25Aはボス部15の内部に配置され、かつ、ボス部15に固定されている。その固定構造は、必要に応じて適宜の構造とすることができる。
図2に示す例では、組み付け性および固定強度を考慮した構造になっている。すなわち、ロッド25の一端部25Aは上向きの矢じり形状になっている。一方、ロッド25の一端部25Aに生じる顎の部分に引っ掛かる鉤部26がボス部15の内周面に形成されている。したがって、ロッド25は鉤部26に引っ掛かってボス部15から抜け出ないようにボス部15に固定される。そのため、ノズルキャップ8をボトル2側に押し下げると、ノズルキャップ8と一体となってボトル2側にロッド25が押し下げられる。
【0030】
図3は、
図1に示す吐出装置1の他の一部を拡大して示す断面図であり、
図3に示すように、ロッド25の他端部に弁体27が一体に形成されている。弁体27はロッド25の一端部25A側から他端部側に向けて外径が次第に増大するテーパー状を成している。円筒部23の下端内周部に、
図1や
図3での上下方向で上側から下側に向けて内径が次第に増大するロート状あるいはテーパー状の弁座部28が形成されている。弁座部28は弁体27よりもノズルキャップ8側つまり
図1や
図3の上下方向で弁体27よりも上側に位置している。弁座部28の最小内径は弁体27の最大外径より小さく設定されている。そのため、弁座部28に対して
図1や
図3の下側から弁体27が係合して流路24を液密状態に閉じるように構成されている。
【0031】
図1や
図3での上下方向でロッド25に形成された弁体27よりも下側の部分に、ロッド25を中心とした円板状の支持部29が一体に形成されている。
図4は支持部29を拡大して示す斜視図である。
図4に示す支持部29はピストン20の内部に配置されるから、その外径はピストン20の内径より小さく設定されている。また、支持部29によってノズル12とボトル2との間での内容物の流動を阻害しないようにするために、
図4に示すように、支持部29におけるロッド25の周囲に、支持部29を板厚方向に貫通する複数の貫通孔30が形成されている。また、半径方向で支持部29とピストン20との間の隙間を内容物が流動できるように構成されている。
【0032】
ノズルキャップ8およびピストン20をボトル2側に押圧する荷重を解除した場合について説明すると、この発明の実施形態に係る吐出装置1には、ノズルキャップ8およびピストン20を元の位置に戻す復帰動作を行う復帰機構が設けられている。ここに示す例では、第1ばね31によってノズルキャップ8およびピストン20を復帰動作させるように構成されている。上記の第1ばね31は円筒形のコイルばねであって、シリンダ17の内部のうち、ディスク部21よりボトル2側の内部Sに、シリンダ17の内周面に沿うように配置されている。つまり、第1ばね31の外径はシリンダ17の内径より小さく設定されている。シリンダ17の下端内周部に第1ばね31の一端部を嵌合させる第1ばね受け部32が設けられている。これと同様の第2ばね受け部33が支持部29の外周部に形成されている。第1ばね31は、これらのばね受け部32,33の間に配置されている。なお、半径方向でシリンダ17の第1ばね受け部32の内側部分は開口部となっており、吐出装置1を傾斜あるいは倒立したときに、その開口部を介してシリンダ17内に充填されている内容物が上記の内部Sに流入するようになっている。
【0033】
支持部29は、上述したように、第1ばね31を介してシリンダ17に支持され、また、第1ばね31の弾性力によって
図1の上下方向で上側に押し上げられている。そのため、上記の弁座部28に対して
図1での下側からロッド25の下端部に形成されている弁体27が接触して両者が密着する。こうして流路24が液密状態に閉じられる。また、ピストン20と支持部29とが一体化され、第1ばね31の弾性力によって支持部29と共に
図1の上下方向で上側にピストン20が押し上げられる。ノズルキャップ8はロッド25を介して支持部29に連結されているから、ノズルキャップ8は支持部29と一体となって
図1の上方向に第1ばね31によって押し上げられる。なお、
図1は、第1ばね31によってノズルキャップ8および支持部29ならびにピストン20が最も上側に押し上げられた状態を示している。上述した第1ばね受け部32がこの発明の実施形態における第1ばね受け部に相当し、第2ばね受け部33がこの発明の実施形態における第2ばね受け部に相当している。
