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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20240527BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240527BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G03G15/01 114
G03G21/16 180
G03G15/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020150923
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045362
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 崇夫
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146849(JP,A)
【文献】特開2018-128646(JP,A)
【文献】特開2018-097039(JP,A)
【文献】特開2015-087714(JP,A)
【文献】特開2017-049381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0085829(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 21/16
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する単一の感光ドラムと、
前記感光ドラムに形成されたトナー像が転写されるベルト部材と、
前記感光ドラムから前記ベルト部材にトナー像を転写する転写部材と、
前記ベルト部材を張架する複数の張架ローラであって、前記ベルト部材の回転方向において、前記転写部材よりも上流側で前記転写部材に隣接する位置に移動可能に設けられた離間ローラを含む複数の張架ローラと、
前記転写部材及び前記離間ローラの位置を変更して前記ベルト部材の張架形状を変更する変更機構であって、前記ベルト部材の張架形態を第1張架形態、第2張架形態、及び、第3張架形態を含む複数の張架形態に切り替え可能に構成され、前記第1張架形態は、前記転写部材を第1位置、前記離間ローラを第2位置に位置させることによって前記転写部材と前記離間ローラの間に転写面を形成して前記感光ドラムから前記ベルト部材にトナー像を転写可能な張架形態であり、前記第2張架形態は、前記転写部材及び前記離間ローラのそれぞれを前記転写面から前記感光ドラムと反対側に離間させる張架形態であり、前記第3張架形態は、前記転写部材が前記第1位置に位置され、前記離間ローラが前記転写面から前記感光ドラムと反対側に離間する第3位置に位置される張架形態である変更機構と、
前記変更機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記ベルト部材の張架形態を前記第2張架形態から前記第1張架形態に切り替る場合は、前記第3張架形態を経由するように前記変更機構を制御することを特徴とするモノクロ用の画像形成装置。
【請求項2】
前記ベルト部材の張架形状が前記第3張架形態では画像形成動作が行われないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモノクロ用の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ベルト部材の張架形態を前記第1張架形態から前記第2張架形態に切り替る場合は、前記第3張架形態を経由するように前記変更機構を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のモノクロ用の画像形成装置。
【請求項4】
前記変更機構は、
前記転写部材を移動させるための第1カム面と、前記離間ローラを移動させるための第2カム面と、を有し、移動可能に設けられたスライド部材と、
前記スライド部材に当接するように設けられ、前記スライド部材を移動させる回転可能なカムと、を備え、
前記制御部は、前記カムの位相を制御することを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のモノクロ用の画像形成装置。
【請求項5】
トナー像を担持する単一の感光ドラムと、
前記感光ドラムに形成されたトナー像が転写されるベルト部材と、
前記感光ドラムから前記ベルト部材にトナー像を転写する転写部材と、
前記ベルト部材を張架する複数の張架ローラであって、前記ベルト部材の回転方向において、前記転写部材よりも上流側で前記転写部材に隣接する位置に移動可能に設けられた離間ローラを含む複数の張架ローラと、
位相を変更することによって、前記転写部材及び前記離間ローラの位置を変更する変更機構であって、第1位相、第2位相、及び、第3位相を含む複数の位相に切り替えに構成され、前記第1位相は、前記転写部材が第1位置に、前記離間ローラが第2位置に位置する位相であり、前記第2位相は、前記転写部材が前記第1位置に、前記離間ローラが前記第2位置から前記感光ドラムと反対側に離間した位置に位置する位相であり、前記第3位相は、前記転写部材が第1位置から前記感光ドラムと反対側に離間した位置に位置し、前記離間ローラが前記第2位置から前記感光ドラムと反対側に離間した位置に位置する位相である変更機構と、
前記変更機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、トナー像を前記感光ドラムから前記ベルト部材に転写する際には、前記変更機構の位相を前記第1位相とするように前記変更機構を制御することを特徴とするモノクロ用の画像形成装置。
【請求項6】
前記変更機構の位相が前記第2位相である場合には画像形成動作が行われないように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のモノクロ用の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記変更機構の位相を前記第3位相から前記第1位相に切り替る場合は、前記第2位相を経由するように前記変更機構を制御することを特徴とする請求項5又は6に記載のモノクロ用の画像形成装置。
【請求項8】
前記変更機構は、
前記転写部材を移動させるための第1カム面と、前記離間ローラを移動させるための第2カム面と、を有し、移動可能に設けられたスライド部材と、
前記スライド部材に当接するように設けられ、前記スライド部材を移動させる回転可能なカムと、を備え、
前記制御部は、前記カムの位相を制御することを特徴とする請求項5ないし7の何れか1項に記載のモノクロ用の画像形成装置。
【請求項9】
トナー像を担持する単一の感光ドラムと、
前記感光ドラムに形成されたトナー像が転写されるベルト部材と、
前記感光ドラムから前記ベルト部材にトナー像を転写する転写部材と、
前記ベルト部材を張架する複数の張架ローラであって、前記ベルト部材の回転方向において、前記転写部材よりも上流側で前記転写部材に隣接する位置に移動可能に設けられた離間ローラを含む複数の張架ローラと、
位相を変更することによって、前記転写部材及び前記離間ローラの位置を変更する変更機構であって、第1位相及び第2位相を含む複数の位相に切り替えに構成され、前記第1位相は、前記転写部材が第1位置に、前記離間ローラが第2位置に位置する位相であり、前記第2位相は、前記転写部材が前記第1位置に、前記離間ローラが前記第2位置から前記感光ドラムと反対側に離間した位置に位置する位相である変更機構と、
前記変更機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、トナー像を前記感光ドラムから前記ベルト部材に転写する際には、前記変更機構の位相を前記第1位相とするように前記変更機構を制御し、
前記変更機構の位相が前記第2位相である場合には画像形成動作が行われないことを特徴とするモノクロ用の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に関し、特に、モノクロ用の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置において、感光ドラムなどの像担持体から中間転写ベルト(ベルト部材)にトナー像を一次転写し、中間転写ベルトから記録材にトナー像を二次転写する中間転写方式の構成が知られている。また、複数の画像形成部を有する構成で、複数の画像形成部を用いてフルカラーの画像形成を行うと共に、複数の画像形成部からカラーの画像形成部を取り外しブラックの画像形成部のみを用いてモノクロの画像形成を行う構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-232130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フルカラーの画像形成とモノクロの画像形成を行える構成において、上述の特許文献1のようにカラーの画像形成部を着脱する以外に、全ての画像形成部を装着したまま、中間転写ベルトを像担持体に当接又は離間させる構成がある。中間転写ベルトは、複数の張架ローラにより張架され、そのうちの1つの張架ローラを移動可能な離間ローラとし、離間ローラを移動させることで中間転写ベルトを像担持体に当接又は離間させる。例えば、フルカラーの画像形成を行う場合には、全ての像担持体に中間転写ベルトが当接するように離間ローラを移動させる(第1張架断面)。一方、モノクロの画像形成を行う場合には、ブラックの像担持体にのみ中間転写ベルトを当接させ、他の像担持体から中間転写ベルトを離間させるように離間ローラを移動させる(第2張架断面)。
