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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】レール締結装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 9/34 20060101AFI20240527BHJP
   E01B 9/30 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
E01B9/34
E01B9/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020205058
(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公開番号】P2022092309
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2023-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】菅村 公平
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-013977(JP,A)
【文献】特公昭39-010453(JP,B1)
【文献】特開2002-268513(JP,A)
【文献】特開2001-205514(JP,A)
【文献】特開2019-078013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 9/34
E01B 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの両側のフランジに沿ってまくらぎ上に配置されるバネ支持体と、前記バネ支持体と前記レールのフランジとを弾性力で係止するクリップ機能を有する線バネ部材と、を備え、
前記線バネ部材は、一方の端部側に設けられた挿入部と、他方の端部側に設けられたフランジ押え部と、前記挿入部と前記フランジ押え部との間の部分に設けられた支持部と、を有し、
前記バネ支持体は、前記レールの長手方向に沿って形成され、前記長手方向の一方の端部に開口部を有し、前記長手方向の他方の端部が壁部で閉塞された空洞部を有し、
前記壁部には、前記空洞部と連通する貫通孔であり、前記空洞部内に残存する前記挿入部の折損部分を前記開口部に向かって移動させるための治具が差し込まれる貫通孔が設けられており、
前記線バネ部材の挿入部が前記バネ支持体の開口部から前記空洞部内に挿入され、
前記線バネ部材のフランジ押え部が前記レールのフランジの上面に当接して前記フランジを押圧保持することを特徴とするレール締結装置。
【請求項2】
前記バネ支持体の空洞部内に挿入された前記線バネ部材の挿入部の先端が、前記バネ支持体の壁部の内面に当接している請求項1記載のレール締結装置。
【請求項3】
前記空洞部の開口部の端面から前記空洞部内の前記壁部の内面までの距離が、前記線バネ部材の挿入部の長さと同等である請求項1または2に記載のレール締結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線バネ部材の弾性力によりレールのフランジ部をまくらぎに固定するレール締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道用の軌道は、道床の上に敷設されたまくらぎと、まくらぎの上に乗せられたレールと、このレールをまくらぎに固定するためのレール締結装置などで構成されている。近年は、「の」字状に屈曲形成されたクリップ機能を有する線バネ部材を利用し、その線バネ部材の弾性力によってレールのフランジを押圧保持するタイプのレール締結装置が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
線バネ部材を利用した従来のレール締結装置を構成するバネ支持体は、レールのフランジの両側に設置され、レール長手方向に延びる貫通孔を有している。線バネ部材は、クリップ機能を有する「の」字状に形成され、「の」字の書始め側に挿入部が設けられ、「の」字の書き終わり側にフランジ押え部が設けられ、挿入部とフランジ押え部との間に支持部が設けられている。挿入部はバネ支持体の貫通孔に挿入される部分であり、フランジ押え部はレールのフランジを押圧保持する部分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公昭57-47321号公報
【文献】実開平2-6701号公報