【0034】
次に、上述した構成の吐出装置1の作用について説明する。オーバーキャップを取り外してボトル2が正立している状態、つまりボトル2の口部4に取り付けた吐出装置1が高さ方向で底部の上方に位置している状態から、ボトル2を傾斜あるいは倒立させて高さ方向で底部の下方に吐出装置1を位置させる。こうすることにより、シリンダ17の内部のうち、ディスク部21よりボトル2側の内部Sに、シリンダ17の下端部に形成されている開口部を介してボトル2内の内容物が流入する。その開口部は第1ばね受け部32の内側部分であり、第1ばね受け部32がシリンダ17の内周面に沿って形成されているために、開口部の開口幅あるいは開口面積は大きい。したがって、内容物の流動は特には阻害されないため、内容物の粘度が高い場合であっても、上記の内部Sに内容物をスムースに流入させることができる。内部Sに流入した内容物は下方に向かって流動し、支持部29とピストン20との間の隙間、あるいは、支持部29に形成された貫通孔30に到達する。また、上記の隙間や貫通孔30を通って流路24におけるボトル2側の開口端に内容物が到達する。
【0035】
上述した状態では、ノズルキャップ8はボトル2側に押し込まれていないので、弁座部28と弁体27とは第1ばね31によって互いに密着された状態となっている。
図5は、この発明の第1実施形態に係る吐出装置の動作状態を順を追って示す図であって、ボトル2を傾斜あるいは倒立した状態では、
図5の(A)に示すように、弁機構は閉じており、したがって、ノズル12から内容物が流出あるいは吐出されることはない。
【0036】
ボトル2を倒立もしくは傾けた状態で、例えば指掛け部13に指を掛けてボトル2側に押圧すると、ノズルキャップ8、および、ノズルキャップ8に連結されたロッド25、ならびに、ロッド25に一体の支持部29がボトル2の内部に向けて移動する。ノズルキャップ8とピストン20との間にはクリアランスCが設定されており、また、ピストン20はシリンダ17の内周面に接触あるいは係合しているので、ピストン20は動かない。そのため、弁座部28から弁体27が離隔して弁機構が開く。上述した内部Sや流路24におけるボトル2側の開口端には内容物が到達しているため、弁機構が開くと、重力によって流路24を内容物が流動し、ノズル12から流出し始める。その内容物の流出は内容物の自由落下によるものであるため、内容物の流出量は少なく、また、内容物の流出速度は小さい。
【0037】
指掛け部13をボトル2側に押し込んでいくと、ノズルキャップ8の押し込み量の増大に伴って弁体27と弁座部28との間隔が増大する。つまりノズルキャップ8の押し込み量の増大に伴って弁機構での流路断面積が増大して流路24を流動する内容物の量が増大し、ノズル12からの内容物の流出量が増大する。この内容物の流出状態は、つまりピストン20によってボトル2の内部を加圧していない状態での内容物の流出状態は、凹部16の底部16Aに円筒部23の先端部23Aが接触するまで生じる。また、凹部16の底部16Aに円筒部23の先端部23Aが接触しかつピストン20が動いていない状態での内容物の流出量は、ピストン20によってボトル2の内部を加圧していない状態での最大量となる。
図5の(B)はその状態を示している。
【0038】
凹部16の底部16Aに円筒部23の先端部23Aが接触するまでの間における内容物の流出は上述したように内容物の自由落下や流路断面積の増大によるものであり、ボトル2内を加圧していないため、ボトル2内を加圧する場合と比較して内容物の流出量は少なく、また、内容物の流出速度は小さい。したがって、使用者は内容物の吐出方向や位置を容易に把握あるいは確認できる。言い換えれば、内容物の吐出方向や位置を把握あるいは確認できていない状態で、内容物が勢いよく吐出されてしまい、内容物を例えば手で受けることができない事態を回避もしくは抑制できる。また、ピストン20によってボトル2内を加圧していないため、ノズルキャップ8を押し込むことによる内容物の流出量や吐出量のコントロールなどの吐出操作を容易に行うことができる。
【0039】
