(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】カラーチャートデータ補正方法およびカラーチャートデータ補正プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20240527BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240527BHJP
H04N 1/405 20060101ALI20240527BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
H04N1/405
B41J2/525
(21)【出願番号】P 2020159131
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121348
【氏名又は名称】川原 健児
(74)【代理人】
【氏名又は名称】奥田 邦廣
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】横内 健一
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-082598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/40- 1/409
H04N 1/46- 1/64
G06T 1/00
B41J 2/525
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正方法であって、
作業者が中間調パッチの網点面積率を調整することによって、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後の網点面積率との対応付けを行う網点面積率調整ステップと、
前記網点面積率調整ステップの後に、前記複数個の中間調パッチに関して前記調整後の網点面積率に対応する分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を含むことを特徴とする、カラーチャートデータ補正方法。
【請求項2】
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を算出する際に分光特性の情報が参照される色を参照色として、前記網点面積率調整ステップの前に、予め選択されている前記参照色を前記作業者が変更する参照色変更ステップと、
前記参照色変更ステップの後に、前記コンピュータが、変更後の参照色についての前記ベタパッチの分光特性と各中間調パッチの分光特性との関係を表す関係式に処理対象の色についての前記ベタパッチの分光特性を当てはめることによって、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応する分光特性を算出する分光特性算出ステップと
を含み、
前記分光特性補正ステップでは、前記分光特性算出ステップで算出された分光特性に基づいて、前記複数個の中間調パッチの補正後の分光特性が求められることを特徴とする、請求項1に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項3】
前記参照色変更ステップの開始時点には、既に前記作業者による中間調パッチの網点面積率の調整が行われていることにより、前記複数個の中間調パッチについて調整中の網点面積率が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられており、
前記参照色変更ステップの後に、前記コンピュータが、変更前の参照色についての網点面積率とISO20654に準拠して算出されるSCTVとの対応関係に基づいて、前記複数個の中間調パッチについての前記調整中の網点面積率をSCTVに変換する第1変換ステップと、
前記第1変換ステップの後に、前記コンピュータが、前記変更後の参照色についての網点面積率とSCTVとの対応関係に基づいて、前記第1変換ステップで得られたSCTVを網点面積率に変換する第2変換ステップと
を含み、
前記網点面積率調整ステップでは、各中間調パッチに関して前記カラーチャートデータ内の網点面積率と前記第2変換ステップで得られた網点面積率とが対応付けられた状態から、前記作業者による中間調パッチの網点面積率の調整が開始されることを特徴とする、請求項2に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項4】
前記参照色変更ステップの開始時点には、既に前記作業者による中間調パッチの網点面積率の調整が行われていることにより、前記複数個の中間調パッチについて調整中の網点面積率が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられており、
前記参照色変更ステップの後に、前記コンピュータが、変更前の参照色について、前記調整中の網点面積率に対応するCIELAB値を算出する第1のCIELAB値算出ステップと、
前記参照色変更ステップの後に、前記コンピュータが、前記変更後の参照色について、
1%刻みの各網点面積率に対応するCIELAB値を算出する第2のCIELAB値算出ステップと、
前記第1のCIELAB値算出ステップおよび前記第2のCIELAB値算出ステップの後に、前記コンピュータが、各中間調パッチに関し、前記調整中の網点面積率に対応するCIELAB値と
1%刻みの各網点面積率に対応するCIELAB値とに基づく色差を算出する色差算出ステップと
を含み、
前記網点面積率調整ステップでは、各中間調パッチに関して前記カラーチャートデータ内の網点面積率と
1%刻みの網点面積率のうち前記色差算出ステップで最小の色差が得られた網点面積率とが対応付けられた状態から、前記作業者による中間調パッチの網点面積率の調整が開始されることを特徴とする、請求項2に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項5】
前記参照色変更ステップでは、前記作業者は、前記ベタパッチ、前記媒体色パッチ、および前記複数個の中間調パッチの分光特性が得られている複数の色および人工的にドットゲインを生成した複数の仮想的な色の中から前記変更後の参照色を選択することができることを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項6】
前記分光特性補正ステップでは、前記分光特性算出ステップで算出された前記複数個の中間調パッチについての分光特性を用いて補間計算を行うことによって、前記調整後の網点面積率に対応する分光特性が算出されることを特徴とする、請求項2から5までのいずれか1項に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項7】
前記分光特性補正ステップでは、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の分光特性を用いて補間計算を行うことによって、前記調整後の網点面積率に対応する分光特性が算出されることを特徴とする、請求項1に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項8】
前記網点面積率調整ステップでは、前記作業者が前記複数個の中間調パッチのうちの1つのパッチの網点面積率を調整すると、前記コンピュータが前記複数個の中間調パッチの全てについての前記調整後の網点面積率を求めることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項9】
前記分光特性補正ステップの後に、補正前のカラーチャートデータに基づくカラー画像と補正後のカラーチャートデータに基づくカラー画像とを並べた画面を前記コンピュータが表示する画像比較画面表示ステップを含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項10】
前記分光特性補正ステップの後に、前記複数個の中間調パッチの分光特性が補正されたカラーチャートデータを前記コンピュータがファイルとして保存するカラーチャートデータ保存ステップを含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項11】
印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正方法であって、
コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの網点面積率をISO20654に準拠して算出されるSCTVに変換する網点面積率-SCTV変換ステップと、
前記網点面積率-SCTV変換ステップの後に、作業者が中間調パッチのSCTVを調整することによって、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後のSCTVとの対応付けを行うSCTV調整ステップと、
前記SCTV調整ステップの後に、前記コンピュータが前記複数個の中間調パッチについての前記調整後のSCTVを網点面積率に変換するSCTV-網点面積率変換ステップと、
前記SCTV-網点面積率変換ステップの後に、前記複数個の中間調パッチに関して前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を含むことを特徴とする、カラーチャートデータ補正方法。
【請求項12】
前記SCTV調整ステップと前記SCTV-網点面積率変換ステップと前記分光特性補正ステップとからなる色調整ステップが2回繰り返され、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を算出する際に分光特性の情報が参照される色を参照色として、1回目の前記色調整ステップの後かつ2回目の前記色調整ステップの前に、予め選択されている前記参照色を前記作業者が変更する参照色変更ステップを含み、
2回目の前記色調整ステップにおける前記SCTV調整ステップでは、各中間調パッチに関して前記カラーチャートデータ内の網点面積率と1回目の前記色調整ステップにおける前記SCTV調整ステップによる調整後のSCTVとが対応付けられた状態から、前記作業者による中間調パッチのSCTVの調整が開始されることを特徴とする、請求項11に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項13】
前記分光特性補正ステップでは、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の分光特性を用いて補間計算を行うことによって、前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性が算出されることを特徴とする、請求項11に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項14】
前記分光特性補正ステップの後に、補正前のカラーチャートデータに基づくカラー画像と補正後のカラーチャートデータに基づくカラー画像とを並べた画面を前記コンピュータが表示する画像比較画面表示ステップを含むことを特徴とする、請求項11から13までのいずれか1項に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項15】
前記分光特性補正ステップの後に、前記複数個の中間調パッチの分光特性が補正されたカラーチャートデータを前記コンピュータがファイルとして保存するカラーチャートデータ保存ステップを含むことを特徴とする、請求項11から14までのいずれか1項に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項16】
印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正方法であって、
コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの網点面積率をISO20654に準拠して算出されるSCTVに変換する網点面積率-SCTV変換ステップと、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を算出する際に分光特性の情報が参照される色を参照色として、作業者が前記参照色の候補とする複数の参照候補色を選択する参照候補色選択ステップと、
前記網点面積率-SCTV変換ステップおよび前記参照候補色選択ステップの後に、前記作業者が中間調パッチのSCTVを調整することによって、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後のSCTVとの対応付けを行うSCTV調整ステップと、
前記SCTV調整ステップの後に、前記複数の参照候補色のそれぞれについて、前記コンピュータが前記複数個の中間調パッチについての前記調整後のSCTVを網点面積率に変換するSCTV-網点面積率変換ステップと、
前記SCTV-網点面積率変換ステップの後に、前記コンピュータが、前記複数の参照候補色のそれぞれについて、前記複数個の中間調パッチに関して前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性を求める分光特性計算ステップと、
前記分光特性計算ステップの後に、前記コンピュータが前記分光特性計算ステップで求められた分光特性に基づいて前記複数の参照候補色のそれぞれに対応する複数の調整結果を表示する調整結果表示ステップと、
前記調整結果表示ステップの後に、前記作業者が前記複数の調整結果のうちの1つを選択する調整結果選択ステップと、
前記調整結果選択ステップで選択された調整結果に応じて、前記複数個の中間調パッチに関して前記分光特性計算ステップで求められた分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を含むことを特徴とする、カラーチャートデータ補正方法。
【請求項17】
前記SCTV調整ステップでは、前記作業者は複数の調整パターンでSCTVを調整することができ、
前記調整結果表示ステップでは、参照候補色と調整パターンとの組み合わせ毎に調整結果が表示されることを特徴とする、請求項16に記載のカラーチャートデータ補正方法。
【請求項18】
印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正プログラムであって、
コンピュータに、
作業者による中間調パッチの網点面積率の調整作業を受け付け、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後の網点面積率との対応付けを行う網点面積率調整ステップと、
前記網点面積率調整ステップの後に、前記複数個の中間調パッチに関して前記調整後の網点面積率に対応する分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を実行させるためのカラーチャートデータ補正プログラム。
【請求項19】
印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正プログラムであって、
コンピュータに、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの網点面積率をISO20654に準拠して算出されるSCTVに変換する網点面積率-SCTV変換ステップと、
前記網点面積率-SCTV変換ステップの後に、作業者による中間調パッチのSCTVの調整を受け付け、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後のSCTVとの対応付けを行うSCTV調整ステップと、
前記SCTV調整ステップの後に、前記複数個の中間調パッチについての前記調整後のSCTVを網点面積率に変換するSCTV-網点面積率変換ステップと、
前記SCTV-網点面積率変換ステップの後に、前記複数個の中間調パッチに関して前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を実行させるためのカラーチャートデータ補正プログラム。
【請求項20】
印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正プログラムであって、
コンピュータに、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの網点面積率をISO20654に準拠して算出されるSCTVに変換する網点面積率-SCTV変換ステップと、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を算出する際に分光特性の情報が参照される色を参照色として、前記参照色の候補とする複数の参照候補色の作業者による選択を受け付ける参照候補色選択ステップと、
前記網点面積率-SCTV変換ステップおよび前記参照候補色選択ステップの後に、前記作業者による中間調パッチのSCTVの調整を受け付け、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後のSCTVとの対応付けを行うSCTV調整ステップと、
前記SCTV調整ステップの後に、前記複数の参照候補色のそれぞれについて、前記複数個の中間調パッチについての前記調整後のSCTVを網点面積率に変換するSCTV-網点面積率変換ステップと、