【文献】特許第4154319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のレール締結装置を使用してレールをまくらぎ上に固定する場合、作業者は、パンプラー(またはパンプーラー)などと呼ばれる梃子形状の市販器具を使用して、線バネ部材の挿入部をバネ支持体の貫通孔に押し込む作業が行われているが、力加減が難しく、貫通孔に挿入された挿入部の先端部が貫通孔から飛び出すことが多いので、作業者はパンプラーを使用して、挿入部の位置の再調整を行っているのが実状である。
【0006】
しかしながら、前記再調整作業の際に、線バネ部材の挿入部が折損したり、折損した挿入部が貫通孔内に残ることがあるので、新たな線バネ部材に取り替えたり、貫通孔内に残った挿入部を取り出したりする必要が生じ、作業効率の低下を招いている。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、まくらぎ上へのレール固定作業中の線バネ部材の折損を低減することができ、作業効率の向上を図ることができるレール締結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るレール締結装置は、
レールの両側のフランジに沿ってまくらぎ上に配置されるバネ支持体と、前記バネ支持体と前記レールのフランジとを弾性力で係止するクリップ機能を有する線バネ部材と、を備え、
前記線バネ部材は、一方の端部側に設けられた挿入部と、他方の端部側に設けられたフランジ押え部と、前記挿入部と前記フランジ押え部との間の部分に設けられた支持部と、を有し、
前記バネ支持体は、前記レールの長手方向に沿って形成され、前記長手方向の一方の端部に開口部を有し、前記長手方向の他方の端部が壁部で閉塞された空洞部を有し、
前記線バネ部材の挿入部が前記バネ支持体の開口部から前記空洞部内に挿入され、
前記線バネ部材のフランジ押え部が前記レールのフランジの上面に当接して前記フランジを押圧保持することを特徴とする。
【0009】
前記レール締結装置においては、前記バネ支持体の空洞部内に挿入された前記線バネ部材の挿入部の先端が、前記バネ支持体の壁部の内面に当接するようにすることができる。
【0010】
前記レール締結装置においては、前記バネ支持体の壁部に、前記空洞部と連通する貫通孔を設けることができる。
【0011】
前記レール締結装置においては、前記空洞部の開口部の端面から前記空洞部内の前記壁部の内面までの距離を、前記線バネ部材の挿入部の長さと同等とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、まくらぎ上へのレール固定作業中の線バネ部材の折損を低減し、作業効率の向上を図ることができるレール締結装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態であるレール締結装置を示す一部省略平面図である。
図2図1中のA-A線における一部省略垂直断面図である。
図3図1に示すレール締結装置を構成するバネ支持体の一部省略平面図である。
図4図3中の矢線B方向から見たバネ支持体の一部省略正面図である。
図5図4中のC-C線における一部省略垂直断面図である。
図6図1に示すレール締結装置を構成するバネ支持体に対する線バネ部材の装着過程を示す一部省略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1図6に基づいて、本発明の実施形態であるレール締結装置100について説明する。
【0015】
図1図2に示すように、レール締結装置100は、鉄まくらぎ3上に敷設されたレール1の両側のフランジ2,2に沿って鉄まくらぎ3上に配置されたバネ支持体10と、バネ支持体10とレール1のフランジ2,2とを弾性力で係止するクリップ機能を有する線バネ部材11と、を備えている。バネ支持体10は、溶接部13によって鉄まくらぎ3の上面に固定されている。線バネ部材11は、その平面視形状が「の」字状をなし、一方の端部側(「の」字の書始め側)に設けられた挿入部11aと、他方の端部側(「の」字の書終わり側)に設けられたフランジ押え部11cと、挿入部11aとフランジ押え部11cとの間の部分に設けられた支持部11bと、を有している。
【0016】
なお、本実施形態に係るレール締結装置100は、鉄まくらぎ3上に敷設されたレール1の締結手段として使用しているが、これに限定するものではないので、鉄まくらぎ3以外のまくらぎ(例えば、コンクリート製まくらぎなど)に対して使用することもできる。
【0017】
図3図5に示すように、バネ支持体10はレール1の長手方向Lに沿って形成された空洞部12を有している。空洞部12は、その長手方向Lの一方の端部に開口部12aを有し、長手方向Lの他方の端部が壁部12bで閉塞されている。壁部12bには、空洞部12と連通する貫通孔12cが設けられている。
