(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】モーター
(51)【国際特許分類】
H02K 11/40 20160101AFI20240527BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20240527BHJP
H01R 4/64 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H02K11/40
H02K5/22
H01R4/64 Z
(21)【出願番号】P 2020156684
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】前馬 光佑
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/026464(WO,A1)
【文献】特開2016-021855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/00- 11/40
H02K 5/22
H01R 4/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する第1モーターケースと、
プラグと電気的に接続されるコネクタと、
前記コネクタを挿入する開口部を備え、絶縁性を有する第2モーターケースと、
導電性を有する接地用部品と、
を備えるモーターであって、
前記接地用部品は、
導電性を有する
前記第1モーターケースに対向するように配置される第1面と、
前記第1モーターケースに対向して設けられる絶縁性を有する
前記第2モーターケースに対向するように配置される第2面と、
導電性を有する
前記プラグに対向するように配置される第3面と
を少なくとも有し、
前記第1面および前記第3面と前記第2面とが前記接地用部品において表裏の関係にあり、前記第1モーターケースと前記プラグとの間の電気的な接続のために前記第1面と前記第3面とが互いに連続し、
前記第2モーターケースが前記プラグと結合可能な
前記コネクタを備え、該第2モーターケースにおいて、少なくとも前記第3面の一部が
前記コネクタに対する接触回避形状を有する、
モーター。
【請求項2】
前記接触回避形状が上面視で略U字形である、請求項1に記載の
モーター。
【請求項3】
前記接地用部品の前記第1面が前記第1モーターケースと当接するバネ様部分を有し、該バネ様部分が固定端と自由端との双方を有する、請求項1または2に記載の
モーター。
【請求項4】
前記接地用部品の前記第3面が前記プラグと当接するバネ様部分を有し、該バネ様部分が固定端と自由端との双方を有する、請求項1~3のいずれかに記載の
モーター。
【請求項5】
前記自由端が前記プラグと当接する、請求項4に記載の
モーター。
【請求項6】
前記接地用部品が単一部品である、請求項1~5のいずれかに記載の
モーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導電性を有する接地用部品に関する。より具体的には、本開示は、モーターとプラグとの間に配置されてグランド回路を形成することができる接地用部品に関する。
【背景技術】
【0002】
導電ケーブルに接続されたプラグと結合可能なコネクタが絶縁性ケースなどの部品を介して固定されたモーターが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1などに記載の従前のモーターは、モーターの本体を覆う「導体」から構成されたケース(第1筐体)と、モーターの回転などを検知するエンコーダなどを覆う「絶縁体」から構成されたケース(第2筐体)とを備える。第2筐体はエンコーダに接続されるコネクタを備える。コネクタは、モーターの外部と接続するためのプラグと結合可能である。モーターは、このようなプラグに接続された導電ケーブルを通して、モーターの外部と電気的に接続することができるように構成されている。
特許文献1に記載の従前のモーターでは、「絶縁体」から構成された第2筐体と、この第2筐体に配置された「導体」から構成されたコネクタとの間に「接地用部品」として板状の金具が配置されている。より具体的には、「絶縁体」から構成された第2筐体と「導体」から構成されたコネクタとで板状の金具を挟み込み、これらをネジで共締めしている(例えば特許文献1の
図3参照)。その一方で、このような板状の金具は、「絶縁体」から構成された第2筐体と「導体」から構成された第1筐体との間にも配置されるように折り曲げられていて、第1筐体とも接触して導通することができるように構成されている(例えば特許文献1の
図4参照)。従前のモーターでは、このような板状の金具によって、「導体」から構成された第1筐体と、同じく「導体」から構成されたコネクタとの間にグランド回路(GND回路)などの電気的な接続を形成している。
【0005】
本願発明者は、従前のモーターにおいて、グランド回路などの電気的な接続を形成する接地用部品には克服すべき課題があることに気付き、そのための対策を取る必要性を見出した。具体的には以下の課題があることを本願発明者らは見出した。
【0006】
従前の接地金具では、例えばモーターの長時間使用等による厳しい温度環境下において、グランド回路が維持できない虞がある。例えば、モーターの各部品の膨張、より具体的には「絶縁体」から構成された第2筐体やコネクタなどの部品の膨張や、かかる膨張の後の収縮のいずれかまたは双方によって接地金具を共締めするネジなどが緩むことでグランド回路が維持できない虞がある。
一例として100℃以上で一定時間以上の厳しい温度環境下、より具体的には105℃で10日間の厳しい温度環境において、グランド回路が維持できない虞がある。
あるいは、一例としてマイナス55℃から85℃の範囲での温度サイクル試験(25時間)において、グランド回路が維持できない虞がある。例えば、高温試験機内での膨張や、高温試験機から取り出した後、常温に戻る過程での収縮などによって、グランド回路が維持できない虞がある。
さらに、従前の接地金具では、「導体」から構成されたコネクタと「絶縁体」から構成された第2筐体とで板状の接地金具を挟み込みネジで共締めしていることに問題がある。このような構成では、保守点検などでプラグを脱着する際にコネクタや第2筐体、それらの間に配置された接地金具が破損してグランド回路が維持できない虞がある。
【0007】
本開示は、かかる課題に鑑みて為されたものである。即ち、本開示の主たる目的は、より向上した耐久性を有するグランド回路を形成することができる接地用部品の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された接地用部品の発明に至った。