前記SCTV-網点面積率変換ステップの後に、前記複数の参照候補色のそれぞれについて、前記複数個の中間調パッチに関して前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性を求める分光特性計算ステップと、
前記分光特性計算ステップの後に、前記分光特性計算ステップで求められた分光特性に基づいて前記複数の参照候補色のそれぞれに対応する複数の調整結果を表示する調整結果表示ステップと、
前記調整結果表示ステップの後に、前記作業者による前記複数の調整結果のうちの1つの選択を受け付ける調整結果選択ステップと、
前記調整結果選択ステップで選択された調整結果に応じて、前記複数個の中間調パッチに関して前記分光特性計算ステップで求められた分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を実行させるためのカラーチャートデータ補正プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の色(典型的には、特色を含む複数の色)のインクの重ね刷りによって得られる色を予測する際に用いられるカラーチャートの情報を保持したカラーチャートデータを補正する方法およびカラーチャートデータを補正するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷業界では、デジタル印刷装置の普及が進んでいる。しかしながら、ラベル・パッケージの分野では、近年でも印刷版を使用した印刷装置(以下、「従来方式の印刷装置」あるいは単に「印刷装置」という。)による印刷(オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷など)が行われることが多い。ところが、デザインやコンテンツの制作の短納期化の要求が高まっており、従来方式の印刷装置を使用している場合にはデザイン等の変更があったときに印刷版の再作製や工程の後戻りによって生じるコストが大きいことが問題となっている。この点、デジタル印刷装置によれば、印刷版を使用しないため、印刷版の交換・再作製という作業が発生することがない。すなわち、デジタル印刷装置を採用することにより、特に小ロットの印刷を低コストで行うことが可能となり、デザインやコンテンツの制作の短納期化の要求へも低コストで対応することが可能となる。
【0003】
ところで、ラベル・パッケージの分野では、色の表現力を高めるために特色が多用される傾向にある。このため、従来方式の印刷装置での印刷用に生成された印刷データを用いてデジタル印刷装置で印刷を行うためには、特色のインクの重ね刷りによって得られる色の予測を行って、その予測した色をデジタル印刷装置で再現する必要がある。なお、以下においては、複数の色のインクの重ね刷りによって得られる色を特定する値(具体的には、反射率、あるいは、CIE1931XYZ色空間における三刺激値X,Y,およびZ)の予測値のことを「オーバープリント予測値」という。
【0004】
後述する非特許文献1には、特色を含む複数の色のインクの重ね刷りによって得られる色(オーバープリント予測値)を比較的簡単に予測する手法(以下、「Deshpandeらの手法」という。)が開示されている。Deshpandeらの手法では、オーバープリント予測値は、三刺激値X,Y,およびZを用いて次式(1)~(3)のように表される(
図50参照)。
X=j
x×(X
b×X
f)+k
x ・・・(1)
Y=j
y×(Y
b×Y
f)+k
y ・・・(2)
Z=j
z×(Z
b×Z
f)+k
z ・・・(3)
ここで、X
b,Y
b,およびZ
bは背景色の三刺激値であり、X
f,Y
f,およびZ
fは前景色の三刺激値であり、j
x,j
y,およびj
zはスケーリング係数であり、k
x,k
y,およびk
zは定数である。以下、j
x,j
y,j
z,k
x,k
y,およびk
zをまとめて「オーバープリント係数」という。
【0005】
ところで、色の再現方法には加法混色と減法混色とがあるが、印刷の場合には減法混色によって色の再現が行われる。これに関し、仮に理想的な減法混色が行われると、例えば、重ね刷りによって得られる色の刺激値Xは「Xb×Xf」で表される(刺激値Y,Zについても同様である)。しかしながら、より正確な値を得るためには、不透明インクの使用や表面での光の反射などに起因する誤差を考慮した補正が必要となる。そこで、Deshpandeらの手法では、上式(1)~(3)に示したように、一次式を用いた補正が行われている。
【0006】
Deshpandeらの手法では、例えば、模式的には
図51に示すようなカラーチャートが使用される。このカラーチャートは「CxFチャート」と呼ばれている。
図51に示す例では、CxFチャートは22個のパッチによって構成されている。上段の11個のパッチは、網点パーセントを10%刻みにして対象の特色のインクを紙などの基材上に印刷することによって得られるパッチである。下段の11個のパッチは、網点パーセントを10%刻みにして対象の特色のインクを黒色(墨ベタ)上に印刷することによって得られるパッチである。このようにCxFチャートには複数段階のインク濃度に対応する複数のパッチが含まれている。このようなCxFチャートのパッチの測色で得られる値(測色値)を用いて、オーバープリント予測値が算出される。
【0007】
以下、
図52に示すフローチャートを参照しつつ、背景色が網点パーセントを40%とする特色(便宜上「特色1」という。)であって前景色が網点パーセントを60%とする別の特色(便宜上「特色2」という。)である場合のオーバープリント予測値の算出を例に挙げて、Deshpandeらの手法について詳しく説明する。
【0008】
まず、特色1のインクを用いてCxFチャートの印刷が行われ、さらに、特色2のインクを用いてCxFチャートの印刷が行われる(ステップS900)。
【0009】
次に、特色2のインクを用いて印刷されたCxFチャート(便宜上「特色2チャート」という。)を使用して、特色2に関する上式(1)~(3)のオーバープリント係数j
x,j
y,j
z,k
x,k
y,およびk
zが算出される(ステップS910)。これに関し、例えば、上式(1)に着目すると、X
b×X
fについての実用上の最大値および最小値は、それぞれ、基材上および黒色(墨ベタ)上に特色2のインクが塗られたことによって得られる値である。Y
b×Y
fおよびZ
b×Z
fについても同様である。そこで、オーバープリント係数を算出するために、上式(1)~(3)を表す座標系(
図53参照:但し、
図53には上式(1)を表す座標系のみを示している。)において、黒色上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値を表す座標が第1校正点P91とされ、基材上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値を表す座標が第2校正点P92とされる。
【0010】
三刺激値のうちの例えばXに着目すると、第1校正点P91については、上式(1)に対して次のように値の代入が行われる。特色2チャートのパッチPA93の測色によって得られる値(黒色の刺激値)がX
bに代入され、特色2チャートのパッチPA92の測色によって得られる値(基材上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値)がX
fに代入され、特色2チャートのパッチPA91の測色によって得られる値(黒色上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値)がXに代入される(
図51参照)。また、第2校正点P92については、上式(1)に対して次のように値の代入が行われる。特色2チャートのパッチPA94の測色によって得られる値(基材の刺激値)がX
bに代入され、特色2チャートのパッチPA92の測色によって得られる値(基材上に網点パーセントを60%とする特色2のインクが塗られた状態の刺激値)がX
fおよびXに代入される(
図51参照)。
【0011】
第1校正点P91に関する方程式と第2校正点P92に関する方程式との連立方程式を解くことによってオーバープリント係数j
x,k
xが算出される。すなわち、
図53で符号L91を付した直線を表す式が得られる。オーバープリント係数j
y,j
z,k
y,およびk
zについても、同様にして算出される。
【0012】
なお、
図51に示すCxFチャートでは10%刻みでパッチが設けられているが、線形補間によって得られる測色値に基づいて、左右方向に隣接する2つのパッチ間の網点パーセントに対応するオーバープリント係数を求めることができる。
【0013】
次に、特色1のインクを用いて印刷されたCxFチャート(便宜上「特色1チャート」という。)を使用して、最終的なオーバープリント予測値を算出するための上式(1)~(3)中のX
b,Y
b,およびZ
bの値(背景色の三刺激値)が取得される(ステップS920)。具体的には、特色1チャートのパッチPA95(
図51参照)の測色によって、X
b,Y
b,およびZ
bの値が取得される。
【0014】
次に、特色2チャートを使用して、最終的なオーバープリント予測値を算出するための上式(1)~(3)中のX
f,Y
f,およびZ
fの値(前景色の三刺激値)が取得される(ステップS930)。具体的には、特色2チャートのパッチPA92(
図51参照)の測色によって、X
f,Y
f,およびZ
fの値が取得される。
【0015】
最後に、ステップS910~S930で得られた値を上式(1)~(3)に代入することによって、オーバープリント予測値としての三刺激値X,Y,およびZが算出される(ステップS940)。これは、例えば、
図53で符号L91を付した直線において横軸が「ステップS920で取得されたX
b」と「ステップS930で取得されたX
f」との積であるときの縦軸の値をXの値として算出することに相当する。
【0016】
上記の処理では、特色2チャートのパッチPA91,PA92,およびPA93をそれぞれ測色することによって、第1校正点P91(
図53参照)に関するX,X
f,およびX
bの値を取得している。しかし、高精度のオーバープリント予測値が必要とされないのであれば、簡単のために第1校正点P91を
図53のグラフの原点に位置するとみなすこともできる。この場合には、特色2チャートのパッチPA91およびPA93の測色が不要になる(第2校正点P92のXおよびX
fの値の取得のためにパッチPA92の測色は依然として必要である)。この場合、
図51に示すCxFチャートのパッチPA91およびPA93等を含む下段のパッチ群を印刷しなくても、オーバープリント予測値としての三刺激値X,Y,およびZを算出することができる。このように、
図51に示す上段のパッチ群を有し下段のパッチ群を備えないCxFチャートを本明細書では便宜上「簡易CxFチャート」という。
【0017】
上述したように、Deshpandeらの手法によれば、例えば
図51に示したようなCxFチャートを用いて色の予測が行われている。ところが、特色を用いた印刷が行われる場合であっても、通常、このようなCxFチャートは事前には印刷されていない。このため、特色の数に等しい数のCxFチャートを印刷して各パッチの測色を行う必要性が生じる。これにより、コストの増加や工数の増加が引き起こされる。
【0018】
そこで、本願出願人は、複数の色のインクの重ね刷りによって得られる色を低コストかつ少ない工数で予測できるよう、CxFチャートを印刷することなく当該CxFチャートが印刷されたと仮定した場合の各パッチの分光反射率を予測する手法を発明した(特開2020-102807号公報を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【非特許文献】
【0020】
【文献】K. Deshpande, P. Green、"Recommendations for predicting spot colour overprints"、[online]、[平成30年6月7日検索]、インターネット<URL: http://www.color.org/ICC_white_paper_43_Draft2kd.doc>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところが、特開2020-102807号公報に開示された手法で得られる分光反射率は、あくまでも予測値である。それ故、その予測値を用いて印刷が実行されても、ユーザが満足するような色(印刷結果)が得られないことがある。このような場合には、予測値である分光反射率を補正することによって色の調整を行う必要がある。また、CxFチャートの印刷および測色を実際に行うことによって得られた分光反射率についても、誤差が含まれているケースがある。このような場合にも、分光反射率を補正することによって色の調整を行う必要がある。しかしながら、後述するように1つの色(CxFチャートの各パッチの色)は例えば36個の分光反射率によって特定されるので、色の調整が好適に行われるよう分光反射率を直接的に補正することは作業者にとって極めて困難である。
【0022】
そこで、本発明は、CxFチャート等のカラーチャートに含まれる各パッチの分光特性(分光反射率など)の情報を作業者が容易に補正できる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1の発明は、印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正方法であって、
作業者が中間調パッチの網点面積率を調整することによって、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後の網点面積率との対応付けを行う網点面積率調整ステップと、
前記網点面積率調整ステップの後に、前記複数個の中間調パッチに関して前記調整後の網点面積率に対応する分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を含むことを特徴とする。
【0024】
第2の発明は、第1の発明において、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を算出する際に分光特性の情報が参照される色を参照色として、前記網点面積率調整ステップの前に、予め選択されている前記参照色を前記作業者が変更する参照色変更ステップと、
前記参照色変更ステップの後に、前記コンピュータが、変更後の参照色についての前記ベタパッチの分光特性と各中間調パッチの分光特性との関係を表す関係式に処理対象の色についての前記ベタパッチの分光特性を当てはめることによって、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応する分光特性を算出する分光特性算出ステップと
を含み、
前記分光特性補正ステップでは、前記分光特性算出ステップで算出された分光特性に基づいて、前記複数個の中間調パッチの補正後の分光特性が求められることを特徴とする。
【0025】
第3の発明は、第2の発明において、
前記参照色変更ステップの開始時点には、既に前記作業者による中間調パッチの網点面積率の調整が行われていることにより、前記複数個の中間調パッチについて調整中の網点面積率が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられており、
前記参照色変更ステップの後に、前記コンピュータが、変更前の参照色についての網点面積率とISO20654に準拠して算出されるSCTVとの対応関係に基づいて、前記複数個の中間調パッチについての前記調整中の網点面積率をSCTVに変換する第1変換ステップと、
前記第1変換ステップの後に、前記コンピュータが、前記変更後の参照色についての網点面積率とSCTVとの対応関係に基づいて、前記第1変換ステップで得られたSCTVを網点面積率に変換する第2変換ステップと
を含み、
前記網点面積率調整ステップでは、各中間調パッチに関して前記カラーチャートデータ内の網点面積率と前記第2変換ステップで得られた網点面積率とが対応付けられた状態から、前記作業者による中間調パッチの網点面積率の調整が開始されることを特徴とする。
【0026】
第4の発明は、第2の発明において、
前記参照色変更ステップの開始時点には、既に前記作業者による中間調パッチの網点面積率の調整が行われていることにより、前記複数個の中間調パッチについて調整中の網点面積率が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられており、
前記参照色変更ステップの後に、前記コンピュータが、変更前の参照色について、前記調整中の網点面積率に対応するCIELAB値を算出する第1のCIELAB値算出ステップと、
前記参照色変更ステップの後に、前記コンピュータが、前記変更後の参照色について、1%刻みの各網点面積率に対応するCIELAB値を算出する第2のCIELAB値算出ステップと、
前記第1のCIELAB値算出ステップおよび前記第2のCIELAB値算出ステップの後に、前記コンピュータが、各中間調パッチに関し、前記調整中の網点面積率に対応するCIELAB値と1%刻みの各網点面積率に対応するCIELAB値とに基づく色差を算出する色差算出ステップと
を含み、
前記網点面積率調整ステップでは、各中間調パッチに関して前記カラーチャートデータ内の網点面積率と1%刻みの網点面積率のうち前記色差算出ステップで最小の色差が得られた網点面積率とが対応付けられた状態から、前記作業者による中間調パッチの網点面積率の調整が開始されることを特徴とする。
