(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240527BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240527BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G21/16 147
G03G21/18 114
(21)【出願番号】P 2020155023
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 篤史
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-152341(JP,A)
【文献】特開2013-152342(JP,A)
【文献】特開2017-062439(JP,A)
【文献】特開2001-295868(JP,A)
【文献】特開2001-228764(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0177682(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G13/00
13/02
13/14-13/16
15/00
15/02
15/14-15/16
21/00
21/04
21/10-21/12
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体の表面に当接して前記回転体の表面からトナーを除去するクリーニングブレードと、
前記クリーニングブレードを支持する支持
部と、
前記支持
部を揺動可能に保持するハウジングと、
前記支持
部と前記ハウジングとの間に
設けられ、1本の線材で形成され、前記支持
部を加圧して前記回転体に対して前記クリーニングブレードを加圧するブレード加圧バネと、
を有
し、
前記ブレード加圧バネは、
前記支持
部と前記ハウジングとの間に伸縮可能に
設けられる第1のコイル部と、
前記支持
部と前記ハウジングとの間に伸縮可能に
設けられる第2のコイル部と、
前記第1のコイル部と前記第2のコイル部と
を連結する連結部と、
を有し、
前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とは、前記第1のコイル部の中心軸方向と交差する方向に関して並んで配置されることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記第1のコイル部の中心軸方向に関して同じ側の前記第1のコイル部の一端部と前記第2のコイル部の一端部とを連結することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記第1のコイル部の前記支持部側の端部と前記第2のコイル部の前記支持部側の端部とが互いに連結されるように、前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とを連結することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とは、前記第1のコイル部の中心軸方向と交差する方向に関して互いに異なる位置に配置され、前記第1のコイル部
の中心軸と、前記第2のコイル部
の中心軸とは、互いに略平行であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記第1のコイル部
の中心軸と前記第2のコイル部
の中心軸とを通る面と交差する交差部を有することを特徴とする請求項
1に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記連結部は、前記第1のコイル部
の中心軸と略平行に見たとき、前記第1のコイル部
の中心軸と前記第2のコイル部
の中心軸とを結ぶ線分の中点を通りかつ前記第1のコイル部
の中心軸と略平行な軸線に対して180°回転した場合に略同一形状となる形状を有することを特徴とする請求項
1に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記第1のコイル部の巻き方向と前記第2のコイル部の巻き方向とは同一であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記連結部は、前記第1のコイル部
の接線と前記第2のコイル部
の接線
とをつなぐ線分に沿う形状を有することを特徴とする請求項
1に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記第1のコイル部の少なくとも一部を収容する第1
の収容部と、前記第2のコイル部の少なくとも一部を収容する第2
の収容部と、を有することを特徴とする請求項
1に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記第1のコイル
部と前記第2のコイル
部との間に
、前記連結部が前記ハウジング側を向くようにして
前記ブレード加圧バネが前記ハウジングに組み付け
られようと
した場合に前記連結部と当接
することによって前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部がそれぞれ前記第1
の収容部及び前記第2
の収容部に収容されることを阻む阻止部
が設けられていることを特徴とする請求項
9に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記阻止部は、前記第1のコイル部と前記第2のコイル部との間に配置され、前記阻止部の高さは、前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部のそれぞれの端部の高さよりも低いことを特徴とする請求項10に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記第1のコイル部の中心軸周りの前記第1のコイル部の回転を阻止するように、前記第1のコイル部及び前記第2のコイル部が前記第1の収容部及び前記第2の収容部にそれぞれ収容されることを特徴とする請求項9に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
前記第1の収容部及び前記第2の収容部のそれぞれの底部に貫通穴が設けられており、前記ブレード加圧バネが着座する着座領域が前記貫通穴の周りに設けられていることを特徴とする請求項9に記載のクリーニング装置。
【請求項14】
前記支持部と前記ハウジングとの間に設けられ、1本の線材で形成され、前記クリーニングブレードの長手方向に関して前記ブレード加圧バネと同じ側に設けられる第2のブレード加圧バネを更に有し、
前記第2のブレード加圧バネは、
前記支持部と前記ハウジングとの間に伸縮可能に設けられる第3のコイル部と、
前記第3のコイル部の中心軸方向と交差する方向に関して前記第3のコイル部に隣接して設けられ、前記支持部と前記ハウジングとの間に伸縮可能に設けられる第4のコイル部と、
前記第3のコイル部の中心軸方向に関して前記第3のコイル部の一端部と前記第4のコイル部の一端部とを連結する第2の連結部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項15】
前記ブレード加圧バネと前記第2のブレード加圧バネとは、互いに連結されていないことを特徴とする請求項14に記載のクリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた、複写機、プリンター、ファクシミリ装置、あるいはこれらのうち複数の機能を備えた複合機などの画像形成装置において用いられるクリーニング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式を用いた複写機などの画像形成装置では、回転体である感光ドラムなどの像担持体から被転写体にトナー像を転写した後に像担持体上に残留したトナー(残トナー)を像担持体から除去するために、クリーニング装置が用いられている。クリーニング装置は、ゴムなどの弾性体で形成されたクリーニングブレードを像担持体の表面(外周面)に当接させて、回転する像担持体の表面から残トナーを掻き取る方式のものが主流である。
【0003】
クリーニングブレードの支持方式は、固定支持方式と、揺動支持方式と、に分けられる。固定支持方式は、次のようなものである。板金などで形成された支持部材にクリーニングブレードを接着などにより固定し、支持部材をハウジングにビスなどで固定し、像担持体に対してクリーニングブレードを所定量食いこませた(侵入させた)状態で当接させる。揺動支持方式は、次のようなものである。上記同様にしてクリーニングブレードを支持部材に固定し、支持部材を揺動可能にハウジングに支持させ、クリーニングブレードが像担持体に所定の加圧力で当接するように圧縮コイルバネなどの加圧部材により支持部材を加圧する。なお、支持部材は、支持部材に設けられた揺動穴とハウジングに設けられた支持穴とに揺動ピンを挿通して揺動支点を設けることなどによって、揺動可能にハウジングに支持させる。
【0004】
揺動支持方式は、クリーニングブレードが摩耗した場合でも、その摩耗に追従してクリーニングブレードが揺動することで、安定した当接圧を維持しやすい。そのため、揺動支持方式は、比較的高寿命を要求されるクリーニング装置において好ましく用いられる。
【0005】
一方、固定支持方式はハウジングに支持部材をビスなどで固定するという簡易な構成であるのに対し、揺動支持方式は揺動ピンや加圧部材をハウジングに組み付ける必要がある。そのため、揺動支持方式では固定支持方式と比較して組み付けの難易度が上がる。
【0006】
特許文献1では、クリーニングブレードを加圧する圧縮コイルバネの根元をケースにより保持した状態で、圧縮コイルバネの先端近傍を支持部で支持する構成が提案されている。このような構成により、組み付け時の圧縮コイルバネの倒れを防止して圧縮コイルバネの姿勢を安定させ、像担持体に対するクリーニングブレードの加圧力を安定させることができるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、圧縮コイルバネのコイル中心軸に対する位相は管理されていない。そのため、圧縮コイルバネがクリーニングブレードの支持部材に当接する際の、圧縮コイルバネの終端と支持部材との接触位置がコイル円周方向でばらついてしまう。それにより、像担持体に対するクリーニングブレードの加圧力が、圧縮コイルバネの組み付け方によって変わってしまう。
