(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-24
(45)【発行日】2024-06-03
(54)【発明の名称】チュービング装置
(51)【国際特許分類】
E02D 13/00 20060101AFI20240527BHJP
E02D 7/20 20060101ALI20240527BHJP
E02D 11/00 20060101ALI20240527BHJP
E21B 7/20 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
E02D13/00 Z
E02D7/20
E02D11/00
E21B7/20
(21)【出願番号】P 2020213842
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】高山 浩司
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-329775(JP,A)
【文献】特開2000-213268(JP,A)
【文献】特開2000-257066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 13/00
E02D 7/20
E02D 11/00
E21B 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、前記ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの中央部を鉛直方向に貫通するケーシング挿通孔とを備え、前記チャックフレームの上に、前記ケーシング挿通孔の位置に対応する開口部を有し、吊り動作により着脱可能な作業デッキが設けられているチュービング装置において、
前記作業デッキの下方移動に従って該作業デッキ及び前記チャックフレームの互いの一部同士を係止させるデッキ着脱ガイドを備え、
前記デッキ着脱ガイドは、前記チャックフレームの一側部に設けられるフレーム側ガイド部材と、前記作業デッキの下面側に設けられて前記フレーム側ガイド部材及び前記チャックフレームのそれぞれに係止可能なデッキ側ガイド部材とで構成されていることを特徴とするチュービング装置。
【請求項2】
前記デッキ側ガイド部材及びフレーム側ガイド部材のうちの少なくとも一方側のガイド部材は、相互に独立して配置された複数のガイド部材からなり、他方側のガイド部材は、前記複数のガイド部材同士の間に配置され、
前記複数のガイド部材は、前記ケーシング挿通孔の中心軸を通り、装置幅に平行な仮想平面を挟んで両側に配置された2つと、これらと対になり、前記ケーシング挿通孔の中心軸を回転対称軸として180度回転させた位置に配置された2つとからなる合計4つのガイド部材であることを特徴とする請求項1記載のチュービング装置。
【請求項3】
前記デッキ側ガイド部材は、前記フレーム側ガイド部材あるいは前記チャックフレームとの関係で、当接すると互いに離れる方向に摺動させる傾斜部を有していることを特徴とする請求項1又は2記載のチュービング装置。
【請求項4】
前記デッキ側ガイド部材は、ボルト締結により前記作業デッキに固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のチュービング装置。
【請求項5】
前記フレーム側ガイド部材は、前記作業デッキが着脱可能に取り付けられる取付部を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のチュービング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チュービング装置に関し、詳しくは、建築、土木の基礎工事で地中への杭の圧入や引き抜きを行うチュービング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基礎工事で使用されるチュービング装置は、一般に、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に4本の昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方に4本のチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、各フレームの中央部を貫通して設けられたケーシングチューブ挿通孔とを備えている。このようなチュービング装置では、ケーシングチューブの挿入や着脱、コンクリートの注入などの作業をする際の足場として、チュービング装置本体の上面に作業デッキが設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、チュービング装置が使用される現場の多様化に伴い、例えば、狭隘な現場に搬入する際には、あらかじめ本体から作業デッキを取り外しておき、クレーンの吊り能力に見合う形(軽量)にしてから移動させることが増えている。しかしながら、作業デッキは本体にボルト締結されているものの、一旦取り外すと、再度取り付けるためには改めて位置調整を行わなければならず、迅速性が求められる現場では取付け作業が困難であった。また、作業デッキの質量は数トンもあることから、吊点と重心位置とが少しでもずれていると、吊り上げ開始時に作業デッキが横揺れして各部を損傷させるおそれがあり、取外し作業にも慎重を期す必要があった。