【0027】
第5の発明は、第2から第4までのいずれかの発明において、
前記参照色変更ステップでは、前記作業者は、前記ベタパッチ、前記媒体色パッチ、および前記複数個の中間調パッチの分光特性が得られている複数の色および人工的にドットゲインを生成した複数の仮想的な色の中から前記変更後の参照色を選択することができることを特徴とする。
【0028】
第6の発明は、第2から第5までのいずれかの発明において、
前記分光特性補正ステップでは、前記分光特性算出ステップで算出された前記複数個の中間調パッチについての分光特性を用いて補間計算を行うことによって、前記調整後の網点面積率に対応する分光特性が算出されることを特徴とする。
【0029】
第7の発明は、第1の発明において、
前記分光特性補正ステップでは、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の分光特性を用いて補間計算を行うことによって、前記調整後の網点面積率に対応する分光特性が算出されることを特徴とする。
【0030】
第8の発明は、第1から第7までのいずれかの発明において、
前記網点面積率調整ステップでは、前記作業者が前記複数個の中間調パッチのうちの1つのパッチの網点面積率を調整すると、前記コンピュータが前記複数個の中間調パッチの全てについての前記調整後の網点面積率を求めることを特徴とする。
【0031】
第9の発明は、第1から第8までのいずれかの発明において、
前記分光特性補正ステップの後に、補正前のカラーチャートデータに基づくカラー画像と補正後のカラーチャートデータに基づくカラー画像とを並べた画面を前記コンピュータが表示する画像比較画面表示ステップを含むことを特徴とする。
【0032】
第10の発明は、第1から第9までのいずれかの発明において、
前記分光特性補正ステップの後に、前記複数個の中間調パッチの分光特性が補正されたカラーチャートデータを前記コンピュータがファイルとして保存するカラーチャートデータ保存ステップを含むことを特徴とする。
【0033】
第11の発明は、印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正方法であって、
コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの網点面積率をISO20654に準拠して算出されるSCTVに変換する網点面積率-SCTV変換ステップと、
前記網点面積率-SCTV変換ステップの後に、作業者が中間調パッチのSCTVを調整することによって、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後のSCTVとの対応付けを行うSCTV調整ステップと、
前記SCTV調整ステップの後に、前記コンピュータが前記複数個の中間調パッチについての前記調整後のSCTVを網点面積率に変換するSCTV-網点面積率変換ステップと、
前記SCTV-網点面積率変換ステップの後に、前記複数個の中間調パッチに関して前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を含むことを特徴とする。
【0034】
第12の発明は、第11の発明において、
前記SCTV調整ステップと前記SCTV-網点面積率変換ステップと前記分光特性補正ステップとからなる色調整ステップが2回繰り返され、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を算出する際に分光特性の情報が参照される色を参照色として、1回目の前記色調整ステップの後かつ2回目の前記色調整ステップの前に、予め選択されている前記参照色を前記作業者が変更する参照色変更ステップを含み、
2回目の前記色調整ステップにおける前記SCTV調整ステップでは、各中間調パッチに関して前記カラーチャートデータ内の網点面積率と1回目の前記色調整ステップにおける前記SCTV調整ステップによる調整後のSCTVとが対応付けられた状態から、前記作業者による中間調パッチのSCTVの調整が開始されることを特徴とする。
【0035】
第13の発明は、第11の発明において、
前記分光特性補正ステップでは、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の分光特性を用いて補間計算を行うことによって、前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性が算出されることを特徴とする。
【0036】
第14の発明は、第11から第13までのいずれかの発明において、
前記分光特性補正ステップの後に、補正前のカラーチャートデータに基づくカラー画像と補正後のカラーチャートデータに基づくカラー画像とを並べた画面を前記コンピュータが表示する画像比較画面表示ステップを含むことを特徴とする。
【0037】
第15の発明は、第11から第14までのいずれかの発明において、
前記分光特性補正ステップの後に、前記複数個の中間調パッチの分光特性が補正されたカラーチャートデータを前記コンピュータがファイルとして保存するカラーチャートデータ保存ステップを含むことを特徴とする。
【0038】
第16の発明は、印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正方法であって、
コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの網点面積率をISO20654に準拠して算出されるSCTVに変換する網点面積率-SCTV変換ステップと、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を算出する際に分光特性の情報が参照される色を参照色として、作業者が前記参照色の候補とする複数の参照候補色を選択する参照候補色選択ステップと、
前記網点面積率-SCTV変換ステップおよび前記参照候補色選択ステップの後に、前記作業者が中間調パッチのSCTVを調整することによって、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後のSCTVとの対応付けを行うSCTV調整ステップと、
前記SCTV調整ステップの後に、前記複数の参照候補色のそれぞれについて、前記コンピュータが前記複数個の中間調パッチについての前記調整後のSCTVを網点面積率に変換するSCTV-網点面積率変換ステップと、
前記SCTV-網点面積率変換ステップの後に、前記コンピュータが、前記複数の参照候補色のそれぞれについて、前記複数個の中間調パッチに関して前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性を求める分光特性計算ステップと、
前記分光特性計算ステップの後に、前記コンピュータが前記分光特性計算ステップで求められた分光特性に基づいて前記複数の参照候補色のそれぞれに対応する複数の調整結果を表示する調整結果表示ステップと、
前記調整結果表示ステップの後に、前記作業者が前記複数の調整結果のうちの1つを選択する調整結果選択ステップと、
前記調整結果選択ステップで選択された調整結果に応じて、前記複数個の中間調パッチに関して前記分光特性計算ステップで求められた分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記コンピュータが前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を含むことを特徴とする。
【0039】
第17の発明は、第16の発明において、
前記SCTV調整ステップでは、前記作業者は複数の調整パターンでSCTVを調整することができ、
前記調整結果表示ステップでは、参照候補色と調整パターンとの組み合わせ毎に調整結果が表示されることを特徴とする。
【0040】
第18の発明は、印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正プログラムであって、
コンピュータに、
作業者による中間調パッチの網点面積率の調整作業を受け付け、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後の網点面積率との対応付けを行う網点面積率調整ステップと、
前記網点面積率調整ステップの後に、前記複数個の中間調パッチに関して前記調整後の網点面積率に対応する分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を実行させる。
【0041】
第19の発明は、印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正プログラムであって、
コンピュータに、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの網点面積率をISO20654に準拠して算出されるSCTVに変換する網点面積率-SCTV変換ステップと、
前記網点面積率-SCTV変換ステップの後に、作業者による中間調パッチのSCTVの調整を受け付け、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後のSCTVとの対応付けを行うSCTV調整ステップと、
前記SCTV調整ステップの後に、前記複数個の中間調パッチについての前記調整後のSCTVを網点面積率に変換するSCTV-網点面積率変換ステップと、
前記SCTV-網点面積率変換ステップの後に、前記複数個の中間調パッチに関して前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を実行させる。
【0042】
第20の発明は、印刷媒体に最大のインク濃度でインクが塗られたベタパッチと前記印刷媒体にインクが塗られていない媒体色パッチと前記印刷媒体に前記ベタパッチと前記媒体色パッチとの間の複数段階のインク濃度でインクが塗られた複数個の中間調パッチとを含むカラーチャートの各パッチの情報からなるデータであってパッチ毎に網点面積率と分光特性とが対応付けられたデータであるカラーチャートデータを補正するカラーチャートデータ補正プログラムであって、
コンピュータに、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの網点面積率をISO20654に準拠して算出されるSCTVに変換する網点面積率-SCTV変換ステップと、
前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を算出する際に分光特性の情報が参照される色を参照色として、前記参照色の候補とする複数の参照候補色の作業者による選択を受け付ける参照候補色選択ステップと、
前記網点面積率-SCTV変換ステップおよび前記参照候補色選択ステップの後に、前記作業者による中間調パッチのSCTVの調整を受け付け、前記複数個の中間調パッチについての前記カラーチャートデータ内の網点面積率と調整後のSCTVとの対応付けを行うSCTV調整ステップと、
前記SCTV調整ステップの後に、前記複数の参照候補色のそれぞれについて、前記複数個の中間調パッチについての前記調整後のSCTVを網点面積率に変換するSCTV-網点面積率変換ステップと、
前記SCTV-網点面積率変換ステップの後に、前記複数の参照候補色のそれぞれについて、前記複数個の中間調パッチに関して前記SCTV-網点面積率変換ステップで得られた網点面積率に対応する分光特性を求める分光特性計算ステップと、
前記分光特性計算ステップの後に、前記分光特性計算ステップで求められた分光特性に基づいて前記複数の参照候補色のそれぞれに対応する複数の調整結果を表示する調整結果表示ステップと、
前記調整結果表示ステップの後に、前記作業者による前記複数の調整結果のうちの1つの選択を受け付ける調整結果選択ステップと、
前記調整結果選択ステップで選択された調整結果に応じて、前記複数個の中間調パッチに関して前記分光特性計算ステップで求められた分光特性が前記カラーチャートデータ内の網点面積率に対応付けられるよう、前記カラーチャートデータのうちの前記複数個の中間調パッチの分光特性を補正する分光特性補正ステップと
を実行させる。
【発明の効果】
【0043】
上記第1の発明によれば、作業者によって網点面積率の調整が行われると、調整後の網点面積率に対応する分光特性(分光反射率など)が調整前の網点面積率に対応付けられるよう、カラーチャートデータのうちの中間調パッチの分光特性がコンピュータによって補正される。これに関し、網点面積率の調整は、分光特性の調整とは異なり、直感的に行うことができる。このように、カラーチャートに含まれる各パッチの分光特性の情報を作業者が容易に補正することが可能となる。
【0044】
上記第2の発明によれば、作業者は参照色を変更することが可能となっており、変更後の参照色についてのベタパッチの分光特性と各中間調パッチの分光特性との関係が、処理対象の色についての中間調パッチの分光特性の予測に適用される。このため、当初の予測結果に対してドットゲインの程度の調整、換言すれば色味の調整を施すことが可能となる。また、参照色の変更後に、網点面積率の調整すなわちトーンの調整も行われる。このように、作業者は、色味の調整とトーンの調整とを併用しつつ色の調整を行うことが可能となる。以上より、より目標に近い色が得られるよう、カラーチャートに含まれる各パッチの分光特性の情報を作業者が補正することが可能となる。
【0045】
上記第3の発明によれば、作業者が参照色を変更した際に、ISO20654で規定されているSCTVを介して、調整中の網点面積率から参照色変更後の網点面積率への変換が行われる。網点面積率の変換がこのようにSCTVを介して行われるので、参照色の変更の前後で色味の変化は少ない。このように色味を大きく変えることなく参照色を変更することが可能となるので、作業者は、カラーチャートに含まれる各パッチの分光特性の情報を補正するための調整作業をより効率的に行うことが可能となる。
【0046】
上記第4の発明によれば、参照色が変更された際の色味の変化を顕著に小さくすることが可能となる。従って、作業者は、カラーチャートに含まれる各パッチの分光特性の情報を補正するための調整作業を極めて効率的に行うことが可能となる。
【0047】
上記第5の発明によれば、上記第2の発明と同様の効果が得られる。
【0048】
上記第6の発明によれば、上記第2の発明と同様の効果が得られる。
【0049】
上記第7の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【0050】
上記第8の発明によれば、作業者にとっては極めて簡単な操作で、カラーチャートに含まれる各パッチの分光特性の情報を補正することが可能となる。
【0051】
上記第9の発明によれば、作業者は、分光特性を補正することによるカラー画像の変化を画面上で確認しながら調整作業を行うことが可能となる。
【0052】
上記第10の発明によれば、カラーチャートデータがファイルの形式で保存されるので、複数のシステム間で補正後のカラーチャートデータを共有することが可能となる。
【0053】
上記第11の発明によれば、ISO20654で規定されているSCTVの調整が作業者によって行われると、調整後のSCTVから網点面積率への変換が行われ、当該変換後の網点面積率に対応する分光特性(分光反射率など)が調整前の網点面積率に対応付けられるよう、カラーチャートデータのうちの中間調パッチの分光特性がコンピュータによって補正される。これに関し、SCTVの調整は、分光特性の調整とは異なり、直感的に行うことができる。このように、カラーチャートに含まれる各パッチの分光特性の情報を作業者が容易に補正することが可能となる。
【0054】
上記第12の発明によれば、SCTVの調整後に参照色が変更された場合、その調整後のSCTVを基準にしてSCTVの再調整を行うことができる。それ故、調整作業の無駄が生じることが抑制される。これにより、カラーチャートに含まれる各パッチの分光特性の情報を作業者が容易かつ効率的に補正することが可能となる。
【0055】
上記第13の発明によれば、上記第11の発明と同様の効果が得られる。
【0056】
上記第14の発明によれば、上記第9の発明と同様の効果が得られる。
【0057】
上記第15の発明によれば、上記第10の発明と同様の効果が得られる。
【0058】
上記第16の発明によれば、作業者は参照色の候補となる複数の参照候補色を選択することができ、ISO20654で規定されているSCTVの調整後に参照候補色毎に調整結果が表示される。そして、作業者は調整結果のうちの1つを選択することができ、その選択された調整結果に応じてカラーチャートデータのうちの中間調パッチの分光特性がコンピュータによって補正される。複数の参照候補色のそれぞれに対応する調整結果を作業者は一度に確認することができるので、カラーチャートに含まれる各パッチの分光特性の情報を補正するための調整作業をより効率的に行うことが可能となる。
【0059】
上記第17の発明によれば、作業者は、複数の調整パターンでSCTVの調整を行うことが可能となる。そして、参照候補色と調整パターンとの全ての組み合わせについての調整結果を作業者は一度に確認することができるので、カラーチャートに含まれる各パッチの分光特性の情報を補正するための調整作業を極めて効率的に行うことが可能となる。
【0060】
上記第18の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【0061】
上記第19の発明によれば、上記第11の発明と同様の効果が得られる。