【0009】
したがって、本発明の目的は、回転体に対するクリーニングブレードの加圧力を安定させることができると共に、組み立てを容易とすることが可能なクリーニング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係るクリーニング装置にて達成される。要約すれば、本発明は、回転体の表面に当接して前記回転体の表面からトナーを除去するクリーニングブレードと、前記クリーニングブレードを支持する支持部と、前記支持部を揺動可能に保持するハウジングと、前記支持部と前記ハウジングとの間に設けられ、1本の線材で形成され、前記支持部を加圧して前記回転体に対して前記クリーニングブレードを加圧するブレード加圧バネと、を有し、前記ブレード加圧バネは、前記支持部と前記ハウジングとの間に伸縮可能に設けられる第1のコイル部と、前記支持部と前記ハウジングとの間に伸縮可能に設けられる第2のコイル部と、前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とを連結する連結部と、を有し、前記第1のコイル部と前記第2のコイル部とは、前記第1のコイル部の中心軸方向と交差する方向に関して並んで配置されることを特徴とするクリーニング装置である。
【0011】
本発明の他の態様によると、上記本発明のクリーニング装置を有し、記録材にトナーで画像を形成する画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転体に対するクリーニングブレードの加圧力を安定させることができると共に、組み立てを容易とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】ドラムカートリッジの概略外観斜視図である。
【
図5】ブレード加圧バネの斜視図及び上面図である。
【
図8】ブレード加圧バネの取付部の側面図及び断面図である。
【
図9】ブレードアッシーの組み付け方法を示す斜視図である。
【
図10】圧縮コイルバネの倒れなどを説明するための断面図である。
【
図11】圧縮コイルバネの加圧力の分布の変動を説明するための断面図である。
【
図12】支持部材の別の例を示すドラムカートリッジの概略断面図である。
【
図13】ブレード加圧バネの配置の別の例を示す側面図である。
【
図14】ブレード加圧バネの別の例を示す上面図である。
【
図15】ブレード加圧バネの別の例を説明するための模式図である。
【
図16】ハウジングの貫通穴を説明するための断面図である。
【
図17】ブレードアッシーの組付工具を示す断面図である。
【
図18】組付工具を用いた組み立て手順を説明するための断面図である。
【
図19】ブレード加圧バネの倒れなどを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るクリーニング装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0015】
[実施例1]
1.画像形成装置の構成及び動作
図1は、本実施例の画像形成装置の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いてフルカラー画像を形成することのできる、中間転写方式を採用したタンデム型の画像形成装置(フルカラーレーザービームプリンター)である。
【0016】
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色のトナー像を形成する第1、第2、第3、第4の画像形成部GY、GM、GC、GKを有する。第1、第2、第3、第4の画像形成部GY、GM、GC、GKにおいて、同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のY、M、C、Kを省略して総括的に説明することがある。本実施例では、画像形成部Gは、後述する感光ドラム101、帯電ローラ102、露光装置103、現像装置104、一次転写ローラ105、クリーニング装置106を有して構成される。
【0017】
第1の像担持体としての、ドラム型(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム101は、所定の周速度(プロセススピード)で
図1中の時計回り方向に回転駆動される。感光ドラム101は、本実施例におけるクリーニング装置の清掃対象を構成する回転可能な回転体の一例である。本実施例では、感光ドラム101は、円筒状のアルミニウムシリンダの外周面に帯電極性が負極性である感光層が形成されて構成されている。感光ドラム101には、画像形成装置100の装置本体110に設けられた駆動手段を構成する駆動モータ(図示せず)から駆動力が伝達される。回転する感光ドラム101の表面(外周面)は、帯電手段としてのローラ状の帯電部材である帯電ローラ102によって、所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に一様に帯電処理される。帯電ローラ102は、感光ドラム101の表面に所定の押圧力で押圧されて接触させられており、感光ドラム101の回転に伴って従動回転する。帯電処理時に、帯電ローラ102には、高圧電源である帯電電源(図示せず)から所定の帯電電圧(帯電バイアス)が印加される。帯電処理された感光ドラム101の表面は、露光手段(静電潜像形成手段)としての露光装置(レーザースキャナー装置)103によって画像情報に従って走査露光され、感光ドラム101上に静電潜像(静電像)が形成される。露光装置103は、レーザービームを、回転ミラーを用いて走査して、一様に帯電処理された感光ドラム101の表面に照射することで、画像情報に応じた静電潜像を感光ドラム101上に書き込む。本実施例では、露光装置103は、各感光ドラム101Y、101M、101C、101Kを露光可能な1つのユニットとして構成されている。感光ドラム101上に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置104によって現像剤としてのトナーが供給されて現像(可視化)され、感光ドラム101上にトナー像が形成される。本実施例では、現像装置104は、トナー(非磁性トナー粒子)とキャリア(磁性キャリア粒子)とを含む二成分現像剤を用いて、感光ドラム101上の静電潜像にトナーを付着させることで、静電潜像を現像する。現像時に、現像装置104が備えた現像剤担持体としての現像スリーブには、高圧電源である現像電源から所定の現像電圧(現像バイアス)が印加される。また、本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム101上の露光部(イメージ部)に、感光ドラム101の帯電極性と同極性に帯電したトナーが付着する(反転現像)。本実施例では、現像時のトナーの帯電極性であるトナーの正規の帯電極性は負極性である。現像装置104には、トナー容器としてのトナーボトル150からトナー搬送路(図示せず)を介してトナーが供給される。
【0018】
各画像形成部Gの各感光ドラム101と対向するように、第2の像担持体としての、無端状のベルトで構成された中間転写体である中間転写ベルト107が配置されている。中間転写ベルト107は、複数の張架ローラ(支持ローラ)としての二次転写対向ローラ171、二次転写前ローラ172及びテンションローラ173に掛け渡されて所定の張力(テンション)で張架されている。中間転写ベルト107は、ポリイミドなどの誘電体樹脂によって無端状に形成されている。中間転写ベルト107は、駆動ローラの機能を有する二次転写対向ローラ171が回転駆動されることで、感光ドラム101の周速度とほぼ同じ周速度(プロセススピード)で
図1中の反時計回り方向に回転(周回移動)する。二次転写対向ローラ171には、装置本体110に設けられた駆動手段を構成するベルト駆動モータ(図示せず)から駆動力が伝達される。中間転写ベルト107の内周面側には、各感光ドラム101に対応して、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ105が配置されている。一次転写ローラ105は、中間転写ベルト107の内周面を感光ドラム101に向けて押圧して、感光ドラム101と中間転写ベルト107とが接触する一次転写部(一次転写ニップ部)N1を形成する。二次転写対向ローラ171以外の張架ローラ及び各一次転写ローラ105は、中間転写ベルト107の回転に伴って従動回転する。感光ドラム101上に形成されたトナー像は、一次転写部N1において、一次転写ローラ105の作用により、回転している中間転写ベルト107上に転写(一次転写)される。一次転写時に、一次転写ローラ105には、高圧電源である一次転写電源(図示せず)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性(本実施例では正極性)の直流電圧である一次転写電圧(一次転写バイアス)が印加される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム101上に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、重ね合わせるようにして中間転写ベルト107上に順次転写される。
【0019】