凹部16の底部16Aに円筒部23の先端部23Aが接触した状態で、指掛け部13をボトル2側に更に押すと、ノズルキャップ8と一体となってボトル2側にピストン20が移動する。シリンダ17の内部をボトル2側にピストン20が移動した分、ピストン20とシリンダ17とによって区画された内部のうち、一方の内部Sの内容積あるいはボトル2の実質的な内容積が減少してボトル2の内圧が増大する。流路24は内容物によって既に満たされているため、ボトル2内の圧力によって流路24からノズル12に向けて内容物が吐出される。使用者は内容物の吐出方向や位置を既に把握あるいは確認できているので、内容物の吐出量が多くまた吐出速度が高いとしても、例えば手によってノズル12から吐出した内容物を容易に受けることができる。
【0040】
そして、更にノズルキャップ8をボトル2側に押し込むと、ベースキャップ3の上面部7に対してノズルキャップ8の外周面に設けてあるストッパー用突起14が当接し、ノズルキャップ8のそれ以上の移動(押し込み)が阻止される。この位置がノズルキャップ8あるいはピストン20のストロークエンドである。こうして内容物が吐出されてボトル2の内部の圧力が下がり、外部の圧力と平衡すると、内容物の吐出が止まる。
図5の(C)はその状態を示している。
【0041】
また、上記の吐出装置1によれば、ボトル2内が加圧されてノズル12から内容物が吐出させられる量は、ピストン20のストローク量やボトル2内の圧力の増大量に応じた量となる。すなわち、シリンダ17の内径やピストン20のストローク量などによって決まる予め定めた量の内容物を吐出させることができる。特に、この発明の第1実施形態に係る吐出装置1によれば、いわゆる計量室などを介さずにボトル2の内部から直接吐出させるから、1回の吐出操作で吐出させる量を多くすることができる。また、吐出操作の1回目から上述した予め定めた量の内容物を吐出させることができ、内容物を吐出するために、吐出装置1を操作し始めてから内容物の吐出に要する時間を短くできる。
【0042】
これに対して、ボトル2が傾斜あるいは倒立している状態から正立した状態に戻し、また、ノズルキャップ8を押圧する力を解除すると、第1ばね31の弾性力によって支持部29が元の位置に復帰移動させられる。こうしてノズル12側に支持部29およびこれと一体のロッド25ならびにノズルキャップ8が押し上げられる。この状態では、ピストン20はシリンダ17の内周面に接触あるいは係合しているので、ピストン20は動かない。支持部29の復帰移動に伴って弁機構の弁体27と弁座部28の間隔つまり弁機構の流路断面積が次第に狭くなる。弁機構は未だ開いているため、ノズル孔11や流路24内に溜まっている内容物は重力によってボトル2の内部に向けて落下する。
【0043】
また、支持部29の復帰移動に伴って、凹部16の底部16Aと円筒部23の先端部23Aとが互いに離隔してそれらの間のクリアランスCが次第に大きくなる。また、ピストン20に形成されている弁座部28に対して、ロッド25の下端部に形成されている弁体27が次第に接近し、ついには接触する。こうして弁機構が閉じて流路24が封止される。そして、支持部29と一体となってピストン20が上昇する。つまり、ピストン20が元の位置に復帰移動を開始する。
【0044】
ピストン20が復帰移動すると、シリンダ17の内部のうち、ピストン20のディスク部21よりボトル2側の一方の内部Sあるいはボトル2の実質的な内容積が増大し、それに伴って内部Sの圧力が低下する。つまり、内部Sの圧力がボトル2の外部の圧力である大気圧よりも低い、いわゆる負圧になる。この負圧によって上述したシリンダ17とピストン20との間の隙間を介して内部Sに外部の空気が流入し、また、図示しないチェック弁が開いて外部の空気が内部Sに流入する。また、シリンダ17に形成された図示しないストッパーにピストン20が当接することによってピストン20の復帰移動が停止し、ボトル2内に空気が流入してその圧力が外部の圧力と平衡すると、上述した隙間を介した内部Sへの空気の流入や、チェック弁を介した空気の流入が停止する。
【0045】
また、上記構成の吐出装置1を正立させた状態では、ボトル2の下部に内容物が溜まっている。そのため、オーバーキャップを取り外した状態で誤ってノズルキャップ8をベースキャップ3側に押し込んだとしても、ノズル12から内容物が吐出することはない。使用者にとって、意図せずに内容物が吐出することを抑制でき、安心感を得ることができる。さらに、定量吐出のためのいわゆる計量室などを設けていないことにより、装置の全体として構成を簡素化できると共に、部品点数を少なくできるので、製造コストや部材コストを低減でき、吐出装置1を低廉化できる。