【0062】
上記第20の発明によれば、上記第16の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】CxFチャートに関して本明細書で用いる用語について説明するための図である。
【
図2】全ての実施形態における印刷システムの全体構成図である。
【
図3】カラーチャートデータについて説明するための図である。
【
図4】全ての実施形態における印刷データ生成装置のハードウェア構成図である。
【
図5】全ての実施形態に関する全体の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】ニューラルネットワーク予測手法の概要を説明するための図である。
【
図7】ニューラルネットワーク予測手法で用いられるニューラルネットワークの構造の一例を示す図である。
【
図8】ニューラルネットワーク予測手法の学習時の処理について説明するための図である。
【
図9】ニューラルネットワーク予測手法に関し、ニューラルネットワークが色予測対象パッチ毎に用意されることを説明するための図である。
【
図10】第2タイプパッチについての分光反射率の予測を行う色予測処理(ニューラルネットワーク予測手法による色予測処理)の手順を示すフローチャートである。
【
図11】ニューラルネットワーク予測手法に関し、教師データの取得手順を示すフローチャートである。
【
図12】ニューラルネットワーク予測手法に関し、教師データの取得の詳細について説明するためのブロック図である。
【
図13】第1タイプパッチについての分光反射率の予測を行う色予測処理の概略手順を示すフローチャートである。
【
図14】色予測処理に関し、参照色の選択について説明するための図である。
【
図15】色予測処理に関し、関係式を算出する際の正規化について説明するための図である。
【
図16】色予測処理に関し、組み合わせデータについて説明するための図である。
【
図17】色予測処理に関し、関係式の算出について説明するための図である。
【
図18】色予測処理に関し、1つのプロットの例を示す図である。
【
図19】本発明の第1の実施形態におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。
【
図20】上記第1の実施形態において、網点面積率の調整の際に表示されるグラフの一例を示す図である。
【
図21】上記第1の実施形態において、網点面積率の調整が行われる際の作業者の操作について説明するための図である。
【
図22】上記第1の実施形態において、網点面積率の調整作業後に表示されるグラフの一例を示す図である。
【
図23】上記第1の実施形態において、網点面積率の調整作業の結果として生成される変換テーブルの一例を示す図である。
【
図24】上記第1の実施形態において、分光反射率の補正について説明するための図である。
【
図25】上記第1の実施形態において、カラーチャートデータ内の分光反射率の情報の補正後に表示されるダイアログの一例を示す図である。
【
図26】上記第1の実施形態において、カラーチャートデータ内の分光反射率の情報の補正後に表示されるダイアログの別の例を示す図である。
【
図27】上記第1の実施形態において、1点のみのドラッグ操作による網点面積率の調整について説明するための図である。
【
図28】上記第1の実施形態において、1点のみのドラッグ操作による網点面積率の調整について説明するための図である。
【
図29】上記第1の実施形態において、網点面積率を調整するための表形式の入力画面の一例を示す図である。
【
図30】本発明の第2の実施形態におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。
【
図31】上記第2の実施形態において、カラーチャートデータ補正処理の際に表示されるダイアログの一例を示す図である。
【
図32】本発明の第3の実施形態において、網点面積率からSCTVへの変換について説明するための図である。
【
図33】上記第3の実施形態において、網点面積率の調整の流れについて説明するための図である。
【
図34】上記第3の実施形態において、網点面積率とSCTVとの相互の変換について説明するための図である。
【
図35】上記第3の実施形態において、作業者によるSCTVの調整および参照色の変更について説明するための図である。
【
図36】上記第3の実施形態におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。
【
図37】上記第3の実施形態において、SCTVの調整の際に表示されるグラフの一例を示す図である。
【
図38】上記第3の実施形態において、SCTVの調整について説明するための図である。
【
図39】上記第3の実施形態において、SCTVの調整作業後に表示されるグラフの一例を示す図である。
【
図40】上記第3の実施形態において、カラーチャートデータ補正処理の際に表示されるダイアログの一例を示す図である。
【
図41】上記第3の実施形態において、分光反射率の補正について説明するための図である。
【
図42】第1の変形例において、参照色が変更された際の網点面積率の変換について説明するための図である。
【
図43】上記第1の変形例におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。
【
図44】第2の変形例において、網点面積率の調整例を示す図である。
【
図45】上記第2の変形例において、参照色が変更された際にCIELAB値が求められることについて説明するための図である。
【
図46】上記第2の変形例におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。
【
図47】第3の変形例におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。
【
図48】上記第3の変形例において、参照候補色毎の調整結果(予測結果)を含むダイアログの一例を示す図である。
【
図49】第4の変形例において、調整作業用のグラフの一例を示す図である。
【
図50】従来例に関し、Deshpandeらの手法について説明するための図である。
【
図51】従来例に関し、CxFチャートの一例を模式的に示す図である。
【
図52】従来例に関し、Deshpandeらの手法について説明するためのフローチャートである。
【
図53】従来例に関し、Deshpandeらの手法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
はじめに、
図1に示すCxFチャートを参照しつつ、以下の説明で用いる用語について説明する。CxFチャートの上段のパッチ(
図1で符号71を付した段のパッチ)(対象のインクを印刷用紙などの印刷媒体(基材)上に塗ることによって得られるパッチ)を「第1タイプパッチ」といい、CxFチャートの下段のパッチ(
図1で符号72を付した段のパッチ)(対象のインクを黒色上に塗ることによって得られるパッチ)を「第2タイプパッチ」という。また、印刷媒体そのものの色を表しているパッチ(
図1で符号PA1を付したパッチ)を「媒体色パッチ」といい、印刷媒体上に対象のインクがベタ(最大のインク濃度)で塗られた状態のパッチ(
図1で符号PA2を付したパッチ)を「ベタパッチ」といい、第1タイプパッチ71のうちの媒体色パッチPA1とベタパッチPA2とを除くパッチ(
図1で符号PA3を付したパッチ)を「中間調パッチ」という。上述した簡易CxFチャートは、第1タイプパッチ71のみを有するCxFチャートである。
【0065】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、以下では、分光反射率が380nm~730nmの波長範囲で10nm刻みで得られるケース(すなわち、36個の分光反射率によって1つの色が特定されるケース)を想定して説明を行う。但し、これには限定されず、400nm~700nmの範囲を包含する波長範囲を適宜の大きさの単位波長範囲で除することによって得られる数の分光反射率が得られるケースにも、本発明を適用することができる。
【0066】
<0.全ての実施形態に共通の事項>
各実施形態について説明する前に、全ての実施形態に共通の事項について説明する。
【0067】
<0.1 印刷システムの全体構成>
図2は、本発明の全ての実施形態における印刷システムの全体構成図である。この印刷システムは、PDFファイルなどの入稿データに対して各種処理を施して印刷データを生成する印刷データ生成装置100と、印刷データに基づいて印刷版を作製する製版装置200と、その製版装置200で作製された印刷版を使用して印刷を行う印刷装置300と、印刷版を用いることなくデジタルデータである印刷データに基づいて印刷を行うインクジェット印刷機・コピー機等のデジタル印刷装置350と、色の測定を行う測色機400とによって構成されている。印刷データ生成装置100と製版装置200とデジタル印刷装置350と測色機400とは、通信回線CLによって互いに通信可能に接続されている。なお、測色機400は分光測色機である。
【0068】
この印刷システムでは、印刷データ生成装置100により、印刷用紙に予測対象色のインク(任意の特色のインク)を複数段階のインク濃度で塗ることによってCxFチャート(カラーチャート)を作成したと仮定したときの各パッチの色を予測する色予測処理が行われる。詳しくは、色予測処理によって、11個の第1タイプパッチ71のうち媒体色パッチPA1とベタパッチPA2とを除く9個のパッチ(すなわち、9個の中間調パッチPA3)の分光反射率の予測値と11個の第2タイプパッチ72の分光反射率の予測値とが求められる(
図1参照)。但し、第1タイプパッチ71の分光反射率の予測値と第2タイプパッチ72の分光反射率の予測値とは異なる手法によって算出される。
【0069】
また、印刷データ生成装置100では、色予測処理によって求められた分光反射率の予測値を補正する処理が行われる。これに関し、CxFチャートの各パッチの網点面積率(網点面積率は階調値に相当する)および分光反射率の情報は、模式的には
図3に示すようにカラーチャートデータ50として保持されている。なお、
図3には、第1タイプパッチ71についての情報のみを示している。
図3に関し、符号51を付した部分の情報は網点面積率の情報であって、符号52を付した部分の情報は分光反射率の情報(10%刻みの波長に対応する反射率の情報)である。また、符号53を付した部分の情報は上述した中間調パッチPA3に関する情報である。印刷データ生成装置100では、以上のようなカラーチャートデータ50を補正する処理が行われる。より詳しくは、カラーチャートデータ50のうち中間調パッチPA3の分光反射率の情報を補正する処理(以下、「カラーチャートデータ補正処理」という。)が印刷データ生成装置100で行われる。
【0070】
さらに、印刷データ生成装置100では、複数の色のインクの重ね刷りによって得られる色(典型的には、複数の特色のインクの重ね刷りが行われた部分あるいは特色のインクとプロセスカラーのインクとの重ね刷りが行われた部分の色)を予測するオーバープリント予測処理が行われる。オーバープリント予測処理では、必要に応じて、色予測処理で得られた分光反射率の情報(カラーチャートデータ補正処理による補正後の情報を含む)が用いられる。さらにまた、印刷データ生成装置100では、オーバープリント予測処理で得られたデータをデジタル印刷装置350での印刷出力が可能な形式の印刷データに変換する処理も行われる。なお、オーバープリント予測処理の具体的な手法については、上述したDeshpandeらの手法を採用しても良いし、それとは別の手法を採用しても良い。
【0071】
<0.2 印刷データ生成装置の構成>
図4は、印刷データ生成装置100のハードウェア構成図である。この印刷データ生成装置100は、パソコンによって実現されており、CPU11と、ROM12と、RAM13と、補助記憶装置14と、キーボード等の入力操作部15と、表示部16と、光学ディスクドライブ17と、ネットワークインタフェース部18とを有している。通信回線CL経由で送られてくる入稿データは、ネットワークインタフェース部18を介して印刷データ生成装置100の内部へと入力される。印刷データ生成装置100で生成された印刷データは、ネットワークインタフェース部18を介して通信回線CL経由でデジタル印刷装置350に送られる。
【0072】
色予測処理を実行するための色予測プログラム141は補助記憶装置14に格納されている。色予測プログラム141には、サブプログラムとして、カラーチャートデータ補正処理を実行するためのカラーチャートデータ補正プログラム1411が含まれている。カラーチャートデータ50はファイルの形式で補助記憶装置14に格納されている。すなわち、カラーチャートデータファイル142が補助記憶装置14に格納されている。色予測プログラム141は、CD-ROMやDVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されて提供される。すなわちユーザは、例えば、色予測プログラム141の記録媒体としての光学ディスク(CD-ROM、DVD-ROM等)170を購入して光学ディスクドライブ17に装着し、その光学ディスク170から色予測プログラム141を読み出して補助記憶装置14にインストールする。また、これに代えて、通信回線CLを介して送られる色予測プログラム141をネットワークインタフェース部18で受信して、それを補助記憶装置14にインストールするようにしてもよい。カラーチャートデータ補正処理が実行される際には、CPU11によってカラーチャートデータファイル142の読み込みが行われることによって、カラーチャートデータ50がRAM13に保持される。
【0073】
<0.3 全体の処理の流れ>
図5は、全ての実施形態に関する全体の処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、印刷データ生成装置100において色予測処理が行われる(ステップS10)。すなわち、CxFチャートの各パッチの分光反射率の予測値を求める処理が行われる。その後、その予測値を用いて出力された印刷物や表示部16に表示された画像などに基づき、所望の色が得られているかどうかを作業者が確認する(ステップS20)。そして、カラーチャートデータ50内の分光反射率の予測値を補正する必要があるか否かの判断が行われる(ステップS30)。その結果、補正の必要がないと判断されると、
図5に示す全体の処理は終了する。一方、補正の必要があると判断されると、印刷データ生成装置100において、カラーチャートデータ50内の分光反射率の予測値を補正する処理(上述したカラーチャートデータ補正処理)が行われる(ステップS40)。ステップS40の終了後、処理はステップS20に戻る。
【0074】
なお、ここで示す例では色予測処理で得られた分光反射率の予測値をカラーチャートデータ補正処理で補正しているが、本発明はこれに限定されない。CxFチャートの印刷および測色を実際に行うことによって得られた分光反射率をカラーチャートデータ補正処理で補正するようにしても良い。
【0075】
<0.4 色予測処理>
ここで、CxFチャートの各パッチの分光反射率の予測値を求める色予測処理(
図5のステップS10の処理)について説明する。
【0076】
ベタパッチPA2の分光反射率は、例えば、色玉や印刷物に含まれる該当色の部分の測色を行うことによって得られる。また、ベタパッチPA2の分光反射率については、該当色の色見本の測色で得られた分光反射率で代用することもできる。何故ならば、色見本は、該当色をベタ塗りしたときの目標とする色を表しているからである。媒体色パッチPA1の分光反射率は、印刷媒体上の何も印刷されていない部分の測色を行うことによって得られる。また、印刷の際に同じ印刷媒体が使用されるのであれば、インクの色に関わらず、媒体色パッチPA1の分光反射率は一定である。従って、複数の色のインクについての処理が行われる場合であっても、同じ印刷媒体が使用される限り、媒体色パッチPA1の分光反射率の測定は一度だけ行われれば良い。以上のように、CxFチャートを構成する22個のパッチのうちベタパッチPA2および媒体色パッチPA1については、測色値である分光反射率を比較的容易に取得することができる。
【0077】
CxFチャートを構成する22個のパッチのうちベタパッチPA2と媒体色パッチPA1とを除く20個のパッチについては、実際に印刷媒体上あるいは黒色上に印刷されたものを測色しなければ正確な分光反射率は得られない。しかしながら、色味が近い複数の特色に着目したとき、上記20個のパッチに関して、複数の特色間で分光反射率は互いに近い値になると考えられる。印刷の際に同じ印刷媒体が使用されるのであれば、ベタパッチPA2の分光反射率と上記20個のパッチのそれぞれの分光反射率とは一定の関係があると考えられる。
【0078】
そこで、上記20個のパッチを色予測対象パッチとしてベタパッチPA2の分光反射率と色予測対象パッチの分光反射率との関係を予めニューラルネットワークに学習させた上で予測対象色についての色予測対象パッチの分光反射率を学習済みのニューラルネットワークを用いて予測するという手法(以下、便宜上「ニューラルネットワーク予測手法」という。)を本願出願人は試みた。
【0079】