中間転写ベルト107の外周面側において、二次転写対向ローラ171と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ108が配置されている。二次転写ローラ108は、二次転写対向ローラ171に向けて押圧され、中間転写ベルト107を介して二次転写対向ローラ171に当接して、中間転写ベルト107と二次転写ローラ108とが接触する二次転写部(二次転写ニップ部)N2を形成する。中間転写ベルト107上に形成されたトナー像は、二次転写部N2において、二次転写ローラ108の作用により、中間転写ベルト107と二次転写ローラ108とに挟持されて搬送される紙などの記録材P上に転写(二次転写)される。二次転写時に、二次転写ローラ108には、高圧電源である二次転写電源(図示せず)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である二次転写電圧(二次転写バイアス)が印加される。記録材(転写材、記録媒体、用紙、シート)Pは、記録材収容部としての記録材カセット121に収容されている。記録材Pは、記録材カセット121から給送部材としての給送ローラ122などによって1枚ずつ給送され、搬送部材としての搬送ローラ対123などによって、搬送部材としてのレジストローラ対124へと搬送される。この記録材Pは、レジストローラ対124によって、斜行が補正されると共に、中間転写ベルト107上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部N2へと搬送される。記録材カセット121、給送ローラ122、搬送ローラ対123、レジストローラ対124などによって、給搬送装置120が構成される。
【0020】
トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置109へと搬送される。定着装置109は、熱源を備えた定着ローラ191と、定着ローラ191に圧接する加圧ローラ192と、によって、未定着のトナー像を担持した記録材Pを加熱及び加圧することで、トナー像を記録材Pに定着(溶融、固着)させる。トナー像が定着された記録材Pは、排出部材としての排出ローラ対131などによって、排出部としての排出トレイ132上に排出(出力)される。
【0021】
一方、一次転写後に感光ドラム101上に残留したトナー(一次転写残トナー)は、クリーニング手段としてのクリーニング装置(ドラムクリーニング装置)106によって、感光ドラム101上から除去されて回収される。また、中間転写ベルト107の外周面側において、テンションローラ173と対向する位置には、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置140が配置されている。つまり、ベルトクリーニング装置140は、中間転写ベルト107の表面の移動方向に関して、二次転写部N2よりも下流側かつ一次転写部N1(最上流の一次転写部N1Y)よりも上流側に配置されている。二次転写後に中間転写ベルト107上に残留したトナー(二次転写残トナー)や紙粉などの付着物は、ベルトクリーニング装置140によって、中間転写ベルト107上から除去されて回収される。本実施例では、後述するように、クリーニング装置106は、クリーニング部材として弾性ゴム材料で形成されたクリーニングブレードを有し、そのクリーニングブレードの自由端部のエッジ部が感光ドラム101の表面に所定の加圧力で当接させられている。そして、クリーニング装置106は、このクリーニングブレードによって、回転する感光ドラム101の表面から一次転写残トナーを掻き取って回収する。同様に、本実施例では、ベルトクリーニング装置140は、クリーニング部材としての弾性ゴム材料で形成されたクリーニングブレードを有し、そのクリーニングブレードの自由端部のエッジ部が中間転写ベルト107の表面に所定の加圧力で当接させられている。そして、ベルトクリーニング装置140は、このクリーニングブレードによって、回転する中間転写ベルト107の表面から二次転写残トナーなどの付着物を掻き取って回収する。各クリーニング装置106及びベルトクリーニング装置140に回収された残トナーなどの回収物は、廃トナー搬送部(図示せず)を介して廃トナー回収容器(図示せず)へと搬送されて回収される。廃トナー回収容器は、例えば、満杯になった場合などに空の廃トナー回収容器と交換される。
【0022】
本実施例では、各画像形成部Gにおいて、感光ドラム101、帯電ローラ102、クリーニング装置106は、一体的に装置本体110に対して着脱可能なドラムカートリッジ(プロセスカートリッジ)111を構成している。また、本実施例では、各画像形成部Gにおいて、現像装置104は、実質的に単独で装置本体110に対して着脱可能とされている。なお、クリーニング装置106は、感光体、帯電手段、現像手段のうち少なくとも1つと一体的に装置本体110に対して着脱可能であってよい。また、本実施例では、中間転写ベルト107、張架ローラ171~173、各一次転写ローラ106、ベルトクリーニング装置140は、一体的に装置本体110に対して着脱可能な中間転写ユニット112を構成している。
【0023】
2.ドラムカートリッジ
図2は、本実施例におけるドラムカートリッジ111の概略外観斜視図である。また、
図3は、本実施例におけるドラムカートリッジ111の概略断面図(感光ドラム101の回転軸線方向と略直交する断面)である。ここでは、画像形成装置100及びその要素に関して、
図1の紙面手前側を「手前側」、紙面奥側を「奥側」とする。この手前側と奥側とを結ぶ前後方向は、感光ドラム101の回転軸線方向と略平行であるものとする。また、ドラムカートリッジ111及びその要素(クリーニング装置106及びその要素など)に関して、感光ドラム101の回転軸線方向(上記前後方向と略平行)と略平行な方向を単に「長手方向」ともいう。また、画像形成装置100、及びその要素に関して、上下方向は重力方向(鉛直方向)の上下方向を言うものであるが、それぞれ直上、直下のみを意味するものではなく、注目する要素又は位置を通る水平面より上側、下側を含むものである。
【0024】
ドラムカートリッジ111は、感光ドラム101、帯電ローラ102、クリーニング装置106などが、ハウジング(ケース(筐体)、枠体(フレーム)、クリーニング容器)5に保持されることで一体化されている。なお、ハウジング5は単一の部材で構成されていても、複数の部材が適宜の固定手段を用いて連結されて構成されていてもよい。
【0025】
ドラムカートリッジ111は、一体的に装置本体110に対して着脱可能なように構成されている。本実施例では、ドラムカートリッジ111は、その長手方向に沿って手前側に向けてスライドさせて装置本体110から取り外し、奥側に向けてスライドさせて装置本体110に装着するように構成されている。ドラムカートリッジ111は、メンテナンスや交換などのために装置本体110に対して着脱される。また、ドラムカートリッジ111の交換は、例えば、感光ドラム101が寿命に達した場合などに行われる。
【0026】
ドラムカートリッジ111が装置本体110に装着されると、ドラムカートリッジ111に設けられたカートリッジ側カップリング(図示せず)と、装置本体110に設けられた本体側カップリング(図示せず)とが作動的に連結される。カートリッジ側カップリングは、例えば、感光ドラム101の回転軸線方向の一端部に固定されている。これにより、感光ドラム101は、装置本体110に設けられた駆動源としての駆動モータ(図示せず)からの駆動力を受け取って回転することが可能となる。また、ドラムカートリッジ111が装置本体110に装着されると、ドラムカートリッジ111に設けられたカートリッジ側電気接点部(図示せず)と、装置本体110に設けられた本体側電気接点部(図示せず)とが電気的に接続される。これにより、帯電ローラ102に帯電電圧を印加することが可能となる。
【0027】
感光ドラム101は、その回転軸線方向の両端部において、それぞれ軸受部材113を介してハウジング5により回転可能に支持されている。感光ドラム101は、円筒状であり、その回転軸線方向の長さは画像形成装置100が処理する記録材Pの大きさや画像の大きさにより決まる。例えば、本実施例では、画像形成装置100は、おおむねA3サイズの記録材Pを処理するものであり、感光ドラム101の回転軸線方向の長さは約400mm程度とされている。また、帯電ローラ102は、その回転軸線方向の両端部において、それぞれ軸受部材(図示せず)を介してハウジング5により回転可能かつ感光ドラム101に対して近付く方向及び遠ざかる方向にスライド移動可能に支持されている。帯電ローラ102は、押圧部材としての圧縮コイルバネで構成されたローラ押圧バネ(図示せず)によって上記軸受部材が感光ドラム101に向けて押圧されることで、感光ドラム101に押圧されている。帯電ローラ102の回転軸線方向の長さは、感光ドラム101の回転軸線方向の長さと同等とされている。
【0028】
クリーニング装置106は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード1と、クリーニングブレード1を支持する支持部材2と、を有する。本実施例では、支持部材2は、第1の支持部としての支持板(第1の板金、第1の支持部材)3と、第2の支持部としての揺動板(第2の板金、第2の支持部材)4と、を有して構成されている。また、クリーニング装置106は、支持部材2を加圧してクリーニングブレード1を感光ドラム101に所定の加圧力(付勢力)で加圧する付勢手段としての加圧部材(付勢部材)であるブレード加圧バネ6を有する。また、クリーニング装置106は、ハウジング5によって形成される回収トナー収容部51と、回収トナー収容部51内に配置された搬送部材としての搬送スクリュー7と、を有する。また、クリーニング装置106は、支持部材2の揺動板4を軸支することで、後述するブレードアッシー10(すなわち、クリーニングブレード1)を揺動可能(回動可能)にハウジング5により保持するための、軸部材としての揺動軸(揺動ピン)8を有する。
【0029】
本実施例では、クリーニングブレード1と、支持板3と、揺動板4と、を有して、ブレードアッシー(ブレード組立体、ブレードユニット)10が構成される。また、本実施例では、支持板3と、揺動板4と、を有して、支持部材2が構成される。
【0030】
クリーニングブレード1は、感光ドラム101の回転軸線方向と略平行に配置される長手方向と、該長手方向と略直交する短手方向と、にそれぞれ所定の長さを有し、所定の厚さを有する、平面視略矩形の板状(ブレード状)の部材である。クリーニングブレード1は、弾性体(弾性部材)であるウレタンゴムで形成されている。クリーニングブレード1は、短手方向における自由端部のエッジ部Eが感光ドラム101の表面(外周面)に当接するように、感光ドラム101の回転方向(表面の移動方向)に対してカウンター方向に配置される。つまり、クリーニングブレード1は、短手方向における自由端部が、感光ドラム101の回転方向の上流側を向くように配置される。本実施例では、クリーニングブレード1は、後述するように揺動板4がブレード加圧バネ6で加圧され、エッジ部Eが感光ドラム101の表面に押し付けられることで撓ませられる。これにより、クリーニングブレード1が所定の当接圧で感光ドラム101と当接する。クリーニングブレード1の長手方向の長さは、本実施例では、A3サイズの記録材Pの短辺側の長さに近い320mm程度とされている。