【0005】
このような構成において、特許文献1のようにカラーの画像形成部を取り外してモノクロの画像形成を行う際に、中間転写ベルトの張架断面を第2張架断面とした場合、中間転写ベルトの張力が第1張架断面とした場合よりも低くなる。このため、中間転写ベルトから記録材にトナー像を転写する二次転写部に記録材が突入した際の衝撃により、記録材に転写される画像の画質が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、モノクロ用の画像形成装置において、転写画像の画質の低下を抑制できる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、トナー像を担持する単一の感光ドラムと、前記感光ドラムに形成されたトナー像が転写されるベルト部材と、前記感光ドラムから前記ベルト部材にトナー像を転写する転写部材と、前記ベルト部材を張架する複数の張架ローラであって、前記ベルト部材の回転方向において、前記転写部材よりも上流側で前記転写部材に隣接する位置に移動可能に設けられた離間ローラを含む複数の張架ローラと、前記転写部材及び前記離間ローラの位置を変更して前記ベルト部材の張架形状を変更する変更機構であって、前記ベルト部材の張架形態を第1張架形態、第2張架形態、及び、第3張架形態を含む複数の張架形態に切り替え可能に構成され、前記第1張架形態は、前記転写部材を第1位置、前記離間ローラを第2位置に位置させることによって前記転写部材と前記離間ローラの間に転写面を形成して前記感光ドラムから前記ベルト部材にトナー像を転写可能な張架形態であり、前記第2張架形態は、前記転写部材及び前記離間ローラのそれぞれを前記転写面から前記感光ドラムと反対側に離間させる張架形態であり、前記第3張架形態は、前記転写部材が前記第1位置に位置され、前記離間ローラが前記転写面から前記感光ドラムと反対側に離間する第3位置に位置される張架形態である変更機構と、前記変更機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ベルト部材の張架形態を前記第2張架形態から前記第1張架形態に切り替る場合は、前記第3張架形態を経由するように前記変更機構を制御することを特徴とするモノクロ用の画像形成装置である。
また、本発明の一態様は、トナー像を担持する単一の感光ドラムと、前記感光ドラムに形成されたトナー像が転写されるベルト部材と、前記感光ドラムから前記ベルト部材にトナー像を転写する転写部材と、前記ベルト部材を張架する複数の張架ローラであって、前記ベルト部材の回転方向において、前記転写部材よりも上流側で前記転写部材に隣接する位置に移動可能に設けられた離間ローラを含む複数の張架ローラと、位相を変更することによって、前記転写部材及び前記離間ローラの位置を変更する変更機構であって、第1位相、第2位相、及び、第3位相を含む複数の位相に切り替えに構成され、前記第1位相は、前記転写部材が第1位置に、前記離間ローラが第2位置に位置する位相であり、前記第2位相は、前記転写部材が前記第1位置に、前記離間ローラが前記第2位置から前記感光ドラムと反対側に離間した位置に位置する位相であり、前記第3位相は、前記転写部材が第1位置から前記感光ドラムと反対側に離間した位置に位置し、前記離間ローラが前記第2位置から前記感光ドラムと反対側に離間した位置に位置する位相である変更機構と、前記変更機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、トナー像を前記感光ドラムから前記ベルト部材に転写する際には、前記変更機構の位相を前記第1位相とするように前記変更機構を制御することを特徴とするモノクロ用の画像形成装置である。
また、本発明の一態様は、トナー像を担持する単一の感光ドラムと、前記感光ドラムに形成されたトナー像が転写されるベルト部材と、前記感光ドラムから前記ベルト部材にトナー像を転写する転写部材と、前記ベルト部材を張架する複数の張架ローラであって、前記ベルト部材の回転方向において、前記転写部材よりも上流側で前記転写部材に隣接する位置に移動可能に設けられた離間ローラを含む複数の張架ローラと、位相を変更することによって、前記転写部材及び前記離間ローラの位置を変更する変更機構であって、第1位相及び第2位相を含む複数の位相に切り替えに構成され、前記第1位相は、前記転写部材が第1位置に、前記離間ローラが第2位置に位置する位相であり、前記第2位相は、前記転写部材が前記第1位置に、前記離間ローラが前記第2位置から前記感光ドラムと反対側に離間した位置に位置する位相である変更機構と、前記変更機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、トナー像を前記感光ドラムから前記ベルト部材に転写する際には、前記変更機構の位相を前記第1位相とするように前記変更機構を制御し、前記変更機構の位相が前記第2位相である場合には画像形成動作が行われないことを特徴とするモノクロ用の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モノクロ用の画像形成装置において、転写画像の画質の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るフルカラー画像形成装置の概略構成を示す断面図。
図2】本実施形態に係るモノクロ画像形成装置の概略構成を示す断面図。
図3】(a)フルカラーの中間転写ユニットの斜視図、(b)中間転写ベルトを取外した状態のフルカラーの中間転写ユニットの斜視図。
図4】ベルト自動調芯機構の斜視図。
図5】ベルト自動調芯機構の端部の拡大斜視図。
図6】(a)ベルトの定常状態におけるベルトの巻き付き領域を示す模式図、(b)ベルトに寄りが生じた状態におけるベルトの巻き付き領域を示す模式図。
図7】本実施形態に係る離間スライダの模式図。
図8】フルカラーの中間転写ユニットにおいて、(a)フルカラーモードにおける離間機構の状態を模式図、(b)離間モノクロモードにおける離間機構の状態を模式図、(c)全離間モードにおける離間機構の状態を模式図。
図9】中間転写ユニットを装置本体から着脱するための構成を示す概略構成断面図。
図10】(a)モノクロの中間転写ユニットの斜視図、(b)中間転写ベルトを取外した状態のモノクロの中間転写ユニットの斜視図。
図11】モノクロの中間転写ユニットにおいて、(a)モノクロモードにおける離間機構の状態を模式図、(b)全離間モードにおける離間機構の状態を模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について、図1ないし図11を用いて説明する。本実施形態では、複数色のトナーで画像形成するフルカラー画像形成装置200(図1)と、モノクロ画像形成装置200K(図2)の基本構成(少なくとも一部)が共通化されている。そして、フルカラー画像形成装置200(図1)に用いられるベルト搬送装置としての中間転写ユニット20と、モノクロ画像形成装置200K(図2)に用いられるベルト搬送装置としての中間転写ユニット20Kの基本構成が共通化されている。まず、本実施形態のフルカラー画像形成装置200の概略構成について、図1を用いて説明する。
【0011】
[フルカラー画像形成装置]
第1の画像形成装置としてのフルカラー画像形成装置(フルカラー用の画像形成装置)200は、装置本体の内部に4つの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd及び中間転写ユニット20を備えた、所謂中間転写タンデム方式のプリンタである。なお、画像形成部の数(即ち、複数の第2像担持体の数)は、上述の数に限らず、2個以上の複数であれば良い。装置本体は、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdや中間転写ユニット20を支持する筐体(本体フレーム)201や化粧カバー(不図示)などによって構成される。
【0012】
フルカラー画像形成装置200は、原稿から読取った画像情報や、外部機器から入力された画像情報に基づいて記録材Sに画像を形成して出力する。なお、記録材Sは、普通紙の他にも、コート紙等の特殊紙、封筒やインデックス紙等の特殊形状を有するもの、オーバーヘッドプロジェクタ用のプラスチックフィルム、布等のシートを含むものとする。