【0046】
(第2実施形態)
図6は、この発明の第2実施形態に係る吐出装置1の一例の断面図である。
図6に示す例は、第1ばね31として円筒形のコイルばねに替えて円錐形のコイルばねを使用した例である。すなわち、
図6に示す第1ばね31Aの一端部は他端部より大径を成しており、その大径の一端部はシリンダ17の下端内周部に形成された第1ばね受け部32に嵌合されている。一方、ロッド25の他端部に、第1ばね31Aの小径の他端部が嵌合する第2ばね受け部33が形成されている。
図6に示す第2ばね受け部33の内径は第1ばね31Aの他端部の外径とほぼ同じに設定されており、その第2ばね受け部33の内部に第1ばね31Aが嵌合されている。また、第2ばね受け部33の外径はロッド25の他端部とほぼ同じ外径に形成されている。なお、ここに示す例では、ロッド25の他端部に上記の支持部29は設けられていない。他の構成は
図1に示す構成と同様であるため、
図1に示す構成と同様の構成については
図1と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
次に、この発明の第2実施形態に係る吐出装置1の作用について説明する。第2実施形態であっても、オーバーキャップを取り外してボトル2を傾斜あるいは倒立させると、シリンダ17の下端部に形成されている開口部を介して上述した内部Sにボトル2内の内容物が流入する。その開口部の開口幅あるいは開口面積は大きく設定されているので、内容物の流動が特には阻害されることはない。また、第1ばね31Aの長さ方向で巻き線と巻き線との間には隙間(ピッチ)が設定されているので、内容物の流動は特には阻害されない。つまり、第2実施形態であっても、第1実施形態と同様に、上記の内部Sに内容物をスムースに流入させることができる。
【0048】
指掛け部13に指を掛けてボトル2側に押圧すると、上述した第1実施形態と同様の原理により、ピストン20に対してノズルキャップ8が相対移動し、これにより、弁機構が作動して流路24が開く。ピストン20は動かないので、ボトル2内は加圧されず、内容物は重力によって流路24内を経てノズル12から流出し始める。したがって、第2実施形態であっても、第1実施形態と同様に、その流出した内容物によって、使用者は内容物の吐出方向や位置を容易に把握あるいは確認でき、また、内容物の流出量や吐出量のコントロールなどの吐出操作を容易に行うことができる。つまり、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0049】
さらに、ボトル2側に指掛け部13を更に押すと、ノズルキャップ8と一体となってボトル2側にピストン20が移動し、ピストン20によってボトル2の内部が加圧され、ノズル12から内容物が吐出される。使用者は内容物の吐出方向や位置を既に把握あるいは確認できているので、内容物の吐出量が多くまた吐出速度が高いとしても、手によってノズル12から吐出した内容物を容易に受けることができる。また、第2実施形態では、第1実施形態と比較してピストン20の内側に支持部29が設けられていない。内容物の流動に対して抵抗となる部分が少なくなるので、内容物をよりスムースに吐出することができる。また、装置の全体として簡素化できる。
【0050】
そして、更にノズルキャップ8をボトル2側に押し込むと、ベースキャップ3の上面部7にストッパー用突起14が当接し、ノズルキャップ8のそれ以上の移動(押し込み)が阻止される。そして内容物が吐出されてボトル2の内部の圧力が下がり、外部の圧力と平衡すると、内容物の吐出が止まる。また、ボトル2を正立させると、第1実施形態と同様の原理によってノズルキャップ8やロッド25、ピストン20などが復帰移動し、これにより、弁機構が作動して流路24が閉じる。
【0051】
(第3実施形態)
図7は、この発明の第3実施形態に係る吐出装置1の一例の断面図である。
図7に示す例は、ピストン20とシリンダ17との間に円筒形の第1ばね31を配置すると共に、ノズルキャップ8とピストン20との間に第2ばね34を配置した例である。すなわち、