【0031】
支持部材2を構成する支持板3は、厚さ2mm程度の金属板(板金)を、長手方向と略直交する断面が略L字状になるように曲げることで形成されている。つまり、支持板3は、第1の平坦部31と、第2の平坦部32と、を有するように金属板が屈曲させられて形成されている。第1の平坦部31は、その面方向が感光ドラム101の回転軸線方向と略平行に配置される。第2の平坦部32は、第1の平坦部31から該第1の平坦部31と交差(本実施例では略直交)する方向に延び、その面方向が感光ドラム101の回転軸線方向と略平行に配置される。本実施例では、第2の平坦部32は、第1の平坦部31から感光ドラム101側に延びるように配置される。支持板3は、上述のように曲げられることで剛性が高められている。クリーニングブレード1は、その短手方向の自由端部とは反対側の固定端部側の一部が、支持板3(より詳細には第1の平坦部31の短手方向における第2の平坦部32とは反対側の端部側の一部)に接着により固定される。支持板3の第1の平坦部31及び第2の平坦部32の長手方向の長さは、クリーニングブレード1の長手方向の長さと同等とされている。
【0032】
支持部材2を構成する揺動板4は、厚さ2mm程度の金属板(板金)を、長手方向と略直交する断面が略L字状になるように曲げることで形成されている。つまり、揺動板4は、第1の平坦部41と、第2の平坦部42と、を有するように金属板が屈曲させられて形成されている。第1の平坦部41は、その面方向が感光ドラム101の回転軸線方向と略平行に配置される。第2の平坦部42は、第1の平坦部41から該第1の平坦部41と交差(本実施例では略直交)する方向に延び、その面方向が感光ドラム101の回転軸線方向と略平行に配置される。本実施例では、第2の平坦部42は、第1の平坦部41から感光ドラム101側に延びるように配置される。揺動板4は、上述のように曲げられることで剛性が高められている。そして、クリーニングブレード1が固定された支持板3は、ビス21(
図9参照)によって揺動板4に固定されている。ビス21は、支持板3の長手方向に複数配置されている。本実施例では、揺動板4は、支持板3の第1の平坦部31の感光ドラム101とは反対側の側面に、揺動板4の第1の平坦部41の感光ドラム101側の側面が重ねられるようにして配置されて、支持板3に固定される。揺動板4の第1の平坦部41及び第2の平坦部42の長手方向の長さは、クリーニングブレード1の長手方向の長さと同等とされている。また、揺動板4には、その長手方向の両端部に、それぞれ保持部43が設けられている。保持部43は、揺動板4の第1の平坦部41の長手方向の両端部を、それぞれ支持板3の第1の平坦部31の長手方向の両端部よりも外側に延長し、感光ドラム101側に屈曲させることで形成されている。保持部43は、その平面が揺動板4の第1の平坦部41及び感光ドラム101の回転軸線方向とそれぞれ交差(本実施例では略直交)する方向に配置される。揺動板4の長手方向の両端部の保持部43には、それぞれ直径3mm程度の断面略円形(円筒形)の揺動穴(貫通穴)44が設けられている。両方の揺動穴44は、互いに中心が略同軸上になるように位置している。両方の保持部43の長手方向の外側には、それぞれハウジング5の一部である側面部52が設けられている。両方の側面部52には、それぞれ直径3mm程度の断面略円形(円筒形)の支持穴(貫通穴)53が設けられている。両方の支持穴53は、上記両方の揺動穴43と略同軸上となるように位置している。
【0033】
上記各揺動穴43及び各支持穴53は、貫通穴となっており、ハウジング5の長手方向の両端部において、それぞれ揺動穴43及び支持穴53に対し揺動軸8が挿通される。揺動軸8は、揺動穴43及び支持穴53に対し、それぞれ嵌合公差(隙間50μm程度)の隙間を持った状態で嵌合し、ブレードアッシー10を軸支する。すなわち、ブレードアッシー10は、ハウジング5により、揺動軸8を支点(揺動支点、揺動軸線、回動軸線)として揺動可能(回動可能)に支持される。
【0034】
また、圧縮コイルバネを有して構成されたブレード加圧バネ6が、揺動板4とハウジング5との間に配置される。ブレード加圧バネ6は、圧縮コイルバネのコイル中心軸方向(伸縮方向)の一端部が、揺動板4(より詳細には第1の平坦部41の感光ドラム101とは反対側の側面)に設けられた第1の当接部45に当接(着座)させられる。また、ブレード加圧バネ6は、コイル中心軸方向(伸縮方向)の他端部が、ハウジング5に設けられた第2の当接部55に当接(着座)させられる。ブレード加圧バネ6は、少なくとも揺動軸8を支点としてブレードアッシー10を
図3中の反時計回り方向(
図3中の矢印CCW方向)へと回動させる回転力(モーメント)を発生させ、クリーニングブレード1を感光ドラム101に当接させるように配置される。ブレード加圧バネ6については、後述して更に詳しく説明する。
【0035】
以上のように、ブレードアッシー10は揺動軸8を支点として揺動可能であり、ブレード加圧バネ6の加圧力によりブレードアッシー10が回転力を受けることで、クリーニングブレード1が感光ドラム101に圧接する。そして、ブレードアッシー10は、回転する感光ドラム101上の残トナーをクリーニングブレード1のエッジ部Eにより掻き取ることで、感光ドラム101の表面の清掃を行う。
【0036】
クリーニングブレード1によって感光ドラム101の表面から掻き取られた残トナーは、回収トナー収容部51に収容される。回収トナー収容部51は、ハウジング5のクリーニングブレード1を挟んで感光ドラム101とは反対側の近傍に設けられている。回収トナー収容部51に収容されたトナー(回収トナー)は、回収トナー収容部51の内部を、搬送スクリュー7によって搬送される。本実施例では、回収トナー収容部51内の回収トナーは、感光ドラム101の回転軸線方向(クリーニング装置106の長手方向)に沿って、回収トナー収容部51の一端部(例えば手前側の端部)に向けて搬送される。ハウジング5の該一端部の壁部には排出口(図示せず)が形成されている。これにより、回収トナー収容部51の内部を搬送された回収トナーは、該排出口を介して回収トナー収容部51(クリーニング装置106)の外部へと排出される。回収トナー収容部51から排出された回収トナーは、前述のように、装置本体110に設けられた廃トナー搬送部(図示せず)を搬送されて廃トナー回収容器(図示せず)に貯留される。そして、廃トナー回収容器内が回収トナーで満たされると、廃トナー回収容器ごと交換される。なお、上記ハウジング5に設けられた排出口は、ドラムカートリッジ111が装置本体110に装着されると、装置本体110に設けられた廃トナー搬送部と接続されるようになっている。
【0037】
3.ブレード加圧バネ
次に、本実施例におけるブレード加圧バネ6について詳しく説明する。
図4は、ハウジング5にブレード加圧バネ6が保持されている様子を示すドラムカートリッジ111の上面図(
図3中の矢印A方向に見た図)である。なお、
図4では、便宜上、ドラムカートリッジ111におけるハウジング5及びブレード加圧バネ6以外の多くの要素の図示を省略した。
図5は、本実施例におけるブレード加圧バネ6の単品の斜視図(
図5(a))及び上面図(
図5(b))である。
図6は、ブレード加圧バネ6の単品の別の例を示す上面図である。
【0038】
<ブレード加圧バネの配置>
まず、本実施例におけるブレード加圧バネ6の配置について説明する。本実施例では、
図4に示すように、ハウジング5の長手方向の両端部近傍に、それぞれ圧縮コイルバネで構成された複数のコイル部(圧縮コイルバネ部)61が、ハウジング5の長手方向に沿って並列に配置されている。特に、本実施例では、詳しくは後述するように2個のコイル部61(第1のコイル部61a、第2のコイル部61b)が一体で形成されたブレード加圧バネ6が、ハウジング5の長手方向に4個並列に配置されている。より詳細には、2個のコイル部61(第1のコイル部61a、第2のコイル部61b)が一体で形成されたブレード加圧バネ6が、ハウジング5の長手方向の両端部近傍に、それぞれ2個ずつ並列に配置されている。つまり、本実施例では、揺動板4に対し合計8個のコイル部61によって加圧力を印加する。本実施例では、これら8個のコイル部61は、感光ドラム101の回転軸線と略平行に並列配置されている。
【0039】
ところで、圧縮コイルバネでクリーニングブレードを感光ドラムに加圧して残トナーを除去する構成において、圧縮コイルバネの作動長(
図3中のL)は、部品公差によって変動する。なお、圧縮コイルバネの作動長は、圧縮コイルバネが加圧対象に加圧力を印加している使用状態におけるコイル中心軸方向(伸縮方向)の長さである。例えば、次のような箇所に製造上のばらつきが発生した場合、圧縮コイルバネの作動長Lは変わる。つまり、例えば、ハウジング5の第2の当接部55と支持穴53の中心との位置公差(
図3中のH)である。また、例えば、揺動板4の揺動穴44の中心と第1の当接部45との位置公差(
図3中のD)である。そして、圧縮コイルバネの作動長Lが変動すると、それに伴い圧縮コイルバネがブレードアッシー10に印加する加圧力も変動する。このとき、上述の部品公差により変動する圧縮コイルバネの作動長をΔLとすると、それに伴う圧縮コイルバネがブレードアッシー10に印加する加圧力の変動量ΔFは、次式で求められる。
ΔF=k×ΔL ・・・(1)
【0040】
ここで、kは、圧縮コイルバネ単品のバネ定数であり、次式で求められ、圧縮コイルバネ単品の材質、形状で決まる。
k=(G×d4)/(8×N×D3) ・・・(2)
G:横弾性係数
d:コイル線径
D:コイル平均径
N:有効巻き数
【0041】
式(1)から分かるように、圧縮コイルバネがブレードアッシー10に印加する加圧力の変動量ΔFをなるべく小さくするためには、バネ定数kをなるべく小さく設定するのが良い。バネ定数kを小さくする手段の1つとして、式(2)から、コイル平均径D、コイル線径d、有効巻き数N(横弾性係数Gはバネ材料により決定してしまうため設計自由度としては低い)を変更することが挙げられる。しかしながら、後述する理由でコイル平均径D、コイル線径d、有効巻き数Nを変更することが難しい場合があり、結果として圧縮コイルバネを並列に複数配置した方がバネ定数kを小さくできる場合がある。