【0009】
例えば
図1および
図2に示すように、接地用部品の形状の一部をコネクタと接触しないような形状(以下「接触回避形状」と称する)にすることで接地用部品とコネクタとの直接的または物理的な接触を回避することで接地用部品の耐久性を向上させることを検討した。
次に、接地用部品を従来のようにコネクタではなく導電性のプラグと直接的または物理的に接触させることでプラグと導電性モーターケースとの間でグランド回路などの電気的な接続を形成することを検討した。
【0010】
鋭意研究により、このような構成によって、厳しい温度環境下においても、グランド回路が維持できることを見出した。
【0011】
本開示では、導電性を有する接地用部品が提供される。当該接地用部品は、
導電性を有する第1モーターケースに対向するように配置される第1面と、
前記第1モーターケースに対向して設けられる絶縁性を有する第2モーターケースに対向するように配置される第2面と、
導電性を有するプラグに対向するように配置される第3面と
を少なくとも有し、
前記第1面および前記第3面と前記第2面とが前記接地用部品において表裏の関係にあり、前記第1モーターケースと前記プラグとの間の電気的な接続のために前記第1面と前記第3面とが互いに連続し、
前記第2モーターケースが前記プラグと結合可能なコネクタを備え、該第2モーターケースにおいて、少なくとも前記第3面の一部が接触回避形状を有する。
以下では、上記の接地用部品を「本開示の接地用部品」または単に省略して「接地用部品」と称する。
【発明の効果】
【0012】
本開示では、より向上した耐久性を有するグランド回路などの電気的な接続を形成することができる接地用部品が得られる。特にプラグと導電性モーターケースとの間において、より向上した耐久性を有するグランド回路を形成することができる。尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでなく、また、付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、モーターに関連する主要な部品と本開示の接地用部品との関係を模式的に示す概略図である。
【
図2】
図2は、本開示の接地用部品を模式的に示す概略図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係る接地用部品を模式的に示す概略図である。
【
図4】
図4は、第1モーターケースの例を模式的に示す概略図である。
【
図5】
図5は、第2モーターケースの例を模式的に示す概略図である。
【
図6】
図6は、コネクタの例を模式的に示す概略図である。
【
図7】
図7は、プラグの例を模式的に示す概略図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態に係る接地用部品と、第1モーターケースと、第2モーターケースと、第2モーターケースに設けられたコネクタとの関係を模式的に示す概略図である。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態に係る接地用部品と、第1モーターケースとの関係を模式的に示す概略図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施形態に係る接地用部品と、プラグとの関係を模式的に示す概略図である。
【
図11】
図11は、本開示の接地用部品のバリエーションを模式的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、導電性を有する接地用部品に関する。例えば
図1および
図2に示すように、本開示の接地用部品(10)は、板状またはシート状の部材から構成されることが好ましい。本開示の接地用部品は、例えば
図2に示すような「第1面」(
図2の符号11で示す面)、「第2面」(
図2の符号12で示す面)および「第3面」(
図2の符号13で示す面)を少なくとも有する。
第1面(11)は、導電性を有する第1モーターケース1に対向するように配置され得る面である。
第2面(12)は、第1モーターケース1に対向して設けられる絶縁性を有する第2モーターケース2に対向するように配置され得る面である。
第3面(13)は、導電性を有するプラグ3に対向するように配置され得る面である(
図1A参照)。
第1面および第3面と、第2面とが本開示の接地用部品において表裏の関係にある(
図2参照)。
第1モーターケース1とプラグ3との間の電気的な接続のために第1面(11)と第3面(13)とが互いに連続している(
図2参照)。
第2モーターケース2は、プラグ3と結合可能なコネクタ4を備え、第2モーターケース2において、本開示の接地用部品は、例えばコネクタ4の周囲に位置付けられ得るようにコネクタ4と接触しない形状、例えば、上面視で略U字形の形状などの「接触回避形状」を有する(
図1Aおよび
図2参照)。なお、当該接地用部品の形状は、特に制限なく、略U字形以外にも例えば略矩形状(枠状)、略C字形状、略円形状、多角形状等であってもよい。
【0015】
本開示の接地用部品は、上記のような構成を有することで以下にて詳説する「導電性」を有する第1モーターケース1(
図4参照)と、同じく以下にて詳説する「導電性」を有するプラグ3(
図7参照)との間において電気的な接続を提供することができる。より具体的には、以下にて詳説する「絶縁性」を有する第2モーターケース2に配置された「接地用部品」を介して、第1モーターケース1とプラグ3との間にグランド回路などの電気的な接続を形成することができる。本開示の接地用部品によって形成され得る電気的な接続は、より向上した耐久性を有する。特に厳しい温度環境下において、より向上した耐久性を有する電気的な接続を提供することができる。
【0016】
尚、本開示の接地用部品は、図示する形態に限定して解釈されるべきではない。
【0017】
以下、本開示において使用する用語およびモーターの主要な部品を簡単に説明した後、本開示の接地用部品について詳説する。
【0018】
「導電性」とは、電気伝導性と称することもでき、概して、電気を通すことができる性質を意味する。「導電性」との用語を以下の「絶縁性」とともに使用する場合、相対的に電気を伝えやすい性質を「導電性」と称してもよい。
【0019】
「絶縁性」とは、電気絶縁性と称することもでき、概して、電気を通すことができない性質を意味する。「絶縁性」との用語を上記の「導電性」とともに使用する場合、相対的に電気を伝えにくい性質を「絶縁性」と称してもよい。
【0020】