ところが、ニューラルネットワーク予測手法によれば、上記20個のパッチのうち第2タイプパッチ72については実用に差し支えのない予測値が得られるが、上記20個のパッチのうち第1タイプパッチ71については特に学習に用いるデータ数が少ない場合に充分な精度での予測値が得られない。そこで、この印刷システムでは、第2タイプパッチ72についてのみニューラルネットワーク予測手法を用いて分光反射率の予測が行われ、第1タイプパッチ71についてはニューラルネットワーク予測手法とは異なる手法によって分光反射率の予測が行われる。
【0080】
<0.4.1 第2タイプパッチの分光反射率の予測>
まず、第2タイプパッチ72についての分光反射率の予測を行う色予測処理について説明する。第2タイプパッチ72の分光反射率の予測についてはニューラルネットワーク予測手法が採用される。
図6は、ニューラルネットワーク予測手法の概要を説明するための図である。上述したように、CxFチャートを構成するパッチのうちベタパッチPA2については比較的容易に分光反射率を取得することができる。そこで、第2タイプパッチ72を色予測対象パッチとして、ベタパッチPA2の分光反射率から色予測対象パッチの分光反射率を予測する色予測モデルが構築される。そして、当該色予測モデルを用いて、予測対象色についての色予測対象パッチの分光反射率が予測される。
【0081】
色予測モデルは機械学習を行うニューラルネットワーク73によって実現される(
図6参照)。色予測処理は、概略的には、学習段階の処理と予測(推論)段階の処理とに分けられる。学習段階では、ニューラルネットワーク73に教師データ(訓練データ)が与えられ、当該教師データを用いた機械学習がニューラルネットワーク73で行われる。ニューラルネットワーク73には、教師データとして、CxFチャート内のパッチの測色によって得られる分光反射率が与えられる。なお、ここでは、1つの教師データは、ベタパッチPA2の測色によって得られる36個の分光反射率と1つの色予測対象パッチの測色によって得られる36個の分光反射率とによって構成される。予測段階では、学習済みのニューラルネットワーク73に、予測対象色についてのベタパッチPA2の分光反射率が与えられる。これにより、ニューラルネットワーク73から予測対象色についての色予測対象パッチの分光反射率(予測値)が出力される。
【0082】
以上のような色予測モデルを用いることにより、CxFチャートの印刷が行われていない特色についても、CxFチャートが印刷されたと仮定した場合の全ての第2タイプパッチ72の分光反射率を取得することができる。
【0083】
図7は、ニューラルネットワーク予測手法で用いられるニューラルネットワーク73の構造の一例を示す図である。このニューラルネットワーク73は、入力層と隠れ層(中間層)と出力層とによって構成されている。入力層は、36個の分光反射率75(1)~75(36)を受け取る36個のユニット(ニューロン)によって構成されている。隠れ層も36個のユニットによって構成されている。但し、隠れ層のユニット数は36には限定されない。また、
図7に示す例では隠れ層の層数は1であるが、隠れ層の層数は2以上であっても良い。出力層は、36個の分光反射率76(1)~76(36)を出力する36個のユニットによって構成されている。
【0084】
入力層-隠れ層間の結合および隠れ層-出力層間の結合は、全結合である。隠れ層および出力層の活性化関数にはシグモイド関数が採用される。但し、シグモイド関数以外の関数を活性化関数として採用しても良い。
【0085】
このニューラルネットワーク73を用いた学習時には、分光反射率75(1)~75(36)が入力層に与えられる。これにより、ニューラルネットワーク73内で順伝播の処理が行われ、出力層から出力される分光反射率76(1)~76(36)と正解データである分光反射率77(1)~77(36)との2乗誤差の総和が求められる(
図8参照)。そして、誤差の逆伝播の処理で得られる結果に基づいて勾配降下法を用いることによって、ニューラルネットワーク73のパラメータ(重み係数、バイアス)が更新される。以上のようにして学習が繰り返されることによって、上記パラメータが最適化される。なお、学習手法については、全ての教師データをまとめてニューラルネットワーク73に与えるバッチ学習を採用しても良いし、教師データを複数のグループに分割してグループ毎に教師データをニューラルネットワーク73に与えるミニバッチ学習を採用しても良いし、教師データを1つずつニューラルネットワーク73に与えるオンライン学習を採用しても良い。
【0086】
このニューラルネットワーク73を用いた予測時(推論時)には、予測対象色についてのベタパッチPA2の分光反射率75(1)~75(36)が入力層に与えられる。そして、ニューラルネットワーク73内で順伝播の処理が行われることによって出力層から出力される分光反射率76(1)~76(36)が、予測対象色についての色予測対象パッチの分光反射率の予測値として扱われる。
【0087】
ところで、
図7に示したニューラルネットワーク73は、色予測対象パッチ毎に用意される。この例では、11個のパッチ(第2タイプパッチ72)が色予測対象パッチとされるので、
図9に示すように11個のニューラルネットワーク73(1)~73(11)が用意される。そして、色予測対象パッチ毎に、対応するニューラルネットワーク73を用いて学習および予測(推論)が行われる。
【0088】
次に、
図10および
図11に示すフローチャートを参照しつつ、ニューラルネットワーク予測手法による色予測処理の手順について説明する。
図10に示すように、まず、色予測モデルとして構築されるべきニューラルネットワーク73での学習に必要な教師データを取得する処理が行われる(ステップS200)。ステップS200では、分光反射率の予測が精度良く行われるよう、充分な数の教師データを取得することが好ましい。ステップS200は、詳しくは、
図11に示すように、CxFチャートを印刷するステップ(ステップS202)と分光反射率を測定するステップ(ステップS204)とからなる。ステップS202およびステップS204の処理については、
図12を参照しつつ、詳しく説明する。
【0089】
ステップS202では、まず、印刷データ生成装置100でCxFチャート出力用の印刷データDchが作成され、当該印刷データDchが製版装置200に送られる。製版装置200では、印刷データDchに基づいて印刷版PLが作製される。そして、その印刷版PLを用いて、印刷装置300で印刷が実行される。これにより、印刷装置300からCxFチャートCHが出力される。
【0090】
ステップS204では、測色機400によって、ステップS202で印刷されたCxFチャートCHに含まれるパッチの測色が行われる。測色機400による測色で得られた測色データDcmは、印刷データ生成装置100に送られる。この例で使用される測色機400は分光測色機である。従って、測色で得られる測色データDcmは、分光反射率のデータである。この例においては、分光反射率のデータは、380nm~730nmの波長範囲で10nm刻みで得られる。従って、CxFチャートCHの任意の1つのパッチの測色を行うことによって、36個の分光反射率のデータが得られる。
【0091】
教師データの取得後、ニューラルネットワーク73によって、ステップS200で得られた教師データを用いた機械学習が行われる(ステップS210)。上述したように、この機械学習は、色予測対象パッチ毎に、対応するニューラルネットワーク73を用いて行われる。ステップS210での機械学習によって、ニューラルネットワーク73のパラメータ(重み係数、バイアス)が最適化される。その最適化されたパラメータを有するニューラルネットワーク73が、色の予測に使用される色予測モデルとなる。以上のように、ステップS210では、CxFチャート内のパッチの色を予測する色予測モデルが構築される。
【0092】
なお、ステップS200およびステップS210の処理(
図10で符号78を付した部分の処理)については、1度だけ行われれば良く、1つの予測対象色の処理毎に行われる必要はない。これに対して、ステップS220およびステップS230の処理(
図10で符号79を付した部分の処理)は、1つの予測対象色の処理毎に行われる必要がある。
【0093】
ステップS220では、測色機400を用いて、予測対象色についてのベタパッチPA2の分光反射率が測定される。上述したように、ベタパッチPA2の分光反射率は、例えば、色玉や印刷物に含まれる該当色の部分の測色を行うことによって得られる。また、ベタパッチPA2の分光反射率を該当色の色見本の分光反射率で代用することもできる。
【0094】
次に、ステップS210で構築された色予測モデルとしてのニューラルネットワーク73に入力データとしてステップS220で得られた分光反射率を与えることによって、予測対象色についての色予測対象パッチの分光反射率(予測値)が求められる(ステップS230)。このステップS230では、11個の色予測対象パッチのそれぞれについて、36個の反射率が求められる。以上より、実際には予測対象色についてのCxFチャートが印刷されていなくても、当該CxFチャートが印刷されたと仮定した場合の全ての第2タイプパッチ72の分光反射率が得られる。
【0095】
<0.4.2 第1タイプパッチの分光反射率の予測>
次に、第1タイプパッチ71についての分光反射率の予測を行う色予測処理について説明する。媒体色パッチPA1およびベタパッチPA2の分光反射率は上述したように容易に取得することができる。そこで、この色予測処理では、11個の第1タイプパッチ71のうち9個の中間調パッチPA3の分光反射率の予測値が求められる。すなわち、それら9個の中間調パッチPA3が色予測対象パッチとなる。
【0096】
<0.4.2.1 概略手順>
図13は、第1タイプパッチ71についての分光反射率の予測を行う色予測処理の概略手順を示すフローチャートである。なお、この色予測処理が実行されるまでに、適宜の数の色(以下、「サンプル色」という。)についてのCxFチャート(簡易CxFチャートでも良い)の印刷およびそれらの測色が行われている必要がある。すなわち、この色予測処理が実行されるまでに、複数のサンプル色のそれぞれについての各第1タイプパッチ71の分光反射率が得られている必要がある。サンプル色としては、例えば32個の特色が用いられる。また、予測対象色(処理対象の色)について、この色予測処理が実行されるまでに、印刷媒体上に当該予測対象色のインクがベタで塗られた状態の分光反射率が得られている必要がある。すなわち、この色予測処理が実行されるまでに、予測対象色についてのベタパッチPA2の分光反射率が得られている必要がある。以下、
図13に示すフローについて説明する。
【0097】
まず、この色予測処理の実行前に得られている分光反射率のデータに基づいて、複数のサンプル色の中から予測対象色に近い色が参照色として選択される(ステップS310)。例えば、32個の特色がサンプル色として用意されている場合、それら32個の特色の中から予測対象色に近い1つの色が参照色として選択される。
【0098】
次に、参照色(ステップS310で選択されたサンプル色)について、ベタパッチPA2の分光反射率と色予測対象パッチの分光反射率との関係を表す関係式(近似式)が求められる(ステップS320)。この関係式は、色予測対象パッチ毎に求められる。
図1に示したようなCxFチャートが用いられている場合、色予測対象パッチは9個あるので、ステップS320の処理によって9個の関係式が得られる。
【0099】
最後に、予測対象色についてのベタパッチPA2の分光反射率をステップS320で求められた関係式に当てはめることによって、予測対象色についての色予測対象パッチの分光反射率の予測値が求められる(ステップS330)。
図1に示したようなCxFチャートが用いられている場合、色予測対象パッチは9個あるので、予測対象色についてのベタパッチPA2の分光反射率が9個の関係式に当てはめられる。これにより、予測対象色について、9個の色予測対象パッチのそれぞれの分光反射率の予測値が求められる。
【0100】
以上のようにして、実際には予測対象色のインクを用いてCxFチャートが印刷されていなくても、当該CxFチャートが印刷されたと仮定した場合の全ての中間調パッチPA3の分光反射率が得られる。以下、
図13の各ステップの処理について、詳しく説明する。
【0101】
<0.4.2.2 参照色の選択>
まず、参照色を選択する処理(
図13のステップS310の処理)について詳しく説明する。全ての実施形態において、CxFチャートを構成する各パッチの分光反射率のデータは、380nm~730nmの波長範囲での10nm刻みの36個の反射率で構成される。従って、予測対象色やサンプル色に関し、ベタパッチPA2の分光反射率のデータは、380nm~730nmの波長範囲での10nm刻みの36個の反射率で構成される。そこで、予測対象色および各サンプル色の36個の反射率に基づき、予測対象色と各サンプル色との間でのベタパッチPA2の分光反射率についての2乗誤差が求められる。そして、最小の2乗誤差が得られたサンプル色が参照色として選択される。このように、最小二乗法を用いて参照色の選択が行われる。
【0102】
ここで、複数のサンプル色を互いに区別するために変数Ci(iは1以上の整数)を用い、サンプル色CiについてのベタパッチPA2の分光反射率(36個の反射率)をRs(i)(1)~Rs(i)(36)と表す(
図14参照)。また、予測対象色についてのベタパッチPA2の分光反射率(36個の反射率)をRe(1)~Re(36)と表す。そうすると、予測対象色と第1番目のサンプル色C1との間での2乗誤差E(1)は、次式(4)で求められる。
【数1】
【0103】
同様にして、予測対象色と第i番目のサンプル色Ciとの間での2乗誤差E(i)は、次式(5)で求められる。但し、波長毎に重み係数を付加するようにしても良い。
【数2】
【0104】
以上のようにして、まず、予め用意されている複数のサンプル色Ciのそれぞれについて、予測対象色との間でのベタパッチPA2の分光反射率についての2乗誤差E(i)が求められる。そして、その求められた2乗誤差E(i)のうちの最小値に対応するサンプル色が参照色として選択される。このように、予測対象色についてのベタパッチPA2の分光反射率と各サンプル色についてのベタパッチPA2の分光反射率との2乗誤差が求められ、最小の2乗誤差が得られたサンプル色が参照色として選択される。
【0105】
<0.4.2.3 関係式の算出>
次に、関係式を求める処理(
図13のステップS320の処理)について詳しく説明する。参照色については、媒体色パッチPA1およびベタパッチPA2を含む全ての第1タイプパッチ71の測色値が得られている。すなわち、模式的には
図15のA部に示すような曲線(分光反射率を表す曲線)に相当するデータが、全ての第1タイプパッチ71について得られている(
図15に関し、横軸は波長(単位:nm)であり、縦軸は反射率である。)。なお、
図15のA部には、第1タイプパッチ71のうちの4つのパッチに対応する曲線のみを示している(
図15のB部も同様である)。符号54を付した曲線は媒体色パッチPA1についての曲線であり、符号55を付した曲線はベタパッチPA2についての曲線である。このようなデータに対して、媒体色パッチPA1の分光反射率を1とする正規化が施される。これにより、模式的には
図15のB部に示すような曲線(分光反射率を表す曲線)(但し、正規化の基準となった媒体色パッチPA1については直線)に相当するデータが得られる。
【0106】
ここで、9個の色予測対象パッチのうちの1つのパッチ(以下、「着目パッチ」という。)に着目する。
図15のB部に示したようなグラフに関し、波長480nmの近傍でベタパッチPA2および着目パッチについての曲線が
図16に示すようなものであったと仮定する。このとき、ベタパッチPA2の反射率は0.15で、着目パッチの反射率は0.52である。ここでは、ベタパッチPA2の反射率と着目パッチの反射率とを組み合わせたこのようなデータを「組み合わせデータ」として扱う。上述したように分光反射率のデータは36個の反射率によって構成されているので、ベタパッチPA2の反射率(正規化後の反射率)と着目パッチの反射率(正規化後の反射率)との組み合わせデータは36個得られる。各組み合わせデータは、
図17に示すように、横軸をベタパッチPA2の反射率とし縦軸を着目パッチの反射率とするグラフ(以下、便宜上「関係グラフ」という。)上に1つのプロットとして表される。例えば、
図16に示したデータに基づく組み合わせデータは、関係グラフ上に、
図18で符号57を付したプロットとして表される。このように、関係グラフ上に36個のプロットが表される。関係式の算出は、これら36個のプロットの位置にできるだけ近い位置を通る曲線(例えば、
図17において符号56を付した曲線)を求めることに相当する。
【0107】
なお、
図15のB部に示す例では、波長560nm近傍で反射率は最小の値を取り、560nmよりも大きい波長と560nmよりも小さい波長で同じ反射率が現れている。従って、例えば波長の高いものから関係グラフ上へのプロットを順次に行った場合、その軌跡に折り返しが生じる。しかしながら、
図17から把握されるように、ベタパッチPA2の反射率と色予測対象パッチの反射率との関係性については折り返し前後で変化はない。以上のことから、参照色についての「ベタパッチPA2の反射率と色予測対象パッチの反射率との関係」を利用して予測対象色についてのベタパッチPA2の反射率から予測対象色についての色予測対象パッチの反射率を精度良く求めることができると考えられる。
【0108】
以上に鑑み、