【0042】
まず、圧縮コイルバネに所定荷重Pかけた際にかかるせん断応力T0は、
T0=8×N×D3×P/(G×d4) ・・・(3)
P:所定加圧力
となることが知られており、圧縮コイルバネの破壊強度の指標として広く使われている。
【0043】
ここで、圧縮コイルバネを単体で配置する場合と、並列に複数配置する場合と、を比較すると、所定加圧力Pを必要とする場合、圧縮コイルバネを並列に複数配置する場合はそれぞれの圧縮コイルバネが発生させる加圧力の合算値が所定加圧力Pになれば良い。それに対し、圧縮コイルバネを単体で配置する場合は単体で所定加圧力Pを発生させる必要がある。すると、圧縮コイルバネ単体に付加されるせん断応力T0は、圧縮コイルバネを並列に複数配置する場合よりも、圧縮コイルバネを単体で配置する場合の方が大きくなる。例えば、単体で配置した場合に印加されるせん断応力は、並列に2個配置した場合に比べ2倍のせん断応力となる。このため、圧縮コイルバネを単体で配置した場合には、許容せん断応力を超えてしまい、破損してしまう可能性がある。
【0044】
せん断応力T0を下げるには、式(3)から、コイル平均径Dを小さくするかコイル線径dを大きくする必要がある。しかしながら、コイル平均径Dを小さくすることは、圧縮コイルバネの加工性の限界により加工が困難であったり、コイル平均径Dが小さくなることで局部的に発生する応力が過大になり破損の恐れがあったりして、採用できない場合がある。また、コイル平均径Dを小さくすると、式(2)より、バネ定数が3乗で上がってしまう。さらに、コイル線径dに関しても、コイル線径dを大きくすることでせん断応力T0を下げられるが、式(2)から、バネ定数が4乗で大きくなってしまう。このため、強度が満足できても、単体で配置する場合のバネ定数が並列で配置する場合のバネ定数の和よりも上がってしまうことがある。
【0045】
また、有効巻き数Nを増やしてバネ定数を下げようとすると、せん断応力T0も増えてしまい、破壊強度不足に陥る場合がある。
【0046】
以上の理由で、圧縮コイルバネを複数個並列配置することで、それぞれの圧縮コイルバネにかかるせん断応力T0を下げながら、結果的にトータルのバネ定数を低減させることができる。例えば、同じ加圧力Pを発生する際に、バネ定数k1の圧縮コイルバネを並列に2個配置した場合と、バネ定数k2の圧縮コイルバネを単体で配置した場合とで、バネ定数を、
2×k1<k2
の関係とすることができる。
【0047】
本実施例のクリーニング装置106は、長手方向には圧縮コイルバネを配置するために比較的スペースの余裕がある。一方、圧縮コイルバネの作動長方向のスペースには制約がある。これは、圧縮コイルバネの作動長方向(
図3中の左右方向)のサイズの増大は、クリーニング装置106の同方向のサイズ、ひいては画像形成装置100幅方向のサイズの増大につながるからである。このような構成においては、複数の圧縮コイルバネを長手方向に並列配置することで、スペースを有効利用しながら、圧縮コイルバネのバネ定数を低減して、作動長Lの変動に伴う加圧力の変動を低減することが可能である。
【0048】
以上のような理由で、本実施例では、前述のように、クリーニング装置106の長手方向に合計8個のコイル部61が並べられており、それぞれのコイル部61により揺動板4が加圧されている。
【0049】
また、本実施例では、
図4に示すように、複数のコイル部61は、ハウジング5の長手方向の両端部近傍にそれぞれ設けられている。ここで、感光ドラム101に対するクリーニングブレード1の加圧力の長手方向における分布は、なるべくフラットとすることが望ましい。例えば、この加圧力の長手方向における分布が中央で凸になる場合は、クリーニングブレード1が感光ドラム101からめくれてしまい、クリーニング不良が発生する可能性がある。そのため、本実施例では、複数のコイル部61をハウジング5の長手方向の両端部近傍にそれぞれ設け、上記加圧力の長手方向における分布が中央で高くなるのを抑制している。
【0050】
<ブレード加圧バネの形状>
次に、本実施例におけるブレード加圧バネ6の形状について説明する。
図5(a)は、ブレード加圧バネ6を示す斜視図であり、
図5(b)は,ブレード加圧バネ6の上面図である。なお、
図5(b)は、
図5(a)中の矢印B方向に見た図、より詳細には、後述する第1のコイル部61aのコイル中心軸Sa及び第2のコイル部61bのコイル中心軸Sbと略平行に見た図である。
【0051】
図5(a)に示すように、ブレード加圧バネ6は、第1のコイル部61aと、第2のコイル部61bと、連結部61cと、を有する。本実施例では、第1のコイル部61a、第2のコイル部61b及び連結部61cは、1本の線材(例えば、硬鋼線)で一体に形成されている。第1のコイル部61a及び第2のコイル部61bは、いずれも螺旋形状を有し、この螺旋形状部が圧縮されることで加圧力を発生させる。第1のコイル部61aのコイル中心軸Saと、第2のコイル部61bのコイル中心軸Sbと、は略平行である。ブレード加圧バネ6は、第1のコイル部61aの一方の端部(連結端部)62aと第2のコイル部61bの一方の端部(連結端部)62bとが、連結部61cによってつながるように、1本の線材で形成されている。また、第1のコイル部61aの他方の端部、及び上記第2のコイル部61bの他方の端部は、それぞれ自由端(終端)となっており、第1のコイル自由端(終端)63a、及び第2のコイル自由端(終端)63bがそれぞれ形成されている。
【0052】
ここで、
図5(a)に示すように、本実施例では、連結部61cは、第1のコイル部61aのコイル中心軸Saと第2のコイル部61bのコイル中心軸Sbとを通る面Fと交差する交差部64を有している。これにより、第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとは、同一の巻き方向となる(
図5に示す例ではいずれも右巻き)。また、
図5(b)に示すように、本実施例では、連結部61cは、後述の連結軸線Scを中心として略180°(度)回転対称の形状を有している。つまり、
図5(b)において、第1のコイル部61aのコイル中心軸Saと第2のコイル部61bのコイル中心軸Sbとを結ぶ線分lの中点を通り、かつ、上記コイル中心軸Saと略平行な軸線を連結軸線Scとする。このとき、連結部61cは、連結軸線Scを中心として180°回転した場合でも略同一形状になる形状を有している。これにより、ブレード加圧バネ6をハウジング5に組み付ける際に、連結軸線Scを中心として180°回転しても連結部61cは略同一形状になる。そのため、ブレード加圧バネ6の組み付け方によるクリーニングブレード1の感光ドラム101に対する加圧力への影響を極めて小さくすることができる。また、組み付け時にブレード加圧バネ6の組み付け向きを気にしないでよいため、容易に組み付けることが可能となる。
【0053】
なお、
図5に示す例では、連結部61cは、第1のコイル部61a及び第2のコイル部61bのそれぞれのコイル平均径の接線をつなぐ線分に沿う形状である。しかし、この形状に限らず、連結部61cが連結軸線Scを中心として180°回転した場合でも略同一形状になる形状であれば、上記同様の効果が得られる。
図6は、
図5(b)と同様の方向から見たブレード加圧バネ6の別の例を示す上面図である。例えば、
図6に示すように、連結部61cは、3本の線分から成る略Z形状でもあってもよい。
【0054】
4.組み付け方法
次に、ハウジング5にブレード加圧バネ6及びブレードアッシー10を組み付け方法について説明する。
図7は、ブレード加圧バネ6がハウジング5に仮保持された状態を示す斜視図である。また、
図8(a)は、ブレード加圧バネ6がハウジング5に正常に組み付けられた状態を示す左側面図(感光ドラム101側から見た側面図)である。また、
図8(b)は、ブレード加圧バネ6の誤組み付けを防止する構成を説明するための断面図(
図8(a)中のA-A線断面図)である。また、
図9は、ブレードアッシー10及び揺動軸8がハウジング5に組み付けられる様子を示す斜視図である。なお、
図7及び
図8は、それぞれハウジング5の長手方向の一端部側に配置される2個のブレード加圧バネ6(4個のコイル部61)に関する構成を示しているが、他端部側の構成も同様である。
【0055】
<ブレード加圧バネのハウジングへの仮組み>
図7に示すように、ハウジング5には、ブレード加圧バネ6の第1のコイル部61a及び第2のコイル部61bがそれぞれ入る、略円筒形状の第1のコイル収容部としての第1の溝部56a及び第2のコイル収容部としての第2の溝部56bが設けられている。ブレード加圧バネ6は、第1のコイル部61a及び第2のコイル部61bのコイル中心軸方向の一端部側(ブレードアッシー10とは反対側)の一部が、それぞれ第1の溝部56a及び第2の溝部56bに入ることで、ハウジング5に仮保持される。ブレード加圧バネ6のコイル部61が伸縮する際にコイル部61(第1のコイル部61a、第2のコイル部61b)と溝部56(第1の溝部56a、第2の溝部56b)の縁56cとが引っ掛からないように、コイル部61の外径と溝部56の内径との間には所定のクリアランスが設けられている。
図8(a)、(b)に示すように、溝部56のブレードアッシー10とは反対側の端部に設けられた底部が、前述の第2の当接部55となっている。
【0056】
ブレード加圧バネ6は、コイル自由端63(第1のコイル自由端63a、第2のコイル自由端63b)がハウジング5の第2の当接部55側、連結部61cがブレードアッシー10側となるようにハウジング5に組み付けられる。
図8(a)、(b)に示すように、本実施例では、ハウジング5には、ブレード加圧バネ6の誤組み付けを防止するための誤組み付け防止形状部(阻止部)56dが設けられている。これにより、ブレード加圧バネ6が上記とは逆に、連結部61cがハウジング5の第2の当接部55側となるように組み付けられてしまうことが防止されている。具体的には、本実施例では、
図8(b)に示すように、ハウジング5には、ブレード加圧バネ6の第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとをそれぞれ受け入れる第1の溝部56aと第2の溝部56bとの間に、阻止部としてリブ56dが設けられている。リブ56dは、十分の長さで溝部56の底部からブレードアッシー10側に延在する。連結部61cがハウジング5の第2の当接部55側となる向きとされた状態でブレード加圧バネ6がハウジング5に組み付けられようとすると(