「電気的な接続」とは、概して、電気的に繋がっていること又は電気的に導通していることを意味する。
【0021】
「グランド」(GND)とは、電圧が基準(例えば0V)となる電位点を意味する。従って、グランド回路とは、電圧が基準(例えば0V)となる電位点を設けることができる回路または経路を意味する。
【0022】
「厳しい温度環境」とは、例えば、以下にて詳説するモーターの長期間にわたる連続的または断続的な運転や、例えば製造過程などにおける温度付加などによってモーターやモーターの周囲の温度が上昇した環境などを意味する。厳しい温度環境は、例えば室温以上の温度を含み、一例として製造過程などにて50℃以上200℃以下の環境を意味する。より具体的には製造過程などにて140℃から200℃程度の温度に晒される環境を意味する。また、一例として100℃以上で一定時間以上の温度環境、より具体的には105℃で10日間の環境を意味する。あるいは厳しい温度環境には一例としてマイナス55℃から85℃の範囲での温度サイクル試験(25時間)での環境なども含まれていてよい。
本開示では、このような「厳しい温度環境」においても、電気的な接続、特にグランド回路を維持することができる。
【0023】
(モーター)
「モーター」とは、電動機とも呼ばれ、電気的エネルギーを力学的または機械的エネルギーに変えることのできる原動機を意味する。モーターには、直流電動機および交流電動機などが含まれる。モーターとして市販のモーターを特に制限なく使用することができる。
【0024】
モーターは、概して、モーター本体と、モーター本体を覆う第1のケース(以下、「第1モーターケース」と称する)と、この第1モーターケースに対向して配置され得る第2のケース(以下、「第2モーターケース」と称する)とを備える。
【0025】
「モーター本体」は、基本的に回転子と固定子とを備える。モーター本体には回転を外部に伝えるための回転軸などが取り付けられていてよい。回転軸には軸受が取り付けられていてよい。このような軸受は、第1モーターケースに取り付けられていてよい。
【0026】
「第1モーターケース」は、以下にて詳説する通り、「第2モーターケース」対向して配置することができる部品である。第1モーターケースは、概して、「導電性」を有する。第1モーターケースは、例えば金属および/または合金などを含んでいてよい。第1モーターケースは、強度および/または放熱などの観点から、金属および/または合金を含むダイキャストなどの導体から構成されることが好ましい。
【0027】
例えば
図4において、本開示で使用することができる第1モーターケースの一実施形態を示す。
図4に示す第1モーターケース1は、ケース本体1aの台座部1a’にエンコーダ部1bを有していてよい(
図4A)。
【0028】
ここで、
図4(A)は、第1モーターケース1の一方の側面を示す。
図4(B)は、エンコーダ部1bの側から見た第1モーターケース1を示す。
図4(C)は、エンコーダ部1bの反対側から見た第1モーターケース1を示す(回転軸などは図示していない)。
図4(D)は、第1モーターケース1の他方の側面を示す。
図4(E)は、上側(第2モーターケース2にコネクタ4を取り付ける側)から見た第1モーターケース1を示す。
図4(F)は、下側(上側の反対側)から見た第1モーターケース1を示す。第1モーターケース1は、図示する形態に限定されるものではない。
【0029】
エンコーダ部1bには、例えばモーターの回転、具体的には回転子および/または回転軸の回転を検出するための検出器が設けられてよい。検出器には、発光素子および受光素子を利用した光検出器および/または磁気を利用した磁気検出器などが含まれる。エンコーダ部1bは、さらに外部機器と通信するための通信デバイスを備えていてよい。また、エンコーダ部1bを介してモーター本体に電力を供給してもよい。
【0030】
ケース本体1aの形状に特に制限はなく、筒状であることが好ましい。ケース本体1aの断面の形状は、略矩形であっても略円形であってもよい。
台座部1a’の形状に特に制限はなく、円盤状または環状であることが好ましい。
エンコーダ部1bの形状に特に制限はなく、円盤状であることが好ましい。エンコーダ部1bは、図示する態様のようにケース本体1の台座部1a’にネジで固定されていてよい(
図4B参照)。
【0031】
「第2モーターケース」は、第1モーターケース、具体的には
図4に示すケース本体1a、台座部1a’および/またはエンコーダ部1bに対向して配置することができる部品である。第2モーターケースは、例えば導電ケーブル5に接続されたプラグ3と結合可能なコネクタ4などを取り付けることから「絶縁性」を有する(
図1A参照)。
【0032】
第2モーターケースは、例えば、プラスチックなどの材料、例えば適切な強度および耐熱性を有する絶縁性のプラスチックなどの材料から構成することができる。
【0033】
例えば
図5において、本開示で使用することができる第2モーターケースの一実施形態を示す。
図5に示す第2モーターケース2は、第1モーターケース1に対向して、好ましくは第1モーターケース1のエンコーダ部1bを覆うような形状を有する。より具体的には、第1モーターケース1のエンコーダ部1bを覆うことができる略円形の部分と、第1モーターケース1の本体部分1aと対向して接触することができる略矩形の部分とを有する。さらに、第2モーターケース2は、例えば
図6に示すコネクタ4を取り付けるためのステージ21を備えていてよい。ステージ21は、コネクタ4の一部、具体的には底部の一部を挿入するための開口部22を有していてよい。
【0034】
ここで、
図5(A)は、外側(第1モーターケース1に面しない側)から見た第2モーターケース2を示す。
図5(B)は、上側(コネクタ4を取り付ける側)から見た第2モーターケース2を示す。
図5(C)は、第1モーターケース1のエンコーダ部1bに面する側から見た第2モーターケース2を示す。
図5(D)は、第2モーターケース2の一方の側面を示す。
図5(E)は、第2モーターケース2の他方の側面を示す。
図5(F)は、下側(上側の反対側)から見た第2モーターケース2を示す。第2モーターケース2は、図示する形態に限定されるものではない。
【0035】
第2モーターケース2は、第1モーターケース1に対向して配置することができ、互いに対して結合させることができる。第2モーターケース2の第1モーターケース1への結合方法に特に制限はなく、例えば、任意のロック機構、ネジなどの固定手段、嵌合および/または係合による結合などが挙げられる。
【0036】
(コネクタ)
「コネクタ」は、第2モーターケースに取り付けられて、第1モーターケースに収容され得るモーター本体および/または第1モーターケース1に含まれ得るエンコーダ部との電気的な接続を提供するための部品である。コネクタとして市販のコネクタを特に制限なく使用することができる。例えば