図7に示す例では、ノズルキャップ8のボス部15の外周面に、ピストン20の円筒部23の先端部23Aが軸線方向に移動可能に嵌まり合うように構成されている。軸線方向で円筒部23の先端部23Aとノズルキャップ8の天面部9の内面との間には、クリアランスCが設定されており、また、円筒部23の先端部23Aとノズルキャップ8の天面部9の内面とが接触することによってノズルキャップ8とピストン20との相対移動が阻止されるようになっている。
【0052】
ノズルキャップ8とピストン20との間に第2ばね34が設けられており、その第2ばね34の弾性力によってボトル2側に押し込んだノズルキャップ8を元の位置に復帰移動させるように構成されている。第2ばね34はここに示す例では円筒形のコイルばねであって、その一端部は円筒部23の外周側に嵌まり合うように円筒部23に沿って配置され、他端部は天面部9に形成された第3ばね受け部35に嵌合されている。第2ばね34のばね定数は第1ばね31のばね定数よりも小さく設定されている。したがって、第2ばね34は、第1ばね31と比較して小さい荷重で変形する。
【0053】
軸線方向におけるディスク部21の両面のうち、ボトル2側の内面に、シリンダ17の下端内周部に形成された第1ばね受け部32と同様の第2ばね受け部33が形成されている。
図7に示す第1ばね31はそれらの第2ばね受け部33と第1ばね受け部32との間に配置されている。そのため、ピストン20は第1ばね31の弾性力を直接受けて元の位置に復帰移動する。つまり、第3実施形態では、第2実施形態と同様に、ロッド25の他端部に上記の支持部29は設けられていない。他の構成は
図1に示す構成と同様であるため、
図1に示す構成と同様の構成については
図1と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
次に、この発明の第3実施形態に係る吐出装置1の作用について説明する。第3実施形態であっても、オーバーキャップを取り外してボトル2を倒立あるいは傾斜させると、シリンダ17の下端部に形成された開口部を介して内部Sに内容物が流入する。その開口部の開口幅や開口面積は各実施形態で説明したように、大きく設定されているので、内容物の流動は特には阻害されない。また、第1ばね31はシリンダ17の内周面に沿って配置されているので、ボトル2から上述した内部Sへの内容物の流動を阻害することはない。そのため、各実施形態と同様に、内容物の粘度が高い場合であっても、上述した内部Sに内容物をスムースに流入させることができる。
【0055】
指掛け部13に指を掛けてボトル2側に押圧すると、第2ばね34が圧縮され、また、ピストン20に対してノズルキャップ8がボトル2側に相対移動する。これにより弁機構が作動し、流路24が開く。内容物は重力によって流路24内を流動し、ノズル12から流出し始める。指掛け部13をボトル2側に更に押し込んでいくと、弁機構での流路断面積が増大し、内容物の流出量が増大する。その流出量は、ボトル2内を加圧する場合と比較して少なく、また、内容物の流出速度は小さい。したがって、各実施形態と同様に、使用者は内容物の吐出方向や位置を容易に把握あるいは確認できると共に、内容物の流出量や吐出量のコントロールなどの吐出操作を容易に行うことができる。
【0056】
さらに、ボトル2側に指掛け部13を更に押すと、クリアランスCが詰まってノズルキャップ8と一体となってボトル2側にピストン20が移動する。第1ばね31は圧縮される。また、ピストン20によってボトル2の内部が加圧されてノズル12から内容物が吐出される。使用者は内容物の吐出方向や位置を既に把握あるいは確認できているので、内容物の吐出量が多くまた吐出速度が高いとしても、例えば手によってノズル12から吐出した内容物を容易に受けることができる。つまり、各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。また、第3実施形態では、第1実施形態と比較してピストン20の内側に支持部29が設けられていないので、内容物の流動に対して抵抗となる部分が少なく、これによっても内容物をスムースに吐出することができる。また、装置の全体として簡素化できる。更にノズルキャップ8をボトル2側に押し込むと、ベースキャップ3の上面部7にストッパー用突起14が当接し、ノズルキャップ8のそれ以上の移動(押し込み)が阻止される。そして内容物が吐出されてボトル2の内部の圧力が下がり、外部の圧力と平衡すると、内容物の吐出が止まる。