【0018】
レール締結装置100においては、バネ支持体10の空洞部12の開口部12aの端面から空洞部12内の壁部12bの内面までの距離12dを、線バネ部材11の挿入部11a(「の」字の書き始め側の直線部分)の長さ11dと同等としているが、これに限定するものではない。
【0019】
図1図2に示すように、線バネ部材11の挿入部11aがバネ支持体10の開口部12aから空洞部12内に挿入され、線バネ部材11のフランジ押え部11cがレール1のフランジ2の上面に当接し、鉄まくらぎ3に向かってフランジ2を押圧保持することによってレール1が鉄まくらぎ3上に締結されている。
【0020】
次に、図1図6に基づいて、レール締結装置100において、バネ支持体10に対する線バネ部材11の装着方法などについて説明する。図1に示すレール締結装置100におけるバネ支持体10に対する線バネ部材11の装着方法は、従来のレール締結装置の場合と同様であり、作業者は、パンプラー(またはパンプーラー)などと呼ばれる梃子形状の市販器具(図示せず)を使用して、線バネ部材11の挿入部11aをバネ支持体10の空洞部12に押し込む作業を行うことができる。
【0021】
即ち、図6に示すように、線バネ部材11の挿入部11aの先端側をバネ支持体10の空洞部12の開口部12aに向けて配置し、挿入部11aの先端側を開口部12aから空洞部12内に差し込んだ後、パンプラー(図示せず)の先端部をバネ支持体10の壁部12b外側及び線バネ部材11の「の」字の頂点付近に係合させ、パンプラーの基端部を矢線X方向に傾動させると、線バネ部材11が矢線X方向に移動し、挿入部11aがバネ支持体10の空洞部12内に挿入される。
【0022】
線バネ部材11の挿入部11aをバネ支持体10の空洞部12内に挿入する過程において、挿入部11aの先端11eが空洞部12の壁部12bの内面12eに当接した時点で挿入部11aの挿入が阻止されるので、線バネ部材11の挿入部11aがバネ支持体10から突出することがなくなり、これにより、従来行われていた、挿入部11aを空洞部12内に挿入した後の位置調整作業をなくすことができるので、挿入部11aの折損を防止することができ、施工性も向上する。また、挿入部11aを空洞部12内に挿入した後の位置調整作業が不要となることにより、作業効率も向上する。
【0023】
一方、従来のレール締結構造においては、経年劣化により線バネ部材11が細径化したり、線バネ部材11の挿入部11aがバネ支持体10の空洞部12内に固着したりした状況下において、線バネ部材11の挿入部11aを空洞部12から無理に抜き出そうとすると、挿入部11aが折損して空洞部12内に残留し、折損部分の取り出しが困難となることがあった。
【0024】
しかし、レール締結装置100においては、壁部12bに設けた貫通孔12cの外側から空洞部12内へ棒材(図示せず)などを差し込んで、空洞部12内に残存する挿入部11aの折損部分を開口部12aに向かって移動させれば、挿入部11aの折損部分を空洞部12外へ容易に取り出すことができる。従って、挿入部11aの折損部分が空洞部12内に残留することがあっても、折損部分の取り出し作業の手間を大幅に省力化することができる。
【0025】
また、貫通孔12cを設けたことにより、空洞部12内の通気性、特に、空洞部12内の奥部分(壁部12bの内面12e寄りの部分)の通気性を確保することができるので、空洞部12内を乾燥状態に保つことができ、残留水分に起因する発錆や腐食を防止することができる。なお、平常時、挿入部11aの先端11eは壁部12bの内面12eに当接しているだけであるので、通気性を確保しつつ、貫通孔12cを経由して土砂粒や塵埃などが空洞部12内へ侵入することを阻止することができる。
【0026】
なお、図1図6に基づいて説明したレール締結装置100は、本発明に係るレール締結装置の一例を示すものであり、本発明に係るレール締結装置は、前述したレール締結装置100に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係るレール締結装置は、鉄道に敷設されているレールの締結作業、修復作業などを行う鉄道産業等の分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1 レール
2 フランジ
3 鉄まくらぎ
10 バネ支持体
11 線バネ部材
11a 挿入部
11b 支持部
11c フランジ押え部
11d 長さ
11e 先端
12 空洞部
12a 開口部
12b 壁部
12c 貫通孔
12d 距離
12e 内面
13 溶接部
100 レール締結装置
L 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6