図6に本開示において使用することができるコネクタの一実施形態を示す。
【0037】
図6(A)は、上側(プラグ3と結合する側)から見たコネクタ4を示す。
図6(B)は、下側(第2モーターケース2と結合する側)から見たコネクタ4を示す。
図6(C)は、第1モーターケース1に面しない側から見たコネクタ4を示す。
図6(D)は、第1モーターケース1に面する側から見たコネクタ4を示す。
図6(E)は、コネクタ4の一方の側面を示す。
図6(F)は、コネクタ4の他方の側面を示す。コネクタ4は、図示する形態に限定されるものではない。
【0038】
コネクタ4は、その本体部分の一部が下方に延在してよい(以下、「延在部」と称する)。コネクタ4の延在部は、例えば、第2モーターケース2のステージ21に設けられた開口部22に挿入することができる(
図1Aおよび
図5参照)。このような構成によりコネクタ4を第2モーターケース2のステージ21に載置することができる。コネクタ4と第2モーターケース2は互いに結合して固定されていることが好ましい。コネクタ4の第2モーターケース2への固定方法に特に制限はなく、例えば任意のロック機構、ネジなどの固定手段、嵌合および/または係合による固定などが挙げられる。
【0039】
コネクタ4の本体部分は、導電性であても、絶縁性であってもよい。コネクタ4の本体部分は、例えば、金属、合金、プラスチックなどから構成されていてよい。
【0040】
コネクタ4は、例えば
図7に示すプラグ3と結合可能である。それによりプラグ3に接続された導電ケーブル5との電気的な接続、ひいては外部との電気的な接続が可能となる。従って、コネクタ4はプラグ3と互いに相補的な形状を有することが好ましい。尚、プラグ3は、以下にて詳しく説明するが、プラグカバー3aと、プラグ本体3bと、コンタクト3cとから構成されていてよい(
図7参照)。
【0041】
例えば
図6に示す通り、コネクタ4は、1以上のコンタクト7を含んでよい。コンタクト7は、プラグ3に設けられた1以上のコンタクト3c(
図7B参照)と互いに嵌合および/または係合して電気的に接続することができる。従って、コネクタ4に設けられたコンタクト7と、プラグ3に設けられたコンタクト3cとが互いに相補的な形状を有することが好ましい。図示する形態では、コネクタ4のコンタクト7がオス型であり、プラグ3に設けられたコンタクト3cがメス型であるが、コネクタ4に設けられたコンタクト7がメス型であり、プラグ3に設けられたコンタクト3cがオス型であってもよい。
【0042】
コネクタ4に設けられ得るコンタクト7は、コネクタ4の本体部分を貫通してコネクタ4の第2モーターケース2と面する側にまで延在してよい。コンタクト7は、第1モーターケース1の内部に収容され得るモーター本体および/または第1モーターケース1に含まれ得るエンコーダ部1bと電気的に接続されてよい。このような接続は、直接的であっても間接的であってもよい。
【0043】
(プラグ)
「プラグ」は、導電ケーブルと電気的に接続され得るものであり、上記コネクタと結合することでモーター本体および/またはエンコーダ部などに電気および/または電力を供給することができる部品である。プラグとして市販のプラグを特に制限なく使用することができる。
【0044】
例えば
図7において、本開示で使用することができるプラグの一実施形態を示す。プラグ3は、例えば、プラグカバー3aと、プラグカバー3aに配置され得るプラグ本体3bと、プラグ本体3bに配置され得る1以上のコンタクト3cとを備えてよい。ただし、プラグ3の構成は、このような構成に限定されるものではない。
【0045】
プラグ3は導電ケーブル5に電気的に接続することができる。具体的には、導電ケーブル5に含まれ得る1以上の電線がコンタクト3cと電気的に接続することで電気的な導通を形成することができる。コンタクト3cは、コネクタ4に配置され得るコンタクト7と電気的に接続することができる限り、その形状に特に制限はない。
【0046】
図7(A)は、上側から見たプラグ3を示す。
図7(B)は、下側(上側の反対側であってコネクタ4に結合する側)から見たプラグ3を示す。
図7(C)は、第1モーターケース1に面しない側から見たプラグ3を示す。
図7(D)は、第1モーターケース1に面する側から見たプラグ3を示す。
図7(E)は、プラグ3の一方の側面を示す。
図7(F)は、プラグ3の他方の側面を示す。プラグ3は、図示する形態に限定されるものではない。
【0047】
プラグ3とコネクタ4との結合方法に特に制限はなく、例えば任意のロック機構、嵌合および/または係合による結合などが挙げられる。
【0048】
プラグ3は、コネクタ4が結合された第2モーターケース2に固定されてよい。プラグ3の第2モーターケース2への固定方法に特に制限はない。例えば、図示する形態のようにネジなどの固定手段を用いてプラグ3を第2モーターケース2に固定してよい(
図1参照)。あるいは、ネジなどの固定手段を用いることなく、任意のロック機構、嵌合および/または係合などによってプラグ3を第2モーターケース2に固定してよい。
【0049】
プラグ3が第2モーターケース2に固定される場合、第2モーターケース2は「絶縁性」を有することから、プラグ3は導電性であっても絶縁性であってもよい。プラグ3は、概して、導電性である。例えばプラグカバー3aが導電性を有することが好ましい。その場合、1以上のコンタクト3cを収容し得るプラグ本体3bが絶縁性であることが好ましい。
【0050】
プラグカバー3aが導電性を有する場合、プラグカバー3aは、例えば金属および/または合金などを含んでいてよい。プラグカバー3aは、強度などの観点から、金属および/または合金を含むダイキャストなどの導体から構成することができる。あるいは、プラグカバー3aは、例えばプラスチックなどの絶縁性を有する材料、より具体的には適切な強度および耐熱性を有するプラスチックなどの材料から形成され、その表面を金属および/または合金などの導体で被覆またはプレーティングすることで導電性としたものでもよい。この場合、プラグカバー3aは、熱などの影響により膨張および/または収縮し得るが、本開示の接地用部品を使用することによって、プラグカバー3aと第1モーターケース1との間の接地をより適切に維持することができる。
【0051】
プラグカバー3aが導電性を有する場合、プラグ本体3bは、絶縁性を有する材料、例えば適切な強度および耐熱性を有するプラスチックなどの材料から形成することが好ましい。あるいは、プラグカバー3aが絶縁性を有する場合、プラグ本体3bが導電性を有していてもよい。従って、本開示において「導電性を有するプラグ」とは、プラグカバー3aまたはプラグ本体3bのいずれかが導電性を有するプラグを意味する。