図8(b)中の矢印W方向)、リブ56dが連結部61cに当接して干渉する。なお、連結部61cがブレードアッシー10側となる向きとされた状態でブレード加圧バネ6がハウジング5に組み付けられる際には、リブ56dは連結部61cに当接しない。これにより、上記のような誤組み付けが防止される。また、本実施例では、
図8(b)中の拡大斜視図に示すように、リブ56dには、正常に組み付けられたブレード加圧バネ6が圧縮された際に連結部61cにリブ56dが干渉することを防止するための切り欠き部56eが設けられている。つまり、本実施例では、溝56の縁56cの一部を構成するリブ56dで誤組み付け防止形状部を構成すると共に、縁56cの一部(リブ56dのブレードアッシー10側の端部)の高さを他の部分の縁56cよりも低くするように切り欠き部56eを設けている。
【0057】
なお、前述のように、本実施例では、ブレード加圧バネ6の連結軸線Scに対する回転方向に関しては、連結部61cは180°回転しても連結部61cは略同一形状になるため、誤組み付けの問題なく組み付けられる。
【0058】
<ブレードアッシーの組み付け>
次に、
図9に示すように、ブレード加圧バネ6が仮保持されたハウジング5に対し、ブレードアッシー10が矢印As方向から組み付けられる。
【0059】
ここで、ブレード加圧バネ6の第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとが連結部61cで連結されていることによる効果、連結部61cがブレードアッシー10側に位置することによる効果について説明する。
図10、
図11(a)、(b)は、それぞれ従来の単一のコイル部からなる圧縮コイルバネを用いた場合の組み付け時の様子を説明するための模式的な断面図(コイル中心軸を通る断面)である。
【0060】
まず、
図10に示すように、仮に、単一のコイル部からなる圧縮コイルバネ200を用いた場合、圧縮コイルバネ200は、揺動板4の第1の当接部45とは、圧縮コイルバネ200の終端で接触することになる。この場合、
図10に示すように、ブレードアッシー10を矢印As方向に組み付ける際に、圧縮コイルバネ200が揺動板4に対して傾いた状態で、ブレードアッシー10が組み付けられることがある。圧縮コイルバネ200の姿勢のばらつきや、圧縮コイルバネ200とハウジング5の溝部56との間に設けられたクリアランスによる圧縮コイルバネ200の倒れが生じた場合である。すると、圧縮コイルバネ200が揺動板4の所定位置に着座せず脱落する可能性がある。これは、ブレード加圧バネ6が第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとを連結する連結部61cを有していても、連結部61cがハウジング5の第2の当接部55側に位置する場合には同様である。
【0061】
これに対して、本実施例では、ブレード加圧バネ6は、第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとが連結部61cで連結されている。また、本実施例では、ブレード加圧バネ6は、連結部61cがブレードアッシー10側に位置する。そのため、本実施例によれば、第1のコイル部61a及び第2のコイル部61bの倒れが互いに抑制され、ブレードアッシー10の組み付けが容易となり、ひいてはクリーニング装置106の組み立て容易性が向上する。
【0062】
また、本実施例によれば、ブレード加圧バネ6が揺動板4の第1の当接部45と接触して揺動板4を加圧する際の加圧ポイントが安定することで、ブレード加圧バネ6のブレードアッシー10に対する加圧力が安定する。これは、第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとが連結部61cで連結されており、連結部61cがブレードアッシー10側に位置するからである。
【0063】
つまり、
図11に示すように、仮に、単一のコイル部からなる圧縮コイルバネ200を用いた場合、圧縮コイルバネ200はコイル中心軸に対する位相は不問でハウジング5に組み付けられる。そのため、圧縮コイルバネ200のブレードアッシー10側の終端201は、圧縮コイルバネ200の組み付け位相によって、例えば、
図11(a)に示すように下端に位置する場合と、
図11(b)に示すように上端に位置する場合があり得る。すると、圧縮コイルバネ200が揺動板4に印加する加圧力は、
図11(a)に示す場合と
図11(b)に示す場合とで、図中fで示すように分布差が生じてしまう。その結果、圧縮コイルバネ200の組み付け位相によって、感光ドラム101に対するクリーニングブレード101の加圧力のばらつきが発生してしまう。
【0064】
これは、ブレード加圧バネ6が第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとを連結する連結部61cを有していても、連結部61cがハウジング5の第2の当接部55側に位置する場合には同様である。つまり、一般的に、バネの加圧力優先でバネの構成を決めると、バネ線径やコイル径などの公差による加圧力の変動分をコイルの巻き数で吸収しようとするため、コイルの終端の位置がばらつくことがある。この場合も、コイル部61の終端(第1のコイル自由端63a、第2のコイル自由端63b)の位置の公差ばらつきによって、上記同様のブレード加圧バネ6が揺動板4に印加する加圧力のばらつきが発生してしまう可能性がある。
【0065】
これに対して、本実施例では、ブレード加圧バネ6は、第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとが連結部61cで連結されている。また、本実施例では、ブレード加圧バネ6は、連結部61cがブレードアッシー10側に位置する。そのため、ブレード加圧バネ6は、決まった稜線(連結部61c、特に、本実施例では連結軸線Scの位置付近)で揺動板4の第1の当接部45に接触し、揺動板4に対するブレード加圧バネ6の加圧ポイントが安定する。その結果、感光ドラム101に対するクリーニングブレード1の加圧力を安定させることが可能となる。また、前述のように、本実施例によれば、ブレード加圧バネ6の連結軸線Scに対する回転方向に関しては、180°回転して組み付けても連結部61cは略同一形状になる。そのため、該回転方向に関するブレード加圧バネ6の組み付け方による加圧力の変動はほとんどなく、組み付け方によらず安定した加圧力が得られる。
【0066】
なお、本実施例では、コイル部61の終端(第1のコイル自由端63a、第2のコイル自由端63b)がハウジング5の第2の当接部55側に配置される。そのため、加圧ポイントの変動が該第2の当接部55側で起こり得る。しかし、このコイル部61の終端はブレードアッシー10を直接押圧するわけではないため、感光ドラム101に対するクリーニングブレード101の加圧力には影響しないか又は無視できる程度である。
【0067】
<揺動軸の組み付け>
図9を再度参照して、ブレードアッシー10を所定位置に装着(配置)した後に、ハウジング5の長手方向の両端部において、本実施例ではハウジング5の外側から、揺動軸8を揺動板4の揺動穴44及びハウジング5の支持穴53に挿入する。これにより、ブレードアッシー10は、揺動軸8に軸支され、揺動軸8を支点として揺動可能にハウジング5により支持される。
【0068】
5.効果
以上のように、本実施例のクリーニング装置106は、回転体101の表面に当接して回転体101の表面からトナーを除去するクリーニングブレード1と、クリーニングブレード1を支持する支持部材2と、支持部材2を揺動可能に保持するハウジング5と、支持部材2とハウジング5との間に配置され支持部材2を加圧して回転体101に対してクリーニングブレード1を加圧するブレード加圧バネ6と、を有する。そして、ブレード加圧バネ6は、支持部材2とハウジング5との間に伸縮可能に配置される圧縮コイルバネで構成された第1のコイル部61aと、支持部材2とハウジング5との間に伸縮可能に配置される圧縮コイルバネで構成された第2のコイル部61bと、第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとを一体的に連結する連結部61cと、を有し、連結部61cは、第1のコイル部61aの支持部材側の端部と第2のコイル部61bの支持部材側の端部とをつないで第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとを連結し、支持部材2側に配置される。本実施例では、第1のコイル部61aのコイル中心軸Saと、第2のコイル部61bのコイル中心軸Sbとは、互いに略平行である。また、本実施例では、連結部61cは、第1のコイル部61aのコイル中心軸Saと第2のコイル部61bのコイル中心軸Sbとを通る面Fと交差する交差部64を有する。また、本実施例では、連結部61cは、第1のコイル部61aのコイル中心軸Saと略平行に見たとき、第1のコイル部61aのコイル中心軸Saと第2のコイル部61bのコイル中心軸Sbとを結ぶ線分lの中点を通りかつ第1のコイル部61aのコイル中心軸Saと略平行な軸線Scに対して180°回転した場合に略同一形状となる形状を有する。また、本実施例では、連結部61cは、第1のコイル部61a及び第2のコイル部61bのそれぞれのコイル平均径の接線をつなぐ線分に沿う形状を有する。
【0069】
また、本実施例では、第1のコイル部61aのハウジング側の端部及び第2のコイル部61bのハウジング側の端部は、それぞれ自由端である。また、本実施例では、ハウジング5は、第1のコイル部61aの少なくとも一部を収容する第1のコイル収容部56aと、第2のコイル部61bの少なくとも一部を収容する第2のコイル収容部56bと、を有する。また、本実施例では、第1のコイル収容部56aと第2のコイル収容部56bとの間に、ブレード加圧バネ6を連結部61cが支持部材2側を向くようにしてハウジング5に組み付ける場合には連結部61cと当接せず、ブレード加圧バネ6を連結部61cがハウジング5側を向くようにしてハウジング5に組み付けようとすると連結部61cと当接して第1のコイル部61a及び第2のコイル部61bがそれぞれ第1のコイル収容部56a及び第2のコイル収容部56bに収容されることを阻む阻止部56dを有する。また、本実施例では、支持部材2は、クリーニングブレード1が固定される第1の支持部3と、第1の支持部3が固定される第2の支持部4と、を有し、第2の支持部4が軸支されることでハウジング5により揺動可能に保持される。