【0013】
複数の第2画像形成部としての画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナー像を形成する画像形成ユニットであり、それぞれ電子写真用の第2像担持体である感光ドラム1a、1b、1c、1dを備えている。各画像形成部の構成は、現像に用いるトナーの色が異なる以外は基本的に同様であるため、以下、イエローの画像形成部Paの構成を例にして説明する。
【0014】
画像形成部Paは、ドラム状の感光体である感光ドラム1aの周囲に、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、及びドラムクリーナ6を備えている。画像形成動作が開始すると、感光ドラム1aが回転駆動され、帯電装置2によって感光ドラム1aの表面が一様に帯電させられた後、露光装置3によってドラム表面に静電潜像が形成される。感光ドラム1aに形成された静電潜像は、現像容器41の内部に現像剤を収容する現像装置4からイエローのトナーを供給されることで可視化(現像)されてトナー像となる。即ち、帯電装置2、露光装置3、及び現像装置4は、第2像担持体としての感光ドラム1aにトナー像を形成するトナー像形成手段を構成する。
【0015】
なお、筐体201には、補給用の現像剤を収容する現像剤収容容器Ta、Tb、Tc、Tdが着脱可能に装着されている。例えば、現像剤収容容器Taには、イエローのトナーを含む現像剤が収容されており、補給装置70aを介して現像容器41に適宜補給される。また、現像剤としては、磁性キャリア及び非磁性トナーを含む二成分現像剤、磁性トナーによって構成される一成分現像剤、又はキャリア液中にトナー粒子を分散させた液体現像剤を用いることができる。
【0016】
第2中間転写ユニットとしての中間転写ユニット20は、無端状の第2ベルト部材である中間転写ベルト7と、中間転写ベルト7が張架される複数の張架部材としての張架ローラとを備えている。中間転写ベルト7は、具体的には、複数の第2張架ローラである二次転写内ローラ8、ステアリングローラ17、離間ローラ19、及び上流ガイドローラ18に巻き回され、外周面において画像形成部Pa~Pdの感光ドラム1a~1dに対向している。
【0017】
また、中間転写ベルト7の内周側には、一次転写手段の一例である複数の転写部材としての一次転写ローラ5a、5b、5c、5dが配置されている。一次転写ローラ5a~5dは、画像形成部Pa~Pdの感光ドラム1a~1dのそれぞれに対応する位置に配置され、感光ドラム1a~1dから中間転写ベルト7へのトナー像の転写が行われる一次転写部T1a、T1b、T1c、T1dを形成している。
【0018】
中間転写ベルト7は、二次転写ローラとしての二次転写内ローラ8が不図示のモータによって所定方向(矢印R8)に回転駆動されることで、感光ドラム1a~1dの回転(矢印R1、R2、R3、R4)に連れ回る方向(矢印R7)に回転する。即ち、二次転写内ローラ8は、中間転写ベルト7を回転駆動する駆動ローラでもある。
【0019】
また、二次転写内ローラ8は、中間転写ベルト7の回転方向に関して、上流ガイドローラ18の更に下流側に配置されている。このような二次転写内ローラ8は、中間転写ベルト7を挟んで二次転写外ローラ9に対向しており、中間転写ベルト7の二次転写内ローラ8に張架された部分と二次転写外ローラ9の間にニップ部として二次転写部T2を形成している。二次転写内ローラ8は、中間転写ベルト7から記録材Sにトナー像を転写させるためのローラでもある。
【0020】
ステアリングローラ17は、中間転写ベルト7の回転方向に関して、離間ローラ19の更に上流側に配置されている。このようなステアリングローラ17は、詳しくは後述するように、中間転写ベルト7の回転方向に交差する(本実施形態では直交する)幅方向の位置を制御する調芯機能を有する。また、ステアリングローラ17は、中間転写ベルト7に張力を付与するテンションローラでもある。
【0021】
上流ガイドローラ18は、中間転写ベルト7の回転方向に関して、二次転写内ローラ8の上流かつ一次転写ローラ5a~5dの下流に配置され、中間転写ベルト7が一定の方向から二次転写部T2に進入するように中間転写ベルト7を案内する。また、上流ガイドローラ18及び離間ローラ19は、中間転写ベルト7の回転方向に関して、中間転写ベルト7のうち複数の感光ドラム1a~1dに対向する部分の上流側及び下流側に配置される一対の張架ローラである。上流ガイドローラ18は、一対の張架ローラのうち対向する部分の下流側に配置された張架ローラである。そして、上流ガイドローラ18及び離間ローラ19により、複数の感光ドラム1a~1dから中間転写ベルト7にトナー像が転写される転写面を形成可能である。
【0022】
第2離間ローラとしての離間ローラ19は、移動可能で、中間転写ベルト7の回転方向に関して、ステアリングローラ17の下流かつ一次転写ローラ5a~5dの上流に配置される。また、離間ローラ19は、第2離間機構としての離間機構300(後述、図8(a)~(c)参照)により移動させられることで、中間転写ベルト7の回転方向に沿った断面である張架断面を変更可能である。即ち、離間ローラ19は、複数の張架部材のうちの少なくとも何れかの張架部材に相当する。離間機構300は、詳しくは後述するように、離間ローラ19及び一次転写ローラ5a~5dを移動させることで、中間転写ベルト7の外周面を感光ドラム1a~1dの一部又は全部から離間させることが可能である。
【0023】
他の画像形成部Pb~Pdにおいても画像形成部Paと同様の画像形成動作によって感光ドラム1b~1dに、それぞれマゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして、感光ドラム1a~1dに形成されたトナー像は、一次転写ローラ5a~5dに印加される静電バイアス(転写バイアス)により、一次転写部T1a~T1dにおいて中間転写ベルト7に一次転写される。このとき、カラー画像を形成する場合には、各感光ドラム1a~1dに担持されたトナー像が互いに重なり合った状態となるように多重転写される。一次転写部T1a~T1dを通過した後に感光ドラム1a~1dに残った転写残トナー等の付着物は、ドラムクリーナ6によって除去される。
【0024】
中間転写ベルト7に担持されたトナー像は、二次転写外ローラ9に静電バイアスが印加されることにより、二次転写部T2において記録材Sに二次転写される。二次転写部T2を通過した後に中間転写ベルト7に残った転写残トナー等の付着物は、ベルトクリーニング装置11によって除去される。
【0025】
このような画像形成動作に並行して、給送カセット60にセットされた記録材Sが給送ローラ等の給送機構61によって、レジストレーションローラ対62に向けて給送される。レジストレーションローラ対62は、記録材Sの斜行補正を行うと共に、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdによる画像形成動作の進行に合わせて記録材Sを二次転写部T2に送り込む。
【0026】
二次転写部T2において未定着のトナー像を転写された記録材Sは、定着装置13へと受け渡される。定着装置13は、ハロゲンヒータ等の熱源によって加熱される加熱ローラ14と、加熱ローラ14に圧接する対向ローラ15とを有し、記録材Sを挟持して搬送しながらトナー像に熱及び圧力を付与する。これにより、トナー粒子が溶融・固着して画像が記録材Sに定着する。
【0027】
定着装置13を通過した記録材Sは、装置本体の上部に設けられた排出トレイ63へと排出される。また、両面印刷を行う場合は、不図示の反転搬送路を介して第1面(表面)と第2面(裏面)とを反転した状態の記録材Sがレジストレーションローラ対62に再搬送される。そして、二次転写部T2及び定着装置13を通過して裏面に画像を形成された記録材Sが排出トレイ63に排出される。
【0028】
なお、装置本体の上面には、ユーザーインターフェースとなる操作表示部40が設けられている。操作表示部40は、現在の設定情報等を表示可能な液晶パネルと、ユーザーが情報を入力可能な各種ボタン等を備え、例えば、出力画像をカラー画像とモノクロ画像との間で切換える設定を行うことができる。
【0029】
また、装置本体には、操作表示部40を介して入力される情報に基づいてフルカラー画像形成装置200の動作を統括制御する第2制御部としての制御部50が搭載されている。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0030】