【0052】
コンタクト3cは、市販のコンタクトを特に制限なく使用することができる。
【0053】
プラグ3と導電ケーブル5との接続部分には水分や埃などの進入を防止するためのカバー、具体的には図示するような蛇腹の形状を有するカバーなどを設けてよい。また、必要に応じて、プラグ3と第2モーターケース2との接触部分には水分や埃などの進入を防止するためのパッキン、例えばゴムパッキンおよび/または液体パッキンなどを配置してもよい。このようなパッキンは、プラグ3および第2モーターケース2のいずれに設けてもよい。
【0054】
(導電ケーブル)
「導電ケーブル」は、外部の電力の供給源などと直接または間接的に接続可能な部品である。導電ケーブルは、その内部に1以上の電線を有していてよい。電線には、モーターの本体に電力を供給するための電線、エンコーダ部に電力を供給するための電線、通信デバイスに電力を供給するための電線などが含まれる。また、導電ケーブルは、通信デバイスに接続され得るネットワーク通信線を含んでいてもよい。導電ケーブルは市販の電線を含むケーブルを特に制限なく使用することができる。
【0055】
(接地用部品)
「接地用部品」は、概して、導電性を有し、「電気的な接続」、特に「グランド回路」を提供することができる部品を意味する。
【0056】
[本開示の接地用部品の特徴]
本開示の接地用部品は、例えば
図1および
図2に示す通り、導電性を有する第1モーターケース1に対向するように配置される第1面(
図2の符号11で示す面)と、第1モーターケース1に対向して設けられる絶縁性を有する第2モーターケース2に対向するように配置される第2面(
図2の符号12で示す面)と、導電性を有するプラグ3に対向するように配置される第3面(
図2の符号13で示す面)とを少なくとも有するように、例えば板状の材料から構成されてよい。本開示の接地用部品は、例えば金属および/または合金を含む材料を打ち抜いた板状の材料を折り曲げることによって製造することができる。本開示の接地用部品は、ステンレス(SUS)鋼、リン青銅などの材料から製造することが好ましい。あるいは、本開示の接地用部品は、導電性を有していればよいので、例えばプラスチックなどの絶縁性を有する材料、例えば適切な強度および耐熱性を有するプラスチックなどの材料を使用して、所望の形状に成形した後、その表面を金属および/または合金などの導体で被覆またはプレーティングすることで導電性としてもよい。
【0057】
本開示の接地用部品において、第1面(11)および第3面(13)は、第2面(12)と表裏の関係にある。
【0058】
本開示において「表裏の関係」とは、板状の部材における対向する2つの主面の関係を意味し、いずれが表であっても裏であってもよい。例えば
図2に示すように、第1面(11)および第3面(13)を表とすると、第1面(11)の裏側に第2面(12a)が存在し、第3面(13)の裏側に第2面(12b)が存在する。
【0059】
図示する形態から分かるように本開示の接地用部品は、主として第1面と第2面と第3面とから構成されている。尚、本開示の接地用部品は、第1面、第2面および第3面以外に他の面を含んでいてよい。
【0060】
本開示の接地用部品において、少なくとも第1面(11)および第3面(13)の双方が導電性であり、接地用部品の全面が導電性であってよい。
【0061】
第1面(11)は導電性であり、同じく導電性である第1モーターケース1に対向するように配置され得る面である。従って、第1面(11)および第1モーターケース1は互いにその一部が接触して電気的に接続することができる。
第3面(13)は導電性であり、同じく導電性であるプラグ3に対向するように配置され得る面である。従って、第3面(13)およびプラグ3は、互いにその一部が接触して電気的に接続することができる。
【0062】
導電性である第1面(11)と、同じく導電性である第3面(13)とが互いに連続することによって(
図2参照)、導電性である第1モーターケース1と、同じく導電性であるプラグ3との間において、電気的な接続、より具体的にはグランド回路を形成することができる(
図1B参照)。
【0063】
第2面(12)は、絶縁性の第2モーターケース2に対向するように配置され得る面であることから、導電性であっても、絶縁性であってもよい。
【0064】
例えば
図2に示すように、本開示の接地用部品は、第2面(12)を介して、第2モーターケース2に載置することができる(
図1A参照)。第2モーターケース2は、プラグ3と結合可能なコネクタ4を備えることから(
図5~
図7参照)、本開示の接地用部品の少なくとも一部は「接触回避形状」を有し、具体的にはコネクタ4と接触しない形状などを有する。第2モーターケース2において、本開示の接地用部品は、例えば、コネクタ4の周囲に位置付けられ得るように構成されていることが好ましい(
図2参照)。
【0065】
本開示において「接触回避形状」とは、本開示の接地用部品の少なくとも一部(すなわち全部または一部)、具体的には第3面とコネクタとが物理的に接触しない形状を意味する。例えば
図2に示すように、本開示の接地用部品は、コネクタ4と物理的に接触することなく、破線で示すコネクタ4を配置するための領域の周囲に位置付けられ得るような形状を有していてよい。換言すれば、本開示の接地用部品は、上面視において、コネクタ4から離隔されて、コネクタ4を少なくとも部分的に取り囲むことができるような形状を有していてよい(
図2および
図3A参照)。
【0066】
「接触回避形状」には、例えばコネクタ4との接触を回避することができるような上面視の形状であって、例えば、略U字形のようにアルファベットの「U」のような2つの端部が互いに離隔した形状や、2つの端部が大きく開いたV字形や丸みを帯びた馬蹄形などの形状も含まれ得る。この他にも、例えば略矩形状(枠状)、略C字形状、略円形状、多角形状等、2つの端部がない(互いに離間していない)ものや、端部が大きく開いていない形状であっても、コネクタ4との接触を回避することができるような上面視の形状も含まれ得る。
【0067】
「接触回避形状」において、例えば、上面視にて、略U字形、略V字形、略C字形などの場合、互いに対向する部分(具体的には2つの端部)の間に空間を有していることが好ましく、その空間の寸法(具体的には対向する2つの端部が互いに離間する方向の寸法)が、コネクタ4の寸法(具体的にはコネクタ4の本体の長辺の寸法)よりも大きくなっていることがより好ましい。
【0068】