【0005】
そこで本発明は、本体と作業デッキとの間の切り離しや接続が容易かつ安全に行えるデッキ着脱ガイドを備えたチュービング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のチュービング装置は、地上に据え付けられるベースフレームと、該ベースフレームの上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレームと、該ドライブフレームの上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレームと、前記ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームの中央部を鉛直方向に貫通するケーシング挿通孔とを備え、前記チャックフレームの上に、前記ケーシング挿通孔の位置に対応する開口部を有し、吊り動作により着脱可能な作業デッキが設けられているチュービング装置において、前記作業デッキの下方移動に従って該作業デッキ及び前記チャックフレームの互いの一部同士を係止させるデッキ着脱ガイドを備え、前記デッキ着脱ガイドは、前記チャックフレームの一側部に設けられるフレーム側ガイド部材と、前記作業デッキの下面側に設けられて前記フレーム側ガイド部材及び前記チャックフレームのそれぞれに係止可能なデッキ側ガイド部材とで構成されていることを特徴としている。
【0007】
また、前記デッキ側ガイド部材及びフレーム側ガイド部材のうちの少なくとも一方側のガイド部材は、相互に独立して配置された複数のガイド部材からなり、他方側のガイド部材は、前記複数のガイド部材同士の間に配置され、前記複数のガイド部材は、前記ケーシング挿通孔の中心軸を通り、装置幅に平行な仮想平面を挟んで両側に配置された2つと、これらと対になり、前記ケーシング挿通孔の中心軸を回転対称軸として180度回転させた位置に配置された2つとからなる合計4つのガイド部材であることを特徴としている。
【0008】
さらに、前記デッキ側ガイド部材は、前記フレーム側ガイド部材あるいは前記チャックフレームとの関係で、当接すると互いに離れる方向に摺動させる傾斜部を有していることを特徴とし、加えて、前記デッキ側ガイド部材は、ボルト締結により前記作業デッキに固定されていることを特徴としている。また、前記フレーム側ガイド部材は、前記作業デッキが着脱可能に取り付けられる取付部を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のチュービング装置によれば、作業デッキの下方移動に従ってデッキ側及びフレーム側の両ガイド部材同士を係止させるデッキ着脱ガイドを備えているので、作業デッキを取り付ける際には、両ガイド部材の位置を指標にクレーンの巻下げ操作を行うだけで作業デッキの取付位置を確定させることができる。一方、作業デッキを取り外す際には、両ガイド部材同士の係止状態が解かれる所定高さまでは作業デッキの横移動が規制されるので、不用意な吊り操作によってチュービング装置の各部を損傷させてしまうおそれがなくなる。また、フレーム側ガイド部材をチャックフレームの一側部に、デッキ側ガイド部材を作業デッキの下面側にそれぞれ配置しているので、両ガイド部材の位置関係を地上から容易に確認できるようになり、チュービング装置が使用される現場の安全と作業効率化に寄与するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一形態例を示すチュービング装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至
図10は、本発明のチュービング装置の一形態例を示している。本形態例に示すチュービング装置11は、
図1乃至
図3に示すように、地上に据え付けられるベースフレーム12と、該ベースフレーム12の上方に4本の昇降シリンダ13を介して昇降可能に設けられたドライブフレーム14と、該ドライブフレーム14の上方に4本のチャックシリンダ15を介して昇降可能に設けられたチャックフレーム16とを備えており、前記ベースフレーム12、ドライブフレーム14及びチャックフレーム16の中央部には、鉛直方向に貫通して同軸上に配置されたケーシング挿通孔17が設けられている。
【0012】
ドライブフレーム14には、回転伝達機構である油圧モータ18及び減速機19と、前記ケーシング挿通孔17を囲むコーンベアリング20とが設けられている。コーンベアリング20は、円筒状のケーシング(図示せず)を把持する複数のメインチャック21と対になってチャック機構を形成するもので、ドライブフレーム14に対して回転自在に組み付けられ、油圧モータ18の回転が減速機19を介して伝えられる。また、コーンベアリング20の内周部には、メインチャック21の楔形に当接可能なテーパ面が形成されている。