図13のステップS320では、上述のような36個の組み合わせデータに基づいて、ベタパッチPA2の分光反射率と着目パッチの分光反射率との関係を表す関係式(ベタパッチPA2の分光反射率から着目パッチの分光反射率の近似値を求める近似式)が求められる。なお、関係式は公知の手法によって求められる。例えば、36個の組み合わせデータによって得られる連立方程式をガウス消去法やガウス・ジョルダン法で解くことによって関係式は求められる。以上のようにして、9個の色予測対象パッチのそれぞれに対応する関係式が得られる。
【0109】
ところで、近似式としては例えば5次式が採用される。一例を挙げると、次式(6)のような5次式が
図13のステップS320の処理で求められる。なお、次式(6)に関し、yは色予測対象パッチの反射率であり、xはベタパッチPA2の反射率である。
【数3】
【0110】
ステップS320では、以上のようにして、ステップS310で選択された参照色について、9個の中間調パッチPA3のそれぞれに対応する近似式(例えば5次式)がステップS330で用いるための関係式として求められる。
【0111】
<0.4.2.4 分光反射率の算出>
次に、分光反射率の予測値を求める処理(
図13のステップS330の処理)について詳しく説明する。ステップS330の処理の開始時点には、参照色についての色予測対象パッチ毎に、関係式として例えば上式(6)のような5次式が得られている。また、上述したように、分光反射率のデータは36個の反射率で構成されている。そこで、ステップS330では、色予測対象パッチ毎に、対応する関係式(ベタパッチPA2の分光反射率と該当の色予測対象パッチの分光反射率との関係を表す関係式)に予測対象色についてのベタパッチPA2の分光反射率のデータである36個の反射率を1つずつ代入することによって、予測対象色についての該当の色予測対象パッチの分光反射率のデータとなる36個の反射率が求められる。
【0112】
ところで、上述したように、関係式を算出する際には、媒体色パッチPA1の分光反射率が1となるように正規化が行われている。従って、関係式から得られた36個の反射率に対して、媒体色パッチPA1の実際の分光反射率に基づく逆正規化(正規化が施された状態のデータを正規化されていない状態のデータに戻す処理)が施される。
【0113】
<0.5 カラーチャートデータ補正処理>
カラーチャートデータ50のうち中間調パッチPA3の分光反射率の情報を補正するカラーチャートデータ補正処理については、実施形態毎に詳細な内容が異なる。そこで、以下、実施形態毎にカラーチャートデータ補正処理の詳細について説明する。
【0114】
なお、上述したように、カラーチャートデータ補正処理が実行される際にはカラーチャートデータ50はRAM13(
図4参照)に保持される。以下では、特に断らない限り、そのRAM13に保持されたカラーチャートデータ50に対する処理について説明する。
【0115】
また、カラーチャートデータ補正処理が実行されると、カラーチャートデータ50のうちの中間調パッチPA3の分光反射率の情報が補正されるので、結果的に色の調整が行われることになる。従って、以下では、カラーチャートデータ50の補正に関わる作業のことを「色の調整」という場合がある。
【0116】
<1.第1の実施形態>
<1.1 カラーチャートデータ補正処理>
図19は、第1の実施形態におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。なお、このカラーチャートデータ補正処理が開始される前に印刷データ生成装置100において処理対象の色の選択(予測対象色の特定)が行われているものと仮定する(他の実施形態も同様)。
【0117】
カラーチャートデータ補正処理の開始後、まず、作業者の操作によって9個の中間調パッチPA3の網点面積率の調整が行われる(ステップS401)。このとき、まず、例えば
図20に示すようなグラフを含むダイアログが印刷データ生成装置100の表示部16に表示される。作業者は、このグラフを用いて網点面積率を調整することが可能となっている。なお、
図20に関し、入力網点面積率は調整前の網点面積率であり、出力網点面積率は調整後の網点面積率である。グラフ上には、デフォルトで、調整作業が行われていない状態での「入力網点面積率と出力網点面積率との対応関係」を表すライン58および9個の中間調パッチPA3に対応する9個の黒丸が表示されている。なお、ライン58に関し、入力網点面積率および出力網点面積率の双方が0%である位置が始点となっていて、入力網点面積率および出力網点面積率の双方が100%である位置が終点となっている。
【0118】
以上のようなグラフが表示されている状態において、作業者は、例えば
図21に示すように、或る中間調パッチPA3に対応する黒丸に対して、符号59を付した矢印で示す位置から符号60を付した矢印で示す位置へのドラッグ操作を行う。なお、この例では、各黒丸に対して垂直方向へのドラッグ操作のみが可能となっている。仮に符号60を付した矢印で示す位置が「入力網点面積率=20%」かつ「出力網点面積率=30%」の位置であれば、該当の中間調パッチPA3に関して、「入力網点面積率=20%」と「出力網点面積率=30%」とが対応付けられる。
【0119】
以上のようにして、全ての中間調パッチPA3に対して、作業者によるドラッグ操作に基づき入力網点面積率と出力網点面積率との対応付けが行われる。これにより、例えば
図22に示すように、調整作業後の「入力網点面積率と出力網点面積率との対応関係」を表すライン61および調整作業後の9個の中間調パッチPA3に対応する9個の黒丸がグラフ上に表示される。そして、調整作業の結果として、模式的には
図23に示すような変換テーブル(各中間調パッチPA3について入力網点面積率と出力網点面積率とを対応付けたテーブル)が生成される。
【0120】
網点面積率の調整後、印刷データ生成装置100の内部処理によって(すなわちコンピュータによって)、カラーチャートデータ50のうちの9個の中間調パッチPA3の分光反射率の情報が補正される(ステップS402)。各中間調パッチPA3の補正後の分光反射率は、補正前のカラーチャートデータ50と上記変換テーブルとを用いて求められる。例えば、
図23に示した変換テーブルでは、「入力網点面積率=50%」と「出力網点面積率=60%」とが対応付けられている。この場合、補正前のカラーチャートデータ50において「網点面積率=60%」に対応付けられている分光反射率が、補正後のカラーチャートデータ50における「網点面積率=50%」に対応する分光反射率として採用される。また、
図23に示した変換テーブルでは、「入力網点面積率=70%」と「出力網点面積率=76%」とが対応付けられている。この場合、補正前のカラーチャートデータ50において「網点面積率=70%」に対応付けられている分光反射率と補正前のカラーチャートデータ50において「網点面積率=80%」に対応付けられている分光反射率とから線形補間等によって「網点面積率=76%」に対応する分光反射率が求められ、当該分光反射率が補正後のカラーチャートデータ50における「網点面積率=70%」に対応する分光反射率として採用される。
【0121】
以上のように、ステップS402では、各中間調パッチPA3に関して出力網点面積率(調整後の網点面積率)に対応する分光反射率が入力網点面積率(調整前の網点面積率)に対応付けられるよう、カラーチャートデータ50のうちの各中間調パッチPA3についての分光反射率の情報が補正される。これにより、各パッチの「波長と反射率との関係を表す曲線(分光反射率を表す曲線)」が例えば
図24に示すように補正される。
【0122】
分光反射率の情報の補正後、印刷データ生成装置100において、補正後のカラーチャートデータ50に基づく表示が行われる(ステップS403)。これについては、例えば、作業者が網点面積率を調整するためのグラフ502と補正後のカラーチャートデータ50に基づく各パッチの分光反射率を表す曲線を示したグラフ504とを含む
図25に示すようなダイアログ500が、印刷データ生成装置100の表示部16に表示される。なお、詳しくは、作業者による網点面積率の調整が開始される際に
図25に示すようなダイアログ500が表示され、網点面積率の調整によってグラフ502やグラフ504の表示内容が変化する。また、例えば
図26に示すように、表示部16に表示するダイアログ510内に、補正前のカラーチャートデータ50に基づくプレビュー画像(すなわち、中間調パッチPA3の分光反射率を補正する前の画像)と補正後のカラーチャートデータ50に基づくプレビュー画像(すなわち、中間調パッチPA3の分光反射率を補正した後の画像)とを左右対称となるように表示した比較表示部514を含めるようにしても良い。この場合、作業者は、補正前後のプレビュー画像を表示する画像データ(但し、カラーチャートデータ50の補正を行った特色を使用しているもの)を予め選択することになる。上述のような比較表示部514を含むダイアログを表示することによって、作業者は、分光反射率を補正することによる画像の変化(画像内の色の変化)を画面上で確認しながら調整作業を行うことが可能となる。
【0123】
以上で、カラーチャートデータ補正処理は終了する。その後、
図5のステップS20に処理は戻り、
図5のステップS30で補正の必要がある旨の判断がなされると、再度、カラーチャートデータ補正処理が行われる。すなわち、所望の色が得られるまでカラーチャートデータ補正処理が繰り返される。
【0124】
ところで、上記においては全ての中間調パッチPA3に対応する黒丸(
図20参照)に対して作業者によるドラッグ操作が行われる例を示したが、これには限定されない。いずれか1つの中間調パッチPA3に対応する黒丸に対して作業者によるドラッグ操作が行われると自動的に全ての中間調パッチPA3に対応する出力網点面積率が求められるようにしても良い。これについては、次のようにして実現される。例えば、
図27において符号62を付した黒丸に対して、符号63を付した矢印で示す位置へのドラッグ操作が行われたと仮定する。このとき、所定の計算式に基づき、ライン58の始点と符号63を付した矢印で示す位置とライン58の終点とを結ぶ曲線(
図28において符号64を付した曲線)の式が求められる。その式に各中間調パッチPA3に対応する入力網点面積率を代入することによって、各中間調パッチPA3に対応する出力網点面積率が求められる。このような手法を採用すれば、作業者にとっては極めて簡単な操作で、カラーチャートデータ50を構成する分光反射率の情報を補正することが可能となる。
【0125】
また、作業者による入力網点面積率と出力網点面積率との対応付けが表形式の入力画面を用いて行われるようにしても良い。これについては、例えば、
図29に示すような入力部520を含むダイアログを印刷データ生成装置100の表示部16に表示し、作業者による出力網点面積率(調整後の網点面積率)の入力を受け付けるようにすれば良い。
【0126】
なお、本実施形態においては、上記ステップS401によって網点面積率調整ステップが実現され、上記ステップS402によって分光特性補正ステップが実現され、上記ステップS403(但し、
図26に示したダイアログ510を表示するケース)によって画像比較画面表示ステップが実現されている。
【0127】
<1.2 カラーチャートデータのファイルとしての保存について>
ところで、上記ステップS402の終了時点には、RAM13に保持されているカラーチャートデータ50については分光反射率の情報が補正されているが、補助記憶装置14に保持されているカラーチャートデータファイル142については分光反射率の情報は補正されていない。そこで、上記ステップS402以降の適宜のタイミングで、RAM13に保持されている補正後のカラーチャートデータ50の分光反射率の情報に基づき、カラーチャートデータファイル142内の分光反射率の情報を更新すれば良い。このようにして補正後のカラーチャートデータ50をファイルの形式で保持することによって、複数のシステム間で補正後のデータを共有することが可能となる。
【0128】
<1.3 効果>
本実施形態によれば、作業者によって網点面積率の調整が行われると、調整後の網点面積率に対応する分光反射率が調整前の網点面積率に対応付けられるよう、印刷データ生成装置100の内部処理によってカラーチャートデータ(CxFチャートの各パッチの網点面積率および分光反射率の情報を保持したデータ)50のうちの各中間調パッチPA3の分光反射率の情報が補正される。これに関し、網点面積率の調整は、分光反射率の調整とは異なり、直感的に行うことができる。このように、本実施形態によれば、CxFチャートに含まれる各パッチの分光反射率の情報を作業者が容易に補正することが可能となる。
【0129】
<2.第2の実施形態>
<2.1 カラーチャートデータ補正処理>
図30は、第2の実施形態におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。上記第1の実施形態においては、カラーチャートデータ50の分光反射率の情報を補正するために網点面積率の調整すなわちトーンの調整が行われていた。しかしながら、所望の色を得るために、トーンの調整だけでなく色味の調整が必要となるケースもある。そこで、本実施形態においては、第1タイプパッチ71についての分光反射率の予測を行う色予測処理の際に選択された(
図13のステップS310で選択された)参照色を変更することが可能となっている。
【0130】
カラーチャートデータ補正処理の開始後、まず、作業者による参照色(変更後の参照色)を選択する処理が行われる(ステップS411)。このとき、まず、例えば
図31に示すようなダイアログ530が印刷データ生成装置100の表示部16に表示される。このダイアログ530には、作業者が網点面積率を調整するためのグラフ532と、各パッチの分光反射率を表す曲線を示したグラフ534と、作業者が参照色を選択(変更)するための領域536とが含まれている。作業者は、領域536に表示されている複数のサンプル色の中から、予測対象色(現在の処理対象の色)についての中間調パッチPA3の分光反射率(予測値)の算出に用いるサンプル色を選択する。
【0131】
参照色が変更されると、変更後の参照色に基づいて各中間調パッチPA3の分光反射率の再算出が行われる(ステップS412)。これについては、まず、
図13のステップS320と同様にして、変更後の参照色について、ベタパッチPA2の分光反射率と色予測対象パッチ(9個の中間調パッチPA3のそれぞれ)の分光反射率との関係を表す関係式が求められる。その後、
図13のステップS330と同様にして、ベタパッチPA2の分光反射率を上記関係式に当てはめることによって、各中間調パッチPA3の分光反射率(予測値)が求められる。なお、ステップS411で選択可能な全てのサンプル色について予め上記関係式が求められている場合には、ステップS412において変更後の参照色についての上記関係式を求める必要はない。
【0132】
分光反射率の再算出後、上記第1の実施形態(
図19参照)と同様にして、網点面積率の調整(ステップS413)、分光反射率の補正(ステップS414)、および補正後のカラーチャートデータ50に基づく表示(ステップS415)が行われる。なお、ステップS414では、上記ステップS412での再算出後の分光反射率を基準にして、カラーチャートデータ50のうちの各中間調パッチPA3の分光反射率の情報が補正される。
【0133】
以上で、カラーチャートデータ補正処理は終了する。その後、
図5のステップS20に処理は戻り、
図5のステップS30で補正の必要がある旨の判断がなされると、再度、カラーチャートデータ補正処理が行われる。但し、2回目以降の処理の際にはステップS411およびステップS412の処理を省略することができる。仮に参照色が変更されると、それまでの網点面積率の調整結果は無視され、作業者は変更後の参照色に基づいて最初から網点面積率の調整をやり直す必要がある。
【0134】
本実施形態においても、上記ステップS414以降の適宜のタイミングで、RAM13に保持されている補正後のカラーチャートデータ50の分光反射率の情報に基づき、カラーチャートデータファイル142内の分光反射率の情報を更新すれば良い。また、本実施形態においても、上述したような比較表示部514(
図26参照)を含むダイアログを上記ステップS415で表示することによって、作業者は、分光反射率を補正することによる画像の変化(画像内の色の変化)を画面上で確認しながら調整作業を行うことが可能となる。
【0135】
なお、本実施形態においては、上記ステップS411によって参照色変更ステップが実現され、上記ステップS412によって分光特性算出ステップが実現され、上記ステップS413によって網点面積率調整ステップが実現され、上記ステップS414によって分光特性補正ステップが実現され、上記ステップS415によって画像比較画面表示ステップが実現されている。
【0136】
ところで、参照色の選択(変更)に関し、実際に測色結果が得られている色だけでなく、人工的にドットゲインを生成したものも選択できるようにしても良い。例えば、次式(7)に示すユール・ニールセン・モデルの式に適宜の値を代入する(nに“1.5”や“1.7”等の値を代入する)ことによって得られた結果(反射率の値)に基づいてベタパッチPA2の分光反射率と各中間調パッチPA3の分光反射率との関係を表す関係式を生成し、当該関係式に名前をつけて上記ステップS411で選択できるようにすれば良い。なお、次式(7)に関し、aは網点パーセントを表し、Rλ
100%は対象のインクがベタで塗られた状態の反射率を表し、Rλ用紙は印刷媒体(例えば印刷用紙)の反射率を表している。
【数4】
【0137】