本開示の接地用部品の形状、特に上面視の形状は、コネクタ4との接触を回避することができるような形状であれば特に制限はない。本開示の接地用部品は、接触回避形状、具体的にはコネクタと接触しない形状として、例えば上面視で略U字形の形状を有することが好ましい。特に
図2に示すように第3面(13)が上面視で略U字形の形状を有することが好ましい。
【0069】
本開示の接地用部品の上面視の形状に特に制限はなく、使用するコネクタの上面視の形状に応じて、適宜決定すればよい。
【0070】
本開示の接地用部品は、第2モーターケース2に設置した状態において、少なくとも第3面(13)の一部が「接触回避形状」を有すること、具体的にはコネクタと物理的に接触しないことを特徴とする。
従来では、第2モーターケース2とコネクタ4との間に接地金具を挟み込んで配置し、ネジで共締めしていたことから(特許文献1の
図3参照)、コネクタ4とプラグ3との脱着の際にコネクタ4が破損してコネクタ4と接地金具との電気的な接続が破壊され得る虞がある。しかし、本開示の接地用部品では、「接触回避形状」によって、コネクタ4と接触することがないので、従来のような破損の虞はなく、電気的な接続を安定して維持することができる。ひいては、本開示によって、より向上した耐久性を有する電気的な接続、特にグランド回路を提供することができる。
また、本開示の接地用部品によると、第2モーターケース2にコネクタ4を圧入により単独で設置することができる。例えば、
図6に示すコネクタ4の下方の延在部を
図5に示す第2モーターケース2のステージ21に設けられた開口部22に挿入することでコネクタ4を第2モーターケース2に圧入により設置することができる(
図8参照)。
さらに、本開示の接地用部品によると、第2モーターケース2のステージ21において、接地用部品10とコネクタ4との間に例えばゴムパッキンまたは液体パッキンなどのパッキンを配置することができる(
図2および
図8参照)。このようなパッキンを配置することで水分や埃の進入を防止することができ、電気的な接続の安定性をより向上させることができる。尚、このようなパッキンは、コネクタ4の底面に配置されていてもよい(
図7B参照)。
【0071】
本開示の接地用部品は、例えば
図1Aおよび
図2に示す通り、第1面(11)を第1モーターケース1に対向するように配置し、第2面(12)を第2モーターケース2に対向するように配置し、第3面(13)をプラグ3に対向するように配置することができる。このとき、第1面(11)は第1モーターケース1と第2モーターケース2との間に挟み込まれ、第3面(13)は第2モーターケース2とプラグ3との間に挟み込まれ得る(
図1Bおよび
図8参照)。
【0072】
上述の通り、本開示の接地用部品の第1面(11)および第3面(13)は共に導電性を有し、互いに連続していることが好ましい(
図2参照)。
本開示の接地用部品の第1面(11)および第3面(13)は互いに連続して直交して結合していることが好ましい(
図2参照)。
本開示の接地用部品の第1面(11)は、その少なくとも一部が導電性の第1モーターケース1、具体的には導電性のケース本体1aの一部と接触していればよい(
図4および
図9参照)。
本開示の接地用部品の第3面(13)は、その少なくとも一部が導電性のプラグ3、具体的には導電性のプラグカバー3aと接触していればよい(
図7参照)。
【0073】
本開示の接地用部品を介して、プラグ3と第1モーターケース1とを電気的に接続することができ、これらの間でグランド(GND)回路を形成することができる。導電ケーブル5に近いプラグ3と、導電性の第1モーターケース1とが電気的に接続することによって、より安定したグランド回路を形成することができる。また、本開示の接地用部品は、コネクタ4と物理的に接触することがないので、電気的な接続、特にグランド回路の耐久性がより向上する。
【0074】
本開示の接地用部品を使用することでより向上した耐久性を有する電気的な接続、特にグランド(GND)回路を形成することができる。
そのため、プラグ3の内部にシェルを設けることなく、電磁気妨害感受(EMS(electromagnetic susceptibility))および/または電磁気妨害(EMI(electromagnetic interference))のシールドを提供することができる。
また、プラグ3の内部にグランド用のコンタクトを別途に設ける必要もない。さらに、グランド用のリードも不要である。
このようなことから、本開示の接地用部品を使用することでプラグ3をより小型化することができる。
【0075】
以下、本開示の一実施形態に係る接地用部品について詳説する。
(実施形態)
本開示の一実施形態に係る接地用部品は、導電性を有し、例えば
図3~
図10に示すように、導電性を有する第1モーターケース1に対向するように配置される第1面(11)と、第1モーターケース1に対向して設けられる絶縁性を有する第2モーターケース2に対向するように配置される第2面(12a,12b)と、導電性を有するプラグ3に対向するように配置される第3面(13)とを少なくとも有する(
図3および
図8参照)。
第1面(11)および第3面(13)と、第2面(12a,12b)とが接地用部品10において表裏の関係にある(
図2参照)。第1モーターケース1とプラグ3との間の電気的な接続のために第1面(11)と第3面(13)とが互いに連続している(
図3参照)。
第2モーターケース2は、プラグ3と結合可能なコネクタ4を備える(
図5、
図6および
図7参照)。
第2モーターケース2において、接地用部品10は、コネクタ4の周囲に位置付けられ得るようにコネクタ4と接触しない略U字形の形状を有する(
図3、
図8および
図9参照)。
【0076】
本開示の一実施形態に係る接地用部品10において、第1面(11)は、さらに第1モーターケース1と当接することができるバネ様部分14を有していてよい(
図3Aおよび
図3B参照)。
【0077】
本開示において「バネ様部分」とは、外部から力を受けてバネのように変位することができる弾性を有する部分、すなわち弾性部を意味する。
【0078】
バネ様部分14は、第1面(11)から延在してよい。バネ様部分14は、弾性を有する限り、その形状に特に制限はない。例えば、断面が略V字形または略U字形の形状を有する少なくとも1つの山部および/または谷部を有する形状であってよい(
図3Aおよび
図3D参照)。バネ様部分14において、山部および/または谷部の数に特に制限はない。山部は、第1面(11)から隆起して、その頂部が第1モーターケース1と当接することができれば、その高さに特に制限はない(
図3A、
図3Dおよび
図9参照)。
【0079】