また、装置本体は、中間転写ベルト7の外周面に担持されたトナー像の濃度を検知可能な濃度検知手段としてのパッチセンサPSを有する。パッチセンサPSは、中間転写ベルト7の回転方向に関して、最も下流側の画像形成部Pdの感光ドラム1dの下流側で、上流ガイドローラ18の上流側に、中間転写ベルト7の外周面に対向するように配置されている。このようなパッチセンサPSは、例えば、発光部と受光部とを有し、発光部から中間転写ベルト7の外周面に向けて光を照射し、反射した光を受光部で受光することで、中間転写ベルト7上のトナー像の濃度を検知可能である。制御部50は、パッチセンサPSを用いて出力画像の濃度調整のための制御を実行可能である。例えば、制御部50は、所定枚数毎に中間転写ベルト7の外周面に制御用画像としてのパッチ画像を形成し、パッチ画像の濃度をパッチセンサPSにより検知する。そして、この検知結果に基づいて現像装置4へのトナー補給量を調整することで、出力画像の濃度を適正に保つようにする。
【0031】
このようなフルカラー画像形成装置200は、第1モードとしてのフルカラーモードと、第2モードとしての離間モノクロモードと、当接モノクロモードを実行可能である。フルカラーモードは、複数の感光ドラム1a~1dを用いて画像形成を行うモードである。離間モノクロモード及び当接モノクロモードは、それぞれ複数の感光ドラム1a~1dのうちの1つの感光ドラム1dを用いて画像形成を行うモードである。離間モノクロモードでは、1つの感光ドラム1dを中間転写ベルト7の外周面に当接させると共に他の(残りの)感光ドラム1a~1cを中間転写ベルト7から離間させた状態で、感光ドラム1dにのみブラックのトナー像を形成する。一方、当接モノクロモードでは、複数の感光ドラム1a~1dの全てを中間転写ベルト7の外周面に当接させた状態E、感光ドラム1dにのみブラックのトナー像を形成し、他の感光ドラム1a~1cにはトナー像を形成しない。
【0032】
また、フルカラー画像形成装置200は、複数の感光ドラム1a~1dの全てを中間転写ベルト7から離間させる全離間モードを実行可能である。中間転写ユニット20は、このような各モードを実行すべく、詳しく後述するように、中間転写ベルト7の張架断面を変更可能である。
【0033】
[モノクロ画像形成装置]
次に、第2の画像形成装置としてのモノクロ画像形成装置(モノクロ用の画像形成装置)200Kについて、図2を用いて説明する。モノクロ画像形成装置200Kは、筐体201の内部に1つの画像形成部(第1画像形成部)Pd及びモノクロ画像形成装置200Kに対応した中間転写ユニット(第1中間転写ユニット)20Kを備えた、所謂中間転写方式のプリンタである。
【0034】
モノクロ画像形成装置200Kは、上述したフルカラー画像形成装置200と共通の筐体201を用い、画像形成部Pa、Pb、Pcと現像剤収容容器Ta、Tb、Tc、対応する補給装置70a、70b、70c(不図示)が取り外されて構成される。また、第1ベルト部材としての中間転写ベルト7は、複数の第1張架ローラである二次転写内ローラ8、ステアリングローラ17、離間ローラ19、及び上流ガイドローラ18に巻き回され、外周面において画像形成部Pdの感光ドラム1dに対向している。モノクロ画像形成装置200Kの感光ドラム(第1像担持体)1dの中間転写ベルト(第1ベルト部材)7に対する位置は、フルカラー画像形成装置200の感光ドラム(第2像担持体)1dの中間転写ベルト(第2ベルト部材)7に対する位置と同じである。その他の構成及び作用は、上述のフルカラー画像形成装置200と同様であるため、同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
なお、モノクロ画像形成装置200Kの装置本体は、フルカラー画像形成装置200と共通の筐体201が用いられるが、化粧カバーは取り外された画像形成部Pa、Pb、Pcなどを覆うため、モノクロ画像形成装置専用としても良い。尚、本実施形態における筐体201とは、画像形成装置の骨格部であり、金属部材で骨組みされた部分である。また、本実施形態における筐体201は、フルカラー画像形成装置200とモノクロ画像形成装置200Kで全く同じ場合を例に説明しているが、必ずしも完全に同じでなくても良い。例えば、フルカラー画像形成装置200とモノクロ画像形成装置200Kを識別するための刻印が設けられても良い。また、筐体の大部分が共通構成であり、一方の装置にだけ部分的に補強する補強ステイが追加されていても良い。このような場合は、筐体201の基本構成が実質的に同じと見做すことができる。
【0036】
また、フルカラー画像形成装置200に対応した中間転写ユニット20が、誤ってモノクロ画像形成装置200Kに装着されることを防止するために、モノクロ画像形成装置200Kに中間転写ユニット20が装着できないように、非互換構成を設けても良い。同様に、フルカラー画像形成装置200に中間転写ユニット20Kが装着できないように、非互換構成を設けても良い。また、非互換構成は、画像形成装置の本体、もしくは、中間転写ユニットのどちらに設けても良い。
【0037】
原稿から読取った画像情報や、外部機器から入力された画像情報に基づいて記録材Sに画像を形成して出力する動作及び構成は、モノクロ画像形成装置200Kが1つの画像形成部Pdしか有していない以外は、フルカラー画像形成装置200と共通である。なお、中間転写ユニット20Kの構成、動作に関しては後述する。
【0038】
このようなモノクロ画像形成装置200Kは、モノクロモードと、モノクロ全離間モードを実行可能である。モノクロモードは、1つの感光ドラム(第1像担持体)1dを用いて画像形成を行うモードである。モノクロ全離間モードは、1つの感光ドラム1dを中間転写ベルト(第1ベルト部材)7から離間させるモードである。中間転写ユニット20Kは、このような各モードを実行すべく、詳しくは後述するように、中間転写ベルト7の張架断面を変更可能である。
【0039】
[中間転写ユニット]
次に、ベルト搬送装置の一例である中間転写ユニット20の内部構成及び中間転写ベルト7のステアリングを行うための構成について、図3(a)ないし図6(b)を用いて説明する。図3(a)、(b)に示す中間転写ユニット20は、フルカラー画像形成装置200に装着される場合の構成を示している。まず、図3(a)~(c)を用いて、中間転写ユニット20の概略構成について説明する。図3(a)、(b)は、中間転写ユニット20の斜視図であり、図3(a)は中間転写ベルト7を張架した状態を示し、図3(b)は中間転写ベルト7を取外した状態を示す。
【0040】
図3(a)、(b)に示すように、中間転写ユニット20は、筐体201によって支持される前フレーム21F及び後フレーム21Rを備えている。前フレーム21Fは、中間転写ユニット20の正面側(図1の手前側、ユーザーが操作する側)の枠体であり、後フレーム21Rはその反対側、つまり背面側の枠体である。二次転写内ローラ8、上流ガイドローラ18、離間ローラ19は、それぞれ前フレーム21F及び後フレーム21Rに挟まれる形で、回転軸線方向の両端を回転可能に軸支されている。以下、これらのローラ8、18、19の回転軸線方向は、中間転写ベルト7の幅方向Wと平行である。また、ステアリングローラ17を含む後述のベルト自動調芯機構17Uは、前フレーム21F及び後フレーム21Rに渡されたフレーム支持板28によって支持されている。
【0041】
二次転写内ローラ8の回転軸線方向の一端部には、駆動カップリング22が取り付けられている。駆動カップリング22は、中間転写ユニット20が装置本体に装着された状態においてベルト駆動ユニット(不図示)の出力軸に連結され、ベルト駆動ユニットの駆動力を二次転写内ローラ8に伝達する。ベルト駆動ユニットは、モータ等の駆動源と、駆動カップリング22に係合するカップリング部材とを含み、装置本体に搭載されている。
【0042】
二次転写内ローラ8は、ゴム等の摩擦係数が比較的高い材質で表面を構成されており、駆動力を伝達されることでローラ表面が中間転写ベルト7を図3(a)の矢印R7方向に搬送駆動する。なお、本実施形態では、駆動伝達手段として駆動カップリング22を用いたが、例えば接離可能なギアを用いて装置本体の駆動源と中間転写ユニット20とを連結しても構わない。
【0043】
以上のように駆動及び搬送される中間転写ベルト7に対し、本実施形態では、ステアリングローラ17が両端部の摩擦力バランスを自ら維持することでベルト調芯(ステアリング)可能な、つまり幅方向の位置を制御可能なベルト自動調芯機構を備えている。以下、図4及び図5を用いて、ステアリング機構の一例であるベルト自動調芯機構17Uの構成について説明する。図4は、ベルト自動調芯機構17Uについて説明する斜視図であり、図5は、ベルト自動調芯機構17Uの斜視図である。
【0044】
図4に示すように、ステアリングローラ17は、円柱状のローラ本体17aと、ローラ本体17aから回転軸線方向両側に突出するローラ軸17bとを有している。ステアリングローラ17の回転軸線両端部に対向する位置には、それぞれステアリング軸受23が配置されている。各ローラ軸17bは、対応するステアリング軸受23に設けられた支持孔10aに嵌挿される形でステアリング軸受23に回転可能に軸支される。
【0045】
これら一対のステアリング軸受23は、中間転写ベルト7が張架される複数の張架ローラの1つであるステアリングローラ17の軸方向両端部を支持した状態で、揺動板26に取り付けられている。各ステアリング軸受23は、揺動板26の両端部に取り付けられたスライドガイド24によりスライド可能に支持されている。ステアリング軸受23とスライドガイド24との間には、圧縮バネであるテンションバネ25が縮めた状態で設けられている。