【0057】
ボトル2を正立させると、ノズル孔11や流路24に溜まっている内容物が重力によってボトル2内に落下する。ボトル2を正立させた状態でノズルキャップ8を押圧する力を徐々に解除すると、第1ばね31によってピストン20が元の位置に復帰移動させられる。ノズルキャップ8を押圧する力によって第2ばね34が圧縮されている場合には、弁機構は作動し流路24は開いているので、内部Sの容積の増大に伴ってノズル12から外部の空気がボトル2内に流入し、ノズル孔11や流路24に溜まっている内容物は空気と共にボトル2内に戻される。ボトル2の内部の圧力が上昇して、外部の圧力と平衡すると、空気の流入が止まる。ピストン20が元の位置に復帰している状態でノズルキャップ8を押圧する力を解除すると、第2ばね34が伸長し、その第2ばね34によってノズルキャップ8が元の位置に復帰移動させられる。ロッド25はノズルキャップ8と一体となって復帰移動するため、上述した復帰移動によって弁座部28に弁体27が押し付けられて弁機構が閉じられる。
【0058】
なお、この発明は上述した各実施形態に限定されない。
図8は、この発明の実施形態に係る吐出装置1の他の例の一部を示す断面図であり、
図8に示す例は、ノズルキャップ8をボトル2側に移動させる力を軸線方向に対して直交する方向からノズルキャップ8に入力するように構成した例である。すなわち、
図8に示す例では、ベースキャップ3の上部にスリーブ36が一体に設けられている。スリーブ36の外径はベースキャップ3の外径とほぼ同じに設定されており、スリーブ36の内径はベースキャップ3の開口部の内径とほぼ同じに設定されている。そのスリーブ36の内部をノズルキャップ8が軸線方向に移動可能に配置されている。ノズルキャップ8の天面部9は、
図8に示す例では、ノズル12側ほど外径が小さくなるテーパー状に形成されている。ノズルキャップ8の内面にボス部15が形成されており、そのボス部15に軸線方向に窪んだ凹部16が形成されている。なお、
図8に示す例では、半径方向でボス部15の内側に鉤部26が形成されており、その鉤部26に上述したようにロッド25の一端部25Aが引っ掛かるようになっている。また、
図8では、図面を簡単にするために、ロッド25およびロッド25をノズルキャップ8に固定する鉤部26などの記載を省略している。
【0059】
上記のスリーブ36に、吐出装置1の軸線方向に対して直交する方向に延びるスライドバー37が設けられている。そのスライドバー37はスリーブ36を板厚方向に貫通して形成された貫通孔38を貫通している。スライドバー37の一方の端部はスリーブ36の内側に位置しており、その一方の端部に上述した天面部9のテーパー面(傾斜面)9Aに摺接する傾斜面37Aが形成されている。スライドバー37の他方の端部はスリーブ36の外側に突出しており、その他方の端部にスライドバー37を半径方向で内側に押圧する力が入力される押ボタン部37Bが形成されている。押ボタン部37Bの大きさすなわち外径は指によって押圧しやすい大きさに設定されている。他の構成は
図1に示す構成と同様であるため、
図1に示す構成と同様の構成については
図1と同様の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図8に示す構成の吐出装置1の作用について説明する。オーバーキャップを取り外してボトル2を傾斜あるいは倒立させる。この状態で、例えば指によって押ボタン部37Bを押圧してスリーブ36内にスライドバー37を押し込むと、天面部9のテーパー面9Aにスライドバー37の傾斜面37Aが接触する。スライドバー37を更に押し込むと、テーパー面9A上をスライドバー37の傾斜面37Aが半径方向で内側に向かって摺動する。それらテーパー面9Aと傾斜面37Aとが接触している部分では、軸線方向でボトル2の内側にノズルキャップ8を押圧する分力が生じる。その分力によってノズルキャップ8がボトル2側に押し込まれる。上述したように、ノズルキャップ8とピストン20との間にはクリアランスCが設定されているので、ピストン20に対してノズルキャップ8が相対移動して弁機構が作動し、流路24が開く。スライドバー37を更に押し込むと、ノズルキャップ8がボトル2側に更に移動してクリアランスCが詰まり、ノズルキャップ8とピストン20とが一体となってボトル2側に移動する。こうしてボトル2内が加圧され、内容物が吐出される。