【0013】
メインチャック21は、チャックフレーム16において、ケーシング挿通孔17の周方向に等間隔で設けられている。具体的には、チャックフレーム16に対してリンク22やチャックベアリング23を介して吊り下げられており、チャックシリンダ15を伸縮させることよってメインチャック21が相対的に上下動する。これにより、ケーシングとコーンベアリング20との間にメインチャック21が差し込まれ、あるいは、引き抜かれてケーシングの把持と解放とが行われる。
【0014】
チャックフレーム16の上面には、ケーシング挿通孔17の位置に対応する開口部24を備えた作業デッキ25が設けられており、作業デッキ25への乗降は、対向する側面2箇所に設置された梯子26が使用される。
【0015】
作業デッキ25は、作業者が歩行可能な平面視略矩形状の足場を備えており、クレーンの吊り動作、つまり上下方向の移動によりチャックフレーム16に対して着脱可能になっている。この足場は、開口部24のある中央デッキ部27が両側部よりも低く段差状に形成され、作業デッキ25の取付状態で、その一部である中央デッキ部27が昇降シリンダ13を含む各種油圧部品間に没した形で配置されている。また、作業デッキ25の外縁部に複数の手摺28を設置することで、足場からの転落防止が図られており、必要に応じて中央デッキ部27の手摺28だけ取り外せば、高さ制限のある現場でもケーシングを吊り込むための作業スペースが確保される。すなわち、低空頭仕様のチュービング装置として、その機能が発揮される。
【0016】
このように構成されたチュービング装置11を搬入・搬出する際には、チャックフレーム16の上面に設けた4箇所の吊り耳29を使用して機体が丸ごと吊り上げられる。しかしながら、大型クレーンが進入できない狭隘な現場では、事前にチャックフレーム16から作業デッキ25を取り外して、使用するクレーンの吊り能力に見合うように軽量化が図られる。作業デッキ25を取り外す場合には、中央デッキ部27の上面に設けた4箇所の吊り金具(シャックル)30が使用される。
【0017】
ところで、作業デッキ25はチャックフレーム16にボルト締結されているものの、ボルト孔が比較的高い位置にあるため地上から見えにくく、作業デッキ25を分離して再度組み立てを完了させるには相当の時間を必要とする。また、吊り上げ開始時に揺れや回転が起こると昇降シリンダ13などを損傷させるおそれもある。そこで、チュービング装置11には、チャックフレーム16と作業デッキ25との間の切り離しや接続を容易かつ安全に行うことが可能なデッキ着脱ガイド31が設けられている。
【0018】
デッキ着脱ガイド31は、作業デッキ25の下方移動に従って該作業デッキ25及びチャックフレーム16の互いの一部同士を係止させるブラケット構造を有し、
図1及び
図2の想像線で示すように、ケーシング挿通孔17ないし開口部24を間に挟んで幅方向(
図2の上下方向)の両側部に片側2つずつ、合計4つ設けられている。
【0019】
こうしたブラケット構造は、
図4及び
図5などに示すように、チャックフレーム16の一側部に設けられたフレーム側ガイド部材32と、作業デッキ25の下面側に設けられてフレーム側ガイド部材32及びチャックフレーム16のそれぞれに係止可能なデッキ側ガイド部材33とで構成されている。各ガイド部材32,33は、中央デッキ部27の側面部を形成する枠体27aの内側にそれぞれ配置され、通常、外部から目視されることはないが(
図1)、作業デッキ25が上方位置に離れている吊り状態では、
図9に示すように、地上から同時に目視し得る上下位置関係に設けられ、作業デッキ25とチャックフレーム16との位置合わせを行うための目印となる。
【0020】
以下では、フレーム側ガイド部材32及びデッキ側ガイド部材33の具体的な構成及び機能を、
図4乃至
図10を参照しながら説明する。
【0021】
フレーム側ガイド部材32は、
図6乃至
図8にも示すように、相互に独立して配置された4つの同一形状部材であって、ケーシング挿通孔17の中心軸Cを通る幅方向(
図6の上下方向)に平行な仮想平面を挟んで両側(
図6の左右方向)に等間隔で2つ配置され、これらと対になる2つが、ケーシング挿通孔17の中心軸Cを回転対称軸として180度回転させてそれぞれ配置されている。
【0022】
各フレーム側ガイド部材32は、
図4及び
図5に示すように、中央デッキ部27の足場板27bが当接可能な平面部32aと、一対の脚部32b,32bとからなる略コ字状断面を有し、
図6にも示すように、長さ方向において基端側の脚部32b,32bがチャックフレーム16の上面に固着され、先端側が中央デッキ部27の枠体27aの幅寸法Wに収まる程度にチャックフレーム16の側端部16aから張り出している。
【0023】