【0046】
揺動板26は、ステアリングローラ17を揺動させることで、二次転写内ローラ8との相対的なアライメントが変更可能な状態で支持する揺動部材の一例である。また、テンションバネ25は、中間転写ベルト7の内周に作用する張力をステアリングローラ17に与える付勢部材の一例である。即ち、本実施形態の付勢部材であるテンションバネ25は、揺動板26の両端部において付勢力を一対のステアリング軸受23に対してそれぞれ与える一対のバネ部材からなる。
【0047】
図4及び図5に示すように、スライドガイド24は、ステアリング軸受23をテンションバネ25の加圧方向(矢印K1の方向)に沿って移動するようにガイドする嵌合溝を有している。つまり、スライドガイド24は、一対のステアリング軸受23をテンションバネ25の付勢方向に案内する案内部を構成する。また、スライドガイド24は、ステアリング軸受23のテンションバネ25の加圧方向への移動を規制可能なストッパ(不図示)を有している。このストッパは、ベルト自動調芯機構17Uが中間転写ユニット20に未装着のアセンブリ状態においてステアリング軸受23及びステアリングローラ17の脱落を防止する。これらの構成により、両端部のテンションバネ25の付勢力を、夫々に対応するステアリング軸受23に対して有効に伝達することができる。
【0048】
図3(a)のように中間転写ベルト7がステアリングローラ17及び他のローラ部材(8、18、19)に張架された状態では、ステアリング軸受23は、上記ストッパによって規制された位置よりもテンションバネ25を圧縮する方向に移動する。従って、この状態では、テンションばね25の弾発力によってステアリングローラ17が中間転写ベルト7の内周面に押し付けられ、中間転写ベルト7に張力が発生する。即ち、本実施形態のステアリングローラ17は、付勢部材からの付勢力によって中間転写ベルト7に適度な張力を付与するテンションローラを兼ねている。
【0049】
図4に示すように、揺動部材としての揺動板26は、幅方向の中央部に支持軸としての回動軸部材27が図中後方に突出した状態で固定されていると共に、両端部にそれぞれスライドガイド24、24が固定されている。回動軸部材27は、上記フレーム支持板28に設けられた嵌合部(不図示)に回動可能な状態で嵌合されることで、揺動板26を回転可能(揺動可能)に支持する。
【0050】
これにより、揺動板26は、ステアリングローラ17を支持した状態で、回動軸部材27の軸線であるステアリング軸線Jを中心とする揺動方向Roに揺動可能である。即ち、ベルト部材のアライメントを変化させるためのアライメント変化手段の一例であるベルト自動調芯機構17Uは、ステアリングローラ17と共に中間転写ユニット20の枠体に対して揺動可能なユニットとして構成される。
【0051】
[ベルト自動調芯機構の作動原理]
次に、本実施形態におけるベルト自動調芯機構の詳細構成及びその作用について図5及び図6(a)、(b)を用いて説明する。図6(a)、(b)は、いずれも図3(a)における矢印TVの方向を向いた視点における平面図(上視図)である。図6(a)はベルト自動調芯機構17Uの作用によって中間転写ベルト7に作用する幅方向の力が釣り合った定常状態、即ち中間転写ベルト7の掛かり位置が称呼の位置にある状態を示す。図6(b)は、中間転写ベルト7が矢印R7方向に搬送されているときに図中左側にベルト寄りを生じた状態を示している。
【0052】
図5に示すように、ローラ軸17bを軸支するステアリング軸受23は、中間転写ベルト7の内周面に摺接することでステアリングトルクを発生させるための摺擦面231を備えている。ただし、ステアリングトルクとは、中間転写ベルト7の寄りを低減可能な方向に向かってステアリングローラ17のアライメントを変化させようとする力のモーメントを指す。ステアリング軸受23は、前述したように、スライドガイド24によって矢印K1方向に移動するように移動方向を制限されている。そのため、摩擦部の一例であるステアリング軸受23は、中間転写ベルト7の矢印R7方向の搬送駆動に際しては従動せずにベルト内周面と摺接する。
【0053】
摺擦面231は、ステアリングローラ17の軸方向外側に向かうにつれて外径が次第に大きくなるテーパー状に形成されており、円筒状であるステアリングローラ17の外径よりも大きな最大径を有している。図6(b)に示すように、本実施形態では、ステアリングローラ17の外径が例えばφ16(16mm)に設定されている。ステアリング軸受23の摺擦面231は、ステアリングローラ17との接合部においては同じφ16の円周状の外周部を有し、この外周部からテーパー角ψ=10°の割合で外側に向かって徐々に大径化する曲面形状を呈している。
【0054】
また、本実施形態では、中間転写ベルト7の幅方向、即ち搬送駆動方向(矢印R7方向)に直交する方向の寸法は、テーパー角ψを有する摺擦面231の領域にまで一部跨がるように設定されている。言い換えると、中間転写ベルト7の幅Lbは、ステアリングローラ17のローラ本体の軸方向長さ(Lr)よりも長く、ステアリング軸受23、23の両端の間の幅(Lr+2Lf)よりも短く設定されている(Lr<Lb<Lr+2LF)。ただし、Lfは各ステアリング軸受23の摺擦面231の幅方向における長さである。
【0055】
中間転写ベルト7がステアリング軸受23に摺擦することでベルト自動調芯が可能になる作動原理について、図6(a)、(b)を用いて説明する。前述したように、ステアリング軸受23は、中間転写ベルト7に対して従動不可能に支持されているため、中間転写ベルト7の搬送駆動中にはベルトの内周面と摺接可能である。このとき、摩擦力は中間転写ベルト7がステアリング軸受23に巻き付いた領域、即ち図5の矢印Gの方向から視て中間転写ベルト7が下方に向かう右側の領域で生じることから、ステアリング軸受23には下向きの摩擦力が作用する。
【0056】
上述した通り、中間転写ベルト7の幅方向の寸法(Lb)は、ステアリング軸受23、23のテーパー状の摺擦面231、231に跨るように設定されている。従って、図6(a)に示す定常状態(称呼の状態)では、中間転写ベルト7が両方のステアリング軸受23の摺擦面231に対して同等の掛かり幅(例えば2mm)で摺擦する。この状態では、中間転写ベルト7から両側のステアリング軸受23、23に作用する摩擦力により発生するモーメントは互いに打ち消し合う。
【0057】
即ち、中間転写ベルト7から各ステアリング軸受23、23が受ける摩擦力は、ステアリング軸受23、23及び揺動板26に対して、ステアリング軸線Jを中心とする互いに逆方向のモーメントとして作用する。このため、図6(a)に示す定常状態においては、各ステアリング軸受23、23が受ける摩擦力が概ね等しく、モーメントが互いに打ち消し合って揺動板26の姿勢が維持される。これにより、ステアリングローラ17は、二次転写内ローラ8等の他のローラ部材と軸方向が略平行となる姿勢(アライメントが揃った状態)に保持される。
【0058】
これに対し、図6(b)に示すように、中間転写ベルト7が幅方向のいずれか一方に偏る所謂「寄り」が発生した状態では、一方のステアリング軸受23に対する中間転写ベルト7の掛かり幅が他方のステアリング軸受23に対する掛かり幅より大きくなる。図示した例においては、図中左側のステアリング軸受23についての掛かり幅がD[mm]であり、図中右側のステアリング軸受23についての掛かり幅が0である、つまり摺擦面231から中間転写ベルト7が離脱した状態である。
【0059】
この場合、中間転写ベルト7から摺擦面231の一定の掛かり幅の範囲が受ける鉛直下向きの摩擦力をF(ST)とすると、一方のステアリング軸受23が受ける力の大きさはF(ST)×Dとなる。その一方で、他方のステアリング軸受23については掛かり幅が0であることから、当該ステアリング軸受23は実質的に中間転写ベルト7からの力を受けていない。従って、図6(b)に示す状況では、ステアリングローラ17の左端部を下方(図中奥側)へ移動させるようなステアリングトルクが発生する。
【0060】
以上の原理によって生じるステアリングローラ17の舵角、即ちステアリングトルクに従って揺動した状態のステアリングローラ17の傾斜角度は、中間転写ベルト7の寄りを元に戻す方向に合致し、ベルト搬送に伴って中間転写ベルト7の寄りが低減される。即ち、ベルト自動調芯機構17Uは、中間転写ベルト7を搬送駆動する駆動力の一部をステアリングトルクへと変換することで中間転写ベルト7の幅方向の位置を制御する自動調芯効果を発揮する。
【0061】
なお、本実施形態では、ステアリング軸受23にテーパー角ψを設けることで比較的低い摩擦係数μSに設定し、急激なステアリング動作を回避するように構成している。具体的には、ステアリング軸受23の材質として摺擦性(低摩擦性)を有するPOM(ポリアセタール)などの樹脂材料を使用し、摩擦係数μSを0.3程度、テーパー角ψを5~10°程度に設定することにより、良好な結果を得ることができる。さらには、中間転写ベルト7との摩擦帯電による静電的な弊害を考慮して、ステアリング軸受23には導電性も付与している。ただし、必要とするステアリングトルクが得られる構成であれば、テーパー角ψ及び摺擦性の異なる構成としてもよく、例えばステアリング軸受23の摺擦面231を円筒状としてもよい。