上式(7)に関し、nは印刷媒体(例えば印刷用紙)の特性によって異なる値である。すなわち、様々なnの値を用いて関係式を生成することによって、ドットゲインの程度が異なる様々な色(仮想的な色)を参照色として選択することが可能となる。
【0138】
<2.2 効果>
本実施形態によれば、変更後の参照色についてのベタパッチPA2の分光反射率と各中間調パッチPA3の分光反射率との関係が、予測対象色についての各中間調パッチPA3の分光反射率の予測に適用される。このため、当初の予測結果(中間調パッチPA3の分光反射率の予測値)に対してドットゲインの程度の調整、換言すれば色味の調整を施すことが可能となる。また、参照色の変更後に、網点面積率の調整すなわちトーンの調整も行われる。このように、作業者は、色味の調整とトーンの調整とを併用しつつ色の調整を行うことが可能となる。以上より、本実施形態によれば、より目標に近い色が得られるよう、CxFチャートに含まれる各パッチの分光反射率の情報を作業者が補正することが可能となる。
【0139】
<3.第3の実施形態>
<3.1 概略>
上記第1の実施形態においては、カラーチャートデータ50の分光反射率の情報を補正するために作業者による網点面積率の調整が行われ、上記第2の実施形態においては、網点面積率の調整の前に参照色を変更することが可能となっていた。ここで、目標に近い色が得られない等の理由により、網点面積率の調整後に参照色を変更することが考えられる。ところが、参照色が変更されると、ドットゲインが変化するので、それまでの網点面積率の調整は無意味なものとなる。それ故、参照色を変更した場合には網点面積率の調整を最初からやり直す必要性が生じる。そこで、本実施形態においては、以下に記すように、ISO20654で規定されているSCTV(Spot Color Tone Value)を作業者が調整するという構成が採用されている。
【0140】
SCTVは、ISO20654で定義(規定)されている。なお、ISO20654でのSCTVの具体的な定義については公知であるので省略する。
【0141】
SCTVは、ベタパッチPA2、媒体色パッチPA1、および中間調パッチPA3の三刺激値X,Y,およびZを用いて計算される。三刺激値X,Y,およびZは、光源の分光分布と、分光反射率と、三刺激値X,Y,およびZにそれぞれ対応付けられる等色関数とから公知の手法により求められる。より具体的には、三刺激値X,Y,およびZは、次式(8)により算出される。なお、次式(8)に関し、Kmは最大視感効率を表し、Σはλ(波長)についての10nm毎の値(例えば、380~730nmの波長範囲での10nm毎の値)の総和を表し、S(λ)は光源の分光分布を表し、R(λ)は分光反射率を表し、x(λ),y(λ),およびz(λ)はそれぞれ三刺激値X,Y,およびZに対応付けられる等色関数を表している。
【数5】
【0142】
SCTVの定義と上式(8)とから把握されるように、分光反射率からSCTVを求めることができる。また、カラーチャートデータ50については、パッチ毎に、網点面積率と分光反射率とが対応付けられている(
図3参照)。以上より、各中間調パッチPA3の網点面積率からSCTVを求めることができる。例えば
図32に示すように9個の中間調パッチPA3の網点面積率をSCTVに変換することができる。また、線形補間等により、様々な値の網点面積率からSCTVを求めることもできる。これにより、逆にSCTVから網点面積率を求めることもできる。
【0143】
以上より、作業者によるSCTVの調整に基づいて、
図33に示すように網点面積率を調整することが可能である。
図33に関し、まず、符号601を付した矢印で示すように、各中間調パッチPA3の網点面積率をSCTVに変換することができる。その後、符号602を付した矢印で示すように、作業者によってSCTVを調整することができる。そして、符号603を付した矢印で示すように、調整後のSCTVを網点面積率に変換することができる。
【0144】
ところで、SCTVの定義から把握されるように、SCTVは視覚的効果が考慮された値である。それ故、SCTVの調整後に参照色が変更されても、その調整後のSCTVを基準にしてSCTVの再調整を行うことができる。
【0145】
ここで、参照色が色C01から色C02に変更されることについて考える。なお、参照色を色C01として予測対象色についての中間調パッチPA3の分光反射率の予測が既に行われている(予測対象色についてのカラーチャートデータ50が既に生成されている)ものと仮定する。参照色を色C01とするケースに関しては、網点面積率と分光反射率とがパッチ毎に対応付けられたカラーチャートデータ50が存在しているので、
図34で符号65を付した矢印で示すように、網点面積率とSCTVとの相互の変換が可能である。参照色を色C02とするケースに関しては、カラーチャートデータ50は存在していない。しかしながら、色C02についての上述した関係式(ベタパッチPA2の分光反射率と各中間調パッチPA3の分光反射率との関係を表す関係式)を用いて、網点面積率と分光反射率とをパッチ毎に対応付けたデータを生成することができる。従って、そのデータに基づき、参照色を色C02とするケースに関しても、
図34で符号66を付した矢印で示すように、網点面積率とSCTVとの相互の変換が可能である。
【0146】
以上より、作業者によるSCTVの調整および参照色の変更に基づいて、
図35に示すように網点面積率を調整することが可能である。
図35に関し、まず、符号611を付した矢印で示すように、各中間調パッチPA3の網点面積率をSCTVに変換することができる。その後、符号612を付した矢印で示すように、作業者によってSCTVを調整することができる。ここで、作業者によって参照色が色C01から色C02に変更されたと仮定する。このとき、上述したようにSCTVは視覚的効果が考慮された値であるので、符号613を付した矢印で示すように、参照色の変更の前後でSCTVは維持される。この状態で、再び作業者によって、符号614を付した矢印で示すようにSCTVを調整することができる。そして、符号615を付した矢印で示すように、参照色を色C02とした状態での調整後のSCTVを網点面積率に変換することができる。
【0147】
以上を踏まえ、本実施形態におけるカラーチャートデータ補正処理の手順について以下に説明する。
【0148】
<3.2 カラーチャートデータ補正処理>
図36は、本実施形態におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。カラーチャートデータ補正処理の開始後、まず、予測対象色のカラーチャートデータ50のうちの9個の中間調パッチPA3のそれぞれのデータに関し、
図35で符号611を付した矢印で示すように、網点面積率からSCTVへの変換が行われる(ステップS421)。
【0149】
その後、作業者によるSCTVの調整が行われる(ステップS422)。このとき、例えば
図37に示すようなグラフを含むダイアログが印刷データ生成装置100の表示部16に表示される。作業者は、このグラフを用いてSCTVを調整することが可能となっている。グラフ上には、デフォルトで、調整作業が行われていない状態での「入力網点面積率とSCTVとの対応関係」を表すライン67および9個の中間調パッチPA3に対応する9個の黒丸が表示されている。以上のようなグラフが表示されている状態において、作業者は、上記第1の実施形態と同様にして、各中間調パッチPA3に対応する黒丸に対してドラッグ操作を行うことによってSCTVの調整を行う。例えば、
図38で符号68を付した太枠内に示すようにSCTVの調整が行われる。これにより、例えば
図39に示すように、調整作業後の「入力網点面積率とSCTVとの対応関係」を表すライン69および調整作業後の9個の中間調パッチPA3に対応する9個の黒丸がグラフ上に表示される。なお、作業者によるSCTVの調整は、表形式の入力画面を用いて行われるようにしても良い。
【0150】
作業者によるSCTVの調整後、9個の中間調パッチPA3のそれぞれのデータに関し、調整後のSCTVから網点面積率への変換が行われる(ステップS423)。その後、入力網点面積率とステップS423で得られた網点面積率とに基づいて、上記第1の実施形態におけるステップS402(
図19参照)と同様にして、カラーチャートデータ50のうちの9個の中間調パッチPA3の分光反射率の情報が補正される(ステップS424)。そして、上記第1の実施形態におけるステップS403と同様に、補正後のカラーチャートデータ50に基づく表示が行われる(ステップS425)。なお、参照色を変更する必要がなければ、ステップS426以降の処理を省略することができる。
【0151】
ステップS425の終了後、作業者による参照色の変更が行われる(ステップS426)。参照色の変更は、例えば
図40に示すようなダイアログ540が印刷データ生成装置100の表示部16に表示された状態で行われる。このダイアログ540には、作業者がSCTVを調整するためのグラフ542と、各パッチの分光反射率を表す曲線を示したグラフ544と、作業者が参照色を選択(変更)するための領域546とが含まれている。作業者は、領域546に表示されている複数のサンプル色の中から、予測対象色(現在の処理対象の色)についての中間調パッチPA3の分光反射率(予測値)の算出に用いるサンプル色を選択する。
【0152】
次に、作業者によるSCTVの調整が行われる(ステップS427)。この際、ステップS422の終了時点の値から調整が再開される(
図35で符号613を付した矢印で示す部分を参照)。SCTVの調整に関する具体的な操作については、ステップS422と同様である。
【0153】
作業者によるSCTVの調整後、9個の中間調パッチPA3のそれぞれのデータに関し、ステップS427での調整後のSCTVから網点面積率への変換が行われる(ステップS428)。このステップS428では、まず、変更後の参照色についての上述した関係式(ベタパッチPA2の分光反射率と各中間調パッチPA3の分光反射率との関係を表す関係式)を用いて、予測対象色に関して網点面積率と分光反射率とをパッチ毎に対応付けたデータが生成される。そして、SCTVの定義と上式(8)とに基づいて、9個の中間調パッチPA3のそれぞれに対応するSCTVが求められる。すなわち、各中間調パッチPA3の網点面積率に対応するSCTVが求められる。さらに、線形補間等により様々な値の網点面積率をSCTVに変換する網点面積率-SCTV変換テーブルが生成され、当該網点面積率-SCTV変換テーブルに基づき逆にSCTVを網点面積率に変換するSCTV-網点面積率変換テーブルも生成される。これにより、ステップS427での調整後のSCTVが網点面積率(調整後の網点面積率)に変換される。
【0154】
その後、カラーチャートデータ50のうちの9個の中間調パッチPA3に対応する分光反射率の情報が補正される(ステップS429)。これに関し、ステップS428において、予測対象色に関して網点面積率と分光反射率とをパッチ毎に対応付けたデータ(模式的には
図41で符号81を付した部分に示すようなデータ)が生成されている。また、ステップS429では、調整後の網点面積率(
図41で符号82を付した部分を参照)が得られている。以上より、線形補間等によって、調整後の網点面積率に対応する分光反射率を求めることができる(
図41参照)。このようにして求められた分光反射率が、補正後のカラーチャートデータ50における分光反射率として採用される。
【0155】
最後に、上記第1の実施形態におけるステップS403と同様に、補正後のカラーチャートデータ50に基づく表示が行われる(ステップS430)。
【0156】
本実施形態においても、上記ステップS424以降あるいは上記ステップS429以降の適宜のタイミングで、RAM13に保持されている補正後のカラーチャートデータ50の分光反射率の情報に基づき、カラーチャートデータファイル142内の分光反射率の情報を更新すれば良い。また、本実施形態においても、上述したような比較表示部514(
図26参照)を含むダイアログを上記ステップS425,S430で表示することによって、作業者は、分光反射率を補正することによる画像の変化(画像内の色の変化)を画面上で確認しながら調整作業を行うことが可能となる。
【0157】
なお、本実施形態においては、上記ステップS421によって網点面積率-SCTV変換ステップが実現され、上記ステップS422,S427によってSCTV調整ステップが実現され、上記ステップS423,S428によってSCTV-網点面積率変換ステップが実現され、上記ステップS424,S429によって分光特性補正ステップが実現され、上記ステップS425,S430によって画像比較画面表示ステップが実現され、上記ステップS426によって参照色変更ステップが実現されている。また、上記ステップS422,S423,およびS424によって1回目の色調整ステップが実現され、上記ステップS427,S428,およびS429によって2回目の色調整ステップが実現されている。
【0158】
<3.3 効果>
本実施形態によれば、作業者によって、ISO20654で規定されているSCTVの調整が行われる。そして、調整後のSCTVから網点面積率への変換が行われ、当該変換後の網点面積率に対応する分光反射率が調整前の網点面積率に対応付けられるよう、印刷データ生成装置100の内部処理によってカラーチャートデータ(CxFチャートの各パッチの網点面積率および分光反射率の情報を保持したデータ)50のうちの各中間調パッチPA3の分光反射率の情報が補正される。ところで、SCTVの調整は、分光反射率の調整とは異なり、直感的に行うことができる。すなわち、作業者は、分光反射率の情報を補正するための調整作業を容易に行うことができる。また、SCTVの調整後に参照色が変更された場合、その調整後のSCTVを基準にしてSCTVの再調整を行うことができる。それ故、調整作業の無駄が生じることが抑制される。以上より、本実施形態によれば、CxFチャートに含まれる各パッチの分光反射率の情報を作業者が容易かつ効率的に補正することが可能となる。
【0159】
<4.変形例>
以下、変形例について説明する。
【0160】
<4.1 第1の変形例>
本変形例においては、色の調整は作業者が網点面積率を調整することによって行われる。すなわち、上記第1の実施形態と同様、
図19のステップS401~ステップS403の処理が繰り返される。しかしながら、本変形例においては、上記第1の実施形態とは異なり、適宜のタイミングで作業者が参照色を変更することが可能となっている。これに関し、上記第2の実施形態においては、参照色が変更された際、変更後の参照色についての上記関係式に基づき各中間調パッチPA3の分光反射率(予測値)が求められた後、作業者による網点面積率の調整が行われていた。これに対して、本変形例においては、参照色が変更されると、網点面積率がSCTVを介して変更前の参照色に対応する値から変更後の参照色に対応する値へと変換され、その変換後の網点面積率を基準にして作業者による網点面積率の調整が再開される。これについて、
図42を参照しつつ説明する。
【0161】
作業者による網点面積率の調整後の或る時点において、入力網点面積率と出力網点面積率との対応関係が
図42で符号83を付したラインで表されるような関係になっていると仮定する。この状態において作業者によって参照色が変更されると、上述したように網点面積率とSCTVとは相互の変換が可能であるので、変更前の参照色についての網点面積率とSCTVとの対応関係に基づき、
図42で符号84を付した矢印で示すように出力網点面積率(調整中の網点面積率)からSCTVへの変換が行われる。これにより、例えば
図42で符号85を付したラインで表されるような「入力網点面積率とSCTVとの対応関係」が得られる。次に、変更後の参照色についての網点面積率とSCTVとの対応関係に基づき、
図42で符号86を付した矢印で示すようにSCTVから出力網点面積率への変換が行われる。これにより、例えば
図42で符号87を付したラインで表されるような「入力網点面積率と出力網点面積率との対応関係」が得られる。そして、その状態から作業者による網点面積率の調整が再開される。
【0162】
以上を踏まえ、
図43を参照しつつ、本変形例におけるカラーチャートデータ補正処理の手順について説明する。ステップS441~S443については、上記第1の実施形態におけるステップS401~S403(
図19参照)と同様の処理が行われる。
【0163】
その後、上記第2の実施形態におけるステップS411(
図30参照)と同様にして、作業者による参照色を選択する処理が行われる(ステップS444)。これにより、参照色が変更される。ところで、このステップS444の開始時点には、既にステップS441で作業者による網点面積率の調整が行われているので、各中間調パッチPA3について調整中の網点面積率が調整前の網点面積率(入力網点面積率)に対応付けられている。参照色の変更後、上記第2の実施形態におけるステップS412と同様にして、変更後の参照色に基づいて各中間調パッチPA3の分光反射率の再算出が行われる(ステップS445)。
【0164】
次に、上述したように、変更前の参照色についての網点面積率とSCTVとの対応関係に基づいて、各中間調パッチPA3についての調整中の網点面積率をSCTVに変換する処理が行われる(ステップS446)。さらに、上述したように、変更後の参照色についての網点面積率とSCTVとの対応関係に基づいて、ステップS446で得られたSCTVを網点面積率に変換する処理が行われる(ステップS447)。
【0165】