【0061】
このように
図8に示す構成であっても、スライドバー37を押圧すると、弁機構は作動し、流路24は開くが、ピストン20は動かないため、内容物は重力によってノズル12から流出し始め、その流出した内容物によって、使用者は内容物の吐出方向や位置を容易に把握あるいは確認できる。また、スライドバー37を押し込んでいくと、弁機構での流路断面積が増大して流出量が増大するので、使用者は内容物の流出量や吐出量を容易にコントロールできる。さらに、スライドバー37を押し込むと、クリアランスCが詰まってボトル2側にピストン20が移動し、ボトル2内が加圧されて内容物が吐出されるが、この状態では、使用者は内容物の吐出方向や位置を既に把握あるいは確認できているので、ノズル12から吐出する内容物を容易に受け止めることができる。つまり、
図8に示す構成であっても、上述した各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0062】
図9は、この発明の実施形態に係る吐出装置1の更に他の例の一部を示す斜視図であり、
図10は、
図9に示す吐出装置1の一部を示す断面図である。ここに示す例は、可及的に小さい力で弁機構を開閉するように構成した例である。すなわち、ここに示す例では、第2種のてこ作用を生じるレバー39がベースキャップ3に回動可能に取り付けられており、そのレバー39によってインナーノズル8Aを軸線方向に移動させるように構成されている。そのインナーノズル8Aはこの発明の実施形態における操作部や、上述した各実施形態でのノズルキャップ8に相当するものであって、ピストン20に対して相対移動可能に構成されている。
【0063】
レバー39は、ベースキャップ3の半径方向に延びる基部39Aを備え、その基部39Aの一方の端部39Bがベースキャップ3に回動可能に取り付けられている。基部39Aの他方の端部39Cは使用者の指が掛けられてボトル2側に押し下げられる指掛け部13となっている。指掛け部13は、当該指掛け部13が所定の待機位置にある場合、もしくは、ベースキャップ3の上限ストッパーに接触している状態では、指掛け部13の上面がほぼ水平となるように、指掛け部13における上記の一方の端部39B側ほど板厚が厚くなる断面三角形状に構成されている。基部39Aの中央部39Dには、インナーノズル8Aが貫通した状態で配置される開口部が形成されており、その開口部の縁部分にノズル12側(
図9での上側)に窪んだ凹部40が形成されている。凹部40はレバー39の長さ方向に延びた半長円形あるいは半楕円状に形成されており、その長さ方向における凹部40の長さはインナーノズル8Aの側面に形成されたピン41の直径より僅かに長く設定されている。つまり、凹部40の内周面は長さ方向に延びた半長円形あるいは半楕円状の曲面40Aとなっており、その凹部40にピン41が配置される。そして、指掛け部13を押圧してレバー39を回動させると、シリンダ17の中心軸線と互いに平行な軸線上で曲面40Aにピン41が接触すると共に、曲面40Aに沿ってピン41が摺動する。こうして、インナーノズル8Aをボトル2側に押し込むようになっている。
【0064】
また、ここに示す例では、ベースキャップ3の上面部7は高低の2段に形成されており、第1上面部7Aは軸線方向で第2上面部7Bよりもノズル12側に位置している。そのベースキャップ3における第1上面部7Aよりも内側(ボトル2側)の部分に、
図9に示すように、軸部42が一体に形成されており、その軸部42に基部39Aの一方の端部39Bが回動可能に嵌まり合うようになっている。軸線方向で第1上面部7Aの下側に位置する第2上面部7は上述した上限ストッパーとして機能する。ベースキャップ3の上面部7は上述したように高低の2段に形成されていることにより、軸線方向でベースキャップ3の第1上面部7Aと第2上面部7Bとの間にスリットが形成される。そのスリットから臨むインナーノズル8Aを覆い隠すスリットカバー39Eが基部39Aにおける開口部を挟んで指掛け部13側に一体に形成されている。
【0065】
インナーノズル8Aは