【0062】
[中間転写ベルトの離間機構]
次に、中間転写ベルト7を感光ドラム1a~1dから離間可能とするための第2離間機構としての離間機構300について、図7及び図8(a)~(c)を用いて説明する。移動機構(変更機構)としての離間機構300は、スライド部材としての離間スライダ30と、カム部材としての離間カム31とを有する。第2制御部としての制御部50は、離間機構300を制御して、複数の張架部材の少なくとも何れかの張架部材である離間ローラ19を移動させることにより、中間転写ベルト7の回転方向に沿った断面である張架断面を変形可能である。また、離間機構300は、複数の一次転写ローラ5a~5dも移動可能である。そして、中間転写ユニット20をフルカラー画像形成装置200に装着している場合に、中間転写ベルト7を、フルカラーモードと、離間モノクロモードと、当接モノクロモードと、全離間モードに対応した張架断面に変形可能である。
【0063】
具体的には、フルカラーモード(第1モード)及び当接モノクロモードでは、中間転写ベルト7の張架断面が、図8(a)に示すような第1張架断面となる。第1張架断面では、中間転写ベルト7の外周面が複数の感光ドラム1a~1dの全てに当接する。離間モノクロモード(第2モード)では、中間転写ベルト7の張架断面が、図8(b)に示すような第2張架断面となり、第2張架断面では、中間転写ベルト7の外周面が1つの感光ドラム1dに当接すると共に他の感光ドラム1a~1cから離間する。即ち、第2張架断面(第3張架形態、第2位相)は、一次転写ローラ5dが後述の第1位置に位置され、離間ローラ19が転写面から感光ドラム1dと反対側に離間する後述の第3位置に位置される。言い換えれば、第2張架断面では、一次転写ローラ5dが第1位置に、離間ローラ19が後述の第2位置から感光ドラム1dと反対側に離間した位置に位置する。全離間モードでは、図8(c)に示すような第4張架断面となり、第4張架断面では、中間転写ベルト7の外周面が複数の感光ドラム1a~1dの全てから離間する。
【0064】
まとめると、図8(a)~(c)と張架断面との関係は以下のようになる。
図8(a):第1張架断面(フルカラーモード(第1モード、CLモード)及び当接モノクロモード)
図8(b):第2張架断面(離間モノクロモード(第2モード、BKモード)、第3張架形態、第2位相
図8(c):第4張架断面(全離間モード)
【0065】
以下、離間機構300による中間転写ベルト7の離間構成について具体的に説明する。上述した通り、中間転写ベルト7の内周側には、画像形成部Pa~Pdの感光ドラム1a~1dにそれぞれ対向する一次転写ローラ5a~5dが配置されている(図1参照)。本実施形態において、これら一次転写ローラ5a~5dと、一次転写ローラ5a~5dより上流に位置する離間ローラ19とは、中間転写ユニット20の枠体に対して相対移動可能である。
【0066】
一次転写ローラ5a~5d及び離間ローラ19の移動は、図7に示す離間スライダ30のスライド動作によって行われる。図7は、離間スライダ30を正面側から視た様子を表す。離間スライダ30は、中間転写ユニット20の前フレーム21F及び後フレーム21R(図3参照)の内部にそれぞれ収容され、いずれも同様の形状を有している。即ち、各離間スライダ30は、一次転写ローラ5a~5dに対応する4つのカム面30a、30b、30c、30d及び離間ローラ19に対応するカム面30eを有する。2つの離間スライダ30は、図中左右方向(一次転写ローラ5a~5dが並べられている方向、一次転写ローラ5a~5dの回転軸線方向と直交する方向)を移動方向として、前フレーム21F及び後フレーム21Rに対して同期してスライドする。
【0067】
各カム面30a~30eは、離間スライダ30のスライド方向に対して傾斜した傾斜面を有し、以下のモード切換における各ローラ(5a~5d、19)の動作を達成するように形成されている。例えば、離間ローラ19に対応するカム面30eは、離間ローラ19の中段位置に対応する平坦部302と、上記スライド方向に関して平坦部302から延び、離間ローラ19の下段位置に対応する傾斜面301を含む。カム面30a~30dについても同様である。
【0068】
図8(a)~(c)の各図に示すように、一次転写ローラ5a~5dは、対応する一次転写軸受29a~29dによって軸方向の両端を回転可能に軸支されている。一次転写軸受29a~29dは、一次転写ローラ5a~5dの軸方向における両側に配置され、それぞれ前フレーム21F及び後フレーム21Rによって支持されている。いずれの一次転写軸受29a~29dも、図中上下方向(離間スライダ30の移動方向と直交する方向、一次転写ローラ5a~5dの回転軸線方向と直交する方向)に移動可能に嵌合された状態で前フレーム21F及び後フレーム21Rに保持されている。また、中間転写ベルト7の搬送方向(矢印R7)に沿った方向への移動を規制されている。
【0069】
各一次転写軸受29a~29dには、離間スライダ30のカム面30a~30dに当接する当接部a1~d1が設けられている。また、一次転写軸受29a~29dと前フレーム21F及び後フレーム21Rとの間には、一次転写軸受29a~29dをカム面30a~30dに押圧するように図中下方へ向けて付勢する一次転写バネSPa~SPdが設けられている。一次転写バネSPa~SPdの付勢方向は、一次転写ローラ5a~5dが感光ドラム1a~1dに向かう方向である。
【0070】
離間スライダ30が図中左右方向にスライド移動すると、当接部a1~d1がカム面30a~30dに当接した状態で一次転写軸受29a~29dが図中上下方向に移動することにより、一次転写ローラ5a~5dが移動する。
【0071】
離間ローラ19についても一次転写ローラは5a~5dと同様の移動構成が設けられている。即ち、離間ローラ19は、軸方向両側に配置された離間ローラ軸受29eにより、軸方向の両端を回転可能に軸支されている。各離間ローラ軸受29eは、前フレーム21F及び後フレーム21Rにより、図中上下方向に移動可能、かつ、中間転写ベルト7の搬送方向(矢印R7)に沿った方向への移動を規制された状態で保持されている。また、離間ローラ軸受29eは、離間スライダ30のカム面30eに当接する当接部e1を有し、離間ローラバネSPeによってカム面30eに押圧されている。離間スライダ30が図中左右方向にスライド移動すると、当接部e1がカム面30eに当接した状態で離間ローラ軸受29eが図中上下方向に移動することにより、離間ローラ19が移動する。
【0072】
離間スライダ30は、離間カム軸32に取付けられた離間カム31に係合するスライド付勢面30f(図7参照)を有し、離間カム31によってスライド付勢面30fを押圧されることで図中左右方向に付勢される。離間カム軸32の軸方向の端部には、中間転写ユニット20が装置本体に取付けられた状態において、装置本体に搭載されるモータなどの駆動源に駆動連結される離間カップリング33(図3参照)が取り付けられている。
【0073】
離間スライダ30は、本実施形態における軸受部材に相当する離間ローラ軸受29eの移動方向(図8(a)~(c)の上下方向)に交差する方向に移動可能な可動部材に相当する。また、離間ローラバネSPeは、軸受部材をカム面に向けて付勢することで軸受部材をカム面に追従させるための付勢手段に相当する。
【0074】
本実施形態では、このように離間スライダ30及び離間カム31を備えた離間機構300により一次転写ローラ5a~5d及び離間ローラ19の移動が行われ、図8(a)~(c)の各図に示すモードの切換えが行われる。なお、以下のモード切換は、画像形成装置200に搭載された制御部50(図1)からの制御信号に基づき、離間カム軸32の回転位相が制御されることで達成される。また、フルカラーモード(CLモード)、離間モノクロモード(BKモード)、全離間モードの順に切換わる場合の動作を例に説明するが、動作を逆にたどることで任意のモード間で切換可能である。即ち、本実施形態では、中間転写ベルト7の張架形態を第1張架形態(CLモード、後述するモノクロモード、第1位相)と第2張架形態(全離間モード、後述するモノクロ全離間モード、第3位相)の切り換えを行う場合は、第3張架形態(BKモード、第2位相)を経由する。
【0075】
図8(a)に示すフルカラーモード(CLモード、後述する第1張架形態、第1位相)では、一次転写ローラ5a~5d及び離間ローラ19がいずれも下段位置に保持され、中間転写ベルト7は各画像形成部Pa~Pdの感光ドラム1a~1d(図1参照)に当接する。即ち、一次転写ローラ5dを第1位置、離間ローラ19を第2位置に位置させる。この状態では、各画像形成部Pa~Pdに画像形成動作を実行させ、感光ドラム1a~1dに形成されたトナー像を中間転写ベルト7を介して記録材に転写することで、フルカラー画像を記録材に形成することができる。