バネ様部分14は、厳しい温度環境においても、その弾性に起因して第1モーターケース1との当接をより適切に維持することができる。従って、第1モーターケース1との電気的な接続をより適切に維持することができ、ひいてはグランド回路の耐久性をより向上させることができる。
【0080】
バネ様部分14は、例えば
図3Bに示す通り、第1面(11)に接続する固定端(T
2)と自由端(T
1)との双方を有することが好ましい。固定端(T
2)と自由端(T
1)との間に少なくとも1つの山部が存在することが好ましい。
【0081】
バネ様部分14の山部の頂部は、第1面(11)を含む平面のレベルよりも高い位置に存在し得る。このようなバネ様部分14、特に山部は、屈曲および/または成形などにより形成されてよい。
【0082】
バネ様部分14は、固定端(T2)と自由端(T1)との双方を有することでバネ様部分14の変位をより適切に調節することができる。従って、第1モーターケース1との電気的な接続をより適切に維持することができる。ひいてはグランド回路の耐久性をより向上させることができる。
【0083】
例えば
図9Aに示すように接地用部品10を第2モーターケース2のステージ21に載置した後、
図9Bに示すように第1モーターケース1と第2モーターケース2とを互いに結合させることでバネ様部分14を第1モーターケース1の本体1aに当接させることができる。このとき、バネ様部分14の山部がケース本体1aと当接するとともに、接地用部品10の第1面の少なくとも一部がケース本体1aと当接してよい(
図9B参照)。また、ケース本体1aがバネ様部分14に当接する箇所に凹部や溝を設けてより適切にバネ様部分14の山分とケース本体1aとを接触させてよい。
【0084】
接地用部品10の第1面(11)は、例えば
図3Bに示すように、少なくとも1つの係合部16、具体的には第1係合部16aおよび第2係合部16bを有してよい。第1係合部16aおよび第2係合部16bは、いずれも第1面(11)の裏側の第2面(12a)に突出するように形成され得る部分である(
図3Eおよび
図3F参照)。
【0085】
第2面(12a)に対向する第2モーターケース2には、第1係合部16aおよび第2係合部16bが配置され得る位置にそれらと相補的な形状を有する凹部が形成されていてよい(図示せず)。第2モーターケース2に設けられた少なくとも2つの凹部に第1係合部16aおよび第2係合部16bがそれぞれ嵌合することで、接地用部品10の第2モーターケース2における不要な変位を抑制することができる。
【0086】
本開示の一実施形態に係る接地用部品10において、第3面(13)は、プラグ3と当接することができる少なくとも1つのバネ様部分15、具体的には第1バネ様部分15aおよび第2バネ様部分15bをさらに有していてよい(
図3参照)。
【0087】
第1バネ様部分15aおよび第2バネ様部分15bは、それぞれ第3面(13)から延在してよい。バネ様部分(15a,15b)は、弾性を有する限り、その形状に特に制限はない。例えば、断面が略U字形または略V字形の形状を有する少なくとも1つの山部および/または谷部を有する形状であってよい。バネ様部分(15a,15b)における山部および/または谷部の数に特に制限はない。
【0088】
第1バネ様部分15aおよび第2バネ様部分15bは、それぞれ自由端(T
3)と固定端(T
4)との双方を有することが好ましい。自由端(T
3)と固定端(T
4)との間に少なくとも1つの谷部が存在することがより好ましい。バネ様部分(15a,15b)の自由端(T
3)が、第3面(13)を含む平面よりもプラグ3の側に突出して、プラグ3、具体的にはプラグカバー3aと当接することが好ましい(
図10参照)。
【0089】
バネ様部分(15a,15b)の自由端(T
3)の先端部またはエッジは、第3面(13)を含む平面のレベルよりも高い位置に存在する(
図10B参照)。このようなバネ様部分(15a,15b)の自由端(T
3)は、屈曲および/または成形などにより形成されてよい。
【0090】
より具体的には、バネ様部分(15a,15b)の自由端(T3)は、接地用部品10の厚みに対して、およそ0.5倍以上5倍以下の高さで第3面(13)を含む平面から突出してよい。
【0091】
バネ様部分(15a,15b)は、自由端(T3)と固定端(T4)との双方を有することでバネ様部分の変位を適切に調節することができる。バネ様部分(15a,15b)のそれぞれの自由端(T3)がプラグ3、具体的にはプラグカバー3a、より具体的にはプラグカバー3aの底部と当接することで、より厳しい温度環境においてもプラグ3との当接を適切に維持することができる。従って、プラグ3との電気的な接続をより適切に維持することができる。ひいてはグランド回路の耐久性をより向上させることができる。
【0092】
例えば
図10Bに示すように、本開示の接地用部品を第2モーターケース2のステージ21に載置した後、例えば
図10Cに示すように第2モーターケース2のステージ21にプラグ3を固定することでバネ様部分(15a,15b)の自由端(T
3)をプラグ3と当接することができる。ここで、
図10Bおよび
図10Cは、
図10AのX-X’での固定前および固定後のプラグ3および第2モーターケース2の断面をそれぞれ示す。このときバネ様部分(15a,15b)の自由端(T
3)のエッジがプラグカバー3aの底部と当接するとともに、接地用部品の第3面がプラグカバー3aの底部と当接してもよい。また、プラグカバー3aの底部がバネ様部分(15a,15b)の自由端(T
3)のエッジに当接する箇所に凹部を設けることでより適切にバネ様部分(15a,15b)の自由端(T
3)のエッジとプラグカバー3aの底部とを接触させてよい。
【0093】
例えば、
図3および
図10に示すように、バネ様部分(15a,15b)は、第3面(13)の裏側、すなわち第2面(12b)の側に突出するように形成された山部を有していてよい。尚、このような山部は、第3面(13)の側から見ると谷部である。このような山部の断面の形状は特に限定されるものでなく、図示するように略U字形であってよい(
図3Eおよび
図3F参照)。このような第2面(12b)に対向する第2モーターケース2のステージ21には、バネ様部分(15a,15b)の山部に対応し得る位置にそれらを収容するための凹部23が形成されていてよい(
図5B参照)。第2モーターケース2のステージ21に設けられた凹部23にバネ様部分(15a,15b)の山部が嵌合することで、バネ様部分(15a,15b)の固定端(T
4)がステージ21の縁部に沿って係合し、より適切にバネ様部分(15a,15b)の自由端(T
3)を変位させることができる。このような凹部23は、その内部においてバネ様部分の山部の頂部と接触しないような寸法、形状および空間を有することが好ましい。