図10に示すように、円筒状を成しており、その一方の端部は他方の端部よりも小径に形成されている。インナーノズル8Aの他方の端部に軸線方向に窪んだ凹部16が形成されており、その凹部16にピストン20に一体に形成されている円筒部23の先端部23Aが摺動するように嵌まり合うようになっている。その凹部16の底部16Aと円筒部23の先端部23Aとの間に、インナーノズル8Aをボトル2側に押し込んだときに、ピストン20に対してインナーノズル8Aを相対移動させるクリアランスCが設定されている。また、インナーノズル8Aの内部に、上述した鉤部26が形成されており、その鉤部26にロッド25の一端部25Aにおける顎の部分が引っ掛かっている。さらに、
図10に示す例では、ベースキャップ3の上部にトップカバー43が設けられており、インナーノズル8Aとレバー39との連結箇所や動作箇所などを覆い隠すようになっている。そのトップカバー43の中央部には板厚方向に貫通してノズル12が形成されており、そのノズル12内にインナーノズル8Aの一方の端部が軸線方向に移動可能に配置されている。
【0066】
図9および
図10に示す構成の吐出装置1の作用について説明する。オーバーキャップを取り外してボトル2を傾斜あるいは倒立させる。この状態で、例えば指によってレバー39の他方の端部39Cに形成された指掛け部13を押圧すると、その指掛け部13を力点、レバー39の一方の端部39Bを支点、曲面40Aとピン41との接点を作用点とした第2種のてこ作用が生じる。曲面40Aはレバー39の長さ方向でのほぼ中間部に形成されているので、ピン41に作用する荷重は指掛け部13を押圧する力(荷重)のほぼ2倍になる。そのため、小さい力でレバー39を回動して軸線方向でボトル2側にインナーノズル8Aを押し込むことができる。また、上述したように、インナーノズル8Aとピストン20との間にはクリアランスCが設定されているので、ピストン20に対してインナーノズル8Aが相対移動して弁機構が作動して流路24が開く。指掛け部13を更に押圧すると、インナーノズル8Aがボトル2側に更に移動してクリアランスCが詰まり、インナーノズル8Aとピストン20とが一体となってボトル2側に移動する。こうしてボトル2内が加圧され、内容物が吐出される。
【0067】
このように
図9および
図10に示す構成であっても、レバー39を回動すると、その回動の初期段階では、弁機構が作動して流路24が開く。しかしながら、ピストン20は動かないため、内容物は重力によってインナーノズル8Aの一方の端部つまりノズル12から流出し始める。その流出した内容物によって使用者は内容物の吐出方向や位置を容易に把握あるいは確認できる。また、レバー39を回動させることに伴って弁機構での流路断面積が増大すると、内容
物の流出量が増大するので、使用者は内容物の流出量や吐出量を容易にコントロールできる。更に、レバー39を回動すると、クリアランスCが詰まってピストン20がボトル2側に移動してボトル2内が加圧されて内容物が吐出するが、この状態では、使用者は内容物の吐出方向や位置を既に把握あるいは確認できているので、ノズル12から吐出する内容物を容易に受け止めることができる。つまり、
図9および
図10に示す構成であっても各実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0068】
なお、
図8に示す実施形態では、第1実施形態のノズルキャップ8をスライドバー37によってボトル2側に押圧するように構成したが、これに替えて第2実施形態や第3実施形態のノズルキャップ8をスライドバー37によってボトル2側に押圧するように構成してもよい。また、第2実施形態や第3実施形態のノズルキャップ8を
図9および
図10に示す実施形態のレバー39によってボトル2側に押圧するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 吐出装置
2 ボトル
4 口部
7 上面部
8 ノズルキャップ(操作部)
11 ノズル孔
17 シリンダ
20 ピストン
24 流路
25 ロッド
27 弁体(弁機構)
28 弁座部(弁機構)
29 支持部
31 第1ばね(復帰機構)
C クリアランス
S 一方の内部(シリンダのピストンによって区画された内部のうち、流路の他方の開口端が開口している一方の内部)