【0070】
本実施例によれば、ブレードアッシー10の組み付け時にコイル部61の倒れを抑制することが可能であると共に、コイル部61のコイル中心軸に対する位相を気にすることなくブレード加圧バネ6を組み付けることができる。また、本実施例によれば、揺動板4に対するブレード加圧バネ6の加圧ポイントが安定する。これにより、組み立てが容易で、かつ、感光ドラム101に対するクリーニングブレード1の安定した加圧力を得ることが可能となる。つまり、本実施例によれば、ブレード加圧バネ6及びブレードアッシー10の組み付けが容易で、かつ、部品公差による感光ドラム101に対するクリーニングブレード1の加圧力のばらつきが少なく安定した加圧力を得ることが可能となる。したがって、本実施例によれば、感光ドラム101に対するクリーニングブレード1の加圧力を安定させることができると共に、クリーニング装置106の組み立てを容易とすることが可能となる。
【0071】
[実施例2]
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、本実施例の画像形成装置において、実施例1の画像形成装置のものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1と同一の符号を付して、詳しい説明は省略する。本実施例では、クリーニング装置106の各部の実施例1に対する変形例について説明する。
【0072】
実施例1では、支持部材2は、支持板3と揺動板4とを有して構成され、ブレード加圧バネ6は、揺動板4に設けられた第1の当接部45に当接して加圧力を印加していた。しかし、本発明は斯かる構成に限定されるものではない。
図12は、支持部材2の別の例を示すドラムカートリッジ111の概略断面図(感光ドラム101の回転軸線方向と略直交する断面)である。例えば、
図12に示すように、クリーニングブレード1を支持する支持部材2は、実施例1における揺動板4を有しておらず、クリーニングブレード1が接着などで固定される支持板3によって構成されていてもよい。この支持板3は、実施例1における揺動板4と同様にして揺動可能にハウジング5により支持される。この場合、ブレード加圧バネ6は、クリーニングブレード1が固定された支持板3に設けられた第1の当接部35に当接して加圧力を印加するようにする。また、支持板3や揺動板4とは別部材で構成され、支持板3又は揺動板4に固定された、第1の当接部を構成する当接部材(図示せず)に、ブレード加圧バネ6が当接して加圧力を印加するようにしてもよい。この場合も、第1の当接部は支持部材2(支持板3又は揺動板4)に設けられていると見ることができる。これらの構成によっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0073】
また、実施例1では、
図8(a)に示すように、ブレード加圧バネ6の複数のコイル部61は感光ドラム101の回転軸線方向と略平行に配置されていた。しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。
図13は、ブレード加圧バネ6の複数のコイル部61の配置の別の例を示す、
図8(a)と同様の方向から見た側面図である。例えば、
図13に示すように、ブレード加圧バネ6の第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとが感光ドラム101の回転軸線方向に対して斜めになるように配置されてもよい。この構成によっても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0074】
また、実施例1では、ブレード加圧バネ6の連結部61cは、連結軸線Scを中心として180°回転させた場合でも略同一形状となる形状とされていた。これにより、実施例1で説明したように、上記回転方向に関するブレード加圧バネ6の組み付け方によらず、ブレード加圧バネ6の加圧ポイントを安定させられるという優れた効果を得ることができる。ただし、上記回転方向における組み付け方は揃えることが望ましくなるが、次のような構成であっても、組み付けの容易性の向上や加圧ポイントの安定性の向上の点で相応の効果が得られる。
図14は、ブレード加圧バネ6の別の例を示す、
図5(b)と同様の方向から見た上面図である。
図14に示すように、連結部61cは、
図5(a)を参照して実施例1で説明した面Fと交差する公差部64を有しておらず、該面Fに対して一方の側にのみ配置されていてもよい。この場合も、ブレード加圧バネ6は、実施例1と同様に、連結部61cがブレードアッシー10側に配置される。また、この場合、クリーニングブレード1の長手方向に沿って見たときに、連結部61cが上記面Fに対して揺動軸8(ブレードアッシー10の揺動軸線)とは反対側(
図3に即して言えば上側)に配置されることが望ましい。これにより、ブレードアッシー10を揺動支点からより遠い位置で加圧することができるので、同じ感光ドラム101に対するクリーニングブレード1の加圧力を得るために、より加圧力の弱いブレード加圧バネ6を用いることができる。そのため、部品公差などによる作動長の変動に対する加圧力の変動の低減、あるいは構成の簡易化や低コスト化の点で有利である。
【0075】
また、実施例1では、クリーニング装置106が備えるブレード加圧バネ6の全てが、第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとが連結部61cで連結されたものであった。これにより、実施例1で説明した効果を最も顕著に得ることができる。ただし、例えば、装置構成のマイナーチェンジに対応する、あるいはクリーニングブレード1の加圧に関する設計上の要求に対応するなどのために、複数のコイル部のうち少なくとも1つとして、単一のコイル部からなる圧縮コイルバネ200を併用してもよい。この場合、例えば
図15(a)に示すように、複数のコイル部のうち連結部61cで連結されたブレード加圧バネ6に含まれるコイル部の数の方が、単一のコイル部からなる圧縮コイルバネの数よりも多いことが好ましい。これにより、単一のコイル部からなる圧縮コイルバネの使用が実施例1で説明した効果に影響することを相対的に少なくすることができる。なお、
図15(a)は、ハウジング5の長手方向の一端部側に配置される複数のコイル部を示す模式図である。
【0076】
また、実施例1では、複数のコイル部が連結されたブレード加圧バネ6は、2個(偶数)のコイル部61を有するものであった。しかし、本発明は斯かる態様に限定されるものではなく、連結されるコイル部61の数は3つ以上であってもよい。例えば、
図15(b)に示すように、ブレード加圧バネ6は、3個(奇数)のコイル部61を有していてもよい。このブレード加圧バネ6は、実施例1で説明したブレード加圧バネ6の少なくとも一方のコイル部61の終端に、別の連結部61dを介して第3のコイル部61eが連結された構成とされる。この場合、第3のコイル部61eの終端は、ブレードアッシー10側に位置することとなる。しかし、ブレードアッシー10側に配置される連結部61cで連結されたコイル部61の数の方が、ブレードアッシー10側に配置される終端を有するコイル部61の数よりも多ければ、実施例1で説明した効果を相応に得ることができる。更に4個(偶数)、5個(奇数)と、
図15(b)に示す例に準じて連結するコイル部61の数を更に増加することも企図し得る。ただし、実施例1で説明したブレード加圧バネ6と、
図15(b)に示すブレード加圧バネ6と、を適宜組み合わせて用いることによって、所望のコイル部の数は達成できる。
【0077】
また、実施例1では、本発明を回転体としての感光体のクリーニング手段であるクリーニング装置106に適用したが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。本発明は、例えば、回転体としての中間転写体のクリーニング手段であるベルトクリーニング装置140(
図1)に適用することもでき、実施例1で説明したのと同様の効果を得ることができる。また、クリーニング装置の清掃対象としての回転体は感光ドラム及び中間転写ベルトに限定されるものではない。クリーニング装置の清掃対象としての回転体は、例えば、感光体などの像担持体上に形成されたトナー像が転写される記録材を担持して搬送する記録材担持体としての、無端状のベルトで構成された記録材担持ベルトなどであってもよい。また、その他、感光体ベルトや静電記録誘電体ベルト、あるいは記録材を加熱する定着装置などの画像加熱装置が備えた加熱回転体や加圧回転体としてのベルトなどであってもよい。つまり、典型的には、クリーニング装置の清掃対象としての回転体は、トナー像、又はトナー像を担持した記録材を搬送する像搬送体である。
【0078】
また、実施例1では、本発明が適用されるクリーニング装置が装置本体に対して着脱可能なドラムカートリッジに含まれている場合を例として説明したが、本発明は斯かる態様に限定されるものではない。クリーニング装置は、装置本体に対して容易には着脱できないものであってもよい。また、クリーニング装置は、感光体と、帯電手段と、現像手段と、のうち少なくとも1つと一体的に構成されて、装置本体に対して着脱可能とされていてよい。また、クリーニング装置は、実質的に単独で装置本体に対して着脱可能とされていてもよい。
【0079】
[実施例3]
次に、本発明の更に他の実施例について説明する。実施例1及び実施例2で説明した形態において、以下に示すような構成をとることで、ブレード加圧バネ6及びブレードアッシー10の組立性を更に向上させることが可能である。実施例1及び実施例2におけるものと同一又は対応する機能あるいは構成を有する要素については、実施例1及び実施例2と同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0080】