【0094】
図示する形態では、接地用部品10を介して、プラグ3および第2モーターケース2は互いにネジ6などの固定手段で固定できる(
図10参照)。ネジ6の脚部またはスクリュー部は、第2モーターケース2に設けられたネジ孔20に配置されて第2モーターケース2と結合することができる(
図5、
図8および
図10参照)。プラグ3の第2モーターケース2への固定は、ネジ6などの固定手段による固定に限定されず、適切なロック機構、嵌合および/または係合などにより直接又は間接的に固定してよい。
【0095】
接地用部品10の第3面(13)は、上面視でその面積の80%以上がプラグ3で覆われていることが好ましい。第3面(13)の大半がプラグ3で覆われることでプラグ3との接触をより適切に維持することができる。このような構成から電気的な接続をより適切に維持することができる。ひいてはグランド回路の耐久性をより向上させることができる。
【0096】
接地用部品10は、第3面(13)に少なくとも1つの幅狭部17を有してよい(
図3A参照)。接地用部品10の第3面(13)に幅狭部17を設けることでプラグ3と第2モーターケース2との結合部分、例えばネジやロック機構などを適切に回避することができる。
【0097】
幅狭部17は、例えば
図3Aに示すように接地用部品10の第3面(13)の一部を切り欠くことで形成され得る。あるいは、第3面(13)に矩形、円形などの形状を有する開口部を設けることによって幅狭部17を形成してもよい。幅狭部17はバネ様部分(15a,15b)の固定端(T
4)から離隔して形成することが好ましい。幅狭部17は、プラグ3と第2モーターケース2との間に挟まれてプラグ3で覆われることが好ましい。そうすることでバネ様部分(15a,15b)の固定端(T
4)をより適切に固定することができる。それにより、第3面(13)に設けられたバネ様部分(15a,15b)の自由端(T
3)の変位をより適切に制御することができる。
【0098】
接地用部品10の第1面(11)および第3面(13)は、互いに連続して第2モーターケース2のステージ21の縁部に沿うように屈曲して形成されてよい(
図8および
図9参照)。第2モーターケース2に設けられ得るステージ21の形状および寸法に特に制限はない。ステージ21は、プラグ3の上面視の形状および寸法と同一またはそれよりも少し大きい形状および寸法を有することが好ましい。
【0099】
第2モーターケース2のステージ21に接地用部品10を配置する場合、接地用部品10を配置した後の高さと、接地用部品10が配置されない部分の高さとが同じになるようにステージ21の接地用部品10が配置されない部分の高さを接地用部品10の厚みの分だけ一段上げてよい。換言すると、ステージ21において接地用部品10を配置する部分の高さを接地用部品10の厚みの分だけ一段下げてよい。
【0100】
接地用部品10は単一部品であることが好ましい。接地用部品10が単一部品であることで、より向上した耐久性を有する電気的な接続、特にグランド(GND)回路を形成することができる。
【0101】
(他の実施形態)
本開示に係る一実施形態の接地用部品10は、プラグ3と電気的に接続することができる第3面(13)に2つのバネ様部分(15a,15b)を有する(
図3参照)。これら2つのバネ様部分(15a,15b)は、その断面が略U字形の形状を有する。このような形状を有するバネ様部分を「タイプ15A」のバネ様部分と称する(
図11A参照)。タイプ15Aのバネ様部分は、自由端の変位量が大きく、その調整も容易であるため好ましい。
【0102】
本開示に係る一実施形態の接地用部品10のバリエーションとして、例えば
図11B~
図11Dに示す「タイプ15B」、「タイプ15C」および「タイプ15D」のバネ様部分を有する接地用部品が挙げられる。
【0103】
「タイプ15B」のバネ様部分は、その断面が略V字形の形状を有することを特徴とする(
図11B参照)。バネ様部分の自由端は第3面を含む平面から突出している。また、固定端は、第2モーターケースの縁部の形状に沿うように配置されている。
【0104】
「タイプ15C」のバネ様部分は、その断面が略V字の形状を有することを特徴とする(
図11C参照)。バネ様部分の自由端は第3面を含む平面から突出している。
【0105】
「タイプ15D」のバネ様部分は、その位置がタイプ15A~15Cとは異なる。バネ様部分の断面は、略V字形の形状を有するが、その山部は第3面からプラグ3に向けて上方に突出し、山部の頂点がプラグ3と当接することを特徴とする(
図11D参照)。
また、「タイプ15D」のバネ様部分は、タイプ15Aおよびタイプ15Bのバネ様部分に対応する位置にタイプ15Aおよび15Bの固定端と同様の形状の部分を有していてよく、このような部分が第2モーターケース2の縁部の形状に沿うことができ、第2モーターケース2とより適切に係合することができる。
【0106】
本開示の接地用部品は、上記の実施形態に限定されるものではない。本開示の範囲内において、適宜、変更がなされていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本開示の接地用部品は各種モーター、特に産業用モーターの接地に利用することができる。本開示の接地用部品は、厳しい温度環境(特に105℃で10日間など)において使用することができる。本開示の接地用部品は、このような環境下にあっても、より向上した耐久性を有する電気的な接続、特にグランド回路を形成することができる。このようなことから、本開示の接地用部品は、エンコーダなどを含む産業用のサーボモーターにおいて特に適切に使用することができる。より具体的には、切削加工機、特にCMC切削加工機のサーボモーターなどにおいて、より適切に使用することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 第1モーターケース
1a ケース本体
1a’ 台座部
1b エンコーダ部
2 第2モーターケース
3 プラグ
3a プラグカバー
3b プラグ本体
3c コンタクト(プラグ側のコンタクト)
4 コネクタ
5 導電ケーブル
6 ネジ
7 コンタクト(コネクタ側のコンタクト)
10 接地用部品
11 第1面
12 第2面
12a 第2面(第1面の裏面)
12b 第2面(第3面の裏面)
13 第3面
14 バネ様部分
15 バネ様部分
15a 第1バネ様部分
15b 第2バネ様部分
16 係合部
16a 第1係合部
16b 第2係合部
17 幅狭部
20 ネジ孔
21 ステージ
22 開口部
23 凹部
T1,T3 自由端
T2,T4 固定端