その後、作業者による網点面積率の調整が行われる(ステップS448)。その際、各中間調パッチPA3に関して調整前の網点面積率(入力網点面積率)とステップS447で得られた網点面積率とが対応付けられた状態(調整前の入力網点面積率を入力網点面積率としステップS447で得られた網点面積率を出力網点面積率とする
図22に示したようなグラフが表示された状態)から作業者による網点面積率の調整が開始(再開)される。そして、上記第1の実施形態におけるステップS402~S403(
図19参照)と同様にして、カラーチャートデータ50のうちの各中間調パッチPA3の分光反射率の情報の補正(ステップS449)および補正後のカラーチャートデータ50に基づく表示(ステップS450)が行われる。なお、ステップS449では、上記ステップS445での再算出後の分光反射率を基準にして、カラーチャートデータ50のうちの各中間調パッチPA3の分光反射率の情報が補正される。
【0166】
ステップS450の終了時点で所望の色が得られていない場合、参照色を再び変更する必要があればステップS444以降の処理が再実行され、参照色を変更する必要がなければステップS448以降の処理が再実行される。
【0167】
なお、本変形例においては、上記ステップS444によって参照色変更ステップが実現され、上記ステップS445によって分光特性算出ステップが実現され、上記ステップS446によって第1変換ステップが実現され、上記ステップS447によって第2変換ステップが実現され、上記ステップS448によって網点面積率調整ステップが実現され、上記ステップS449によって分光特性補正ステップが実現され、上記ステップS450によって画像比較画面表示ステップが実現されている。
【0168】
以上のように、本変形例によれば、作業者が参照色を変更した際に、SCTVを介して、参照色変更の直前の各中間調パッチPA3の出力網点面積率に対応する参照色変更後の各中間調パッチPA3の出力網点面積率が求められる。参照色の変更の前後で出力網点面積率が大きく変化する可能性はあるが、参照色の変更の前後で色味の変化は少ない。このように色味を大きく変えることなく参照色を変更することが可能となるので、作業者は、CxFチャートに含まれる各パッチの分光反射率の情報を補正するための調整作業をより効率的に行うことが可能となる。
【0169】
<4.2 第2の変形例>
上記第1の変形例においては、参照色が変更された際、SCTVを介して、変更前の参照色についての出力網点面積率から変更後の参照色についての出力網点面積率への変換が行われていた(
図42参照)。これに対して、本変形例においては、参照色が変更された際、CIELAB値(L
*値、a
*値、およびb
*値)を用いた計算によって、変更前の参照色についての出力網点面積率から変更後の参照色についての出力網点面積率への変換が行われる。以下、詳しく説明する。
【0170】
ここでは、参照色が変更される前に、色C01を参照色として
図44に示すように網点面積率の調整が作業者によって行われていたと仮定する。また、
図44に示すような調整が行われた後に色C01から色C02へと参照色が変更されたと仮定する。
【0171】
本変形例においては、参照色が変更されると、変更前の参照色についての各中間調パッチPA3の出力網点面積率(調整中の網点面積率)に対応するCIELAB値と変更後の参照色についての1%刻みの網点面積率に対応するCIELAB値とが求められる。これに関し、例えば
図44で符号88を付した部分に着目すると、まず、補正前のカラーチャートデータ50において「網点面積率=10%」に対応付けられている分光反射率と補正前のカラーチャートデータ50において「網点面積率=20%」に対応付けられている分光反射率とから線形補間等によって当該部分(出力網点面積率=18%)に対応する分光反射率が求められる。そして、上式(8)によって分光反射率から三刺激値X,Y,およびZが求められた後、公知の変換式によって三刺激値X,Y,およびZからCIELAB値(L
*値,a
*値,およびb
*値)が求められる。このようにして、変更前の参照色についての各中間調パッチPA3の出力網点面積率(調整中の網点面積率)に対応するCIELAB値が求められる。また、変更後の参照色について、例えば
図45に示すように1%刻みの網点面積率に対応するCIELAB値(L
*値,a
*値,およびb
*値)が求められる。これについては、まず、上記第2の実施形態におけるステップS412と同様にして、変更後の参照色についての各中間調パッチPA3の分光反射率が求められる。次に、線形補間等により、1%刻みの各網点面積率に対応する分光反射率が求められる。そして、1%刻みの各網点面積率について、上式(8)によって分光反射率から三刺激値X,Y,およびZが求められた後、公知の変換式によって三刺激値X,Y,およびZからCIELAB値(L
*値,a
*値,およびb
*値)が求められる。このようにして、変更後の参照色についての1%刻みの網点面積率に対応するCIELAB値が求められる。
【0172】
その後、各中間調パッチPA3に関し、参照色変更の直前の出力網点面積率に対応するCIELAB値と変更後の参照色について求められた1%刻みの各網点面積率に対応するCIELAB値とに基づいて、1%刻みの網点面積率毎に色差が求められる。そして、各中間調パッチPA3に関し、最小の色差が得られた網点面積率が再調整開始時点における網点面積率(出力網点面積率)として採用される。
【0173】
以上を踏まえ、
図46を参照しつつ、本変形例におけるカラーチャートデータ補正処理の手順について説明する。ステップS461~S463については、上記第1の実施形態におけるステップS401~S403(
図19参照)と同様の処理が行われる。その後、上記第2の実施形態におけるステップS411(
図30参照)と同様にして、作業者による参照色を選択する処理が行われる(ステップS464)。これにより、参照色が変更される。このステップS464の開始時点には、既にステップS461で作業者による網点面積率の調整が行われているので、各中間調パッチPA3について調整中の網点面積率が調整前の網点面積率(入力網点面積率)に対応付けられている。
【0174】
参照色の変更後、上述したように、補正前のカラーチャートデータ50内の分光反射率の情報を用いて、変更前の参照色について、調整中の網点面積率に対応する分光反射率が求められる(ステップS465)。そして、ステップS465で得られた分光反射率に基づいて、上述したように、変更前の参照色について、各中間調パッチPA3の調整中の網点面積率に対応するCIELAB値が求められる(ステップS466)。次に、上述したように、変更後の参照色について、1%刻みの各網点面積率に対応する分光反射率(変更後の参照色についての各中間調パッチPA3の分光反射率を含む)が求められる(ステップS467)。そして、ステップS467で得られた分光反射率に基づいて、上述したように、変更後の参照色について、1%刻みの網点面積率に対応するCIELAB値が求められる(ステップS468)。
【0175】
その後、上述したように、各中間調パッチPA3に関し、調整中の網点面積率に対応するCIELAB値と1%刻みの各網点面積率に対応するCIELAB値とに基づく色差が求められる(ステップS469)。すなわち、各中間調パッチPA3に関し、1%刻みの網点面積率毎の色差が求められる。そして、各中間調パッチPA3に関し、ステップS469で求められた色差のうちの最小の色差に対応する網点面積率が、再調整開始時点における網点面積率(出力網点面積率)に決定される(ステップS470)。
【0176】
その後、作業者による網点面積率の調整が行われる(ステップS471)。その際、各中間調パッチPA3に関して調整前の網点面積率(入力網点面積率)とステップS470で決定された網点面積率とが対応付けられた状態(調整前の入力網点面積率を入力網点面積率としステップS470で決定された網点面積率を出力網点面積率とする
図22に示したようなグラフが表示された状態)から作業者による網点面積率の調整が開始(再開)される。そして、上記第1の実施形態におけるステップS402~S403(
図19参照)と同様にして、カラーチャートデータ50のうちの各中間調パッチPA3の分光反射率の情報の補正(ステップS472)および補正後のカラーチャートデータ50に基づく表示(ステップS473)が行われる。
【0177】
ステップS473の終了時点で所望の色が得られていない場合、参照色を再び変更する必要があればステップS464以降の処理が再実行され、参照色を変更する必要がなければステップS471以降の処理が再実行される。
【0178】
なお、本変形例においては、上記ステップS464によって参照色変更ステップが実現され、上記ステップS466によって第1のCIELAB値算出ステップが実現され、上記ステップS467によって分光特性算出ステップが実現され、上記ステップS468によって第2のCIELAB値算出ステップが実現され、上記ステップS469によって色差算出ステップが実現され、上記ステップS471によって網点面積率調整ステップが実現され、上記ステップS472によって分光特性補正ステップが実現され、上記ステップS473によって画像比較画面表示ステップが実現されている。
【0179】
以上のような本変形例によれば、参照色が変更された際の色味の変化を顕著に小さくすることが可能となる。従って、作業者は、CxFチャートに含まれる各パッチの分光反射率の情報を補正するための調整作業を極めて効率的に行うことが可能となる。
【0180】
なお、上記においては1%刻みの各網点面積率に対応するCIELAB値(
図45参照)が求められる例を挙げて説明したが、これには限定されず、適宜の範囲刻みの各網点面積率に対応するCIELAB値が求められるようにすれば良い。
【0181】
<4.3 第3の変形例>
上記第3の実施形態においては、作業者がSCTVを調整することによって色の調整が行われていた。これに関する変形例を以下に説明する。
【0182】
図47は、本変形例におけるカラーチャートデータ補正処理の手順を示すフローチャートである。カラーチャートデータ補正処理の開始後、まず、上記第3の実施形態におけるステップS421(
図36参照)と同様にして、予測対象色のカラーチャートデータ50のうちの9個の中間調パッチPA3のそれぞれのデータに関し、網点面積率からSCTVへの変換が行われる(ステップS481)。
【0183】
次に、参照色の候補となる複数の参照候補色が作業者によって選択される(ステップS482)。これについては、例えば
図40に示したダイアログ540の領域546において複数のサンプル色を選択可能にしておき、参照候補色として複数のサンプル色の選択を受け付けるようにすれば良い。ステップS482では、例えば、32個のサンプル色の中から4個のサンプル色が選択される。次に、ステップ481で得られた変換後のSCTVを基準にして、作業者によるSCTVの調整が行われる(ステップS483)。なお、このステップS483でのSCTVの調整は、上記第3の実施形態におけるステップS422と同様、例えば
図37に示したようなグラフを用いて行われる。
【0184】
作業者によるSCTVの調整後、ステップS482で選択された複数の参照候補色のそれぞれについて、上記第3の実施形態におけるステップS428と同様にして、調整後のSCTVから網点面積率への変換が行われる(ステップS484)。さらに、ステップS482で選択された複数の参照候補色のそれぞれについて、ステップS484で得られた網点面積率に対応する分光反射率が求められる(ステップ485)。そして、ステップS482で選択された参照候補色毎の調整結果(予測結果)を含む例えば
図48示すようなダイアログ550が印刷データ生成装置100の表示部16に表示される(ステップ486)。このダイアログ550には、調整結果選択領域551と調整結果表示領域552とが含まれている。調整結果表示領域552には、参照候補色毎に、例えば、各パッチの分光反射率を表す曲線を示したグラフが表示される。作業者は、調整結果選択領域551において、いずれか1つの参照候補色を選択する(すなわち、1つの調整結果を選択する)(ステップ487)。
【0185】
最後に、ステップS487で選択された調整結果に対応する参照候補色についての分光反射率(ステップ485で求められた分光反射率)が、補正後のカラーチャートデータ50における分光反射率として採用される。すなわち、カラーチャートデータ50のうちの各中間調パッチPA3の分光反射率の情報が補正される(ステップS488)。
【0186】
なお、本変形例においては、上記ステップS481によって網点面積率-SCTV変換ステップが実現され、上記ステップS482によって参照候補色選択ステップが実現され、上記ステップS483によってSCTV調整ステップが実現され、上記ステップS484によってSCTV-網点面積率変換ステップが実現され、上記ステップS485によって分光特性計算ステップが実現され、上記ステップS486によって調整結果表示ステップが実現され、上記ステップS487によって調整結果選択ステップが実現され、上記ステップS488によって分光特性補正ステップが実現されている。
【0187】
本変形例によれば、作業者は、複数の参照候補色のそれぞれに対応する調整結果を画面上で一度に確認することが可能となる。従って、作業者は、CxFチャートに含まれる各パッチの分光反射率の情報を補正するための調整作業をより効率的に行うことが可能となる。
【0188】
<4.4 第4の変形例>
本変形例は、上記第3の変形例の更なる変形例である。上記第3の変形例においては、作業者は、参照色の最終的な選択を行う前に、参照色の候補となる複数のサンプル色を選択することが可能であった。本変形例においては、さらに、
図37に示したようなグラフを用いてSCTVの調整が行われる際に、作業者は複数の調整パターンで調整を試すことが可能となっている。仮に3つの調整パターンでSCTVの調整が試される場合、調整作業用のグラフ上に、「入力網点面積率とSCTVとの対応関係」を表すラインとして、例えば
図49に示すように調整前のライン800および調整後の3つのライン801~803が表示される。
【0189】
本変形例においては、上記ステップS484(
図47参照)によって、参照候補色と調整パターンとの組み合わせ毎に変換後の網点面積率が得られ、上記ステップS485によって、参照候補色と調整パターンとの組み合わせ毎に分光反射率が求められる。
【0190】
また、上記ステップS486では、参照候補色と調整パターンとの組み合わせ毎に調整結果(予測結果)が表示される。仮に、参照候補色として4個のサンプル色が選択され、かつ、3つの調整パターンでSCTVの調整が試された場合、12個の調整結果(例えば、色見本や画像サンプル)が表示される。作業者は、それらの中から、いずれか1つの調整結果を選択する。これにより、選択された調整結果に対応する「参照候補色と調整パターンとの組み合わせ」についての分光反射率が、補正後のカラーチャートデータ50における分光反射率として採用される。
【0191】
本変形例によれば、参照候補色と調整パターンとの全ての組み合わせについての調整結果を作業者は一度に確認することができるので、CxFチャートに含まれる各パッチの分光反射率の情報を補正するための調整作業を極めて効率的に行うことが可能となる。
【0192】
<5.使用する分光特性について>
上記各実施形態では、分光反射率を用いて色予測処理およびカラーチャートデータ補正処理が行われていた。しかしながら、本発明はこれに限定されず、分光反射率以外の分光特性を用いて色予測処理およびカラーチャートデータ補正処理が行われても良い。分光反射率以外の分光特性としては、例えば、分光吸収率(1から分光反射率を減ずることによって得られる値)や次式(9)から得られる分光吸収係数αが挙げられる。ある波長における紙白(印刷用紙上でインクが塗られていない部分)での反射率をR0とし、該当パッチの反射率をRとし、インクの厚みをxとすると、多重反射を考慮しない場合には、分光吸収係数αは次式(9)で表される。
α=-(1/(2x))・ln(R/R0) ・・・(9)
【0193】
また、上記各実施形態では、ベタパッチPA2の分光反射率と色予測対象パッチ(各中間調パッチPA3)の分光反射率との関係を表す関係式を用いて色の予測が行われていた。しかしながら、関係式によって表される関係は、これには限定されない。例えば、ベタパッチPA2の分光吸収率と色予測対象パッチの分光吸収率との関係を表す関係式やベタパッチPA2の分光反射率と色予測対象パッチの分光吸収率との関係を表す関係式などを用いて色の予測が行われても良い。
【0194】
<6.その他>
本発明は、上記各実施形態(変形例を含む)に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記各実施形態(変形例を含む)では印刷媒体として印刷用紙が用いられる例を挙げて説明したが、各種フィルム・各種ラベルなどが印刷媒体として用いられる場合にも本発明を適用することができる。また、上記各実施形態や上記各変形例を矛盾が生じることのないよう適宜に組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0195】
50…カラーチャートデータ
100…印刷データ生成装置
141…色予測プログラム
142…カラーチャートデータファイル
200…製版装置
300…印刷装置
350…デジタル印刷装置
400…測色機
1411…カラーチャートデータ補正プログラム
PA1…媒体色パッチ
PA2…ベタパッチ
PA3…中間調パッチ