【0076】
CLモードから図8(b)に示す離間モノクロモード(BKモード、第3張架形態、第2位相)に切換わる場合、離間カム31が矢印R9の方向に90度回転し、離間スライダ30が図中右方(矢印K2)に向かってスライドする。BKモードでは、シアン、マゼンタ、イエローの一次転写ローラ5a、5b、5cが上段位置へ移動して中間転写ベルト7の内周面から離間すると共に、離間ローラ19が中段位置へと移動する。このとき、中間転写ベルト7は中段位置の離間ローラ19と下段位置に保持されたままのブラックの一次転写ローラ5dとに張架された状態となり、ブラック以外の感光ドラム1a、1b、1cから離間する。この状態では、ブラックの画像形成部Pdに画像形成動作を実行させ、感光ドラム1dに形成されたトナー像を中間転写ベルト7を介して記録材に転写することで、モノクロ画像を記録材に形成することができる。
【0077】
BKモードから図8(c)に示す全離間モード(後述する第2張架形態、第3位相)に切換わる場合、離間カム31が矢印R9の方向に更に90度回転し、離間スライダ30が図中右方(矢印K2)に向かってスライドする。全離間モードでは、全ての一次転写ローラ5a~5dが上段位置へ移動して中間転写ベルト7の内周面から離間すると共に、離間ローラ19が上段位置へと移動する。このとき、中間転写ベルト7は上段位置の離間ローラ19と上流ガイドローラ18(図1参照)とに張架された状態となり、全ての感光ドラム1a~1dから離間する。制御部50は、中間転写ユニット20の交換作業が行われる場合の他、例えば、画像形成装置200が画像形成動作の開始を指令する信号(印刷ジョブ)の待機中である場合に全離間モードとなるように制御する。
【0078】
離間ローラ19は、ベルト部材が張架されるローラ部材の一例であり、下段位置(図8(a))は第位置に相当し、上段位置(図8(b)、(c))は第位置に比べてベルト部材の内周側に移動した第位置に相当する。即ち、制御部50は、フルカラーモードを実行する場合は、離間ローラ19を第位置に移動させ、離間モノクロモードを実行する場合は、離間ローラ19を第位置に移動させる。離間機構300は、このようなローラ部材を第位置と第位置とに移動させる移動機構の一例である。
【0079】
ここで、記録材の種類、例えば坪量が150g/m以上の場合などは、記録材が二次転写部T2に侵入した際の衝撃が中間転写ベルト7を伝播し、感光ドラム1dを振動させる場合がある。衝撃の伝播に対しては、中間転写ベルト7の張力を上昇させると効果的であることから、モノクロ画像を記録材に形成する場合においても、図8(a)に示すCLモードに切換えることが望ましい。
【0080】
そこで、本実施形態では、ブラック1色で画像形成を行うモノクロモードを実行する場合に、上述の離間モノクロモード以外に当接モノクロモード(第6モード)で行うことができるようにしている。例えば、坪量が所定値(150g/m)以上の記録材にモノクロ画像を形成する場合に、制御部50が当接モノクロモードを実行するようにしても良い。また、ユーザーが離間モノクロモードと当接モノクロモードとを操作表示部40などから選択できるようにしても良い。
【0081】
当接モノクロモードでは、図8(a)に示したように、一次転写ローラ5a~5d及び離間ローラ19がいずれも下段位置に保持され、中間転写ベルト7は各画像形成部Pa~Pdの感光ドラム1a~1d(図1参照)に当接する。当接モノクロモードを実行する場合、ブラックの感光ドラム1dにはトナー像を形成するが、他の感光ドラム1a~1cにはトナー像を形成しない。但し、他の感光ドラム1a~1cは、中間転写ベルト7に当接しているため、画像形成時にはそれぞれ回転すると共に、表面を帯電装置2により帯電させることが好ましい。即ち、この時、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成部Pa、Pb、Pcは画像形成動作を実施するが、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成部に対応する露光装置3はドラム表面に静電潜像を形成しない。
【0082】
また、図8(a)に示す第1張架断面は、図8(b)に示す第2張架断面よりも中間転写ベルト7の張力が高く、中間転写ベルト7を安定駆動可能である。このため、上述したパッチセンサPSによるパッチ画像の濃度検知に基づく制御は、第1張架断面にある状態で実行することが好ましい。即ち、中間転写ベルト7が安定駆動されなければパッチセンサPSの検知面と中間転写ベルト7の外周面との距離が変化して検知精度が低下するためである。
【0083】
そこで、本実施形態では、制御部50は、フルカラーモードにおいては、パッチセンサPSを用いた制御を定期的に或いは適宜実行するようにしている。一方、モノクロモードにおいては、当接モノクロモードが実行されている場合に、パッチセンサPSを用いた制御を実行するようにしている。即ち、制御部50は、中間転写ベルト7の張架断面が図8(a)に示す第1張架断面である場合において、パッチセンサPSを用いた制御を実行する。
【0084】
[中間転写ユニットの着脱]
次に、中間転写ベルト7の交換等の際に中間転写ユニット20を装置本体から着脱するための構成について説明する。中間転写ユニット20は、図9に示すように、上述した全離間モードに保持された状態で、画像形成装置200の装置本体に対して着脱可能である。即ち、中間転写ベルト7の張架断面が、図8(c)に示す第4張架断面の状態で装置本体に対して着脱可能である。
【0085】
具体的には、装置本体の正面から視て右側に設けられた右扉RDを開くことで中間転写ユニット20が露出し、左右方向(矢印K3)に移動させることで中間転写ユニット20を装置本体から着脱することができる。
【0086】
[モノクロ中間転写ユニット]
次に、モノクロ画像形成装置200Kに対応した中間転写ユニット20Kの内部構成について、図10(a)、(b)を用いて説明する。図10(a)、(b)は中間転写ユニット20Kの斜視図であり、図10(a)は中間転写ベルト7を張架した状態を示し、図10(b)は中間転写ベルト7を取外した状態を示す。
【0087】
中間転写ユニット20Kは、前述のフルカラー画像形成装置200に対応した中間転写ユニット20から一次転写ローラ5a~5c、一次転写軸受29a~29c、一次転写バネSPa~SPcが取り外されたユニットに相当する。これにより、中間転写ユニット20に対してコストダウンが図られている。なお、これら以外の構成は、中間転写ユニット20と同様である。即ち、中間転写ユニット20から上述の一次転写ローラ5a~5cなどを取り外しただけで、その他の構成は共通である。したがって、中間転写ベルトを張架する張架ローラ(8、17、18、19)が設けられている位置や、離間ローラ(第1離間ローラ)19の離間機構(第1離間機構)300は、中間転写ユニット20と中間転写ユニット20Kで同じである。また、中間転写ベルト7のステアリングを行うための構成なども同様である。このため、中間転写ユニット20と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
[モノクロ用の中間転写ユニットにおける中間転写ベルトの離間機構]
次に、モノクロ用の中間転写ユニット20Kの中間転写ベルト7を感光ドラム1dから離間可能とするための構成について、図11(a)、(b)を用いて説明する。中間転写ユニット20Kも、上述の離間機構300を有する。そして、第1制御部としての制御部50は、離間機構300を制御して、離間ローラ19を移動させることにより、中間転写ベルト7の回転方向に沿った断面である張架断面を変形可能である。また、離間機構300は、1つの一次転写ローラ5dも移動可能である。そして、中間転写ユニット20Kをモノクロ画像形成装置200Kに装着している場合に、中間転写ベルト7を、第3モードとしてのモノクロモードと、第5モードとしてのモノクロ全離間モードに対応した張架断面に変形可能である。
【0089】
具体的には、モノクロモードでは、中間転写ベルト7の張架断面が、図11(a)に示すような第3張架断面となり、第3張架断面では、中間転写ベルト7の外周面が1つの感光ドラム1dに当接する。即ち、第3張架断面(第1張架形態、第1位相)は、一次転写ローラ5dを第1位置、離間ローラ19を第2位置に位置させることによって一次転写ローラ5dと離間ローラ19の間に転写面を形成して感光ドラム1dから中間転写ベルト7にトナー像を転写可能な張架形態である。モノクロ全離間モードでは、図11(b)に示すような第5張架断面となり、第5張架断面では、中間転写ベルト7の外周面が1つの感光ドラム1dから離間する。即ち、第5張架断面(第2張架形態、第3位相)は、一次転写ローラ5d及び離間ローラ19のそれぞれを転写面から離間させる張架形態である。言い換えれば、第5張架断面では、一次転写ローラ5dが第1位置から感光ドラム1dと反対側に離間した位置に位置し、離間ローラ19が第2位置から感光ドラム1dと反対側に離間した位置に位置する。
【0090】