なお、本実施例の構成は、例えば複数のコイル部のうち少なくとも1つとして単一のコイル部からなる圧縮コイルバネを用いる場合(実施例2参照)、あるいは単一のコイル部からなる圧縮コイルバネのみを用いる場合にも適用できるものである。したがって、本実施例では、上述の実施例におけるコイル部61を構成するものに相当する圧縮コイルバネを単に「ブレード加圧バネ6」という。本実施例では、この「ブレード加圧バネ6」は、上述の実施例で説明した第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとが連結部61cで連結されたものを構成してもよいし、単一の圧縮コイル部からなる圧縮コイルバネを構成してもよい。後述する
図16、
図18は、この「ブレード加圧バネ6」が、上述の実施例で説明した第1のコイル部61aと第2のコイル部61bとが連結部61cで連結されたものを構成するものとして示されている。
【0081】
<ハウジングの構成>
図16は、本実施例の構成を説明するための、ブレードアッシー10が組み付けられたハウジング5のブレード加圧バネ6の近傍の断面図である。
図16は、
図8(a)中の断面線A-Aと同様の位置の断面図であり、ハウジング5の長手方向の一端部側の構成を示しているが、他端部側の構成も同様である。
【0082】
実施例1及び実施例2で説明したように、ハウジング5にはブレード加圧バネ6が複数個並列に配置される。ハウジング5には、ブレード加圧バネ6を受け入れる溝部5b(実施例1、2における溝部56に対応)の感光ドラム101とは反対側の端部に、それぞれブレード加圧バネ6が着座する受け部5aが設けられている。また、それぞれの受け部5aには、貫通穴30が設けられている。貫通穴30は、ブレード加圧バネ6が着座する受け部5a(着座領域)に囲まれた領域を貫通し、ハウジング5の側壁を貫通するようにして設けられている。本実施例では、貫通穴30は、断面略円形の略円筒形状を有している。この貫通穴30は、ハウジング5にブレード加圧バネ6及びブレードアッシー10を組み付ける際に、後述するガイドピン33aが挿通されることで、組立性を向上させる(詳細は後述する)。
【0083】
ここで、貫通穴30の直径Dhと、ブレード加圧バネ6の外径D1とは、少なくとも次式を満たしている。
Dh<D1
【0084】
すなわち、ブレード加圧バネ6は、受け部5aから脱落することなく必ず受け部5aに着座する。
【0085】
<組付工具>
本実施例では、上述の貫通穴30及び後述する組付工具31を用いてブレード加圧バネ6及びブレードアッシー10をハウジング5に組み付ける。まず、
図17を参照して、組付工具31について説明する。
図17は、組付工具31を示す断面図である。
【0086】
組付工具31は、ハウジング5にブレード加圧バネ6及びブレードアッシー10を組み付けるための工具であり、ベース部材32と、スライド部材33と、加圧バネ34と、を有して構成される。
【0087】
ベース部材32は、台座(図示せず)に対し固定されている。スライド部材33は、ガイドピン33aと、スライド部33bと、を有して構成されている。ガイドピン33aは、ハウジング5に設けられた貫通穴30に対応して複数個設けられている。本実施例では、ガイドピン33aは、その軸線方向と略直交する断面が略円形の略円柱形状を有している。スライド部33bは、ベース部材32に設けられたスライド穴32aに対しスライド可能なようにベース部材32に支持されている。組付工具31は、ガイドピン33aの先端(貫通穴30に挿通される際の先頭側の端部)であるガイドピン先端33c側が重力方向の上側、ベース部材32側が重力方向の下側となる向きに設置される。
【0088】
スライド部材33とベース部材32との間には、加圧バネ34が設けられている。加圧バネ34は、圧縮コイルバネで構成されており、そのコイル中心軸方向(伸縮方向)の一端部がスライド部材33に設けられたスライド部材着座部33dに着座し、他端部がベース部材32に設けられたベース部材着座部32bに着座する。スライド部材33は、加圧バネ34の加圧作用で、ベース部材32から離れる方向(重力方向の上方に向かう方向)に所定の力を受け、スライド部材33の自重とつり合う位置で静止する。
【0089】
<組付工具を用いた組立方法>
次に、
図18を参照して、組付工具31を用いてハウジング5にブレード加圧バネ6及びブレードアッシー10を組み付ける方法について説明する。
図18は、ブレード加圧バネ6及びブレードアッシー10の組み立て手順を説明するための断面図である。
図18(a)は、組付工具31にハウジング5及びブレード加圧バネ6を組み付けた状態を示す断面図、
図18(b)は、更にブレードアッシー10を組み付けた状態を示す断面図である。組付工具31を用いたブレード加圧バネ6及びブレードアッシー10の組み立ては、次に示す手順により行われる。
【0090】
1.組付工具31にハウジング5をセットする
まず、
図18(a)に示すように、ハウジング5を組付工具31へセットする。ハウジング5は、組付工具31に設けられたガイドピン33aに前述の貫通穴30が挿入されることで位置決めされる。つまり、ガイドピン33aの直径Dp(
図17参照)と、貫通穴30の直径Dh(
図16参照)とは、少なくとも次式を満たしている。
Dp<Dh
【0091】
ここで、ガイドピン33aは、ハウジング5の複数の受け部5aのそれぞれに設けられた貫通穴30と同じ数だけ設けられており、全ての貫通穴30にガイドピン33aが挿入される。また、ハウジング5が組付工具31にセットされると、ハウジング5の側壁の外側面5cとスライド部材33の接触部35とが接触することで互いに突き当たり、ハウジング5の位置が決まる。
【0092】
そして、スライド部材33は、ハウジング5の自重を受け、加圧ばね34の反力とスライド部材33及びハウジング5の自重とがつり合う位置まで下降し静止する。
【0093】
2.組付工具31にブレード加圧バネ6をセットする
次に、
図18(a)に示すように、組付工具31にハウジング5がセットされた状態で、ブレード加圧バネ6をハウジング5に設けられた略円筒形状の溝部5bに取り付ける。ここで、ブレード加圧バネ6の内径D2(
図16参照)と、ガイドピン33aの直径Dp(
図17参照)とは、次式を満たしている。
D2>Dp
【0094】
そのため、ガイドピン33aは、ブレード加圧バネ6をハウジング5に組み付ける際にブレード加圧バネ6の内径の内側を通り、ブレード加圧バネ6を保持する。このように、ガイドピン33aがブレード加圧バネ6の内周部を保持することで、ブレード加圧バネ6が意図せぬ振動や作業者との接触により倒れることを防止することができる。
【0095】
さらに、本実施例では、ガイドピン33aの軸線方向の長さLgは、次のように設定されている。つまり、組付工具31にハウジング5及びブレード加圧バネ6が組み付けられた状態で、ガイドピン先端33cが、ブレード加圧バネ6の自由長状態での端部6aからブレードアッシー10側に突出するような長さに設定されている。これにより、後述のようにブレードアッシー10を組み付ける際に、ブレード加圧バネ6(特に、単一のコイル部からなる圧縮コイルバネ)が座屈することを防止することが可能となる。
【0096】
3.ブレードアッシー10を組付ける
次に、
図18(a)に示すように、組付工具31にブレード加圧バネ6が組み付けられた後に、ブレードアッシー10を組み付ける。ブレードアッシー10は、図中矢印S方向に移動させて組み付けを行う。ここで、前述のように、ブレード加圧バネ6の自由長状態での端部6aよりも、ガイドピン先端33cの方がブレードアッシー10側に突出している。そのため、ブレードアッシー10を組み付ける際に、ブレードアッシー10(実施例1に即して言えば揺動板4の第1の当接部45)は、まずガイドピン先端33cと接触する。これにより、
図19に示すような、ブレード加圧バネ6(特に、単一のコイル部からなる圧縮コイルバネ)の端部6aがガイドピン先端33cよりも先にブレードアッシー10に接触することで発生し得るブレード加圧バネ6の座屈を防止することが可能となる。また、ブレードアッシー10に対するブレード加圧バネ6の接触位置のずれを防止することが可能となる。なお、
図19は、ブレードアッシー10を組み付ける際にブレード加圧バネ6(特に、単一のコイル部からなる圧縮コイルバネ)の倒れが発生した状態を示す模式的な断面図(コイル中心軸を通る断面)である。
【0097】
そして、
図18(b)に示すように、ブレードアッシー10がガイドピン先端33cと接触した状態で更にブレードアッシー10を図中矢印S方向に移動させる。すると、スライド部材33がブレードアッシー10から加圧力を受けて図中矢印S方向に退避する。さらに、ブレードアッシー10の所定の位置への移動が完了した状態で、
図9を参照して実施例1で説明したのと同様にして揺動軸8を揺動穴53に挿通させることで、ブレードアッシー10の組み付けが完了する。その後、組付工具31からハウジング5を取り外すことができる。
【0098】
以上のような構成により、ハウジング5にブレード加圧バネ6を組み付ける際に、作業者が意図せず振動をかけてしまったり、接触してしまったりすることによる、ブレード加圧バネ6の倒れを防止することが可能である。さらに、ブレードアッシー10を組み付ける際に、ガイドピン33aがブレード加圧バネ6の長さ方向(
図18(a)中のLg方向)の全域を保持した状態で組み付けることができる。そのため、ブレード加圧バネ6の座屈や接触位置のずれによる加圧ポイントの変動を抑えることが可能となる。その結果、組み立ての誤りによるクリーニングブレード1の当接圧の変動が少ない、安定したクリーニングブレード1の当接圧の印加が可能なクリーニング装置106を提供することが可能となる。
【0099】
なお、貫通穴30及びガイドピン33aは、断面が円形状である必要はない。貫通穴30にガイドピン33aを挿通可能であり、またブレード加圧バネ6の内径の内側にガイドピン33aを挿通可能であり、ブレード加圧バネ6の内周部をガイドピン33aで支持可能な形状であればよい。例えば、断面が角形状の貫通穴30及びガイドピン33aでも本実施例と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0100】
1 クリーニングブレード
2 支持部材
3 支持板
4 揺動板
5 ハウジング
6 ブレード加圧バネ
8 揺動軸
10 ブレードアッシー
61a 第1のコイル部
61b 第2のコイル部
61c 連結部
101 感光ドラム
106 クリーニング装置