これにより、作業デッキ25は、4つのフレーム側ガイド部材32で中央デッキ部27が支持され、この状態で、フレーム側ガイド部材32に備わる取付部(裏ナット)32cと、足場板27bのボルト孔に挿通した取付ボルト34とが螺合し、中央デッキ部27がチャックフレーム16上に固定される。このとき、チャックフレーム16の中央前後面(
図6の左右側面)に設けられた取付部16bには、
図3に示すように、前後一対のステー部材35(反対側は図示せず)がボルト止めされ、作業デッキ25の前側部及び後側部がそれぞれ安定的に支持される。
【0024】
デッキ側ガイド部材33は、各フレーム側ガイド部材32のそれぞれに対応し、取付向きなどの条件から形状や寸法に若干の違いがあるが、ほぼ同一形状の4つからなる。これらのうちの片側2つは、フレーム側ガイド部材32,32同士の間に配置されるとともに、ケーシング挿通孔17の中心軸Cを通る幅方向(
図2の上下方向)の仮想平面を挟んで両側(
図2の左右方向)に等間隔で配置され、これらと対になる2つが、ケーシング挿通孔17の中心軸Cを回転対称軸として180度回転させてそれぞれ配置されている。
【0025】
各デッキ側ガイド部材33は、
図4及び
図5に示すように、2本の取付ボルト36で足場板27bの下面に固定された固定板33aと、該固定板33aの板面に略T字状に組まれた2つの当接板33b,33bとからなる着脱可能な部品である。固定板33aは略矩形状の板体であって、ボルト孔の位置に対応する裏ナット33cを備えている。各当接板33b,33bは、作業デッキ25が地面に直接置かれることも考慮して高さ(長さ)寸法に限界を設けているが、少なくともフレーム側ガイド部材32の高さ寸法の2倍程度確保されている。もっとも、本形態例では、
図9からも見てとれるように、取り扱いに支障のない程度で、片側2つのデッキ側ガイド部材33のうちの一方側だけ、中央デッキ部27の枠体27aの下端位置から突出させている。これにより、吊り状態において作業者がデッキ側ガイド部材33の位置を特定しやすくなっている。
【0026】
また、各当接板33b,33bは、デッキ側ガイド部材33あるいはチャックフレーム16との当接により生じる回転モーメントを抑える形で両取付ボルト36,36との位置関係が決定され、足場板27bにボルト締結した状態では、これらの板端がフレーム側ガイド部材32の脚部32bと、チャックフレーム16の側端部16aとのそれぞれの間で所定の隙間(例えば3mm)を有して対向配置されている。さらに、各当接板33b,33bの下端部には、フレーム側ガイド部材32あるいはチャックフレーム16との関係で、当接すると互いに離れる方向に摺動させる傾斜部33d,33dとして、角部を上下方向に長く直線状に取り除いたC面取りが施されている。
【0027】
このように構成されたデッキ着脱ガイド31を使用して作業デッキ25を本体に取り付ける際には、
図9に示すように、地上の作業者の合図に従って、クレーンの吊り操作で作業デッキ25をチャックフレーム16の上方に移動し、前後左右方向の位置を調整した後、作業デッキ25を下降させていく。ここで、作業者は作業デッキ25の片側2つのデッキ側ガイド部材33と、これに対応する2つのフレーム側ガイド部材32,32とを同時に目視できる位置から、クレーンの運転手に対して巻下げ操作の指示を行う。そして、デッキ側ガイド部材33,33がフレーム側ガイド部材32,32同士の間に入り込む直前の整合状態になると、作業者は、目線の高さからその位置の特定が可能な一方側(
図9の左側)のデッキ側ガイド部材33の移動のみに注視できるようになる。
【0028】
ここで、取付ボルト34のボルト孔の位置がずれている場合には、4つのデッキ着脱ガイド31のうちのいずれかにおいて、下方移動するデッキ側ガイド部材33の当接板33bの傾斜部33dが、フレーム側ガイド部材32の角部(曲げR部)あるいはチャックフレーム16の角部(板端部)に当接し、互いに離れる方向(前後左右方向)に摺動する。その結果、フレーム側ガイド部材32とデッキ側ガイド部材33とが互いに係止状態で保持される。そして、吊りロープを緊張させた状態のままで作業デッキ25を微動させることにより、各取付ボルト34のボルト孔の位置が合わせられる。こうして、チャックフレーム16上に作業デッキ25が搭載された後は、前後のステー部材35が取り付けられ、
図10に示すように、全ての取付ボルト34を所定トルクで締め付けることにより、作業デッキ25の取付作業が完了する。
【0029】
このように、本発明のチュービング装置11によれば、作業デッキ25の下方移動に従ってデッキ側及びフレーム側の両ガイド部材32,33同士を係止させるデッキ着脱ガイド31を備えているので、作業デッキ25を取り付ける際には、両ガイド部材32,33の位置を指標にクレーンの巻下げ操作を行うだけで作業デッキ25の取付位置を確定させることができる。一方、作業デッキ25を取り外す際には、両ガイド部材同士32,33の係止状態が解かれる所定高さまでは作業デッキ25の横移動が規制されるので、不用意な吊り操作によってチュービング装置11の各部を損傷させてしまうおそれがなくなる。また、フレーム側ガイド部材32をチャックフレーム16の一側部に、デッキ側ガイド部材33を作業デッキ25の下面側にそれぞれ配置しているので、両ガイド部材32,33の位置関係を地上から容易に確認できるようになり、チュービング装置11が使用される現場の安全と作業効率化に寄与するものとなる。