まとめると、図11(a)、(b)と張架断面との関係は以下のようになる。
図11(a):第3張架断面(モノクロモード、第1張架形態、第1位相
図11(b):第5張架断面(モノクロ全離間モード、第2張架形態、第3位相
【0091】
ここで、本実施形態の場合、図11(a)に示す第3張架断面は、図8(a)に示した第1張架断面と同じである。即ち、モノクロ画像形成装置200Kにおいてモノクロ画像を形成する場合に、中間転写ベルト7の張架断面を図8(b)に示した第2張架断面でもモノクロ画像を形成可能である。しかしながら、中間転写ベルト7を第2張架断面とし場合、第1張架断面とした場合に比べて中間転写ベルト7の張力が低くなる。このため、二次転写部T2に記録材Sが突入した際の衝撃により、記録材Sに転写される画像の画質が低下する虞がある。特に、坪量が大きい(例えば、150g/m以上)記録材の場合、記録材が二次転写部T2に侵入した際の衝撃が大きく、この衝撃が中間転写ベルト7を伝播して感光ドラム1dを振動させる虞がある。
【0092】
そこで、本実施形態では、モノクロ画像形成装置200Kに中間転写ユニット20を装着して画像を形成する場合には、中間転写ベルト7の張架断面を第1張架面と同じ第3張架断面としている。即ち、フルカラー画像形成装置200においてフルカラーモード又は当接モノクロモードを実行する場合の張架断面と同じ張架断面としている。言い換えれば、制御部50は、画像形成時における離間ローラ19が第位置に位置するように、離間機構300を制御する。これにより、記録材Sに転写される転写画像の画質の低下を抑制できる。特に、記録材の坪量が大きくても転写画像の画質の低下を抑制できる。
【0093】
また、図11(b)に示す第5張架断面は、図8(c)に示した第4張架断面と同じである。即ち、モノクロ画像形成装置200Kにおいて感光ドラム1dを離間させる場合には、中間転写ベルト7の張架断面を、フルカラー画像形成装置200の全離間モードと同様の張架断面としている。言い換えれば、感光ドラム1dを中間転写ベルト7から離間させる場合には、離間ローラ19が第位置に位置するように離間機構300を制御する。これにより、離間機構300をフルカラー画像形成装置200用とモノクロ画像形成装置200K用とで共通化でき、コストの低減を図れる。
【0094】
以下、具体的に説明する。上述した通り、中間転写ベルト7の内周側には、画像形成部Pdの感光ドラム1dにそれぞれ対向する一次転写ローラ5dが配置されている(図2参照)。本実施形態において、これら一次転写ローラ5dと、一次転写ローラ5dより上流に位置する離間ローラ19とは、中間転写ユニット20Kの枠体に対して相対移動可能である。
【0095】
一次転写ローラ5d及び離間ローラ19の移動は、図7に示す離間スライダ30のスライド動作によって行われ、これは上述した中間転写ユニット20と同様である。本実施形態では、このように離間スライダ30及び離間カム31を備えた離間機構300により一次転写ローラ5d及び離間ローラ19の移動が行われ、図11(a)、(b)の各図に示すモードの切換えが行われる。なお、以下のモード切換は、画像形成装置200Kに搭載された制御部50(図2)からの制御信号に基づき、離間カム軸32の回転位相が制御されることで達成される。また、モノクロモード、全離間モードの順に切換わる場合の動作を例に説明するが、動作を逆にたどることで任意のモード間で切換可能である。
【0096】
図11(a)に示すモノクロモード(第1張架形態、第1位相)では、一次転写ローラ5d及び離間ローラ19がいずれも下段位置(第1位置、第2位置)に保持され、中間転写ベルト7は画像形成部Pdの感光ドラム1d(図2参照)に当接する。この状態では、画像形成部Pdに画像形成動作を実行させ、感光ドラム1dに形成されたトナー像を中間転写ベルト7を介して記録材に転写することで、モノクロ画像を記録材に形成することができる。つまり、モノクロモードは、図8(a)に示すフルカラーモードと同じ中間転写ベルト7の張架断面である。
【0097】
モノクロモードから図11(b)に示す全離間モード(第2張架形態、第3位相)に切換わる場合、離間カム31が矢印R9の方向に180度回転し、離間スライダ30が図中右方(矢印K2)に向かってスライドする。全離間モードでは、一次転写ローラ5dが上段位置へ移動して中間転写ベルト7の内周面から離間すると共に、離間ローラ19が上段位置(第位置)へと移動する。このとき、中間転写ベルト7は上段位置の離間ローラ19と上流ガイドローラ18(図2参照)とに張架された状態となり、感光ドラム1dから離間する。中間転写ユニット20Kは、前述の図9に示すように、上述した全離間モードに保持された状態で、画像形成装置200Kの装置本体に対して着脱可能である。即ち、中間転写ベルト7の張架断面が、図11(b)に示す第5張架断面の状態で装置本体に対して着脱可能である。
【0098】
制御部50は、中間転写ユニット20Kの交換作業が行われる場合の他、例えば、画像形成装置200Kが画像形成動作の開始を指令する信号(印刷ジョブ)の待機中である場合に全離間モードとなるように制御する。
【0099】
中間転写ユニット20Kにおいては、図8(b)に示す中間転写ユニット20のBKモードに相当する張架断面(第2張架断面、第3張架形態、第2位相)での画像形成動作が通常実施されない。これは、中間転写ユニット20の記録材の種類に応じたCLモード切換えで前述したが、衝撃の伝播に対しては、ベルト部材の張力を上昇させると効果的であることから、常に図11(a)に示すモノクロモードに維持されることが望ましいからである。また、画像形成装置200Kにおいては、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成部Pa、Pb、Pcが取り外されていることから、画像形成動作に伴う現像剤や感光ドラムの劣化、延いてはランニングコストを気にすることも無いためである。
【0100】
離間ローラ19は、ベルト部材が張架されるローラ部材の一例であり、下段位置(図11(a))は第位置に相当し、上段位置(図11(b))は第位置に比べてベルト部材の内周側に移動した第位置に相当する。離間機構300は、このようなローラ部材を第位置と第位置とに移動させる移動機構の一例である。
【0101】
また、図11(a)に示す第3張架断面は、図8(b)に示す第2張架断面よりも中間転写ベルト7の張力が高く、中間転写ベルト7を安定駆動可能である。このため、上述したパッチセンサPSによるパッチ画像の濃度検知に基づく制御は、第3張架断面にある状態で実行することが好ましい。そこで、本実施形態では、制御部50は、モノクロモードにおいては、パッチセンサPSを用いた制御を定期的に或いは適宜実行するようにしている。即ち、制御部50は、中間転写ベルト7の張架断面が図11(a)に示す第3張架断面である場合において、言い換えれば、離間ローラ19が第位置に位置している場合に、パッチセンサPSを用いた制御を実行する。
【0102】
実施形態の場合、複数の感光ドラム1a~1dを有するフルカラー画像形成装置200に使用される中間転写ユニット20と、1つの感光ドラム1dを有するモノクロ画像形成装置200Kに使用される中間転写ユニット20Kが共通である。そして、本実施形態によれば、モノクロ画像形成装置200Kにおいて、転写画像の画質の低下を抑制できる。即ち、モノクロ画像形成装置200Kに中間転写ユニット20Kを装着して画像を形成する場合には、中間転写ベルト7の張架断面を第1張架面と同じ第3張架断面としている。第1張架断面は、フルカラー画像形成装置200においてフルカラーモード又は当接モノクロモードを実行する場合の張架断面であり、中間転写ベルト7の張力が高い。これにより、記録材Sに転写される転写画像の画質の低下を抑制できる。特に、記録材の坪量が大きくても転写画像の画質の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0103】
1d・・・・感光ドラム(第1像担持体)/1a、1b、1c、1d・・・感光ドラム(第2像担持体)/5a、5b、5c、5d・・・一次転写ローラ(転写部材)/7・・・中間転写ベルト(第1ベルト部材、第2ベルト部材)/8・・・二次転写内ローラ8(第1張架ローラ、第2張架ローラ、二次転写ローラ)/17・・・ステアリングローラ(第1張架ローラ、第2張架ローラ、テンションローラ)/18・・・上流ガイドローラ(第1張架ローラ、第2張架ローラ)/19・・・離間ローラ(第1張架ローラ、第2張架ローラ、第1離間ローラ、第2離間ローラ)/20・・・中間転写ユニット(第2中間転写ユニット)/20K・・・中間転写ユニット(第1中間転写ユニット)/200・・・フルカラー画像形成装置(フルカラー用の画像形成装置)/200K・・・モノクロ画像形成装置(モノクロ用の画像形成装置)/201・・・筐体/300・・・離間機構(第1離間機構、第2離間機構)/PS・・・パッチセンサ(濃度検知手段)
図1
図2
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図11