【0030】
また、デッキ側ガイド部材33及びフレーム側ガイド部材32が、相互に独立して配置された4つのガイド部材からなり、片側2つのデッキ側ガイド部材33,33をフレーム側ガイド部材32,32同士の間に配置しているので、作業デッキ25の前後左右方向への移動を効果的に制限することができる。さらに、4つのデッキ側ガイド部材33及びフレーム側ガイド部材32が、ケーシング挿通孔17の中心軸Cを通る仮想平面を挟んで両側に配置された2つと、これらと対になり、ケーシング挿通孔17の中心軸Cを回転対称軸として配置された2つとからなるので、作業デッキ25の回転方向の移動についても効果的に制限することができる。
【0031】
加えて、デッキ側ガイド部材33がフレーム側ガイド部材32あるいはチャックフレーム16との関係で、当接すると互いに離れる方向に摺動させる傾斜部33dを有しているので、両ガイド部材32,33同士が当接したときに、取付ボルト34のボルト孔の位置を合わせる方向にガイド(案内)することが可能となり、クレーン操作による位置決めの精度が多少低くても、各ガイド部材32,33の位置関係のずれを容易に修正することができる。
【0032】
また、作業デッキ25に対するデッキ側ガイド部材33の固定が取付ボルト36によりなされるので、フレーム側ガイド部材32やチャックフレーム16との関係で隙間調整が容易に行え、組立性にも優れている。さらに、フレーム側ガイド部材32に、作業デッキ25が取り付けられる取付部(裏ナット)32cを備えているので、デッキ着脱ガイド31の形状について作業デッキ25の固定までも含めた形で最適化が図れ、高い位置決め精度を発揮しながら、作業デッキ25の位置をチャックフレーム16に整然と揃えることができる。
【0033】
また、作業デッキ25及びチャックフレーム16同士の幅寸法の差により設けられた空間を利用し、各ガイド部材32,33を中央デッキ部27の枠体27aの内側に配置しているので、デッキ着脱ガイド31がチュービング装置11の外観に現れることがなく、外観が損なわれないという利点がある。一方、作業デッキ25の吊り状態では、地上から同時に目視し得る上下位置関係に設けられ、さらには、片側2つを中央デッキ部27に対応する比較的狭い範囲(スパン)で設けているので、位置決めを行う際に視線を大きく動かす必要がなく、作業デッキ25とチャックフレーム16との位置合わせを行うための目印として有効に活用することができる。
【0034】
これに加えて、片側2つのデッキ側ガイド部材33のうちの一方側だけ、中央デッキ部27の枠体27aの下端位置から突出させているので、作業デッキ25が目線の高さまで下降した状況でもデッキ側ガイド部材33の位置が特定しやすく、しかも、形状を高さ違いに設定したことで、デッキ側ガイド部材33,33がフレーム側ガイド部材32,32同士の間に入り込みやすいことから、作業デッキ25の位置決め精度の向上に資するものである。
【0035】
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものではなく、デッキ着脱ガイドは、作業デッキ及びチャックフレームの互いの一部同士を係止させるブラケット構造を有していればよく、その形状や数量、配置は任意であり、例えば、デッキ側ガイド部材とフレーム側ガイド部材とを入れ替えて配置したり、ガイド部材同士の間に配置されるものを一体部品として構成したりすることができる。また、デッキ着脱ガイドだけ機体の塗装色と異なる着色を施して、作業デッキの取付作業を行うときだけ目立つようにしてもよい。さらに、チュービング装置の仕様は、作業デッキの足場に段差を設けた低空頭仕様のものだけでなく、足場全体が平坦状の標準的なものであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
11…チュービング装置、12…ベースフレーム、13…昇降シリンダ、14…ドライブフレーム、15…チャックシリンダ、16…チャックフレーム、16a…側端部、16b…取付部、17…ケーシング挿通孔、18…油圧モータ、19…減速機、20…コーンベアリング、21…メインチャック、22…リンク、23…チャックベアリング、24…開口部、25…作業デッキ、26…梯子、27…中央デッキ部、27a…枠体、27b…足場板、28…手摺、29…吊り耳、30…吊り金具、31…デッキ着脱ガイド、32…フレーム側ガイド部材、32a…平面部、32b…脚部、32c…取付部、33…デッキ側ガイド部材、33a…固定板、33b…当接板、33c…裏ナット、33d…傾斜部、34…取付ボルト、35…ステー部材、36…取付ボルト